2020年9月30日水曜日

生業訴訟 30日に初の高裁判決 津波予見性などが争点

 福島原発事故の被災者が国と東電に慰謝料や居住地の放射線量低減を求めた生業(なりわい)訴訟の控訴審判決は30日、仙台高裁で言い渡されます。全国で約三十ある同種訴訟のうち、国の責任を高裁が判断するのは初めてで、原告団約3830人は同種訴訟で最大です。
 控訴審の主な争点は(1)国と東電は第一原発に襲来する大津波を予見できたか (2)建屋の水密化などで事故を防げたか (3)国の中間指針に基づく賠償が妥当か-などです。
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生業訴訟、津波予見など争点 30日、初の高裁判決
福島民報 2020/09/29
 東京電力福島第一原発事故の被災者約三千八百三十人が国と東電に慰謝料や居住地の放射線量低減を求めた生業(なりわい)訴訟の控訴審判決は三十日、仙台高裁で言い渡される。全国で約三十ある同種訴訟のうち、国の責任を高裁が判断するのは初めて。国の責任を巡る各地裁の判決が分かれる中、高裁の示す結論に注目が集まる。

 控訴審の主な争点は【表】の通り。(1)国と東電は第一原発に襲来する大津波を予見できたか (2)建屋の水密化などで事故を防げたか (3)国の中間指針に基づく賠償が妥当か-などが争われている。原告は一人当たり月額五万円の慰謝料を求めており、事故が起きた二〇一一(平成二十三)年三月から控訴審が結審した今年二月までの総額は約二百十五億円に上る。原告団約三千八百三十人は同種訴訟で最も多い
 同種訴訟のうち、国を被告に含めた十三件で地裁判決が出ており、国に賠償を命じたのは七件と判断が分かれた。残りの六件は大津波は予見できたとしつつ、対策工事をしても事故は防げなかったなどとして国の責任を認めていない

 二〇一七年十月の一審福島地裁判決は、二〇〇二年七月に公表された政府の地震予測「長期評価」に基づけば、国と東電は大津波を予見できたと判断。対策工事で事故は防げたとし、原告約二千九百人に対して総額約五億円を支払うよう両者に命じたふるさと喪失慰謝料や原状回復は認めなかった
 控訴審で住民側は賠償の増額や原状回復を改めて請求。国は「地震は予見できず、事故も防げなかった」、東電は「国の指針に従い十分に賠償した」と反論した。

■被害実情しっかり見て 原告団長 中島孝さん(相馬)
 原告団長の中島孝さん(64)=相馬市=は三十日に迫った控訴審判決を前に、「被害の実情をしっかりと見てほしい」と訴えた。
 一審も含めるとこれまで四度、意見陳述で法廷に立った。今年二月に仙台高裁で迎えた最終意見陳述で裁判官に問い掛けた。「明るい見通しを持って生活を営むことは私たちの喜びです。原発事故でそれが長期にわたり断ち切られた時、人はどう生きることができるでしょうか」
 相馬市でスーパーを営み、地場の魚介や野菜を扱っているが「震災前ほどの活気はないね」とうなだれる。避難の有無にかかわらず、多くの人が被害を受けたと思っている。国が過失を認めず、東電も中間指針に沿った定型的な賠償に終始していることに憤りを感じる。
 原発事故から十年目に出される判決。「この判決が原発政策と中間指針を問い直す一つのステップになるはず」。そう信じて判決を待つ。


生業訴訟...二審も責任認定なるか 30日・仙台高裁で注目の判決
                      福島民友 2020年09月29日
 東京電力福島第1原発事故当時、県内や近隣県に住んでいた約3650人が国と東電に計約210億円の損害賠償などを求めた集団訴訟(生業(なりわい)訴訟)の控訴審判決は30日午後2時から、仙台高裁で言い渡される。一審福島地裁で認められた国と東電の責任や国の賠償基準の中間指針を超えた慰謝料は、再び認められるのか。全国で約30ある同様の訴訟で、国と東電を被告とした1例目の高裁判断に注目が集まる。同様の集団訴訟で原告数は最大規模。
 最大の争点は、国と東電が第1原発の敷地高を超す津波を予測し、対策を取れたかどうか。
 国の責任を巡っては、地裁での判断は分かれている。国の責任を問うた訴訟の13件中、国の責任を認めたのは7件、認めなかったのは6件。東電のみを被告とした高裁判決では、仙台と東京の2高裁で判決が出ており、いずれも東電に賠償の上積みを認めた。

 2017(平成29)年10月の一審福島地裁判決は、「国は02年の政府見解を基に大津波を予測でき、東電に津波対策を取らせる規制権限を行使すべきだった。東電も対策を怠った過失がある」と判断した。
 賠償については、当時の居住地の放射線量に応じて原告のうち約2900人に1万~20万円の計5億円を支払うよう、国と東電に命じた。事故当時の居住地の放射線量を判断の根拠としたため、避難の有無や第1原発からの距離に関係なく賠償を認定した。
 一方、会津地方は事故後も線量が低かったとして対象から除外した。避難区域の原告40人が求めた1人当たり2千万円の「ふるさと喪失」慰謝料は棄却、放射線量を事故前の水準に戻す原状回復の訴えは却下した。

 一審判決を受けて、原告側と国、東電側の双方が控訴した。控訴審では、原告は賠償の増額や原状回復を改めて求めた。国は規制権限不行使の違法性を否定。東電は国の指針に従い十分に賠償したと反論している。



福島沖の本格操業 来年4月再開を目指す

 福島沖の本格操業は来年4月 県漁連、地域や漁業種検討へ

                     河北新報 2020年09月30日
 福島県漁連は29日、いわき市で組合長会議を開き、東京電力福島第1原発事故で自粛を余儀なくされている沿岸漁業の本格操業について、2021年4月の再開を目指すことを決めた。制約の多い試験操業の開始から今月で8年3カ月。県の水産業は本格復興に向け大きな節目を迎える。
 組合長会議で県漁連の野崎哲会長は「本来の、自由だった操業体制に戻したい。これから7カ月間かけて議論を進める」と述べた。
 今後、地域や漁業種ごとに具体的な検討に入り、販路や検査体制といった課題の解消を図る。10月に開く県地域漁業復興協議会で関係機関や専門家らの意見を聴き、来年3月までに大枠を取りまとめる。
 野崎会長は取材に「消費者の理解を得られる態勢を構築したい」と説明。一律ではなく、漁業種ごとに本格操業への切り替えを図る考えも明らかにした。

 原発事故で県沿岸の漁業は全面的に自粛。操業日数や海域を限定して出荷先の評価を探る試験操業は12年6月、ミズダコなど3魚種で始まった。最大44魚種が対象となった出荷制限は20年2月、ようやく全て解除された。
 県水産海洋研究センターの調査では15年4月以降、放射性セシウム濃度が国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超えた検体は一つもない。
 試験操業を実施する相馬双葉、いわき市、小名浜機船底曳網(そこびきあみ)の3漁協の19年の水揚げ実績は3584トンと、原発事故前の約14%にとどまった。漁業者からは本格操業による漁獲量拡大を望む声が強まっている。
 一方、第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の取り扱いは政府の最終検討が進む。処分方法によっては風評被害が再燃しかねず、漁業者の懸念材料となっている。

30- <ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>(1~3)(東京新聞)

 東京新聞が、<ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>のシリーズを始めました。記述がどの範囲にわたるのか興味が持たれます。
 1回~3回分を紹介します。
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<ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>(1)
 巨大津波襲来
                      東京新聞 2020年9月22日
 二〇一一年三月十一日、東日本大震災の巨大な揺れで、運転中だった東京電力福島第一原発1〜3号機は自動的に緊急停止した。だが、約四十分後の午後三時二十七分ごろから数度の津波に襲われた。
 むき出しの海水ポンプは破壊。崖を崩した海抜十メートルの敷地にある1〜4号機の建屋は最大五・五メートルまで浸水し、地下の電源盤や非常用発電機は水没して壊滅。最悪レベルの原発事故につながった。
 写真は5号機近くの高台からの撮影。津波は、「八」の字に延びた防潮堤を破壊しながら乗り越え、護岸近くの重油タンクや5、6号機用の貯水タンクをのみ込んだ。
 地震発生時、港湾内ではタンカーから重油タンクへの給油中。タンカーは沖合へ避難し難を逃れたが、タンクは引き波でさらわれた

 当初からツイッターで原発の様子を発信してきたベテラン作業員のハッピーさんは、地震発生時は原子炉建屋にいた。ゴゴーっという地響きがして大きな揺れが来た。「建屋内に五十人以上がいた。もし大津波が近づいていると伝えられていたら、冷静に避難できただろうかと今は思う」
 事務所で点呼中に突然、西から突風が吹き、空から雪が降ってきた。「津波風だ!と誰かが叫んだ。この時、津波がイチエフを襲ったのかもしれない」 (片山夏子、山川剛史が担当します) 
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ


<ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>(2)
 道ふさぐ巨大重油タンク
                          東京新聞 2020年9月23日
 東京電力福島第一原発を襲った津波は、護岸近くに置かれた重油タンクも襲った。約二百メートル山側の1号機原子炉建屋脇まで押し流した。直径約十二メートル、高さ九メートルもある大きなタンクで、高台から海側敷地に抜ける道を完全にふさいでしまった。
 「こんな大きなタンクが津波に流されるなんて…」。大震災当夜、仲間と車で敷地内を回ったベテラン作業員のハッピーさんは、その光景をにわかに信じられなかった。
 回り道をして5、6号機の方に向かうと、今度は倒れた送電線の鉄塔が道路をふさいでいた。別の道路では津波で押しつぶされた何台もの車が行く手を阻んでいた。衝撃の連続だった。
 流された重油タンクがふさいだ道は、1〜4号機の海側敷地に出る主要ルート。タンクを撤去しようにも大きなクレーンが必須で、原子炉冷却など緊急対応すべき難問は山積していた。撤去は、現場の状況がある程度落ち着いた六月末になってからだった。

 重油タンクや車両、がれきがあちこちで道をふさいでいる。工具や資材を運ぶにも車での移動は難しく、人力での作業が続いた。
 建屋内への出入りも困難を伴った。タービン建屋がある海側からはがれきが邪魔で入るのが難しく、やむを得ず高線量の山側から入っての作業が続いた。


<ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>(3)
 あちこちで地割れ、崩落 
                         東京新聞 2020年09月24日
 東京電力福島第一原発(イチエフ)事故の原因は、「想定外」の大津波によるもので、地震によるものではなかったとされる。しかし、決して地震の被害は小さくなかった
 写真の地割れや崩落は、敷地の真ん中辺りの谷の周辺。海側道路では地割れや段差が発生し、斜面が崩落して道がふさがれた地点もあった。
 余震が続く中、作業員は免震重要棟を拠点に復旧工事に出掛けた。「24時間、指示があれば現場に行き、常に緊張状態だった。敷地内の至る所に地震や津波の影響が見られ、資機材運ぶ際にも、まずは障害物を撤去するなどし、現場までの道を確保しなくてはならなかった」とベテラン作業員のハッピーさん(通称)は言う。
 5、6号機では、地滑りで送電線の鉄塔が倒壊し、外部電源が断たれた。倒壊した鉄塔は、崖を崩して各号機の敷地を造成した際の残土を沢に捨てた通称「土捨て場」近くにあった。1、2号機につながる受電施設も損傷し、早期の外部電源復旧は難しくさせた。このほか原発で使う純水を貯蔵するタンクなどが強い揺れでゆがみ、配管から漏水するなどの被害が出た。
 「建屋内の被害も甚大だったが、それが地震や津波のせいか、爆発のせいか分からなかった10年たとうとしている今も、現場検証が進んでいないのには怒りを覚える」 

2020年9月29日火曜日

女川再稼働ストップ女性議員の会 設立集会

  女川原発2号機の再稼働に反対する宮城県内の超党派の女性地方議員でつくる「女川原発再稼働ストップ みやぎ女性議員有志の会」の設立集会が27日、仙台市であり、県議会と市町村議会の野党系の現職、元議員計61人の会員のうち30人が出席しました

 集会終了後、議員らは青葉区の中心部で再稼働反対をアピールしました。

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街頭で原発ゼロ訴え 女川再稼働ストップ女性議員の会
                      河北新報 2020年09月28日
 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に反対する県内の超党派の女性地方議員でつくる「女川原発再稼働ストップ!みやぎ女性議員有志の会」の設立集会が27日、仙台市青葉区のエル・パーク仙台であった。再稼働阻止に向けて結束を強め、原発ゼロを訴える方針を確認した。
 県議会と21市町村議会の野党系の現職、元議員計61人の会員のうち30人が出席。呼び掛け人の一人の福島一恵県議が設立経緯を説明し、「再稼働をストップするために、粘り強く頑張っていく」と決意を述べた。
 女川2号機の再稼働を容認する陳情を賛成多数で採択した女川町、石巻市両議会の議員もあいさつ。「広域避難計画に疑問を抱えながら賛成を決めた議会は思考停止の状態」「今こそ政治を変えなければいけない」などと呼び掛けた。
 集会終了後、議員らは青葉区の中心部で再稼働反対をアピールした。有志の会は今後、県内各地で住民との意見交換会や有識者を交えたシンポジウムを実施。東北電力と協議の場を設ける計画も立てる。

伊方原発 廃炉1号機の燃料 3号機で利用へ

  四国電力は廃炉の決まった伊方原発1号機の未使用燃料集合体42本を、10~12月中に米国に輸送し、規格の異なる3号機で使用するため加工します。

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廃炉1号機の燃料、別機で利用へ 愛媛・伊方原発、米に輸送
                             共同通信 2020/9/28
 愛媛県は28日、廃炉が決まっている四国電力伊方原発1号機(愛媛県伊方町)の燃料保管庫で保管中の未使用燃料集合体42本を、10~12月中に米ワシントン州に海上輸送すると同社から連絡があったと明らかにした。同原発から未使用燃料が搬出されるのは初めて。
 県や四国電によると、搬出は1号機の廃止措置計画に基づくもので、詳細日程は保安上の理由から非公表。規格の異なる3号機で使用するため加工する。日本国内の施設でも技術的には可能だが、施設の規模などを考慮すると米国の方が早く作業ができるという。
 四国電は「慎重にも慎重を期して安全確保を最優先に取り組む」とコメントした。

29- 原告側が東電への反論を提出

原告側が東電への反論を提出 原発避難者訴訟で最高裁に
                         共同通信 2020/9/28
 福島第1原発事故で避難指示を受けた住民らが東京電力に損害賠償を求めた訴訟の原告側弁護団は28日、東電の主張に対する反論書面を最高裁に提出し、東京都内で記者会見した。米倉勉弁護士は「国の指針に基づく賠償で十分だとする東電の意見には大きな問題があり、見過ごせない」と話した。
 全国で約30ある同種の集団訴訟で初の控訴審判決だった3月の仙台高裁判決は、一審福島地裁いわき支部判決より多い総額約7億3千万円の支払いを東電に命じた。双方が上告し、7月に最高裁への理由書を提出した。

2020年9月28日月曜日

女川2号機再稼働阻止の訴え継続 仙台で県民集会

  女川原発の再稼働に反対する宮城県民集会が26日、仙台市青葉区の錦町公園で開かれ800人が参加し、重大事故のリスクを訴え、再稼働を止めるまで県民運動を継続することを決議しました。

 野党系県議20人でつくる「脱原発をめざす県議の会」の佐々木功悦会長は「県議会で流れを変える」と誓いました。
 集会後、参加者は青葉区の中心部を歩き再稼働阻止をアピールしました。
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女川2号機再稼働阻止の訴え継続 仙台で県民集会
                      河北新報 2020年09月27日
 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に反対する宮城県民集会が26日、仙台市青葉区の錦町公園であった。女川2号機の再稼働を巡る自治体の手続きが本格化する中、参加者は重大事故のリスクを訴え、再稼働を止めるまで県民運動を継続することを決議した。
 実行委員会主催で約800人が参加。同委を代表し市民団体「女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション」の篠原弘典世話人は「東京電力福島第1原発事故で大勢の人々が避難し、この10年間苦しんでいる。その現実を見て見ぬふりして再稼働を強引に進めようとしている」と批判した。
 立地自治体の女川町、石巻市両議会は今月、女川2号機の再稼働を容認する陳情を賛成多数で採択した。阿部美紀子女川町議は「事故が起きたら古里に戻れる保障はない」と懸念。市民団体「女川原発の避難計画を考える会」の原伸雄代表は「政治の世界では新しい『安全神話』が生み出されている」と危ぶんだ。

 23日開会した県議会の議論や意思は、村井嘉浩知事による「地元同意」の重要な判断材料となる。野党系県議20人でつくる「脱原発をめざす県議の会」の佐々木功悦会長は「県議会で流れを変える」と誓った
 集会後、参加者は青葉区の中心部を歩き再稼働阻止をアピールした。

福島第1原発防潮堤完成 更に追加対策

 福島第1原発で昨年9月から建設してきた高さ11m、全長約600mの防潮堤が完成しまし。これは地震調査委員会が17年に公表した津波の最高水位は海抜103mに対応させたものですが、今年4月に内閣府有識者会議が出した津波想定では、防潮堤を海抜13~15mにする必要があるため、追加工事を行い23年度までに完成させる計画です。
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北海道沖地震を想定の防潮堤完成 福島第1原発、追加対策も
                         共同通信 2020/9/25
 東京電力は25日、北海道東部沖のプレート境界「千島海溝」沿いで想定される超巨大地震の津波に備え、福島第1原発で昨年9月から建設してきた高さ11メートル、全長約600メートルの防潮堤が完成したと発表した。政府の地震調査委員会が2017年に公表した長期評価を踏まえた対応で、想定する津波の最高水位は海抜10.3メートル。
 しかし今年4月に内閣府有識者会議が出した日本海溝沿いの地震に伴う津波想定では、今回完成した防潮堤でも防げない恐れがある。そのため東電は、この防潮堤を海抜13~15メートルにする工事を行い、23年度までに完成させる計画だ。

28- 核ごみ応募巡り「国は餌だけ」 元高知知事が批判

  北海道寿都町と神恵内村で相次ぎ浮上した核のごみの最終処分場選定の文献調査応募への動きを巡り、2007年に高知県東洋町が応募した際の元高知県知事、橋本大二郎氏が27日までに取材に応じ「国は餌だけ垂らして何もせず、手を挙げた首長にすったもんだを任せている」と批判しました。

 高知新聞の記事「【核のごみ処分】東洋町の教訓生かされず」を併せて紹介します。
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核ごみ応募巡り「国は餌だけ」 元高知知事の橋本大二郎氏が批判
                       東京新聞 2020年9月27日
 北海道寿都町と神恵内村で相次ぎ浮上した高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定の文献調査応募への動きを巡り、2007年に高知県東洋町が応募した際の元高知県知事、橋本大二郎氏(73)が27日までに取材に応じ「国は餌だけ垂らして何もせず、手を挙げた首長にすったもんだを任せている」と批判した。
 処分場選定の文献調査を受け入れた自治体には国から2年間で最大20億円の交付金が支給される。調査入りには自治体の応募のほか、国から申し入れるケースもあるが、事前の自治体による住民の合意形成が前提だ。橋本氏は「(住民間で)落ち着いた議論は難しい」と指摘する。



【核のごみ処分】東洋町の教訓生かされず
                              高知新聞 2020.09.12
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場。その候補地選定に向けた文献調査に、北海道寿都(すっつ)町が応募を検討していることが波紋を広げている。
 町内外で反対が続出している状況は、2007年に全国で初めて応募した高知県の東洋町のケースと同じだ。国が交付金を示して、自治体が手を挙げるのを待つ姿勢も変わっていない。核のごみ処理への国の関与のあり方が改めて問われている。
 処分場は文献(約2年)、概要(約4年)、精密(約14年)の各調査を経て決定する。文献調査で最大20億円、概要調査で同70億円の交付金が支払われる。
 寿都町長は町民の同意を前提に、精密調査にも意欲を示している。現在は住民説明会を開催中で、10月以降に文献調査に応募するかどうか判断するという。

 原発政策を巡っては高い透明性が求められる。にもかかわらず東洋町では、当時の町長による文献調査への応募が「秘密裏」に行われ、強い反発を招いた
 寿都町でも町民や議会の理解を得ないまま町長が突然、応募検討を表明した。町内で賛否が割れ、周辺自治体のほか北海道知事も反対するなど、地域の混乱が深まっている。東洋町の教訓が生かされているとは言いがたい。
 財政難の自治体にとって、多額の交付金は魅力的に映る。そうした自治体の足元を見透かすように、札束を積んで誘致を促す手法への批判は根強い
 公募制度は一見、民主的な手続きに思える。しかし応募の権限を首長に与える一方で、議会や住民の意思をどう反映させるかは曖昧だ。東洋町で住民が分断される混乱が生じた際も、国が主体的に関わる姿勢が見えなかったことも不信感を高めた。
 その反省も踏まえて国は2017年、候補地となる可能性のある地域を日本地図上に示した「科学的特性マップ」を公表した。火山や活断層が周囲になく、地層や地質が安定した地域を適地に分類。このうち、核のごみを搬入しやすい海岸近くを最有力候補地としている。
 国が前面に立って選定を進めるという触れ込みだったが、適地は全都道府県に存在し国土の7割弱が該当する。最有力候補地のある自治体も、全市区町村の過半数の約900に上る。まだまだ国がイニシアチブを取っているとは言えまい。
 原発が稼働を続ける以上、核のごみは発生し最終処分場は不可欠だ。将来世代への先送りも許されない。国は公募を待つだけでなく、より踏み込んだ対応を検討する時ではないか。科学的知見に基づいて、複数地域への検討申し入れを国の責任で行うのもその一つだろう。
 核のごみをこれ以上増やさないよう、脱原発への道筋を国がはっきり示すことも必要だ。応募検討に向けた動きは寿都町以外にも見られる。国民的な関心を高めるために、国がやらなければならないことは多い。

2020年9月27日日曜日

柏崎刈羽原発再稼働 梶山経産相地元へ丁寧な説明尽くす と

柏崎刈羽原発再稼働 地元への丁寧な説明尽くす 梶山経済産業相 
                     NHK NEWS WEB 2020年9月25日
東京電力が再稼働を目指す新潟県の柏崎刈羽原子力発電所の、原発の管理手順などをまとめた「保安規定」の内容を原子力規制委員会が了承し、再稼働の是非に向けた地元自治体の判断が焦点となる中、梶山経済産業大臣は25日の会見で、再稼働を進めるうえでは地元の理解が重要だとして、丁寧な説明を尽くす姿勢を強調しました。
柏崎刈羽原発について原子力規制委員会が今月23日、保安規定の内容を了承したことで、7号機については規制の手続きがほぼ終了し、今後、再稼働の是非を巡っては地元自治体の判断が焦点となります。
これについて梶山大臣は「法令上の手続きが継続中で、私の立場からコメントすることは差し控える」としたうえで、「原発はいかなる事情より安全が最優先し、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められたもののみ、地元の理解を得ながら再稼働を進めるのが政府の方針だ」と述べました。
そのうえで、「エネルギー政策における原子力の意義を含めて丁寧な説明を尽くしていくとともに、避難計画についても関係自治体と連携しながら策定を支援するなど、必要な取り組みをしっかりと進めていく。事業者も政府も一体となって、しっかりとやっていきたい」と述べ、地元の新潟県などに対して丁寧な説明を尽くしていく姿勢を強調しました。

世界で再生エネ発電、原発超える コストも優位

  世界全体の再生可能エネルギーによる発電量が昨年、初めて原発を上回りました。原発の発電コストは高く、世界のエネルギー市場で競争力を完全に失っています。原発は建設費で莫大な差があるだけでなく維持管理費でも再生エネ発電を桁外れに上回っています。

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世界で再生エネ発電、原発超える コストも優位、欧米は廃炉進む
                             共同通信 2020/9/26
 世界全体の再生可能エネルギーによる発電量が昨年、初めて原発を上回ったとする報告書をフランス、日本、英国などの国際チームが26日までにまとめた。太陽光や風力が急増する一方、原発は先進国で廃炉の動きが相次ぐなど停滞が目立ち、前年をやや上回る水準にとどまった。
 チームの一員でコンサルタントのマイクル・シュナイダー氏は「原発の発電コストは高く、世界のエネルギー市場で競争力を完全に失っている」と指摘した。

 世界原子力産業現状報告2020年版によると、原発は昨年、発電量が前年比3.7%増加。それでも東京電力福島第1原発事故前でピークだった06年には及ばなかった。

福島第一原発 トリチウム水の処分方針 早期に結論と梶山経産相

  梶山経産相は、福島原発で増え続けているトリチウム汚染水の処分方法について、関係者の意見を聞いたうえで早期に結論を出す考えを示しました。処分問題を放置したままで汚水が貯留の限界に達したからとして問答無用的に海洋放流をするのは最悪の対応なので、それを避けるために早期に結論を出す必要があるわけで、早ければいいというものでは勿論ありません。

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福島第一原発 トリチウム水の処分方針 早期に結論 梶山経産相
                     NHK NEWS WEB 2020年9月25日
梶山経済産業大臣は、東京電力福島第一原子力発電所で増え続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分方法について、関係者の意見を聞いたうえで早期に結論を出す考えを示しました。
梶山経済産業大臣は25日、福島県庁を訪れ、内堀知事と会談しました。
この中で梶山大臣は「福島の復興や、福島第一原発の廃炉や汚染水対策が最重要であることに変わりはなく、全力で取り組んでいく」と述べました。
これに対し、内堀知事は「廃炉や汚染水対策を着実に進めることが福島復興の大前提で、責任を持って取り組んでほしい」と述べました。
福島第一原発で増え続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分をめぐっては、ことし2月、国の小委員会が基準以下の濃度に薄めるなどしたうえで、海か大気中に放出する方法が現実的だとする報告書をまとめています。
これを踏まえて、政府は、地元や関係団体などから意見を聞いていますが、地元からは新たな風評被害を懸念する声も出ています。
会談のあと、梶山大臣は記者団の取材に対し「廃炉を遅延させないためにも、処理水の処分方針は、早期に決定する必要がある。関係者の意見を丁寧に伺い、責任を持って結論を出していきたい」と述べました。
風評被害対策については「放出方法が決まることで、新たに発生する風評被害もあるかもしれないが、関係者と議論して、しっかりと対応していく」と述べました。

27- 東海村の臨界事故21年で集会

東海村の臨界事故21年で集会 原子力は「失敗許されない」
                             共同通信 2020/9/26
 1999年に茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)で作業員3人が大量被ばくし、うち2人が死亡した臨界事故から21年になるのを前に、事故を語り継ぎ、脱原発を目指す集会が26日、水戸市で開かれた。出席者は「原子力は失敗が許されない」と指摘し、日本原子力発電東海第2原発(東海村)を再稼働しないよう訴えた。

 集会には150人が参加し、冒頭で黙とうした。元原発設計技術者の後藤政志さんはスライドや動画を使い、半径30キロ圏内に90万人以上が住む、東海第2原発のリスクを説明。「危険性を分かっていながら再稼働を容認するのは未必の故意」と批判した。

2020年9月26日土曜日

柏崎刈羽原発7号機 来年4月工事完了

 柏崎刈羽原発工事、来年4月完了 7号機、4カ月延期

                              共同通信 2020/9/25
 東京電力は25日、再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機(新潟県)の安全対策工事の完了時期を来年4月へ延期すると発表した。これまで12月としていたが、工事や審査の状況などを考慮して変更。工事計画の認可申請の補正書を原子力規制委員会に提出した。
 保安規定に事故時の社長の法的責任を明記するなどした変更を規制委が既に了承しており、保安規定変更と工事計画が認可されれば一連の手続きは終了。新潟県など地元の同意が焦点となる。
 2017年に柏崎刈羽6、7号機が規制委の審査に合格。東電は7号機を優先、排気設備「フィルターベント」の設置や液状化対策などの工事を進めている。

女川原発30キロ圏内首長 住民の安全が大前提と

 女川原発2号機の早期再稼働を求める陳情を石巻市議会が採択した24日、原発30キロ圏内にある5市町のトップは、実効性が不安視される重大事故時の避難計画を念頭に「再稼働の『同意』は、住民の安全確保あってこそだ」とくぎを刺しました。
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緊急防護措置区域内の首長「住民の安全大前提」 女川原発再稼働、石巻市議会容認で訴え
                         河北新報 2020年09月25日
 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の早期再稼働を求める陳情を石巻市議会が採択した24日、原発30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)内にある5市町のトップは、市議会の判断を尊重しながらも、実効性が不安視される重大事故時の避難計画を念頭に「再稼働の『同意』は、住民の安全確保あってこそだ」とくぎを刺した

 「安全に絶対はない」。再稼働の賛否について発言を控えていた遠藤釈雄涌谷町長は、再稼働の流れを加速させる石巻市議会の決定にこう反応した。遠藤町長は万一の事故時、風向きなどで生じる住民への深刻な影響を懸念。「原発は永久的なエネルギーではない。長期的視野で物事を考えるべきだ」とも述べ、UPZ内の首長間の協議に意欲を見せた。
 UPZ内の首長組織で代表幹事を務める熊谷盛広登米市長は「市民の安全安心が大前提だ」と強調。「避難計画についてまだ議論の時間はある。あらゆる機会を捉えて県、国、東北電に物申したい」と訴えた。
 「残念だ」と、率直な心境を明かしたのは相沢清一美里町長。議論が本格化した県議会と村井嘉浩知事に慎重な判断を求めた上で、「関係自治体だけの問題ではない。県全体が『地元』との発想が重要だ」と指摘した。
 渥美巌東松島市長は「女川町議会に続き、石巻市議会も賛成の陳情を採択したことを重く受け止める」との談話を出した。佐藤仁南三陸町長は「他自治体の議会の判断にコメントする立場にない」と言及を避けた。
 原発が立地し、既に町議会が賛成陳情を採択した女川町。須田善明町長は「いろいろな話し合いの上での結論だろう」と静かに受け止めた。

宮城県議会 女川原発再稼働「国の責任」「避難計画の実効性」問う 

  女川原発2号機の再稼働を巡り、宮城県議会は24日、議員全員協議会を開き、2号機の安全対策や重大事故時の広域避難計画について国から説明を受けました。再稼働容認に傾く与党会派は事故が発生した場合の国の責任をただし、反対する野党会派は避難計画の実効性を疑問視しました。

 傍聴した市民団体「女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション」の関係者は「質問はおざなりで、国の回答も短い。県議会のアリバイづくりにすぎない」と切り捨てました。
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女川原発再稼働「国の責任」「避難計画の実効性」問う 宮城県議会全協
                        河北新報 2020年09月25日
 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を巡り、県議会は24日、議員全員協議会を開き、東日本大震災で被災した2号機の安全対策や重大事故時の広域避難計画について、国から説明を受けた。再稼働容認に傾く与党会派は事故が発生した場合の国の責任をただし、反対する野党会派は避難計画の実効性を疑問視。9月定例会最初の本格議論の場も、傍聴者は「決め手を欠く質問」と嘆いた
 最大会派自民党・県民会議は、今定例会に提出予定の賛成請願に署名する方針。中山耕一氏は原発の安全性について「県民の生命に関わる問題。責任は国全体が負うのか」と迫った。資源エネルギー庁は「万が一の事故対応は国の重大な責務だ。東北電も安全運転の責任がある」と強調した。
 中山氏は、安全対策工事の2022年度完了を念頭に「県民の不安を解消するために、国が説明する場が引き続き必要ではないか」と住民説明会の追加開催を提案。エネ庁、原子力規制庁、内閣府のいずれも前向きな考えを示した。
 作業員の技量向上に言及したのは、公明党県議団の遠藤伸幸氏。「安全対策が多重になれば、作業が複雑になる。人為ミスへの対策が必要だ」と指摘した。
 野党会派は、再稼働を進める国の姿勢を批判した。
 第2会派みやぎ県民の声の遊佐美由紀氏は、事故後にいったん屋内退避する原発5~30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の避難方法を問題視。共産党県議団の三浦一敏氏は、避難先まで3~5日かかる県の試算を避難計画に反映しなかった姿勢に苦言を呈した。
 社民党県議団の熊谷義彦氏は、UPZ外に放射性物質が拡散した際の対応を追及。内閣府は「放射性物質の濃度が高い場合、UPZ外の住民にも屋内退避を求める」と答えた。
 約2時間の質疑応答に8人が登壇したが、県が8月に原発30キロ圏の7カ所で開いた住民説明会をなぞるような質問が相次いだ。傍聴した市民団体「女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション」の関係者は「質問はおざなりで、国の回答も短い。県議会のアリバイづくりにすぎない」と切り捨てた。

26- 「神恵内は不適」と専門家 核ごみ処分問題 近くに活断層

 国が核のゴミの埋設処分地としての適地を示した「科学的特性マップ」はそもそも根拠が薄弱ですが、今話題になっている神恵内村を含む積丹半島西岸は活断層に近く不適だとする指摘が一部の専門家から出されました。
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「神恵内は不適」指摘も 核ごみ処分問題で専門家 積丹半島西岸沖に活断層
                          北海道新聞 2020/09/25
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、応募の動きがある後志管内神恵内村が、海底活断層による隆起を繰り返してきたとされる積丹半島西岸に位置するため、一部の専門家が「神恵内を含む積丹半島西岸は適地とは言えない」と指摘している。国が適地を示す「科学的特性マップ」では神恵内の南側に一部適地があり応募は可能だが、適地とする基準に疑問が呈されており、国がどこまで考慮するか注目される。

 東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)らが2013年に発表した論文によると、活断層は神恵内村役場から約10キロ沖合にあり、延長は約70キロ。マグニチュード(M)7・5以上の地震を起こすとされる。原子力規制委員会も、隣接する同管内泊村にある北海道電力泊原発の安全審査で、この海域にある活断層を想定した対応を北電に求めている。

(残り:622文字/全文:985文字)

2020年9月25日金曜日

新潟県検証と地元合意が今後の焦点 柏崎原発7号機

  原子力規制委は23定例会合で、柏崎刈羽原発で事故が起きた際の社長の法的責任を明記するなどした保安規定変更案を了承し事実上三つの審査合格となりました。審査合格の手続きは年内に完了する予定です。

 今後は県が独自に行う「三つの検証」や地元同意が焦点となります

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柏崎原発7号機、国審査「合格」へ 県検証と地元合意が今後の焦点
                            新潟日報 20/09/23
 原子力規制委員会は23日、定例会合を開き、東京電力柏崎刈羽原発で事故が起きた際の社長の法的責任を明記するなどした保安規定変更案を了承した。事実上の合格で、同原発7号機の再稼働に必要な国の三つの審査は、ほぼ全て終わった。2011年の東電福島第1原発事故から9年半余りで、国が再び東電に原発を運転する許認可を与えることになる。今後は県が独自に行う「三つの検証」や地元同意が焦点となる。
 保安規定は原発の安全管理ルールを定めたもので、東電が柏崎刈羽原発を再稼働するには規制委の認可を受ける必要がある
 審査の過程で、規制委は福島第1原発事故を起こした東電に原発を再稼働する「適格性」があるかを重視。技術的なルールを定める保安規定の基本方針に「安全性をおろそかにして経済性を優先しない」など7項目からなる東電の「決意」を反映し、適格性を担保させる異例の対応を取った。
 東電の変更案では、安全上のリスク情報が不確定な段階でも社長は安全最優先の判断をし、その内容を速やかに社会に発信すると明記。そうした対応の記録を原子炉を廃止するまで保管し、社長がリスクの緩和措置を怠った場合は刑事責任や損害賠償責任を免れないとした

 23日の定例会合では5人の委員から異論は出ず、変更案が了承された。更田豊志委員長は会合後の記者会見で「審査は一つのステップを越えた」と説明。「東電の能力や姿勢が柏崎刈羽原発を運用するのに十分か議論してきた。再稼働しても東電が緩むことがないか監視していく」とも述べた。

 変更案の了承を受け、東電は新潟日報社の取材に対し「委員から一定の理解を得られたと認識している。今後の手続きの準備を進めていく」(原子力広報グループ)とした。東電は7号機の安全対策工事を12月中に終えるとしている
 同原発7号機を巡っては再稼働に必要な三つの審査のうち、新規制基準の適合性審査に既に合格。工事計画認可に関する審査も議論を終えており、規制委は今後工事計画と保安規定の補正書の提出を東電から受け、審査結果の取りまとめに入る。
 手続きが終わるまでの期間について、更田氏は「遅くとも年内には作業が進む」との見通しを示した。