2023年12月30日土曜日

規制委員長「慎重の上に慎重を重ねて検査した」…柏崎刈羽原発の運転禁止を解除

 原子力規制委27日、柏崎刈羽原発に出していた事実上の運転禁止命令を解除しました。
 日午前の規制委の定例会合では、委員5人全員が命令解除に賛成し規制委の山中伸介委員長は記者会見で、「慎重の上に慎重を重ねて検査した。今後も東電の改善の取り組みを見ていく」と述べました。
 規制委は、福島第一原発事故を起こした東電に原発事業者としての「適格性」があるかの再確認もし27日の会合では適格性についても改めて認めました。
 東電は今後、柏崎刈羽原発の再稼働に向けて新潟県と、立地自治体である柏崎市、刈羽村の同意を得るとしていますが、両市村長が再稼働におおむね容認の姿勢を示す一方、花角英世知事は態度を明らかにしていません
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山中伸介委員長「慎重の上に慎重を重ねて検査した」…柏崎刈羽原発の運転禁止を解除
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 原子力規制委員会は27日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)に出していた事実上の運転禁止命令を2年8か月ぶりに解除した。不備が指摘されてきたテロ対策について「自律的な改善が見込める」と判断した。再稼働に向けて今後、地元同意が焦点となる。
 27日午前の規制委の定例会合では、委員5人全員が命令解除に賛成した。規制委の山中伸介委員長は記者会見で、「慎重の上に慎重を重ねて検査した。今後も東電の改善の取り組みを見ていく」と述べた

 同原発は、原子炉7基を持つ世界最大級(出力計821万2000キロ・ワット)の原発。このうち6、7号機は2017年12月、規制委の安全審査に合格したが、21年1月以降、侵入検知設備の不備や、所員によるIDカードの不正利用など核物質防護上の問題点が相次いで発覚。規制委は同年4月、核燃料の移動を禁ずる是正措置命令を出した。
 東電は、侵入検知設備の誤作動対策や、生体認証装置の拡充などを実施。同原発内に社長直属の部署を新設し、社長主導で問題を解決する仕組みも整えた。事務局の原子力規制庁は今月6日、「是正が図られている」とする報告書案を公表していた。
 規制委は、福島第一原発事故を起こした東電に原発事業者としての「適格性」があるかの再確認もしてきた。27日の会合では適格性についても改めて認めた

 東電は今後、柏崎刈羽原発の再稼働に向けて新潟県と、立地自治体である柏崎市、刈羽村の同意を得るとしている。両市村長が再稼働におおむね容認の姿勢を示す一方、花角英世知事は態度を明らかにしていない

 花角知事は、規制委の命令解除後に再稼働の是非を判断し、県民の意思を確認する考えを示す。県民の意思を確認する方法は、「信を問う方法が責任の取り方としてもっとも明確だ」と繰り返し、出直し知事選の可能性も否定していない。

地元同意に出直し知事選? 柏崎刈羽原発、一筋縄でいかぬ再稼働

 柏崎刈羽原発運転禁止命令27日に解除されたことで、再稼働の焦点は「地元同意」に移りました。
 今月19日、新潟県や原発周辺7市町の首長ら原子力防災担当の滝沢求副内閣相と面会し、柏崎刈羽原発を巡る安全対策の徹底や、事故時に住民がスムーズに避難できる体制作りなどを求める要望書を提出し、磯田達伸・長岡市長は提出後、報道陣に「国は安全対策の全てをやってほしい。実現しない限り再稼働の議論に応じるつもりはない」と語りました。再稼働には立地自治体3者の同意が前提となります。
 一方、花角氏は今夏に複数の自民県議を集め、再稼働の是非について出直し選挙をほのめかす発言をしたとされています。知事周辺には「ワンイシュー(単一争点)の選挙は望ましくない」との慎重論もあるのを承知の上の発言なので、その本気度は疑問です
 民意を問うというのであれば再稼働の是非についての投票をすれば済むからです。
 それよりも県が行うべきは、3つの検証委員会で行った検証結果をキチンと県民に公表するとともに、検証委員会が指摘した諸々の課題について県の見解を明らかにすることです。
 県にはパフォーマンスではなく検証委の指摘に対する真剣な対応が求められます。
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地元同意に出直し知事選? 柏崎刈羽原発、一筋縄でいかぬ再稼働
                           毎日新聞 2023/12/27
 原子力規制委員会が東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に出していた事実上の運転禁止命令を27日に解除したことで、再稼働の焦点は「地元同意」に移った。だが、今年に入ってからも東電社員によるテロ対策上のトラブルは相次ぎ、新潟県内の不信感は根強く残る。花角英世知事は再稼働を判断する際は「県民に信を問う」と再三発言し、出直し選挙も視野に入れている。
 今月19日、新潟県や原発周辺7市町の首長らが東京・霞が関を訪ねた。原子力防災担当の滝沢求副内閣相と面会し、持ってきた要望書を渡した。ちょうど翌20日に規制委が「命令解除」の方針を示すことが確実視されたタイミングだった。
 要望書は「(再稼働の)議論を始める前に住民の安全・安心を守るため」と前置きした上で、柏崎刈羽原発を巡る安全対策の徹底や、事故時に住民がスムーズに避難できる体制作りなどを求めた。再稼働を急ぐ政府をけん制した格好だ。
 原発がある柏崎市では2022年12月、記録的大雪に見舞われた。各地で大規模な交通障害が発生し、原発事故時の避難路となる国道8号が22キロにわたり約38時間通行止めに。東電への不信で原発事故の不安を拭えない地元や周辺自治体の住民からは、豪雪時の避難を不安視する声が上がった。原発30キロ圏内の長岡市の磯田達伸市長は提出後、報道陣に「国は安全対策の全てをやってほしい。実現しない限り再稼働の議論に応じるつもりはない」と語った。

 東電は原発立地自治体の県、柏崎市、刈羽村と安全協定を結んでおり、再稼働には3者の同意が前提となる。だが、要となる花角知事は再稼働への考え方を明らかにしていない。ただ、18年6月の知事就任時に再稼働を判断する際は「職を賭して確認することもあり得る」と出直し選挙の可能性を示唆している。
 県議会で約6割を占める最大会派の自民は「再稼働は容認しても、東電の管理には反対」との意見が大勢だ。東電が信用できないとして「代わりの事業者を探すべきだ」と実現性を度外視した主張さえする議員も少なくない。今年5月に東電社員が安全対策の書類を紛失したことが明らかになった直後は柏崎、長岡両市長も別の事業者を求めた。
 それでも再稼働の条件は整いつつあり、水面下の動きが見え隠れする。経済産業省の幹部らは、再稼働に向けた認識の隔たりを埋めようと、自民県議に頻繁に接触している。

 一方、花角氏は今夏に複数の自民県議を集め、出直し選挙をほのめかす発言をしたとされる。自民内には、利害が絡み合う再稼働の是非について「県議会で決めたら、矢面に立たされる」(ベテラン県議)との危惧があり、出直し選挙の待望論も上がっている。だが、知事周辺には「ワンイシュー(単一争点)の選挙は望ましくない」との慎重論もあり、一筋縄ではいかない
 花角知事は27日の定例会見で再稼働について「判断を示す時期は全くイメージがない。どこかで県民の意思を確認したい」と強調。民意を問うための選択肢として「選挙という考えはもちろんある」と語った。

 県は来年1月、有識者が原発の安全性を確認する県の「技術委員会」を開き、まずは規制委から命令解除についての説明を受ける方針だ。担当者は「委員が疑問に思うところがあると思う。1回で終わらなければ、再び説明の場を設けてもらう可能性はある」と話した。

            【中津川甫、内田帆ノ佳、内藤陽】

柏崎刈羽原発 東電所長が運転禁止解除を報告 自民県連「規制委から説明受けたい」と

 東電・新潟本社の橘田昌哉代表が28日、自民党県連の幹部を訪ね、柏崎刈羽原発への運転禁止命令が解除されたことを伝えました。
 自民党県連岩村良一幹事長は、「規制委がぎりぎりの合格ということで、不思議な表現なので規制委から説明は受けなければいけない」と述べました。
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【原発】東電が運転禁止解除を報告 自民県連「規制委から説明受けたい」
                        TeNYテレビ新潟 2023/12/28
東京電力・新潟本社の橘田昌哉代表が28日、自民党県連の幹部を訪ね、柏崎刈羽原発への運転禁止命令が解除されたことを伝えました。
28日、自民党県連の幹部を訪ねたのは、東京電力・新潟本社の橘田昌哉代表です。
原子力規制委員会は27日、柏崎刈羽原発への命令の解除を決めましたが、審査の中で委員が苦言を呈す場面もありました。
伴委員「評定は決して「優」とか「良」にはならない。評定は「可」。合格ラインギリギリです」
面会を終えた橘田代表は。
橘田代表東京電力として信頼が回復されているわけではないので県民の皆様に向かい合って誠実に取り組んでもらいたいというコメントをいただきました」
自民党県連 岩村良一幹事長
「(規制委が)ぎりぎりの合格ということなので不思議な表現なので説明は受けなければいけない受けたいと思っています
このように述べ、自民党県連として命令の解除を判断した規制委員会から説明を求める考えを明らかにしました。
一方、28日開かれた柏崎刈羽原発の所長会見。

原子炉に核燃料を入れる装荷のタイミングについて稲垣武之所長は必要となる規制庁への申請や検査が残っているとして時期は未定と説明。そのうえで、「地元には事前に知らせる」と述べるにとどめました。 

30- 「スタートラインに戻れた」 柏崎原発所長、命令解除で

 柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は事実上の運転禁止命令の解除を受け28日の記者会見で、「スタートラインに戻れた」と述べました。再稼働については、緊急時の対応能力向上などの目標がいずれも達成できていないとして、重ねて慎重姿勢を示しました。
 また原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷」について、燃料装荷は非常に重要な、健全性を確認していくためのステップ」なのでこれを黙ってやることはありえないとして時期や内容を事前に地元に伝える方針を示しました。
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「スタートライン戻れた」 柏崎原発所長、命令解除で
                          共同通信 2023/12/28
 東京電力柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は28日の記者会見で、テロ対策不備で原子力規制委員会から出されていた事実上の運転禁止命令の解除を受け「スタートラインに戻れた」と述べた。再稼働については、緊急時の対応能力向上などの目標がいずれも達成できていないとして、重ねて慎重姿勢を示した
 命令は27日に解除された。地元の不信感が払拭できたかどうか問われ「一定の改善が見られたとの部分は伝わった」と指摘。例年実施している住民説明会で対話を重ね、地元の不安解消につなげたいとした。


燃料装荷 事前に地元に伝える方針 柏崎刈羽原発・稲垣所長
                      NST新潟総合テレビ 2023/12/29
柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は28日、原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷」について、時期や内容を事前に地元に伝える方針を示しました
原子力規制委員会は27日、テロ対策の不備が相次いだ柏崎刈羽原発に出していた事実上の運転禁止命令について、「自律的な改善が見込めると確認した」として、2年8か月ぶりに解除しました。
28日、柏崎刈羽原発で開かれた定例会見。
稲垣所長は命令の解除を受け行えるようになった、原子炉に核燃料を入れる作業「燃料装荷」について、時期や内容を事前に地元に伝える方針を示しました。
【柏崎刈羽原発 稲垣武之所長】
燃料装荷は非常に重要な、健全性を確認していくためのステップです。これを黙ってやることはありえないと思っていて、その時期や内容は今後、計画を定めた時点で(地元や県民に)お知らせしていきたい
稲垣所長は一方で、原子力規制庁の検査が残っているなどとして、燃料装荷の具体的な時期は示しませんでした。

2023年12月27日水曜日

柏崎刈羽の運転禁止解除へ 再稼働へ地元同意焦点に

 原子力規制委27日、定例会合を開き、テロ対策不備で事実上の運転禁止命令を出している柏崎刈羽原発について、改善が確認できたとして命令の解除を議論する予定です
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柏崎刈羽の運転禁止解除へ 再稼働へ地元同意焦点に
                           共同通信 2023/12/27
 原子力規制委員会は27日、定例会合を開き、テロ対策不備で事実上の運転禁止命令を出している東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について、改善が確認できたとして命令の解除を議論する。解除されれば、東電は約2年8カ月ぶりに再稼働に向けた手続きが進められるようになる。しかし新潟県などの地元同意が得られる見通しは立っていない。
 6、7号機は2017年12月に規制委の審査に合格したが、21年1月以降、社員によるIDカード不正利用や侵入検知設備の故障などの不備が相次いで発覚。規制委は同年4月、核燃料の移動を禁じる命令を出し、運転できない状態となっていた。
 規制委は延べ4268時間の追加検査を実施し、核物質防護の設備面に加え、改善の取り組みが東電社内に浸透しているかも確認。福島第1原発事故を起こした東電に原発を運転する適格性があるかについても「いかなる経済的要因があっても安全性の確保を前提とする」などと定めた保安規定を守っていることを再確認したとしている。

東電 追加賠償、支払い済みは80万人 請求受け付け127万人

 東電は26日、福島第1原発事故に伴う国の賠償基準「中間指針第5次追補」を踏まえた追加賠償について、請求受け付け127万人に対して支払済みは約80万人で、対象者約148万人のうち、住所などが分からない約21万人の請求書を発送できていないと発表しまし
 ホタテやナマコなどを扱う業種などから780件の請求書の発送依頼がありましたが、この140件の請求書を受け付けたということです。
 受け付けない理由(や支払わない理由)は不明です。
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東京電力追加賠償、支払い済みは80万人 請求受け付け127万人
                        福島民友 2023年12月27日
 東京電力は26日、福島第1原発事故に伴う国の賠償基準「中間指針第5次追補」を踏まえた追加賠償について、対象者約148万人のうち、住所などが分からない約21万人の請求書を発送できていないと発表した。
 東電は各メディアを通じて対象者に請求するよう呼びかけていくとした。東電によると、約127万人から請求を受け付け、支払い済みは約80万人になった。

 東電はこのほか、処理水の海洋放出で風評被害を受けた事業者に対する賠償について約1800件の問い合わせがあり、ホタテやナマコなどを扱う業種などから780件の請求書の発送依頼があった発表。このうち140件の請求書を受け付けたという。 

霞む最終処分(6)第1部 中間貯蔵の現場 福島民報

序章 処理水は語る」を終了した福島民報の「霞む最終処分」は(6)から「第1部 中間貯蔵の現場」に進みました。
 環境省は最終処分量を減らすため、1キロ当たり8千ベクレル以下の除染土壌を道路や堤防、緑地などの公共工事に使う方針を打ち出していますが、現時点で使用する見通しは立っていません。
 視察では首長から「環境に影響はないのか」「本当に安全なのか」などと質問が相次ぎましたが、それ以前の問題としてそもそも膨大で高濃度の放射性土壌をあちこちにまき散らすのは「放射性物質は拡散させない」という大原則に反しています。
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霞む最終処分(6)第1部 中間貯蔵の現場
大量の土壌行き場なく 首長「あくまで一時保管」
                            福島民報 2023/12/27
 東京電力福島第1原発事故に伴う中間貯蔵施設(福島県大熊町・双葉町)内に、福島県内の除染で取り除いた土壌を保管・管理する場所が8カ所ある。遮水シートが施された上に、最大15メートルの高さまで積まれている。厚さ60センチの放射性物質に汚染されていない土で上部を覆い作業を終えた場所はグラウンドのようだ。表土に生えた雑草が寒風に揺れる。
 環境省が福島県内の市町村長を対象に開いた10月25日の現地視察会に、県内14市町村の首長らが参加した。初めて施設内に足を運んだ浅川町長の江田文男は「これほど大量の土を本当に処分できるのか」と規模の大きさに驚くと同時に、この地の行く末を案じた。
 除染廃棄物は2045年3月までに福島県外で最終処分を完了すると法律で定められている。期限まで残り22年を切った。環境省は最終処分量を減らすため、1キロ当たり8千ベクレル以下の除染土壌を道路や堤防、緑地などの公共工事に使う方針を打ち出しているが、現時点で使用する見通しは立っていない。行き場のない土が静かに眠る。
    ◇    ◇
 中間貯蔵施設は福島第1原発を囲むように整備され、敷地面積は約1600ヘクタール。湯川村の面積とほぼ同じで、全体の6割強が大熊町、残りが双葉町に位置する。県内52市町村で行われた除染で剥ぎ取った土や草木、1キロ当たり10万ベクレル超の焼却灰などを保管する。
 施設には2015(平成27)年3月の搬入開始から今年11月末までに除染土壌など1373万立方メートルが運ばれた。東京ドーム11個が満杯になる量だ。現在は帰還困難区域内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)からの搬入が進む。
 除染土壌を土と可燃物、石などに分別する設備は今年度中に全て撤去される予定。環境省が当初の段階で定めていた設置期間が終了したためだ。期間を超えて使用すれば、劣化などで事故の懸念が高まるという。
 このため今年の夏以降、施設内に搬入される土壌は黒い袋に入ったまま各所に置かれている。今後、帰還困難区域からの除染土壌の搬入量の増加などを踏まえて分別する設備を再び設け、処理するという。
    ◇    ◇
 視察では首長から「環境に影響はないのか」「本当に安全なのか」などと質問が相次いだ
 環境省福島地方環境事務所中間貯蔵総括課長の服部弘は「保管・管理する場所の空間放射線量は毎時0・2~0・3マイクロシーベルト程度。避難指示が解除された地域と大きな差はない」とし、安全に管理できていると強調する。この場にあり続けても問題はないとされる線量だが、江田は「あくまでも一時保管。県外で最終処分を成し遂げるべきだ」と国が必ず約束を果たすよう求めた。

 環境省が整備して除染土壌などを保管している中間貯蔵施設。広大な敷地の中で今、何が起きているのか。除染廃棄物の最終処分に向けた課題を探る。(敬称略)

原発事故、国の責任否定 東京高裁、東電のみに避難者賠償命令

 福島第1原発事故で福島県から東京都などに避難した17世帯47人が国と東電に計約3億4500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、東京地裁判決が認めた国の賠償責任を否定(後退)し、東電にのみ約2350万円の賠償を命じました。
 弁護団共同代表の中川素充弁護士は「一審で認められた国の責任が否定されたのは極めて残念。最高裁判決に忖度する思考停止した判決だ」と批判しまし
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原発事故、国の責任否定 東京高裁、東電のみに避難者賠償命令
                    福島民友ニュース 2023年12月27日
 東京電力福島第1原発事故で本県から東京都などに避難した17世帯47人が国と東電に計約3億4500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁の三角比呂裁判長は26日、一審東京地裁判決が認めた国の賠償責任を否定し、東電にのみ約2350万円の賠償を命じた
 原告は上告について、今後検討する。
 三角裁判長は判決理由で、一審判決で認めた国の地震予測「長期評価」の信頼性について言及せず、長期評価に基づき東電に対策を講じさせても、「事故前の知見では防潮堤などが設置された可能性が高く、想定を大幅に超える津波で大量の海水の浸入を防げなかった可能性が高い」と結論付け、国の責任を否定した。

 東電の賠償では、原告の大半を占める自主的避難等対象区域の住民について1人当たり30万~90万円の支払いを命じた。一審判決の計約6000万円より減額したが、昨年12月に見直された国の賠償基準「中間指針」第5次追補を上回る額を認定した 

27- 中電と東邦ガスがカルテルの疑い…公取が課徴金およそ2600万円を通知

 中部電力とその子会社は、企業向けなどのガスの販売をめぐり、ライバルの東邦ガスと事前に調整をした独占禁止法違反の疑いを持たれ、20日、公取から課徴金およそ2600万円の処分案を通知されました。中電の林社長は通知について陳謝した上で、「審査の途中のため、コメントを差し控える」と述べ、今後の対応を明らかにしませんでした。
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東邦ガスとカルテルの疑い…公取委からの指摘に中部電力社長「重く受け止めている」今後の対応は明らかにせず
                           東海テレビ 2023/12/27
 中部電力の林欣吾社長は公正取引委員会から東邦ガスとのカルテルの疑いを指摘されたことについて「重く受け止めている」と陳謝しました。
林欣吾社長「意見徴収書を受領したことを大変重く受け止めております。関係者の皆さんにご心配をおかけしていることお詫び申し上げます」
 中部電力とその子会社は、企業向けなどのガスの販売をめぐり、ライバルの東邦ガスと事前に調整をした独占禁止法違反の疑いを持たれ、12月20日、公取から課徴金およそ2600万円の処分案を通知されました
 26日の定例会見で林社長は通知について陳謝した上で、「審査の途中のため、コメントを差し控える」と述べ、今後の対応を明らかにしませんでした。
 中部電力は電気の販売をめぐって関西電力とのカルテルも指摘されていますが、275億円余りの課徴金の納付命令を不服として訴えを起こしています

2023年12月25日月曜日

原発の地元自治体に新たな交付金 再稼働見据え避難計画策定を支援

 経産省が再稼働に必要な許可を得た後も停止が続く原発の地元の自治体を対象に、住民の安全確保に使える交付金を6月に新たに設けたことが分かりました。周辺の人口が多く再稼働に必要な避難計画の策定が完了していない場合、特に手厚く支援するということで、柏崎刈羽原発は30キロ圏内の人口が30万人以上(2005年時点で437394人)なので、最大40億円が交付されます
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原発の地元自治体に新たな交付金 再稼働見据え避難計画策定を支援
                           共同通信 2023/12/25
 経済産業省が再稼働に必要な許可を得た後も停止が続く原発の地元の自治体を対象に、住民の安全確保に使える交付金を新たに設けたことが25日、同省への取材で分かった。周辺の人口が多く再稼働に必要な避難計画の策定が完了していない場合、特に手厚く支援する

 日本原子力発電東海第2原発や東京電力柏崎刈羽6、7号機は長期間停止している。再稼働を見据え自治体側の住民対応を後押しする。経産省が6月に交付規則を改定した。原発から約30キロに設定する「原子力災害対策重点区域」の住民が30万人以上で、国の原子力防災会議で避難計画が了承されていない場合、最大40億円を支払う。避難先や経路、移動手段の確保など災害対策に充てる。
 人口などの条件を満たさない場合は最大20億円。島根県や福井県は申請済み。京都府も金額の一部を申請した。鳥取県も申請できる。

 東電福島第1原発事故後の再稼働は12基のみ。東海第2は30キロ圏に全国最多の91万人が住み、避難計画の策定が難航。柏崎刈羽も未完了で相次ぐ不祥事に住民の不信感も強い


さながら大型「電気ストーブ」設置 立往生防止策 国道8号で実証中【新潟・柏崎市】
UX新潟テレビ21 2023/12/25
国道8号に設置された遠赤外線融雪装置(柏崎市)

去年12月、大雪の影響で800台を超える車が立ち往生した柏崎市の国道8号に融雪装置が設置されました。さながら大型の”電気ストーブ”で、融雪効果を実証する目的があります。

【動画】「電気ストーブ」と「発熱シート」で道路の融雪

長岡国道事務所が国道8号に融雪のために設置した遠赤外線融雪装置。近づくとヒーターのように熱が伝わってきます。
現地では、さらなる立往生防止策として道路の中にもカーボン発熱シートが埋め込まれています。降雪時に路面の上下から熱を伝え、融雪効果を高める狙いです。

長岡国道事務所は、効果を実証できれば、その他の場所にも増設したい考えです。 

九電川内原発の安全徹底を要望 20年の運転延長で薩摩川内市長

 鹿児島県薩摩川内市の田中良二市長は25日、福岡市の九電本社で池辺和弘社長と面会し原子力規制委が認可した20年の運転延長に関し安全徹底を要望しました
 運転延長に地元同意は必要とされていませんが、田中氏は12日に容認する考えを表明しています
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九電川内原発の安全徹底を要望 20年の運転延長で薩摩川内市長
                            共同通信 2023/12/25
 九州電力川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市の田中良二市長は25日、福岡市の九電本社で池辺和弘社長と面会した。原子力規制委員会が認可した20年の運転延長に関し安全徹底を要望。池辺氏は「最も大切なのは地域の方の理解を得て安心してもらうことだ」と述べ、積極的な情報公開に努める考えを示した。
 田中氏は「安全性の確保は電気事業者の責務だ」と強調し、核燃料サイクルの早期実現や産業の多様化なども要請。面会後、記者団に対し「不安を持つ市民も多い。不安払拭に向けた取り組みを進めてもらいたい」と語った。
 運転延長に地元同意は必要ないが、田中氏は12日に容認する考えを表明した。

25- 中間貯蔵施設めぐり、上関町議会が4年前から非公開で議論

 使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の候補地に上がっている山口県上関町(かみのせきちょう)は、4年前から町議会が非公開で研究を始めていたことが分かりました。「町の存続には施設の誘致が必要」「町民の分断を招く。賛成できない」等の議論が交わされたということです。中國新聞が伝えました。

 残念ながら有料記事のため、全文2249文字のうち残り1650文字が非公開となっています。
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「原子力財源は絶対必要」「新たな分断を生み反対」【中間貯蔵施設めぐる上関町議会の議事録・詳報】
                           中國新聞 2023/12/24
 使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設について4年前から、非公開で研究を始めていた山口県上関町議会「町の存続には施設の誘致が必要」「町民の分断を招く。賛成できない」―。開示された議事録からは、原発計画が前にも後ろにも進まぬ中、行き詰まる町財政を前にした議員たちのせめぎ合いが見える。「秘密会議」での町長や議員の主な発言を紹介する。(伊藤友一、編集委員室・東海右佐衛門直柄)※■は「秘密会議」での発言、◇は表だった動きを示す。

<関連記事>上関の中間貯蔵施設、4年前から「秘密会議」 町議会が水面下で議論
 ■2019年3月7日
 西哲夫議長=当時 (原子力施設視察について)新年度は鹿児島県の川内原発を予定します。
 ◇19年9月3日告示の上関町長選で柏原重海氏が無投票5選を決める。
 ■19年9月18日
 西議長 川内原発の視察研修を予定しておりましたが、計画を変更し、東海第2原発の視察に全員で参加をしていただければと考えています。
 ◇19年10月、東海第2原発と使用済み核燃料の貯蔵施設を議員が視察する。
 ■21年9月10日
 柏原町長=当時 (町財政の現状と見通しを踏まえ)数字を見る限り将来は、大変厳しい状況になるだろうと誰もが分かる。
 ◇21年11月、青森県六ケ所村、むつ市を議員が視察する。
 ■22年3月16日
 町執行部と議員が町の財政状況について意見交換する。
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2023年12月23日土曜日

関電大飯原発3・4号機運転延長の認可申請 新たな制度下で最長60年超運転へ

 関西電力は21日、運転開始から32年となる大飯3号機と、同じく30年を超えた大飯4号機について、40年までの長期的な施設管理や劣化状態の点検方法などをまとめた新たな長期施設管理計画を策定し原子力規制委に30年を超える運転継続に必要な認可申請を行いました。
 2025年6月から適用され原子炉等規制法の新しい制度は、審査などで運転を止めていた期間はカウントされないので、最長で実質60年を超えた原発の運転が可能となります。
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最長60年超運転へ 大飯原発3・4号機 関西電力が認可申請 新たな制度下で全国初
                        FBC 福井放送 2023/12/22
最長で60年を超える原発の運転を可能にする新しい安全規制が始まるのを前に、関西電力は21日、大飯原発3・4号機について原子力規制委員会に30年を超える運転継続に必要な認可申請を行いました。新しい制度の下での申請は全国で初めてです。(12月22日)

関西電力は運転開始から32年となる大飯3号機と、同じく30年を超えた大飯4号機について、40年までの長期的な施設管理や劣化状態の点検方法などをまとめた新たな長期施設管理計画を策定しました
原子炉等規制法の改正による新しい制度は2025年6月から適用され、運転開始から30年を超える原発は、10年ごとに施設の劣化の技術的な評価をした上で新たな管理計画を作り、規制委員会の認可を受けることになります。こうした審査などで運転を止めていた期間はカウントされず、最長で60年を超えた原発の運転が可能となります。

関西電力は今後、運転開始から48年が経過した高浜2号機は来年1月に、同じく47年が経過した美浜3号機は来年4月に、それぞれ新たな管理計画に基づく認可申請を行う予定です 

東電の作業計画「不備」 薬液事故、規制委員長が第1原発視察

 原子力規制委の山中委員長は21日、福島第1原発を訪れ、作業員が薬液を浴びる事故が起きた現場を確認しました。その後報道陣に「東電が実施計画の軽微な違反をしている」と語り、東電に作業計画や管理の不備があったと指摘しました。
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東電の作業計画「不備」 薬液事故、規制委員長が第1原発視察
                           福島民友 2023/12/22
 原子力規制委員会の山中伸介委員長は21日、東京電力福島第1原発を訪れ、作業員が薬液を浴びる事故が起きた現場を確認した終了後、報道陣に「委員会で議論をするが、私の認識では東電が実施計画の軽微な違反をしている」と語り、東電に作業計画や管理の不備があったと指摘した
 山中氏の視察は10月14日以来。事故は同25日に起き、汚染水を処理水に浄化する多核種除去設備(ALPS)の配管洗浄中に作業員2人が放射性物質を含む薬液を浴びて入院した。山中氏は現場で当時の状況や東電の指示、作業員の動きを聞き取った。
 山中氏は、作業の責任は東電にあると強調した上で「東電はリスクを含んだ作業を安全に進めるための事前計画をきっちり立てていなかったと感じた」と語った。22日も視察を続行し、第1原発の1号機原子炉建屋を事故分析の観点で視察するほか、東電との意見交換も行う。


原子力規制委・山中委員長 廃液事故は実施計画違反との認識
                        KFB福島放送 2023/12/22
原子力規制委員会の山中伸介委員長が福島第一原発を視察し、作業員が放射性物質を含む廃液を浴びた事故について、実施計画に違反があったとの認識を示しました。
21日、福島第一原発を訪れた山中委員長らは、10月に洗浄作業中の作業員が放射性物質を含んだ廃液を浴びる事故が起きた増設ALPSを視察し、設備の安全対策や当日の作業手順について不備を指摘しました
山中伸介委員長は「リスクを含んだような作業を安全にさせるという事前の計画をきっちりと立てれてなかったというその点については強く感じました。私自身の認識は軽微な違反であるという認識でございます」と語りました。
原子力規制委員会は22日、東京電力との意見交換を行う予定です。