2021年3月31日水曜日

東京五輪・パラ開催に「NOを言う勇気」(植草一秀氏)

 IOCのトーマス・バッハ会長は常々7月23日の東京五輪の開幕を疑う理由はなく、問題は五輪が開催されるかではなくどう開催するかだ」と繰り返しています。五輪あってのIOCですから当然といえますが、その実態は巨大利権であり、五輪の中止がもたらす経済的損失や五輪ブランド低下のリスクだけは避けたいという思惑です。だから五輪を開くかどうかをIOCに相談するというのはもともとナンセンスです。

 国際的に相談する機関はWHO(世界保健機関)だと思いますが、開催の是非に直接言及するとは思えません。
 バッハ会長は3月のIOC総会で、開催が可能であることを「疑う余地のない証拠がある。昨年秋以降、270の世界選手権やワールドカップ(W杯)の主要大会が開催され、3万人以上が出場した。20万件超の検査を実施し、一つとして集団感染は起きなかった」と、それなりに説得力のある話をするとともに、「東京大会の成功は、常に科学と事実によって導かれないといけない」として、WHOや専門家のアドバイスが必要不可欠とも主張しました。
 日本政府や東京五輪パラ委員会はいまのところ中止の選択肢を持っていないようですが、それならそうした成功例に学び集団感染を起こさせない具体的な方策を持っているのでしょうか。当然持っていなくてはならないのですが・・・

 日本のコロナ感染状況の見通しから、五輪・パラの開催は無理であるとの立場から植草一秀氏が、「NOを言う勇気」と題したブログを出し、「日本が国民主権、民主主義の国家であるなら、五輪中止以外の選択はない」と述べました。
 その中で、日本が福島原発事故直後の「緊急事態」下で、「年間20ミリシーベルトまで許容できる」とする応急的な基準を決め、現在もそれを維持したままであるのに対して、福島原発事故の25年前にロシアで起きたチェルノブイリ原発事故では、当時のソ連が「避難の権利」と称される合理的な原則を定めたことに触れています。
 要するに日本が、如何に被ばく後進国であるかを示すものです。
 もしも「NOを言う勇気」を持たない日本が、集団感染を防止できる方策も立てられないままで五輪開催に突き進むようなら、国際的な非難は免れません。
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NOを言う勇気
                植草一秀の『知られざる真実』 2021年3月29日
Noと言う勇気が必要だ。
東京五輪については日本の主権者の多数が開催に反対している。恐らく8割以上の国民が反対していると思われる。
なぜ反対なのか。さまざまな理由がある。そもそも「復興五輪」と言いながら、福島の原発事故被災者を切り棄てての「復興五輪」はあり得ないとの主張がある。
一般公衆の被曝上限は年間1ミリシーベルトだ。
累積被ばく線量が100ミリシーベルトを超えると有意な有害性が認定されている。がん死リスクが0.5%上昇する。
1ミリシーベルトの被曝なら100年生きても累積線量が100ミリシーベルトに達しない。
これが年間線量上限を1ミリシーベルトとしている根拠だ。ICRP(国際放射線防護委員会)勧告に基づく法定値である。

ところが、2011年3月11日に人類史上最悪レベルの放射能事故が引き起こされた。
日本政府は同日、「緊急事態宣言」を発出した。この「緊急事態宣言」はいまも解除されていない。
「緊急事態宣言」発令下であることを盾に、高線量の放射能被曝が容認されている。
福島県内の学校等の校舎・校庭等の使用においては、年間線量20ミリシーベルトが容認されている。また、年間線量が20ミリシーベルト以下に低下することが見込まれる地域について避難指示が順次解除されてきた。避難指示解除が意味するのは、被曝を避けるために避難しても、補償を行わないということ。

チェルノブイリでは年間線量5ミリシーベルト以上の地域を強制避難の対象とした。
1~5ミリシーベルトの地域では住民に選択権が与えられた。避難を選択した者には当然のことながら避難費用が支給された。1ミリシーベルト以下の地域の住民に対しても社会経済的恩典が与えられた。
20ミリシーベルトの被曝は、たった5年で累積線量が100ミリシーベルトに達することを意味する。100ミリシーベルトの被曝でがん死リスクが0.5%上昇するとの「確率的影響」が科学的知見として認められている。
このがん死リスクを住民に強要する正当性は存在しない。
五輪に注ぐ公費があるなら、その前に、年間線量1~20ミリシーベルトの地域の住民に対する避難費用の補償を行うことは当然のこと。原発事故被害者を切り棄てて五輪騒ぎにうつつを抜かすことが、そもそも許されるものでない。

福島の原発事故被害者を切り棄てて五輪騒ぎにうつつを抜かすことが正当化されないだけでなく、コロナ問題に苦しむ日本が五輪騒ぎにうつつを抜かすべきでないとの主張も強い。
日本の主権者の8割以上が五輪開催強行に反対する最大の理由がこれだ。日本の主権者はコロナ収束こそ最優先課題であると判断している。
コロナ感染を収束させるには人流の抑制が必要だ。もっとも感染拡大につながりやすい行動が多人数による会食である
会食の際に会話を行うと、飛沫の飛散によって感染が広がる。
これを防ぐには多人数による会話を伴う会食機会を抑制する必要がある。
しかし、食事そのものが有害なわけではない。「個食」、「黙食」のリスクは大きくない。
飲食店への影響を考慮するなら、「会話を伴う会食」と「個食」、「黙食」を明確に区別するべきだ。

3月初旬から新規陽性者数が増加に転じた。
このタイミングで緊急事態宣言を解除すれば人流が急激に拡大する可能性が高い。
さらに、五輪組織委員会は五輪聖火リレーを強行している。聖火リレー自体が感染拡大の原因になる。
五輪開催強行はコロナ感染状況を確実に悪化させる。コロナ感染拡大の代償を払って五輪開催を望む主権者国民は圧倒的少数である。
日本が国民主権、民主主義の国家であるなら、五輪中止以外の選択はない。

「UIチャンネル」第380回放送、鳩山元首相との対談がアップされております。
  https://bit.ly/37cW7Bs ぜひご高覧賜りたい。
            (以下は有料ブログのため非公開)

花角知事 4月5日に規制庁訪問 規制委委員長は面会せず

 花角英世知事4月5日に東京都内の原子力規制委員会を訪れ、規制委の事務局、原子力規制庁の荻野徹長官と面会する予定で、規制当局に対し、東電に原発を動かす技術的能力があるかを再評価するよう要請する見通しです。

 規制庁によると原発立地地域の首長と規制委員が庁内で面会し、要望を受けることはないということです
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花角知事 4月5日に規制庁訪問 規制委委員長は面会せず
                            新潟日報 2021/03/30
 新潟県は29日、花角英世知事が4月5日に東京都内の原子力規制委員会を訪れ、規制委の事務局、原子力規制庁の荻野徹長官と面会すると発表した。東京電力柏崎刈羽原発でテロなどを防ぐ核物質防護体制の不備が相次いだ問題を受け、花角氏が規制当局に対し、東電に原発を動かす技術的能力があるかを再評価するよう要請する見通しだ。
 規制委では、本県の泉田裕彦元知事が2015年、全国知事会の危機管理・防災特別委員長の立場で規制委の田中俊一委員長(当時)と面会したことがある。ただ、規制庁によると、原則として原発立地地域の首長と委員が庁内で面会し、要望を受けることはないという。
 今回の面会も、事務局トップの荻野長官が応対し、規制委の更田豊志委員長ら委員は参加しない。
 東電が再稼働を目指す同原発7号機は、昨年10月に規制委の全審査が終わり、再稼働に向けた最終盤の検査に入っていた。だが、今年に入り、同原発所員による中央制御室への不正入室問題と、テロ防止に関わる侵入検知設備が長期間にわたって機能を失っていた問題が相次いで発覚した。
 一連の問題を受け、規制委は東電に核燃料物質の移動を禁じる是正措置命令を出す方針を決めた。
 一方、花角氏は県議会で、東電の原子炉を運転する技術的能力に疑念を示し、「原子炉設置の許可基準を満たすのか」と規制委の審査結果にも疑問を投げ掛けていた。

女川再稼働の地元同意「支持せず」59% 避難計画「不十分」64% 河北新報

 河北新報宮城県内の有権者を対象にした世論調査で、東北電力女川原発2号機の再稼働に2011月に県と立地2市町が「地元同意」を決めたこと「支持しない」59・6「支持する」32・8)、不支持の理由は、「県民の意見が反映されていない」54・6%、「避難計画の実効性が確保されていない」24・7で、支持の理由「県民の意見が反映された」48・0%、「避難計画の実効性が確保された」28・5でした。
 広域避難計画について、「不十分」「どちらかといえば不十分」が計64・4「十分」「どちらかといえば十分」は計26・7でした。
 今秋の宮城県知事選で、女川2号機の再稼働の是非を投票の判断材料にするかについて、「しない」が49・5%で、「する」45・9でした。
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女川再稼働の地元同意「支持せず」59% 避難計画「不十分」64% 本社世論調査
                         河北新報 2021年03月31日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年を迎え、河北新報社は宮城県内の有権者を対象に原発に関する世論調査を実施した。東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に絡み、2020年11月に県と立地2市町が「地元同意」を決めたことに対し、「支持しない」との回答が59・6%に上り、「支持する」の32・8%を大きく上回った。

 女川町では支持が66・3%を占めた。石巻市は支持が43・7%で、不支持の42・8%をわずかに上回った。原発30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の5市町(登米市、東松島市、涌谷町、美里町、南三陸町)は支持38・4%、不支持58・5%だった。
 不支持の理由を尋ねたところ、「県民の意見が反映されていない」54・6%「避難計画の実効性が確保されていない」24・7%。一方、支持の理由も「県民の意見が反映された」48・0%、「避難計画の実効性が確保された」28・5%となり、同意の論拠を巡って見解が分かれた。

 重大事故を想定した広域避難計画について、「不十分」「どちらかといえば不十分」が計64・4%に上り、20年3月の前回調査から4・7ポイント増。「十分」「どちらかといえば十分」は計26・7%(2・6ポイント増)で、計画の実効性に不安を持つ県民が依然として多いことが分かる。
 不十分と答えた理由は「放射性物質の汚染の広がり方の想定が不十分」が40・9%で最多。「高齢者ら要援護者の避難想定が不十分」22・3%、「渋滞の発生など混乱が予想される」15・7%が続く。
 「住民への周知が不十分」は7・3%。前々回調査(17年8月)は23・6%、前回は9・6%で漸減しているが、周知の進展が計画の信頼性に結び付かない状況がうかがえる。

 今秋の宮城県知事選(11月20日任期満了)で、女川2号機の再稼働の是非を投票の判断材料にするかどうかも聞いた。「しない」が49・5%で、「する」の45・9%を上回った。前回選挙を控えた17年調査は「しない」45・6%、「する」49・1%だった。

 女川原発は東日本大震災以降、全3基が停止している。2号機は20年2月に原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格。東北電は安全対策工事を終える22年度以降の再稼働を目指すほか、3号機についても審査申請の準備を進める。1号機は20年7月に廃炉作業が始まった。

31- 東電の弁明期限 4月7日まで

東電の弁明期限、4月7日まで 柏崎「運転禁止」で規制委
                             共同通信 2021/3/31
 原子力規制委員会は31日の定例会合で、核物質防護不備が明らかになった東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の事実上の運転禁止命令に関し、4月7日までに弁明書を提出するよう東電に通知することを決めた。
 規制委は24日、防護不備は原子炉等規制法に違反するとして、東電に対し同原発での核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出すことを決めた。弁明を聞いた上で正式決定する。商業炉を巡る規制委の措置命令は初。
 同原発への新燃料の搬入や、原子炉への燃料装填ができなくなる。禁止期間は「自律的な改善が見込める状態」になるまでとされ、東電が目指す7号機の早期再稼働は見通せない。

2021年3月30日火曜日

「原子力研究 多くの矛盾」 県検証総括委員長・池内氏が講演

 原発の安全性に関する新潟県独自の「三つの検証」の結果をまとめる検証総括委員会の委員長の池内了・名古屋大名誉教授が27日、新潟市講演し、原発については事故の影響が長期に及ぶことなどを踏まえ、「失敗したところを直せば動かしていいのかという議論はあると思う」と話しました。

 会場から、再稼働問題に関連し見解を求められると「多少微妙な立場にいる」と述べ、具体的な言及を避けました。
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「原子力研究 多くの矛盾」 新潟県検証総括委員長・池内氏が講演
                            新潟日報 2021/03/28
 原発の安全性に関する新潟県独自の「三つの検証」の結果をまとめる検証総括委員会の委員長の池内了・名古屋大名誉教授が27日、新潟市中央区で講演した。日本の原子力研究について「多くの問題点を残してきた。最初は夢の技術として受け入れられてきたが、多くの矛盾を抱えていることが明白となった」と述べた。
 池内氏は県内の研究者らが参加した学問の自由を考えるシンポジウムに招かれ、講演とパネルディスカッションで原子力技術などについて語った。
 パネルディスカッションで池内氏は、一般的にほとんどの技術に対し、失敗を次に生かす「失敗学」が適用できるが、原発については事故の影響が長期に及ぶことなどを踏まえ、「失敗したところを直せば動かしていいのかという議論はあると思う」と話した。
 池内氏は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題に関わる自身の過去の発言を巡り、新潟県の花角英世知事から慎重な言動を求められていた。池内氏はこの日、再稼働問題に関連し、会場から見解を求められると「多少微妙な立場にいる」と述べ、具体的な言及を避けた

東電、失態続き再稼働白紙 柏崎原発全基停止9年

 柏崎刈羽原発の全7基が停止してから26日で9年が過ぎました。

 新潟日報が柏崎刈羽原発の現況を総括的に報じました。
 稼働を目指してきた7号機について、今後少なくとも規制委の追加検査だけで1年はかかるとされていて、東電としても再稼働見通しが立てられる状況ではありません。
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東電、失態続き再稼働白紙 柏崎原発全基停止9年 原子力事業存続の危機
                            新潟日報 2021/03/28
 東京電力福島第1原発事故後、柏崎刈羽原発の全7基が停止してから26日で9年が過ぎた。東電は当初、柏崎刈羽7号機の再稼働前に必要な検査を4月に完了する計画だった。しかし、年明け以降、テロなどを防ぐ核物質防護を巡り県民を危険にさらす事態が発覚。この問題で原子力規制委員会が核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出す方針を示し、7号機の再稼働は白紙となった。規制委の追加検査だけで1年はかかるとされ、全基停止は当面続きそうだ。
 柏崎刈羽原発の全7基は2012年3月26日に6号機が定期検査のために停止してから動いていない。2~4号機の3基は2007年7月の中越沖地震での緊急停止後、一度も稼働せず、停止期間はことしで14年を超える異例の事態だ。
 ただ、東電が再稼働を目指す7号機は、原子力規制委員会の審査が昨年10月に全て終了した。ことしは再稼働に向けた動きが加速すると見る向きもあった。
 事態が急展開したのは1月下旬。同原発所員が昨年9月に他人のIDカードを使って中央制御室に不正入室した問題が報道で発覚した。さらに東電は、一度は完了したと公表していた7号機の安全対策工事が実は未完了だったと発表し、地元住民の不信が高まった。
 さらに、原発作業員がテロ防止に関わる侵入検知設備を誤って損傷させる事案も発生。規制委は3月、複数箇所で不正侵入を長期間検知できない可能性があったとして、安全上の重要度を最悪レベルと評価した。追加検査に1年以上かかるとの見通しを示している。
 「私を含め、再稼働の意義を認める方々への背信としか言いようがない」。新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は19日、謝罪に訪れた東電幹部に苦言を呈した。
 同原発に反対する住民たちは東電への反発を強めている。反対団体のメンバーは20日、柏崎市で会見し、「同じことを何度繰り返せばいいのか」「国は原子炉設置変更許可を取り消すべきだ」などと口々に批判した。規制委に対しても「東電のお粗末な措置を長期間把握できなかった」と指摘。規制の在り方自体も問われる事態となった。
 規制委が東電への是正措置命令方針を決めた日の翌25日、新潟県の花角英世知事は謝罪に訪れた東電の小早川智明社長に「東電に対する県民の信頼は大きく損なわれた」と言い切った。小早川氏は同日、報道陣から再稼働について問われ「見通しが立てられる状況ではない」と力なく語った。
 事態は原発再稼働以前の問題になっている。規制委が東電への行政処分を検討する選択肢の中には、原子炉設置許可の取り消しも含まれていた。小早川氏は26日、「原子力事業の存続に関わる危機的状況」との認識を示した。

東海第2原発事故時 栃木県へ13万人超が避難

 栃木県は、日光市と塩谷町を除く23市町が、東海第2原発(茨城県東海村)が過酷事故を起こした際に合計13万人超を受け入れる計画です。

「スムーズに受け入れられるのか」「複合災害に対応できるのか」避難者の受け入れを巡り、課題が山積していると下野新聞が報じました。
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避難受け入れ 課題山積 重大事故なら栃木県へ13万人超 茨城・東海第2原発
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 本県(栃木県)から最も近いところで32キロメートルの距離にある日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)。重大事故が発生すれば、半径30キロ圏内の住民は広域避難を余儀なくされる。本県では日光市と塩谷町を除く23市町が、13万人超を受け入れる計画だ。「スムーズに受け入れられるのか」「複合災害に対応できるのか」。県外からの避難者の受け入れを巡り、課題が山積しているという
 茨城県によると、地震などの影響で重大事故が発生し空間放射線量率が一定以上に上昇した場合、原発から30キロ圏内に住む約94万人が茨城県内の別地域(約39万人)と栃木や福島など近隣5県(約55万人)に避難する。本県の各市町は自治体間の協定に基づき、水戸市の一部、笠間市、常陸大宮市、城里町の住民を受け入れる計画となっている。
           (以下は有料記事のため非公開)

30- 茨城県 那珂核融合研究所から煙

那珂核融合研究所から煙 茨城、放射性物質漏えいなし

                             共同通信 2021/3/29
 29日午後3時10分ごろ、茨城県那珂市にある「那珂核融合研究所」の施設内で、通電試験中に発煙が確認された。けが人はいなかった。放射線管理区域外で、放射性物質の漏えいもなかった。地元消防は火災が起きたとみて、詳しい状況を調べている。
 研究所によると、整流器棟と呼ばれる施設で、核融合を模した実験を行うための通電試験中に電源系統の機材から発煙した。消防が駆け付けたが、既に研究所職員が消し止めていたため、放水はしなかった。機材近くで電流ケーブルが断線しており、発煙元の可能性がある。実験で放射性物質は使用していなかった。

2021年3月29日月曜日

スリーマイル島原発事故 メルトダウンの原因と被害

 スリーマイル島原発のメルトダウン事故がどんな経過で起こったのを示す記事が載りました。
 詳細までは分からないものの、事故がどんなストーリー(あらすじ)で起きたのかの概略が掴めます。
 まったく同じ内容を動画で示したものが見られます(末尾にURLを表示)。
 ただし解説が無抑揚の機械語?になっているため、聞きにくい上にテンポも速すぎますが・・・
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米国史上最悪の原子力事故「スリーマイル島原発事故」を振り返る。“原発安全神話”を崩壊させたメルトダウンの原因と被害を解説してみた
                      ニコニコニュース 2021年3月25日
 今回紹介する、ゆっくりするところさんが投稿した『【ゆっくり解説】信用できない機器 異常な数の警報 人間の勘違い…『スリーマイル島原発事故』』では、音声読み上げソフトを使用して、米国内最悪の原子力事故として記憶されている「スリーマイル島原子力発電所事故」について解説していきます。

1979年、スリーマイル島原発でメルトダウンが発生
魔理沙:1979年3月28日、アメリカペンシルベニア州、ハリスバーグの南東にあった「スリーマイル島原子力発電所」で発生した大きな事故だ。この原発にはふたつの原子炉があり、そのうちのひとつの加圧水型原子炉で、装置の空気弁が閉じてしまうという問題が発生した。配管の内部に発生する詰まりを取るという作業中に、水が空気作動弁の操作用空気系に入ってしまい、空気弁が閉じた。
 そのため安全装置が作動して、給水ポンプ、タービンが停止した。停止しても給水ができるように補助給水ポンプが立ち上がったが、メイン給水ポンプが停止してから約8秒後、内部の圧力が高まったことをコンピューターが感知して、設定されていた通りに原子炉を緊急停止した。
 ところが、補助ポンプが作動していたものの、出口の弁が閉じてしまっていて、原子炉の蒸気発生器に水が送られず、原子炉から送られてくる1次冷却水の熱による蒸発のため、急速に水が失われていった。
霊 夢:それじゃ原子炉を冷やせないじゃない。
魔理沙:この1次冷却水は約150気圧に加圧されて、300度を超える熱水を水のままで循環させていたんだが、あまりに高圧になるとシステム全体に負担がかかって、パイプのシール部分などから水が漏れやすい構造だった。そのため、一定以上に圧力がかかった時は、加圧系に取り付けられていた圧力を逃がす弁が自動的に開いて、圧力を下げる仕組みになっていた。
 この事故当時も、一次冷却水の圧力を下げるために、事故発生後3〜6秒で自動で逃がし弁が開いていた。だが原子炉が緊急停止して熱が下がり、13秒後にはもう通常の圧力にまで下がったにも関わらず、逃がし弁は開いたまま閉じなくなってしまっていた。
 冷却水が減って圧力が低下していたため、メイン給水ポンプ停止から2分2秒後、設計通りに「緊急炉心冷却装置」が起動し、三台のポンプで原子炉に冷水を注入しはじめた。だが、コンピューターが自動的に作動させた緊急炉心冷却装置を、オペレーターが手動で停止させてしまう。
霊 夢:どうして?
魔理沙:このときオペレーターは冷却水の水量を誤認して、装置を停止してしまったといわれている。緊急冷却装置でわずかに除熱できていた1次冷却系は、オペレーターが停止させてしまったせいで、完全に機能が停止した。これにより、燃料棒の温度は急上昇。原子炉の中心部は原型を留めないほどドロドロになって崩れ落ちた
 そして20トンもの溶融物が原子炉容器の底に落下。その後、水素爆発を起こし、圧力逃がし弁から流出した水は排水タンクから溢れ、それが補助建屋に送られ、ここから放射線が外部に漏れ出した。事故当時、現場には異常状態を表示する警告灯や警報音送出装置が多数設置されていた。しかし、そのことが逆に現場に混乱と疲弊を生じさせる結果となってしまった。
 137個もの警報灯が点灯する「クリスマスツリー現象」が生じ、また警報音も30秒間に85回も鳴り響く状況で、これはのちに運転員が「パネル板を外して窓の外に放り出したくなった」と証言するほどだったという。
霊 夢:警報がうるさすぎて混乱したのね。
魔理沙:このことが作業員の精神的疲労の蓄積と、冷静な思考を阻害させる要因になってしまい、現場の混乱度を高めてしまうこととなったともいわれている。

幸いにも「人体、環境に影響の出るレベルの事故ではなかった」
魔理沙:事件後、周辺地域で5マイル以内に住む妊婦と幼児に避難勧告が出され、大きな混乱となった。放出された放射性物質は、希ガスがほとんどで、約250万キュリー、ヨウ素は15キュリーほどで、セシウムは放出されなかった。周辺住民の被曝は0.01ミリシーベルトから1ミリシーベルト程度だったとされている。
霊 夢:他の放射線事故に比べると被曝数が少なく感じるわね。
魔理沙:炉心溶融が起きたものの、炭素鋼でできた容器が持ちこたえたため、チェルノブイリなどのような大惨事にはならなかったらしい。
 この事故を受け、アメリカ原子力学会は、公式発表されていた放射線放出値を用いて、「発電所から10マイル以内に住む住民の平均被曝量は8ミリレムであり、個人単位でも100ミリレムを超える者はいない」「8ミリレムは胸部X線検査とほぼ同じで、100ミリレムは国民が1年で受ける平均自然放射線量のおよそ三分の一だ」と発表した。
 1980年代になると、健康被害に関する噂などを聞いた住民などの反核運動が活発化していき、科学的調査を促進させたが、一連の調査でこの事故が健康に大きな影響を与えたという結論は結局出なかった。
 その後、アメリカの研究組織である「放射線と公衆衛生プロジェクト」の調査によると、事故の2年後には風下にあった地域における乳児の死亡率が急激に増加していたとみられる結果が報告されている。同時に周辺地域の植物の奇形、家畜やペットの死産などの住民調査もあったが、放出された放射線物質との因果関係は不明だった。
 3月28日の事故発生から4月15日までの期間について、被曝線量が最大だったとしても、外部被曝線量は最大でも10ミリレム以下と言われていて、この事故による放射性物質が健康に有意な影響を及ぼしたという結論は出なかった。
 国や電力会社側は、放射線の影響、調査方法、調査結果の数値などを公表した上で、「人体、環境に影響の出るレベルの事故ではなかった」との見解を述べていた。不安と混乱にあった住民側は、事故後の植物、家畜などの事象から独自に調査をおこなったが、この事故以前にこのような事例がなかったため、影響を正確に比較調査することは難しかった。
 事故後、ペンシルバニア州原子炉規制部長は、情報を一元管理し、自らが原発から1kmという場所で会見を行い、安全宣言を出した。このことにより、風評被害はゼロに食い止められたという。

事故発生の要因は複数
魔理沙:
 この事故の原因は複数あるといわれている。補助給水ポンプの弁が閉じていることを示すランプのひとつが注意札で見えなくなっており、しかも閉のときに緑のランプがつくようになっていたこと。コントロールルームの表示ランプには、赤で異常を示すものもあれば、緑で異常を示すものもあって、統一されていなかったため、正常に判断できなかったといわれている。  
 それに圧力逃がし弁が閉じていることを示すランプは、弁に対し閉の指令情報を出していることを示しているだけで、実際の弁の開閉状態を示すものになっていなかった
霊 夢:どういうこと?
魔理沙:つまり実際に便が開いていても、ランプが「閉じる」になっていることがあって、故障に気づくことができなかったんだ。それに人為的なミスもあった。加圧機内の水位が満杯になると、圧力調整ができなくなるので、運転員は水位が上がるのを恐れていた。
 しかし内部の水位は、逃がし弁が開いた状態で炉心に注水している時は、流動によって押し上げられる。それに炉心内で沸騰が起こり、ガスが発生している時も、このガスによって内部の水が押し上げられる。
霊 夢:中の水が波打ったりして、外の計器では水位が変わったように見えたのね。
魔理沙:このせいで、見かけ上は水位が上がっているように見えて、運転員は誤判断してしまったんだ。それに故障した圧力逃がし弁は、以前から故障を繰り返していて、信頼できるものではなかった。にも関わらず、別の機器に変えるような対策を取らず、だましだまし使っていたことも原因のひとつだろう。
 運転員の教育、訓練、知識も不足していただろう。スリーマイル島原発の運転には、電力会社の社員ではなく、下請け業者が運転だけを行っていたが、原子炉などの十分な知識がなく、訓練も満足に行われていなかった。この事故も他の放射線系の事故と同じく、ずさんな体制や誤判断で起きている。
 この事故では他の放射性物質の事故よりも比較的軽度の被害だったが、それまでの原発の「安全神話」が覆され、人々に原発の危険性を教えた。事故があった炉の底部にたまったうちの残りの1%は、操作する労働者の被曝の危険があり、そのままになっているため、住民の不安はまだ続いているという。
 それに死者、負傷者を0としているが、これは放射能漏れによる人的被害はごく軽微とされているためで、はっきりと確認されていない。
霊 夢:因果関係の立証が難しいでしょうし、何ともいえないわね。
 「米国内最悪の原子力事故」とも称されるスリーマイル島原発事故。これをきっかけに、原発の安全性に対する議論を全米中に巻き起こした事件でもありました。より詳しい解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。

▼動画をノーカットで楽しみたい方はこちらから視聴できます↓↓
https://www.nicovideo.jp/watch/sm38370119?via=thumb_watch&at=title&state=started&ref=news.biglobe.ne.jp 

タイトル:『【ゆっくり解説】信用できない機器 異常な数の警報 人間の勘違い…『スリーマイル島原発事故』』 

核ごみ広報施設オープン、北海道 調査が進む2町村で

 核のごみの最終処分場選定に向けた文献調査が進む北海道の寿都町と神恵内村に、原子力発電環境整備機構(NUMO)のメンバーが26日に、コーナーを開設しました。
 職員数人が常駐し、調査の事務作業を行うとともに住民の問い合わせに応じるということです
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核ごみ広報施設オープン、北海道 調査が進む2町村で
                             共同通信 2021/3/26
 原子力発電環境整備機構(NUMO)は26日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査が進む北海道の寿都町と神恵内村で、それぞれ広報施設をオープンした
 NUMOの伊藤真一理事は報道陣の取材に応じ「地元の拠点として、いろいろな住民の声を受け止め交流できる場としたい」と話した。NUMOによると施設には職員数人が常駐し、調査の事務作業や住民の問い合わせに応じる。

 2町村では昨年11月から、処分場選定の第1段階で火山や断層の活動記録などを調べる文献調査が始まっている。近くNUMOや役場の職員と住民らによる意見交換会が行われる。 

 福島第1原発、運転開始50年

 福島第1原発26日に1号機が運転開始50を迎えました。

 その後8年間で6号機まで増設され、第2原発も立ち上がりました。
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福島第1原発、運転開始50年 廃炉作業は長い道のり
                        河北新報 2021年03月26日
 東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)は26日、1号機の営業運転開始から50年となった。東北初の「未来のエネルギー」は日本の高度経済成長を背景に実現し、現在に至るまで激動の半世紀を歩んだ。
 福島県は1950年代末、衰退する常磐地方の石炭産業に代わるエネルギーとして原発に着目。調査を進め、大熊、双葉両町への立地を東電に働き掛けた。
 71年3月26日の1号機稼働後、東電は8年間で6号機まで増設。続いて整備された第2原発(同県富岡町、楢葉町)を含め、双葉地方は国内屈指の電源地域になった。電気は首都圏の成長を支え、立地地域は潤沢な財源で変貌を遂げた。
 トラブル隠しなどの不祥事が相次いだ2000年代以降、原発に対する社会の目は厳しさを増す。余剰プルトニウムの消費を図るプルサーマル発電は県から一時凍結され、曲折の末に10年9月に3号機で実施された。

 その半年後、未曽有の原発事故が起きた。第1、第2原発の全10基は廃止が決まり、廃炉作業は数十年以上に及ぶとみられる。負の時代の先は長い。 

29- 関電が脱炭素で3千億円超を投資

 関西電力、政府の掲げる脱炭素社会の実現に向けて今後5年間で3千億円超を投資する計画を立てているということです。

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関電、脱炭素で3千億円超投資 原発や再生可能エネルギー推進
                             共同通信 2021/3/25
 関西電力が、政府の掲げる脱炭素社会の実現に向けて今後5年間で3千億円超を投資する計画を立てていることが25日、関係者への取材で分かった。発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない原発の活用や、水素や風力、太陽光といった再生可能エネルギーの利用を拡大するための投資を加速させる。26日に発表する21年度からの中期経営計画に盛り込む。
 関電は2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする長期計画を公表している。中期計画では、将来の各電源の割合を示す電源構成比率は示さないが、森本孝社長をトップとした新組織を立ち上げて脱炭素への取り組みを強化する

2021年3月28日日曜日

官邸前抗議 400回 反原連 「原発ゼロ」訴え続ける

 福島第一原発事故後12329から約9年半にわたり、脱原発を訴えて毎週金曜夜に開催されてきた首相官邸前デモは、26日で休止することになりました
 デモは実に400回にわたって行われました。
 主催してきた「首都圏反原発連合」は25日付で、活動休止にあたっての声明を発表しました。
 しんぶん赤旗と東京新聞の記事(「声明全文」を含む)を紹介します。
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官邸前抗議 400 反原連 「原発ゼロ」訴え続ける
                       しんぶん赤旗 2021年3月27日
 首都圏反原発連合(反原連)は26日、休止前最後の首相官邸前抗議を行いました。2012年3月29日に始まった抗議はこの日で400回目。ひときわ大きなドラムの音、参加者の「原発やめろ」「再稼働反対」「すべての原発、今すぐ廃炉」のコールが首相官邸と国会を包みました。

 スピーチした、福島県浪江町から避難している女性は「自宅に戻れず夫は7年前に亡くなった。何が復興五輪か」と訴え。茨城県東海第2原発再稼働に反対する女性は「反原連は休止しますが、一人ひとりの異議申し立ては続けていきます」と語りました。
 2年ぶりに参加したという千葉県浦安市の女性(72)は「ここに来れば一緒に声をあげる人がいました。原発のこと、福島のことを忘れず声をあげていきます」と述べました。

 反原連は同日、活動休止にあたりステートメント(声明)を発表し、「エネルギー政策が原発ゼロに転換するまで解散はしない」と表明。「脱原発の圧倒的な国民世論は変わっていない」「待たれるのは原発ゼロの政治決断だけ」と強調し、「脱原発」を求める人々とともに「原発ゼロ、再エネ100%の実現に向け、尽くしていく」と述べています

 日本共産党の笠井亮、藤野保史の両衆院議員、吉良よし子参院議員が抗議に参加。笠井氏は、9年間、400回の抗議が国と電力会社を追い詰めていると強調。原発ゼロへ「市民と野党で政権を代えるときです。ともに力を合わせましょう」と訴えました。


(写真)「すべての原発今すぐ止めろ」「再稼働反対」とコールする人たち=26日、首相官邸前







「原発なくせ」金曜夜最後の官邸前デモ、400回目の訴え 事故処理や廃炉「まったく解決していない」
                          東京新聞 2021年3月26日
 10年前の東京電力福島第一原発事故をきっかけに東京都千代田区の首相官邸前などで脱原発を訴え、今月末で活動を休止する「首都圏反原発連合」が26日夜、400回目となる最後の集会を開いた。官邸前には数百人が駆けつけ、「原発なくせ」と声を上げた。

 参加者は脱原発を訴えるプラカードや、のぼり旗を掲げ、官邸に向けて太鼓を鳴らしながら「老朽原発もう動かすな」「原発再稼働反対」などとシュプレヒコールを上げた。
 当初から参加してきた埼玉県新座市の無職松田裕行さん(80)は「福島の事故はまだ終わっていない。原発をなくさない限り、人間社会の未来はないのではないか」と訴えた。
 渋谷区の無職女性(72)も「ふるさとに帰れない福島の人も多い。廃炉も大変で、全く解決していない」と強調した。
 団体は今後、会員制交流サイト(SNS)などで脱原発を訴えるという。(天田優里)










金曜の官邸前デモ、9年半を経て活動休止 
     首都圏反原発連合がステートメント【全文】
                         東京新聞 2021年3月26日
 福島第一原発事故後、約9年半にわたり、脱原発を訴えて毎週金曜夜に開催されてきた首相官邸前デモは、26日で休止する。主催する「首都圏反原発連合」は25日付で、活動休止にあたってのステートメントを発表した。全文は以下の通り。最後の抗議活動は、26日午後6時30分ー午後8時に行われる。ライブ配信もある。

◆首都圏反原発連合・活動休止にあたり
 首都圏反原発連合(反原連)は、2021年3月末をもって活動を休止いたします。活動休止時期については数年前から検討してきましたが、2019年秋に活動休止の日時とその半年前にアナウンスすることを内部決定いたしました。会議での議決に従い計画的に進めたところ、コロナ災害下での活動休止アナウンスとなったため、いくつかの報道で「コロナで活動休止に追い込まれた」などの記載がありましたが、それらは誤報であり、コロナ災害と活動休止の因果関係はまったくないことを、まずはお断りさせていただきます。むしろ、予想だにしなかった状況下で、最後の1年間を思うように活動できなかったことが悔やまれます。
 「解散」ではなく「活動休止」であることも、改めてお伝えいたします。休止する活動は、主軸として取り組んできた『再稼働反対!首相官邸前抗議』(以下、金曜官邸前抗議)や、年に数回開催してきた週末の国会前集会、リーフレットや『NO NUKES PRESS』の発行などです。今後は運営用のグループウェアは温存し、TwitterなどSNSなどでの発信、昨年秋から始めた『MCAN podcast』などは継続し、これまでの活動や運営などの記録集の編纂を始める予定です。原発問題で大きな動きがある場合、何らかの呼びかけをする可能性も視野に入れ、エネルギー政策が原発ゼロに転換するまで解散はしない所存です。

 2011年の3.11東日本大震災により引き起こされた東京電力・福島第一原発事故を契機に結成した反原連は、約9年半ものあいだたゆまずに活動を続けてまいりました。金曜官邸前抗議は9年間ほぼ毎週開催し、その回数は400回となりました。その間、行先の決まらない核のゴミをこれ以上増やさないため、原発事故の再発をさせないために即時ゼロを訴え続けました。廃炉には30年以上もの年月が必要であることからも、一刻も早く作業を開始しなければ、原発の電力の恩恵を受けていない次世代に後始末をさせることになります。原発をなくすことは私たち大人の責任範囲であることを胸に、メンバー一同活動してまいりました。
 国のエネルギー政策の転換を待たずに活動を休止することは悔いが残るいっぽうで、最近の世論調査でも76%の人々が原発ゼロを望んでいるという結果がでたことでもわかるように、原発事故から10年経っても、脱原発の圧倒的な国民世論は変わっていないことを心強く思います。事故を経て、それまで原発に関心をもたなかった多くの人々がその危険性に気づくという、意識のパラダイムシフトを果たしたにも関わらず、第二次安倍政権以降、原発推進に転じたことは、社会の変化の速度に比べ政治の歩みが遅いということが可視化された事象と言えます。あるいは、間接民主制が正常に機能していないとも言えます。

 3.11福島原発事故の後、海外では脱原発への舵をきる国もあり、再生可能エネルギーが主流になってきています。また、原発産業は経済的にも立ち行かないことも周知されています。そのような中でもはや原発を維持する理由はなく、待たれるのは原発ゼロの政治決断だけという状況です。政府は一刻も早く全ての原発を禁止し、廃炉について早急に取り組まなければいけません。また、カーボンニュートラルのためにCO2をださない原発を重用しようという論調もありますが、原発ゼロを最優先にし、しばらくは火力で代替えしながら、急ピッチで再エネ100%を実現するべく努力をすることが、現実的ではないでしょうか。

 最後に、活動休止にあたり、賛同し参加くださった皆さま、ドネーション⇒寄贈にご協力くださった皆さま、全国で連帯して金曜行動を実施されてきた皆さま、言論の場などでサポートくださった有識者の皆さま、ともに歩んでくださった国会議員の皆さま、応援し手伝ってくださった皆さま、関わってくださった全ての皆さまに、加えて、官邸前・国会前の現場で対応いただいた歴代の麹町署警備課長や署員の皆さまに、心よりの感謝の意を表します。これからも脱原発を希求する全国、そして世界中の人々と志を同じくし、21世紀にふさわしいエネルギー政策である原発ゼロ、再エネ100%の実現に向け、尽くしていく所存です。

               2021年3月25日
      首都圏反原発連合 Metropolitan Coalition Against Nukes