2023年9月30日土曜日

四国電力の今年夏の電力供給量は前の年を下回る 消費者の節電で

 四国電力の今年夏の電力供給量は、1日最大で前の年を5%あまり下回り電力予備率は猛暑8月21日でも11%でした。消費者の節電が大きな要因としています。
 電力会社が電力供給量の余裕率不足の惧れを宣伝する一方で、国民に節電を強調しないのは、国民が節電に励むと余裕が十分になって原発を稼働させる必要がなくなるからだと言われています。
 そこまでしても危険な原発を稼働させたいということです。
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四国電力の今年夏の電力供給量は前の年を下回る 「消費者の節電で安定して電力を供給できた」
                          RSK山陽放送 2023/9/29
四国電力の今年夏の電力供給量は、1日最大で前の年を5%あまり下回りました。消費者の節電が大きな要因としています。
四国電力はきのう(28日)開いた会見で、今年夏の最大電力量は8月21日に記録した約491万キロワットで、2022年の518万キロワットを52%下回ったと発表しました。
電力を安定的に供給するための目安となる予備率は、8月21日は11%で四国電力では猛暑の中でも消費者が上手く節電をしたことで安定して電力を供給できたと分析しています。
また会見では、平均的な1か月の電気料金が11月には7337円となる見通しが示されました。国の負担軽減措置が11月以降も延長され1年前に比べると600円近く安くなっています。

東電、処理水放出で水産業者に賠償開始

 東電は29日、中国などの水産物輸入停止措置で損害を受けた水産業者に賠償金の支払いを開始したと発表しました。金額などはです。
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東電、処理水放出で水産業者に賠償開始
                            共同通信 2023/9/29
 東京電力は29日、福島第1原発の処理水海洋放出開始後、中国などの水産物輸入停止措置で損害を受けた水産業者に賠償金の支払いを開始したと発表した。金額などは明らかにしていない。

ロシアも「日本水産物」輸入中断を検討

 原発汚染水放流に対してロシアが輸入制限措置の検討に入りました。
 ロシアは日本政府に対して放射性物質の測定方法に関する情報を1016日までに提供するよう要請しました。実際にロシアが日本水産物に対する制限措置に踏み切るかどうかは日本との協議の後に決めるということです。
 昨年ロシアが輸入した日本産水産物は190トンなので、日本の全体水産物輸出物量63万トンに比較するとわずかです
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「放射性物質の測定情報の提供を」 ロシアも「日本水産物」輸入中断を検討
                        中央日報日本語版 2023/9/27
汚染水放流を契機に中国が日本産水産物を全面禁輸措置を取っていることに続き、今度はロシアが制限措置の検討に入ったと読売新聞が27日、報じた
同紙はロシア食品安全監視当局のホームページに掲載された情報を根拠にロシアの制限措置検討を伝えた。ロシアが中国と食品安全などに対する会議を開き、水産物に含まれた放射性物質の測定などに対して協力することにしたと伝えた。
同紙によると、ロシアはこれに対する後続措置として日本政府に対して放射性物質の測定方法に関する情報を10月16日までに提供するよう要請する内容が入った文書を伝達した。実際にロシアが日本水産物に対する制限措置に踏み切るかどうかについては日本との協議の後に決めるだろうと付け加えた。
この日、タス通信もロシア検疫当局である連邦獣医・植物検疫監督局の声明を伝えて中国輸入制裁への参加を検討すると伝えた。

実際にロシアが日本産水産物輸入制限措置に出るにしても影響は中国ほどは大きくない見通しだ。昨年基準ロシアが輸入した日本産水産物は190トンで日本が同じ年輸出した全体水産物輸出物量(63万トン)に比較するとわずかだ。
ロシアまで日本圧迫に踏み切る中で中国と日本の葛藤も深まっている。25日(現地時間)、オーストリア・ウィーンで開かれた国際原子力機関(IAEA)年次総会で両国は汚染水を巡り尖鋭な立場の対立を見せた。中国国家原子力機構の劉敬副主任が「核汚染水」と呼称しながら日本の汚染水放流を批判すると、高市早苗経済安全保障担当相はこれを「処理水」と修正して中国側が福島原発よりも多くの放射性物質を排出している点を指摘した。
日本は中国の汚染水放流に伴う水産物禁輸措置に反発して今月初めに世界貿易機関(WTO)に中国の水産物禁輸を容認できないという立場をまとめた書面を提出することもした。日本国内では中国に対するWTO提訴に対する声もあがっている。

一方、日本は今月11日に1回目の放流(7800トン)を終えて2回目の流準備に入った。東京電力は来年3月まで福島原発に保管されている汚染水の約2.3%に該当する合計3万1200トンを放流する予定だ。

10月5日から原発汚染水2回目の放流開始 韓国「しっかりと確認していく」

 日本政府と東電は福島第原発の2回目の汚染水を来月5日から17日間かけて約7800トンの海洋放流を行う予定です。1日の放流量は460トンになるものと予想されます
 韓国政府は「1次放流の時と同じように東電がリアルタイム提供するデータ、試料採取および分析後の公開情報などに対して徹底的にモニタリングする」と説明しまし
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日本、来月5日から汚染水2回目の放流開始…韓国「安全性をしっかりと確認していく」
                         中央日報日本語版 2023/9/29
日本政府と東京電力は福島第一原発の2回目の汚染水海洋放流を来月5日に開始することにした。
東京電力は28日の記者会見を通じて来月5日から17日間かけて約7800トンの海洋放流を行う予定だと発表した。
2回目の放流期間に1回目の時と同じように汚染水を大量の海水と混ぜて原発の海洋に放出する計画だ。一日の放流量は460トンになるものと予想される。
東京電力は先月24日から今月11日まで19日間、汚染水約7800トンの放流を終えた。東京電力は1回目の放流は排出基準値をクリアし、放流施設にも問題がないことを確認したと明らかにした。
東京電力の汚染水2回目の放流計画に対して韓国政府は「汚染水2次放流状況を持続的にモニタリングして国民の安全と健康に影響を及ぼすことがないように最善の措置を取っていく計画」という立場を出した。

韓国国務調整室は報道参考資料を出して「1次放流の時と同じように東京電力がリアルタイム提供するデータ、試料採取および分析後の公開情報などに対して徹底的にモニタリングする」と説明した。
続いて「韓国-国際原子力機関(IAEA)情報共有メカニズム(IKFIM)」に基づいて韓国人専門家のIAEA福島現場事務所への派遣、テレビ会議および書面情報共有などを通してIAEAの検証活動についての情報提供を受ける計画だと付け加えた。
国調室はこのような情報に基づいて「東京電力が計画通り放流しているかどうかなど安全性をしっかりと確認・点検していく計画」と明らかにした。
東京電力は来年3月まで4回にわけて汚染水3万1200トンを処分するという計画だ。

30- 日本原燃・六ヶ所再処理工場 年内の審査終了は「厳しい」と増田社長

 日本原燃の増田尚宏社長は28日、六ヶ所村にある使用済み核燃料の再処理工場について原子力規制委審査を年内で終了させる目標は厳しくなったとの認識を示しました。
 一方で工場の完成時期については引き続き「来年度上期のできるだけ早い時期」を目指すとしています。
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日本原燃・六ヶ所再処理工場 年内の審査終了は「厳しい」増田社長が見方示す「2024年度上期できるだけ早い時期」の完成は維持
                        ATV青森テレビ 2023/9/28
日本原燃の増田尚宏社長は28日、青森県六ヶ所村にある使用済み核燃料の再処理工場について原子力規制委員会による審査を年内で終了させる目標は、厳しくなったとの認識を示しました。
日本原燃 増田尚宏社長「審査会合を年内に終わらせると言っていたのに対しては、それは確かに厳しくなりました」

日本原燃は青森県六ヶ所村にある再処理工場で地盤のボーリング調査を行っていて、この調査で得たデータをもとに建物と設備の耐震評価の前提となる“地盤モデル”を2023年12月までに作成します。その結果を原子力規制委員会に提示できるのは年明けとなる見込みで、年内の審査終了は厳しい状況です。一方で工場の完成時期については引き続き「来年度上期のできるだけ早い時期」を目指すとしています。
日本原燃 増田尚宏社長「4~6月の早い時期と申し上げたのが厳しくなっているのは確かですが、なんとかしっかりとしゅん工目標の範囲内で仕上げようと考えています」
増田社長は工場の完成時期は変えないように「工夫していきたい」との考えを示しています。

2023年9月27日水曜日

「日本のメディアは腐っている!」海洋放出の“真の理由”小出裕章さんが熱弁

 18日 代々木公園で開催された 脱原発と温暖化対策を求める「ワタシのミライ イベント&パレード」でのトークセッションで小出裕章さんは 「処理水」という言葉を率先して使う日本のメディアに対し「腐りきっている」と批判しました
 そしてそもそも汚染水を溜めるタンクの置き場所がないので海洋放出するしかなかったと政府東電主張するが、福島第原発の広大な敷地があるし、第原発の周辺に中間貯蔵施設として確保した広大な土地があるので、新たにタンクを作ることは容易だと批判しました。
 また福島第原発からのトリチウムを含む汚染水を海に放出できないとなると、六ケ所村再処理工場を動かせなくなるので、その地ならしとしてトリチウムを海洋放出しても問題ないと、この際にメディアを通じて国民に周知させたかったのだと述べました。
 志葉 さんが小出さんの主張を紹介しました。
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「日本のメディアは腐っている!」海洋放出の“真の理由”、小出裕章さんが熱弁
                     志葉玲 ヤフーニュース 2023/9/26
                  フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
 福島第一原発からの放射性物質を含む大量の水を海に放出する―いわゆる「処理水」の海洋放出をめぐっては、中国側の日本産海産物の輸入停止措置への反発もあり、日本のメディアの報道は、明らかに冷静さを欠いていると言えるだろう。中国への批判のみならず、海洋放出に疑問を呈する日本国内の著名人や野党政治家などを吊し上げにするような記事が、連日のように掲載されている。こうした記事には「ファクトチェック」と称したものもあるが、その「ファクト(事実)」は矮小化され、あくまで政府や東電の主張を踏襲するだけのものであり、いわゆる「処理水」の海洋放出の構造的な問題への批判的分析が無い報道は、より「大きな嘘」を支えてすらいるのではないか。こうした中、元京都大学原子炉実験所助教で、脱原発の著書が多数ある小出裕章さんが、海洋放出の背景にある政府や東電等の「動機」について語った

〇日本のメディアへの小出さんの憤り
 今月18日、代々木公園(東京都渋谷区)で開催された、脱原発と温暖化対策を求める「ワタシのミライ イベント&パレード」でのトークセッションで小出さんは、率先して「処理水」という言葉を使う日本のメディアに対し「腐りきっている」と批判。また、そもそも、いわゆる「処理水」―これ以降、地の文では「処理汚染水」と表記する―を海洋放出する必要は無かったことを指摘した。「汚染水を溜めるタンクの置き場所が無く、海洋放出するしかなかったと政府や東電が主張するが、第二原発の広大な敷地があるし、福島第一原発の周辺には国が中間貯蔵施設として確保した広大な土地があるので、新たにタンクを作るなんてことは容易なことで汚染水を海に流さないことは簡単なことだ」(小出さん)

〇海洋放出の「真の理由」とは?
 処理汚染水については、陸上保管という代替案もあったのに、何故、政府や東電はあくまで海洋放出ありきで突き進んだのか。小出さんは海洋放出と日本の原子力政策との関係を指摘する。「原発の使用済み核燃料を、現在、青森県六ケ所村に建設中の六ケ所再処理工場で、再処理し、(核燃料として使える)プルトニウムを取り出し、残りは『核のゴミ』とするというのが、日本の原子力政策の根幹。しかし、トリチウムという放射性物質は取り除くことができないので、海へと放出することになる。六ケ所再処理工場では毎年800トンの核燃料を処理して、それに含まれていたトリチウムは全て海へ流されるが、もし、福島第一原発からのトリチウムを含む汚染水を海に放出できないとなると、六ケ所村再処理工場を動かせなくなり、日本の原子力政策は根幹から崩壊する」(小出さん)

 小出さんの言うように、六ケ所再処理工場は、原発からの使用済み核燃料を再処理し、ウランとプルトニウムを取り出し、燃料加工工場でMOX燃料にして、再び原発(軽水炉)で使用するという「核燃料サイクル」の中核を担う施設だ。





核燃料サイクル(軽水炉サイクル)のイメージ 出典:資源エネルギー庁


 もっとも、当初は1997年に完成するはずの六ケ所再処理工場だが、試運転中にトラブルが相次ぐなどして、その完成は延期を繰り返され、現在もいつ完成するか定かではない。例え、六ケ所再処理工場が完成したとしても、膨大な量のトリチウム等の放射性物質を環境中に放出し続けることになり、周囲への影響が懸念される海外の事例では、ラ・アーグ再処理工場(フランス)やセラフィールド再処理工場(イギリス)の周辺での白血病の増加等の健康問題、魚介類の汚染等が報告されているこうした問題は、国内外の報道でよく知られることであるが、今、日本の政府や東電、メディアが「放射性物質を海に流しても安全」とのキャンペーンを張っていることが、六ケ所再処理工場の稼働の地ならしになるというのが、小出さんの懸念するところなのだ。

〇日本の原子力の実態からの報道が必要
 小出さんは、処理汚染水の海洋放出の危険性もさることながら、より本質的な問題として、「原子力を許すかどうかという、根本的な問題に絡んでいく戦いが、今、行われている」と訴えた。こうした小出さんの訴えに、筆者も強く共感する。報道に関わるメディア人各氏は、日本のこれまでの原子力政策の問題点や、その中で実際に起きてきたことからの視点で、処理汚染水の海洋放出を論じるべきなのだろう。
                 (了)

*以下、本稿の本筋とは離れるが、脱原発を求める諸団体と、温暖化対策を求める諸団体が一緒になってイベントとパレードを行ったことの意義は大変大きいと筆者は感じる。これまで、特に市民団体系の脱原発運動の中には、政府や電力会社等の「温暖化対策には原発が必要」という主張に反発し、温暖化そのものを「原発業界の陰謀」と主張する人が少なからずいて、運動の中で影響力のある人の中にもこうした温暖化懐疑論を主張する人がいた。 
 だが、今回のイベントでは、反原発運動のレジェンドとも言える小出さんが、スウェーデンの環境運動家グレタ・トゥーンベリさんに呼応し温暖化防止を求める若者達「Fridays For Future Tokyo」のメンバーと共に登壇した。再生可能エネルギーの活用や省エネなど、脱原発と温暖化対策は両立する。そうした相互の協力への道が今回のイベントで開かれたと言えるだろう。



今月18日に行われた脱原発・温暖化対策を求めるパレード 筆者撮影


志葉 
フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

タンク解体どう対応? 満杯が迫るアルプスからの汚泥、保管も課題

 福島第1原発内の核汚染物質の処分について福島民報が取り上げました。
 アルプス処理水関連の核汚染物質は大物では貯水タンクがありますが、水バランス上からどういうスピードで処分できるのかは未定です。
 それ以前の問題として、多核種除去設備(アルプス)で浄化する過程で出る放射性物質を含む汚泥(スラリー)の保管場所満杯に近づき、対応に迫られています
 アルプスは吸着処理なので、汚染された使用済み吸着剤が定期的に汚泥(スラリー)として発生します。その保管場所も満杯に近づいているということですが、この処分方法も明らかにされていません。
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【処理水放出1カ月】
タンク解体どう対応? 満杯が迫る汚泥、保管も課題
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 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出開始から24日で1カ月となった。東京電力は初回分の放出をトラブルなく終え、9月下旬にも始める2回目の放出を見据えて準備を進めている。放出作業が進む一方、構内では廃炉に向けた新たな課題が浮上している。廃炉作業に必要な施設整備のためにタンクを撤去する方針だが、タンクの解体で出る廃棄物の減容化や置き場の見通しは立っていない。さらに汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化する過程で出る放射性物質を含む汚泥(スラリー)の保管場所も満杯に近づき、対応に迫られている。
 東京電力は福島第1原発の廃炉作業を進めるために使用済み核燃料や溶融核燃料(デブリ)などの保管施設、デブリ取り出しに向けた訓練施設、試料分析施設などを整備する計画だ。タンクを撤去して敷地を確保する方針だが、東京電力の担当者は「いつ、どのようにタンクを処分するかはまだ決まっていない」と現状を打ち明ける。
 理由の一つには、解体した鉄製タンクの減容化のめどが立たないことがある。構内では金属やコンクリートなどの廃棄物の減容化処理設備の設置作業が進むが、完成は今年5月から来年1月末にずれ込んだ。2028(令和10)年度末までに約9万トンの処理を想定しているが、この計画策定時にはタンクの廃棄物は含まれていなかった。改めて計画を練り直す必要がある。再利用の道も探るが、どの程度が再利用できるかは不透明だ。

 タンク解体で発生する金属は最終的に敷地内で保管するが、減容化や再利用する量の試算ができていないため、保管にどれだけの土地が必要かは見通せていない。タンク解体後の廃棄物の仮置き場も未定だ。
 一方、汚泥の保管場所は来夏ごろに満杯になる見通しで、東電は脱水して固体化し、減容化する処理施設の建設を計画している。だが、原子力規制委員会から安全対策が不十分との指摘を受け、来年度予定の供用開始時期は遅延を余儀なくされている。東電によると、2026年度ごろにずれ込む見通しだ。当面は汚泥発生量の抑制でしのぐ

 福島県原子力安全対策課の担当者は「放出が始まったばかりで見通せない部分は多いと思うが、国と東京福島県民に対し、タンクがどう減っていくかをしっかりと伝えてほしい」と求める。

 構内には約134万トンの処理水が約千基のタンクに保管され、容量全体の約97%を占める。今年度は約30基分に当たる約3万1200トンを4回に分けて放出する計画で、11日には初回分の約7800トンを流し終えた。ただ、原子炉建屋への地下水流入などで処理水のもとになる汚染水は日々発生しており、汚染水の抑制対策も課題だ。県漁連の野崎哲会長は「現状の課題や問題をきちんと共有した上で、解決に取り組んでもらいたい」と注文する。

■異常確認されず 海洋放出開始以降トリチウムの濃度
 国と東京電力、福島県などは福島第1原発周辺の海水、海産物に含まれる放射性物質トリチウムの濃度を測定・公表している。8月24日の海洋放出開始以降、異常は確認されていない。
 各機関は原発沖で試料を採取し、数日から1週間程度で結果が出る「迅速分析」(検出下限値1リットル当たり10ベクレル程度)、迅速分析よりも低い濃度まで検出できる「精密分析」(同0・1ベクレル程度)を実施している。

 東京電力は23日、原発の3キロ圏内の計10地点で採取した海水に含まれるトリチウム濃度の迅速分析の結果を発表した。全ての測定地点で検出下限値未満となり、東京電力が放出中止を判断する指標としている1リットル当たり700ベクレルを下回った。 

高レベル廃液固化、28年度完了は「非現実的」と規制委 東海再処理施設

 原子力規制委25日の会合で、原子力機構に対し、東海再処理施設廃止措置中で保管している高レベル放射性廃液のガラス固化作業を28年度に完了するとしている計画について「非現実的な数字ではないか」として見直すよう求めました。

 28年度末までにガラス固化体を880本製造する計画が溶融炉トラブルが相次ぎこれまでの製造は354本にとどまっています。
 同施設は23年3月末時点で、使用済み核燃料の再処理で固化対象の廃液約360立方メートル保管しています
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高レベル廃液固化、28年度完了は「非現実的」 規制委 原子力機構計画見直しへ 茨城・東海再処理施設
                             茨城新聞 2023/9/25
原子力規制委員会は25日の会合で、日本原子力研究開発機構(原子力機構)に対し、茨城県東海村の東海再処理施設(廃止措置中)で保管している高レベル放射性廃液のガラス固化作業を巡り、2028年度に完了するとしている計画について「非現実的な数字ではないか」として、見直すよう求めた。原子力機構は年内に見直す方針。
原子力機構は28年度末までにガラス固化体を880本製造する計画だが、溶融炉トラブルが相次ぎ、これまでの製造は354本にとどまっている。現在も固化作業は中断しており、溶融炉を交換した上で25年3月末にも再開させる
原子力機構は25年にも固化作業の全体スケジュールを改めて示すとしている。規制委は、再開から3年間で残り526本を作る現行計画の修正を求めた。
一方、原子力機構は既存の設備に不具合が生じたため、交換時期を見直す方針も示した。
同施設は23年3月末時点で、使用済み核燃料の再処理で発生した廃液を約360立方メートル保管している

課題は「処理途上水」 貯留タンクの7割が基準満たさず

 アルプス処理水の海洋放出について政府は「安全だ」と繰り返し説明していますが、西日本新聞は、貯留タンク千基分(133万トン)の水のうち7割は、安全基準を満たしていないことを明らかにしました。
 東電は安全性が確認されるまで2次処理(吸着処理?)を続けると説明していますが、その具体策はこれからということです吸着で取れない放射性物質はトリチウムだけではないので、どうするのかを対外的にも明らかにする必要があります。
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処理水放出から1カ月、課題は「処理途上水」 貯留タンクの7割が基準満たさず…浄化の流れを再確認
                            西日本新聞 2023/9/25
 東京電力福島第1原発の処理水放出が始まって24日で1カ月がたちました。この間、本紙「あなたの特命取材班」には「放射性物質の含まれる量など安全性を調べてほしい」といった投稿が相次ぎました。東電への取材や政府資料から、汚染水を浄化する流れをひもときます。(水山真人)

 あなとくちゃん:政府は「安全だ」と繰り返し説明しているね。
 記者第1原発では事故によって地下水などが原子炉建屋に流れ込み、溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れて汚染水となって増え続けているんだ。この水を活性炭や吸着材を詰めた塔で何度もろ過し、放射性物質を取り除いたものが処理水。その工程は浄水器のようなイメージで、ALPS(多核種除去設備)処理と呼ばれるよ。
 東電の担当者は処理水について「成人の1日の水分摂取量を2・6リットルとして1年間飲み続けても健康に問題ないレベル(年間計1ミリシーベルト未満)」と言うよ。トリチウムという取り除けない放射性物質があるため、さらに海水で100倍以上に薄めて放出するんだ。

 Q:科学的根拠に基づくんだね。
 A:心配なこともあるよ。貯留タンク千基分(133万トン)の水のうち7割は、安全基準を満たしていないんだ。ALPSは2013年に導入したものの、不具合が続き、放射性物質の除去が不完全な「処理途上水」が生まれたんだ。
 Q:それは知らなかった。どうするの。
 A:安全性が確認されるまで2次処理を続ける想定だそう。担当者は取材に「ALPSの使用を検討しているが、開始時期など詳細は未定」と答えたよ。具体策はこれからなんだ。
 Q:大丈夫かな。
 A:本年度は安全基準を満たす3万1200トンを放出する。これは政府がトリチウムの関係で限度とする放出量の4分の1に当たるよ。
 Q:放出はいつ終わるの。
 A:建屋解体など廃炉を完了させる目標の51年までの見込み。汚染水は1日90トン(昨年度の平均値、25メートルプールの4分の1分)ずつ増えている。着実に計画を進めてほしいね。
 Q:安全性のチェック体制は。
 A:東電は放出前後に3回、放射性物質濃度などを計測してウェブ上で公表している。国際原子力機関(IAEA)や政府も監視を続けているよ。

27- 海洋放出水めぐり 高市大臣 VS 中国 国際会議で激しい応酬

 25日に始まったIAEAの総会で、福島第1原発のアルプス処理水放出をめぐり高市科学技術相中国側と激しい応酬を繰り広げました。

 中国の代表団は「“核汚染水”の海洋放出は、原子力の安全性をめぐる重要な問題だ」厳しく非難したのに対して、高市氏は「突出した輸入規制をとっているのは中国のみ。日本としては引き続き、科学的根拠に基づく行動や、正確な情報発信を中国に対して求めていきます」と応じました。
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「中国のみが突出した輸入規制」 処理水めぐり高市大臣 VS 中国 国際会議で激しい応酬
              FNNプライムオンライン(フジテレビ系)2023/9/26
やや険しい表情で会場に入った、高市早苗科学技術相。
25日に始まった、IAEA(国際原子力機関)の総会で、福島第1原発の処理水放出をめぐり、中国側と激しい応酬を繰り広げた。
中国の代表団「“核汚染水”の海洋放出は、原子力の安全性をめぐる重要な問題だ」
処理水の海洋放出に反発し、1カ月以上にわたり、日本産水産物の輸入禁止措置を続けている中国政府。
中国の代表団は、今回も処理水を“核汚染水”と呼び、処理水放出を厳しく非難した。
その会場で、何やらあわただしく動き出した高市科学技術相。
黒いバインダーを広げ、硬い表情で資料を確認し始めた。
その後、一転して、笑みを浮かべながら登壇すると...。
高市科学技術相「突出した輸入規制をとっているのは中国のみです。日本としては引き続き、科学的根拠に基づく行動や、正確な情報発信を中国に対して求めていきます」
中国の代表団は、高市科学技術相の演説中、何やら言葉を交わすと、国名が書かれたプレートを立て、反論する機会を要求。
一方、演説を終えた高市科学技術相は「急きょ入れました、反論。ここ(IAEA総会)で言うか~。国連で言わはれへんかったのにね。最初から中国に対する反論は想定せずにきたので、バタバタでした」と述べた。
高市科学技術相の退出後、中国の代表団は「処理水を海洋放出しないよう努力すべきだ」と再び日本を批判。
これに、日本の引原大使は「中国には、トリチウムの年間排出量が、福島第1原発の5倍から10倍の原発もある」と再び反論した


高市早苗氏、処理水放出めぐり中国に猛反論…SNSで称賛あふれるも総裁選では放出反対の過去
                          SmartFLASH 2023/9/26
 9月25日、国際原子力機関(IAEA)の年次総会がウィーン本部で開幕。初日の一般討論演説で、日本と中国が、福島第1原発からの処理水の海洋放出をめぐり、火花を散らせた。
 中国は「核汚染水」との呼称を用い、「日本は関係国の強い反対をかえりみず、海への放出計画を始め、国際社会の幅広い懸念を引き起こした」と強く非難
 これに対し、高市早苗科学技術担当大臣は「IAEAのレビューで日本の取り組みは科学的基準に照らして安全という結論が示されている。日本政府は科学的根拠に基づき、高い透明性をもって国際社会に対して丁寧に説明していて、幅広い地域が日本の取り組みを理解し、支持している」と述べた
 さらに、高市氏は「IAEAに加盟しながら事実に基づかない発信や突出した輸入規制をとっているのは中国のみだ」と述べ、中国に対し「科学的根拠に基づく行動」や「正確な情報発信」をするよう、求めた。

 日本の代表団は、会場で福島のお酒をふるまうレセプションも開催。高市氏は記者団に「幅広い支持が得られていると感じた。個別の会談でもそういう感触を得たし、演説で日本を批判したのは中国だけであることからみても理解は広がっていると思う」と述べた。
 高市氏が、英語で、中国を強く批判したことに、SNSでは称賛する声が多くあがった。
《高市早苗氏、強すぎる!登壇して中国とバチバチの火花、科学に基づく反論を展開》
《英語ですかさず中国に反論。明確な姿勢は国際世論にも支持されるでしょう!》
《ちゃんと日本の言い分を堂々と臆することなく主張してくれた高市さんを支持します》

 一方で、SNSにはこんな声も。
《高市大臣がきちんと中国に反論したことは評価するが、2年前の総裁選で処理水の海洋放出反対を明言したことは忘れない。ポピュリズムに流れず科学に基づく政策を進めるのか見せていただく
 2021年9月8日、自民党総裁選への立候補を表明した記者会見で、処理水放出について問われた高市氏は、「処理水の放出(方針決定)は大変驚いた」とし、2015年に政府が福島県漁連に「関係者の理解なしに、いかなる処分もおこなわない」と約束した文書の出し主が自分だと明かした。
 当時、経産相が海外出張だったため、総務相だった高市氏が一時的に代理したという。「私の名前が使われているのもあって非常に強い責任を感じている」としたうえで、「日本全体に風評被害を広げてしまう可能性がある。リスクがある限り、私であれば放出の決断はしない」と明言していた。
 その一方、出馬会見では「福島第1原子力発電所事故によります風評被害の払拭。これを急がなければなりません」とも発言している。
 今回の中国への猛反論は、「外交の強化」ということか。「核汚染水」と理不尽な主張を続ける中国に対し、高市氏には毅然とした態度を続けてほしいものだ。

2023年9月25日月曜日

なくそテ原発 2023 柏崎大集会に1000人超が参加

 24日の「なくそテ原発 2023 柏崎大集会」には、湯沢町から12人、南魚沼市から5人が参加し、健やかな好天の下、総勢17人のバスツアーで柏崎市の会場に入りました。なお湯沢町のSさんご夫婦は自家用車で別行動にて会場に入られましたので、湯沢からの参加者は合計14人でした。
 今回は、コロナ禍のため4年ぶりの大集会でしたが、1000人超の人たちが集まり熱気にあふれる集会になりました。
 「集式次第」は下掲の通りでほぼ予定通りに進みました。

 「新たな情勢での決意表明」は「湯沢の会」と「新潟市民ネット」の代表が行いました。
 「湯沢の会」の南雲敏夫さんは発足後の会の活動について簡単に説明した後に「決意表明」をしました。
 集会の最後に「集会宣言案」が読み上げられ、満場の拍手で採択されました(末尾に掲示します)
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                          (12:45  15:10)

                 司会:つなけよう脱原発の輪上越の会 丸山美代子
 開会宣言
 開会挨拶: 小市 信
 協賛団体メッセージ
   原発をなくす全国連絡会
   さようなら原発1000万人アクション
                  【代読】原発ゼロ阿賀野の会 大賀あや子
 講 演 「あまりに愚かな日本の原子力政策」
         小出裕章さん(元京都大原子炉実験所助教)

 カンパの訴え  十日町・原発をなくす会 尾身むつ子
 バンド演奏  ウイズ コーション

 情勢報告 「新潟県における柏崎刈羽原発の再稼働問題の状況」
         佐々木寛さん(新潟国際情報大教授)

 実行委員会参加団体の紹介
 新たな情勢での決意表明
   原発をなくす湯沢の会     南雲敏夫
   なくそう原発・新潟市民ネット 遠山 武

 プラカード上げ 西区原発をなくす会   広瀬喜代子
 集会宣言採択  原発ゼロ長岡市民ネット 土田美佐子
 閉会宣言

  ○閉会後、パレードを行います。(15:30~16 : 30)
     パレード(デモ行進)の説明 原発問題を考える柏崎刈羽地域連絡センター


【これまでの「なくそテ原発・柏崎大集会」】
2014年 柏崎市で開催 メイン講演者・崎山比早子氏(元国会事故調査委・委員)
2015年 柏崎市で開催 メイン講演者・武藤類子氏(福島原発告訴団団長)
2016年 柏崎市で開催 メイン講演者・三上元氏(静岡県湖西市長〈当時〉/脱原発首長
                        会議世話人)
2017年 新潟市で開催 メイン講演者・古賀茂明氏(元経済産業省官僚)
2018年 柏崎市で開催 メイン講演者・吉原毅氏(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会
                        長)
2019年 柏崎市で開催 メイン講演者・金子勝氏(慶応大学名誉教授)


                

「なくそテ原発2023柏崎大集会」は、新潟県、長野県、群馬県をはじめ全国から多数の参加をえて開催され、成功を収めました。新型ウイルス蔓延を経て四年ぶりの大集会開催によって、柏崎刈羽原発の再稼働反対、廃炉実現を大きくアピールすることができました。

 岸田政権は福島原発事故を忘れたかのように、「原発の最大限活用」を目指すとして原発回帰の推進法を成立させ、原発新設、運転期間の延長とともに、東京電力柏崎刈羽原発などの再稼働を強力に進めようとしています。岸田政権と東京電力は、福島事故によ発生した汚染水を、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」との約束を破り、海洋放出しました。海洋放出は、原発事故からの復興に尽力してきた福島の努力を台無しにしかねません。海洋放出に代わる具体的な提言を取り入れてください。海洋放出の中止を求めます。
 東京電力の失態・不祥事はとどまることかありません。原子力規制委員会は、柏崎刈羽原発の核物質防護不備改善にかかわる命令を解除せす、追加検査が行われています。東電には総出力世界一の原発を運転する能力も資格もないことが明らかで、これは多くの県民の共通認識となっています。一部に「東電による再稼働は受け入れられないが、他の経営主体なら再稼働も容認する」という意見も見られますが、これには賛同できません。事故時の避難の困難、解決方法のない使用済み核燃料問題原発敷地の軟らかな地盤と何本も走る活断層をかかえる柏崎刈羽原発を運転させることは非常に危険です。
 さらに新潟県では「三つの検証」の検証総括を、県当局が専門家を入れすに行ったことから、科学的で高い専門性が欠落した検証総括文書が作成される結果となりました。一方、池内了・元検証総括委員長を中心に科学者と市民と共に検証を行おうとする市民検証委員会が組織され、科学的な検証を目指しています。県民が納得できる形で検証総括を徹底して行うことが重要です。
 ロシアがウクライナを侵略し、原発を攻撃・占拠する事態が続いています。原発からの即時撤収を求めます。 福島原発事故は、環境を汚染し、多くの人ノマの暮らし、地域社会に、終わりの見えない甚大な被害をもたらしました。国と東京電力には被害者の恒久的救済を行うよう求めます。
 これまでの重大な原発事故で明らかなように、人の手による原発の制御はできません。人類は原発と共存できません。住民の命と暮らしを守る責任をもつ国や市町村など自治体の皆さんに求めます。原子力災害の危険から住民を守るために、直ちに原発推進政策をやめ、再生可能エネルギーヘの大転換をはかってください。

 新潟県には巻原発建設をくい止めるなど脈と原発反対運動の流れがあります。四年ぶりの集会を機に、さらなる運動の発展を図りましょう。 
 「なくそテ原発2023柏崎大集会」の閉会にあたり、改めて東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働を許さす、廃炉実現に向けて一層大きく、運動を進めていくことを、ここに宣言いたします。
                         2023年9月24日
                  「なくそテ原発2023柏崎大集会」参加者一同 

【注】「海洋放出に代わる具体的な提言」とは、汚染水をセメントと砂でモルタルで固化
   (アメリカの原発で実施)や大型タンク保管、広域遮水壁の建設など。