2021年7月31日土曜日

帰還困難訴訟 福島地裁郡山支部 国と東電の責任認める

 全域が帰還困難区域となった福島県浪江町津島地区の住民640人が、国と東電に放射線量を事故前の水準に戻す原状回復と損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁郡山支部は30日、国と東電に対し、原告634人に計約10億円1人当たり約120万~150万円支払うよう命じました。判決は「国は原発の敷地を超える津波が到来する危険性があることを予見でき、福島第一原発の津波に対する脆弱性を認識できた」などとして国の責任を認めました。しかし空間線量の原状回復については、「作為義務が特定されていない」具体的な解決手段が特定されていない)として却下されました。
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帰還困難訴訟 福島地裁郡山支部 国と東電の責任認める判決
                  NHK福島 NEWS WEB 2021年7月30日
東京電力福島第一原子力発電所の事故で帰還困難区域に指定されている福島県浪江町津島地区の住民が国と東京電力を訴えた裁判で、福島地方裁判所郡山支部は、国と東京電力の責任を認め、総額10億円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました
この裁判は、帰還困難区域に指定されている浪江町津島地区に住んでいた640人が、国と東京電力に対し放射線量を原発事故前の状態に戻すことなどを求め、それができない場合1人あたり3000万円を賠償することなどを求めたものです。
30日の判決で、福島地方裁判所郡山支部の佐々木健二裁判長は「国は原発の敷地を超える津波が到来する危険性があることを予見でき、福島第一原発の津波に対する脆弱性を認識できた」などとして国の責任を認め、国と東京電力に総額10億4000万円余りの賠償を命じました。
一方、原告が求めていた原状回復については、訴訟要件を満たしていないとして訴えを退けました。
福島県では、今も、浪江町や双葉町それに大熊町など原発周辺の7市町村の合わせて337平方キロメートルが立ち入りが厳しく制限される帰還困難区域に指定されていて、今回の裁判は原発事故をめぐる集団訴訟の中で唯一帰還困難区域に住んでいた人だけで原告団が構成されていました。
判決のあと、原告団長の今野秀則さんは「提訴から6年かかりましたが、言い渡しは一瞬でした。原状回復が認められず非常に残念ですが、国の責任が認められたのでうれしいです」と話していました。
判決について、東京電力は「当社原子力発電所の事故により福島県民をはじめ広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけしていることについて、改めて心からおわび申し上げます。判決については、今後、内容を精査し対応を検討していきます」とコメントしています。
国の原子力規制委員会は「今回の判決は、国の主張が認められなかったものと考えており、判決の内容を精査して関係省庁と協議の上、対応方針を適切に検討していく。いずれにせよ原子力規制委員会としては、原発事故を踏まえて策定された新規制基準への適合性審査を厳格に進めていくことにより、適切な規制を行っていきたい」としています。


帰還困難区域の634人に10億円 福島地裁支部、国・東電に賠償命令
                        河北新報 2021年07月31日
 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域に指定された福島県浪江町津島地区の住民640人が、国と東電に地区全域の空間放射線量低減と慰謝料約260億円の支払いなどを求めた集団訴訟の判決で、福島地裁郡山支部は30日、国と東電の責任を認め、634人に計約10億円の支払いを命じた。線量低減の請求は却下した。原告側は控訴する方針。
 佐々木健二裁判長は、長期避難で原告らの帰還が困難になったとした上で「東電から支払われた慰謝料額は不十分」と指摘。1人当たり約120万~150万円の支払いを命じた。原告6人については居住実態が認められないとして請求を棄却した。
 判決は2002年に公表された津波地震予測「長期評価」の信用性を認め、「敷地高を超える津波を予見できた」と判断した。建屋の脆弱(ぜいじゃく)性も認め、経済産業相が規制権限を行使しなかったのは「著しく合理性を欠く」とした。東電についても「長期評価に基づいて調査する義務を怠り、対策に着手しなかった点で非難に値する」と言及した。
 線量低減については「作為義務が特定されていない」とした。

 原告側弁護団によると、国を被告に含む同種訴訟の地裁判決は17件目で、国の責任を認めたのは9件目。原子力規制庁は「判決内容を精査し、関係省庁と協議して対応方針を検討する」、東電福島復興本社は「判決内容を精査して対応を検討する」と、それぞれコメントした。 

原発60年超運転 安全性軽視の無理筋

 政府が原発運転の法定期間「原則40年、最長で60年」の延長を検討していることを、北海道新聞は「安全性軽視の無理筋」であると断罪しました
 補修や点検を強化しても原子炉など基幹部分の経年劣化はそのままで、なにも改善されません。それを最長80まで運転できるとする米国などを真似て延長しようとするのは、殆ど地震のない米国ならいざ知らず世界有数の地震国である日本には許されません
 経産省は先に原発の発電コストの優位性を否定しましたが、その計算の詳細は不明で廃炉や安全対策費の増加が正しく反映しているのか、リプレース(事実上の新設)時の建設費が正しくカウントされているかも不明です。そもそも「11円後半以上」という表現では正しい数値など分かりようがありません。
 社説は「一日も早く原発に見切りを付け、再生可能エネルギーの拡大に全力を挙げることこそ、長い目で見れば経済的であることを政府は認識すべきである」としています
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社説 原発60年超運転 安全性軽視の無理筋だ
                          北海道新聞 2021/07/30
 政府が原発運転の法定期間「原則40年、最長で60年」の延長を検討している。
 自民党や経済界の一部が求める新増設や建て替えは、世論の強い反発が予想されるためだ。
 推進派はこれまでの投資が無駄にならないと主張する。
 だが補修や点検を強化しても原子炉など基幹部分の経年劣化の恐れは残り、不安は消えない。
 福島第1原発事故の反省を踏まえ、2012年に40年ルールを設けたのは、原発の安全性に対する危惧からではなかったか。
 科学的な観点で決めたルールを経済性で覆し、原発の延命を図るのは認められない。原発は運転40年で廃炉にするのが筋である
 政府は原則40年を長期化したり1度だけ認められている延長を複数回可能にしたりする案や、上限を撤廃する案を検討している。これらを盛り込んだ原子炉等規制法の改正案を来年にもまとめる。
 参考にするのが最長80年運転を認める米国など海外の事例だ。
 だが日本は世界有数の地震国である。地質など災害を巡る環境が異なる海外の状況を恣意(しい)的に援用することは危うい
 気になるのは、法改正が不要とみられる案も検討されていることだ。運転期間から原子力規制委員会の審査で停止していた期間を除くという。
 国会での本格的な議論を避ける手法は、原発に対する国民の懸念に向き合う姿勢に欠ける。
 運転開始から44年を超えて再稼働した関西電力の美浜原発3号機(福井県美浜町)が営業運転を始めた。ほかに全国3基が40年超運転の安全性審査に合格している。
 これらの審査で、規制委は運転延長の認可期限を意識して他の原発に優先して審査するなど、再稼働を進めた当時の安倍晋三政権の意向を忖度(そんたく)するかのような姿勢が目立った。
 政府は2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを目標に掲げる。
 達成が危ぶまれる場合、60年超運転に関する安全対策や点検などの審査が厳格化されても、脱炭素を名目になし崩し的に運転を認める可能性は否定できない。
 原発の発電コストは事業用太陽光をすでに上回っている。廃炉や安全対策の費用増で今後さらに高まるのは確実とされる。
 一日も早く原発に見切りを付け、再生可能エネルギーの拡大に全力を挙げることこそ、長い目で見れば経済的であることを政府は認識すべきである。

31- 茨城 大洗町の研究用原子炉 運転再開

 10年余り運転を停止していた茨城県大洗町にある研究用原子炉「高温ガス炉=HTTR」が30日に運転を再開しました。

 このHTTRは炉心の冷却にヘリウムガスを使う(核燃料耐熱性の高いセラミックスで覆う)もので、原子炉で950℃に加熱されたヘリウムガスが減圧膨張する過程でガスタービンを回すことにより発電し、減圧によって200℃まで冷却されたヘリウムガスは原子炉に戻り、以後上記のサイクルを繰り返します。
 原子炉とガスタービンの間にはヘリウム/ヘリウムの熱交換器が挿入され、この2次側で得られる900℃ヘリウムガスの熱量を利用して水から水素を製造します(関連記事参照)
 下記の記事に概略のフローシートが載っているのでご覧ください。
   ⇒ 水素で延命? 原子力業界 大洗、高温ガス炉運転再開へ 大量生産目指す

 ここでHTTRを登場させたことについては、「原発の再稼働や新増設が行き詰まる中で、クリーンエネルギーのイメージがある水素を隠れみのにして、原子力ムラを温存する動き」(上岡直見・環境経済研究所代表)との批判もあります。
 先ずは本当に安定的に動くのか注目されます。
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茨城 大洗町の研究用原子炉 運転再開 新基準の審査に合格
                     NHK NEWS WEB 2021年7月30日
10年余り運転を停止していた、茨城県大洗町にある新しいタイプの研究用原子炉の「高温ガス炉=HTTR」が、国の新しい規制基準の審査に合格したことなどを受けて30日に運転を再開しました。
平成10年に運転を始めた茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の「HTTR」は、炉心の冷却にヘリウムガスを使い、核燃料を耐熱性の高いセラミックスで覆う新しいタイプの原子炉で、1000度近くの高温の状態で熱を取り出せることから、熱を効率的に利用した発電や水素の製造などが可能で、国のエネルギー基本計画に推進が盛り込まれています
東日本大震災前の平成23年2月に定期検査のため運転を停止し、その後、国の新しい規制基準に基づく審査に合格し、火災対策などの工事を行って、30日に運転を再開しました。
30日は、午前11時すぎに中央制御室で運転員がボタンを操作して核分裂反応を抑える制御棒を引き抜く作業を行い、午後2時40分に核分裂反応が連続する「臨界」の状態となりました。
「HTTR」は、徐々に出力を上げて、ことしの9月下旬まで運転を行いながら、まず10年ぶりに稼働した設備の状況を検査します。
来年の1月からは、運転中のトラブルを想定して、制御棒や主要な冷却設備を使わずに出力や温度を下げるなど、安全性を検証する実証試験を行う計画です。
日本原子力研究開発機構高速炉・新型炉研究開発部門大洗研究所の根岸仁所長は「今後のエネルギー開発にむけ、高温ガス炉が期待されているなか、運転再開を果たすことができ感慨深く感じている。引き続き安全対策を最優先にして、慎重に対応していきたい」と話していました。


新型原子炉「高温ガス炉」が10年半ぶりに運転再開 水素製造で原子力温存狙いも
                          東京新聞 2021年7月30日
 日本原子力研究開発機構は30日、大洗研究所(茨城県大洗町)の高温ガス炉の実験炉「高温工学試験研究炉(HTTR、熱出力3万キロワット)」を10年半ぶりに運転再開した。
 高温ガス炉は通常の原子力発電所(軽水炉)とは異なり、冷却材に水ではなく、ヘリウムガスを使う。より高温の熱を取り出すことができ、これをガスタービン発電や水素製造など多目的に利用する構想だ。
 政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」は、新型炉開発の柱として高温ガス炉を重視するが、「原発の再稼働や新増設が行き詰まる中で、クリーンエネルギーのイメージがある水素を隠れみのにして、原子力ムラを温存する動き」(上岡直見・環境経済研究所代表)との批判もある
 午前11時すぎ、中央制御室で運転員が制御棒を引き抜く操作を開始。午後2時40分に臨界に達した。運転しながら原子炉の性能を順次チェックし、9月末にフル稼働の状態で最終検査を実施。来年1月から、トラブルを想定した安全性実証試験に入る計画だ。
 経済産業省が昨年12月に発表した「グリーン成長戦略」は、HTTRで30年までに水素製造の基本技術を確立するとする。原子力機構によると、東京電力福島第一原発事故のような炉心溶融や水素爆発は原理的に起こらない設計になっているという。
 根岸仁所長は報道陣に「福島以降、原子力に対して厳しい情勢があるのは認識しているが、安全性が非常に高いことも周知しながら、ご理解いただくように努力したい」と話した。
 HTTRは1998年に初臨界。11年1月を最後に運転していない。原子力規制委員会は昨年6月、地震・津波対策などが新規制基準に適合していると判断した。(宮尾幹成)

(関連記事)
高熱利用で水素製造、150時間連続で運転 原子力機構
                          日経新聞 2019年1月29日
日本原子力研究開発機構は高熱を利用した化学反応で水から水素を製造する装置で、世界で初めて150時間の連続運転に成功した。機構は次世代型原子炉「高温ガス炉」から取り出した熱を水素の大量製造に利用する研究開発を進めている。水素製造装置の実用化に見通しがついたとして、自動制御システムなどの開発に力を入れる方針だ。
大洗研究所(茨城県大洗町)にある試験装置で18日から25日にかけ、毎時約30リットルの水素を150時間連続で製造した。装置はヨウ化水素が水素とヨウ素に熱分解する反応など3つの化学反応を組み合わせ、全体として水から水素を生み出す仕組みだ。熱は電気ヒーターで供給した。
2016年に毎時約10リットルの水素を8時間連続で作ることに成功したが、析出したヨウ素が固まって配管を塞いだり、配管が腐食したりする問題が残った。機構は加熱の細かな制御でヨウ素の析出を防ぐなど十数項目の改良を施し、水素の連続製造に成功した。
大洗研究所には高温ガス炉の研究炉「HTTR(高温工学試験研究炉)」がある。高温ガス炉は核分裂反応で生じる熱をヘリウムガスで冷却する原子炉で、高熱を炉外に取り出して活用できる。HTTRは再稼働に必要な原子力規制委員会の安全審査が続く。機構は30年代にHTTRの熱を利用した水素製造の試験に取り組む方針だ。

2021年7月30日金曜日

福島第一原発 廃炉に伴う放射性廃棄物減少へ溶融炉建設の方針

 福島第一原発の廃炉作業に伴って増える放射性廃棄物を減らすため、東京電力は新たに、金属のがれきなどを高温で溶かす溶融炉を2020年代の後半に建設する方針を明らかにしました。

 放射性廃棄物の量は3月の時点でおよそ48万立方、10年後には79万立方になる見通しです。
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福島第一原発 廃炉に伴う放射性廃棄物減少へ溶融炉建設の方針
                     NHK NEWS WEB 2021年7月30日
福島第一原子力発電所の廃炉作業に伴って増える放射性廃棄物を減らすため、東京電力は新たに、金属のがれきなどを溶かす溶融炉を建設する方針を明らかにしました。
福島第一原発の廃炉作業では、コンクリートや金属のがれきなどの放射性廃棄物が発生していて、ことし3月の時点でおよそ48万立方メートル、10年後には79万立方メートルになる見通しです。
東京電力は、金属のがれきなどを高温で溶かす溶融炉を2020年代の後半に建設する方針を明らかにしました。
具体的な設備の規模や対象とする廃棄物の種類などは、今後検討するとしています。
東京電力は、放射線量の低い廃棄物の再利用や伐採した木材を焼却処分するなど、廃棄物の量を3分の1程度に減らす計画ですが、敷地に限りがある中、増え続ける放射性廃棄物の保管や処分方法が課題です。

双葉町のドキュメンタリー映画 8月上映 震災・原子力災害伝承館で

 2つのドキュメンタリー映画が、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館で開催中の双葉町特集展で上映されます

 映画「盆唄」は双葉町民が先祖代々守り続けてきた双葉盆唄を残すため、米国ハワイ・マウイ島やいわきを舞台に活動する姿を追いかけたものです。
 映画「フタバから遠く離れて」は、原発事故後、避難生活を余儀なくされた町民の日々を記録したもので、第1部第2部放射能の構成になっています。
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8月、福島県双葉町のドキュメンタリー映画上映 震災・原子力災害伝承館
                            福島民報 2021/07/29
 東京電力福島第一原発事故による全町避難の続く福島県双葉町の人々や文化を記録した2つのドキュメンタリー映画が、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館で開催中の双葉町特集展で上映される。
 映画「盆唄」(中江裕司監督、2019年・134分)は8月7日と14日の午前10時30分からと午後2時から。双葉町民が先祖代々守り続けてきた双葉盆唄を残すため、米国ハワイ・マウイ島やいわきを舞台に活動する姿を追いかけた
 8月14日午後1時30分から、盆唄のアソシエイトプロデューサーの岩根愛さんと、映画に登場する標葉(しねは)せんだん太鼓保存会の今泉春雄会長、横山久勝前会長がトークイベントを開催する。
 映画「フタバから遠く離れて」(舩橋淳監督、第1部=2012年・96分、第2部=2014年・114分、放射能=2014年・35分)は8月8、9の両日上映する。第1部と放射能が午前10時30分から、第2部が午後2時から。原発事故後、避難生活を余儀なくされた町民の日々を記録。音楽は坂本龍一さんが担当した。
 舩橋監督のトークイベントが8月8日午後1時30分から開かれる。
 上映会は各回、定員40人程度で、先着順。問い合わせは、伝承館へ。
   ◇  ◇
 双葉町特集展「東日本大震災・原子力災害 双葉町の記憶と記録」は8月30日まで開催している。
 東日本大震災・原子力災害伝承館の主催、双葉町の共催、筑波大の協力。期間中、町職員や学芸員が展示解説している。開館は午前9時から午後5時(最終入館は午後4時30分)まで。火曜日休館。

「こんなにおいしいものは ~ ! 」と 福島県産桃 五輪選手に好評

 福島県産モモが東京五輪で県を訪れた選手に好評です。野球競技開催を前に来県した日本とドミニカ共和国の代表チームに県が県産モモ各30キロを差し入れたところ、「こんなにおいしいものは食べたことがない」評判を呼び、さらに各30キロを追加で差し入れまし
  関連記事
   ⇒(7月26日)「福島の桃はデリシャス」 東京五輪ソフト米国代表監督が絶賛
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「こんなにおいしいものは食べたことがない」福島県産桃、五輪選手に好評
                           福島民報 2021/07/29
 県産モモが東京五輪で本県を訪れた選手に好評だ。野球競技開催を前に来県した日本とドミニカ共和国の代表チームに県が県産モモ各30キロを差し入れたところ、評判を呼び、さらに各30キロを追加で差し入れた。
 内堀雅雄知事が28日、福島市の県営あづま球場で行われた東京五輪野球競技の開幕戦となる日本対ドミニカ共和国戦終了後の記者会見で明らかにした。ドミニカ共和国の選手からは「こんなにおいしいものは食べたことがない」との感想があったという。
 県産モモについては東京五輪ソフトボール競技の米国代表のエリクセン監督が県営あづま球場での試合後の記者会見で絶賛し、会員制交流サイト(SNS)などで話題となった。内堀知事は「風評に苦しむ福島にとって素晴らしい力になっている」と感謝した。


福島県産の桃 魅力アピール 東京のミデッテで
                            福島民報 2021/07/29
 東京・日本橋にある福島県のアンテナショップ「日本橋ふくしま館MIDETTE(ミデッテ)」で29日、恒例の「ふくしまの桃まつり」が始まった。1日まで。
 シーズンを迎えている福島県産桃「あかつき」を首都圏の消費者に味わってもらおうと、ミスピーチキャンペーンクルーが接客して販売している。各日、購入先着50人に景品をプレゼント中。イベント期間限定の桃パフェも人気を集めている。
 接客はミスピーチキャンペーンクルーが各日交代で務めており、初日は田中梨紗さん(21)=会津若松市出身、東京都在住=が魅力をPRした。「毎年買いに来ている方がいるほど福島の桃は大好評で、ありがたい」と笑顔を見せていた。

30- 侍J稲葉監督、震災後、福島県内で児童を対象の「野球教室」

 28日に福島市のあづま球場で五輪の開幕戦を行った野球で、日本は勝ち星をあげました。日本代表の稲葉篤紀監督現役時代から福島で野球教室を続けています。

 福島での教室は、震災の後にJAからの依頼を受けて13年から。子どもたちを喜ばせようと毎年、稲葉監督を中心に開かれてきました。
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侍J稲葉監督、野球通し児童と絆 震災後、福島県内で「教室」
                        福島民友 2021年07月30日
 東日本大震災からの「復興五輪」の理念を掲げ、野球は28日に福島市のあづま球場で開幕戦を行った。現役時代から福島で野球教室を続ける日本代表の稲葉篤紀監督にとって、関わりが深い地での逆転サヨナラ勝ち。試合後には「福島の人たちに何かを感じてもらえたのではないか」と興奮を抑えてかみしめるように話した。
 福島との縁が生まれた原点には、2010年4月に試合前のグラウンドでくも膜下出血で倒れ、37歳で亡くなった元巨人コーチの木村拓也さんの存在がある。1972年度生まれのプロ野球選手で構成する「47年会」。現役選手が多かった当時、まとまって活動することは少なかったが、木村さんが「野球を通して何かを残したい」と呼び掛けてオフに野球教室を始めた。
 福島での教室は、震災の後にJAからの依頼を受けて13年から。子どもたちを喜ばせようと毎年、47年会の会長を務める稲葉監督を中心に全員で反省会を開いて内容を進化させた。今では指導者講習会から野球指導、小学生の選抜チームとの試合と、一日中びっしり詰まったスケジュールになった
 福島で最初に野球教室を開いたのが、改修前のあづま球場。「よく勇気や感動を与えると言うけれど、それは(受ける側が)どう感じるかだと思う。全力で立ち向かっていくだけ」。新型コロナウイルス禍で無観客開催となり直接、福島の子どもたちの前でのプレーはかなわなかったが、戦いぶりで伝えられたものがあると信じている。

2021年7月29日木曜日

原発維持の基本計画 現実直視し発想の転換を

 経産省がまとめた「エネルギー基本計画」の改定案で、再生可能エネルギーの比率を3年前の22~24%から36~38%に引き上げられた一方で、原発の比率2015年の改定以来の20~22%に据え置かれました。

 これだと30年度に27基程度の原発を高い稼働率で動かすということになり、どう考えても非現実的です。そもそも30年時点で発電コストは、経産省の試算でも最も安いのは事業用の太陽光発電「8円台前半~11円台後半」であるのに対して、原発コストは「11円台後半以上と最も高く勝負になりません(従来は経産省は原発の発電コストを一番安くなるように設定していました)。
 今後は仮に原発を「リプレース(建て替え)」するとしても、従来の建設費の倍は掛かるのでとても現実的ではありません。そもそも炭酸ガスを出さないというのも虚構(採掘から精製し使用済み後に後処理・長期間保管する過程で莫大な量を排出する)ですし、何よりも原発は熱効率が悪いので地球温暖化防止にはまったく寄与しません。
 原子力ムラは原発で儲けようとする野望を早く捨てるべきです。
 毎日新聞の主張を紹介します。
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社説 原発維持の基本計画 現実直視し発想の転換を
                            毎日新聞 2021/7/28
 国のエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」の改定案を経済産業省がまとめた。
 注目したいのは2030年度の総発電量に占める各電源の比率の見通しだ。
 脱炭素化を進めるため、再生可能エネルギーは3年前の22~24%から36~38%に引き上げられた
 主力電源化には不十分との見方はあるが、「最優先の原則で最大限の導入に取り組む」との姿勢が示されたことは評価できる。
 一方で大きな疑問が残るのが原発の比率だ。2015年の改定以来の20~22%を踏襲しようとしているが、非現実的だ。
 この比率を達成するためには、30年度に27基程度の原発を高い稼働率で動かす必要がある。
 しかし、東京電力福島第1原発の過酷事故以降、再稼働した原発は10基に過ぎない。19年度の発電量に占める原発の比率は6%にとどまる。
 運転開始から40年を超える老朽原発の延命も必要となり、「原発依存度をできる限り減らす」という政府方針にも反する。
 経産省が6年ぶりに試算した発電コストも直視すべきだ。
 これまで、原発を推進・維持する大きな根拠は、他の電源より安価なことだった。
 しかし、今回の試算では、30年時点で発電コストが最も安いのは事業用の太陽光発電となった。
 事故前に1キロワット時当たり5・9円と試算されていた原発コストは15年に10・3円以上と上昇した。それが今回、「11円台後半以上」となり、事業用太陽光の「8円台前半~11円台後半」を上回った
 これには事故処理費や安全対策費の増加が影響している。今後、処理費などがさらに膨らむ可能性は高い。
 一方、太陽光や風力など再生エネは技術開発や普及が進み、コストは下がり続けている。
 こうした現実から目を背け、原発にこだわり続けている限り、袋小路からは抜け出せない。
 菅義偉政権が「温室効果ガス排出50年実質ゼロ」を打ち出した以上、それを見据えたエネルギー戦略を示す必要がある。
 原発コストの優位性が崩れた今こそ、思い切って発想を転換すべきだ。

避難住民ら不安障害など5% / 甲状腺がん確定219人がん疑い41人に

 福島医大は26日、避難指示が出された市町村の住民に対して行った「こころの健康度・生活習慣に関する調査」19年度分)で、不安障害などのリスクが高い人の割合は1639歳の若年層が7565歳以上39で、平均5%であると公表しました。これは全国水準の3%より依然として高い状況にあります

 福島医大が若年層で起きている変化などについて分析を進めます。また中学生以下の回答率が148%で過去最低となったので、本年度実施する調査で質問項目を減らすなど簡素化し、回答率の上昇をります。

 それとは別に公表された甲状腺検査の3月末時点の結果は、18年度に開始した4巡目検査では、前回報告から新たに2人ががんとまた2、3巡目検査では新たに計3人ががん診断され、全期間のがん確定は219人、がん疑いは42りました
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心の不調リスク高く 県民健康調査、旧避難区域は全国上回る
                         福島民友 2021年7月27日
 福島医大は26日、県民健康調査の「こころの健康度・生活習慣に関する調査」を巡り、2019年度分の結果を公表した。同調査は、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出された市町村の住民らを対象としている。不安障害などのリスクが高い人の割合は全体の5%で、事故から時間がたつにつれ改善傾向にあるものの、全国水準の3%より依然として高い状況にある。
 同日に福島市で開かれた「県民健康調査」検討委員会の会合で示した。調査では、得点が高いほどうつ病の可能性などを示す「精神健康度」を調べた。リスクが高い人の割合は16~39歳の若年層が7.5%で、65歳以上の3.9%と比べると高得点の割合が高かった。福島医大が若年層で起きている変化などについて分析を進める。
 調査は20万1499人を対象に実施し、有効回答数は3万7501人。県によると、中学生以下の回答率が14.8%で過去最低となった。
 このため県は、本年度に実施する調査で質問項目を減らすなど簡素化し、回答率の上昇を図る。

がん確定、新たに5人 3月末時点甲状腺検査
 福島医大は検討委で、甲状腺検査の3月末時点の結果を公表した。2018(平成30)年度に開始した4巡目検査では、前回報告(昨年9月末時点)から新たに2人ががんと診断された。また、2、3巡目検査対象者のうち、新たに計3人ががんの診断を受けた。
 4巡目検査のがん確定は27人がん疑いは6人となった。1~4巡目と17年度から始まった25歳時の検査を合わせると、がん確定は219人(手術で良性と認定された1人を除く)、がん疑いは41人となった。
 県と福島医大によると、25歳時検査の受診率は3月末現在で8.7%にとどまっている。県は進学や就職で県外に出た人の受診が進んでいないとみており、県外の医療機関に検査実施の協力を求めるなど環境整備に努める。

郡山市の安積高校で国際放射線防護ワークショップ

 郡山市の安積高は26日、福島第一原発で増え続けるトリチウムを含む処理水に関する学習会を開きました

 経産省資源エネルギー庁の担当官の説明に対して、生徒からは「処理水処分に伴う風評を防ぐための情報発信に力を入れるべき」などの意見が出されました。
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原発処理水の現状など探る 福島県郡山市の安積高校で国際放射線防護ワークショップ
                            福島民報 2021/07/26
 福島県郡山市の安積高は26日、東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含むんだ処理水に関する学習会を同校で開いた。
 福島県復興の現状を学び発信する「国際放射線防護ワークショップ」の一環。経済産業省資源エネルギー庁の木野正登廃炉・汚染水・処理水対策官が講師となった。第一原発の廃炉作業の進捗(しんちょく)状況、処理水発生の要因、トリチウムの性質などを解説した。処理水を海洋放出する政府方針なども説明した。
 生徒からは「処理水処分に伴う風評を防ぐための情報発信に力を入れるべき」「処理水海洋放出方針決定までに長時間を要している。溶融核燃料(デブリ)の最終処分にはさらに時間がかかると思うので、今から検討すべき」などの意見が出された。

29- 敦賀原発安全審査、規制委が中断を検討 資料無断書き換えで

 原子力規制委は28日の定例会合で、敷地の地質データに関する資料の不適切な書き換えが判明した日本原電 敦賀原発2号機の審査について、原子力規制庁の担当者が、原電幹部と社員の間で情報が共有されておらず「業務管理が適切でなかった」と途中経過を報告しました。

 これを受け規制委石渡明委員「審査資料の適切性に非常に疑問がある」と指摘し、「規制庁の調査の最終報告が出るまで審査を止めた方がいい」と提案しました。
 近く定例会合で議論し方針を決めます
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敦賀原発安全審査、規制委が中断検討 原電の資料無断書き換えで
                         毎日新聞 2021年7月28日
 日本原子力発電が敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の再稼働に向けた安全審査の資料を無断で書き換えていた問題で、原子力規制委員会は28日の定例会で、審査の中断を検討することを明らかにした。資料に疑念が残る状態では審査ができないためで、8月中に中断するかを決める
 審査資料の文言の書き換えや削除について調べている原子力規制庁の担当者は、この日の定例会で調査の途中経過を報告。日本原電の幹部と、書き換えなどの方針を決めた社員の間で情報が共有されておらず「必要な業務管理が適切でなかった」と話した
 これを受け、規制委で地震や津波の対策を担当する石渡明委員が「審査資料の適切性に非常に疑問がある」と指摘。「規制庁の調査の最終報告が出るまで審査を止めた方がいい」と提案した。
 書き換えや削除があった審査資料は、敷地内の地質データなどをまとめたもの。2020年2月の規制委の審査会合で発覚し、書き換えや削除は計80カ所に上った。敷地内の地層を巡っては、規制委の有識者調査団が2号機の直下に活断層があるとの見解を示した。活断層の場合、2号機は廃炉になる。一方、日本原電は規制委の安全審査で「活断層ではない」と主張し、関連資料を提出していた。
 この日の規制庁の報告によると、17年2月ごろに開かれた日本原電と地層の掘削や調査を委託した会社などとの打ち合わせで、書き換えや削除の方針が決まった。しかし、日本原電の幹部は欠席し、この方針を把握していなかった。この幹部は20年2月の問題発覚までに書き換えを把握したが、「技術的に問題ない」と考え修正の指示をしていなかった。【塚本恒】


敦賀原発の審査中断検討、規制委 日本原電が資料書き換え
                            共同通信 2021/7/28
 原子力規制委員会は28日の定例会合で、敷地の地質データに関する資料の不適切な書き換えが判明した日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の審査中断を検討することを決めた。近く定例会合で議論し、方針を決める
 この日の会合では、原電に対する検査を行い、書き換えの経緯などを調べている規制委事務局の担当者が「資料作成において、膨大なデータ処理に必要な業務管理が適切にできていなかったことが確認された」とする検査の途中経過を報告。
 地質の審査を担当する規制委の石渡明委員は「検査の本報告が出るまで審査は止めた方がいい」などとする見解を示した。