2025年12月29日月曜日

柏崎刈羽原発6号機 来年2月26日“営業運転”開始へ

 東京電力は24日、柏崎刈羽原発6号機の再稼働に向けた設備の最終確認を受ける“使用前確認”を原子力規制委員会に申請しました。来年2月26日の営業運転開始を目指す方針です
 まだ重大事故時に住民が安全に避難するための条件は未定で、具体的な施設等も何一つ出来ていませんが、規制委はどう判断するのでしょうか。
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柏崎刈羽原発6号機 来年2月26日“営業運転”開始へ「一つ一つ慎重に」 原子力規制委に使用前確認申請 新潟
                      NST新潟総合テレビ 2025/12/26
地元同意を得て、東京電力は12月24日、柏崎刈羽原発6号機の再稼働に向けた設備の最終確認を受ける“使用前確認”を原子力規制委員会に申請。来年2月26日の営業運転開始を目指す方針を示しました
23日、花角知事が柏崎刈羽原発の再稼働について国に容認する意向を正式に伝達。これを受け東京電力は…
【東京電力 小早川智明 社長】
6号機の使用間確認変更申請を原子力規制委員会に提出した
24日、再稼働に向けた設備の最終チェックを受ける使用前確認を原子力規制委員会に申請しました。
原子炉の起動予定日は来年1月20日。福島第一原発事故から15年を迎えるのを前に、東京電力の原発が再稼働することになります。
【原子力規制委員会 山中伸介 委員長】
「東京電力が特別な会社であるという我々の受け止めは変わらないし、特別な目で東京電力を監視するというこの姿勢は当初から変わらない」
福島第一原発事故を契機として設置された原子力規制委員会。事故の当事者である東京電力を“特別な会社”と表現した上で厳しく監視していく考えを示しました。
【原子力規制委員会 山中伸介 委員長】
「原子力に100%の安全はないということを肝に銘じて我々は規制活動を厳正に行っていきたい」
原発事故の翌年、2012年以降止まったままの状態だった柏崎刈羽原発。
【東京電力 小早川智明 社長】
14年動いていなかったものを動かすので、本当に一つ一つ慎重に動かす、何かあったらしっかりと適切に対処していくのが大事。まずは安全最優先で進めてまいりたい」
現場のトップ柏崎刈羽原発の稲垣武之所長も再稼働に向け思いを新たにしています。
【柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「福島第一原発事故の経験をしたものとして、安全について常に問いかける姿勢を忘れることなく、柏崎刈羽原発で働く全ての方とワンチームになり、今一度、気を引き締めて安全性の向上を追及していく所存
こう話した上で原子炉を起動した後の予定については
【柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「(申請書に)原子炉施設の使用開始予定日、いわゆる営業運転開始日を2月26日と記載している」
来年2月26日の営業運転開始を目指す考えを明らかにしています。

県民の賛否は二分…柏崎刈羽原発“再稼働”へ 地元同意への1年

 FNNプライム28日、柏崎刈羽原発の再稼働が新潟県議会で承認され、知事が再稼働を正式に容認したことに関連し、この1年を振り返るやや長い記事を出しましたので紹介します。

 東電ホールディングスの小早川智明社長は25日までに産経新聞のインタビューに応じ、柏崎刈羽原発の再稼働に関し「原子力事業の信頼を回復するため、安全に運転できることを行動と実績で示す」と強調しまし

 毎日新聞が20、21日に実施した世論調査で、原発の再稼働について尋ねたところ、「賛成」が48%で、「反対」(21%)を大きく上回りました。3月に調査した際の「賛成」(41%)よりも7ポイント上昇しました。有権者の中で再稼働の容認が広がっているのでしょうか。
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新潟県民の賛否は二分…柏崎刈羽原発“再稼働”へ動いた1年 地元同意議論に終止符 国へ“承認”伝達「判断難しい課題だった」
                         FNNプライム 2025/12/28
新潟にとって大きな判断が下された2025年。東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働への理解を求める国に対し、花角知事は12月23日、正式に再稼働を容認する意向を伝達した。2012年から止まっていた原発が再び動きだそうとしている。

国の再稼働の理解要請に花角知事が“承認”を正式に伝達
「今、出力がゼロになり、6号機が発電を停止した」
2012年に柏崎刈羽原発6号機が定期検査に入り、全ての原子炉が停止して13年。
2025年12月23日に赤澤経産大臣と面会した花角知事は「再稼働の理解要請に対して、了承することと致したい」と、国から理解要請を受けていた柏崎刈羽原発の再稼働を正式に了承した。
止まっていた柏崎刈羽原発の時計の針が動き出そうとしているが、この結論に至っては県民の意見が一つにまとまったわけではなかった。

市民団体が求めた県民投票条例案は否決も県民の意見を集約
2018年に知事に就任した花角知事。
賛否の別れる再稼働についての判断は、2018年に知事選に初めて挑んだときから「県民に信を問う」と繰り返してきた。
しかし、自身が示した再稼働是非の判断に対して、市民団体が求めた“県民投票”の実施に向けた条例の制定には「住民投票については課題がある。二者択一で得られる情報というのは限られてくる」と否定的な意見を出していた。
14万3000筆あまりの署名をもって直接請求された県民投票条例案は、その後、最大会派・自民党などの反対により県議会で否決される。
県民投票条例案が否決されたあと、報道陣から改めて“信を問う”方法について追及を受けた花角知事は「“信を問う”という言葉は想像できるものがあるよねと何度も申し上げている」と、これまでと同様に信を問う方法や時期について明言を避け続けていた。
こうした状況の中、25年6月に当時の石破首相は、柏崎刈羽原発で重大事故が発生した際の緊急時対応策を了承。これにより再稼働に向けた残る必要な手続きは“地元同意”のみとなった。
国からのプレッシャーを受ける中、花角知事は“県民の意見の集約”を目的に県民から直接賛否の声を聞く公聴会や県内30市町村長との意見交換を実施。
再稼働に対する県民の賛否の理由や不安の声、自治体の要望などに細かく耳を傾ける一方で、原発再稼働を急ぐ国に対しては、「柏崎刈羽原発で発電される電力が首都圏に送られているだけで、地元の地域にはメリットがない」と立地地域の“メリット”を求める活動を強めた。

再稼働時の“地元メリット”要望に国や東電も対応
「地元の要望も踏まえながら、特別措置法について対象地域を拡大するなど地域振興の取り組みを着実に強化してください」と当時の石破首相は、原発立地地域の振興に関する特措法の対象範囲を半径10kmから半径30kmに拡大することを決定した。
また、東京電力も地域貢献策として再稼働後、1000億円規模の資金を新潟県に拠出するなど県の要望に応える姿勢を示した。
しかし、この東電の表明に県議からは「新潟県民のほほを札束でたたいているようなもんじゃないですか」「金さえ出せば黙るだろうと思っておられるのでしょうか」と反発する声も。
25年11月に公表された県民意識調査でも約6割の県民が再稼働の条件は整っていないと回答する結果となった。

県民の意見集約を経て花角知事が下した結論は“再稼働容認”
公聴会や首長懇談会、県民意識調査を経て、県民の意見を集約する取り組みにメドをつけた花角知事。
「自分の肌で感じたい」と柏崎刈羽原発と福島第一原発の現状を視察した。
原発が停止して13年…再稼働への理解要請から、約1年半。
再稼働の是非に関する自身の判断を示すとして、11月21日午後に臨時会見を開いた花角知事は「7つの項目について国の対応を確認・確約をいただいた上で、新潟県としては了解することとする」と再稼働“容認”の判断を下した。

繰り返してきた“県民に信を問う”手法は「県議会に信を問う」
再稼働容認の判断を示した花角知事はこの日、県民に信を問うとしてきたその手法について“県議会で諮る”とも明らかに。
これに未来にいがたの大渕健県議は「自ら表明してきた信を問う、このことについて公約違反であります」と主張。
再稼働を前提とした補正予算案と自身を信任する付帯決議案の採決で信を問うとしたこの手法に、再稼働に反対する市民や県議は猛反発した。
県民の意見が一つにまとまらないまま迎えた採決の結果は、付帯決議案を提出した最大会派・自民党などの賛成多数で可決した。
花角知事は、再稼働判断を示した自身の信任が得られたとして、採決翌日の12月23日、国に再稼働を容認する意向を伝えた。
急遽面会することとなった高市首相からは「難しい中で大変なご決断をいただき、ありがとうございます」とねぎらいの言葉がかけられた。
そして12月24日、原子力規制委員会に原子炉の起動に必要な申請を行った東京電力。これにより再稼働のスケジュールは26年1月20日となった。
花角知事は「県民の気持ちは再稼働について、賛否両論割れている状態だと思っているので、それだけなかなか判断が難しい課題であった」と強調する。
福島第一原発事故後、原発をめぐる対立が顕在化している中、下された再稼働容認の判断。
地元同意の議論に終止符を打った形となったが、安全対策や避難路の整備についての議論に終わりはない。


柏崎刈羽再稼働「原発の信頼回復、安全運転で示す」 東電HD・小早川社長インタビュー
                           産経新聞 2025/12/25
東京電力ホールディングスの小早川智明社長は25日までに産経新聞のインタビューに応じ、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に関し「原子力事業の信頼を回復するため、安全に運転できることを行動と実績で示す」と強調した。同県の花角英世知事が再稼働容認を表明した後、小早川氏が報道機関の単独インタビューに答えるのは初めて。経営改善へ成長投資を加速する考えも示した。
柏崎刈羽原発の再稼働は、6、7号機に関し地元同意の手続きが完了した。小早川氏は「厳粛に受け止める」と強調。福島第1原発事故の当事者として「反省と教訓を生かし、安全対策に謙虚に取り組む」と語った。
柏崎刈羽原発は設備の古い1、2号機を廃炉の方向で検討。小早川氏は、比較的新しく、残る耐用年数が長い3~5号機などを念頭に「電力の安定供給に資する意味で稼働時間の長いものを選ぶことも重要」と活用を模索する考えを示した。
2051年の完了を目指す福島第1原発の廃炉作業は「目標達成のため無理するより、一歩ずつ前進する」と説明した。その上で「量の問題は別にしてデブリ(溶融核燃料)が取り出せたのは貴重な一歩だ」と語った。
福島事故の対策費用を抱える東電の経営は厳しい。小早川氏は経営改善に向けデータセンター事業などに言及し「開発事業者などと最適な投資の在り方をつくるのも重要」との考えを示した。


原発の再稼働「賛成」が48%、「反対」を大きく上回る 世論調査
                           毎日新聞 2025/12/26
 毎日新聞が20、21日に実施した世論調査で、原発の再稼働について尋ねたところ、「賛成」が48%で、「反対」(21%)を大きく上回った。3月に同様の質問をした際の「賛成」(41%)よりも7ポイント上昇しており、有権者の中で再稼働の容認が広がっているとみられる
   【グラフで見る】原発再稼働の賛否 年代別では?
 原発を巡っては、新潟県の花角英世知事が11月、県内にある東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の容認を表明。北海道の鈴木直道知事も今月、道内の北海道電力泊原発の再稼働に同意するなど再稼働の動きが広がっている。特に柏崎刈羽原発が再稼働すれば、東電ホールディングスにとって東日本大震災に伴う福島第1原発事故以来、初の再稼働となる。
 調査方法が異なるので直接比較はできないが、2023年3月の調査で原発再稼働を進めることに「賛成」は49%あったが、24年3月には36%に落ち込み、「反対」(45%)を下回っていた。同年1月に死者・行方不明者700人の人的被害をもたらした能登半島地震が発生し、原発事故のリスクが再認識された影響とみられる。その後、現在と同じ調査方法で行った今年3月は「賛成」が41%となり、「反対」(29%)を上回った。
 再稼働の動きやその容認の広がりは、電気代の高騰などが背景にあるとみられる。ただ、今月の調査を男女別にみると、男女ともに賛成が反対を上回っているものの、男性の「賛成」63%に対し、女性は36%にとどまった。年代別では、どの年代も50%前後が「賛成」だが、「反対」については、18~29歳が15%、30代が13%、40代が17%、50代が20%、60代が21%、70歳以上が31%と高齢層ほど高くなる傾向にある。女性や高齢層ほど安全面に不安を持っている様子がうかがえる。

 また、「わからない」と回答した人が全体の30%に上っており、再稼働の賛否に迷っている有権者も多い。原発の再稼働を進めるためには、多くの人が納得、安心できる安全対策が必要となる。【野原大輔】

美浜原発3号機の50年超運転へ 関電が規制委に施設の管理計画を申請

 関西電力は24日、美浜原発3号機について50年を超える運転の認可を得るため、国の原子力規制委員会に施設10年間にわたって施設や設備の健全性を確保するための管理計画を申請しました。美浜原発3号機は来年12月に運転開始から50年を迎えます。美浜3号機の運転延長が認可されれば国内3例目となります。
 審査は全て書類審査で済むので、10年、20年先までの安全性をどの様に確認するのかは不明です。
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美浜原発3号機の50年超運転へ 関西電力が原子力規制委に施設の管理計画を申請 来年12月で運転開始50年
                          福井テレビ 2025/12/25
関西電力は24日、美浜原発3号機について50年を超える運転の認可を得るため、国の原子力規制委員会に施設の管理計画を申請しました
美浜原発3号機は1976年12月に運転を開始し、来年12月に運転開始から50年を迎えます。関西電力は、美浜3号機の50年を超える運転を目指し、来年12月から向こう10年間にわたって施設や設備の健全性を確保するための管理計画をまとめ、原子力規制委員会に申請しました。
国内ではすでに高浜1、2号機が50年を超える運転の認可を得ていて、美浜3号機が認可されれば国内3例目となります。

今年6月の国の制度改正で、運転30年を超える原発については電力事業者が10年ごとの管理計画を作成し、規制委員会の認可を受ける必要があります。認可があれば60年を超える運転も可能になっています。す。

29- 島根原発2号機「プルサーマル発電」について来年中に原子力規制委への手続きへ

 島根原発2号機で計画されるプルサーマル発電について、中国電力が26年中原子力規制委への手続きを目指していることがわかりました。具体的な時期は決まっていません。
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【中国電力】島根原発2号機「プルサーマル発電」について来年中に原子力規制委への手続きへ
                   TSKさんいん中央テレビ 2025/12/27
松江市の島根原発2号機で計画されるプルサーマル発電について、中国電力が来年2026年中に国での手続き入りを目指していることがわかりました
プルサーマル発電は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再利用する方法で、中国電力は島根原発2号機で、実施を計画していますが、具体的な時期は決まっていません。
関係者によりますと中国電力は原子力規制委への必要な手続きを2026年中に行うことを目指し、今後、立地自治体の島根県や松江市へ改めて計画を説明するほか、周辺自治体でも同様の対応を進める方針だとしています。
TSKの取材に対して中国電力は「実施にむけては関係自治体や地域の皆さまに丁寧に説明を行いながら進めていく必要があると考えているが、具体的にお示しできるものはない」とコメントしています。

島根原発2号機でのプルサーマル発電計画を巡っては島根県と松江市は既に同意していますが、鳥取県は原発の再稼働とプルサーマル発電に対する判断は別物で改めて協議の場が必要だとしていて、今後、鳥取側の周辺自治体の理解を得られるかが焦点となる見込みです。 

2025年12月25日木曜日

新潟県議会 再稼働容認の知事信任 県民抗議「信問う公約守れ」

 柏崎刈羽原発について12月定例県議会は22日、再稼働を容認した花角知事を信任する付帯決議案を賛成多数で可決しました。知事選立候補時、原発の再稼働については「県民に信を問う」と公約した知事は、この信任を以て「県民の信を得た」として「再稼働を認める」方向に舵を切りました。
「議会の信任」が「県民の信」を得たことになるというのは明らかに詭弁です。
 県議会の前には県民ら300人以上が集まり、「知事は『県民の信を問う』公約を守れ」「再稼働の是非は私たち県民が決めたい」と抗議宣伝しました。
 「未来にいがた」、「リベラル新潟」、「無所属」(馬場秀幸氏)の3県議が反対討論に立ち、「信を問うなら県民に直接問うべきだ」「安全対策や避難道路の整備の遅れなど、県民の安全が確認できないうちは再稼働の判断はすべきでない」などと批判しました。
 重大事故時に安全に避難するための諸施設(避難道路、道路の除排雪設備、公共避難所など)が完備されないうちの再稼働は考えられないことです(しんぶん赤旗より)。

 同日、県民からは「話が違う」、「裏切られた気持ちだ」、「県民投票で県民の意思をきちんと確認しなかった知事をもう支持できない」、「投票で意思を表明する機会があればよかった」、「県議会ではなく、一般市民の声を聞いてほしかった」などと残念がる意見が相次ぎました。(新潟日報)
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新潟県議会 再稼働容認の知事信任 県民抗議「信問う公約守れ」
                       しんぶん赤旗 2025年12月23日



(写真)県庁・県議会に向けて「県民の信を問え」と抗議する県民ら=22日、新潟県議会前






 新潟県の東京電力柏崎刈羽原発について、12月定例県議会は22日、再稼働を容認した花角英世知事を信任する付帯決議案を賛成多数で可決しました。県議会の前には県民ら300人以上が集まり、「知事は『県民の信を問う』公約を守れ」「再稼働の是非は私たち県民が決めたい」と抗議宣伝しました

 自民党と公明党が提出した付帯決議案は、柏崎刈羽原発が再稼働した場合の国の交付金を財源に、原発の安全対策などの広報費を計上した補正予算案につけられ、「県知事の職務を続けていくことの是非について、『是』という意思を表明する」と明記しました。

 大渕健(未来にいがた)、小泉勝(リベラル新潟)、馬場秀幸(無所属)の3県議が反対討論し、「信を問うなら県民に直接問うべきだ」「安全対策や避難道路の整備の遅れなど、県民の安全が確認できないうちは再稼働の判断はすべきでない」などと批判しました。
 採択後に「柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク」が記者会見を開き、「県民の世論と不安を置き去りにした『地元了解』に抗議」する声明を発表。耐震安全性や避難計画の実効性など未解決の課題が山積していると指摘し、「新たなフェーズ(段階)の運動を進めたい」(片岡豊世話人)と話しました。
 花角知事は、23日にも国へ「地元理解」を伝える見込みです。


県会再稼動判断「信任」
信の問いに失望 知事手法「裏切られた」 県民の賛否なお割れる
                       新潟日報 2025年12月23日
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を容認する意向の花角英世知事を県議会が信任した22日、県民からは県民投票などで直接意思を示す機会がなかったことに「話が違う」と失望する声が上がった。再稼働についても肯定的見方と否定的意見が交錯し、今も揺れる県民の思いが浮き彫りになった。

「裏切られた気持ちだ」。新潟市中央区のJR新潟駅で、県議会が花角知事を信任したことを伝える本紙号外を手に取った五泉市のパート鹿間佑未さん(42)は顔をしかめた。
 地震などの自然災害に伴い原発事故が起これば「困るのは県民」と強調。花角知事を支持し、再稼働の是非を問う県民投票の実施を期待していたという。「県民の意思をきちんと確認しなかった知事を、もう支持できない」と憤った。
 花角知事はこれまで、柏崎刈羽原発の再稼働について「県民の意思を確認する。信を問う方法が最も明確で重い」と説明していた。しかし、最終的に県議会に信任、不信任を委ねた。
 長岡市でも20代の会社員女性や50代のパート女性らから「投票で意思を表明する機会があればよかった」「県議会ではなく、一般市民の声を聞いてほしかった」などと残念がる意見が相次いだ。
 不満の声は、原発の立地地域の住民からも上がった。柏崎市の無職男性(79)は、花角知事が自らを支える自民党が単独過半数を占める県議会に信任、不信任を語ったことに「できレース。再稼働ありきの決め方だ」と語気を強めた。
 県議会の議決で「地元同意」に関する県側の手続きは区切りを迎え、23日に国へ容認を伝える見通しだが、再稼働に対する県民の賛否は今も割れたままだ。
 阿賀野市の高校3年戸田蒼健さん(18)は、東電福島第1原発事故を踏まえて「原発再稼働は心配が強い。原子力災害は怖い」と慎重な立場。長岡市の無職佐藤良行さん(78)は「事故が起きた時の責任の所在が曖昧。再稼働に反対」と言い切る。
 一方、肯定的な意見も聞かれた。柏崎市のパート男性(71)は、脱炭素社会の実現などのため「再稼働はやむを得ない」とみる。柏崎市で美容院を営む中沢照代さん(70)は「経済的なメリツトがある」として再稼働に期待した。

焦点・論点 柏崎刈羽原発再稼働 池内 了さんに聞く

 新潟は柏崎刈羽原発再稼働における問題点の抽出等に関して、3つの分野の検証委員会(事故原因、健康と生活への影響、安全な避難方法)の検証結果を取りまとめる委員会として検証総括委員会設置し、委員長に池内了氏を選任しました。
 しかし1回会合が開かれましたが、何故か2回目以降は召集せずに放置し、任期切れで自動的に委員会自体を解散させるという異常な方法で、実質的に総括の作業を妨害しました。県が代わりに総括しましたが、それは非常に形式的というしかないものでした。
 しんぶん赤旗が池内氏に「論点・焦点」を聞きました。

 池内氏は冒頭の部分で花角知事の姿勢は形式民主主義あるいは手続き民主主義と批判します。
 要するに手続きさえ踏んでいればいいだろうという態度で、事故時の避難道路の整備や屋内退避のためのシェルターを造ることを国に要望してはいるものの、実際には「まだ全く手がついていないにもかかわらず再稼働を容認していく」というところにそれを感じると述べます。
 それは極めて鋭い指摘であり、「安全な避難のために必要な条件が整わないうちに再稼動していいのか」という指摘こそは、県としては一番触れて欲しくない点です。
 そもそも新潟県の特殊性は豪雪地帯という点であって、豪雪時に地震が起きた時の民家の損壊度は、中越沖地震時の比ではありません。それにもかかわらずその検討は何一つ行われていないまま、再稼働に進もうとしています。
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2025 焦点・論点 柏崎刈羽原発再稼働
  「新潟県原子力発電所事故に関する検証総括
    委員会」元委
員長・名古屋大学名誉教授  池内 さん
                      しんぶん赤旗 2025年12月22日
 東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働について、新潟県の花角英世知事が国の要請を「了解する」と表明したことに対して、「新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会」元委員長の池内 了名古屋大学名誉教授に聞きました。     (松沼環)

   いけうち・さとる 1944年生まれ。総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学
      名誉教授。世界平和アピール七人委員会委員。著書に『科学者と戦争』など。

   新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会
     県が、三つの分野の検証委員会(事故原因、健康と生活への影響、安全な避
    難方法)の検証結果を取りまとめる委員会として設置し、2018年2月に初会
    合。同年6月の花角知事就任以降、1回会合が開かれましたが、県側は、議題
    や運営方法で池内委員長と意見の相違があるとして2年以上開催しないまま、
    23年3月末の任期切れを□実に全委員を再任せず解散。総括報告書は、同年9
    月に県が事務的にまとめました。

県民投票で「信を:問え」広がる新.たな安全神話

 -花角知事が柏崎刈羽原発6、7号機再稼働の容認を表明しましたね
 私は以前から、花角知事の姿勢は形式民主主義、あるいは手続き民主主義と批判してきました。要するに手続きさえ踏んでいればいいだろうと。例えば、事故時の避難道路の整備や屋内退避のためのシェルターを造ることを国に要望していますが、国の同意を得るだけで、実際にはまだ全く手がついていないにもかかわらず再稼働を容認していくところに、そういう姿勢を感じます

 -新潟県の県民意識調査では、再稼働の条件が整っているかの問い約6割が否定的な回答ですね。
 知事は安全対策などを周知していくことで再稼働への理解が広がると釈明しています。しかし現段階で県民が理解できていないのであれば、どれだけ自分たちの説明が足りないのか反省する必要があります。
 さらに知事の判断について「県民の意思を確認する」と言いながら、結局、県議会での自らへの信任にすり替えているのです。判断の責任を議会に投げてしまった格好です。 

 -手続き民主主義だけど、その手続き自体に問題があると。
 県は、県民の疑問に対してまっとうに答えるのではなく、形式的に、東電福島第1原発事故に関する総括報告書を出し、県技術委員会の柏崎刈羽原発の安全性に関する報告書も非常に形式的です。
 手続きの中身は、住民の意見をくむためでなく、ただ一通り済ましたという印象です。本当に県民の信を問うのであれば、県民投票をするべきです。
 花角氏が最初に知事選に出た2018年の公約には、再稼働に問する判断について「県民に信を問う」とありました。誰が読んでも県議会の信任を問うこととは違います。今回の表明は裏切り行為です。
     ◇     ◇

 -池内さんが委員長を務めた検証総括委員会は、花角知事の下で、途中から開催されなくなりました。本来どんなことが検証されるべきだったと考えていますか。
 一つはタウンミーティングをきちんとやって、県民の意向を幅広くきちんと取り上げるべきだと主張してきました。
 二つ目は、柏崎刈羽原発の安全性にも関係する福島第1原発事故の未解明の問題です。地震の揺れで計器が壊れたのではないかとか、水素爆発が建屋のどこで起きたのかとか、たくさんの問題が未解明のままです。それに対して柏崎刈羽原発は、きちんと手を打っていることを東電が示さないとだめです。そういう詰めた検証がなされていません。
 三つ目は避難の問題です。重大事故が起きたとき、避難において放射線の被ばくが避けられないものなのかどうか。私は被ばくを前提にした避難は意味がないと考えています。
 しかし、現実には被ばくが避けられないものだと考えられている。今の避難計画では、PAZ(50キロ圏内)では即時避難で、UPZ5~30キロ圏内)では屋内退避が原則です。でも、避難するための道路や建物が壊れたり、大雪で自動車が動けなくなったりすると、いまの避難計画では何ともならない。このように複合災害時の避難計画の整合性、実効性が本当に議論されていません

 -原発事故での避難住民の被ばくがゼロにならない場合、どこまでなら容認できるのか社会的な合意はありません。
 被ばくがない避難はあり得るのか?あり得るとは私は思えない。被ばくを前提とした避難しかないとなれば、原発を稼働させるべきではないのです。
 今、原子力の安全神話が再び広がっています。被くしてもすぐに死ぬわけではない、だからそんなに気にすることはないという意見です。特に福島では、放射能のことを話すのは風評被害だと決めつけられています。放射能に対する安全神話になっているのです。

 -かつての安全神話は、原発は重大事故を起こさないでしたが。
 放射能、恐れるに足りずという新しい神話が宣伝されているのです。
 それからもう一つ、神話に近いのは、日本では一度事故を起こしたのだから、たとえ再び事故を起こしたとしても、今度はたいしたことはないというものです。
 例えば新潟県が実施した被ばくシミュレーション(模擬実験)がありますが、福島事故で放出された放射能の1万分の程度という条件です。その結果、UPZなら屋内退避、PAZなら即時避難をすれば大丈夫としています。
 福島事故では30キロ以遠でも避難が必要でした。福島事故と同じ放出量でシミュレーションをやるべきではないでしょうか。

 ―政府は原発推進をあらわにしています。
 本当に近視眼的、無責任な対応だと思います。
 今、原発の新設に乗りだしても15年、20年先でないと動かない。しかし、15年、20年先のエネルギー事情はどうなっているでしょうか。日本は、原発を増やそうとしていますが、世界の潮流は全然遠う。再生可能エネルギーが大幅に普及している。15年、20年先まで今のエネルギー政策のままでは日本は、完全に3周遅れぐらいになります。
 原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す核燃料サイクルは、ほとんど絶望的です。再処理施設も30年近く動かない。また、原発を動かして増え続ける使用済み核燃料の処分地も全然決まらない。どこも行き詰まりの中で、原発に固執するのは本当に無責任だといえます。
 長期的視野に立ったエネルギー政策が必要です。市民も、しっかり考えて自分たちの判断を下す。そういう姿勢が必要だと思います。

25- 中国発電事情ルポ  街中にEV 農村に風車 導入量で世界トップ

 日本はいうまでもなく、欧米各国はAIコンピューターのデーターセンターの巨大な電源を如何に確保するか、いつまでに確保できるのかで大いに頭を悩ませています。ある推計によれば、25年から30年の間に世界の企業はAIの需要に追いつくためには6・7兆ドル(約1,000兆円)もの新規データセンター設備への投資が必要となるということです。
 それに対して中国はとっくに解決済みで、中国の全国的な電力予備率は80~100%を下回ったことがなく、常に必要量の2倍以上の容量を維持しているからです。
 如何に中国に先見の明があるからと言って、常用量の2倍もの電力設備を整えるのは至難の業ですが、再生エネに依拠すれば自ずと道は開けるものです。
 新潟日報に中国の再生エネ事情に関する記事が載りましたので紹介します。
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9月8日)中国へ行ったAI専門家が驚きをもって帰国: 米国の電力網は脆弱すぎて~(賀茂川耕助氏)
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中国発電事情ルポ  街中にEV 農村に風車 導入量で世界トップ
                        新潟日報 2025年12月22日
 中国・北京市内の路上では電気自動車(EV)があふれていた。日本新聞協会の取材団の一員として10月に訪れた際に目にした光景だ。世界2位の人口を抱える中国は、世界最大の電力消費国でもある。現地で目の当たりにしたEV普及の様子をリポートするとともに、これらを支える電気を中国がどうつくっているのかを調べた。
                             (報道部 高橋央樹
電源は再エネ 存在感
 大量の車が行き交う北京市内。そこかしこでクラクションが鳴り響いた。
 列をなす車のナンバープレートに目を向けると、主に青と緑の2色があった。現地通訳の女性が、青はソリン車、緑はEVなどの新エネルギー車だと教えてくれた。
 北京市内で目にした車のうち、3~4割が緑ナンバーの新エネ車のように感じた。バスは緑ナンバーばかりだ。国国営通信新華社によると、都市部の路線バスは2024年末時点で8割が新エネ車だという
 中国はEV大国であると同時に世界最大の電力消費国でもある。大量のEVを動かし、国民の生活も支えている電気はどのようにつくられているのだろう。
         
 国際エネルギー機関(IEA)の資料で中国の電源構成(23年)を見ると、右炭61・3%、水力13・5%、風力9・3%、太陽光6・%などと続く。バイオ燃料なども含めた再エネの比率は30%を超え、日本の22・9%(23年度)を大きく上回る。
 原発は4・6%で日本の8・5%よりも低い。日本では天然ガスが電源の最も多くを占めるが、中国では3・O%にとどまる。石油はO・1%しかない。
 北京市内にある中国屈指のシンクタンク「中国人民大学重陽金融研究院」を訪れた際、中国の再エネ況を聞いた。研究院のトップ、王文院長から興味深い答えが返ってきた。
「クリーンエネルギー発電(の設備容量)は、伝統的な発電を超えた。過去10年でエネルギーの大きなモデルチェンジを遂げてきた」。発電能力で比較すると、水力、風力、太陽光など二酸化炭素を排出しない発電方法が石炭火力を追い越したという。
 このクリーンエネルギー発電には原発も含まれており、中国が今、原発の建設を加速させているのも事実だ。経済産業省資源エネルギー庁によると、24年6月時点で56基の原発があり、25基が建設中だが、日本の10倍ほどの電力需要がある中で、その存在感は決して高いとは言えないJ
         
 一方、再エネの導入は世界を圧倒するほどのスピードで進む。世界の再エネの設備導入量(23年実績)は多い順に、中国1595ギガワット(1ギガワット100万キロワット=おおよそ原発I基分)、アメリカ437ギガワット、インド203ギガワットと続く。日本は171ギガワットで、世界で6番目という。
 実際、北京市に近い河北省をバスで走ると、農地に風力発電用の風車が基も並んでいるのを目にした。建設中のものも目立つ。
 世界風カエネルギー協会によると、24年に世界で導入された風力発電は約117ギガワット。王院長は「そのうち3分の2は中国によるものだ」と胸を張った。