2025年5月1日木曜日

原発事故の「避難計画」の実効性は… 再稼働に進む柏崎刈羽原発 「密室」の議事録に見えた新潟県の「変節」

 AERAに前編・後編の2つの記事が載りましたので紹介します。
 記事の趣旨は、新潟県が柏崎刈羽原発の重大事故時に主体的に取り組まず、資料の開示請求をしても、自分たちに不都合な部分を大々的に黒塗りにしたものしか示さないと非難する内容になっています。
 例えば「30キロ圏外でも100ミリシーベルト/時)を超す/最悪条件下/6号機 事故の試算」の部分を墨塗りしたりしている点(後日 毎日新聞の記事であることが判明)や、配布資料中、前年度避難訓練時の「要員一覧表」に、参加人数61人のうち43人「東電」職員で、さらに欄外には「車両検査の責任者も東電にしてもらいたい」と手書きされているなど、避難時の諸作業のかなりの部分を東電に頼っている実態が明らかにされました。記者が丹念に調べた結果が記されています。
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原発事故の「避難計画」の実効性は… 再稼働に進む東京電力柏崎刈羽原発 「密室」の議事録に見えた新潟県の「変節」
                             AERA  2025/5/1
 新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発の再稼働をめぐる議論が活発化してきた。東京電力ホールディングスは2月、テロ対策施設の完成延期とあわせて、夏までに7号機、そして6号機の再稼働を目指す方針を発表。再稼働の是非を問う県民投票の条例案は県議会で否決されたが、再稼働の焦点は、新潟県と原発30キロ圏内の9市町村が策定する事故に備えた避難計画の“実効性”だ。私は5年にわたり、国と自治体の担当者が集う非公開会議の議事録を中心に情報公開請求を続けてきた。膨大な公文書によって解明された東京電力福島第一原発事故後14年間の政策プロセスからは、泉田裕彦・元知事から花角英世・現知事までの代替わりに伴い、新潟県の方針が180度変わっていく姿が浮き彫りになった。
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■正面から対決した泉田知事時代
「規制委(編集部注・原子力規制委員会)は原発設備の性能や断層の危険性だけを審査するだけで良いと考えているようです。米国は緊急時対策が整っていなければ稼働許可を出しません。日本も多重防護の考え方をとっていますが、新規制基準は避難計画を含めていないので不十分です。重大事故が起きた時に誰が現場で事故対応するのか、そんな議論すらない。『事故は起きない』という安全神話に回帰しているようにしか見えません」
 これは2014年7月16日付の毎日新聞朝刊に掲載された泉田知事(当時)のインタビュー記事「そこが聞きたい=中越沖地震7年の提言」の一節だ。泉田知事は、原発再稼働の可否を決める安全審査の枠外に置いた原発避難計画の欠落を指摘していた。
 泉田知事が言う通り、原発避難計画をめぐる最大の問題点は再稼働との法的関係が不明確なことにある。
 
 2011年3月に起きた福島第一原発事故後の避難の混乱を思えば、避難計画「なし」での再稼働など許されるはずがない。それなのに国は「再稼働に関係なく核燃料がある限りは避難計画が必要」とする詭弁を使い、原発運転により利益を得る電力会社にではなく、直接の利益がない自治体に避難計画を策定させている(しかも義務付ける法的な根拠なく)。法的義務がないため、国は密室の中で自治体に事細かに指示をしてきた。それに対して真っ向から反論したのが泉田知事だった。
 
 泉田知事に後押しされるように、密室の中でも新潟県の担当者たちは厳しく矛盾を追及していた。
 原子力規制委員会(※当時は担当者が内閣府と併任)が2013~14年に関係道府県の担当者を集めて4回にわたり行った非公開会議「地域防災計画等の充実支援のためのワーキングチーム」(通称:合同ワーキングチーム)。2014年1月12日の第3回会合で、新潟県は「国の原子力防災計画等ワーキングへ提出した課題と国の対応」と題する1枚の文書を提出した。避難計画の基本課題ごとに、国が法整備や財源確保を手当てしているかを評価した一覧表だった。
 全11項目の中に「〇」は一つもなく、特に法整備については「原子力災害と自然災害に対応する法体系の一本化」「国、地方自治体の指揮命令系統の明確化」など5項目に「×」がつけられている。要は法的根拠がほとんどない現状を可視化していた。
 出席した新潟県の原子力安全対策課長(当時)は、
こういった課題をクリアしないと具体的で実効性のある避難計画は作れないのではないかと思います」
 と訴えたが、規制委(内閣府)の担当者からまともな答えは返ってこなかった
 
■指針見直しの訴えも規制委は無視
 2015年8月24日、泉田知事は自らが主導した全国知事会の提言を携えて東京・六本木の規制委に乗り込み、田中俊一委員長(当時)に対して直接、原子力防災体制を改めるよう迫った
 泉田知事が特に強く求めたのが「安定ヨウ素剤」だった。事故によって原発の外に放出された放射性物質を吸引する直前に服用することで、のど元にある臓器・甲状腺に放射性ヨウ素がたまるのを妨げ、がん発症を低減させる効果があるとされる。
 規制委が定めた原子力災害対策指針では、事故発生後すぐに避難するPAZ(5キロ圏内)では事前に配布する一方、屋内退避するUPZ(5~30キロ圏内)では空間放射線量が基準値を超えて避難する際に一時集合所などで配布する(緊急時配布)のが原則となっている。原発避難計画をめぐるリアリティーの欠如が顕著に表れている課題だった。
「新潟県の30キロ圏内には40万人が居住しており、数時間で配るのは極めて難しい」
 泉田知事は、指針を改めるよう求めた。
 これに対して、田中委員長は「ご要望の趣旨は理解したつもり」「40万人の方に数時間で配るのは不可能だというのはたぶんおっしゃるとおり」としながらも、指針見直しについては何も明言しなかった。
 
 全国知事会からの提言を受けて、政府は2016年4月、自衛隊や警察など実動組織の協力などについて協議する「原子力災害対策関係府省連絡会議」を設置した。
 しかし、実施された会合はわずか2回。三つの分科会から上がってきた結論を基に、道府県に対して現地の警察や自衛隊と連携するよう求めただけ。
 全国知事会からの提言に対応した体裁を取る目的だったのは明らかだった。
 
■宿願は果たされたのか
 泉田知事は2016年8月、4選を目指す立候補を撤回し、退任。泉田路線を引き継ぐとして初当選した米山隆一知事も女性問題の発覚によって、わずか1年半で辞職した。
 2018年6月に自民、公明両党の支持を受けて初当選したのが、元運輸・国土交通官僚で副知事の経験もある花角英世氏だった。
 
 そして新潟県は2021年9月、「豪雪地域で緊急時配布が難しい」として、UPZ内での安定ヨウ素剤の事前配布を2022年度から開始する方針を明らかにした。これは半島や離島などUPZでも地理的に緊急時配布が難しい地域に事前配布を認める指針の例外規定を拡大解釈した措置だった。
 これで泉田知事時代からの宿願が果たされわけではなかった。泉田知事からの「指針見直し」を求める旗を、県自らが降ろしたことになるからだった。
(後編「公表資料を「のり弁」にした新潟県 柏崎刈羽原発の再稼働に動く東電への『依存』強まる 密室の議事録から消えた『厳しい姿勢』」に続きます)(日野行介)

日野行介(ひの・こうすけ) 調査報道記者・作家 1975年生まれ。元毎日新聞記者。福島第一原発事故の被災者政策や原発再稼働の真相を調査報道で追及している。著書に『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』(岩波新書)、『原発再稼働 葬られた過酷事故の教訓』(集英社新書)など。


公表資料を「のり弁」にした新潟県 柏崎刈羽原発の再稼働に動く東電への「依存」強まる 密室の議事録から消えた「厳しい姿勢」
                              AERA 2025/5/1
 再稼働をめぐる議論が活発化している、新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発。東京電力ホールディングスはテロ対策施設の完成延期とあわせて6、7号機の再稼働をめざす方針だ。再稼働の是非を問う県民投票の条例案は県議会で否決されたが、その再稼働の焦点となるのが、県や地元市町村が策定する事故に備えた避難計画の“実効性”。情報公開請求で明らかにされた、国と自治体の担当者が集う非公開会議の議事録からは、泉田裕彦・元知事から花角英世・現知事までの代替わりに伴う新潟県の180度の方針転換が浮き彫りになった。
(前編「原発事故の『避難計画』の実効性は… 再稼働に進む東京電力柏崎刈羽原発 『密室』の議事録に見えた新潟県の『変節』」はこちら)
【写真説明】新潟県に開示請求し、真っ黒に塗りつぶされて「のり弁」となった資料(撮影・日野行介
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 泉田裕彦知事(当時)は2016年8月、4選を目指す立候補を撤回し、退任。泉田路線を引き継ぐとして初当選した米山隆一知事(同)も女性問題の発覚によって、わずか1年半で辞職した。
 そして2018年6月に自民、公明両党の支持を受けて初当選したのが、元運輸・国土交通官僚で副知事の経験もある花角英世氏だった。
 
 新潟県は2021年9月、原発事故直後の甲状腺被ばくを防ぐために市民に配る計画となっていた安定ヨウ素剤について、「豪雪地域で緊急時配布が難しい」として、UPZ(5~30キロ圏内)でも事前に配布する方針を明らかにした。
 これは半島や離島など、UPZでも地理的に緊急時配布が難しい地域に事前配布を認める指針の例外規定を拡大解釈した措置だった。
 安定ヨウ素剤の事前配布を原子力規制委員会に求めていた泉田知事時代からの「宿願」が果たされたように見えるが、実際は違っていた。指針が定める緊急時配布の「原則」は守られたからだ。新潟県は原発避難計画が持つ虚構の維持に一役買ったことになる。
 非公開会議の議事録から浮かび上がるのは、国の指示を拒絶せずに条件闘争に終始する「現実路線」に転じた新潟県の姿だった。

■多くの道府県が強く反発する中、新潟県は
 規制委は2021年6月、新たに「甲状腺被ばく線量モニタリング」を導入する指針改定に先立ち、道府県向けにオンラインで説明会を実施した。
 このモニタリングは原発事故の直後に、主に子供を対象にして甲状腺の内部被ばく線量を測定するもので、東京電力福島第一原発事故後には国が測定したものの検査人数が1080人にとどまり、精度も低かったことから、その後福島県の甲状腺検査で多数見つかった小児甲状腺がん患者と事故の被ばくとの因果関係をめぐって続く“水掛け論”の一因になった
 
 この甲状腺被ばく線量モニタリングについて、規制委は避難所を会場にして道府県の職員に担わせる腹づもりでいた。だが、負担増となる道府県からすれば簡単に受け入れられる話ではない
 複数の道府県から開示された復命書(議事録)によると、多くの道府県の担当者が強く反発する中、新潟県の担当者は「本県では100カ所以上の避難所を開設する。それを2週間で回って検査するのは実効性の面でかなり疑問」と難色を示しつつも、拒否はせずに「人員が足りない。原子力事業者にやってもらいたいが活用可能か?」と要望。原子力規制庁の担当者も「電事連(電気事業連合会)には規制庁から依頼する。体制整備にあたっては事業者(電力会社)の活用を検討してほしい」と応じている。
 
■避難の「支援」をめぐる東電との密室協議
 新潟県は2020年10月、東京電力ホールディングスと原発事故時の住民避難への「支援」などを約束する協力協定を締結した。
 事故を起こした当事者が「支援」する立場にあたるかは疑問だが、自然災害の救助に関する法制度を原発事故にも準用する形で住民避難の責任を自治体に負わせる現行の仕組みではそうなってしまう。検査や連絡調整などに多くの人員を必要とする道府県と、避難計画への協力が再稼働の後押しになる原発事業者の間で利害は一致し、本来守らなければならないモラルは置き去りになる
 それから新潟県は協力協定に基づき、東電と非公開協議を続けている。情報公開請求で県から開示された議事録からは、高まっていく東電への依存と、県民への情報公開の後退が鮮明になっている。
 
 2020年12月2日の協議のテーマは「DIANA 意見交換について」だった。
DIANA」とは、東電が開発した事故時の放射性物質の拡散を予測するシステムだ。原発事故の進展に伴う放射性物質の放出想定は、避難計画の体制や規模を大きく左右する
 開示された議事次第には、「〇配布資料『DIANAとは』を説明。(添付資料1参照)」「〇配布資料『「放射性物質拡散予測の提供」に関する運用について』を説明。(添付資料2参照)」と記述がある。
 ところが、あわせて開示された2種類の添付資料(計14ページ)は全面黒塗りの、いわゆる「のり弁」。非公開決定通知を見ると、非公開部分は「DIANAの機能や技術仕様、活動実績」「放射性物質拡散予測情報の提供の運用」とあり、黒塗りの理由は「東電が保有するシステムのノウハウが公開されることにより、同社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため」「県の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであるため」「公開することにより東電との信頼関係が損なわれ、事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため」と記されていた。
 
■公表した資料を「のり弁」に
「のり弁」で開示された東電の「DIANA」について、インターネット上で検索してみると、驚くべき資料が見つかった。
 泉田知事時代の2015年12月16日に開催された「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」の配布資料として、評価(試算)結果(計67ページ)が掲載(公表)されていた。その中には「DIANAとは」と題して、「DIANAは与えられた入力情報を基に、放射性物質の拡散計算を行うシステム」「その計算により各種演算を行い、時系列的な地点毎の線量(率)等を出力」と説明するページもあり、「のり弁」で黒塗りされたのと同種の資料と考えられた。
 この試算結果について、毎日新聞の翌日付朝刊では「30キロ圏外 100ミリシーベルト超す/最悪条件下/柏崎刈羽6号機 事故の試算」と報じている。
 私は納得することができず、今年2月半ばに不服審査請求を申し立てた。すると、臨時県議会の最終日だった4月18日に新潟県原子力安全対策課から電話があった。
「過去に公表していた部分について非公開を取り消します。ついては審査請求を取り下げてください」
 10年前の公表については知っていたという。では、なぜ「のり弁」にしたのかを尋ねたがまともな答えはなかった。審査請求しなければ取り消しはしなかっただろう
 一度は公表までしている資料を「のり弁」で非公開に変えた理由は、「県政の転換」以外にあり得るのだろうか。
 
 2021年8月18日の非公開協議のテーマは、同年11月に予定していたスクリーニング(避難退域時検査)訓練の配置だった。この検査は30キロ付近で避難してきた車や住民の汚染を測定するもので、多くの人員を必要とする。
 前年度に実施された訓練に基づく要員一覧表が協議の配布資料として開示された。驚いたことに、参加人数61人のうち実に43人の所属が「東京電力」。これでも足りないのか、欄外には「車両検査の責任者も東電にしてもらいたい」と手書きで記されていた。
 
■依存を強めていく新潟県
 その後、さらに驚くことが判明した。
 新潟県から開示された議事録に「当社」という言葉があったことに違和感を覚えて、新潟県の担当課に問い合わせたところ、東電作成の議事録であることを認めたのだ。
 非公開協議の議事録まで東電に作ってもらっていた新潟県。そこには、密室の中でも国や東電を厳しく追及していた、かつてのような姿は見られない
 再稼働に向けて進んでいる柏崎刈羽原発。市民の期待に応え、事業者を監視するために必要な緊張感を、新潟県は維持していくことができるのだろうか。(日野行介)

日野行介(ひの・こうすけ) 調査報道記者・作家 1975年生まれ。元毎日新聞記者。福島第一原発事故の被災者政策や原発再稼働の真相を調査報道で追及している。著書に『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』(岩波新書)、『原発再稼働 葬られた過酷事故の教訓』(集英社新書)など。 

柏崎刈羽原発「一日でも早く再稼働」 東電HD、地元同意前提で

  東電の小早川智明社長は4月30日、25年3月期の連結決算の記者会見で、柏崎刈羽原発の再稼働について、地元の理解を大前提とした上で「7号機は再稼働できる状態が整っている。(立地自治体に)一日も早くご判断いただけるように最善を尽くしていきたい」と述べました。

 東電の構想の中では常に「事故時に住民が安全に避難できるか」という観点が抜けています。コスト上一日も早く稼働させたいのは分かりますが、必要な避難道路が出来ているのか、屋内避難に関わる課題は解決されているのか、そして原発本体が攻撃を受けた時に遠隔操作で原発を停止するための「特定重大事故等対処施設」は完備しているのかなどの再稼働のための「必要条件」が全く念頭から欠落しているのは、原子力事業者として許されないことです。
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柏崎刈羽原発「一日でも早く再稼働」 東電HD、地元同意前提で
                             毎日新聞 2025/5/1
 東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は4月30日、2025年3月期の連結決算の記者会見で、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働について、地元の理解を大前提とした上で「7号機は再稼働できる状態が整っている。(立地自治体に)一日も早くご判断いただけるように最善を尽くしていきたい」と述べた7号機はすでに核燃料を装塡(そうてん)する「燃料装荷」を終えている
 再稼働の候補は7号機以外にも6号機がある。6号機の燃料装荷は6月を予定している。東電は2月末、設置が義務付けられている7、6号機のテロ対策の「特定重大事故等対処施設(特重施設)」の完成時期を、4~5年先延ばしすると発表。設置期限(7号機25年10月、6号機29年9月)を越えての運転はできず、7号機を再稼働しても10月には停止となる。立地自治体では、どちらから再稼働するのか困惑する声が上がっている。
 小早川社長は「安全にオペレーションできるかが非常に重要だと考えている。まずそこを軸に判断していきたい」と話す。6号機の準備が追いつけばその時の状況で判断するとしつつ、足元で準備ができている7号機が優先」との方針を改めて示した。
 東電HDは福島第1原発事故後、国から賠償費用などの支援を受け、年5000億円程度を目標に返済しつつ、電力事業を続けている。
 ただ、これまで目標に到達したのは17年度と23年度の2回のみ。18年度以降、自由に使えるお金であるフリーキャッシュフローがマイナスの状態が続く。24年度は11年度以降で過去最多の4979億円の赤字だった。
 こうした経営状況について小早川社長は「特に非常に旺盛な電力需要の増加を見据えた先行投資が加速している」と釈明。加えて、物価高騰や金利の上昇、現場の人手不足などが重なっており、投資先を厳選し、他企業との連携や徹底的なコストダウンなどを通じて改善を図ると意気込んだ。
 東電HDが発表した25年3月期の連結決算は、最終(当期)損益が前期比39・8%減の1612億円の黒字だった。燃料費などの変動を遅れて料金に反映する「燃料費調整制度」の差益が縮小したことなどが影響した。25年度の業績見通しは、原発再稼働が見通せないため「未定」とし、24年度の期末配当に加え、25年度も中間・期末ともに無配予定とした。

 足元の経営改善の鍵となるのが柏崎刈羽原発の再稼働。小早川社長は「最重要経営課題」と位置づけている。【中島昭浩】

東電柏崎刈羽原発に追加検査へ 衛星電話の故障受け 規制委

 原子力規制委は30日の定例会合で、柏崎刈羽原発7号機で衛星電話の故障などが3カ月間で4回起きたとして、東電の対応を確認する「追加検査」を実施する方針を決めました。

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東電柏崎刈羽原発に追加検査へ 衛星電話の故障受け 規制委
                            時事通信 2025/4/30
 原子力規制委員会は30日の定例会合で、東京電力柏崎刈羽原発7号機(新潟県)で衛星電話の故障などが3カ月間で4回起きたとして、同社の対応を確認する「追加検査」を実施する方針を決めた
 原発の安全な運用方法などを定める東電の保安規定では、施設ごとに常時使用できる衛星電話の台数を定めている。同社によると、重大事故発生時の対策本部となる緊急時対策所で昨年11月~今年1月、衛星電話5台のうち3台で不具合が発生。同月末には中央制御室の1台が故障した。部品の劣化などが原因の可能性があると推定している。

 7号機は再稼働に向けて昨年4月に核燃料の搬入を終えたが、設置が義務付けられたテロ対策施設の完成は今年3月から2029年8月に延期された。

泊原発3号機が規制委の安全審査に「合格」 令和9年の再稼働目指す

 原子力規制委員会は30日、北電 泊原発3号機の安全対策が新規制基準に適合し、安全審査に事実上合格したことを示す審査書案を了承しました。一般からの意見公募を経て、今夏にも正式決定する見通しです。
 申請から12年近くに及んだのは、原発敷地内にある断層が将来動く可能性のある「活断層」か否かを巡る議論が長引いたほか、敷地内に到達する最大津波の高さや火山噴火の影響評価などに時間がかかったためですが、背景要因として北電の当初想定の甘さに加え関与者の人材不足などが挙げられます
 また、基準地震動は当初申請の550ガルから693ガルに引き上げられましたがこれも非常に低く、余裕は殆どないと想定されます。
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泊原発3号機が規制委の安全審査に「合格」 議論12年、北電は令和9年の再稼働目指す
                             産経新聞 2025/5/1
原子力規制委員会30日、北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)の安全対策が新規制基準に適合し、安全審査に事実上合格したことを示す審査書案を了承した。一般からの意見公募を経て、今夏にも正式決定する見通し。北海道電は防潮堤などの安全対策工事を令和9年3月までに完了し、地元同意を得た上で早期の再稼働を目指す。
再稼働に向けた規制委の安全審査に合格するのは、中国電力島根原発2号機(松江市)以来、約4年ぶり。国内ではこれまでに10原発17基が合格し、8原発14基が再稼働した。今後、具体的な工事計画や運用ルールを定めた保安規定の審査に移り、認可されれば再稼働に必要な手続きはすべて終了する。

北海道電は平成25年7月に1~3号機の審査を申請。審査会合は174回開かれ、議論は12年近くに及んだ。原発敷地内にある断層が将来動く可能性のある「活断層」か否かを巡る議論が長引いたほか、敷地内に到達する最大津波の高さや火山噴火の影響評価などに時間がかかった
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の24年5月から約13年間運転を停止している。審査が長期化し、3号機を優先して進めてきた。北海道電の斎藤晋社長は3月の記者会見で「3号機の再稼働スケジュールに支障がないと判断したところで1、2号機の審査を再開したい」と述べ、2030年代前半にフル稼働させる考えを示した。
 
 
想定甘さに人材不足も 泊原発、異例の長期審査 北海道電
                             時事通信 2025/5/1
 原発再稼働の前提となる新規制基準が施行された2013年7月から始まった北海道電力泊原発3号機の審査は、敷地内にある断層の評価や津波高さの想定が途中で覆るなどしたため、申請から12年近くに及ぶ異例の長さとなった。
 背景には、北海道電の当初想定の甘さに加え、原子力規制委員会から指摘を受けるほどの人材不足などが挙げられる
 異例の長期審査の中でも、地震対策に関する議論に時間を要した。規制委は15年、北海道電が示した耐震設計の目安となる基準地震動に対し「おおむね妥当」との評価を示したが、その後に同原発周辺の地盤が過去の地震で隆起した可能性があることが分かり、説明のやり直しを求めた。
 また、同社が活断層ではないとしていた敷地内の断層について、主張を裏付ける根拠が薄いことが判明し、追加の掘削調査を余儀なくされた。基準地震動は結局、当初申請の550ガル(加速度の単位)から693ガルに引き上げられ、規制委が改めて妥当としたのは申請から10年近くが経過した23年6月だった。
 想定される津波の最大の高さは、申請当初の7.3メートルから修正を繰り返し、最終的に17.8メートルに変更。14年に盛り土を地盤とする防潮堤(高さ16.5メートル)を完成させていたものの、液状化しない根拠を求められると、異なる構造の防潮堤新設へと方針転換した。
 また、最短14分で押し寄せるとされる津波により防潮堤にぶつかる恐れのある核燃料用の輸送船の漂流対策も焦点となった。同社は当初、ロープでの係留を検討していたが、津波の負荷に耐えられない可能性があると判断。原発敷地外の泊村内に新港を整備し、同原発と結ぶ専用道路を建設する方針を示した。

 こうした北海道電の対応について、規制委の更田豊志委員長(当時)は22年、「複数の原発を抱えている電力会社に比べ、北海道電は地震や断層、火山の専門家を抱えるのは難しい」と指摘。これを受けて同社は、他の電力会社から応援を受けるなどして体制を強化した。 

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2025年4月28日月曜日

活断層・火山リスクが争点に 伊方原発訴訟の最終弁論、双方の主張が真っ向対立

 山口県の住民約170人が伊方原発3号機の運転差し止めを求めている民事裁判の最終弁論が25日、山口地裁岩国支部で行われ7年にわたる審理を終えました。

 この日の原告側の口頭弁論では「中央構造線は活断層であり四国電力はそれに対する地震動の評価を行っていない」と改めて主張しました。四国電力側は「中央構造線は100万年前から活動しておらず、地震や火山などの自然条件を適切に判断し安全対策を講じている」と反論しました。
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活断層・火山リスクが争点に 伊方原発訴訟の最終弁論、住民側と四国電力側の主張が真っ向対立
                         KRY山口放送 2025/4/25
山口県内の住民が四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを求めている民事裁判の最終弁論が25日、山口地裁岩国支部で行われ7年にわたる審理を終えました
この裁判は山口県内に住む約170人が、伊方原発3号機について安全性に欠けるなどとして運転の差し止めを求め、2017年に訴えを起こしたものです。原告側は県内の一部が伊方原発から30キロ圏内に入っているとし「事故があれば住民の生活に重大な被害が発生する」と主張。一方、四国電力側は訴えの棄却を求めています。
裁判では、これまで伊方原発の沖合に走る中央構造線が活断層であるかどうかや、阿蘇山など火山の噴火に対しての安全性が争点となっていました。
きょうの口頭弁論で原告側は「中央構造線は活断層であり四国電力はそれに対する地震動の評価を行っていない」と改めて主張。一方、四国電力側は「中央構造線は100万年前から活動しておらず、地震や火山などの自然条件を適切に判断し安全対策を講じている」と反論しました。
25日で裁判は結審し、7年あまりにわたる審理を終えました。判決は来年2月26日に言い渡されます。


伊方原発運転差し止め訴訟、山口地裁岩国支部で結審 来年2月判決
                        愛媛新聞 2025年4月26日
山口県の住民ら164人が四国電力伊方原発3号機(伊方町)の運転差し止めを求めた訴訟の第30回口頭弁論が25日、山口地裁岩国支部であり、結審した。判決は2026年2月26日。木村則夫原告団長(69)は集会で「陳述してきたことを司法が正直に受け止めてくれれば」と期待を寄せた。
 「伊方原発で過酷事故が起これば対岸の山口県も甚大な被害を受け人格権が侵害される」などとして17年に提訴。地震や火山噴火の想定の妥当性や、避難計画の必要性などで争っており、専門家らを証人尋問してきた。
 3月の松山地裁判決で、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると判断した場合は「求められる安全性を備えるといえる」と示されたことを受け、原告側は最終準備書面で「規制委の判断を安易に尊重してはならない」と主張した。
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除染土の再利用に理解を 環境省が福島県飯舘村長泥に広報施設開所

 福島第1原発事故に伴う除染土壌の再生利用事業の理解醸成へ、環境省が整備した広報施設「花の里 ながどろひろば)」が25日、飯舘村長泥地区に開所しました。
 開所式で杉岡誠村長は「工事が完了している第4工区で、地力回復や試験栽培など農の再生への取り組みを本格化していく」とあいさつ。長泥行政区の高橋正弘区長は「全国の多くの方々に訪れてもらい、再生事業に理解を深めてほしい」と話しました。
 環境省は長泥の施設などを通して情報発信をさらに強化するとしています。
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除染土の再利用に理解を 環境省が福島県飯舘村長泥に広報施設開所
                           福島民報 2025/04/26
 東京電力福島第1原発事故に伴う除染土壌の再生利用事業の理解醸成へ、環境省が整備した広報施設「花の里 ながどろ 環境再生情報ひろば(ながどろひろば)」は25日、福島県飯舘村長泥地区に開所した。26日から一般公開する。
 現地で開所式を行い、関係者がテープカットした。杉岡誠村長は「工事が完了している第4工区で、地力回復や試験栽培など農の再生への取り組みを本格化していく」とあいさつ。長泥行政区の高橋正弘区長は「全国の多くの方々に訪れてもらい、再生事業に理解を深めてほしい」と話した
 施設は鉄骨プレハブ造りで延べ床面積約100平方メートル。再生利用事業の概要や経緯のほか、村や地区の復興への歩みをパネルや映像で紹介している。隣接するビニールハウスは地区で栽培している花卉類を見学できる。開館時間は午前10時~午後4時。日、月曜と年末年始は休館。冬季は積雪状況に応じて閉める。トイレは通年開放する。

 国は中間貯蔵施設に保管中の除染土壌について、2045年3月までに県外で最終処分すると法律で定めている。一部は全国の公共工事などに再利用する方針だが、理解醸成は進んでいない。環境省は大熊町に設けた「中間貯蔵事業情報センター」や長泥の施設を通して情報発信をさらに強化するとしている。