2024年2月28日水曜日

原発事故時の避難の課題 道路寸断・家屋倒壊 避難計画の実効性は

 能登半島地震で明らかになったことは、地震・津波あるいは豪雪と原発事故が重なる複合災害時の避難では、自宅家屋の倒壊や損壊による「屋内退避」の非現実性や、避難道路の寸断による孤立=避難の不可能性などの問題でした。実際に「屋内退避現実的ではない」「大雪時には孤立する」「収容人数100人の避難所に300人が集まった」等の声が上がっています。
 それに対して規制委の中山委員長は、「例えば避難所を作って下さい、あるいは道路ができるだけ寸断しないようにして下さい、あるいは家屋が多数倒壊した場合には近隣に避難所を設けて下さい、ということについては我々の範疇外内閣府が担当)。それがしっかり担保された前提で原子力防災に対する屋内退避について考えたい」と述べました。
 そうした「前提事項」は各地方公共団体と内閣府の責任でクリアするとした上で、新たな「基準」を作られても結局は現実から遊離した=現在の基準に毛が生えた程度の「架空の基準」になってしまいます。
 新たな基準には「前提条件」の全てを明記した上で、「それらの前提が実現した後に再稼働を行う」という一文を加えることが必須となります。
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能登半島地震で浮き彫りになった原発事故時の避難の課題 道路寸断・家屋倒壊 避難計画の実行性は【新潟】
                        UX新潟テレビ21 2024/2/27
能登半島地震で改めて検討を迫られている、地震や津波によって原発事故が起きた時の避難の問題。県内では柏崎刈羽原発で重大な事故が起きた時、住民はどう避難するかが、あらかじめ決められています。国の原子力災害対策指針に基づく県の避難計画では、
半径5km以内の住民、PAZでは刈羽村の全域と柏崎市の一部は直ちに避難する。
5~30km内、県内8市町のUPZの住民は避難による被ばくを避けるため「屋内退避」を行った上で、放射線量の状況次第で避難を始める
と定められています。

1月1日の能登半島地震では、原発がある石川県志賀町で道路の寸断や家屋の倒壊が相次ぎました。現状の計画通り避難はできるのか県内の自治体から不安の声があがっています
県内すべての市町村長が長岡市に集まった会議。柏崎刈羽原発の安全対策などについて国と県から説明を受けました。自治体トップからは事故が起きた時の避難について、指摘が相次ぎました。
長岡市 磯田市長 
家屋が倒壊する、屋内退避すべきところがない状況が考えられる。屋内退避が現実的ではないという不安。」
上越市 中川市長 
大雪で、地震で道路が壊れて、原発が壊れるということが同時に起こった時に、孤立した人たちを誰がどう救うのか。」

能登半島地震をきっかけに課題が浮き彫りになった、原発の避難計画。
元日に震度7を観測した石川県志賀町にある、北陸電力・志賀原発。2011年から運転を停止しています。今回の地震で外部から電気を受ける機器の一部が被害を受けましたが北陸電力は「原子炉施設の安全確保に問題は生じていない」としました。
志賀原発で重大な事故が起きた場合、石川県の避難計画では地元の志賀町の一部や穴水町の住民は、能登半島北部に避難することになっています。
しかし・・・
庭山記者
志賀町でも特に被害の大きかった富来地区です。こちらの道路は片側が階段状に大きく陥没してしまっています。深いところでは2m近くの段差があるように見えます。」
志賀町の住民の避難先として指定されている能登町などに向かう多くの道路が通行止めに
さらに、石川県内ではこれまでに7万7000棟以上の住宅被害が確認されています。原則、屋内退避とされている原発の5キロから30キロ圏内の住民に話を聞くと。
志賀町住民 
「もう避難しろって言っても無理やわね。それは徹底してやっていただきたいなと思います。
果たして屋内退避って言えども、もう潰れそうになっとるとこにそんなこともしてられんしね。」
「当初は私も原発があると町の発展になるんじゃないかと思ってたんですけど、今これだけ道が寸断されると、万が一、原発が福島のようになると心配やなっていうのは現実ですよね。」

原発事故が起きた時の避難所に指定されているの防災センターには地震発生時、最大で約300人が身を寄せたといいます。
志賀町住民 
収容人数100人なんです。ここの地域に今住んでるのは、600~700人近くいるんですけれども、そうすると基本的な考え方は、ここへ来たら100人に絞って、動ける人をどんどん出す予定、本来バスが来て能登町へ送る予定。でも道路状況などでまずバスが来ない。だから能登町には行けないですね、今の状況見たら。」

一方、元日の柏崎市内では、地震の後、津波から避難する車で道路が渋滞していました。
■ 柏崎市民 
「急に地震が起きたので、とりあえず高いところに逃げようとして、この峠の上に上がろうとしたんですけど、見ての通りすごい大渋滞で車が上がれないので、とりあえず近くの今駐車場に停めさせてもらって。普段は車の通り全くなくて、車が通らないような峠なんですけど今はもう大渋滞で…。」
さらに、避難先の候補地になっている上越市や糸魚川市につながる国道8号は地震による土砂崩れで通行止めになりました。

柏崎刈羽原発の地元は、これまで原発事故を想定した訓練を重ねてきましたが、能登半島地震をきっかけに不安が広がっています。
地元住民
「今回の能登半島地震を見て、原子力災害を重ね合わせた時にこんな訓練を繰り返していて役に立つと本当に思ってやっているのか。」
即時避難になれば、自力で避難しなければならない。避難道路の確保は絶対に必要。」

実効性の見えない避難計画に、自治体の防災担当者からも、不満の声が上がっています。
燕市担当者
「例えば能登反応の状況をそのまま県内のPAZ・UPZにポンと乗せた場合、正月の1日~3日までの間にだれが動けたのかという話。今の避難計画通りに避難するのはまず不可能ということが証明された。」
小千谷市担当者
「今回雪がなかったからよかったが、1mくらいの雪が積もっていたらと想像すると、おそらく屋内退避…避難所といわれているところもだめかもしれないですね。」
新潟市担当者 
「能登半島地震で新潟市も被害を受け、新潟市民が避難所に避難をしていた。複合災害の場合、UPZから避難する人を受け入れられないことが容易に想像できる。」

原発の5~30km圏内の屋内退避については自民党の重鎮県議からも疑問の声が。
■自民党 柄沢正三 県議
「皆が、5キロ圏内の人たちが自分の前の道路をどんどん車で逃げていく、あるいはバスで逃げていく。その光景を見れば、当然自分も危ないと考えるのは道理であって。逃げるな、屋内で一時待っていてくれと、これはちょっと乱暴すぎる今現在の国の指針は不備がある。ずさんである。」

2月9日、原子力規制庁の片山啓 長官と面会した花角知事は、避難の在り方を検討するよう求めました。
花角知事 
屋内退避の有効性や、現実的物理的に不可能な場合にどう対応するのか、現実を踏まえた避難の考え方、指針を議論すべきではないかと話をした。」

こうした声を受け、原子力規制委員会は”屋内退避”を示す指針の見直しについて、議論を始めています。
■原子力規制委員会 山中伸介委員
自然災害に対する防災、例えば避難所を作ってください、あるいは道路ができるだけ寸断しないようにしてください、あるいは家屋が多数倒壊した場合には近隣に避難所を設けてください、ということについては我々の範疇外なので(内閣府が担当)、ここについてはそれがしっかりと担保されたうえで、原子力防災に対する屋内退避について考えたい。」

今後、自治体や国、外部の専門家などで検討チームを立ち上げ、屋内退避の対象範囲や実施する期間、解除するタイミングや避難に移行する判断基準などについて議論し、来年度中に取りまとめる方針です。
花角知事 

「実際家屋が壊れてしまえば、屋内退避できないわけでありまして、いずれにしてもこの避難の課題、特に屋内退避などはですね、再稼働に関する議論の一つの材料だというふうに思ってますので、しっかり原子力規制委員会の動きを注視していきたいと思います。 

柏崎刈羽原発 地元経済団体からの早期再稼働求める請願 市議会で可決

 柏崎市議会の特別委員会で地元の経済団体などが提出した柏崎刈羽原発の早期の再稼働を求める請願が、経済の活性化が期待できるからとして19人のうち14人の賛成で可決されました。
 能登半島地震で30キロ圏内住民の確実な避難が不安視されている中、今の段階で再稼働を促進するのは余りにも拙速です。何よりも経済性のみを重視する再稼働派の考え方は大いに無責任です。
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柏崎刈羽原発の経済効果に賛否も 地元経済団体からの早期再稼働求める請願 市議会で可決【新潟】
                       UX新潟テレビ21 2024/2/27
柏崎市議会の特別委員会で地元の経済団体などが提出した、柏崎刈羽原発の早期の再稼働を求める請願が賛成多数で可決されました。
柏崎商工会議所 西川正男 会頭
「柏崎刈羽原発で国の新規制基準に適合すると判断された号機について一日も早い運転再開を求めるよう請願します。」
特別委員会の冒頭、請願を提出した市内6つの経済団体を代表して、柏崎商工会議所の西川正男会頭が思いを述べました。
請願では柏崎刈羽原発の早期の再稼働が経済の活性化などにつながるとして、国や県に働きかけるよう求めています。

出席した議員からは、原発の経済効果について賛否の声が上がりました。
阿部基市議 
「5000~6000人の従業員とその家族が柏崎で生活をしているのは事実。この方々の経済効果はある。」
持田繁義市議 
「目指した方向から見ると思ったほどの効果はなかった。原発で使うバルブなどが柏崎のものづくり産業との結びつきがうまくいっていない。」

採決で19人のうち14人が賛成し、請願は可決されました。3月21日の本会議でも採決が行われる予定です。

島根原発事故時の避難で 丸山知事島根半島の沿岸部を視察

 島根原発事故時の避難に関し丸山知事が26日、能登半島地震を受けて空路・海路での避難の可能性を確認するため、島根半島の沿岸部を視察しました。
 知事は約20か所を視察し、大型ヘリが発着できる場所があったものの、どこでも可能なわけでなくいろいろな方法と組み合わせたいと述べました(避難対象者は600人ほど)。
 規制庁や規制委の「ヘリコプターで避難すればよい」などの説明を鵜吞みにするのは危険で、まず大型ヘリが発着できる場所を特定した上で、ヘリの搬送能力から、間拍子に合った避難が出来るか否かを判断する必要があります。
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能登半島と島根半島の共通点…狭い道路と原発 島根・丸山知事が視察「半島部における対応が混乱度を増すことに対応しなければならない」
                          BSS山陰放送 2024/2/26
先月の能登半島地震を受けて、島根県の丸山知事が26日、島根半島の沿岸部を視察しました。
能登半島と地形的に共通点のある島根半島、課題は道路が寸断された場合の住民避難です。
能登半島地震では土砂崩れや路面陥没で道路が寸断され、復興の足かせになったばかりでなく、北陸電力志賀原発周辺でも孤立集落が発生し、原発事故が起きていたら避難出来なかった可能性があるのではと指摘されています。

島根・丸山達也知事と担当者
「日御碕と宇龍で600人くらいの住民がいる。大型ヘリ降りるとなれば、まず救助部隊を運ぶこと、そして空路で避難させないといけない住民を避難させること」
26日の視察は、能登半島地震で交通路の寸断が問題になったことから、空路や海路での支援の可能性について改めて確認しようと急きょ行われました
島根半島でも宍道断層による直下型地震があり得るほか、松江市には島根原発もあって能登半島とは共通点があると言われています。
今回知事は松江市から出雲市にかけての沿岸部で、およそ20か所を見て回り、従来想定していた小型ヘリでなく中大型ヘリを運用出来るかなどを確認しました。

島根県 丸山達也知事
「半島部における対応が混乱度を増すことに対応しなければならない。自然災害への対応能力を上げることで対応していく」

視察を終えた知事は、思ったよりも中大型ヘリを離発着出来る場所があったとする一方、どこでも可能なわけでなく、いろいろな方法と組み合わせたいとしました。
そして今後、ヘリを運用する自衛隊と詳細な現地確認を行うなど、地震発生に備えて出来ることをまずは進めたいと答えました。

28- 市民グループ 能登地震受け川内原発運転延長の賛否をアンケートで確認をと

 20年の運転延長が決まった川内原発について、市民グループは27日、県や地元が運転延長を容認した後に能登半島地震が発生し不安を持っている人もいる」として、運転延長の賛否について改めて県民アンケートをとることなどを塩田知事に求めました。
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反原発グループ 能登地震受け「運転延長の賛否を県民アンケートで確認」要請 運転延長認可の川内原発めぐり
                         MBC南日本放送 2024/2/27
20年の運転延長が決まった川内原発について、市民グループは27日、「能登半島地震で不安を持っている人もいる」として、改めて運転延長の賛否について県民アンケートをとることなどを塩田知事に求めました。
要請書を出したのは反原発の市民グループです。川内原発は去年11月、原子力規制委員会に運転延長が認可され、12月に鹿児島県も地元の薩摩川内市もその判断を容認しました。
市民グループは27日、「県や地元が容認した後に能登半島地震が発生し不安を持っている人もいる」として、運転延長の賛否について改めて県民アンケートをとることなどを塩田知事に求めました
川内原発30キロ圏住民ネットワーク 高木章次代表)「知事は改めて県民がどう考えているか確認するべき」

市民グループは要請書で、原発事故が起きた際の避難計画の実効性などを検証する分科会の設置も求めています。 

2024年2月26日月曜日

県漁連「科学的根拠ない批判」 処理水放出半年、ナマコ値崩れ訴え

 共同通信全国漁業協同組合連合会加盟の42漁連・漁協に対して実施したアンケートで、回答した36団体中80・6%が風評被害を「あった」「どちらかといえばあった」と回答し、中国禁輸措置ナマコを輸出できなくなナマコの値段が下がった具体例が示されました。
 政府や東電の対策について「どちらかといえば不十分」と回答し「国民や海外に向けて、さらなる理解向上へ周知をお願いしたい」と対策の強化を求めました。
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県漁連「科学的根拠ない批判」 処理水放出半年、ナマコ値崩れ訴え
                        福島民友 2024年02月24日
 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出が昨年8月に始まってから24日で半年となるのを前に、共同通信は、全国漁業協同組合連合会(全漁連)に加わる都道府県レベルの42漁連・漁協にアンケートを実施した。
 県漁連は「風評被害があった」と答え、中国による禁輸措置の影響などでナマコの値段が下がり、ナマコを輸出できなくなった具体例を示した
 風評被害の内容として「漁業関係者が科学的根拠に基づかない批判を受けた」「処理水に関するデマ(誤った情報)が流れた」ことも指摘した。
 政府や東電の対策について、「どちらかといえば不十分」と回答し「国民や海外に向けて、さらなる理解向上へ周知をお願いしたい」と政府と東電による取り組みの一層の強化を求めた。
 県漁連が自ら進めている対策には、魚介類を対象に続けている放射性物質検査結果や、水産庁が公表しているトリチウム関連データの発信を挙げた。


原発処理水の漁業風評被害8割 中国禁輸、各地に波及
                           共同通信 2024/02/23
 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出が昨年8月に始まってから24日で半年となるのを前に、共同通信は、全国漁業協同組合連合会(全漁連)に加わる都道府県レベルの42漁連・漁協にアンケートを実施した。応じた36団体の80.6%に当たる29団体が風評被害を「あった」「どちらかといえばあった」と答えたことが23日、分かった。大多数は中国が日本産水産物の輸入を停止したことに伴う被害を挙げ、影響が国内各地に波及したことが浮き彫りになった。
 一方で「禁輸以外の風評被害は確認されていない」(水産庁加工流通課)といい、国内市場で特定産地の魚が買い取りを拒否されたと訴える声はなかった。

 アンケートでは風評被害の有無について、北海道や福島県など13団体(36.1%)が「あった」、東京都や鹿児島県など16団体(44.4%)が「どちらかといえばあった」とした。
 複数回答で聞いた被害内容は「輸出できなくなった」が最多の24団体で、中国や香港などにナマコやホタテ、養殖ブリなどを輸出できなくなった。

高浜4号機の伝熱管の損傷 鉄さびとの接触が原因と

 関西電力は22日、高浜原発4号機定期検査中に蒸気発生器の伝熱管4本の外面に損傷が見つかった件で、蒸気発生器内に生じた鉄さびの塊が原因とする調査結果を原子力規制委に報告しました。今後蒸気発生器内を洗浄し、鉄さびの発生防止を図るということです。
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鉄さびとの接触が原因 高浜4号機の配管損傷 関電
                            時事通信 2024/2/22
 関西電力は22日、定期検査中に配管の損傷が見つかった高浜原発4号機(福井県高浜町)について、蒸気発生器内に生じた鉄さびの塊が原因とする調査結果を原子力規制委員会に報告した。
 今後、蒸気発生器内を洗浄し、鉄さびの発生防止を図るという。当初の4月上旬から遅れる見通しとしていた再稼働時期については未定とした。
 4号機では1月、蒸気発生器の伝熱管全9731本のうち4本で、配管の厚みが減少する「減肉」を確認。小型カメラによる調査で配管外面に3~7ミリほどの傷が見つかった。2次系冷却水に含まれる鉄分が固まった鉄さびの塊も管周辺で見つかっており、運転による振動で配管と繰り返し接触したと推定した。

長崎・対馬市長選 核ごみ処分場問題で現職と新人の一騎打ちに

 25日告示された長崎県の対馬市長選は、新人の荒巻靖彦候補(59)と現職の比田勝尚喜候補(69)の2人が立候補し核のごみ最終処分場誘致派の新人荒巻氏と誘致反対派の現職比田勝氏が同問題の賛否で争う一騎打ちとなりました。
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核ごみ処分場、再び争点に 長崎・対馬市長選が告示 誘致掲げる荒巻候補、反対姿勢の比田勝候補
                           長崎新聞 2024/02/26
 25日告示された長崎県の対馬市長選は、新人の荒巻靖彦候補(59)と現職の比田勝尚喜候補(69)の2人が立候補した。原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場誘致問題は昨年いったん区切りがついたが、再び争点に。3月3日の投開票に向け、7日間の論戦がスタートした。
 同市では昨年、急速に進む人口減少や経済衰退への危機感を背景に、最終処分場誘致に向けた動きが16年ぶりに再燃。選定の第1段階となる文献調査受け入れを巡り、島を二分する議論に発展した
 市議会は同年9月、建設4団体が提出した調査促進の請願を賛成多数で採択したが、市長の比田勝候補は「市民の合意形成が不十分」などとして、調査を受け入れない考えを表明した。
 市長選で、比田勝候補は引き続き最終処分場への反対姿勢を明確にする。一方、大阪府在住の荒巻候補は推進派市議の一部から要請を受けて立候補。前回の市長選も最終処分場誘致を掲げて出馬しており、今回も最終処分場誘致のみを掲げる「ワンイシュー」(単一争点)で挑む
 第一声で荒巻候補は、誘致のメリットとして「土木工事などに伴い、製造業や建築業、ホテル、あらゆる会社や商業施設が対馬に入る」と主張。「人が増えれば仕事が増え、若い人も戻る。その皮切りが最終処分場誘致」と力説した。
 比田勝候補は出陣式で、調査を受け入れなかった判断に触れ「市民の将来や生活を考えた苦渋の決断だった」と強調。「誰一人取り残さない持続可能な対馬を磨き上げたい」と訴えた。反対派の漁協関係者のほか、建設団体も姿を見せた。
 両候補は南北に約82キロと広大な対馬で支持浸透に向け、選挙カーで街宣に繰り出した。厳原町の主婦(72)は「少子高齢化に歯止めがかからない。漁が上がらない水産業の振興策を打ち出すなどして経済を回してほしい」と注文した。

26- 東電 柏崎刈羽原発再稼働で 4月に新潟県内4カ所で住民説明会

 東京電力は4月上旬、柏崎刈羽原発でのテロ対策の改善状況や安全性向上に関する取り組みを新潟県民に伝え、意見を聞く説明会を新潟、長岡、上越、見附の4市で開くとして、日時等を発表しました。
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東京電力、4月に新潟県内4カ所で住民説明会 テロ対策の不備による「運転禁止命令」解除受け、新潟市や長岡市などで開催
                             新潟日報 2024/2/24 
 東京電力は4月上旬、柏崎刈羽原発でのテロ対策の改善状況や安全性向上に関する取り組みを新潟県民に伝え、意見を聞く説明会を新潟、長岡、上越、見附の4市で開く。事実上の運転禁止命令が解除に至った経緯などを東電が柏崎市、刈羽村以外で説明するのは初めて。

テロ対策の不備
を受けて原子力規制委員会が柏崎刈羽原発に出した事実上の運転禁止命令が、2023年末に解除されたことを受けた対応。説明会には、原子力・立地本部の福田俊彦本部長、柏崎刈羽原発の稲垣武之所長が出席する予定。
 東電によると、見附市の説明会は市の要請を受けて設けた。今回の4市以外の市町村での開催について、広報担当者は「関係する皆さまの意見を聞きながら検討する」と述べるにとどめた。

 日程と場所は次の通り。
▽4月2日午後6時〜8時、県民会館(新潟市中央区)
▽4月4日午後6時〜8時、リージョンプラザ上越(上越市)
▽4月6日午後2時〜4時、長岡リリックホール(長岡市)
▽4月9日午後6時〜8時、見附市文化ホールアルカディア(見附市)

2024年2月24日土曜日

原発避難に不安…「このままの計画では避難できない」と県内30市町村長ら

 再稼働に向けた動きが進む柏崎刈羽原発について、新潟県長岡市では23日、原子力規制庁や内閣府などが県内30市町村の首長に対して説明会(研究会とも)を開きました。

 首長らからは、「避難計画そのものの見直しというのも場合によっては出てくると思っている」「能登半島地震での対応全体を見てみると生命を救うための72時間どころか1週間経っても救出の動きが出てこずに多数の人命が失われた」、「大雪の下 地震で道路が壊れるのと並行して原発が損傷した場合、孤立集落をどうやって救出するのか」、「このままの避難計画では避難できないし、屋内退避もできないことが明らかになった」「こうした認識を共有できるいい機会になった」などの声が上がりました。
 原子力規制庁、規制委、県はこれらの指摘について真剣に対応すべきです。
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原発避難に不安…内閣府などが新潟県内30市町村長に説明も「このままの計画では避難できない」
                       新潟総合テレビNST 2024/2/23
原子力規制庁が出していた事実上の運転禁止命令が解除されるなど再稼働に向けた動きが進む柏崎刈羽原発。新潟県長岡市では23日、原子力規制庁や内閣府などが県内30市町村の首長に対して説明会を開きました

【長岡市・磯田達伸市長】
避難計画そのものの見直しというのも場合によっては出てくるかなと思っている」
県内30市町村の首長を集めた説明会では、まず原子力規制庁が事実上の運転禁止命令の解除や東電の適格性に問題はないとした判断について説明。参加した首長からは軽微だとしても問題が頻発している東電への県民の不信感はなくなっていないなどとする意見が相次ぎました。
一方、内閣府は、原発おおむね30km圏内のUPZでの原子力災害を含む複合災害が発生した時の対応について説明しました。

内閣府の担当者
「安全に避難できる準備を整えてから動くようにそうしないと福島のときには多くの犠牲者を出してしまったと…」
急を要する場合には最終的には自衛隊などの実動組織が救助に向かうとしていますが…
長岡市・磯田達伸市長
「実際に能登半島地震があって、その動き全体を見てみると生命を救うための72時間どころか1週間2週間経ってもなかなか(救出の)動きが出てこない中で本当に多くの方が亡くなったり苦しんでおられる
上越市・中川幹太市長
孤立集落が複数出たときに大雪で地震で道路が壊れて原子力発電所が壊れる。これが同時に起こると孤立した人たちを誰がどうやって救うんだと」
ハード面での再稼働に向けた動きが進む一方で、能登半島地震をへて見えた避難の難しさ。
長岡市・磯田達伸市長
このままの避難計画では避難できない屋内退避もできないことが明らかになった。その認識を共有できたいい機会になった


新潟県内の首長、能登半島地震を受けて柏崎刈羽原発に不安の声 研究会で発言
                                 産経新聞 2024/2/23
再稼働を目指す東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の安全性を確認し、重大事故時の避難方法について研究する、新潟県内全30市町村で構成する研究会が23日、同県長岡市内で開かれた。出席した首長からは、能登半島地震クラスの巨大地震が起きた場合の同原発の安全性や、不祥事が相次ぐ東電を不安視する声が相次いだ

研究会には、同市の磯田達伸市長新潟市の中原八一市長らのほか、原子力規制庁や内閣府、県の担当者も出席。合計約60人が参加した。
燕市の鈴木力市長は、原子力規制員会が昨年12月、東電への事実上の運転禁止命令を解除した際、「東電にお墨付きを与えたわけではない」との発言があったことに触れ、「そのような東電が再び事故を起こしたら、その責任はどうなるのか」とただした。
規制庁の武山松次検査監督総括課長は「われわれは引き続き東電を監視していかなくてはいけない。規制をきちんとできなかったことによって同原発で事故が起きたら、規制庁にも責任がある」と答えた。
また、磯田市長は、能登半島地震を受けた規制庁の対応について質問。武山氏は「同地震から新しい知見を求め、(原子力規制に)織り込んでいきたい」とした。
中原市長は、同地震により道路が寸断された事例を取り上げ、県内の広域避難に使う道路の強靭(きょうじん)化を国に求めた。内閣府の森下泰審議官(原子力防災担当)は「新潟県からそのような話が来たら、国土交通省など関係省庁と連携してやっていきたい」と述べた。
会では、同原発の再稼働の是非について議論を進める新潟県の花角英世知事に対しても、慎重な対応を求める意見が出た。鈴木市長は「まだ再稼働の是非を議論する段階にはない。知事は国や東電の責任を徹底的に問うべきだ」と訴えた。

事故なら被害665兆円 東海第2原発訴訟弁論で原告側

 日本原電東海第2原発運転差し止めを求めている裁判の第2回口頭弁論が20日、東京高裁で開かれました。水戸地裁が避難計画の不備を理由に、運転を認めない判決を言い渡した裁判の控訴審です。

 原告代理人の弁護士同原発で過酷事故が起きた場合の経済被害の莫大について、「東海第2過酷事故で被害総額は665兆円」としました。また同原発の避難計画が、地震による家屋の倒壊、道路の損壊や寸断を考慮していない点を指摘し実効性がないことを明らかにしました。さらに火山灰降下に対するの安全の欠如火山規制のずさんさを指摘ました。
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事故なら被害665兆円 東海第2原発訴訟弁論で原告側
                       しんぶん赤旗 2024年2月22日
 日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)について、茨城県などの住民が運転差し止めを求めている裁判の第2回口頭弁論が20日、東京高裁で開かれました。訴訟は、水戸地裁が避難計画の不備を理由に、運転を認めない判決を言い渡した裁判の控訴審です。
 原告代理人の尾池司弁護士は同原発で過酷事故が起きた場合の経済被害の莫大(ばくだい)さについて、専門家の上岡直見氏の、福島原発事故や関西電力大飯原発での算定を提示。被ぱくの回避措置、住民の生活活動の放棄、事業所の生産活動の停止で「東海第2過酷事故で被害総額は665兆円」としました
 大河陽子弁護士は、能登半島地震を受け、同原発の避難計画が、地震による家屋の倒壊、道路の損壊や寸断を考慮していない点を指摘し、避難計画の実効性がないことを明らかにしました
 中野典弁護士は、火山事象(さまざまな被害が広範囲に広がる火山灰)の安全の欠如や、火山規制のずさんさを指摘ました
 報告集会では、参加者から「施工不良の問題をもっと追及するべきだ」と意見も上がり、尾弁護士は「経済被害などを過少評価する姿勢が隠ぺい体質につながっている」と指摘。日本共産党の江尻加那県議や大美恵子東海村らが傍聴に駆け付けました