柏崎刈羽原発が再稼働すると東電の経営にどれだけの効果があるのだろうかの視点から、新潟日報は、〝東電は単年度黒字を維持しているものの「フリーキャッシュフロー」は7年連続で支払い超過で24年度はマイナス幅が約5千億円に上り、原発事業を経営再建計画の柱に据え続けることは妥当なのか″と疑問を呈しました。「会計学」の知識がないと理解しにくいのですが…
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柏崎刈羽原発の再稼働は東京電力の経営にどれだけの効果が?巨額投資に見合うのか、経営再建の柱に据え続ける妥当性は 原子力深考
新潟日報 2025/8/25
東京電力柏崎刈羽原発が再稼働すると、東電の経営にどれだけの効果があるのだろうか。厳しい経営状態にあるとされる東電だが、福島第1原発事故に伴う賠償の費用には政府による支援もある。再稼働の是非を巡り本県の議論が続く一方で、東京電力ホールディングスは単年度黒字を維持している。原発事業を経営再建計画の柱に据え続けることは妥当なのか。(東京支社・小林千剛)
東電の2024年度連結決算をみると、一定水準は確保しているように映る。売上高は前期比1・6%減の6兆8103億円、純利益は同じく39・8%減の1612億円と、燃料費変動などの影響で減収減益となったものの、黒字は確保した。
それでも、東電は新潟日報社の取材に対し、現状を「厳しく受け止めている」とする。
福島第1原発の廃炉に8兆円ともされる莫大(ばくだい)な費用が見込まれることを踏まえれば、十分な収益とはいえないだろう。中でも東電が深刻に捉えているのは、手元の現預金の流出だ。
柏崎刈羽原発の安全対策費をはじめとした設備投資費が膨らみ、営業活動で得るお金と設備投資で出ていくお金の合計「フリーキャッシュフロー」は7年連続で支払い超過となった。24年度はマイナス幅が約5千億円に上る。損益が黒字でも、手元の現金が尽きれば経営は継続できない。東電が「厳しい」とするのが、この点だ。
東電は柏崎刈羽原発の再稼働に向け巨額投資を続けてきた。現時点の工事費は公表されていないが、19年時点で見込み額は1兆1690億円に上った。その後もテロ対策施設の建設などが続いており、設備投資はさらに膨らむとみられる。
その中で東電は、柏崎刈羽原発の再稼働による収支改善に期待する。東電が火力発電などに比べ「安価」だとする原発で経費削減を図り、再稼働で年1千億円の利益改善を見込む。
しかし、莫大な設備投資額に対し、再稼働で得られる年1千億円の効果は見合うのかどうか。素朴な疑問が浮かぶ。
柏崎刈羽原発は12年3月を最後に一度も動いていない。地元同意の議論が続き、再稼働できるかさえも見えない中で、再稼働を経営再建の柱に据え続ける判断は果たして妥当なのか。
再稼働議論が続く東京電力柏崎刈羽原発。多くの費用と年月をかけて安全対策工事が行われてきた=5月
東京電力ホールディングスの小早川智明社長への取材でその妥当性を問うと、「原子力エネルギーの活用は資源のない日本にとって重要だ」と語り、質問には直接答えなかった。
東電は「良好な業績」 立命館大・金森絵里教授
経営難の訴えは電力会社の「常とう手段」東電の経営と原子力事業の関係について、専門家はどう見るか。原発会計に詳しい立命館大の金森絵里教授は、...
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原発をなくす湯沢の会
私たちは『原発ゼロの日本』をめざし、柏崎刈羽原発の廃炉に向 けた運動に取り組んでいます。
2025年8月25日月曜日
柏崎刈羽原発の再稼働は東電の経営にどれだけの効果?巨額投資に見合うのか
原発事故時避難ムリ 東海第2原発廃炉へ 茨城大集会
東海第2原発の廃炉を求め「STOP!東海第2原発再稼働いばらき大集会」が23日、同村で開かれ約600人が参加しました。
茨城県生活協同組合連合会の鶴長義二会長は「事故が起こればコントロールできないのが原発。避難は到底不可能で、再稼働は中止すべきだ」と訴え、同原発運転差し止め訴訟団の大河陽子弁護士は講演で、国は「屋内退避」を前提にしながら、県が地震被害で約3万~4万棟もの家屋倒壊を想定していると指摘し「住民が避難できないまま、放射性物質にさらされる計画になっている」と強調しました。
「屋内退避の不都合」の問題は能登半島地震で俄かに注目されましたが、東海第2原発ではそれ以前の問題として「避難計画の実効性がない」という理由で地裁が再稼働を認めない判決を出しています。
避難道路の混雑やバスの必要台数手配の困難さなどは全国の原発に共通した問題なのに、他の地裁が見過ごしているのは、裁判が如何にいい加減であるかを示しています。
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原発事故時避難ムリ 東海第2原発廃炉へ 茨城大集会
しんぶん赤旗 2025年8月24日
日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の廃炉を求め「STOP!東海第2原発再稼働いばらき大集会」(同実行委員会主催)が23日、同村で開かれ約600人が参加しました。
主催者を代表し小川仙月氏は「地域の安全を客観的に見るのが村長だ」と指摘し、同原発の再稼働は必要だと表明した東海村の山田修村長を批判。「(原発推進の)暴走は立ち止まる必要がある」と訴えました。
茨城県生活協同組合連合会の鶴長義二会長理事は「事故が起こればコントロールできないのが原発。避難は到底不可能で、再稼働は中止すべきだ」と訴え。宮嶋謙かすみがうら市長、中島栄美浦村長、村上達也元東海村長が廃炉に向けた連帯を呼びかけました。
同原発運転差し止め訴訟団の大河陽子弁護士が講演。国が、原発事故時に住民が家屋などにとどまる「屋内退避」を前提にしながら、県が地震被害で約3万~4万棟もの家屋倒壊を想定していると指摘し「住民が避難できないまま、放射性物質にさらされる計画になっている」と強調。避難経路の渋滞や避難先の駐車場不足が懸念されるとし、「避難も屋内退避もできないことが容易に想定される」と述べました。
集会後に参加者らはデモ行進し、日本共産党の江尻加那県議、大名美恵子東海村議ら県内の党議員が参加しました。
原発ゼロ台湾 再稼働不成立 住民投票で賛成多数も条件満たさず
台湾では、与党・民進党が東日本大震災の福島第一原発事故などをきっかけに「脱原発」を掲げ、今年5月に唯一稼働していた3基目の原発(運転期間40年)を停止し「原発ゼロ」が実現しました。
しかし、野党側は電力の安定供給に原発は不可欠だと主張し、野党側の要望で8月23日、原発の再稼働の是非を問う住民投票が始まりました。再稼働を可能にする条件は「賛成票が反対を上回り、有権者の4分の1以上」でした。
開票の結果は、再稼働への賛成が430万票余りと反対の150万票余りを大幅に上回りましたが賛成は500万票を超えず、有権者の4分の1以上という条件を満たさなかったことから成立しませんでした。
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原発ゼロ台湾 再稼働不成立 住民投票で賛成多数も条件満たさず
NHK NEWS WEB 2025年8月24日
すべての原子力発電所が運転を停止し「原発ゼロ」が実現した台湾で、再稼働の賛否を問う住民投票が行われ、賛成が反対を上回ったものの必要な条件を満たさず成立しませんでした。
台湾では東京電力福島第一原子力発電所の事故などを受けてことし5月、南部 屏東県にある原発が運転を停止し、民進党政権が進めてきた「原発ゼロ」が実現しました。
これに対し野党側は半導体などの生産に必要な電力の供給が不安定化するなどと批判し、この原発を再稼働するかを問う住民投票案を野党が多数を占める議会・立法院で可決しました。
23日に行われた住民投票では、中央選挙委員会の集計で再稼働への賛成が430万票余りと反対の150万票余りを大幅に上回りました。ただ賛成は500万票を超えず、有権者の4分の1以上という条件を満たさなかったことから成立しませんでした。
結果を受けて頼清徳総統は「社会がエネルギーの多元的な選択を期待していることは十分理解している」と述べ、賛成の立場にも一定の理解を示しました。
また23日は台湾で「中国に融和的」とされる最大野党・国民党の議員7人を対象にしたリコール=解職請求の賛否を問う住民投票も行われ、すべて不成立になりました。
7月にも国民党議員24人に対するリコールの住民投票が不成立になっていて、少数与党・民進党はリコールとその後の補欠選挙によって議会での単独過半数の確保を目指しましたが実現できませんでした。
柏崎刈羽原発の再稼働問題 公聴会4回目は新潟市の住民を中心に意見
柏崎刈羽原発の再稼働問題を巡り県民の意見を広く聞く4回目の公聴会が開かれました。公聴会は新潟市を中心に佐渡市や燕市などから公募と推薦で選ばれた20人が参加し、新潟市の公述会場などと県庁をオンラインで結び、再稼働の賛否について意見を述べました。
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柏崎刈羽原発の再稼働問題 広く県民から意見を聞く公聴会 4回目は新潟市の住民を中心に意見
NST新潟総合テレビ 2025/8/24
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題を巡り県民の意見を広く聞く4回目の公聴会が開かれました。
24日の公聴会は新潟市を中心に佐渡市や燕市などから公募と推薦で選ばれた20人が参加し、新潟市の公述会場などと県庁をオンラインで結び、再稼働の賛否について意見を述べました。
【公述人(賛成)】「特に人口減少や高齢化が進む地域において(原発の再稼働は)経済活動の発展に不可欠な要素」
【公述人(反対)】「どこに処分するのか決まっていない核のゴミ。それを押しつけ合う問題をこれ以上後世に残してはいけないと考えている」
このほか原発に関する情報不足への不安や電力の安定供給を期待する声など、多様な意見が寄せられました。公聴会は残り1回です。花角知事が県民などの意見を聞いて再稼働の是非をどのように判断をするのかその行方が注目されます。
25- 敦賀原発2号機 日本原電が大規模な調査に着手へ 2年がかり地下にトンネル
敦賀2号機については原子力規制委が去年、原子炉近くの断層が活断層の可能性があり、原子炉の真下を通る断層が引きずられて、将来的に動く可能性を否定できないとして、再稼働審査を不合格としています。日本原電は再申請に向けて大規模な調査を2年がかりで行い、再稼働を目指す方針です。
具体的には原子炉近くの地下30メートルに長さおよそ200メートルのトンネルを掘り、周辺の地質を調べることで、原子炉の真下の断層が近くを通る断層とつながっていないことなどを示すとしています。
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敦賀原発2号機 再稼働の再申請に向け日本原電が大規模な調査に着手へ 2年がかり地下に200メートルトンネル
FBC 福井放送 2025/8/21
再稼働審査で不合格となった敦賀原発2号機について、日本原電は、再申請に向けて大規模な調査を2年がかりで行い、再稼働を目指す方針です。
日本原電の坂井毅志敦賀事業本部長は21日、県の坂本防災安全部長と面談し、敦賀原発2号機の再申請に向け、追加調査をする方針を伝えました。
敦賀2号機をめぐっては、原子力規制委員会が去年、原子炉近くの断層が活断層の可能性があり、原子炉の真下を通る断層が引きずられて、将来的に動く可能性を否定できないとして、再稼働審査を不合格としています。
調査の一つとして、原子炉近くの地下30メートルに長さおよそ200メートルのトンネルを掘り、周辺の地質を調べることで、原子炉の真下の断層が近くを通る断層とつながっていないことなどを示すとしています。
日本原電は、調査に向けた準備を9月から始め、追加調査は2年ほどかかる見通しということです。
なお原子力規制委員会への再申請の時期は未定としています。
敦賀原発2号機・再稼働の再申請へ9月にも調査開始 断層や破砕帯の評価など約2年かけて実施へ 日本原電が調査計画を福井県に提示
福井テレビ 2025/8/21
日本原子力発電は、原子力規制委員会が2024年11月に再稼働を認めない判断を下した敦賀2号機について、再申請に向けた調査を早ければ9月にも開始することを福井県に報告しました。調査は約2年かけて実施する計画です。
日本原電の坂井毅志・敦賀事業本部長が21日、県庁を訪れ、坂本裕一郎・防災安全部長に敦賀2号機の追加調査計画の概要を示しました。
調査は約2年かけて実施する計画で、原子炉建屋近くにある「K断層」の活動性や原子炉建屋の直下に続く破砕帯との連続性などについて、ボーリングや掘削などを行ってデータを取得し、評価を進めるとしています。
日本原電が追加調査について具体的に示したのは、再稼働申請の不合格後、初めてです。
2025年8月21日木曜日
柏崎刈羽原発運転差し止め訴訟・原告側「大量被ばくの可能性ある」避難計画の不備や問題点を主張
柏崎刈羽原発の周辺住民らが東電を相手取り、全7基の運転差し止めを求めた訴訟の第48回口頭弁論が20日、新潟地裁であり、原告側は避難計画に不備や問題点があると主張し、原発から半径5キロ圏で屋内退避が必要な場合には「大量の被ばくを強いられる可能性がある」などと指摘しました。
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柏崎刈羽原発運転差し止め訴訟・原告側「大量被ばくの可能性ある」避難計画の不備や問題点を主張
新潟日報 2025/8/20
東京電力柏崎刈羽原発の周辺住民らが東電を相手取り、全7基の運転差し止めを求めた訴訟の第48回口頭弁論が20日、新潟地裁(鈴木雄輔裁判長)であった。原告側は避難計画に不備や問題点があると主張し、原発から半径5キロ圏で屋内退避が必要な場合には「大量の被ばくを強いられる可能性がある」などと指摘した。
原発の重大事故と大雪などが重なった場合、...
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原発事故影響山林整備停滞要因か 「ナラ枯れ」福島県内急増 地域資源への打撃懸念 初期防除の徹底急務
原発事故影響山林整備停滞要因か 「ナラ枯れ」福島県内急増 地域資源への打撃懸念 初期防除の徹底急務
カシノナガキクイムシが媒介する菌でミズナラなどが枯れる「ナラ枯れ」が福島県内で前年度比1・8倍に急増しています。全国でワースト2位です。
本来は初期に防除を徹底する必要があったのですが、原発事故発生後に立ち入りできず、管理が困難だった山林があった上、放射性物質の影響でシイタケ用原木などが出荷できないまま長い年月が経過するなど福島県特有の事情が被害の拡大に拍車をかけた可能性があるということです。
林業・観光の危機と指摘されています。
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【真相深層】原発事故影響山林整備停滞要因か 「ナラ枯れ」福島県内急増 地域資源への打撃懸念 初期防除の徹底急務
福島民報 2025/08/20
東京電力福島第1原発事故の影響による山林整備の停滞や温暖化などを受け、カシノナガキクイムシが媒介する菌でミズナラなどが枯れる「ナラ枯れ」が福島県内で急増している。2024(令和6)年度の被害量は前年度比1・8倍の約2万1千立方メートルとなり、全国ワースト2位となった。県南地方の棚倉森林管理署管内では初めて確認されるなど被害範囲も拡大。関係者は「ナラ枯れ」による山林の荒廃が景観や森林資源、山の保水機能などに影響を与えかねないと危機感を募らせる。初期の防除の徹底は急務で、県は市町村とともに啓発を含めた対策を強める。
■全国ワースト2位
林野庁と県がまとめた県内でのナラ枯れの被害量の推移は【グラフ】の通り。令和に入ってから増加傾向にある中、2024年度(速報値)は前年度の2倍近くまで増えた。都道府県別に見ても青森県の3万1800立方メートルに次ぐ規模で被害の広がりが際立つ。
民有林に限定すると被害木は1万5900立方メートルで過去最大規模に及ぶ。民有林の方部別の被害量の内訳は【表】の通り。昨年度に県南で初めて被害が生じているほか、会津と南会津で増加が顕著だ。
太く成長した老木が被害に遭いやすいとされる。県や林業関係者によると、原発事故発生後に立ち入りできず、管理が困難だった山林があった上、放射性物質の影響でシイタケ用原木などが出荷できないまま長い年月が経過するなど福島県特有の事情が被害の拡大に拍車をかけた可能性があるという。
■林業・観光の危機
ナラ枯れの拡大によって倒木などの危険性が増す上、貴重な木材やキノコ類などの産出量が減少し、林業や観光業が打撃を受ける事態も懸念される。天栄村の二岐山では昨年度からナラ枯れが確認されており、今年も近隣の山林で変色などの兆候が見られるという。周辺の温泉地で旅館を営む50代男性は旅館で提供するマイタケをナラの木などから収穫しており「マイタケが採れなくなると困る」と不安を抱く。
同山には幹回りが日本最大級のミズナラの巨木があり、「こぶなら」の愛称で親しまれている。保全活動に携わる同村の湯本森・里研究所の星昇さん(46)は「貴重な巨木であり強い危機感を抱いている」と地域の宝を守る方策が必要と訴える。
■行政だけでは限界
林野庁の担当者は「まん延すると手に負えないというのが実情。初期で防除を徹底するしかない」と早期の対策の重要性を強調。県は2021(令和3)年度から防除対策のための費用の4分の3を市町村に対して補助している。
ただ、林業関係者によると、行政で林業に精通した人材の不足が進んでいることなどもあり、ナラ枯れの兆候を察知しても費用対効果の面から迅速に対策を講じることが難しいケースも多いという。
県森林保全課は「市町村だけでは初期の対応に限界がある」とし、発見した際の早期連絡を呼びかけるとともに農林事務所などを通じて薬剤を使わずに個人でも行える防除法などを広く周知していく構えだ。