2020年10月31日土曜日

柏崎刈羽原発7号機の全審査終了+

 柏崎刈羽原発7号機について再稼働に向けた一連の審査手続きが終了しました。
 6号機の審査はこれからです。
 今後、再稼働に対する地元自治体の同意が焦点となりますが、新潟県は、県が設立した3つの検証委員会の結論が出た後にその検討を始めることになっています。
    ⇒(10月27日)新潟県技術委員会が原発事故検証の報告書を完成
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柏崎原発7号機の全審査終了 地元自治体との同意が争点に
                            共同通信 2020/10/30
 原子力規制委員会は30日、事故が起きた際の社長の責任を明記するなどして変更した東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の保安規定を認可した。同原発7号機については安全対策工事計画も認可しており、再稼働に向けた一連の審査手続きが終了した。今後、再稼働に対する地元自治体の同意が焦点となる。

 東電は、2013年9月に6、7号機の審査を申請したが、工事計画認可の手続きは7号機を優先して進めた。7号機の工事と原子炉起動前検査を21年4月までに終える予定とし、地元の同意前であっても同3~4月に原子炉に核燃料を装填することを検討している。


柏崎原発7号機、全審査終了 今後は地元の同意焦点に
                            新潟日報 2020/10/31
 原子力規制委員会は30日、東京電力が原発の安全確保に向けた「決意」などを盛り込んで変更した、東電柏崎刈羽原発の保安規定を認可した。東電が再稼働を目指す同原発7号機については既に、新規制基準への適合性と、工事計画も認めており、再稼働に必要な三つの審査が全て終了した。今後は、7号機の再稼働に対する地元の同意が焦点となる。
 東電は審査と並行して進めていた7号機の安全対策工事を12月に終える予定。来年4月には、設備の状況などを確認する「使用前事業者検査」も、原子炉を動かす必要がある検査を除いて完了する見通し。技術的には、この段階で再稼働ができる状態となる。
 ただ、花角英世知事は、原発の安全性に関する県独自の「三つの検証」や、県技術委員会による柏崎刈羽原発の安全性確認などが終わらない限り、再稼働の議論をしないとの姿勢を示している
 三つの検証の一つ、東電福島第1原発事故の原因に関する検証は26日に報告書がまとまったが、ほかの二つの検証や柏崎刈羽の安全確認はまだ途上にある。本県では再稼働問題について議論する環境が整っていないのが実情だ。
 30日に認可された保安規定は、原発の安全管理のルールを定めたもの。新たに「安全性より経済性を優先しない」など7項目の決意を「順守する」とした。
 また、事故が起きた際の東電社長の責任を明記。社長自らが安全上のリスクを把握し、安全最優先の判断や対応をした上で、その内容を速やかに社会に発信することや、そうした対応の記録を原子炉の廃止まで保管することなどを盛り込んだ。
 保安規定の認可を受け、東電の小早川智明社長は「私自らが先頭に立ち、安全最優先で取り組んでいく」とのコメントを出した。
 一方、花角氏は「規制委による審査の結果であり、県としてのコメントは控える。審査内容に疑問が残る点などについて、技術委員会で確認していく」とのコメントを発表した。

北海道東北知事会がトリチウム風評対策徹底を国へ提言

 東北6県と新潟県、北海道の知事でつくる北海道東北地方知事会は29日、東日本大震災からの復興に向けた国への提言をまとめました。提言文国に提出されます
 その中で、トリチウムに関する正確な情報を国内外に発信し、具体的な風評対策を示すよう求めるとともに、トリチウム汚染水発生源となる原子炉建屋への地下水や雨水の流入を抑制し、発生量を増加させない対策の強化も指摘しました
 これはトリチウム汚染水問題を根本的に解決するうえで極めて重要です。
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風評対策徹底、国へ提言 北海道東北知事会、処理水処分法示さず
                     福島民友ニュース 2020年10月30日
 東北6県と新潟県、北海道の知事でつくる北海道東北地方知事会は29日、東日本大震災からの復興に向けた国への提言をまとめた。東京電力福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水の取り扱いについて、トリチウムに関する正確な情報を国内外に発信し、具体的な風評対策を示すよう求めた
 福島市で会議を開いた。政府が処分方法の決定を目指す中、トリチウムに関する理解が国内外で進んでいない現状を踏まえ、実効性のある風評対策の必要性を訴えた形だ。今後、8道県知事の総意として提言文を国に提出する
 政府方針の決定に向けては、環境や風評への影響などを十分に議論した上で、国民に丁寧に説明しながら慎重に検討を進めるよう求めた。具体的な処分方法については明記しなかった
 また提言では、処理水の発生源となる汚染水について、原子炉建屋への地下水や雨水の流入を抑制し、発生量を増加させない対策の強化も指摘。確実に結果を出すよう、東電を指導することも要請した。
 処理水の処分方法を巡り、政府は今月中の決定を見送る方針。国に書面で提出された4011件の意見では、有力視される海洋放出への賛否や風評被害に対する懸念が多かった。政府内で風評対策の議論を深めることが必要と判断したとみられ、8道県知事の提言も重要な要素となりそうだ。
 提言には地域の実態に即した復興関連制度の確立や被災者の生活再建支援、原子力災害の早期収束、大震災を踏まえた防災体制強化など10項目を明記した。
 このほか会議では、2021年度以降の「第2期復興・創生期間」に向け、被災地の復旧・復興を国政の最優先課題とし、現在の特例的な財政支援や制度を継続・拡充することなどを盛り込んだ決議も採択した。

31- 富岡・処分場 予定の半分指定廃棄物を搬入

  福島県富岡町の指定廃棄物最終処分場は、搬入予定30万袋(1袋152トン)に対し、28日までの実績が約148500で約半分に達しました。

 処分場では、放射性物質濃度が1キログラム当たり8000ベクレル10万ベクレルの福島県内の指定廃棄物などを受け入れています
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指定廃、予定の半分搬入 富岡・処分場環境省が実績報告
                         河北新報 2020年10月30日
 東京電力福島第1原発事故で生じた福島県内の指定廃棄物などを埋め立てる最終処分場の運営を監視する環境安全委員会が29日、処分場が立地する同県富岡町であり、運営する環境省が受け入れ予定廃棄物の半分程度が既に搬入されたとする実績を報告した。
 有識者や行政関係者、地域住民十数人が出席。現場を視察した後、同省の担当者から埋め立て状況や周辺の空間放射線量などの説明を受けた。
 処分場への廃棄物搬入は予定する30万袋(1袋1.5~2トン)に対し、28日までの実績が約14万8500袋に上った。環境省の担当者は「生活ごみを除いて6年で埋め立てを終える事業。開始から3年で半分近くになり、搬入はおおむね順調だ」と述べた。
 河津賢澄委員長(福島大客員教授)は取材に「安全面ではしっかり運営されていると感じた。この委員会を地元とのコミュニケーションをもっと深める場にしたい」と語った。
 処分場では、放射性物質濃度が1キログラム当たり8000ベクレル超10万ベクレル以下の県内の指定廃棄物などを受け入れている

2020年10月30日金曜日

福島原発、事故後の労災269件 9年半余りで

  福島原発事故の後、復旧や廃炉などに携わった作業員らの労災認定が、今年10月1日までの9年半で269件に上ることが分かりました。がんや過労死の認定も含まれています。

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福島原発、事故後の労災269件 過労死やがん、14年度ピーク
                             共同通信 2020/10/29
 2011年の東京電力福島第1原発事故の後、復旧や廃炉などに関連した作業に携わった作業員らの労災認定が、今年10月1日までの9年半余りで269件に上ることが29日、厚生労働省への取材で分かった。年度別では汚染水対策の本格化に伴い事故が相次いだ14年度の58件が最多。その後減ったが、おおむね20件前後で推移する。被ばくによるがんや過労死が理由の認定もあり、作業員が厳しい環境で働く実態が浮き彫りになった。

 東電によると、11~19年度、作業中の事故などで3人が死亡、熱中症も頻発している。来年3月で事故から10年となるが、廃炉に向けた作業は今後も長期にわたる

福島県、東電に人件費など9千万円求め提訴

  福島県は東電に対し、原発事故に対応するために生じた県職員の人件費など約9千万円の損害賠償を求め、福島地裁に提訴しました。原発事故の賠償で自治体が東電を提訴するのは全国初だということです

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福島県、東電に9千万円求め提訴 事故対応の人件費などを請求
                            共同通信 2020/10/29
 福島県は29日、東京電力に対し、福島第1原発事故に対応するために生じた県職員の人件費など約9千万円の損害賠償を求め、福島地裁に提訴した。県によると、原発事故の賠償で自治体が東電を提訴するのは全国初だという。
 福島県では、事故前の計画では2011年度から15年度までの5年間で職員を350人削減する予定だったが、事故対応のため人員を削減できず、13年度に人件費約8千万円が余計に発生したとしている。弁護士費用などを加えた計約9千万円を求める。
 東電は「訴状が送達されれば、請求内容や主張を詳しく伺った上で、真摯に対応する」とのコメントを出した。

使用済み燃料 広がる乾式暫定保管

  使用済み核燃料の保管プールが満杯になる中で、核燃料を容器(キャスク)に収納した後、地上の室内で空気冷却式(下から冷気が入り暖気は上方から排気される自然喚気方式)で保管する方式が、今後広がるということです。

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広がる乾式暫定保管 使用済み燃料、プール満杯近く 埋設薄れる動機 処分地選定に影響も
                                                         北海道新聞 2020/10/29
 原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を地下深く埋める最終処分地の選定調査が国内で初めて、後志管内の寿都町と神恵内村を対象に11月にも始まる。一方で青森県むつ市の中間貯蔵施設など、核のごみのもととなる使用済み核燃料を地上で暫定的に保管する準備が進んでおり、処分地選定論議にも影響しそうだ。

 核のごみは全国の原発で使い終えた燃料からプルトニウムなどを取り出す再処理を行った後に出る。だが、青森県六ケ所村の再処理工場が稼働しないため、使用済み燃料は大半が各地の原発か再処理工場のプールで水冷保管されている。
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トリチウムに関する情報発信を強化すると 福島復興本社代表

 トリチウムの情報発信強化 「地域分断申し訳ない」、東電復興本社代表

                            福島民報 2020/10/29
 東京電力福島復興本社の大倉誠代表は二十八日の定例記者会見で、福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水について、国民に正しい理解が広がっていないとの認識を示し、トリチウムの性質などに関する情報発信を強化する考えを明らかにした
 東電は七月、東京電力廃炉資料館(富岡町)で処理水に関する展示を始め、動画やパネルでトリチウムの性質などを伝えてきた。大倉代表は「正しい理解がまだまだ足りない。分かりやすい説明を尽くしたい」と述べた。
 県内の市町村議会などで処理水を巡る意見が異なる現状には、「(意見の相違で)地域が分断されることになれば当事者として二重三重に申し訳ない」とし、地域に寄り添った対応に努めるとした。


首相「決定先送りできず」 処理水方針、具体的時期は言及なし
                            福島民報 2020/10/29
 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分を巡り、菅義偉首相は二十八日、衆院本会議の代表質問で「(福島第一原発の)敷地が逼迫(ひっぱく)する中で、いつまでも方針を決めず先送りすることはできない」と強調し、「これまでの検討を踏まえ、政府内での検討を深め、今後、適切な時期に政府として責任を持って処分方針を決める」と述べた。ただ、具体的な決定時期については言及しなかった。立憲民主党の枝野幸男代表の質問に答えた。
 枝野氏は「今月中の決定こそ否定されたが、海洋放出する方針との報道がなされ、関係者の不安は高まっている」と指摘。「国民に対する説明と国民的議論は全く不十分で、現状での決定は拙速だ」として、当面は地上保管を継続し「福島のみに負担を強いることのない処分方法など具体的な代案」の検討を求めた
 菅首相は政府小委員会がまとめた報告書に基づき、自治体や農林水産業団体などと意見交換を重ね、一般からは書面による意見募集を行ってきたとして「処理水の安全性や風評への懸念など、広く国民から貴重な意見をいただきつつ、議論を積み上げてきている」との認識を示した。

30- 伊方原発3号機 テロ対策施設の完成は21年10月ごろ

 伊方原発3号機 テロ対策施設設置期限前の再稼働は困難と四電社長

                         愛媛新聞 2020年10月29日
 四国電力の長井啓介社長は29日、高松市の本店で記者会見し、広島高裁の仮処分決定で運転差し止め中の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、2021年3月のテロ対策施設の設置期限前の再稼働が困難になったとの認識を示した。テロ対策施設の完成が同年10月ごろになるとの見通しも初めて明らかにした。伊方3号機は少なくとも施設完成まで運転できない。

2020年10月29日木曜日

福島県内「環境回復」 チェルノブイリよりも大幅に速く 

  国際研究チームは28日、福島原発事故で福島県内(陸地)に放出された放射性物質の減少速度が旧ソ連のチェルノブイリ原発事故後よりも大幅に速いことが分かったとの研究成果を発表しました。

 放射性シウムが時間の経過とともに地下に浸透していく速度はチェルノブイリ周辺の2~4倍で、水田の表土2センチの放射性セシウムの濃度は事故後3年で79割減少しましチェルノブイリ周辺の草地などと比べて減るのが速く、空間放射線量や河川の放射性セシウム濃度の低減にもつながりました。
 河川に溶けた放射性セシウムの濃度はチェルノブイリ後の欧州の河川よりも1~2桁程度低い値にとどまりました。放射性セシウムの地下への浸透速度が速く川に溶け出しにくかったためです。
 国際研究チームは、「福島の環境回復を取りまとめた成果の決定版として世界に広く発信することができた」福島はチェルノブイリとは異なり回復が早いということが分かってもらえる」としています。

 いわゆる居住地区の放射能レベルが下がっているのは喜ばしいことです。しかし広大な山地や森林地帯は全くの手付かずで、多分入地するのも危険な状態と思われます。
 この結果だけでは単純には喜べず事故の傷跡はまだ大きいと言えます。
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福島県内「環境回復」... 大幅に速く チェルノブイリと『比較』
                          福島民友 2020年10月28日
 筑波大や福島大、日本原子力研究開発機構(JAEA)などの研究者でつくる国際研究チームは28日、東京電力福島第1原発事故で県内(陸地)に放出された放射性物質の減少速度が旧ソ連のチェルノブイリ原発事故後よりも大幅に速いことが分かったとの研究成果を発表した。
 放射性セシウムが時間の経過とともに地下に浸透していく速度はチェルノブイリ周辺の2~4倍に上った。日本はチェルノブイリ周辺よりも雨が多く地形の傾斜が急であり、水の循環が速いことに加え、日常生活が続けられたこと、除染が行われたことなども影響した。
 研究チームは28日付で英科学誌ネイチャーのオンライン専門の姉妹誌「ネイチャー・レビューズ・アース&エンバイロメント」に発表。「福島の環境回復を取りまとめた成果の決定版として世界に広く発信することができた」としている。
 原発から80キロ圏内の陸上と阿武隈川流域での放射性物質の動きに関する210本以上の論文を検証し、地面や河川、森林での放射性物質の動きのメカニズムを調べた。水田の表土2センチの放射性セシウムの濃度は事故後3年で7~9割減少した。チェルノブイリ周辺の草地などと比べて減るのが速く、空間放射線量や河川の放射性セシウム濃度の低減にもつながった。

淡水魚汚染も小さく
 一方、河川に溶けた放射性セシウムの濃度はチェルノブイリ後の欧州の河川よりも1~2桁程度低い値にとどまった。放射性セシウムの地下への浸透速度が速く川に溶け出しにくかったためで、研究チームは「淡水魚の汚染はチェルノブイリよりはるかに小さい」と指摘した。
 27日にオンラインで記者会見した筑波大生命環境系の恩田裕一教授は「諸外国の人はチェルノブイリの知見を元に、福島について『今も放射性物質の濃度が高いだろう』『川の魚は汚れているだろう』などと考えている。研究成果を世界に発信できたので、福島はチェルノブイリとは異なり回復が早いということが分かってもらえると思う」と意義を強調した。
 研究には、JAEA福島研究開発部門廃炉環境国際共同研究センターの吉村和也研究主幹や福島大環境放射能研究所の脇山義史講師らが加わった。

地下水累計100万トン放出 処理水には抵抗感 福島第一原発

 放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方針を巡り、政府は海洋放出に当たりトリチウム濃度を国の規制基準値の1/40まで希釈する方向で検討しています。トリチウムの環境放出規制基準値は実に1リットル当たり6万ベクレルなので、それを1リットル当たり1500ベクレルまで処理水を希釈する方針です
 6万ベクレルというような高濃度を許容しているのはトリチウムがβ崩壊のため人体を照射する力が弱いためですが、海中に放流されたものが食物連鎖で人体に取り込まれる場合の危険性は別に考える必要があります。
 今度の記事で、現在でもサブドレンとしてトリチウムを1リットル当たり1500ベクレル未満含む水を常時海洋に放出していることが分かりました(累計100万トンも)
 それ自体が問題なので、そこまで希釈すればいいということにはなりません。
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地下水累計100万トン放出 処理水には抵抗感 福島第一原発
                            福島民報 2020/10/28
 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方針を巡り、海洋放出を軸に最終調整している政府は、処理水のトリチウム濃度を国の規制基準値の四十分の一まで希釈する方向で検討している。
 原子力規制委員会が定めるトリチウムの環境放出規制基準値は一リットル当たり六万ベクレル未満。政府は一リットル当たり一五〇〇ベクレル未満まで処理水を希釈する方針だ。

 一方で、東電は地下水が原子炉建屋に流入し、溶融核燃料(デブリ)に触れることで発生する汚染水を減らせば、処理水そのものが減るとして、原子炉建屋周辺の「サブドレン」と呼ばれる井戸や建屋に流入する前に「地下水バイパス」から地下水をくみ上げて海に放出している。このトリチウム濃度は、一リットル当たり一五〇〇ベクレル未満。政府は処理水の濃度をこの地下水と同じ水準とすることで、風評を最大限抑制したい考えだ。

福島トリチウム汚染水海洋放流に 韓国自治体が懸念

 福島原発処理水放流、韓国自治体が懸念 日韓海峡沿岸オンライン会議で

                                                         佐賀新聞 2020/10/28
 東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した後の処理水の海洋放出に関し、佐賀県など日韓海峡沿岸8自治体が27日に開いたオンライン会議で、韓国側から海洋汚染を懸念する声が相次いだ。
 意見交換では、海に面した韓国南岸の全羅南道などから「漁業者に大きな被害が発生する可能性がある。韓国の厳しい状況が、知事の皆さんを通して日本政府に伝わればと思う」との意見や、処理水の安全性の検証を求める声が出た。

 これを受け、山口祥義知事は「こういう問題は慎重に膝を突き合わせて話す話題。気持ちは分かるが、実際に会っていろいろな話をしてはどうか」と提案、長崎県の中村法道知事は「まだ国として一定の結論が得られたような状況にはない。日本国内でも反対意見がある」と述べた。(円田浩二)

29- 風評被害の再燃懸念 汚染水の海洋放出 銚子で意見交換会

  福島第一原発で発生し続けるトリチウム汚染水の取り扱いに関する意見交換会が26日夜、銚子市で開かれ、海洋放出による風評被害の再燃を懸念する声が相次ぎました

 千葉県で開かれたのは初めてです。
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風評被害の再燃懸念 原発処理水海洋放出 銚子で意見交換会
                          東京新聞 2020年10月28日
 東京電力福島第一原発事故で発生し続ける放射性物質を含んだ処理水の取り扱いに関する意見交換会が二十六日夜、銚子市保健福祉センターで開かれ、海洋放出による風評被害の再燃を懸念する声が相次いだ
 地元の水産、観光関連、行政など九団体から約三十人が出席。資源エネルギー庁の担当者から同原発の現状や海洋放出を前提にした処理水の処分方法などの説明を受けた後、質疑が行われた。
 参加者は「原発事故の風評被害がやっと八、九割払拭(ふっしょく)できたところ。再検討を」「国家間の輸出規制がなくなっても、現場の放射能検査の負担は変わらない」「銚子は海と魚のイメージで、海洋放出は影響が強く出る」などと訴えた。

 エネ庁の担当者は「復興の努力を無にしてはいけない。関係者の理解や納得が得られる対策は、処分方法の決定前も後も継続して取り組んでいかねばならない」などと答えた。
 処理水の処分を巡り、利害関係者が集まって政府側に意見表明する会合は千葉県内では初めて。銚子の水産関連団体は海洋放出に反対する文書を、市は拙速に処分方法の方針決定をしないことを求める要望書を、それぞれ県に提出していた。
 政府の方針決定に向けた九月の意見聴取で、滝川伸輔副知事は「必要なのは、水産関係者の理解と納得を得ること、風評被害を再燃させないことだ」と主張した。 (小沢伸介)

2020年10月28日水曜日

女川再稼働を容認の宮城県議会「不支持」72% SNSアンケート(河北新報)

  東北電力女川原発2号機の再稼働を巡り、河北新報社は無料通信アプリ「LINE(ライン)」で読者らにアンケートを行った結果は下記の通りです

 再稼働を容認した宮城県議会に対し72が不支持
 村井嘉浩知事が再稼働に同意すべきかは「はい」が31%、「いいえ」が57
 知事が決断する前の県民投票「行うべきだ」は76
 2号機の再稼働について「賛成・どちらかといえば賛成23、「反対・どちらかといえば反対」が63
 村井知事が最終判断する前に県民投票を行うべき76%、「すべきではない」は19
 原発再稼働の県議会の決定が大概住民の意思と反しているのは問題です。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
女川再稼働を容認の宮城県議会「不支持」72% SNSアンケート
   県民投票求める声も
                          河北新報 2020年10月27日
 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、宮城県石巻市)の再稼働を巡り、河北新報社は無料通信アプリ「LINE(ライン)」で読者らにアンケートを行った。再稼働を容認した宮城県議会に対し72%が不支持を表明。村井嘉浩知事が再稼働に同意すべきかは「はい」が31%、「いいえ」が57%だった。知事が決断する前の県民投票は76%が「行うべきだ」と答えた
 2号機の再稼働について「賛成」が11%、「どちらかといえば賛成」が12%で、賛成派は計23%。「反対」が63%、「どちらかといえば反対」が11%で、反対派は計74%に達した。

 県議会は22日、女川町商工会が早期再稼働を求めた請願を賛成多数で採択した。県議会の決断を「支持する」は22%、「支持しない」は72%だった。
 回答者が寄せた主な理由は表の通り。支持派は「女川原発の安全性」を挙げたり、「原子力政策は国策」などと説明したりした。不支持派は重大事故時の避難計画、議論そのものの不十分さを疑問視した。
 2号機の再稼働は安全対策工事が終わる2022年度以降の見込み。県議会が結論を出した時期は「早い」が72%、「妥当」が22%、「遅い」が7%だった。
 村井知事が須田善明女川町長、亀山紘石巻市長との三者協議後、再稼働に同意すべきかどうかの質問に「はい」が31%、「いいえ」が57%で「分からない」は13%。賛成の理由は「立地2市町の意向の尊重」、反対の理由は「事故での避難や風評被害から2市町だけの問題ではない」などがあった。
 村井知事が最終判断する前に、県民投票を行うべきかどうかも聞いた。「すべきだ」は76%、「すべきではない」は19%で、「分からない」は4%だった。
 県議会は再稼働の賛否を問う住民投票条例案をこれまで2回否決した。「ほぼ稼働することが分かっていても、民意の確認が必須だと思う」などと、再稼働賛成派からも実施を求める声が上がった。
 調査は23~25日、「読者とともに 特別報道室」のLINEで友だち登録する人に実施。145件の回答があった。小数点以下第1位以下を四捨五入したため、回答の割合の合計が100にならない場合がある。

自民幹部が「原発新設の検討も重要」と(TBS)

  首相の所信表明演説で2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と表明したことに関連して、世耕弘成自民参院幹事長は、「政府の方針にはなっていないが、もっと新しい技術を取り入れた原発の新設といったことも検討を進めていくことが重要ではないか」と語りました。

 地球の温暖化防止を口実に原発の稼働を進めようとするのは間違いで、原発は同じ発電量当たり火力の15倍ほども海水を暖めます。
 そもそも地球環境の維持を口実に、一旦過酷事故を起こせば回復が出来ないほど一帯を放射能で汚染する原発を稼働させるのはあり得ないことです。
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脱炭素社会の実現へ 自民幹部「原発新設の検討も重要」
                            TBS 2020年10月27日
 2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする政府方針をめぐり、自民党の世耕参議院幹事長は、実現に向け原発の再稼働に加え、「新設の検討も重要だ」との考えを示しました。
 原発をめぐっては26日、菅総理が所信表明演説で、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と表明し、その実現に向け、安全最優先で原子力政策を進める考えを示しています。
 こうしたなか、経済産業大臣も務めた自民党の世耕参院幹事長は27日、目標の実現には原発の再稼働に加え、新設を検討する必要があるとの考えを示しました。
 政府の方針にはなっていませんが、もっと新しい技術を取り入れた原発の新設といったことも検討を進めていくことが重要ではないかと思います」(自民党 世耕弘成 参院幹事長)
 世耕氏は脱炭素社会に向け、水素の利活用などの技術を確立することが重要だとしたうえで、現実問題としては原発が必要だと主張しています。

28- 福島原発の廃炉で連携 東電に共同提案へ IHIなど

 IHIなどの原発関連企業3社が、福島第一・第二原発の廃炉事業の受注に向けて、地元の工事会社エイブルと連携することを明らかにしました。
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福島原発の廃炉で連携 東電に共同提案へ IHIなど
                          時事通信 2020年10月26日
JFEホールディングス傘下のJFEエンジニアリング(東京)、IHI、日本ガイシは26日、東京電力福島第1、第2原発の廃炉事業の受注に向け、地元のプラント工事会社エイブル(福島県大熊町)と連携すると発表した。得意分野が異なる4社のノウハウや技術を活用した廃炉事業を検討し、東電側に共同提案する。 【時事通信社】

2020年10月27日火曜日

新潟県技術委員会が原発事故検証の報告書を完成

 福島第1原発事故を独自に検証してきた新潟県の有識者委員会「技術委員会」が26日、報告書を花角英世・新潟県知事に提出しました。
 技術委は柏崎刈羽原発の安全性向上に向け県が設置したもので、ほかに「健康と生活への影響」と「安全な避難方法」の2委員会があります。そしてこれら3つの検証委員会を束ねる「総括委員会」が別にあり、各委員会の検証結果を受けて1つの最終報告書にまとめることになっています
 花角知事は報告書が出そろった段階で、柏崎刈羽原発の再稼働可否の本格検討に入るとしています
 原子力工学や活断層の専門家などでつくる「技術委員会」は、原発事故の翌年から事故の原因などについて独自に検証を進めていて、274ページに上る報告書では、安全上重要な機器の損傷原因や、東京電力が事故後2か月にわたって炉心溶融、いわゆるメルトダウンという言葉を使わず隠蔽していた問題など10項目の検証結果が記され133項目の教訓にまとめています(東電がメルトダウンの表現を2か月間行わなかったことと、それが東電の社長の指示によっていたことを明らかにしました)。

 技術委員会の座長を務めた京都大学の中島健教授は「事故のシナリオについて多様な可能性を否定せずに、教訓を引き出そうとしたというのが技術委員会の一番大きい特徴だ」と述べ、今後新しい知見が出てくれば当然もう1回、議論をせざるを得ないと述べました。

 花角知事は「これでいったん福島の事故の技術検証については区切りをつけていただいて、引き続き本来のミッションでお願いしている柏崎刈羽原発の安全性を確認する議論をお願いしたい」と述べました。NHKが伝えました。
 共同通信は短い記事ですが、「福島事故 東電は責務果たさず ~ 」という厳しいタイトルで伝えました。
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新潟県技術委が原発事故検証の報告書
                   NHK 新潟 NEWS WEB 2020年10月26日
東京電力福島第一原子力発電所の事故原因を独自に検証してきた新潟県の委員会が報告書をまとめ、26日、花角知事に提出しました。
報告書には、津波の到達時刻や水素爆発の詳しい原因などで政府や国会などの調査にはなかった視点も盛り込まれ「多様な可能性を検討しておくことは今後の『想定外』事象への対応に有用だ」としています。

新潟県では、原子力工学や活断層の専門家などでつくる「技術委員会」が原発事故の翌年から事故の原因などについて独自に検証を進めていて、26日、委員会の座長が花角知事に報告書を手渡しました
274ページに上る報告書では、安全上重要な機器の損傷原因や、東京電力が事故後2か月にわたって炉心溶融、いわゆるメルトダウンという言葉を使わず隠蔽していた問題など10項目の検証結果が記されています。
その1つが、1号機で交流電源が失われた原因についてです。
国や政府、東京電力の調査では津波が原因だったとされていますが、技術委員会では、委員が示したシミュレーション結果から、津波がタービン建屋に到達した時刻は非常用の交流電源が失われた時刻よりもあとだった可能性も指摘され「津波以外の要因で電源喪失した可能性を否定することはできない」としています。
また、1号機の水素爆発の原因についても新たな仮説が提示され、この中では、原子炉圧力容器の「ふた」を固定するボルトが高熱で緩み、隙間から水素ガスが噴出して格納容器の外にも漏れ爆発につながった可能性があるとしています。
これに対し東京電力は、水素ガスは圧力容器の底の計器類がある場所など複数の場所から漏れた可能性が高いとしていますが、委員の仮説について「否定はできない」としています。
このほか、1号機の原子炉を冷やす非常用復水器への地震による影響なども指摘されました。

事故から9年半がたってもなお内部の調査が困難なため、原因を突き止めるのは難しい状況ですが、報告書では「技術的に発生の可能性が低いと考えられる事象についても多様な可能性を検討しておくことは今後の『想定外』事象への対応に有用だ」としています。
技術委員会では、こうした検証の結果を133項目の教訓にまとめていて、今後、再稼働を目指す柏崎刈羽原発の安全対策に生かされているか検証することにしています。

技術委員会の座長を務めた京都大学の中島健教授は「事故のシナリオについて多様な可能性を否定せずに、教訓を引き出そうとしたというのが技術委員会の一番大きい特徴だ。検証はひと区切りとなるが、今後、新しい知見が出てくれば当然もう1回、議論をせざるを得ないと思います」と述べました。
そのうえで、柏崎刈羽原発の安全対策の検証については「いつまでにまとめるかのスケジュール感はないが、どこまで深掘りするか各委員の問題意識によると思う」と述べ、今後は、柏崎刈羽原発の安全対策の検証に力を入れていくとしています。

報告書を受け取った新潟県の花角知事は「これでいったん福島の事故の検証については区切りをつけていただいて、引き続き本来のミッションでお願いしている柏崎刈羽原発の安全性を確認する議論をお願いしたい」と述べました。

報告書の提出を受けて、東京電力は「事故の検証では、さまざまな視点で議論していただき、その1つ1つが私たちの教訓だと感じています。その教訓をしっかりと柏崎刈羽原子力発電所の安全対策に反映させていきたい」とコメントしました。

新潟県の3つの検証委員会は、今回、報告書をまとめた「技術委員会」のほか、避難計画の実効性を検証する「避難委員会」、避難者の生活の実態を調べる「健康・生活検証委員会」があります
このうち技術委員会は、平成14年の東京電力のトラブル隠しがきっかけで柏崎刈羽原発の安全対策をチェックするために発足しました。
その後、福島第一原発の事故を受けて、平成24年からは事故の原因について独自に検証を行ってきました。
一方、「避難委員会」と「健康・生活検証委員会」は、米山前知事の時代に設置されたもので、平成29年から検証作業が続けられています。
また、これら3つの検証委員会を束ねる「総括委員会」もあり、各委員会の検証結果を受けて1つの最終報告書にまとめることにしています
新潟県の花角知事は、3つの検証委員会の検証作業が終わるまでは柏崎刈羽原発の再稼動に関する議論は始められないとしていますが、今回はこのうち1つの報告書がまとまったことになります。

技術委員会の検証による最大の成果は、東京電力の事故当時の社長が「メルトダウン」という言葉の使用を控えるよう社内で指示していた、いわゆる「メルトダウン隠し」の事実を明るみに出したことでした。
「技術委員会」では、平成25年から、東京電力が事故の重大さを表す「メルトダウン」という表現をなぜ事故後2か月間も使わなかったのか追及してきました。
東京電力は、最初は、メルトダウンと判断する根拠がなかったなどという説明を繰り返していました。
しかし、その後、内部調査の過程で、核燃料がある炉心の損傷割合が5%を超えていればメルトダウンと判定すると明記した社内マニュアルが見つかったと平成28年に公表します。
マニュアルに従えば、事故の3日後に「メルトダウン」の発生が判断できたことになり、技術委員会はさらに、東京電力に対して公表が遅れた原因を調査するよう求めました。
この指摘を受けて、東京電力は第三者委員会を設置して結果をまとめ、同じ年に事故当時の社長の指示による隠ぺいだったと認めました
技術委員会の指摘がきっかけで事故に関する重要な情報が伝えられなかったことが明らかになり、報告書では、今後の原発の安全対策に生かす事故の教訓や課題の1つとしてまとめられています。


福島事故「東電は責務果たさず」 柏崎抱える新潟県の技術委報告書
                             共同通信 2020/10/26
 東京電力福島第1原発事故を独自に検証してきた新潟県の有識者委員会「技術委員会」が26日、報告書を花角英世知事に提出した。事故後の東電の対応に関し「国との調整を優先し、事故の重大性を住民に伝える責務を果たさなかった」とし、情報発信が十分ではなかったと指摘した。
 技術委は東電柏崎刈羽原発(新潟県)の安全性向上に向け県が設置し、原発技術面がテーマ。ほかに「健康と生活への影響」と「安全な避難方法」の2委員会があり、それぞれ福島原発事故を検証しているが、報告書提出は今回が初めて。花角氏は報告書が出そろった段階で、柏崎刈羽原発の再稼働可否の本格検討に入るとしている。