2019年5月31日金曜日

モニタリングポスト設置継続(続報)

 規制委は放射線モニターの撤去方針を見直して当面設置を継続することになりました。どれくらい継続するのかについては規制委員長は「年単位」と答えています。数か月単位では話にならないのは言うまでもありませんが、数年で撤去するということも放射線の性質上あり得ない話です。
 福島民友が続報として、福島県内の首長のコメントを紹介しました。
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福島県内の首長「丁寧な対応を」 モニタリングポスト設置継続
福島民友 2019年05月30日09時00分
 放射線監視装置(モニタリングポスト)について原子力規制委員会が撤去方針を見直した。県民から反対意見が相次ぎ、撤去は現実的に難しい状況だった。今後の在り方については不透明な部分も残り、県内の首長からは丁寧な対応を求める声が聞かれた
 
 会津若松市は継続を求める文書を規制委の委員長宛てに提出、市議会は撤去中止を求める議員発議の意見書を可決した。室井照平市長は「継続判断」を評価し「引き続き国民の不安払拭(ふっしょく)に努めてほしい」とした。
 現在ある381台のうち353台が撤去対象だった郡山市。市には継続を求める声が寄せられていた。品川萬里市長は規制委の方針転換を前向きに捉え「測定結果を国内外に発信してほしい」とコメントした。
 設置継続を求めてきたいわき市の清水敏男市長は「市民や議会、市の意見が一定程度反映された」と前向きに受け止めた上で、今後について「地域の実情を踏まえた丁寧な対応と説明を求めたい」と注文を付けた。
 木幡浩福島市長は規制委の方針変更について「除染廃棄物が残っているうちは賛成しかねるとの意見を聞き入れてくれた」と評価、市民の意見を踏まえ「(除染廃棄物の)搬出後も一定数は残すべきではないか」との考えも示した。
 また内堀雅雄知事はこれまで、市町村や県民の意向を踏まえた柔軟な対応を国に求めてきた。
 
 方針見直しについて、県放射線監視室の酒井広行室長は「一定の住民の意を酌んだと思われるが、(モニタリングポストが)密集する地域の整理の在り方が明らかになっていない。市町村の実情や意見を踏まえながら丁寧に進めてほしい」と話した。

汚染土処分で公聴会開催を要請

 福島県内の汚染土の処分方法について、現状は道路脇の盛り土に使うなどとして当該の地域に個別に説明・説得しています。
 超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」は30日、この処分方法について「国民に分かりやすく説明するべきだ」として、環境省に公聴会を開催するよう要請しました。
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汚染土処分で公聴会開催を要請 超党派議員が環境省に
共同通信 2019/5/30 10:59
 超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」は30日、東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の除染などで出た汚染土の処分方法について「国民に分かりやすく説明するべきだ」として、環境省に公聴会を開催するよう要請した。
 
 要請書では、環境省が進めている汚染土の再利用や最終処分に向けた取り組みが十分に説明されていないと指摘。「政策を強引に実施しても住民に負担がかかり、汚染土の放置状態を解消できない」として、国民と意見交換できる公聴会や説明会の場を設けることを求めている。

プール燃料の搬出法で新たな案、福島原発2号機

 東電30日、福島第1原発2号機の使用済み核燃料プールからの燃料取り出しを巡り、建屋脇に専用施設を建設する新たな案を明らかにしました。
 共同通信の記事では新案の概要も掴めませんが、本年度内を目途に工法を決めるということです
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プール燃料搬出へ新たな案、福島 第1原発2号機
共同通信 2019/5/30 20:01
 東京電力は30日、福島第1原発2号機の使用済み核燃料プールからの燃料取り出しを巡り、当初計画していた原子炉建屋上部の全面解体をせず、建屋脇に専用施設を建設する新たな案を明らかにした。従来案も含め、作業で放射性物質が飛散するリスクなどを検討し、本年度内をめどに工法を決める。
 
 記者会見した福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「2号機は建屋が水素爆発せずに残っており、放射性物質の放出をある程度抑えられる。解体しなくても燃料を取り出すことができるのなら検討する価値がある」と話した。

31- 関電 3原発の降灰問題 年内に再申請すると

関電、規制委命令方針で年内再申請 県内3原発、火山灰想定見直しに対処
福井新聞 2019年5月30日午後0時00分
 原子力規制委員会が5月29日の定例会合で、関西電力に対し、福井県の美浜、大飯、高浜3原発の再稼働審査の一部やり直しに必要な申請をするよう命令を出す方針を決めたことに対して、関西電力は同日、年内にも申請を行う考えを明らかにした。
 
 国内で火山の大規模噴火が起きた場合に3原発に降ると想定される火山灰の厚さを巡り、規制委は既に終了した審査で10センチを妥当としたが、その後、新たな論文発表などがあり見直しを決定。より多量の火山灰が降っても、3原発の機能が維持されるかなどを再審査で確認する。再稼働済み原発の停止は求めていない。
 関電はこれまで、原発の運転期間中に新たに想定したような大規模噴火が起きる可能性は低いとして、申請に否定的だった
 規制委は6月12日、関電に対して反論の機会を与えた上で命令を出すか最終決定する予定だった。関電は「29日の規制委の方針決定を踏まえ、適切に対処するため申請を出すことを決めた」とし、年内提出に向け準備を進める。
 
 原発に想定を超す火山灰が降ると、重要設備の非常用発電機で吸気フィルターの目詰まりなどが懸念される。3原発で想定される降灰を巡っては、関電はこれまでの審査で、約200キロ離れた鳥取県の大山が噴火した場合のシミュレーションなどを基に、いずれも10センチと想定していた。
 その後、大山からの距離がほぼ同じ京都市で、約8万年前の地層に30センチの火山灰層があるとする論文が発表され、規制委が昨年12月に関電に再調査を指示。関電が調べた結果、高浜21・9センチ、大飯19・3センチ、美浜13・5センチと新たに予測された。

2019年5月30日木曜日

福井の3原発 火山灰の想定見直し設計変更へ

 関電の美浜、大飯、高浜の3原発で想定される火山の降灰量が過小評価されていた問題で、原子力規制委は29日、従来の約2倍となった降灰量の再評価をもとに追加の対策について審査する必要があるとして、年内に想定を変更した申請を出すよう関電に命じる方針を決めました。
 
 関電は3月、従来降灰量を10cmと想定したものを高浜で約22cm、大飯で約19cm、美浜で約14cmなどと評価し直したうえで、問題ないとして、この規模の巨大噴火が原発の運用期間中に起きる可能性は十分低く、想定する必要はないと主張しましたが、規制委は29日、これまでの火山灰の想定は明らかに不適当で、基準に適合していないとして、想定を見直して設計の変更を命じる方針を決めました
 関電は14~22cmの降灰量があっても問題ないとしましたが、セントヘレンズ火山での実績を見ると僅か0.6~1.3cm程度の降灰量で車がエンジン故障を起こすなど深刻な被害を出しているので、それは無根拠でいい加減な見解表明としか言えません。
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福井の3原発 火山灰の想定見直し設計変更を 原子力規制委
NHK NEWS WEB 2019年5月29日 16時21分
福井県にある関西電力の3つの原子力発電所について、原子力規制委員会は、敷地内に積もる火山灰の想定を見直し、設計の変更を命じる方針を決めました。東京電力福島第一原発事故のあと、審査に合格した原発でも、新たな知見があれば対策を取ることを義務づけたいわゆるバックフィットの命令が出されれば初めてです。
 
福井県にある高浜、大飯、美浜の3つの原発について、関西電力はことし3月、鳥取県の大山が噴火した場合に敷地内に積もる火山灰の厚さを、それまでの最大およそ10センチから多い所で21センチ余りに増える可能性があることを、原子力規制委員会に報告しました。
 
関西電力は、こうした噴火が発生する可能性は低いなどとして、対策を見直す必要はないとしていましたが、規制委員会は29日、想定される自然現象の設定として、これまでの火山灰の想定は明らかに不適当で、基準に適合していないとして、関西電力に対し想定を見直して設計の変更を命じる方針を決めました。
関西電力は2週間以内に弁明書を出すことができますが、原発事故のあと、審査に合格した原発でも、新たな知見があれば対策を取ることを義務づけた、いわゆるバックフィットの命令が出されれば初めてです。
 
一方、規制委員会は、大山が活火山ではないことなどから、直ちに原発の運転を停止する必要はないとしています。

集団訴訟で異例の和解勧告へ 福島地裁

 福島県中通り地方の住民でつくる「中通りに生きる会」の会員52人が東電に計約9800万円の損害賠償を求めた訴訟で、福島地裁が和解を勧告する方針を固めました。
 集団訴訟で和解勧告が出るのは極めて異例和解が成立すれば全国初となります。
 地裁の和解案を原告と被告(東電)双方が受け入れればそこで成立します。もしも双方又は片方が拒否すれば、これまで通り地裁の裁決を目指すことになります。
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<原発事故集団訴訟> 異例の和解勧告へ 福島地裁、今秋以降に案
   河北新報 2019年5月29日
 東京電力福島第1原発事故の初期被ばくや自主避難による家族の分断などで精神的被害を受けたとして、福島県中通り地方の住民でつくる「中通りに生きる会」の会員52人が東電に計約9800万円の損害賠償を求めた訴訟で、福島地裁が和解を勧告する方針を固めたことが28日、分かった。
 第1原発事故後、各地の住民が提起した集団訴訟で和解勧告が出るのは極めて異例。和解が成立すれば全国初とみられる。
 
 和解勧告は住民側が求めていた。関係者によると、地裁が今秋以降に勧告し、個別の支払額を算出した和解案を示すとみられる。東電は28日の非公開協議で「裁判所から和解案が出れば真摯(しんし)に検討する」と述べたという。
 生きる会の平井ふみ子代表(70)は取材に「和解勧告が出る見通しとなり安堵(あんど)している。東電は和解案に向き合い、誠実に対応してほしい」と話した。
 
 訴えによると、20~70代の会員は事故当時、福島市や郡山市など6市町に住んでいた。いずれも避難指示区域外で、東電の賠償額は精神的慰謝料を含め一律12万円。住民側は損害内容は個人で異なるとし、1人当たり110万~900万円の賠償を求めた。

福島県内のモニタリングポスト 当面存続へ

 福島県内に設置された放射線量を測定するモニタリングポストについて、原子力規制委は原則、撤去する方針でしたが、住民からの反対の声を受けて当面、存続させることを決めました。
 そもそも年間6億円を浮かすためというような理由で放射線モニターを撤去するという発想自体が間違いでした。
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福島県内のモニタリングポスト 当面存続へ 原子力規制委
NHK NEWS WEB 2019年5月29日 14時47分
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、福島県内に設置された放射線量を測定するモニタリングポストについて、原子力規制委員会は、避難指示などが出された自治体を除き、原則、撤去する方針でしたが、住民からの反対の声を受けて当面、存続させることを決めました。
 
原子力規制委員会は去年3月、福島県内の学校などに設置されたモニタリングポストおよそ3000台のうち、避難指示などが出された原発周辺の12市町村を除く地域のおよそ2400台について、放射線量が低く安定していることを前提に、来年度末までに撤去する方針を決めました。
しかしその後、福島県内で合わせて18回開いた説明会では、住民から「風評被害はまだあり、健康被害も不安だ」とか、「放射線量が低いことを確認するためにも必要だ」などと、撤去に反対する声が相次ぎ、市町村の議会などからも存続を求める意見書が寄せられていました。
このため原子力規制委員会は、29日開かれた定例会で、撤去の方針を見直し、当面、モニタリングポストを存続させることを決めました。
 
ただ、維持管理には年間6億円程度かかっていて、今後は機器の更新も必要になることから、財務省や復興庁に対し財源を確保できるよう働きかけていくことにしています。

30- 楢葉町 山菜のセシウム汚染の現状

福島・楢葉町 山菜のセシウム汚染は今(2019年)
東京新聞 2019年05月29日
 福島県楢葉町では居住者が東京電力福島第一原発事故前の半分以上まで回復し、人々の息づかいが感じられるようになった。本紙は、根本信夫さん(81)夫妻の協力で山菜に含まれる放射性セシウム調査を実施した。同一エリアでの3回目の調査。
 
 調べた6種とも濃度の低下傾向が見て取れた。ただ、特にセシウムをためやすいコシアブラと、ゼンマイは食品基準(1キロ当たり100ベクレル)を大幅に上回り、5分間ゆでても基準値を上回った。タラの芽とシドキ(モミジガサ)、コゴミは安定的に基準値を大きく下回った。 
 悩ましいのがワラビの評価。2地点で採取したが、濃度は大きく異なる。濃度の低い方は元農地。植物の主要な養分であるカリウムが多く含まれ、あまりセシウムを吸い上げなかったためとみられる。 
 町役場のデータを見ても、セシウム濃度は場所によって大きく異なる。(山川剛史) 

2019年5月29日水曜日

29- 「原発をなくす湯沢の会」総会のご案内

 会報でお知らせしました通り、下記により19年度「原発をなくす湯沢の会」定期総会を開きます。
 総会のあと第2部として「福島からの避難者との交流会」を行います。
 
 どうぞお集まりください
 
2019年度定期総会及び「福島からの避難者との交流会」
   
  ■ 日  時  2019年6月1日(土)午後1:30~同3:30
  ■ 場  所  湯沢町公民館3階 会議室2
 
   第1部  総 会
      ◎議  題 ・2018年度の活動報告と収支決算報告
            ・2019年度活動計画(案)及び収支予算(案)について
            ・その他
   第2部  福島からの避難者との交流会
             曽根早苗さんほかの方々のお話を聞き、話し合います。

2019年5月28日火曜日

廃炉後の福島第1原発 全施設の解体・撤去が筋だ

 日本原子力学会がこの夏、福島原発を巡り、廃炉後の在り方いくつかの具体案を盛り込んだ報告書を公表する予定とのことです。
 その中には原子炉などを当面撤去せず、しばらくは「監視」し続けるといった案も含まれるということに関連して、河北新報が、福島県にとっては被災地の復興に影響する重大事なので、核燃料デブリを取り出した後、全施設を撤去するという方法最も望ましい。として、東電や国はできるだけ早期に検討を始めるべきだとする社説を掲げました。
お知らせ
都合により29日は記事の更新ができません。ご了承ください
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社説廃炉後の福島第1原発/全施設の解体・撤去が筋だ
   河北新報 2019年05月27日
 廃炉作業が続く東京電力福島第1原発を巡り、廃炉後の在り方が議論されようとしている。日本原子力学会がこの夏、いくつかの具体案を盛り込んだ報告書を公表する予定だが、 廃炉作業はこれから30~40年続くと見込まれ、現時点では不確定要素もかなり多い。
 廃炉後を議論するのは早すぎるという意見もあるだろうが、福島県にとっては被災地の復興に影響する重大事。東電や国はできるだけ早期に検討を始めるべきだ。もちろん地元の意向は最大限に尊重されなければならない。
 
 原子力学会は報告書で、第三者の立場から「選択肢」を示す考え。その第1案は、炉心溶融(メルトダウン)によって溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出した後、全施設を撤去するという方法。広大な更地を復興に活用することも可能になり、地元にとっては疑いなく最も望ましい姿になる。国と東電は当然、原発を構成する全施設の撤去を目標にしなければならない。
 ただ、実現のためには1~3号機で全てのデブリを取り出した上、膨大な放射性廃棄物の搬出先を原発の外に確保しなければならず、相当な困難も伴う。
 第2の案では、高濃度に汚染されている原子炉や格納容器などに限って監視しながらそのまま残し、他の施設は撤去する。施設をさらに残し、放射線量が低下してから取り壊す案も示されるという。この場合、撤去まで100年単位の期間を要する見通し。
 
 第1案以外は長期にわたってさまざまな施設が残る可能性が高く、原発事故の被災者や地元自治体は容易に受け入れられないだろう。デブリの取り出しと全施設撤去は、セットで行われると考えている人も多いはずだ。
 原子力学会はそれぞれの案ごとに、発生する放射性廃棄物の量も見積もっている。全施設撤去が800万トンで最も多く、最低でも200万トンになるという。
 だが、放射性廃棄物を最終的にどこへ処分するかについては、デブリも含めてまだ何も決まっていない。
 1979年の事故でメルトダウンが起きた米国のスリーマイルアイランド原発は、デブリを取り出して遠く離れた国立研究所に保管したが、日本国内で同じようにできる見込みは今のところ全くない。
 
 簡単に決められるはずはないにしても、国と東電は廃棄物の保管や処分を真剣に検討していかなければならない時期になっている。
 ずるずると時間だけが経過してしまえば、いずれ「処分先がないので撤去したくともできない」といった事態になりかねない。そんな理屈で福島第1原発が長期残存することになったら、地元は納得し難いだろう。

放射線測定「無人船」開発 広い分野での活用期待

放射線測定「無人船」開発 人命救助など幅広い分野で活用期待
福島民友 2019年05月25日 09時10分
 日本原子力研究開発機構(JAEA)と浜通りの企業などが連携し、放射線や水温の測定、海底土の採取などが可能な無人船(海洋ドローン)を開発した。JAEAが24日、発表した。災害や事故などで人の立ち入りが困難な環境でも調査でき、一般的な海洋調査や人命救助をはじめ幅広い分野での活用が期待できるという。"浜通り発"の技術として年度内に販売や測量サービスを始める方針だ。
 
 開発に携わった浜通りの企業は磐梯マリーン松川浦支店(相馬市)日本オートマチックマシン原町工場、協栄精機、タケルソフトウェア(南相馬市)K.S.E.(いわき市)の5社。県の補助事業として5社を含む県内外の企業・団体と開発を進めてきた。無人船は長さ6.0メートル、幅2.6メートル、高さ4.7メートルで、開発したマルチセンサー(複合型観測機)で最大8カ所の海底土を採取できる。さらに音波測量機器を使った海底測量が可能で、相馬市松川浦で行った試験で海の地形データの取得に成功した。JAEAによると、海底測量はこれまで有人船で行っており、無人船では国内初という。
 
 パソコンなどで操縦する無人船の稼働時間は48時間程度。5キロ以内であれば常時、観測データを取得できる。本県沖の詳細な海底土の放射能分布調査に生かせるほか、離島に荷物を運んだり養殖いけすを管理するなど物流、漁業分野でも活用できるという。4000万~5000万円で受注生産する。

28- 福島産米検査 サンプル「抽出」を容認へ

福島産米検査、緩和拡大へ サンプル「抽出」を容認
共同通信 2019/5/26 20:30
 東京電力福島第1原発事故後、福島県が全ての県産米の放射性物質を調べている「全量全袋検査」について、サンプルだけを調べる「抽出検査」への緩和を認める地域を拡大することが26日、分かった。従来は避難区域にならなかった市町村に限り早ければ2020年産米から切り替える方針だったが、かつて一部地区が避難区域に指定された市町村も加える。
 15年産米以降、国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)超えは出ていない。検査の実務を担う市町村の負担が減り、正常化に向けた動きと歓迎する向きがある一方で、全量全袋という厳しい検査を緩めることによる風評被害を懸念する声もある

2019年5月27日月曜日

排気筒解体 クレーン高さ不足(詳報)

 福島原発の高さ120メートルの排気筒の解体で、クレーンの高さが足りなかったことについて、東電は、クレーンの仕様の確認が不十分だったためと発表しました。「思い込みがあってクレーンの仕様をしっかり確認していなかった」ということで、これ以上お粗末な話はありません。
 今月20日から解体作業を始める予定でしたが、作業を始める見通しは立っていないということです。
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福島第一原発 排気筒解体 クレーン高さ不足は確認不十分のため
NHK NEWS WEB 2019年5月23日 20時34分
東京電力福島第一原子力発電所の高さ120メートルの排気筒の解体で、クレーンの高さが足りなかったことについて、東京電力は、クレーンの仕様の確認が不十分だったためと発表しました。作業を始める見通しは立っていないということです。
 
福島第一原発の1号機と2号機の建屋の隣には、事故で内部に高い濃度の放射性物質が付着している高さ120メートルの排気筒があり、地元の協力企業が今月20日から解体作業を始める予定でした。
しかし今月11日、模擬の解体装置をクレーンでつるして確認したところ、クレーンが必要な高さよりも1.6メートルほど足りないことが分かり、作業は延期しています。
 
東京電力は当初、クレーンのアームの角度に誤差が生じ、想定よりも高さが足りなかったのではないかと見ていましたが、詳しく調べたところ、角度の問題ではなく、クレーンの仕様の確認が不十分だったことが分かったということです。
そのためクレーンのワイヤーを巻き上げた際、ワイヤーの先端に取り付けられたフックの位置が想定より4メートル低く、作業を行う排気筒の頂上の部分に届かなくなったということです。
東京電力は「思い込みがあってクレーンの仕様をしっかり確認していなかった」としていて、排気筒を解体する作業を始める見通しは立っていないということです。

浜岡原発の津波試算 最大22・5m(詳報)

浜岡原発 再稼働の前提となる審査 先行き見通せず
NHK NEWS WEB 2019年5月25日 5時10分
静岡県にある浜岡原子力発電所で、高さ22メートルの防波壁を越える津波の試算が明らかになったことについて、中部電力は原子力規制庁に対し、あくまで参考値であることを説明していくとしていますが、規制庁は厳しい想定を求めていて、再稼働の前提となる審査は先行きが全く見通せない状況です。
 
24日に中部電力が明らかにした試算では、内閣府が公表している南海トラフの巨大地震による最大クラスの津波について、震源の位置を内閣府の想定以外に5か所仮定して計算した結果、原発の敷地前で最大22.5メートルに達し、22メートルの防波壁を越える可能性があるとしています。
 
より厳しい条件を設定するこうした計算は、震源の位置が事前には分からないことから、原発の審査で一般的に行われています。ただ、中部電力は、内閣府の津波は「科学的に想定しうる最大規模の津波」とされていることから、震源の位置による影響についてもすでに考慮されているとしていて、内閣府の検討に参加した有識者に聞いたとする意見を匿名で紹介するなどして、震源の位置を変える必要はないと主張しています。
これに対し、規制庁の審査官は「内閣府は浜岡原発への影響が最も大きくなるように津波を想定したわけではない」とか、「匿名の有識者の意見を信用することはできない」などと批判し、厳しい想定を求めました。
 
中部電力は規制庁に対し、試算はあくまで参考値であることを説明していくとしていますが、納得を得ることは難しく、再稼働の前提となる審査は先行きが全く見通せない状況です。

福島原発 廃炉研究の国際大会始まる

 福島原発の廃炉について、国内外の技術者や研究者が最新の研究成果などを報告する国際会議が24日、Jヴィレッジで始まり26日まで行われます
 各国の技術者や研究者など150人余りが参加しました
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福島第一原発 廃炉研究の国際大会始まる
NHK NEWS WEB 2019年5月25日 10時25分
40年にも及ぶとされる東京電力福島第一原子力発電所の廃炉について、国内外の技術者や研究者が最新の研究成果などを報告する国際会議が24日、Jヴィレッジで始まりました。
この会議は、日本機械学会と日本原子力学会が共同で初めて開き、各国の技術者や研究者など150人余りが参加しました。
 
会議の冒頭、国の「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」の山名元理事長が、福島第一原発の廃炉の現状を説明したうえで、世界中の研究成果と技術の結集を訴えました。
分野別の議論では、ドイツの技術者がチェルノブイリ原発での経験を話し、メルトダウンしていない使用済み核燃料を安全に管理するための作業の遅れが、全体の作業の停滞につながったと指摘して「必要となる技術開発や作業のスケジュールを見通して、全体の工程をできるかぎり明確にすることが重要だ」と指摘しました。
 
会議は26日まで開かれ、遠隔操作の技術や廃棄物管理など6つの分野で議論が交わされます。
日本原子力学会の「廃炉検討委員会」の宮野廣委員長は「燃料デブリの取り出しなど、これからいよいよ難しい段階に入るので、世界の技術者の英知を結集し連携を深めていく必要がある」と話していました。

27- 宇宙空間で太陽光発電 地上に電力を送る実験を公開

宇宙空間で発電の電気 地上に送る実験を公開
NHK NEWS WEB 2019年5月24日 16時50分
天候に左右されない宇宙空間で、太陽光によって発電した電気を、電波に変換して地上に送るための実験が、24日、兵庫県で行われました。
宇宙太陽光発電は、高度3万6000キロの宇宙空間に静止させた太陽光パネルで発電を行い、電気を電波に変換して地上に送る構想で、2045年以降の実用化が目指されています
 
地上と違って天候の影響を受けないため、安定的な発電が見込まれるとされ、政府の宇宙基本計画でも、エネルギー問題などを解決する構想と位置づけられています。
国からの委託でこの構想を進めている「宇宙システム開発利用推進機構」は、24日、実現に欠かせない、電気を電波に変換して送る実験を兵庫県内で行いました。
 
実験は、本来の構想とは逆に、地上で、電気をマイクロ波と呼ばれる電波に変換し、高さおよそ30メートルの上空で静止しているドローンに送ります。
ドローンがマイクロ波を受け取ると再び、電気に変換し、ドローンのLEDが赤く光ります。
およそ40分間の実験では、ドローンは静止するだけでなく、水平移動も試みましたが、地上の装置が自動的に電波の発射方向を変え、電気を正常に送れていることが確認できました。
 
宇宙システム開発利用推進機構の佐々木謙治システム開発部長は、「宇宙太陽光発電に必要な技術が確認でき、実用化に向けて大きく進んだと言える。今後も研究を続けていきたい」と話していました。

2019年5月25日土曜日

もんじゅ、燃料取り出し遅延(詳報)

 高速増殖原型炉もんじゅで、7月に再開予定だった使用済み燃料の取り出し作業が3カ月遅れる見通しとなったことは24日のブログで紹介しましたが、中日新聞がより詳細に報じましたので、「詳報」として紹介します。
お知らせ
都合により26日は記事の更新が出来ませんのでご了承ください。
なお、27日の更新は午後からになります。
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計画策定に不安抱く もんじゅ、燃料取り出し延期で副知事
中日新聞  2019年5月24日
 廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)で、七月に再開予定だった使用済み燃料の取り出し作業が三カ月遅れる見通しとなった。昨年八月に一カ月遅れで始まった取り出し作業は、遅れが拡大したことになる。日本原子力研究開発機構は二〇二二年末の使用済み核燃料取り出し完了の全体工程に影響はないとしているが、先行きは不透明だ。
 
 二十三日に文部科学省で開かれた政府と県、敦賀市の連絡協議会では、文科省側が燃料取り出しの日程が遅れると報告。藤田穣副知事は「(機構は)昨年度に引き続いて、自ら定めた作業計画を守れなかった。国と機構が十分に協議をして計画を策定しているのか不安を抱かせる」と厳しく指摘し、「全体計画の信頼性にも関わる」と苦言を呈した。
 
 昨年八月に始まった作業では、原子炉外の貯蔵設備に入っている燃料の取り出しに着手したが、主に燃料取り出し機でトラブルが多発し、作業がたびたび中断した
 もんじゅは一九九四年に本格運転を開始したが、同年のナトリウム漏れ事故などで通算運転日数が二百五十日にとどまり、本格的な燃料取り出しは経験が少ない。取り出す際にナトリウムのしずくが固まるなどの事象に対策が必要になったほか、今になって機器そのものの不良が判明し分解点検などを進めている状況だ。
 
 見直し後の計画では、機器の改良などを優先するため、今年七~九月に原子炉から燃料百十体を取り出す計画だったのを十~十二月に延期し、取り出す本数も十本減らして百体とした。その分、二一~二二年の処理本数を増やして作業ペースを上げ、二二年末に五百三十体の取り出しを予定通り終了させる計画。文科省の担当者は「終盤になれば機器の初期不良の対策が進み、作業員の習熟度も上がる。ペースは上がるはずだ」と強調する。
 一方、NPO法人原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「作業が遅れているのに完了時期は一緒というのはつじつま合わせだ。無理が生じ、大きなトラブルの恐れもある」と疑問を投げかける。
 十月からは原子炉内から燃料を取り出す作業が始まるが、この作業では二〇一〇年八月、燃料交換用の装置が落下する事故が発生している。藤田副知事は協議会で「過去にトラブルがあったので、国も現場の監視をさらに強化してほしい」と要請した。(今井智文)

浜岡原発の津波試算、建設済みの防潮堤を0・5メートル上回る 

 南海トラフ巨大地震が起きた際に浜岡原発に押し寄せると想定される津波について、従来より厳しい条件で試算したところ、最大225メートルに上るという結果が出ました。
 これまでの想定は211メートルで、海面からの高さ22メートルの防潮堤を建設済みです。
 
 これに関連して、そもそもつなみに対し僅かな余裕高さの防潮堤で済むのかという疑問があります。
 例えばバケツに蓄えた水に横揺れを与えると外に水が漏れますが、あれはスロッシングと呼ばれる現象で、横に進む水が垂直壁に当たると上方に跳ね上がるからです。
 通常の海の波は「寄せては返す」という動きですが、つなみの場合はひたすら岸に向かって連続的に押し寄せる一方向流れなので尚更です。キチンと解析する必要があります。
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浜岡原発の津波試算、22.5mに 建設済みの防潮堤を0.5メートル上回る 
毎日新聞 2019年5月24日 20時01分
 中部電力は24日、南海トラフ巨大地震が起きた際に浜岡原発(静岡県)に押し寄せると想定される津波について、従来より厳しい条件で試算したところ、最大22.5メートルに上る結果が出たと明らかにした。浜岡3、4号機に関する原子力規制委員会の再稼働審査の会合で報告した。これまでの想定は21.1メートルで、海面からの高さ22メートルの防潮堤を建設済みだが、新たな試算では津波が0.5メートル上回った。 
 
 中部電は「あくまで参考値」との位置付けで、津波対策の前提となる「基準津波」の対象としない考え。24日の審査会合で規制委は、新たな試算に関して評価は示さなかった。(共同)