2022年1月31日月曜日

原発事故に備える「避難計画」が基準から抜け落ちた理由は?

 日本の原発規制基準から、国際基準である「深層防護第5層 『避難』」の項目が脱落しているのは不思議であり、不自然です。深層防護はいわば原発作業員や周辺の住民を如何にして被爆から守るかを眼目にしたものなので、その最終段階の「避難」が脱落することは本来あり得ません。

 毎日新聞がそのいきさつに関する記事を出しました。結論として、議論は規制委を「独立した組織として何処に位置づけるか」に時間が割かれ、避難計画の審査は話題にならなかったということです。
 日本では原発の深刻な事故は起きないという考え方で一貫していたので、それもあり得ますが、規制基準を制定する過程では当然認識された筈です。規制委は必要性を理解したもののそれにタッチしたくなかったので、敢えて無視したというのが真相のように思われます。
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原発事故に備える避難計画 国が審査しない仕組み、いきさつ探ると…
                            毎日新聞 2022/01/30
 自治体が原発事故に備えて立てる避難計画の実効性について、原子力規制委員会など国には審査する仕組みがない。東京電力福島第1原発事故では、着の身着のまま逃げて命を落とした人が多かったため、対策は強化された。ただ茨城県などの避難計画は、司法の場でいくつもの不備を指摘されている。原発事故から11年。審査の仕組みがないいきさつを探ると、規制委の設立の経緯に行き着いた。

 事故を防げなかった原発の規制行政を立て直そうと、当時の民主党政権は2012年の1月、それまでのように原発を推進する経済産業省ではなく、環境省に規制組織を設ける法案を国会に出した。一方、野党だった自民・公明両党はその3カ月後の4月、規制委の設置法案を提出。国家行政組織法第3条に基づき、省庁からの独立性が高い「3条委員会」という組織にするのが狙いだった。
 この時、国会は参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」。こうした政治情勢もあり、政府内の水面下では「規制組織が3条委になる場合」の検討がされ始めた。原発敷地内の安全対策は3条委の規制委が審査するが、敷地外の対策になる原発防災は「専門家が担う規制委の委員では、自治体トップとの調整ができない」(政府関係者)との懸念もあり、省庁が連携する体制が思い描かれていく。
 ただ、自治体の避難計画などの審査が必要かどうかは、あまり議論にならなかった。「計画を良いとか、だめとか審査するといった発想がなかったし、考える余裕もなかった」。規制委の発足に関わったある省庁の幹部はそう明かす。
 新しい規制組織は国会論戦で決着せず、議論は民主と自公の実務者による修正協議に委ねられた。協議が始まってから9日後の6月14日、規制委を3条委にする形で合意。原発防災の業務は「原子力防災会議」(議長は首相)が担い、その事務局を内閣府に置くことなどで決着した。

 「原子力防災会議の案が出たのは修正協議の2週間くらい前。検討した期間は、4月下旬ごろから実質1カ月余りしかなかった」。政府関係者は、そう振り返った。慌ただしい駆け引きの中、避難計画の審査は話題になることがなかった。【岡田英、荒木涼子】

花角知事「原発検証 進めていく」 米山氏の問題視受け

 花角新潟県知事は26日の記者会見で、前知事の米山隆一衆院議員が県独自の「三つの検証」の運営方法を問題視していることについて「具体的に何を話しているのか承知していないので、特にコメントはない。きちんと検証は進めていきたいと思っている」と語り、自身のこれまでの判断について「考え方や、どうしてこういうことになっているのかということは何度も説明をしているので、それ以上加えることはない」と述べました。
 また次期知事選(512日告示)で原発問題が争点になるべきか問われると「私自身がまだ意思を決定していないので、コメントのしようがない」と述べました。
 柏崎刈羽原発の再稼働に関しては、何もかもが曖昧模糊としています。そのままで知事選に入りたいというのが真意なのでしょう。
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花角知事「原発検証 進めていく」 米山氏の問題視受け
                            新潟日報 2022/01/27
 花角英世新潟県知事は26日の定例記者会見で、前知事の米山隆一衆院議員(新潟5区、無所属)が原発の安全性を巡る県独自の「三つの検証」の運営方法を問題視していることについて「具体的に何を話しているのか承知していないので、特にコメントはない。きちんと検証は進めていきたいと思っている」と語った。
 三つの検証は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働論議の前提とするために米山氏の知事時代にスタートし、後任の花角知事に引き継がれた。
 米山氏は、花角県政になって、検証作業に当たった委員の一部が高齢を理由に県から再任されなかったことや、県が検証総括委員会の池内了委員長との間で「共通認識を持てていない」などとして総括委を約1年開いていないことを疑問視している。
 花角知事は自身のこれまでの判断について「考え方や、どうしてこういうことになっているのかということは何度も説明をしているので、それ以上加えることはない」と述べた。
 米山氏は県に対し、三つの検証を運営するプロセスを記した文書の情報公開を請求した。これに関して花角知事は「きちんと対応したい」と話した。
 花角知事は、次期知事選(5月12日告示、29日投開票)での自身の去就を明らかにしていない。知事選で原発問題が争点になるべきか問われると「私自身がまだ意思を決定していないので、コメントのしようがない」と述べるにとどめた

31- 知事選 連合新潟が花角氏支援 方針正式決定

 連合新潟は18年の知事選で花角氏とは別の国政野党系候補を支援しまし

 しかし次期知事選に花角知事が再選出馬すれば支援する方針を正式に決めたうえ、仮に立民県連などが別の候補を擁立したとしても「この決定を覆すには、かなりハードルが高い」としました。連合がここまで花角氏に入れ込むのは、同氏が原発稼働派だからと思われます。
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知事選 連合新潟が花角氏支援 方針正式決定 与野党相乗りの構図に
                            新潟日報 2022/01/27
 国政野党の立憲民主党などを支援する連合新潟は26日、新潟市中央区で執行委員会を開き、。国政与党の自民、公明と野党の国民民主の各党県組織が知事に対して再選出馬を要請しており、出馬することになれば、与野党相乗りの構図になりそうだ。
 次期知事選を巡っては、立民県連が花角県政を検証中だとして、まだ対応を決めていない。最大の支援団体である連合新潟が花角知事支援に回ったことで、立民県連の今後の動向が焦点となる。
 連合新潟は2018年の前回知事選で、自民、公明の支援を受けた花角氏とは別の国政野党系候補を支援した。ただ、知事就任後は良好な関係を築いており、組織内で県政運営を評価する声も大きいことから、支援に向けた手続きを進めていた。
 連合新潟の牧野茂夫会長は26日の執行委で「新型コロナウイルス禍で経済が悪化する中、連合として(花角知事との)意見を言える関係が引き続きできればいい」と、支援したい意向を伝えた。その後、非公開となり、関係者によると、異論は出ずに方針を決めた。
 牧野会長は執行委終了後、報道陣の取材に対し、仮に立民県連などが別の候補を擁立したとしても「(花角知事支援の)決定を覆すには、かなりハードルが高い」と話した。

2022年1月30日日曜日

浪江に「定置式水素ステーション」 伊達重機

 伊達重機と日本水素ステーションネットワーク合同会社は、商用定置式の水素ステーションを浪江町に今年12月完成開設を目指しています。

 水素は燃料電池車用の燃料になる他、燃焼しても炭酸ガスを発生させない燃料として注目されています。
 浪江町に整備される水素ステーションは、1時間当たり燃料電池車約10台分の充てんができます。
 伊達重機は、東京五輪で使われたトヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」50台購入してそのリースを行うことで水素社会実現に向けた機運醸成を図りたいとしています。
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浪江に「定置式水素ステーション」 伊達重機、12月開設目指す
                        福島民友 2022年01月28日
 伊達重機(浪江町)と日本水素ステーションネットワーク合同会社(東京都)は、相双地方で初めてとなる商用定置式の水素ステーションを浪江町川添に整備する。今年12月の完成、開設を目指す。世界最大級の水素製造拠点「福島水素エネルギー研究フィールド」(FH2R)が立地し、さまざまな水素関連の実証が展開されている「水素タウン」で、水素社会の実現に向けた動きが加速しそうだ。
 浪江町に整備される水素ステーションは、1時間当たり燃料電池車(FCV)約10台分の充てんができる。国と県の補助金を活用する。水素燃料は当面、県内の水素製造販売事業所から調達する。将来的にはFH2Rで製造された水素の活用を視野に入れ、水素の地産地消モデルの構築を目指す。
 伊達重機は1985(昭和60)年創業で、主にクレーンのリース事業などを浜通りで展開してきた。前司(ぜんじ)昭博専務(40)は「弊社リース事業は廃炉や復興作業で多く活用いただいているが、一方で環境への配慮が課題だ。FCVの普及拡大を図ることで、SDGs(持続可能な開発目標)を推進し、地域に貢献したい」と述べた。
 県によると、県内にある定置式の水素ステーションは現在、いわき市の1基のみ。2月に郡山市、新年度中に福島市で整備される計画がある。

ミライをリース
 伊達重機は、水素を燃料とするトヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI(ミライ)」のリース事業を昨年12月に始めた。車両は昨年の東京五輪で使われた中古車で、50台を購入した。前司専務は「浪江の水素ステーション整備を前に、水素社会実現に向けた機運醸成を図りたい」と語った。

廃炉創造ロボコン 熊本高専が特別賞 アイデア、高精度を評価

 福島第1原発の廃炉作業に使うロボットの機能やアイデアを競う「廃炉創造ロボコン」が、12高専13チームが出場して行われ、熊本高専熊本キャンパスロボコン部のロボットが特別賞に選ばれました。

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回転しながら除染 いいね! 廃炉創造ロボコン 熊本高専が特別賞 
  アイデア、高精度を評価
                         熊本日日新聞 2022/01/29
 東京電力福島第1原発の廃炉作業に使うロボットの機能やアイデアを競う「廃炉創造ロボコン」で、熊本高専熊本キャンパス(熊本県合志市)ロボコン部のロボットが特別賞に選ばれた。壁に付着した放射性物質を回転しながら除染する仕組みで、アイデアと精度の高さが評価された。
 日本原子力研究開発機構などが昨年12月に開き、12高専13チームが出場した。今回の課題は、高い放射線量で人が立ち入れない原子炉建屋内の壁上部の除染を想定。10分以内にS字コースを進み、2・7メートルの高さに張られた縦横約1メートルの模造紙をペンで塗りつぶす正確さを競った。
 同校制御情報システム工学科4年堤哲之介さん(19)、中川岬さん(19)、笹原征南さん(19)が作ったロボット「NULL(ヌル)」は、ペンを持つ回転部分が垂直に立ったレール上を上下左右に動いて色を塗る。実際は汚染部分を削って除染するため、「前後にも動かせ、壁に密着できる作りにした」と堤さん。
 ロボットの高さは50センチ~3メートルまで調整可能だが、笹原さんと中川さんは「回転装置の重さが10キロあるので、伸ばした時に重心を安定させるのが難しかった」と話す。走行用のタイヤとは別に、土台を支える足を作った。
 大会当日は、S字コースを進めなかったり、うまく塗れなかったりしたチームが半数ほどあった中で、3人はコース内の段差に苦戦したものの、模造紙までたどり着き、3分の1を塗った。堤さんは「足が動かなかったりケーブルが絡まったりするアクシデントがあったが、対応力が磨かれたと思う。今後に生かしたい」と話している。(深川杏樹)

30- 次世代原子炉「高速炉」開発で日米が覚書 (詳報)

 NHKが題記の記事を出しましたので詳報として紹介します。
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      (1月27日)米の高速炉開発に協力覚書を締結 原子力機構など
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次世代原子炉「高速炉」開発で日米が覚書 技術協力など協議へ
                    NHK NEWS WEB 2022年1月27日
次世代の原子炉の一つ、「高速炉」の開発について、日本原子力研究開発機構と三菱重工業などがアメリカの原子力エネルギー企業と覚書を取り交わし、技術協力などが可能か協議を始めることになりました。
高速炉は、発電の過程で原発の使用済み核燃料から出る放射性廃棄物を減らせるなど「次世代の原子炉」とも呼ばれ、アメリカの原子力エネルギー企業「テラパワー」がエネルギー省の支援を受けて2028年の運転開始を目指しています。
覚書は、テラパワーと、国内で研究開発を進めている日本原子力研究開発機構、三菱重工業とその子会社の間で26日付けで取り交わされました
開発中の高速炉は、原子炉の熱を制御する冷却材に水ではなくナトリウムを使います
国内には同じタイプが2基あり、いずれも原子力機構が運営していますが、このうち福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」は試験運転の開始以降22年のうち稼働は250日で、実用化の道筋がつけられないまま6年前に廃炉が決まっています
原子力機構によりますと、今後、テラパワーとの間でもんじゅの技術が活用できるかなど具体的に協議するとしています。

一方で、高速炉を含む次世代の原子炉の国内での利用をめぐっては、萩生田経済産業大臣が今月7日の会見で「現時点において国内で新規建設していくことは想定していない」と述べています。 

2022年1月29日土曜日

元首相5人がEUに 原発「グリーン」に認定反対の書簡を提出

 EU欧州委員会が今月、発電時に二酸化炭素を出さない原発を地球温暖化対策に資する“グリーン”な投資先として認定する方針を示したことに対し、小泉純一郎氏ら日本の首相経験者5人は29日までに、原発推進は未来を脅かす「亡国の政策」だと批判し、方針撤回を求める連名の書簡をフォンデアライエン欧州委員長に送りました

 書簡は27日付で、ほかの4人は細川護熙、菅直人、鳩山由紀夫、村山富市の各氏です
 関連して小泉・菅(直人)元首相は27日日本外国特派員協会で記者会見をしました
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日本の元首相5人がEUに書簡 原発「グリーン」に認定反対
                            共同通信 2022/01/29
 欧州連合(EU)欧州委員会が今月、発電時に二酸化炭素を出さない原発を地球温暖化対策に資する“グリーン”な投資先として認定する方針を示したことに対し、小泉純一郎氏ら日本の首相経験者5人は29日までに、原発推進は未来を脅かす「亡国の政策」だと批判し、方針撤回を求める連名の書簡をフォンデアライエン欧州委員長に送った。
 正式に認定されれば、原発事業に対する資金調達が容易になり、日本の原発政策にも影響を与える可能性が指摘される。
 書簡は27日付。ほかの4人は細川護熙、菅直人、鳩山由紀夫、村山富市の各氏。


小泉純一郎・菅直人元首相2人が「脱原発」で結託も…会見サプライズなしのドッチラケ
                          日刊ゲンダイ 2022/01/28
 肩透かし感は否めない。小泉純一郎元首相(80)と立憲民主党の菅直人元首相(75)が27日、日本外国特派員協会で会見。2人の“ライフワーク”である脱原発・脱炭素を改めて訴えた。
 元首相2人がわざわざ出張ってきたのは、グリーンな投資促進を目指す「EUタクソノミー」からの原発除外を欧州委員会に求めるため。同会委員長宛てに27日付で「脱原発と脱炭素の共存は可能」と訴える声明を出すにあたり、会見を開催した。声明は小泉氏、菅氏の他に、細川護熙氏、鳩山由紀夫氏、村山富市氏の元首相5人の連名だ。
 小泉元首相は静かに「原発ゼロは難しい問題じゃない」と口を開くと、「(原発が)安全、コスト安、クリーンという3つの大義名分は全部ウソ」と主張。「日本は太陽、風力、水力といった自然エネルギーに恵まれている。なぜ、できることをやらないのか」などと語気を強めた。
 菅元首相も「(小泉と)意見は100%一致」だとして、農地に立てた支柱に太陽光発電設備を設置して太陽光を農業生産と発電で共有する「営農型太陽光発電」の意義について力説。日本国内に広がる400万ヘクタールの農地を生かせば、日本全体で年間に消費する電力量の2倍を発電できると訴えた。
 小泉元首相と菅元首相がそろって特派員協会で会見するのは今回が2度目。記者から新党結成について話題を振られたが、「引退してから政界にノータッチ。余計な口出しはしない」(小泉元首相)、「考えていない」(菅元首相)と、サプライズ演出はゼロ。小泉元首相は引退したとはいえ自民党に顔が利くはずだが、原子力の小型モジュール炉(SMR)や高速炉の実用化を目指す岸田政権にひと言も触れなかった。
 元首相2人が10年以上にわたり脱原発を訴えても、岸田首相は原発再稼働に前向きだ。日本の元首相の影響力はしょせん、その程度なのか。


小泉元首相、原発は無責任
                            時事通信 2022/01/27
 小泉純一郎元首相は27日、日本外国特派員協会で記者会見し、原発に関し、「核のごみがどんどん増えていく。これは無責任ではないか。処分場がないのにどうして政府は(原発を)許可しているのか理解できない」と語った
 持論の「原発ゼロ」については「難しい問題ではない。日本は自然エネルギーに最も恵まれた国の一つだ」と指摘。その上で、「トップがかわるしかない。政治から変えていく」と強調した。 

甲状腺がん患者6人が東京電力を提訴(続報)

 福島民友が題記の件を報じましたので続報として紹介します。

 事故以来一貫して福島県の甲状腺がんを原発事故の被曝とは関係ないとしている同県の専門家会議や医師会には不信感しか湧きません。
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甲状腺がん患者6人が東京電力提訴 原発事故との因果関係問う
                         福島民友新聞 2022/01/28
 甲状腺がんになったのは東京電力福島第1原発事故による放射線被ばくの影響だとして、事故当時6~16歳で県内に住んでいた男女6人が27日、東電に計6億1600万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
 原告の20代女性は同日、都内で記者会見し「(がん患者であることで)差別を受けるのではないかと恐れ、誰にも言えず10年間を過ごしてきた。この状況を変えたい」と提訴の理由を語った。
 弁護団によると、原発事故と甲状腺がんの因果関係を問う初めての集団訴訟。県の「県民健康調査」の検討委員会は、これまで「現時点で甲状腺がんと放射線被ばくの間に関連は認められない」との報告書をまとめている。
 原告は県民健康調査でがんと診断されるなどした6人で、4人が中通り、2人が会津地域と相双地域に居住していた。2人が手術で甲状腺の片側を切除し、4人は再発により全摘した。6人は現在17~27歳で福島、東京、神奈川の各都県で暮らしている。
 記者会見で20代女性は2016年、大学2年生の時にがんと診断されたと説明。医師から原発事故と関係がないと告げられ、涙を流す母親を見つめることしかできなかったという。手術後も体調が優れず、夢だった仕事も諦めたとし「同じようにがんと診断され、苦しんでいる人の現状を知ってもらい、がん患者の恒久対策やサポートにつなげてほしい」と訴えた。
 また事故当時、高校1年だった別の原告の母親(63)=会津若松市=は「息子ががんと診断され、何がいけなかったのか、親として責任を感じ続けている。事故との因果関係をはっきりしてほしい」と求めた。
 東電は「訴状が送達された場合、請求内容や主張を確認した上で誠実に対応していきたい」としている

21年の汚染水の発生量は150トン/日 福島第1原発

 福島原発の核燃料デブリの冷却生じる汚染水量140トン/日とされていましたが21年は150トン/日で、20年より1日当たり10トン程度増加しました。
 降水量が年間1697ミリで、原発事故後最多だったことなどが原因とみています
 凍土壁が不完全なのに加えて雨水の始末も不十分というようなことでは、25年内に本当に100トン以下に出来るのでしょうか。
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汚染水1日当たり150トン 福島第1原発、21年1年間の発生量
                          福島民友新聞 2022/01/28
 東京電力は27日、福島第1原発で2021年に発生した汚染水の量が、1日当たり150トンだったと発表した20年の発生量と比べると、1日当たり10トン程度増加している。
 東電は第1原発で観測された降水量が年間1697ミリで、原発事故後最多だったことなどが原因とみている。
 政府の廃炉に向けた工程表「中長期ロードマップ」では、1日当たりの汚染水発生量を25年内に100トン以下とすることを目標にしている。東電は「建屋への雨水流入を防ぐなど低減対策を続けていく」としている。

 汚染水が増えると、汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化して貯蔵する「処理水」の量も増える。会見した小野明福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は「どうしても発生量がすぐにゼロにとはいかない。ALPSで処理し、最終処分を考える必要がある」と述べた。 

29- スウェーデンが「核のゴミ」最終処分場の建設計画を承認(続報)

 原発賛成派の読売新聞が題記の件を報じましたので、続報として紹介します。

 同紙が伝えるように最終処分場がなければ使用済み核燃料行き場を失なうので、早晩原発は行き詰まります。原子力発電環境整備機構NUMO)行っている埋設適地の調査に期待しているのでしょうが、広い世界でもまだ2カ所しか見つかっていない中で、地震と火山の集積地である日本で見つかる可能性はゼロです。
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スウェーデンが「核のゴミ」最終処分場の建設計画を承認…世界2例目
                           読売新聞 2022/01/28
 スウェーデン政府は27日、原子力発電所から出る「核のゴミ」の最終処分場の建設計画を承認したと発表した。世界では、フィンランドに続く2例目となる見通しだ。一方、日本では北海道の2町村で立地調査の第1段階となる「文献調査」が進んでいるが、建設のめどは立っていない。
 スウェーデンの建設予定地は、首都ストックホルムの北約120キロ・メートルにある。使用済み核燃料を専用の容器に入れて、地下500メートルで保存する。2030年代の稼働を目指す。フィンランドでは、25年までに世界初となる最終処分場が稼働する見通しだ。
 スウェーデンのアニカ・ストランドハル気候・環境相は声明で、「(最終処分場建設の)決断をせずに、廃棄物をタンクにため続けるのは無責任。電力供給を支える長期的な条件でもある」と述べた。
 日本は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する「核燃料サイクル」の実現を目指しており、この過程で出る高レベル放射性廃棄物の最終処分が課題になっている。
 処分場の調査は3段階にわたる。近くに火山や活断層がないか過去の記録から調べる「文献調査」、掘削して地質などを調べる「概要調査」を経て、地下に施設を作り地盤の安定性などを調べる「精密調査」に進む。原子力発電環境整備機構(NUMO)が事業主体となり、作業を実施している
 2007年には、高知県東洋町が全国で初めて調査に応募したが、開始前に住民の反対で撤回に追い込まれた。その後、20年に北海道寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が名乗りを上げ、初めての文献調査が進んでいる。今年11月頃に終了する見通しだが、その後の二つの調査に18年程度かかり、仮に処分地として決定しても施設の建設には10年程度かかるとされている。
 最終処分場がなければ核燃料サイクルを実現できず、使用済み核燃料が行き場を失う。既に全国の原発では、敷地内で貯蔵できる使用済み核燃料が容量の約8割に達している。放置すれば、運転を中止せざるを得ない原発が出る可能性もある

2022年1月28日金曜日

柏崎刈羽原発稲垣所長「発電所を生まれ変わらせる」と決意表明

 柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は27日、ことし初記者会見で「発電所を生まれ変わらせる」と決意を述べ「原子力改革が、皆さんの目に見える形になるまでは、再稼働時期がどうこうという発言をするつもりもないし資格もないと思っています(要旨)と語りました。

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事実上の運転禁止の柏崎刈羽原発 稲垣所長「発電所を生まれ変わらせる」
                       TeNYテレビ新潟 2022/01/27
東京電力・柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は1月27日、ことし初めてとなる記者会見で「発電所を生まれ変わらせる」と決意を述べました
去年、核セキュリティーの不備など重大な問題が相次いだ柏崎刈羽原発・・原子力規制委員会から事実上の運転禁止が命じられ、現在、追加検査が行われています。
ことし初めてとなる会見に臨んだ稲垣所長は。
〈東京電力・柏崎刈羽原発 稲垣武之所長「発電所部門および原子力部門をしっかりと生まれ変わらせ、地元の皆さまにご信頼いただき、地元の発電所として受け入れていただけるよう、行動と実績でお示ししてまいりたいと考えております」
東京電力が目指す7号機の再稼働の時期については・・
〈東京電力・柏崎刈羽原発 稲垣武之所長「原子力改革をひとつひとつ進めるしかないと思ってますので皆さま方に目に見える形になるまでは、再稼働時期がどうこうという発言をするつもりもありませんし資格もないと思っております
稲垣所長は3月末までに全ての所員とミーティングを行い意識の向上を図りたいとしています。

原発事故時の被ばくで甲状腺がんと提訴 福島在住の6人

 福島原発事故による放射線被ばくの影響で甲状腺がんになったとして、事故当時6~16歳で、福島県に住んでいた男女6人が27日、東電に計6億1600万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。

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   (1月19日)原発事故の被ばくで甲状腺がんに 当時子どもだった6人が東電を提訴へ
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被ばくで甲状腺がんと提訴 福島原発事故時6~16歳の6人
                            共同通信 2022/1/27
 東京電力福島第1原発事故による放射線被ばくの影響で甲状腺がんになったとして、事故当時6~16歳で、福島県に住んでいた男女6人が27日、東電に計6億1600万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。原告の20代女性は同日、東京都内で記者会見し「差別を恐れ、がんについて誰にも言えずに過ごしてきた。声を上げることでこの状況を変えたい」と訴えた。
 福島県の専門家会議は、被ばくと甲状腺がんの因果関係について「現時点で認められない」としており、訴訟では因果関係の有無が最大の争点になる見通し。
 東電は「請求内容や主張を詳しく聞いた上で誠実に対応したい」とコメントした。

原発汚染水で学習会 海洋放出に断固反対 宮城

 福島原汚染水の海洋放出問をめぐって26日、宮城・福島県の生協や漁協との共催で学習会を開きました。

 講師の長谷川公一・東北大名誉教授が ▽食物連鎖や生態系濃縮のリスク評価が行われてない ▽海底への沈殿物の堆積を前提としてない ▽宮城県沖は東電のモニタリング対象になっていない  など問題点を指摘し、「はじめから海放出ありきで進めてい」と語りました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発汚染水で学習会 海洋放出に断固反対
                         しんぶん赤旗2022年1月27日
 東京電力福島第1原汚染水の海洋放出問をめぐって宮城県内の消費者団体や市民団体でつくる「消費者行政の充実強化をすすめる懇談会みやぎ」は26日、仙台市で学習会を開きました。宮城・島県の生協や漁協との共催です。
 講師の長谷川公一・東北大名誉教授が海洋放出について▽食物連鎖や生態系濃縮のリスク評価が行われてない ▽海底への沈殿物の堆積を前提としてない ▽宮城県沖は東電のモニタリング対象になっていない  など問題点を指摘しました
 長谷川氏は「30年かけて海に流すことが合理的でしまうか。『海に捨てれば見えなくなる』『忘れてくれる』と考えて、はじめから海放出ありきで進めています」と語りました。
 宮城県漁協の奥田一也指導部長がリモートで、宮城の水産の現状を報告。「震災から宮城の水産を立て直すため一生懸命頑張ってきた漁業者として、断固反対です」と訴えました。
 オンライン配信と合わせて約150人が参加。会場で参加した女性(41)は「海に捨てれば見えなくなるという講師の指摘には驚きました。ますます許すわけにはいかないと思いました」と話しまだ。

核ごみ最終処分場を承認 スウェーデン

 スウェーデン政府は27日、原発から核のごみ最終処分場を同国南部エストハンマルのフォルスマルクに建設する計画を承認しました。フィンランドの「オンカロ」に続き世界で2例目となります。

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核ごみ最終処分場を承認 スウェーデン、世界2例目
                            共同通信 2022/1/28
【ロンドン共同】スウェーデン政府は27日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場を同国南部エストハンマルのフォルスマルクに建設する計画を承認した。同国政府が発表した。稼働は2030年以降の見通し。世界初の最終処分場「オンカロ」建設が進むフィンランドに続き、世界で2例目となる。
 ロイター通信などによると、スウェーデンには原発が導入された1970年代からの核のごみ約8千トンがある。ストランドヘル環境相は「(放射線の影響がなくなるまでの)約10万年間、安全に保管するための長年の研究と技術の成果だ」と意義を強調した。

28- 原発の住民投票条例に米子市長が反対の意見書

 鳥取県米子市の市民団体島根原発稼働の是非を問う住民投票を実現すべく、必要な法定署名数である有権者の50分の1を上回る約1万3000筆の署名を集め直接請求した件で、米子市の伊木隆司市長は、条例制定に反対する意見を付けて2月に開かれる臨時議会に条例案を提出することを明らかにしました大勢の米子市民の署名にもかかわらず大変残念なことです住民投票条例案は、21日に開会する米子市の臨時議会で提案され、2日に意見陳述を行ったあと、3日に採決を行います。

追記) かつて新潟県で市民団代が柏崎刈羽原発に対して同様の直接請求を行った際、それまでは請求に賛成の態度を見せていた当時の泉田知事が、賛成なのか反対なのか分からない意見書を提出して、関係者をガッカリさせました。
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鳥取県米子市 原発の住民投票条例に反対の意見書
                         中海テレビ放送 2022/01/27
鳥取県米子市の伊木隆司市長は、島根原子力発電所の再稼働の是非を問う住民投票条例制定の直接請求を受け、条例制定に反対する意見を付けて2月に開かれる臨時議会に条例案を提出することを明らかにしました。
島根原子力発電所2号機は、2021年9月に再稼働に必要な原子力規制委員会の審査に合格しました。
再稼働の是非について住民投票の実現を目指す市民団体「島根原発稼働の是非を問う住民投票を実現する会・米子は、これまでに直接請求に必要な法定署名数である有権者の50分の1を上回る約1万3,000筆の署名を集めました。そして、1月20日に住民投票条例の制定を伊木市長に請求していました。
これを受けて伊木市長は1月26日、地方自治法の規定に基づいて公表した意見書の中で意思を示しました。この中で伊木市長は、「原発の稼働は国が責任を持って判断するべきもの」として住民投票に反対する考えを表明しました。
これに対し、「島根原発稼働の是非を問う住民投票を実現する会・米子」の共同代表・河合康明さんは「大勢の米子市民の方から署名をいただいて、(住民投票条例について)賛成いただけると思っていたので非常に残念です」と話しました。
住民投票条例案は、2月1日に開会する米子市の臨時議会で提案され、2日に意見陳述を行ったあと、3日に採決を行います