2022年5月31日火曜日

31- 老朽原発 廃炉にせよ 2100人が集会・行進 大阪

 29日、「老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか」が開かれ、2100人が参加し、集会後、デモ行進し市民にアピールしました。

 主催者あいさつで中嶌哲演氏は「ロシアによるウクライナの原発への攻撃は、戦争で原発そのものが核兵器に転化しかねないことを世界に示した。廃炉へともに知恵をしぼり、行動しよう」と呼びかけました。
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老朽原発 廃炉にせよ 大阪 2100人が集会・行進
                       しんぶん赤旗 2022年5月30日
 老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか」が29日、大阪市西区の靱(うつぼ)公園で開かれました。主催は同実行委員会。約2100人が参加し、集会後、デモ行進し市民にアピールしました。
 「原子力発電に反対する福井県民会議」の中嶌哲演(なかじま・てつえん)氏が主催者あいさつで「ロシアによるウクライナの原発への攻撃は、戦争で原発そのものが核兵器に転化しかねないことを世界に示した。廃炉へともに知恵をしぼり、行動しよう」と呼びかけました。
 実行委員会の木原壯林(そうりん)氏が集会アピールを提案し、「老朽原発完全廃炉を勝ち取り、原発のない明日を実現しよう」と訴えました。
 日本共産党の宮本岳志衆院議員が参加し、大門みきし参院議員・比例予定候補、たつみコータロー前参院議員・大阪選挙区予定候補、清水忠史前衆院議員と連名で連帯のメッセージを送りました。

2022年5月30日月曜日

TBSが「福島甲状腺がん」特集の番組内容を一部訂正

 TBS21日に放送した福島第1原発事故に関する番組「原発事故と甲状腺がん」で、福島県内で甲状腺がんが増えた原因として「県は過剰診断と主張」と伝えましたが、28日、「正確には、専門家委員会で過剰診断の可能性を指摘されたと修正しました。
 この間の26日に「甲状腺がん訴訟」の原告側の意見陳述があったことで、県の専門家委が「甲状腺がんは放射線とは無関係」と主張したのは不適切なものとする見方が出てきたことを示しています。「過ちを改めるに憚ることなかれ」ですが。
     お知らせ
    都合により31日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
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TBS「報道特集」、番組内容を一部訂正 原発事故報道
                           スポーツ報知 2022/5/28
 TBSは28日放送の「報道特集」の番組内で、21日に放送した東京電力福島第1原発事故に関する番組内容の一部を訂正した。
 「原発事故と甲状腺がん」とする特集で、放射線被ばくの影響で甲状腺がんになったと訴える原告団などを取り上げた。番組では、福島県内で甲状腺がんが増えた原因として「県は過剰診断と主張」と伝えたが、この日、「正確には、専門家委員会で過剰診断の可能性を指摘されたというもので、県は議論を継続しているとしています。訂正いたします」と修正した。
 原発事故を巡っては被ばくにより、甲状腺がんになったとして2011年の事故当時、福島県内に住んでいた男女6人が東電ホールディングスに計6億1600万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴している。県の専門委員会などは被ばくとの因果関係について否定的な見解を示している。

格納容器底のデブリ取り出しには新らしい構想に基く装置が必要

 東電は26日の会見で、福島第一原発1号機の水中ロボット調査で見つかった数々の堆積物が「燃料デブリと考えるのが妥当」との評価を示しました。2800℃で溶け落ちた核燃料集合体は、圧力容器の底を突き破って、格納容器の底に落下した。その際、デブリの一部は「ペデスタル台座)」の内部に留まり、一部はペデスタルの開口部から格納容器の外周部に流れ出たわけですが、現有の横向きにデブリに迫るロボットアームでは、ペデスタルの外周部には近づくことはできないということで、そこに到達させるには現在のロボットアームとは全く異なるコンセプトのものが求められるということです。その意味では振出しに戻ったと言えます。

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「デブリと評価」も…福島第一原発1号機 格納容器底の物体 取り出しに“総力戦“を
                       テレビ朝日系(ANN) 2022/5/28
 東京電力は26日の会見で、福島第一原発1号機の水中ロボット調査で見つかった数々の堆積物が「燃料デブリと考えるのが妥当」との評価結果を示した。「何をいまさら」と思う方もいるだろうが、これには理由がある。水中ロボットで高い値の中性子線を測定したことから、近くに核燃料由来の物質=燃料デブリ(以下『デブリ』)があると考えるのが妥当、との判断に至ったのだ。ただ、どの塊、堆積物がデブリかは、今後詳しく調べるという。
 およそ2800℃で溶け落ちた核燃料集合体は、圧力容器の底を突き破って、格納容器の底に落下した。その際、炉内の金属やコンクリートなど様々な構造物を巻き込んだデブリの一部は、圧力容器本体を支える基礎部である「ペデスタル」の内部に留まり、一部はペデスタルの開口部から格納容器の外周部に流れ出た。想像の世界だった事故の進展とデブリの生成過程が、物理的に裏付けられつつある

■調査、進めば進むほど
 だが、デブリ取り出しの道は依然として遠く、厳しい。前述したように、今回の調査では、デブリがペデスタルの中だけでなく、格納容器の外周部にも広がっていると評価された。東電によると、現在、2号機格納容器への投入準備が進められている、横向きにデブリに迫るロボットアームでは、外周部には近づくことはできないという。では、上からはどうかというと、これもまた難しい。下に行けば行くほど広がっている格納容器の形状から、圧力容器の上部から、格納容器外周部のデブリにアクセスすることもほぼ不可能であることは、東電自身も認めている。さらに、今回の調査では、外周部にある「ジェットデフレクター」という、圧力抑制室につながるベント管の入り口付近にも堆積物が見つかった。それがデブリであったとしたら、デブリがベント管内部に落下している可能性も否定できない
 記者はこれまで、2号機燃料デブリの試験取出しに使用されるロボットアームが、わずか1グラムのデブリ取り出しを前提にしていること、そのロボットアームで持ち上げられるのは10キロが限界であることを、繰り返し指摘してきた。今後、そのロボットアームの性能をいくら強化しても、外周部にあるデブリや、ベント管に落下した可能性のあるデブリに近づくことは不可能だろう。現在のロボットアームとは全く異なるコンセプトの「何か」が求められるのは間違いなさそうだ。

■原子炉の健全性に“懸念“
 「 (炉心を支える)ペデスタルの支持力がことのほか落ちていたらどうなるのかというのは、しっかり考えておく必要があるだろうと思います」。
25日の定例会見で原子力規制委員会の更田豊志(ふけた・とよし)委員長はこのように述べ、1号機ペデスタルの耐震性に強い懸念を示した。というのも、今回のロボット調査で、ペデスタル開口部付近に本来あるべきはずのコンクリート壁がなく、むき出しの鉄筋の姿がカメラに収められていたからだ。熱い塊と化したデブリが開口部から外に流れ出た際、周辺の厚さ約1・2メートルのコンクリート壁を溶かし、鉄筋だけが残ったと推測される。更田委員長は1号機が「改めて大きな地震に襲われた時に、地震荷重が加わった時(東電の)評価通り耐えられるのか」と述べ、規制委としても監視し、耐震性に注目していく考えを示した。
 一方、東電は、ペデスタル底部の鉄筋コンクリート壁のおよそ4分の1を失い、残る4分の3にも相当のダメージを受けたとしても「耐震性は問題はない」との試算を示した。ただ、東電としてもペデスタル内の調査を進め、改めて耐震評価をするとしている。

■必要となる“総力戦“
 デブリは格納容器外周部まで広がり、一部はベント管内部に落下している可能性もある。ペデスタル内のデブリ取り出しですら有効な取り出し方法が確立されていない中、調査が進めば進むほど、難題が増えていく。しかも、ペデスタルの底部は溶け、さらに広い範囲が損傷している可能性もある。ペデスタルだけでなく、原子炉全体の健全性すら疑われているのだ。
 来月25日、日本原子力学会廃炉委員会が、春のシンポジウムを開催する。扱われるテーマは「デブリの生成過程と取り扱い」「燃料デブリ取り出しとロボット技術」の2つだ(予定)。廃炉最前線の研究者たちは、こうした難題にどのように答えるのか、注目される。福島第一原発の廃止措置には、国と東電だけでなく、国内外のアカデミズムやシンクタンク、企業の英知を結集した“総力戦“が必要とされているのだ。

テレビ朝日社会部 吉野実(原子力・環境担当)

参事官も驚いた福島1号機格納容器台座の激しい損傷

 別掲の記事によると東電は、原子炉(圧力容器)のペデスタル底部支持台)の鉄筋コンクリート壁のおよそ4分の1を失い、残る4分の3にも相当のダメージを受けたとしても「耐震性は問題はない」との試算を示したということですが、地震時に必要な支持台だからこそ設置されているものなので、その大半が損傷しても大丈夫という意味が分かり兼ねます。
 日テレが原子力を所管する経産省・資源エネルギー庁の参事官の所感を紹介しました。
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参事官も驚いた“激しい損傷”…安全性は? 
         福島第一原発、新たな「内部映像」公開
                          日テレNEWS 2022/5/29
先日公開された福島第一原発1号機の内部の映像。原子炉を支える土台のコンクリートが溶けて鉄筋が露出しています。専門家などからは「大きな地震が来た場合に原子炉を支えられるのか」とも指摘されています。
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福島第一原発の1号機から3号機では、溶け落ちた核燃料(=デブリ)の取り出しに向けた内部の調査が進められています。このうち1号機では、先週、新たな内部の映像が公開されました。
原子力を所管する経済産業省・資源エネルギー庁の木野正登参事官は──
木野参事官「それにしても激しい損傷で、ちょっとびっくりですね。これだけやられているとは思っていなかった」
驚いたというのが、原子炉圧力容器の下で確認された、設備の激しい損傷です。
木野参事官「下が空洞になっている。デブリの熱でコンクリートが溶かされたか、蒸発したことが考えられる」
撮影されたのは、原子炉圧力容器の真下にあるコンクリート製の「ペデスタル」付近。圧力容器を支える土台に当たる部分です。
本来、コンクリートで覆われているはずのこの場所が、映像からは空洞が確認でき、鉄筋が露出してしまっています。デブリの熱は2800℃ほどとされていて、コンクリートを溶かしてしまったとみられます
土台に大きな損傷が確認されたことで、原子炉の安全性に懸念が出ています。
木野参事官下(土台)がもろくなれば、原子炉を支えられないことや、大きな地震で壊れるというリスクがある。しっかり耐震性を評価していかなければ
また、確認された原子炉の損傷の程度は、2号機、3号機よりも1号機の方が大きいとみられています。
木野参事官「1号機が一番初めに炉心溶融を始めているので、冷却できなかった期間が長い。その分、燃料デブリが熱い状態で下に落ちている。土台などの、その辺を大きく損傷した可能性がある」
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一方、今回の映像にもデブリとみられる大量の塊が確認できます。
木野参事官「これらもデブリの可能性が高い。こういった大きなものは、いっぺんに取れないし、他のものに、こびりついて固まっているので、こういうものは切ったりしていかないといけない
ようやく明らかになってきた原子炉内部の状況。廃炉を安全に進め、リスクを低減していく、さらなる取り組みが求められそうです。

30- 【トリチウム水処分計画了承】不信高まる手続き先行

 福島第1原発でたまり続けるトリチウム水の処分について、政府と東電は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と地元漁業者らと約束しましたが、地元漁業者らの納得が得られないまま海洋放出の段取りが進められています。その元凶は地元との約束を無視して強引に海洋放出を決めた菅義偉前首相ですが、軌道修正の動きは全く見られません。
 福島民報が報じました。
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【処理水計画了承】不信高まる手続き先行
                             福島民報 2022/5/30
 東京電力福島第一原発でたまり続ける処理水の海洋放出計画について、原子力規制委員会は東電が提出していた審査書案を了承した。今後、計画の正式な認可を経て、地元同意を取れば海洋放出が可能となる。国民理解の深まりが前提のはずだが、政府と東電が目指す来春の海洋放出に向けた手続きが先行しているように映る。県民の不信感は募るばかりだ。
 規制委は計画について「必要な措置を講じている」として了承した。審査書案では、国の基準を大幅に下回る濃度まで放射性物質トリチウムを薄めるに当たり、ポンプで大量の海水を確保して希釈する手法が有効とした。耐震性の高い設備や地震、津波対策を考慮した設計、外部電源喪失時の対応なども確認した。海洋放出のための施設整備など計画の安全性については一定の評価が得られたといえる。
 ただ、了承した定例会合の席で、更田豊志委員長は理解醸成に向けて「東電は工夫して発信していくべき」と注文をつけた。問題点は一向に進まない理解醸成にある。本紙が四月に実施した県内五十九市町村長アンケートでは、海洋放出の方針について「県内外で理解が広がっていない」との回答が四分の三に当たる四十四市町村長に上った。復興庁が今年初めに実施した認知度調査でも、国内で政府方針を知っているのは43・3%にとどまっている。
 こうした数字が改善しなければ、海洋放出による風評は避けようがない。政府と東電は情報発信を強化するなど、対策を進めていると言うが、効果が顕著に表れているような状況には至っていない。規制委は現在、一般からの意見公募をしており、意見を踏まえて改めて開く会合で正式認可する見込み。その後、東電が県と地元の双葉、大熊両町に提出している放出計画の着工に関する事前了解願について判断することになる。
 政府と東電は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と繰り返すが、漁業者を中心にさまざまな産業、市町村議会などから新たな風評の発生への懸念や慎重な対応を求める声は根強い。こうした状況の中で、知事と両町長に海洋放出を可能とする事前了解の了承を求めるのは、あまりにも酷ではないか。

 たとえ了承の判断が出ても、政府と東電は海洋放出のゴーサインととらえるべきではない。手続きを終えても、漁業者をはじめとする関係者と真摯[しんし]に向き合い、理解醸成に努めなければならない。約束を反故[ほご]にすれば、信頼は地に落ちる。(安斎康史) 

2022年5月29日日曜日

米国主導のロシア産エネルギー禁輸政策で絶対手を付けられないモノ!!

 米国はロシア産資源などの輸入禁止を主導していますが、自国の都合でどうしても輸入禁止に踏み切れないものがロシア製の低濃縮ウラン(ウラン235の濃度が3~5%)だということです。ウラン235濃度0・7%の天然ウランをここまで濃縮する工業的技術は米国もかつては有していたのですが、スリーマイル島の原発事故を契機に長期間燃料の精製が行われなくなったため、濃縮を行う企業が事実上消滅したのでした。復活させるには数年が掛かります。ロシアの低濃縮ウランの世界シェアは現在50%ということです。

 原発の核燃料をめぐる世界の事情が分かる記事です。
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米国が主導するロシア産エネルギー禁輸政策の急所 絶対手を付けられないモノがある
                           デイリー新潮 2022/5/23
 米国政府は5月17日から開催された主要7カ国(G7)財務相会合で、ロシア産原油の全面的な輸入禁止措置に代わる措置として、欧州(EU)に対し関税を課すよう提案した。ロシア産原油禁輸に関する協議で難航しているEUに助け船を出した形だ。
  【写真】ロシアの国営原子力企業「ロスアトム」

 米国政府は既にロシア産原油の禁輸に踏み切っており、ロシア産天然ガスも一切輸入していない。ロシア依存が低いことを奇貨として西側諸国のエネルギー禁輸政策を主導している形だが、その米国にもアキレス腱がある。
 グランホルム米エネルギー省長官は5日「米国はウランの安定供給を確保するための戦略中を策定中であり、ロシアからの輸入を見直すべきだ」との見解を示した。
 米国政府は3月、ロシア産の天然ガス・原油・石炭の輸入を禁止したが、ウランを制裁対象にすることはなかった。米国にとってロシアはウランの大供給国だからだ。

 2020年時点で米国が輸入する天然ウランの17%がロシアからのものであり、原子力発電所で燃料として利用される濃縮ウランの23%がロシアから供給されていた。
 原子力発電の燃料の大本の原料は天然ウランだが、天然ウランには核分裂して膨大な熱エネルギーを放出するウラン235はわずか0.7%しか含まれていないことから、そのままでは原子力発電に利用できない。核分裂しづらいウラン238を分離し、ウラン235の割合を3~5%に濃縮する必要がある。しかしそれは、ウラン採掘とは異なり、高度な技術が要求される作業で、一朝一夕でその能力を獲得するのは難しいとされている。
 原子力発電の燃料供給のためには天然ウランの採掘とウラン濃縮が必要だが、天然ウランのロシア依存からの脱却は比較的容易だと考えられている。ロシアのウクライナ侵攻以後、世界の天然ウラン価格は約3割上昇しており、米国と同盟関係にある豪州(世界第2位)やカナダ(世界第4位)のウラン採掘企業は増産体制に入り、世界第7位のロシア産天然ウランを代替できる見通しとなっている。
 かつて米国は天然ウランの大生産国だった。米国の1980年の天然ウラン採掘量は4370万ポンドを誇っていたが、2019年にはわずか17万ポンドにまで減少している(世界第15位)。
 1979年のスリーマイル島事故のせいで、米国ではその後30年間原子力発電所が新設されることはなかったことが災いしている。加えてシェール革命で割安となったガス価格を武器に競争力を増したガス火力発電に競り負けているという事情もある。
 米国の天然ウランの採掘コストは今や他の供給国に比べて割高になっているが、地政学リスクを考慮して国内生産の復活を目指す動きがワシントン界隈で生じている。
 ロシア依存からの脱却が困難なのはウラン濃縮のほうだ。

露の国営原子力企業「ロスアトム」
 米国のウラン濃縮能力も近年一貫して低下しており、ロシア、中国、フランス、ドイツなどの後塵を拝している。
 冷戦終結以降、核兵器に充填されていた高濃縮ウラン(濃度は90%以上)から転換された安価なロシア産低濃縮ウラン(濃度は3~5%)が大量に輸入されたことで、米国のウラン濃縮企業が壊滅的な打撃を被ったことが関係している。
 これとは対照的にロシアのウラン濃縮企業は「我が世の春」を謳歌している。
 その中心的な役割を果たしているのは国営原子力企業ロスアトムだ。
 ロスアトムはロシア原子力庁を母体として2007年に設立された。原子力発電所の運営、ウランの濃縮、原子力機器製造などを行う総合原子力企業に成長し、海外展開にも積極的だ。福島第一原子力発電所事故の廃炉事業(炉心溶融で発生したデブリの分析など)にも協力しており、日本支社が2018年に設立された。
 ロスアトムグループの中でウラン濃縮を担っているのは2009年に設立されたトベルフュエルだ。世界の濃縮ウランの約50%を製造し、各国と燃料供給契約を結んでいる。
 米国政府は一時、ロスアトムへの制裁を検討したが、国内の原子力事業者に深刻な影響を与えることを危惧して、その実施を見送った経緯がある。

米国の本音
 米国の原子力業界アナリストは「ロシアの濃縮ウランなしではやっていけない」と指摘しており、代替供給先を確保するためには数年以上かかるとの見方が一般的だ。ロシア産濃縮ウランの迅速な穴埋めは不可能だと言っても過言ではない。
 原子力発電は気候変動への懸念から再び注目されるようになっており、ロシアのウクライナ侵攻でその価値は一段と高まっている。
 衰えたとは言え、米国は55カ所に93の原子炉を擁する世界最大の原子力大国だ。発電量の約2割を原子力が占めている。
「脱炭素」に大きく舵を切った米国政府は既存の原子力発電所を利用し続ける方針を鮮明にしている(5月3日付日本経済新聞)。エネルギー省は国内で競争力を失った原子力発電所を支援する60億ドル規模の補助金制度の運用を開始した。
 米国政府としてはロシア産濃縮ウランの供給に支障が生ずるような事態はなんとしてでも避けたいというのが本音だろう。
 ロシア産の化石燃料からの脱却が急務となっているEUも天然ウランの約2割をロシアに依存している。英仏独などは自前でウランを濃縮できるが、東欧の旧ソ連製原発はロシア産燃料を使用しているケースが多いのが実情だ。
 原発燃料を含めたロシア産エネルギーからの脱却は、予想以上に大きな困難を伴うことになるのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。
                             デイリー新潮編集部

青森県六ケ所村長選 反核燃派の山田氏が現職の対抗馬に

 任期満了に伴う青森県六ケ所村長選6月7日告示されます(12日投開票)

 立候補予定者はいずれも無所属で、核燃料サイクルによる振興を掲げる現職戸田衛氏(75)と、反核燃・反原発を訴える新人山田清彦氏(65です
 山田氏は市民団体「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」の事務局長を務め、争点の一つとして、核再処理工場から排出されるトリチウムが、福島第1原発で総量860兆ベクレル対して、0608年に行った試運転だけ2150兆ベクレルが海洋放出されたこと、本格稼働となればそれをはるかに上回る量が流出する見込みであることを挙げています。
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反核燃派、村長選盛り上げに躍起 青森・六ケ所
                            河北新報 2022/5/28
 任期満了に伴う青森県六ケ所村長選(6月7日告示、12日投開票)で、核燃料サイクル事業の反対派が関心を高めようと奮闘している。日本原燃が2022年上半期を目指す同村の使用済み核燃料再処理施設は完工延期が濃厚な見通し。反核燃派は着工から約30年が経過しても完成のめどが立たず、「事業は破綻している」と批判する。さらに、放射性物質トリチウムを含む処理水の課題を表面化させ、村内外に議論を広める構えだ。(青森総局・伊藤卓哉)

■完工延期濃厚「事業は破綻」 処理水放出、青森にも関心を
 村長選にはいずれも無所属で、核燃料サイクルによる振興を掲げる現職戸田衛氏(75)と、反核燃・反原発を訴える新人山田清彦氏(65)が立候補する予定
 山田氏は元青森県三沢市議で、市民団体「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」の事務局長を務める。21日の事務所開きでは、完工延期により、税金や電気料金の一部が事業費に注がれている現状を憂い、「国民負担を考え、ここでやめさせなければ」と強調した。

 山田氏が争点の一つとする処理水に含まれるトリチウムは、東京電力福島第1原発で総量約860兆ベクレル。対して、同村の再処理工場が06~08年に行った試運転(アクティブ試験)では、約2150兆ベクレルが海洋放出された。本格稼働となれば、はるかに上回るトリチウムが太平洋に流れ出る見込みだ。
 陣営幹部は「福島は議論が活発にされているが、青森では俎上(そじょう)にも上らない。この選挙は広く関心を持ってもらう好機」と捉える。

■14、18年は大敗「議論巻き起こすことに意味」
 反核燃派は14、18年とも戸田氏に大敗し、得票率は1割に満たなかった。高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定を巡り、36年ぶりの選挙となった2月の北海道神恵内(かもえない)村長選で、大敗した瀬尾英幸さん(80)は意義を訴える。「無風では何も変わらない。選挙を通じて議論を巻き起こすことに意味がある」

 自治体の財政基盤の強さを示す財政力指数(20年度)は同村が1・79で県内トップ。原子力関連施設の立地がなく、指数が最も低い0・1の風間浦村とは18倍の差がある。「原子力マネー」が村に潤いを与えてきたのも事実だ。
 事業推進派に暗雲が立ちこめたのは昨年9月。核燃料サイクル政策を巡り、自民党総裁選で河野太郎行政改革担当相(当時)が事業停止を主張した。ただ、いっときの突風に過ぎず、その後大きなうねりになることはなかった。
 「国にはエネルギー政策が国民から支持されるよう取り組んでほしい」。戸田氏は、4月25日の政策発表会見で余裕を見せた。

使用済み核燃料再処理工場
 全国の原発で出た使用済み核燃料を処理し、再び燃料として使う核燃料サイクル事業の中核施設。取り出したプルトニウムをウランとの混合酸化物(MOX)燃料に加工し、国内の原発で利用する。原燃が1993年に着工し、当初は97年に完成予定だったがトラブルなどで延期を重ねた。2020年7月、国の新規制基準への適合性審査に合格し、同年8月に25回目の延期を表明した。総事業費は14兆4400億円に膨らんでいる。

泊原発廃炉訴訟 31日に判決 提訴から10年半・札幌地裁

 北海道電力泊原発は安全性に問題があるとして、道内の住民ら約1200人が北電に廃炉や運転差し止めを求めた訴訟の判決が31日、札幌地裁であります。
 提訴から10年半になります。主な争点は、原発が位置する積丹半島付近の海底活断層の有無防潮堤の安全性などです。
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泊原発廃炉訴訟、31日判決 海底活断層の有無争点 提訴から10年半・札幌地裁
                            時事通信 2022/5/29
 北海道電力泊原発(北海道泊村、運転停止中)は安全性に問題があるとして、道内の住民ら約1200人が北電に廃炉や運転差し止めを求めた訴訟の判決が31日、札幌地裁(谷口哲也裁判長)である
  【写真特集】泊原発

 原発近くの海底活断層の有無などが争点。
 提訴から10年半が経過。原発の運転差し止め訴訟は各地で起こされているが、廃炉が認められれば初めてとなる。
 主な争点は、原発が位置する積丹半島付近の海底活断層の有無。原告側は活断層は存在し、北電が策定した耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」は活断層を想定していないため信用性に乏しいと主張。これに対し、北電は「活断層はなく、あったとしても基準地震動に影響はない」と反論している。
 津波対策としての防潮堤の安全性も争点で、原告側は「現在の防潮堤は液状化の恐れがあり、役に立たない」と主張。北電は液状化の恐れはなく、新たな防潮堤も今後建設する予定で安全性に問題はないとしている。

 住民らは東京電力福島第1原発事故後の2011年11月に提訴。12年2月に開かれた第1回口頭弁論では、北電が「原発に絶対的な安全性を求めるのは不可能」などとする答弁書を提出していた。
 泊原発は12年までに、定期検査により1~3号機の全てで運転を停止。北電は13年に再稼働に向けた審査を原子力規制委員会に申請したが現在も審査が続き、再稼働の見通しは立っていない。
 原発の運転差し止めなどを求めた訴訟では、福井地裁が14年、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の差し止めを命じる判決を出したが、名古屋高裁金沢支部が18年に取り消した。日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)に対しては水戸地裁が昨年3月、「防災体制は極めて不十分で安全性に欠ける」として差し止めを命じ、日本原電と原告の双方が控訴している。 

29- NUMO 寿都と神恵内の文献調査 次の段階へ来春申請の方向

 原子力発電環境整備機構(NUMO)は、北海道の寿都町と神恵内村で行っている最終処分場選定に向けた第1段階の文献調査の報告書案を今秋にもまとめ、次の段階の概要調査を両町村で行うとする事業計画を来春にも国に申請する方向です。

 次の段階に進めることを拒む材料はないということで、埋設に適しているという意味ではありません。
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核ごみ処分場概要調査、来春申請へ NUMO、寿都と神恵内で
                           北海道新聞 2022/5/29
【寿都、神恵内】原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)は、後志管内寿都町と神恵内村で行っている最終処分場選定に向けた第1段階の文献調査の報告書案を今秋にもまとめ、次の段階の概要調査を両町村で行うとする事業計画を来春にも国に申請する方向で調整に入った。関係者への取材で分かった。

 文献調査では、各種の資料や地質図などをもとに火山や活断層の活動記録や鉱物資源がある場所を地層処分に適さない場所として除外する。NUMOは一定の面積の適地が残れば、ボーリングで地質などを調べる概要調査は可能だとしており、関係者は取材に「寿都町も神恵内村も概要調査を行うのに十分な適地が残る」との見通しを示した。
 NUMOは2020年11月、寿都、神恵内の両町村でそれぞれ、文献調査を始めた。既に約760点の文献を収集して今春から分析作業に入っており、今秋にも寿都町と神恵内村には概要調査の適地があるとする報告書案をまとめる見通しだ。
 報告書案は国が今秋にも設置する専門家によるワーキンググループで妥当性を評価され、了承されるまで少なくとも年度いっぱいかかるとみられる。NUMOは報告書の縦覧を経て、寿都町と神恵内村で概要調査を行うとした事業計画をまとめ、来春にも経済産業相に申請する方向で検討している。
 経産相は関連法に基づき、NUMOの申請を受け次第、寿都、神恵内両町村長のほか、知事に意見を聴く。町村長か知事のどちらかが反対すれば概要調査には進まない。来春には任期満了に伴う知事選が予定されるため、NUMOの申請は知事選後に持ち越される可能性もある。

2022年5月28日土曜日

福島甲状腺がん訴訟始まる 治療の過酷さ、奪われた人生を原告女性が陳述

 第1回「311子ども甲状腺がん」の裁判が5月26日東京地裁であり、200人を超える人たちが集まりました
 当日は、11年3月に地元の中学を卒業した女性が17分間にわたり、3.11のこと、甲状腺検査で「手術をしないと23歳で死ぬといわれたこと、甲状腺の全剔出手術したが治らなかったこと、肺などにガンが転移していこと、過酷なアイソトープの治療、普通の大学生活が送れなかった(中途退学)悔しさなどをたんたんと語りました。
 生々しい証言に法廷ではすすり泣きが聞こえ裁判官もそれまで当事者の声を聞くことに消極的だったが、今後も検討すると態度が変わったということです
 レイバーネット日本の短い記事は概要をかいつまんで伝え、弁護士ドットコムニュースはかなり詳細に伝えています。3つの記事を紹介します。

 (甲状腺を全剔出すると生涯甲状腺ホルモン剤を服用する必要があります)
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 報 
治療の過酷さ、奪われた人生、原告女性が「17分間の陳述」子ども甲状腺がん訴訟始まる
                      レイバーネット日本  2022-05-27
 5月26日午後、東電に対して被害補償を求める第一回「311子ども甲状腺がん」の裁判があった。東京地裁には27席の傍聴席に対して、200人を超える人たちが集まった。
 裁判の内容が報告集会で明らかにされた。「きょうの法廷は原告女性Aさんの17分間の証言につきる」と弁護団。「生々しい証言に法廷ではすすり泣きが聞こえた。それを聞いた裁判官もそれまで当事者の声を聞くことに消極的だったが、今後も検討すると態度が変わった」と。
 報告会場では、まったく同じ「17分間の陳述」音声が流された。練習のために前日に収録したものだった。そこでAさんは、3.11のこと甲状腺がんの告知、このままでは23歳で死ぬといわれたこと、手術したが治らなかったこと、転移していること、過酷なアイソトープの治療、普通の大学生活が送れなかった悔しさを、たんたんと語った。
 静まりかえった会場に流れる音声は人々の心をえぐり、会場は、涙、涙、涙になった。放射能をばらまいて若者の人生を奪った東電への怒りが広がったのはいうまでもない。(M)
 *詳報準備中


原発事故後に甲状腺がん、東電を提訴 原告女性「普通の大学生活、就活をしてみたかった」
                     弁護士ドットコムニュース 2022/5/27
東京電力福島第一原発事故当時、福島県内に住んでいた当時6歳から16歳の甲状腺がんに罹患した子どもたちが原告となり、東京電力を提訴した裁判。甲状腺がんは原発事故の影響だとして、因果関係を明らかにするよう訴えている。
その裁判の第一回期日が5月26日、東京地裁で開かれた。傍聴整理券の配布に226人が並んだ注目の裁判。法廷では、原告の陳述に、あちこちから啜り泣く声が漏れていた。(ライター・吉田千亜)

●「原告100人超の訴訟が起きてもおかしくない」
第一回期日の冒頭、原告側の河合弘之弁護士は、「本来であれば(原告)100人超の訴訟が起きてもおかしくない」と意見を述べた。
福島県内では、被ばくによる健康影響について意見が分かれ、自由にものが言えない空気がある。甲状腺がんに罹患した子どもたちは、家族にだけしか言えない、という人も多いと語った。
また、同じく原告側の熊澤美帆弁護士は、「人生の夢をあらかじめ奪われ、人生を制約されながら生きていかなくてはならない原告の苦しみを知ってほしい」と、裁判官の目を見て訴えた。

●医師が「手術しないと23歳までしか生きられない」
原告の1人の陳述は、7枚のパーテーション越しに原告が移動し、着席してから、一部のパーテーションが戻され、原告の姿は終始見えない形でおこなわれた。
陳述は、卒業式の様子から始まった。部活の友だちや後輩とたくさん写真を撮った3月11日。その後、友だちとビデオ通話をしている時に、激しい地震が起きた。
原告は、その後、原発事故が起きたことを知っていても、危機感はほとんどなかったという。そのため、3月16日の高校の合格発表には歩いて学校に行き、友だちと昇降口の外で長い間、立ち話をしていた。
「その日、放射線量がとても高かったことを私はまったく知りませんでした」(原告)
甲状腺がんは、福島県民健康調査で見つかった。検査の日は、新しい服とサンダルを履き、母の運転で検査会場に向かった。
「母に『あなただけ時間がかかったね』と言われ、『もしかして、がんがあるかもね』と冗談めかしながら会場を後にしました。この時はまさか、精密検査が必要になるとは思いませんでした」(原告)
この陳述のところで、原告は声をつまらせた。当時を思い出したのかもしれない。

その後、血液検査、エコー、穿刺細胞診をする頃には、「やっぱり何かおかしい」と思い、この頃には、「私は甲状腺がんなんだ」と確信があったという。3回も針をさされ、ようやく細胞をとることができた。
「医師は、甲状腺がんとは言わず、遠まわしに『手術が必要』と説明しました。その時、『手術しないと23歳までしか生きられない』と言われたことがショックで今でも忘れられません」(原告)

●大学に進学後に再発、2度目の手術
手術の前日の夜は、全く眠ることができず、泣きたくても涙も出なかったという。それでも原告は、「これで治るなら」と思い、手術を受けた。
病気の心配をした家族の反対もあり、第一志望の東京の大学をあきらめ、近県の大学に入学。しかし、その大学も、大学に入って初めての定期検診で再発が見つかり、大学を中退せざるをえなかった
『治っていなかったんだ』『しかも肺にも転移しているんだ』とてもやりきれない気持ちでした。『治らなかった、悔しい』この気持ちをどこにぶつけていいかわかりませんでした。『今度こそ、あまり長くは生きられないかもしれない』そう思い始めました」(原告)
2回目の手術は予定した時間よりも長引き、リンパ節への転移が多かったため、傷も大きくなってしまった。再び麻酔が合わず、夜中に吐き、痰の吸引も苦しかった。鎖骨付近の感覚もなくなり、今も違和感が残ると原告は訴える。
「手術跡について、自殺未遂でもしたのかと心無い言葉を言われたことがあります。自分でも思ってもみなかったことを言われてショックを受けました。手術跡は一生消えません。それからは常に、傷が隠れる服を選ぶようになりました」(原告)

●将来の夢よりも治療を最優先
手術後、肺転移の病巣を治療するためにアイソトープ治療も受けることになった。高濃度の放射性ヨウ素の入ったカプセルを飲み、がん細胞を内部被ばくさせる治療だ。
アイソトープ治療は2回、外来で行ったが、がんは消えず、3回目はもっと大量のヨウ素を服用するために入院。過酷な隔離生活が待っていた。 しかし、その治療はうまくいかず、効果が出なかった
「以前は、治るために治療を頑張ろうと思っていましたが、今は『少しでも病気が進行しなければいいな』と思うようになりました」(原告)
将来の夢よりも、治療を最優先してきたという原告。
「本当は大学を辞めたくなかった。卒業したかった。大学を卒業して、自分の得意な分野で就職して働いてみたかった。新卒で『就活』をしてみたかった。友だちと『就活どうだった?』とか、たわいもない会話をしたりして、大学生活を送ってみたかった」
再び涙声でそう語った。

同級生をみても、病院で同年代の医大生をみても、羨望の眼差しでみてしまう。そのことがつらい、と原告は訴えた。
もとの身体に戻りたい。そう、どんなに願っても、もう戻ることはできません。この裁判を通じて、甲状腺がん患者に対する補償が実現することを願います」(原告)
第二回口頭弁論期日は、東京地方裁判所にて、9月7日14時の予定となっている。

【筆者プロフィール】吉田 千亜(よしだ ちあ):フリーライター。福島第一原発事故後、被害者・避難者の取材を続ける。著書に『ルポ母子避難』(岩波新書)、『その後の福島──原発事故後を生きる人々』(人文書院)、『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(岩波書店)、共著『原発避難白書』(人文書院)。


原発事故で甲状腺がんに 原告「元に戻れない」(福島)
                          KFB福島放送 2022/5/27
福島第一原発事故による被ばくで甲状腺がんを発症したとして男女6人が東京電力を訴えた裁判で、当時中学生だった女性が「元の体に戻ることはできない」と声を震わせながら訴えました。
17歳から28歳の男女6人は、東京電力福島第一原発の事故による放射線被ばくの影響で甲状腺がんになったとして、東京電力に対して合わせて6億1600万円の賠償を求める裁判を東京地裁に起こしています。
26日の第1回の弁論では、事故当時中学3年で、甲状腺を全摘出した女性が意見陳述し、「甲状腺がんだとわかった時に、医師から『手術をしないと23歳までしか生きられない』と言われたことがショックでした」「もとの体に戻りたい。そうどんなに願っても、もう戻ることはできません。患者に対する補償が実現することを願います」と、時折声を震わせながら訴えました。
一方、東電側は原告側の請求を退けるよう求め、争う姿勢を明らかにしました。