2021年1月31日日曜日

大雪時 原発から避難できるのかと 柏崎刈羽原発5キロ圏住民

「大雪時に原発事故が起きた時本当に逃げられるのか」と、5キロ圏の住民団体が29日、積雪時でも避難できる実効性ある計画の策定などを求めて記者会見を行いました。
 吉田会長は「大雪では車庫から車が出せないし、出せても融雪でスタック(⇒雪やぬかるみにタイヤがはまり、前にも後ろにも進まなくなる現象する車が続出し移動できない」として、「どうやって即時避難すればいいのか、行政には腰を据えてしっかり議論してほしい」と訴えました。
 解決案が本当にあるのか(確実に避難できるのか)再稼働推進側は答えるべきです。
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大雪で原発から避難できるのか 新潟・柏崎刈羽近くの住民「実効性ある計画を」
                         毎日新聞 2021年1月30日
 今冬の記録的な大雪で、厳冬期に東京電力柏崎刈羽原発からの避難ができるのかという疑問が、原発近くの住民から出ている。新潟県が2019年に策定した広域避難計画では、積雪による交通障害の影響は考慮しておらず、多数の住民を避難させられるかが改めて問われる事態になっている。【内藤陽】
 先日の大雪でも本当に逃げられるのか、私たちにとっては切実な問題だ」。柏崎刈羽原発から5キロ圏(PAZ)に暮らす柏崎市と刈羽村の住民団体が29日、積雪時でも避難できる実効性ある計画の策定などを求めて記者会見した。近く、県、市、村などに大雪時の避難に関する要請書を送る。
 PAZは原発の重大事故時に、自家用車やバスなどで住民の即時避難が求められる区域。柏崎刈羽では、柏崎市と刈羽村にまたがる区域に約2万人が暮らしている。高齢者ら要支援者も多い。
 団体によると、この大雪で3日ごろから生活道路の通行障害が発生8日から積雪が急増し、除雪が間に合わず、外出もままならない状態が1週間近く続いた。JRやバスは運休し、小中学校も臨時休校。15日ごろからかろうじて通行できるようになったが、この間通行止めや渋滞が発生し、融雪でスタックする車が続出した。PAZ内は山あいに比べて雪は少ないものの、過去にも1メートルを超える積雪を観測したところがあるという。
 住民から「今何をすべきか意見交換しよう」との声が上がり、2度の会合を経て、住民約20人が参加する「原発事故即時避難5キロ圏(PAZ)住民の会」(吉田隆介共同代表)を結成した。吉田さんは「(大雪では)車庫から車が出せないし、出せても移動できない。どうやって即時避難すればいいのか、行政には腰を据えてしっかり議論してほしい」と訴えた。
 県などは、地域住民も参加した冬季では初となる避難訓練を、市内の山あいで26日に実施した。陸上自衛隊の大型雪上車や県の防災ヘリコプターなどを使い、孤立したという想定の集落から実際に住民を避難させた。
 しかし同団体は「PAZではこの訓練は役に立たない」と指摘する。今回の訓練は原発から30キロ圏のUPZで実施した。この区域では住民はまず屋内退避をして、放射線量が上昇した区域の住民だけを域外避難させる。しかしPAZでは全住民を即時避難させるため、避難までの時間が少なく、対象の住民も多数に上るためだ。吉田さんは、「冬季訓練自体は否定しないが、こちらはすぐに避難しなければならないのにそれができない。避難が困難と判断するなら再稼働はしないでほしい」と訴えた。

原発推進の意図が透けて見える経産省の「サボり」と「ウソ」

 大手の調達ミスによるLNG(液化天然ガス)不足で火力発電量が減り、日本卸電力取引所JEPX)への電力供給が激減した結果、今年に入り市場価格は1kWh200円前後まで高騰し、そこから購入するしかない新電力は存続の危機に陥っています大手電力は実際にLNGの価格が上昇したわけでなく発電量が減っただけなので実害はありません。
 この現象は発送電分離が事実上空文化されたのを放置していたからで、発電した電力をすべてまず卸電力市場に売らせるようにすれば、小売り分野の大手と新電力の競争条件は平等になりますが、経産省はそんな改革をする気はありません。
 経産省の原発至上主義に真因があるというのが元経産官僚の古賀茂明氏の見方です。
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原発推進の意図が透けて見える経産省の「サボり」と「ウソ」
              古賀茂明 週プレNEWS 2021年1月29日
『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、経産省の原発推進狙いについて語る。
(この記事は、1月25日発売の『週刊プレイボーイ6号』に掲載されたものです)
                 * * *
電気の卸売価格が高騰し、電力自由化で新規参入した新電力の経営が揺らいでいる。新電力の多くは、大手電力などの余剰電力を売買するJEPX(日本卸電力取引所)から電気を調達し、消費者に小売りする。
ところが、大手の調達ミスによるLNG(液化天然ガス)不足で火力発電量が減り、JEPXへの電力供給が激減した結果、市場価格は昨年12月中旬までの1kWh10円前後から、今年に入り200円前後まで大暴騰した。
新電力で消費者に調達額の高騰分が転嫁される契約では、個人向けの電気代がひと月10万円を超えるケースもあるというから驚きだ。一方、自前の電力を小売りする大手電力はJEPXへの依存が低いため、電気のコストは大して上がらない
電気料金は公共料金で、競争は公正でなければならない。ところが、大手電力は発電と小売りを同じグループ内で保有しているので、電力価格上昇で小売りが多少困っても発電部門はそれ以上に儲かる。発送電分離が名ばかりだから起きる現象だ。
一方、新電力は値上がりの影響をもろに受け、存続の危機に陥っている。本来なら、発送電を完全に分離し、大手電力に発電した電力をすべて卸電力市場に売らせるようにすれば、小売り分野の大手と新電力の競争条件は平等になる。
しかし、経済産業省はそんな改革をする気はない新電力の電気購入価格の上限規制(1kWh200円)を行なうだけでお茶を濁そうとしている
電力逼迫(ひっぱく)のニュースは、原発必要論につながる。経産省がJEPXの市場価格の安定や新電力の支援をサボるのは、原発の再稼働や新設の世論づくりに好都合と考えているからだろう。
もうひとつ、経産省の原発推進狙いを疑わせるニュースがある。昨年12月に公表した「グリーン成長戦略」のウソ記述だ。
この文書で経産省は、日本が目指す再生可能エネルギーの導入比率は「50%〜60%が目安」としている。だが、この水準の再エネ比率は現時点でも既に実現している国も多く、2050年時点の目標と考えると、低すぎる。この低い目標を正当化しているのが、「世界最大規模の洋上風力を有する英国の意欲的なシナリオでも、約65%」という記述だ。
ところが、この記述はウソである。在日英国大使館が「そんな目標は掲げておらず、英国の政策ではない」とニュースレターを通じて異を唱えたのだ。実際は、イギリスは50年時の再エネ導入目標を定めていない。ちなみに、昨年末に英国政府の有識者会議が「50年までに80%」という提言を出している
経産省は英国政府の有識者会議の一昨年のレポートを根拠に挙げたが、それは単なる技術レポートにすぎず、そこに「65%」の文字はない。たまたま書かれていた複数の数字を利用して、65%という数字をつくったのだが、レポートをよく読むと、それよりはるかに高くなる可能性があることがわかる。どう見ても「捏造(ねつぞう)」だ。しかも、いまだに経産省は謝罪をしていない。
捏造数字を根拠に、「50年再エネ50%〜60%」という低めの目標設定をしたのは、やはり原発推進のためだろう。
グリーン政策はデジタル政策と並ぶ大切な成長戦略だ。そのグリーン政策に作為やフェイクまがいの記述を混在させてしまう経産省にエネルギー政策を任せるわけにはいかない。

古賀茂明(こが・しげあき)

1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中。古賀茂明の最新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)が発売中。 

東京地裁 東電の東海第2支援差し止め認めず

 東海第2原発の再稼働に向け、東電が日本原電を経済支援するのは違法だとして、東電株主2人が差し止めを求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であり請求を棄却しました。

 東京都内で記者会見した株主らは「東電の言い分を丸のみし、誠に遺憾。株主代表訴訟を提起して責任を追及する」と述べました。
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東電の支援差し止め認めず 原電原発向け、株主側敗訴 東京地裁
                        時事通信 2021年1月28日
 停止中の日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働に向け、東京電力が日本原電を経済支援するのは違法だとして、東電株主2人が東電社長ら10人を相手取り、差し止めを求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であり、江原健志裁判長(朝倉佳秀裁判長代読)は請求を棄却した。
 判決によると、東電は2019年10月の取締役会で、子会社に同原発の電気料金を前払いさせるなどの支援を決定。株主側は、日本原電への支援は回収が困難になる恐れがあると主張したが、江原裁判長は「理由がない」などとして退けた
 東京都内で記者会見した株主らは「東電の言い分を丸のみし、誠に遺憾。株主代表訴訟を提起して責任を追及する」と述べた。

31- 日本原燃再処理工場安全対策工事 次回申請「計画通り」と

再処理工場 次回申請「計画通り」
                         東奥日報 2021年1月29日

 日本原燃の増田尚宏社長は28日、青森市で開いた定例会見で、再処理工場などの安全対策工事を行う上で必要となる認可の審査で原子力規制庁から申請書の不備や準備不足を厳しく指摘されたことに対し「時間がなく整理が追いつかなかった。われわれの品質レベルが低いところもあり、申請書の中身の議論ができなかった」と述べ、現場の情報共有などを徹底する考えを示した。ただ「中身に入れば審査は滞りなく進むと考えている」として、5月ごろを予定している次回申請は計画通り行う方針。 

2021年1月30日土曜日

花角知事、重ねて不再任表明 新潟県技術委問題

 花角・新潟県知事は27日の定例記者会見で、再任を求めている新潟県技術委員立石雅昭・新潟大名誉教授らについて再任しない考えを改めて示しました。
 昨年までは70歳を超えないとする内規に関わらず再任してきたのに、今回突如考えを変えたのは、政財界から再稼働同意に向けて強い圧力が加わっていることと関係しているように思われます。
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花角知事、重ねて不再任表明 県技術委問題 「内規に沿い選任」
                           新潟日報 2021/01/28
 東京電力柏崎刈羽原発の安全性を議論する新潟県技術委員会の一部委員について県が再任しない方針を示している問題で、花角英世知事は27日の定例記者会見で、再任を求めている立石雅昭・新潟大名誉教授(75)らについて再任しない考えを改めて示した
 県は、県技術委の委員14人のうち7人について、70歳以上の人を極力任命しないとの内規などを理由に、3月末の任期をもって再任しない方針を示した。これに対し、立石氏は21日、柏崎刈羽原発の安全性を確認する重要な議論のさなかだとして、自身と、同じく不再任の対象とされた鈴木元衛・元日本原子力研究開発機構研究主幹(71)の再任を求める要望書を花角氏に提出した。
 27日の会見で花角氏は、不再任とする予定の委員について「これまでの活動に感謝申し上げたい」と述べた。一方で「県の内規の考え方に沿って来期の委員を選任したい」とし、再任の要望には応じない考えを示した

 この問題を巡っては、花角氏が20日の会見で、最新の知見を取り入れるために委員の世代交代が必要と話したことに対し、立石氏が「委員である以上、古い知見だけで物を言うことはあり得ない」と反論していた。これについて、花角氏は会見で「内規を設けた趣旨は先般説明した通りだ。一人一人を評価している訳ではない」と話した。 

柏崎原発7号機の安全対策未完了 刈羽村での説明会で批判続出

 東電は今月12日に完了したと発表していた柏崎刈羽原発7号機について、火災が発生した際空調ダクトを遮断する装置の設置が未着手だったと、27日明らかにしました。

 同日夜 刈羽村で開かれた住民説明会では、原発の所員が不正な方法で原発の中央制御室に入室していた問題も含め、批判が続出しました。
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柏崎原発7号機の安全対策未完了 6号機との共用設備で見落とし
                            新潟日報 2021/01/28
 東京電力は27日、今月12日に完了したと発表していた柏崎刈羽原発7号機の再稼働に向けた安全対策工事の一部が、まだ完了していなかったと発表した。6、7号機の共用設備で必要な安全装置が設置されていなかった。6号機の安全対策工事として管理していたことが見落としの原因。東電は同様の工事管理の問題が他にもないか調査する。
 東電は7号機の安全対策工事が完了したとして、その内容に関する住民説明会を25日から始めたばかり。同原発の所員が不正な方法で原発の中央制御室に入室していた問題も発覚するなど、度重なる不手際に地元は不信感を募らせている
 東電によると、未完了だったのは、6、7号機共用の中央制御室があるコントロール建屋内の工事。機器類がある区域で火災が発生した際、空調ダクトを遮断する装置の設置が未着手だった。6号機の安全対策工事を確認する過程で判明した。装置の設置にかかる期間は現時点で未定だが、今後の検査スケジュールに大きな影響はないとみられる。
 東電新潟本社の橘田昌哉代表は27日、刈羽村議会で開かれた安全対策に関する説明会の冒頭、未完了を報告した。終了後、報道陣に「工事管理の上で行き違いがあった。7号機の工事完了を踏まえて住民説明会を開催したが、結果として終わっていない部分があり、おわびする」と述べた。
 柏崎市の桜井雅浩市長は「誠に残念で、施工監理が不十分であったと言わざるを得ない。詳細を速やかに報告してもらいたい」とのコメントを出した。県も東電に対し「工事全体の信頼にも影響するもので極めて遺憾」と伝え、原因究明などを求めたという。
 東電は12日に安全対策工事が完了し、原子炉の起動前に必要な検査が4月に終わる予定としていた。その後、追加の安全対策に関する工事が4~6月に入り、少なくとも6月までは起動できない見通し。

■企業体質に募る不信感 刈羽で説明会
 東京電力は27日夜、柏崎刈羽原発7号機の安全対策工事に関する住民説明会を刈羽村で開いた。同原発所員の中央制御室不正入室問題に加え、開催直前に7号機の工事の一部が未完了だったことが発覚。出席者から厳しい意見が相次いだ。
 東電幹部との質疑では、失態を繰り返す東電の企業体質に対し「安全第一、社員教育を徹底すると、これまで何回も繰り返してきた。対策の中身のなさが明白になった」などと指摘が出た。
 終了後、同村の女性(75)は工事の未完了について「東電よりも原子力規制委員会に対し、きちんと審査ができていないのではという不信感を持った。住民説明会も東電が強引に進めている印象だ」と語った。
 村内の70代男性は「形を変えて不手際が繰り返されている。柏崎市や刈羽村は再稼働に関する考え方を軌道修正しなければならないのではないか」と突き放した。

■再稼働問題で署名活動へ
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題を巡り、脱原発を訴える県民ら有志による団体が27日、県庁で記者会見し、花角英世知事が再稼働の是非を判断する前に、県民の意見を十分聞く機会を設けるよう訴えた。3月以降、訴えに賛同する県民から署名を集め、夏ごろに花角氏への提出を目指す
 団体は「原発の再稼働と未来のにいがたを考える県民の会」。旧巻町が、原発建設を巡り全国初の住民投票を実施した際に町長だった笹口孝明氏や、東電福島第1原発事故による福島県から本県への避難者らが呼び掛け人となっている。
 会見には笹口氏ら呼び掛け人7人が出席。花角氏が再稼働問題を巡る自らの判断について「県民の信を問う」と公約していることを踏まえ、再稼働の是非を判断する前に必ず県民の意見を聞く機会を設けるよう訴える署名を募るという。
 県民の意見を聞く具体的な機会としては、来年の知事選を念頭に置きつつ、状況に応じて県民投票の実施を求めることも今後、検討する考えを示した。
 笹口氏は「県民が、自分たちの将来を自分たちで決めることに意義がある」と強調した。

第一原発処理水、タンク満杯は「来秋以降」

 トリチウムを含んだ処理水について、東電の小野明常務は28日、処理水を保管するタンクが満杯になる時期を「2022年秋以降になる」との見通しを示しました。東電はこれまで「2022年夏ごろ」としてきましたが、汚染水の一日当たりの平均140トンに減じたことを受け、先延ばししました。

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第一原発処理水、タンク満杯「来秋以降」 東電、発生量低減で先延ばし
                        福島民報 2021/01/29 08:50
 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水について、東電の小野明常務・福島第一廃炉推進カンパニー最高責任者は二十八日、処理水を保管するタンクが満杯になる時期を「二〇二二(令和四)年秋以降になる」との見通しを示した。東電はこれまで「二〇二二年夏ごろ」としてきたが、汚染水発生量の低減を受け、先延ばしした。政府による処理水の処分方針の決定時期への影響が注目される。
 東電は二十八日、政府と東電による廃炉工程表「中長期ロードマップ」に関する会見を開いた。建屋への雨水流入を抑える対策などで、二〇二〇年に発生した汚染水の一日当たりの平均は約百四十トンとなり、目標の百五十トン程度を達成したことを明らかにした。
 小野氏は「(汚染水発生量の)実績を見ると二〇二二年夏より後ろになるのは間違いない。二〇二二年秋以降になると考えてもらっていい」とタンク限度の試算を見直す可能性を示唆した。
 処理水の処分を巡っては、政府の小委員会が昨年二月、「海や大気への放出が現実的」とする報告書をまとめた。政府は昨年十月に閣僚会議を開き、海洋放出を決めようと福島県の自治体などに説明を始めていたが、漁業者らの反対意見が根強い状況を踏まえ、決定を先送りした。方針の決定時期について、菅義偉首相は「先送りせず、今後、適切な時期に政府として責任を持って(処理水の)処分方針を決める」としている。
 処理水の処分が福島県のみで行われたり、福島県から始まったりすることが風評につながるとの県民の懸念は根強い。
 東電福島第一原発では、溶融核燃料(デブリ)を冷やすための注水や雨水、地下水が原因となり汚染水が発生している。約百三十七万トン分(千四十七基)のタンクには汚染水を浄化した後の処理水を二十一日現在、約百二十四万トン保管している。

30- 高浜原発40年超再稼働に町長同意へ

高浜原発40年超再稼働、町長同意へ 国内初、2月1日にも正式表明

                         福井新聞 2021年1月28日
 福井県高浜町の野瀬豊町長は、運転開始から40年を超える関西電力高浜原発1、2号機の再稼働に同意する意向を固めたことが1月28日分かった。梶山弘志経済産業相と29日にオンラインで面談し、国民の理解促進など国に求めている要望に対し納得できる回答が得られれば、2月1日にも国、福井県、町議会に同意を表明する。立地自治体が新規制基準に適合した運転40年超原発の再稼働に同意するのは国内初となる。
 再稼働には福井県の同意も必要となるが、杉本達治知事が判断の前提として関電に求めている、使用済み核燃料中間貯蔵施設の県外候補地が示されていないため、見通しは全く立っていない。

2021年1月28日木曜日

東電、柏崎原発安全工事は未了と 発表を訂正

 東電は27日、今月13日に「完了した」と発表した柏崎刈羽原発7号機の再稼働に向けた安全対策工事が、一部未了だったと訂正しました。
 ミスとしても何とも理解しがたいものです。
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東電、柏崎原発安全工事は未了 「完了」と発表も訂正
                            共同通信 2021/1/27
 東京電力は27日、今月13日に「完了した」と発表した柏崎刈羽原発(新潟県)7号機の再稼働に向けた安全対策工事が、一部未了だったと発表した。再稼働に向けた地域説明会を25日から始め、「工事完了」をアピールしていたがこれを訂正。チェックの甘さが再び露呈した。
 東電によると、重大事故が起きた場合に、6、7号機共用の中央制御室を守る目的で設置する装置の一部で工事が済んでいなかった。6号機の安全対策工事として区分管理していたため、7号機と共用である点を見落としていたという。
 他にもミスがないか確認するとともに、問題の工事は「早期完了させるよう取り組む」としている。

福島原発事故 2審も東電に賠償命令 仙台高裁

 福島市や郡山市など避難指示区域外の住民52人が東電に総額約1億円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は26日、東電の責任を認め、50人に計約1185万円を支払うよう命じました。202月の1審福島地裁判決とほぼ同額の賠償を命じ住民側の勝訴となりました。
 裁判の長期化を望まない住民側の要求を受けた福島地裁1912月、全国の原発事故を巡る集団訴訟で初とみられる和解案を提示したが、東電が拒否したという経過がありました
 東電は「中間指針に基づいて支払った以上の被害はない」と主張しましたが、判決、住民らは「全く予期しない事故が起こり、被ばくに強い恐怖や不安を抱くことはやむを得ず、自主的避難等対象区域であっても、従来の一般的想定(年間1ミリシーベルト)を超える被ばくをした住民が多くいた」と判断し、東電や国には「事故直後、地域住民に対し、的確かつ具体的な情報提供をした形跡はない」などと批判しました。
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福島第1原発事故 2審も東電に賠償命令 仙台高裁
                         毎日新聞 2021年1月27日
 東京電力福島第1原発事故で被ばくの不安にさらされ、精神的苦痛を受けたなどとして福島市や郡山市など避難指示区域外の住民52人が東電に総額約1億円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決で、仙台高裁(小林久起裁判長)は26日、東電の責任を認め、50人にそれぞれ2万2000~28万6000円、計約1185万円を支払うよう命じた
 2020年2月の1審福島地裁判決(住民50人に計1200万円)とほぼ同額の賠償を命じ住民側の勝訴となった。
 原告は中通り地方の6市町に住む男女。東電から精神的賠償として大人1人当たり原則12万円が支払われたが、精神的損害は個人で異なるなどとして1人当たり約110万~910万円の支払いを求めた。
 裁判の長期化を望まない住民側の要求を受けた福島地裁は、19年12月、全国の原発事故を巡る集団訴訟で初とみられる和解案を提示したが、東電が拒否した
 控訴審では、住民側が1審判決を受け入れ、裁判を早期に終結させるよう求め、東電は「賠償額の目安となる中間指針に基づいて支払った以上の被害はない」と主張していた。
 判決で小林裁判長は、住民らは「全く予期しない事故が起こり、被ばくに強い恐怖や不安を抱くことはやむを得ず、自主的避難等対象区域であっても、従来の一般的想定(年間1ミリシーベルト)を超える被ばくをした住民が多くいた」と判断。東電や国に対し「事故直後、地域住民に対し、的確かつ具体的な情報提供がされていた形跡はない」などと批判した。東電は「判決内容を精査し、対応を検討して参ります」とコメントした。

「苦しみ理解された」原告団
 「自分たちの苦しみを分かってもらえた」。提訴から約7年。福島市に戻って記者会見した原告団は、声を詰まらせ、長い闘いを振り返った。
 自主的避難等対象区域の住民であっても一般的な想定を超える放射能にさらされたと認め、1審判決を支持した仙台高裁判決。代理人の野村吉太郎弁護士は「中通りの人たちがどんな環境で、どんな思いで過ごしてきたか、1審からさらに踏み込んで丁寧に認定した判決だった」と高く評価し、東電に対して「(上告するなど)無駄な抵抗はやめてほしい」と強く訴えた。

 原告側は高齢者が多く、心身ともに疲弊していることから早期解決を要請してきた。原告団の平井ふみ子団長は「中通りの住民も大変な生活をしてきたことをちゃんと認めてもらえた。東電に対しても厳しく批判していた。長い間闘ってきて、報われたような思いで裁判長の言葉をかみ締めて聞いていた。やっと心が穏やかになった」と涙ぐみながら話した。【磯貝映奈】 

放射性セシウムの食品基準値と出荷制限の在り方を検討 自民PT

 自民党の東日本大震災復興加速化本部は食品中の放射性セシウム基準値よる出荷制限の在り方を検討するプロジェクトチームを設置しました。
 基準値の妥当性議論し3月までに5回程度の会合を開いて加速化本部への提言をまとめるということです。
 どういう方向でまとまるのか記事からは不明ですが、そもそも現行の食品の基準値「1キロ当たり100ベクレル」は、従来であれば放射性危険物と定義されていたものを、緊急事態宣言下で突如食品用に適用したという異常なもので、国際的に通用する余地のないものです。
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放射性セシウムの食品基準値と出荷制限の在り方検討 自民PT初会合
                       河北新報 2021年01月27日
 東京電力福島第1原発事故後に設定された食品中の放射性セシウム基準値(一般食品で1キログラム当たり100ベクレル)に関し、自民党の東日本大震災復興加速化本部は基準値による出荷制限の在り方を検討するプロジェクトチームを設置した風評被害の一因と指摘される基準値の妥当性も議論し、科学的で合理的な規制の運用を目指す
 初会合が21日にあり、座長に根本匠元復興相(衆院福島2区)が就いた。基準値や出荷制限に関わる復興庁、内閣府、経済産業省、農林水産省、厚生労働省、消費者庁、原子力規制庁の担当者が規制の現状を説明した。
 次回から食品摂取を踏まえた基準値の在り方や出荷制限解除の考え方、消費者の理解促進に向けた取り組みなどを議論する。放射線防護や医療の専門家からも意見聴取する。
 3月までに5回程度の会合を開いて加速化本部への提言をまとめ、政府の施策に反映させる。根本氏は「原発事故から10年を迎える節目に、解決への道筋を付けたい」と話す。
 2012年4月導入の食品基準値は流通する全食品の半分が国産品と想定し、国産品の全てが汚染されているとの仮定に基づき設定された。国の放射線審議会は19年、基準値が過剰に安全側に立っているとの見方を示し、「モニタリングの根拠として使い続ける必要性を説明できない状況」と指摘した。

28- 高浜4号、細管傷対策で薬品洗浄へ 3号機でも

 関西電力は25日、定検中の高浜原発4号機の蒸気発生器(SG)細管で傷が確認された問題で、密度の高いスケールが繰り返し接触したことが原因と推定し、対策としてスケールをもろくするための薬品洗浄の実施と、傷を確認した細管計4本を施栓するとしました。

 高密度のスケールが生成した原因について、高浜3、4号機が他原発と比べSG運転時間が長いことや、建設当初から薬品洗浄を行っていない点を挙げました。
 蒸気発生器細管破損は珍しいことではありませんが、従来は流動時の細管の震動が注目されてきました。  注 SG :Steam Generator
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高浜4号、細管傷対策で薬品洗浄へ 関西電力、3号機でも実施
                         福井新聞 2021年1月27日
 関西電力は1月25日、定期検査中の高浜原発4号機(福井県高浜町)の蒸気発生器(SG)細管で傷が確認された問題で、原因と対策をまとめた原子炉施設故障等報告書を原子力規制委員会に提出した。密度の高い付着物(スケール)が繰り返し接触したことが原因と推定。対策としてスケールをもろくするための薬品洗浄の実施と、傷を確認した細管計4本を施栓するとした。
 報告書では、高密度のスケールが生成される要因について、高浜3、4号機が他原発と比べSG運転時間が長いことや、建設当初から薬品洗浄を行っていない点を挙げた。高浜4号機は2011年7月から約6年間、長期停止していたためスケールがはがれやすくなっていたと推定した。薬品洗浄は、スケールの性状が同じ高浜3号機でも実施するとした。
 規制委の報告書審査には1カ月程度掛かるとみられ、高浜4号機の運転再開は早くて3月下旬以降、高浜3号機は2月下旬以降になる見通し。
 関電は高浜3、4号機のSG交換の検討も進めている。

2021年1月27日水曜日

技術委員不再任 新潟県の判断に疑問が拭えぬ

 柏崎刈羽原発の安全性を議論する新潟県技術委員会において、ベテラン委員立石雅昭・新潟大名誉教授鈴木元衛・元日本原子力研究開発機構研究主幹の再任をしないと決めたことに対して、新潟日報が「技術委員不再任 県の判断に疑問が拭えぬ」とする社説を出しました。
 花角英世知事は記者会見で高齢の委員を交代させることに関し「最新の研究は若い人たちが積み上げている。それを議論に取り入れるべきだ」と強調したことに、立石氏は記者会見し、「研究者として招かれた以上、古い知見でものを言うなんてあり得ない。あたかも高齢の人が勉強していないように言われるのは心外だ」と批判し県技術委の作業は論点がほぼ出そろい「最も重要な時期に差し掛かっている」中で、自身からも数多くの論点を提示し、議論に携わっているさなかだとして「なぜ今(退任)なのか。高齢というだけでは納得できない」と反発しまし
 委員は70歳以下とするのが内規のようですが、立石氏についてはこれまで71歳と73歳で2度再任されてきたにもかかわらず、最も重要な時期に不再任とされるのはやはり釈然としません。

 新潟日報の記事「『県は安全担保の姿勢欠落』技術委不再任問題で立石氏」(01/22) 
毎日新聞の記事「新潟県原発技術委『高齢』で不再任 70代委員『寝耳に水』」01/22)
を併せて紹介します。
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    1月20日)新潟県の原発検証の技術委員2名を不再任と NHKは4名と報道
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社説 技術委員不再任 県の判断に疑問が拭えぬ
                           新潟日報 2021/01/26
 東京電力柏崎刈羽原発の安全性を議論する県技術委員会を巡り、県が示したベテラン委員不再任の方針に県民や専門家から疑義が出ている。
 東電が再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機の安全性の確認が今後本格化する。なぜこのタイミングなのか。県は高齢などを理由とするが、あまりに唐突だ。これまでの議論の継続性も絶たれかねず、疑問が拭えない。
 県が、県技術委の委員全14人のうち、3月末の任期をもって半数の7人を再任しない方針であることが明らかになった。
 県側が一部委員の不再任理由に挙げたのは高齢だ。県の内規は、70歳以上の「高齢者」の任命は極力避けるよう定める。
 花角英世知事は記者会見で世代交代を理由に挙げ、高齢の委員を交代させることに関し「最新の研究は若い人たちが積み上げている。それを議論に取り入れるべきだ」と強調した。
 70歳以上の委員は最新の知見に乏しいと言わんばかりだが、不再任対象の委員の一人、立石雅昭・新潟大名誉教授(75)は会見し「委員である以上、古い知見だけで物を言うことはない」と反論した。
 内規があるとはいえ、年齢でひとくくりにレッテルを貼るようなやり方は乱暴だ。誠実に任務を果たしてきた委員に対する敬意も感じられない
 立石氏によれば、71歳だった前々回、73歳だった前回の再任時に内規についての話はなかったという。こうした点からも、説得力に欠ける
 立石氏は議論の継続性を担保するためとして、自らと、同じく70歳以上で不再任対象とされた鈴木元衛・元日本原子力研究開発機構研究主幹の再任を求める要望書を県に提出した。
 問題は、なぜこんなことが起きるのかだ。
 立石氏や鈴木氏は、専門分野の知見を基に、福島第1原発事故の原因検証や東電の姿勢について厳しい意見を述べてきた。
 会見で原発に厳しい指摘をする委員を交代させたいのか問われた花角知事は「(委員に)レッテルを貼るようなことはやめていただきたい」と反論した。
 だが、原発に反対する立場の立地地域の住民や専門家からも同様の指摘が出ている。
 知事はレッテル貼りだというが、そうした疑いを招いた責任は一義的に県の判断にある。厳しく問われなければなるまい。
 柏崎刈羽原発の再稼働を巡っては資源エネルギー庁長官や原発推進派の東京商工会議所会頭が本県を訪れるなど、地ならし的な動きが目立つ。
 そうした中で県に求められるのは、県民が主体的に再稼働問題について考えることができる環境づくりのはずだ。
 「原発事故を検証して、県民を守る気持ちが薄いのではないか」。県の姿勢にこんなふうに疑念を持たれること自体、その妨げになることを肝に銘じなければならない。
 不再任を強行しても県への不信を深めるだけだろう。県は不再任方針を再考すべきだ。


「県は安全担保の姿勢欠落」 技術委不再任問題で立石氏
                           新潟日報 2021/01/22
 東京電力柏崎刈羽原発の安全性を議論する新潟県技術委員会を巡る委員不再任問題で、新潟県が高齢などを理由に再任しない方針を示している半数の委員の一人、立石雅昭・新潟大名誉教授(75)=地質学=が21日、県庁で会見し、自身らの再任を訴えた。同原発の安全性確認を進めているさなかの大量退任に「県民の安全を担保する姿勢が欠落しているのではないか」と指摘した。
 県技術委は現在、東電福島第1原発事故の原因検証結果を踏まえ、柏崎刈羽原発の安全性が確保されているかの確認を進めている。将来、取りまとめる確認結果は、花角英世知事が再稼働の是非を判断する際の材料の一つとなる。
 会見で立石氏は、県技術委の作業は論点がほぼ出そろい「最も重要な時期に差し掛かっている」と説明。自身からも数多くの論点を提示し、議論に携わっているさなかだとして「なぜ今(退任)なのか。高齢というだけでは納得できない」と反発した
 自身を含め半数の委員が退任することに「客観的にみて、委員会が変質する」と述べ、議論の継続性に懸念を示した。
 花角氏は20日の会見で、新たな知見を取り入れるために委員の世代交代が必要と理解を求めた。これに対し立石氏は、自身を含む高齢を理由とされた委員が新しい調査、研究に取り組んできたことを強調し、「委員である以上、古い知見だけで物を言うことはあり得ない」と反論した。
 立石氏は会見後、自身と、同じく不再任の対象とされた鈴木元衛・元日本原子力研究開発機構研究主幹(71)=核燃料工学=の再任を求める要望書を県に提出した。花角氏は取材に「いただいたものは拝見したい」と述べた。

 ■県技術委員会■ 2002年に発覚した「東電トラブル隠し」の後、県自前のチェック組織として発足。原子力工学、地質学など多様な専門家で構成し、12~20年には独自に東電福島第1原発事故の原因検証に取り組んだ。委員の任期は2年で、現在の委員数は14人。県は4月以降、内規に沿って70歳以上の「高齢者」を交代させるほか、福島事故の検証のために増員した委員を退任とし、補充しないことで、委員数を検証作業前の10人前後とする方針。


新潟県原発技術委「高齢」で不再任 70代委員「寝耳に水」
                         毎日新聞 2021年1月22日
 東京電力柏崎刈羽原発の安全性を議論する技術委員会の一部委員を県が高齢を理由に交代させる問題で、不再任とされた立石雅昭・新潟大名誉教授(75)が21日、新潟県庁で記者会見した。「新しい知見が必要というだけで委員から外すのは認められない」と訴え、自身と鈴木元衛・元日本原子力研究開発機構研究主幹(71)の再任を求めた。【井口彩】
 「技術委員会委員への再任を求めます」。立石氏は、持参した筆書きの垂れ幕を後ろに掲げて記者会見した。
 立石氏によると、15日に県の担当者から電話があり「県の委員会には70歳までというルールがあるので、委員を再任しない。(花角英世)知事の決裁も得ている」と伝えられた。「寝耳に水だった」と振り返った。
 立石氏は中越沖地震後の2008年から技術委に参加。地質学者として、柏崎刈羽の敷地内に活断層があるなどと主張し、原発の安全性への影響について厳しく指摘してきた
 技術委は20年10月に東電福島第1原発事故の検証作業を終え、「本来の業務」(花角知事)である柏崎刈羽の安全性確認を進めている。立石氏は、原発事故を起こした東電が原発を運転する「適格性」の確認や、原発事故時の情報発信など、国に説明を求める事項も数多く残っていると主張。「こうした議論をどのように引き継ぎ、柏崎刈羽の安全性を担保するのか。県民の安全を第一に考える姿勢から外れているのではないか」
 立石氏は、自身や鈴木氏が柏崎刈羽の安全性確認のための研究を現在まで続けてきたと言及。花角知事は20日の記者会見で委員交代の理由として「最新の知見を持った若い研究者」が必要と主張していたが、「研究者として招かれた以上、古い知見でものを言うなんてあり得ない。あたかも高齢の人が勉強していないように言われるのは心外だ」と批判した。若い研究者が多忙で技術委に時間を割きづらい点や、新任されたばかりの委員は初回から強い意見を述べにくいと見込まれる点も懸念した。
 技術委をはじめとする県の「三つの検証委員会」と検証総括委員会の結果が出るまでは再稼働の可否を判断しないというプロセスは、新潟独自のものとして知られる。立石氏は「技術委の大きな特徴は、委員がきっちり発言できる体制があったことだ。物言うメンバーを外すのがどういうことか、大きな危惧を抱いている」と吐露した。「みんなで『新潟方式』を作り上げてきたが、それが大きく変わってしまうのではないか」。立石氏はこの日、2人の再任を求める花角知事宛ての要望書を県に提出した。

 県の対応への批判は、県内外に広がっている。市民団体「なくそう原発・新潟市民ネット」は22日、委員の任命継続を求める要請文を作り、JR新潟駅前でデモ行進する。元原発技術者で11月まで技術委の委員を務めた田中三彦氏(77)らでつくる科学者有志も20日、同様の内容などを要望する書面を花角知事に送った。