2022年12月31日土曜日

“原発ムラ”が自民に6・3億円の巨額献金 昨年

 8月下旬、岸田首相は、福島原発事故後 原発の再稼働や建て替えには抑制的であった歴代政権の姿勢を突如一転させ、再稼働の促進と次世代型原発の新設に舵を切りました。これには唯々唖然とするしかありませんでしたが、その陰では、あれは経産省の(元)幹部官僚などから、「総理! 今は国民に理解されなくても、国家の先行きを考えた名宰相として歴史に名前が残りますよ」と、おだてられたからではないかという噂が立ちました。

 それでは、自分の「虚名」のためには国が危険に瀕しようとも構わないと考えたということになります。いずれにしても経産省官僚を核として且つは原発推進の国会議員連を擁する日本の「原子力ムラ」は、いまだに福島原発の立地町の周辺は殆ど復興していないにもかかわらず健在で、そこには謙虚さの欠片もありません。
 21年の1年間に、原子力ムラから自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、約6億3800万円もの献金をしていたことが分かりました。
 念のために申し添えますと、これは岸田首相の推進発言が出る前のことです。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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“原発ムラ”自民に63億円 「原発回帰」の背景に巨額献金 昨年 メーカー・商社・ゼネコン…
                      しんぶん赤旗 2022年12月31日
 「可能な限り原発依存度を低減する」などとしてきた政府方針を覆して、新規原発建設推進や老朽原発の運転を認める「原発回帰」に大転換した岸田自公政権。電力会社や原子力関連の企業、研究機関、原発立地地域の自治体などでつくる一般社団法人「日本原子力産業協会」(原産協会、392団体)の会員企業が、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、2021年の1年間にあわせて約6億3800万円もの献金をしていたことが本紙の調べで分かりました。
 政治資金収支報告書(21年分)によると、会員企業の献金で目立つのは、原子炉メーカー。すでに「革新軽水炉」の開発を手掛けている日立製作所は4000万円、ことし9月、北海道、関西、四国、九州の電力会社大手と「革新軽水炉」を共同開発すると発表した三菱重工業は3300万円。原発建設に使われる鉄鋼を供給する鉄鋼メーカーの日本製鉄は前年より700万円増の2700万円、JFEスチールも250万円増の750万円です。核燃料の調達をする大手商社は、三井物産、三菱商事、丸紅が各2800万円
 経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」の原子力小委員会の「革新炉ワーキンググループ」に、産業調査部参事役を委員として送っているみずほ銀行は2000万円。このほか、原発を建設するゼネコンは、鹿島建設、大林組、清水建設が各1800万円など。会員企業の献金総額は、6億3794万2000円にのぼりました。

 原産協会が会員企業を対象におこなった「原子力発電に係る産業動向調査」(今年6月1日~7月15日)によると、電力各社から会員企業への原発関係支出は、21年度、1兆7646億円です。
 財界や原発業界の要求を丸のみして「原発回帰」を勝手に決めた背景に、年間2兆円近い膨大な原発マネーに群がる大企業の献金…。原発利益共同体と自民党との根深い癒着を示しています

簡単で効果的な節電を訊いた 「節電プロジェクト参加」はメリットあり

 Lmaga.jpが節電プロジェクトの簡単で効果的な節電法を紹介しました。

 関西電力との「Q&A(質問と回答)」の形式になっています。「関西電力」の「特典」は一般性はないと思いますが、節電の技法は共通の筈です。
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もう申請した? 家計に「メリットしかない」節電プロジェクト、簡単で効果的な節電を訊いた
                           Lmaga.jp 2022/12/30
『冬の節電プロジェクト2022』簡単にできる節電のポイントを教えてもらいました
物価上昇が続き、光熱費はできるだけおさえたい今。そんななか、「節電プロジェクトにエントリーするだけで2000ポイントgetしてたおー!節電もするする」というツイートを発見。
調べてみると、「関西電力」(本社:大阪市北区)の推進事業『冬の節電プロジェクト2022』で、参加特典として2000ポイントが付与されるとのこと。つまり、参加するだけでポイントがもらえ、さらに節電できればポイントが上乗せされるという。
うれしいことに、参加特典がもらえる申し込み期間が1カ月延長され、2023年1月31日までになったので、まだ間に合う!とりあえず参加で、2000ポイントはゲット(申し込み完了後、最速で翌日に加算)、さらに上積みするべく効果的に節電する方法を「関西電力」の坪内雄佑さんと石原弘二朗さんに訊いた。

■節電プロジェクト、どんなメリットが?
──参加特典ポイントと、節電達成ポイントがあるのは、どこの電力会社でも同じですが、ポイントの種類は事業者によって異なるようですね。
はい。当社では電気料金などのお支払いや、お買い物に使っていただいたり、「TーPOINT」や「楽天ポイント」「ANAマイレージクラブ」「JALマイレージバンク」などのポイントに換えられる「はぴeポイント」が進呈されます。
──節電達成ポイントは、前年同月より節電した場合と、予告された電力需要がひっ迫する時間に節電するともらえる電力会社が多いです。国の施策は共通ですが、「関西電力」では、どのような取り組みになりますか?
「月間使用量型」は、国の事業として前年同月比3%以上節電で1000ポイント、それに加え当社取組みとして前年同月より節電量1kWhあたり1ポイントを進呈します(3月の検針日の前日まで)。
「指定時間型」は、対象時間に節電量1kWhあたり5ポイントの進呈、また、国からも5ポイント進呈されるので合計10ポイントになります。
ポイントは自動的に計測され、登録されたメールアドレスにどれ位節電されたのかお知らせが届きます。
──前年同月比で3%以上節電できたら、毎月1000ポイントがもらえる(月の期間は電力会社による)のは大きいですね。3%の電気量は、各家庭によって異なると思うのですが、一般的にどのくらいなのでしょうか。
当社のモデル料金では、1家庭で月260kWhという数値ですからそこから計算すると、約7.8kWhになります。

■効率的な節電方法は?
──どんなことをすれば効率的に節電できますか?
経済産業省・資源エネルギー庁のサイトに節電の参考数値が公表されていますので、そちらを参考にご紹介します。
まず「家庭における家電製品の1日での電力消費割合」の円グラフを見てみましょう。グラフから、エアコンと冷蔵庫、照明の電力消費が多いことがわかります。電気消費量が多いものを節電すると効率的になります。
──なるほど。エアコンを1度下げると節電できるというのもよく言われますね。
エアコンの温度を下げることも節電になりますが、おすすめはフィルターの掃除です。たとえばエアコン(2.2kW)のフィルターを月に1回か2回掃除すると、掃除しない場合に比べ年間31.95kWhの省エネになるとされているので、単純計算で月約2.6kWhの節電になります。
節電量が大きく取り組みやすそうな節約を、同じように単純計算すると、
・冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」にした場合、月約5.1kWh
・白熱電球54Wを電球型LEDランプ9W(白熱電球54Wと同程度の明るさ)に取り替えると月約7.5kWh
・電気カーペット3畳用の設定温度を「強」から「中」にした場合(1日5時間使用)、月約33.8kWh
・32V型テレビ画面の輝度(明るさ)を最大から中間に変更で、月約2.3kWh
・温水洗浄便座のフタを使わないときに閉めれば、月約2.9kWh
ひとつで達成するのではなく、組み合わせるとよさそうです。

■デメリットは? 節電対象期間はいつまで?
──具体的に数字を聞くと、節電を達成できそうな気がしてきました。「指定時間型」でうまく節電する方法はありますか?
節電をお願いする時間は指定日の夕方2時間が多いので、その2時間は電気を使わないように、買い物や散歩に出かけたり、洗濯などの電気を使う電化製品の使用時間をずらすと達成しやすいかもしれません。
──なるほど!こちらも現実味を帯びてきました。ちなみに、メリットしかないように見える節電プロジェクトに、デメリットはあるのでしょうか?
デメリットはありませんね。
──節電ポイント付与の対象期間はいつまでですか?
お申し込みをおこなった日から原則7日程度で参加することが可能で、「指定時型」は3月31日まで。
「月間型」は2022年12月中に参加いただいた場合は2023年2月分、2023年3月分それぞれにおいて節電量の計算。2023年1月1日から2023年1月31日までに参加いただいた場合は、2023年3月分において節電量の計算を致します。また、節電されたポイントは5月下旬に加算する予定です。
──節電できれば電気代も安くなりますし、申し込まない理由がないですね。最後にひとことお願いします。
国と当社からのポイントが付与されますので、今回の節電プロジェクトを機会に、無理のない範囲で電気の使用が増える冬の節電にご協力していただければと思います。

「うまく節電できれば、さらにポイントアップできるからやってみようか」の「ゆる節電」でもOKなプロジェクト。手続きも簡単なので、この機会に参加してみては。また関西に居住していなかったり、ほかの電力会社で契約している人も契約している会社のサイトを確認してみて。   取材・文・写真/太田浩子

31- 女川原発2号機 安全対策工事の進捗状況 宮城県や周辺自治体が立ち入り調査 

 宮城県や周辺自治体が立ち入り調査 東北電力が再稼働を目指す女川原発2号機 安全対策工事の進捗状況など確認

                         ミヤギテレビ 2022/12/27
東北電力が再稼働を目指す女川原発2号機について、宮城県や周辺自治体が立ち入り調査を行った。
東北電力は女川原発2号機について、2024年2月の再稼動を目指している。
27日は県や原発周辺の市と町の職員が立ち入り調査を行い、安全対策工事の進捗状況を確認した。
こちらの4台の車両が並ぶ施設、外部電源や非常用発電機が使えなくなった場合の設備で、2号機の再稼働に必要な新規制基準に基づいて設置された。
  動画参照https://news.yahoo.co.jp/articles/5e9f29a086dfce4c550a4879a4fc7f3bbbdc2399
県原子力安全対策課横田浩志課長:「再稼働という住民の大きい関心事になっていて関心が高まってくると思うので、こういった調査は継続的に定期的に行っていきたいと考えております」
東北電力は来年11月までに女川原発2号機の安全対策工事を完了する予定。

2022年12月30日金曜日

新潟県独自の『検証総括委』なぜ開かれない 委員会と県の“深い溝”

 BSN新潟放送が、新潟県独自の『検証総括委』がなぜ開かれないのかについて取り上げました。花角新潟県知事はひたすら「色のつかない」報告書を求めているようですが、「無色透明」の報告書というのは取りも直さず再稼働の安全を保証する報告書となります。
 原発について3つの分野で検証した結果が「無色」になることはあり得ません。再稼働の可否に言及するなというのは、学識経験者の成果を政治的に否定しようとするもので、一体何のための検証だったのか、県側の主張に「論理矛盾」があります。
 報告書に「色をつけず」県の意向を全て認めない限り会議の開催はさせないというのではとても県と共通認識に立つことなど出来ません。かつて県は原発の地盤を不安視した新潟大学の立石教授を強引に委員から外しました。総括委員会の池内委員長についても来年3月をもって外そうと考えているのは明らかです。それでは解決にはなりません。
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原発再稼働議論の前提 新潟県独自の『検証総括委』なぜ開かれないのか? 委員長と県の“深い溝”
                         BSN新潟放送 2022/12/26
新潟県は柏崎刈羽原発の再稼働の議論の前提として(1)安全な避難方法(2)健康と生活への影響、(3)福島の原発事故の原因の3つを独自に検証しています。
この3つの検証を総括する「検証総括委員会」というものがありますが、この委員会がおよそ2年もの間開かれていないのです。なぜ開かれないのでしょうか…
池内委員長への単独インタビューで県と池内委員長の意見の相違が浮き彫りとなってきました。
21年1月に開かれた検証総括委員会。
【花角知事】「稼働などの判断については県政を預かるものとして責任をもって判断してまいりたいと思う。(検証総括委員会には)3つの検証についての取りまとめを行ってもらいたい」
花角知事が初めて出席し実に3年ぶりに開催されました。
しかし、この日以降およそ2年間開催されていないのです。

いわゆる『3つの検証』は2016年の県知事選で米山隆一氏が公約に掲げたもので米山氏は当選後3つの委員会とそれらを総括する「検証総括委員会」を立ち上げました。
【花角知事】
2018年に当選した花角知事はこの「3つの検証」を引き継ぎさらなる検証を進めてきました。
【中島座長】「我々としては県民の目線で柏崎刈羽原発にどう反映するかという形での教訓を引き出そうと考えていた」

3つの検証のうち技術委員会は20年10月に報告書をとりまとめ…
避難検証委員会は今年9月に報告書を提出。
検証を残すのは健康と生活委員会の1つの分科会のみとなりました。
3つの検証の終わりが見えてきた中で検証総括委員会は一向に開催されません。花角知事に理由を聞くと…
【花角知事】「ずっと私どもは開催してくださいということで委員長にお願いをしています。取りまとめをお願いしているんですよね。ということでお話をしていて、そこがまだご了解いただけていないことから、開かれていないと」
県は「池内委員長と共通認識が持てていないため開くことができていない」としています。

では、その池内委員長はどう考えているのでしょうか…
【池内了委員長】「根本原因は、県の特に知事が、知事の思い通りというのか、考えている通りの運営をやっていただきたいと、総括委員会の運営をやっていただきたいという意見を強硬に言われた
それに対して私としては、県民のための総括委員会という立場から言うとね、知事のおっしゃる通りにやるわけにはいかないと」
と池内委員長との間で意見が真っ向から対立しているのです。

池内了(いけうち・さとる)氏は宇宙物理学を専門とする名古屋大学の名誉教授で委員会の立ち上げ当初から検証総括委員会の委員長を務めています。
「3つの検証委員会をわざわざ立ち上げて進めるということはどこもやってないということでね、それならば私としてはね非常に画期的なことであると。日本の原発行政をね考える進めていく上で非常に重要なステップになるだろうということで引き受けた」

発端は21年1月に開かれた検証総括委員会でした。公開されている議事録からは池内委員長が様々な不満や意見を口にしたことが記されています。
「総括委員長として大きな不満も持っているのは、実は、最初のロードマップでは、1年おきくらいに総括委員会を開いて、各委員会から進捗状況を報告していただいて、フィードバックを受けていくと。そういうやり方が構想されていたわけですが、それが一切なかった
さらにはこんな発言も…
【池内委員長】「再稼働の是非に関する参考意見を科学的な立場、合理的な立場から出したい」
これに対し、当時花角知事は…
【花角知事】「それは委員会の中で議論して、今議論始められたんでしょ?
委員長は自分はこういう風に考えているとおっしゃって…」
これらの発言を受けて21年6月、当時の県の防災局長が池内委員長の自宅を訪れ、意見の相違について5つの観点でとりまとめました。その一つが「タウンミーティングの開催」です。

【池内委員長】「県の態度は一方的に説明をする上から説明するだけだから、私としては双方向の意見交換を行った上で、県民の要望を報告書に反映していくということを今求めているわけです。それは決定的に違うことですね」
ただ県はあくまで「検証が終了した後の開催」を考えています

「検証総括委員会で検証結果が取りまとめられた後、県において結果について広く情報共有し、評価を頂くことを考えている」
またもう一つが検証総括委員会が「総括する範囲」です。県は総括は3つの検証に限ると考えています。しかし、池内委員長は技術委員会が同時に行っている「柏崎刈羽原発の安全対策の確認」や「東京電力の適格性の議論」も総括したいと考えています
「技術委員会の適格性の議論となると東電の技術的力量はどうかと、技術の側面に限られる。適格性の問題っていうことを通じて、東電という企業体のね。本質みたいなものをあぶり出したいと」
これに対し県は、「検証総括委員会の運営要綱にある任務ではない」としています
運営要綱では検証総括委員会の任務は「総括」としていてその対象は「3つの検証」と書かれています。

一方で「総括」という2文字の意味とは何なのか。
県は…「矛盾等がないかを各委員に確認していただき、3つの検証のとりまとめをしていただくこととしています。委員会の任務を引き受けていただいた委員長に、委員会の任務・役割をご理解頂いたうえで、委員長としての職責を果たして頂きたいと考えています」
県は池内委員長との考え方の5つの相違について資料を作成し検証総括委の各委員にメールで送っていたことが委員への取材で分かりました。そして、県も池内委員長も「次の検証総括委員会でこの5つの相違も議論するはずだった」と話しています。しかし、委員会開催の2か月前。池内委員長は県の幹部との面会でこう言われたそうです。
池内委員長】「要するに、県としてはこういう考え方であるので、これを受け入れてほしいと。そこに検証総括委員会の役割は出された検証報告書を一覧してそれをまとめるだけのことだと言われた」
5つの相違について県の考えをすべて受け入れるように求められたと話しました。

さらに、こんな発言もあったそうです。
「極論すれば県が金を出している委員会だから、県に従うのは当然だともおっしゃる。これは僕は言いすぎだと思う」
この発言について県の関係者はBSNの取材に対し、「検証委員会の予算は議会の議決を得る。県が求めていることと別のことを行えば、予算を通せなくなる、そういう類の発言はした」と話しました。
結局、21年9月に予定されていた検証総括委員会は開催されませんでした。県は「新型コロナウイルスの感染拡大が理由」としていて委員会開催の代わりに知事と池内委員長は会談を行いました。
【池内委員長】「知事はとにかくこの5点について一切、県の立場は譲れない。従ってください。私は従えないと。だから知事は総括委員会は開きません。僕は開けないんですねと言ったんですけどね」
この会談で話した内容について県は取材に対し「検証総括委員会の任務や池内委員長の意見に県の考えをお伝えしています」と回答しています。

一方、県は池内委員長のある行動を問題視しています。繰り返し反原発団体の集会に出席していることです
「検証に対する県民の信頼を失いかねないような発言は謹んで頂くよう再三お伝えしています。委員の肩書で委員会で議論、決定したことでない事項を発言することは慎んで頂きたいと考えております」
県の幹部は取材に次のように答えています。「知事は報告書に色がつくのを気にしている。それは推進であろうと、反対であろうと同じだ

県は今月も委員長の自宅で話し合いの場を持ちましたが、意見は平行線で「共通認識を持つことはできなかった」そうです。池内委員長の任期は今年度末までです。
【花角知事】「今はとにかくご理解いただくように、部局も何度も接触しているはずです。引き受けていただいてこれまで進めていただいたのですから。ここに来てどうして止まってしまうのだということですよね」
総括委員会は開催されないまま年を越すことになりそうです。

原子力規制庁と推進官庁面談も記録作成・公開 規制委が決定

 原子力規制委は28日の定例会で、原子力を推進する行政機関との面談記録を作成し公開することを決めました。これまで電力会社などの規制対象者と面談する際には記録を作成し公開すること定められていましたが、行政機関との面談は対象外でした。

 しかし経産省(資源エネルギー庁)は 原発推進では電力会社と同じ立場なので区別することに意味はありません。
 今度の運転延長問題で規制委・規制庁の在り方に疑惑が広がったのは当然のことで、それは記録の作成・公開で解決するような問題ではありません。
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原子力規制庁と推進官庁面談も記録作成・公開 規制委が決定
                        毎日新聞 2022年12月28日
 原発の運転期間延長の対応について、原子力規制委員会が正式に検討を始める前に事務局の原子力規制庁の職員が経済産業省側と面談を重ねていた件を受け、規制委は28日の定例会で、原子力を推進する行政機関との面談記録を作成し公開することを決めた
 規制庁は27日、規制委の検討開始前の7〜9月に経産省資源エネルギー庁との間で計7回面談があり、約30回の電話でのやり取りをしていたことを明らかにしていた。いずれも記録は残っていない。
 規制委委員や規制庁の職員が電力会社などの規制対象者と面談する際、記録を作成し公開することが、規制委の内規で定められているが、行政機関との面談は対象外だった。28日の決定を踏まえて内規を見直し、記録の作成、公開が義務づけられる面談の相手に経産省、文部科学省、内閣府の「原子力利用の推進に係る事務を所掌する部署」を加える
 山中伸介委員長は28日の記者会見で、事前面談について「透明性に問題があったと認識している。それぞれの職員が疑念を持たれることがないように行動してほしい」と話した。
 この日の定例会では、規制庁と経産省との事前面談について、透明性確保を前提に「エネ庁の情報を入手することは、規制委の了承がなくてもやってもらわないと困る」(杉山智之委員)といった意見の一方、面談の事実や規制庁内の検討状況について「ずっと(規制委への)報告や意見交換がなされずにきていたというのは不適切だった」(石渡明委員)との指摘が出た。【土谷純一】

30- 原発事故以来の卯年へ 戻らぬ時を思う年の瀬(毎日新聞)

  新年の2023年で福島原発事故後「えとは一巡します。

 年末を迎え2人の男性のそれぞれの胸に去来するものは  毎日新聞が取材しました。
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原発事故以来の卯年へ 戻らぬ時思う年の瀬
                            毎日新聞 2022/12/27
 2022年が暮れようとしている。東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域が広がる福島県には、12年ぶりに年越しを住み慣れた場所で過ごす人もいれば、長く暮らした古里の自宅への帰還を許されない人もいる。東日本大震災が起きた11年から、23年で えと は一巡する。それぞれの胸に去来するものは――。

 27日の昼下がり。福島第1原発から約4キロ離れた双葉町の町営住宅の縁側で、男性(63)が一人、日なたぼっこをしながらコーヒーを飲んでいた。「暖かいからいいね」。日課の散歩を終えたばかりという。
 双葉町では、帰還困難区域のうち優先的に除染が進められた特定復興再生拠点区域(復興拠点)で、8月末に避難指示が解除された。それまでは唯一、全町民の避難が続いていた。10月に町営住宅への入居が始まると、男性は「町のにぎわいの先頭に立ちたい」と、慣れ親しんだ町に戻った。
 県内で生まれ育ち、過ごしてきた。生まれは内陸の三春町。地元の高校を卒業後、東電の下請け会社に勤務し、原発で電気系統の品質管理などに携わった。「冬は寒すぎず、夏は暑すぎない」という双葉町が気に入り、40歳のころに第二の古里として移り住んだ

 東日本大震災は福島第1原発の構内で遭遇した。部下の無事を確かめて帰宅し、近くの小学校に避難した。「原子炉は緊急停止したと聞いていたので一安心だった」。避難の準備をしていた震災の翌日に爆発音が聞こえたが、翌日にテレビニュースを見るまで、原発の水素爆発の音だとは思いもよらなかった。ぞっとして、極寒の中で近くの沢に入り、体を洗い流した
 12年の年明けから、いわき市のみなし仮設住宅に移って福島第1原発の廃炉作業に従事した。「二度と爆発させてはいけない。与えられた仕事をやろう」と腹をくくった。「双葉は終わった」と一時は考えた。だからこそ、帰れるようになったら真っ先に駆けつけよう、と決めていた。

 第二の古里で迎える12年ぶりの正月は、町内の産業交流センターから初日の出を見るつもりだ。山あいの地域で避難指示が解除されたら、いずれはマウンテンバイクで走りたいと思っている。「誰かが先行して帰らないと、後に続く若者も来ない。町を訪れた人が町内でご飯を食べてお土産を買って……。早くそんなふうになるといいね」

 一方で、福島県内には原発事故を契機に古里を離れ、かつての我が家で新年を迎えられない人がいまも大勢いる。元高校教諭の松本佳充さん(68)もその一人だ。
 福島第1原発から約7キロ離れた浪江町酒井の自宅は帰還困難区域にあり、いまなお居住は許されていない。12月中旬。松本さんの一時帰宅に同行すると、額縁に入った色紙が居間の壁に飾られていた。「2011年 卯年(うどし) 開運招福」と記されている。卯は来年の えと だが、原発事故が起こった11年のえとでもあった。「正月はいつも参拝に行ってたんだけど……」。色紙は親戚が宮司だった隣町の神社で授かったという。
 酒井地区は山と川、田んぼに囲まれた自然豊かな地域。原発事故で放射性物質が降り注いで帰還困難区域となり、バリケードで立ち入りを制限されている。松本さんの自宅は原発事故から6年ほどたったころ、野生動物に母屋のドアを破られた。室内に家財道具が泥やふんにまみれて散乱している
 部屋のカレンダーは11年3月のまま。時計は東日本大震災が発生した午後2時46分を過ぎて数分の状態で止まっている。この日の一時帰宅も、松本さんは土足で部屋に上がり込んだ。

 震災が発生した当時、松本さんは勤務先の県立双葉高校にあるテニスコートで部活動の指導をしていた。直後の避難命令で生徒たちは各地に散り散りになり、松本さんも家族と避難した。ともに避難した母は20年、浪江町に戻れぬまま95歳で他界した
 松本さんは、もしも原発事故が起こっていなかったら、古里で定年退職し、アユ釣りや孫の世話を楽しんでいただろうと思う。だが、えとは一回りして元に戻っても、時計の針は元には戻せない。「人生がゆがめられ、埋められない穴がぽっかり開いたような気持ちになる」。年末は県内の避難先、郡山市に構えた家で妻と過ごすという。
   ◇
 双葉町、浪江町など7市町村に広がる帰還困難区域は、東京23区の半分ほどの面積(約337平方キロ)に、震災発生当時で約2万4000人が暮らしていた。優先的に除染が進められた復興拠点は全体の8%にとどまる。政府は残された帰還困難区域について、政府のアンケート調査に「帰還意向あり」と回答した住民の自宅や生活道路に限って除染し、避難指示を解除する計画を29年まで進める。帰還の意向を表明しなかった住民の家は、除染の時期が決まっていない。【柿沼秀行、尾崎修二】

2022年12月29日木曜日

60年原発の審査方針は「不透明」 朝日テレビが指摘

 テレビ朝日の原発担当の記者が「60年原発の審査方針は『不透明』 ~ 」とする記事を出しました。

 政府(経産省)は、原発の40年超運転については10年毎に審査をする代わりに上限60年をなくすという方針を決定しました。それに対して原子力規制委は、40年超の運転に対しては10年毎に可否を判定するという「より厳しい審査」になるので、安全が保障されるかのような言い方をしています。
 しかし審査の頻度は増えたとしてもどんな審査をするのかは明確でないし、経産省、規制庁、規制委の三者ともその基準を持っていないというのが実態のようです。これでは「無内容」なことを盛り込んだに過ぎず、それで60年超まで運転を可能にするとは没論理の極みです。
 原発に関する技術力は、求められる必要レベルに比べてそれほどに低く、原発行政というものはそれほどにいい加減なのでしょうか。

追記) 記者は原子力科学研究所(東海村)で原子炉用テストピースの試験法の説明を受けたようですが、原子炉1基についてどのような検査(破壊検査)を行い、それには1定検で何枚のテストピースが消費されるのでしょうか。運転が40年超になれば1年半間隔の定検の都度一層綿密にチェックする必要がありますが、当初30年のライフを想定していたのですから、そんなに多数のテストピースがスタート時に装填されていたとはとても思えません。
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60年原発の審査方針は「不透明」〝事務方〟は事例を集め、議論を活性化せよ
                           テレビ朝日 2022/12/28
 原子力発電所の運転延長の議論は、現行制度で認められている最長60年までの運転期間に、審査などで停止した期間を加算・延長することが可能となることで決着した。
経済産業省と並行して議論してきた原子力規制委員会は、30年から原発の劣化を10年ごとに審査し認可する制度を新設し、60年超運転にも対応するとしているが、議論した期間はたった3カ月、計5回の短時間の会議でのスピード決定である。
しかも「肝心の」60年原発の審査について、どの程度のレベルになるかは依然として不透明だ。原発行政の大転換にも関わらず「拙速」の感を否めない。
問題点を検証した。        テレビ朝日社会部・吉野実(原子力・環境担当)

原発の『経年劣化』を審査 何が厳しくなるのか
 原発の経年劣化を審査することを「高経年化技術評価」という。では、何を評価するかというと、最も重要なのが原子炉圧力容器の劣化評価だ。
圧力容器は燃料や制御棒が入る原子炉の中心部だが、運転に伴う核分裂で長年に渡り中性子を浴びていると段々と脆(もろ)くなる。これを「中性子照射脆化(ぜいか)」という。原子炉の中心が万が一にも壊れては大変なので、どの程度脆くなっているかを確かめるため、圧力容器内には圧力容器と同じ材質の「監視試験片」を収めたカプセルがあり、定期的に試験片を取り出して打撃試験をし、強度を測っている
「高経年化技術評価」ではこの他にも、ケーブルの絶縁劣化やコンクリート強度、配管の健全性など厳しくチェックしている。現行制度でも評価は30年から10年ごとに行われていて、40年の延長認可時には、コンクリートのコア抜きなど、さらに厳しい「特別点検」が行われる。50年時の評価を受けた原子炉は日本にはまだ存在しない
規制委が検討している新しい制度では、高経年化技術評価を一段引き上げた「認可制度」とし、厳しくするという。規制委はこれまで「添付資料」扱いだった評価を「本文」に格上げし、電力会社が行った点検の方法、評価の方法など手法や結果までしっかりと見ることをもって「厳しい審査」としているものの、何が厳しくなるか今一つ分からない
特別点検も40年前後に実施するとしているが、何のことはない、60年「まで」の審査の大枠は現在の制度と変わらないのだ。
 普通に考えて、40年から60年までの原子炉の健全性と、60年以降のそれは異なり、古い方が弱くなっていると考えるのが〝一般常識〟だが、規制委の事務局である規制庁には、異なる考えを持っている者もいるようだ。

委員長案「厳しい方向に」を官僚が〝否定〟
 就任時のテレビ朝日の単独インタビュー(10月24日)で山中委員長は、60年を超える原発の審査について「設計の古さ」を取り込む考えを示し、「おそらく日本独自のもの(審査)になろうかと思いますので、この辺りはかなり厳しい規制がかかることになると考えています」「制度としては厳しくなる方向に向かうと思っています」と、審査の「厳しさ」を重ねて強調した。
しかし、規制庁のある職員は「新規制基準をクリアすれば、その炉の設計は古くないということだ」と、設計の古さを60年時の審査に取り入れることに否定的だ。それどころか、新知見を審査に取り入れる「バックフィット」を続けていれば「60年時の厳しい審査は不必要」と言わんばかりの職員もいる
そして、11月30日の定例会では、委員からも
「設計の古さを明確に規定するのは難しい」
「バックフィットでいいのではないか」といった意見が出た
ただ、山中委員長が改めて60年炉審査に対して「設計の古さ」を含めた厳しさを求め、他の委員も大筋で同意したことから、継続して議論することでいったん収まった。

焦点は『設計の古さ』 前委員長も「議論されるべき」
 ここから話はさらにマニアックになる。
「設計の古さ」を初めて問題提起したのは前規制委委員長の更田豊志氏だ。更田氏は筆者のメールでの取材に対し、次のような例えで説明した。
「PWR(沸騰水型原子炉)には燃料取替用水タンクとか燃料取替用水ピットとかといったものがありますが、これは文字通り燃料取替用水を溜めておく設備です。
燃料取替用水というのはホウ酸希釈してある水で燃料交換の際に使いますが、事故への対処でも極めて重要な役割を担っており、ECCS(非常用炉心冷却装置)が真っ先に使うのもこの水です」
 「要するに、真っ先に炉心へ注入する、安全上、一番大事と言っていい水。
これの貯蔵ですが、初期のPWRでは屋外タンク、次にこれが屋内タンクになり、時代を追うに従ってさらに屋内ピット(プールみたいなもの)に(貯蔵されている)」
 「次世代のPWRでは格納容器(CV)内ピットに(なる設計になっている)。因みに、この燃料取替用水の貯留をCV内ピットにすることの安全上のメリットは非常に大きい」
屋外タンク→屋内タンク→屋内ピット→CV内ピットと設計は新しくなっているわけですが、どの設計の場合も、耐震性や飛翔物等への備えなどが評価上基準をクリアしていれば許認可上はOKであることに変わりはありません。
しかし、後段の設計の方が、安全上有利であることは間違いなく、これは余裕の部分であると言えばそれまでですが、古い設計の炉の方が裕度(余裕度)が小さい
「こういった、いずれも許認可上はOKではあるものの、古い設計の不利をどう考えるのかというのが私の問題意識です。規制がこれにどう対処するかはなかなか難しいところですが、50歳以上になったら屋外タンクはダメだよといった議論は為されるべきだと考えています」。
 簡単に言えば、シビアアクシデント時に必要な設計が古い炉はダメ出しし、改修するか、できないなら廃炉を迫っていいものだと筆者は解釈している。

改めて、官僚に問う 「怠慢」ではないのか
 更田前委員長が問題提起し、山中現委員長が引き継いだ「設計の古さ」を含む「厳しい審査姿勢」に、委員会の事務局が「NO」を突きつける。8年余に渡って規制委の議論を見てきた筆者にとって、これは異例の出来事である。
もちろん、妥当性のある話であれば主張するのは構わない。しかし、「設計の古さ」についての事例も調べず、委員会に提起して委員の議論を活性化させることもしないのは、「僭越」であり「怠慢」ではないのか60年原発の審査をなるべく簡易なものにしようとしているように筆者には思えてならない
福島第一原子力発電所事故による被害が拡大した要因に、国会事故調など各種調査報告が官僚の「不作為」「怠慢」を挙げているのを、まさか「忘れた」わけではないだろう。
 幸いなことに、日本には60年どころか、50年時の経年劣化評価を受けた原発はなく、新制度の下で60年原発をどのように審査するか、検討する時間はまだある。規制庁が内外の事例を集め委員会に提出したうえで、委員長以下、活発な議論が行われることを期待したい。

関西電力 競合の新電力会社の顧客情報を不正に閲覧

 関西電力は営業担当の社員らが新電力会社の顧客情報を6年以上前から不正に閲覧していたと発表しました。12月6日から1週間のログ(⇒パソコンの操作記録)を調べたところ、営業担当の社員などあわせて329人が1327件の顧客情報にアクセスしていたということです。こんな風に競争関係にある新電力会社の契約情報を入手していたのでは、到底公正な競争など行われません。関西電力は原因を調査する方針です。

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関西電力 競合の新電力会社の顧客情報を不正に閲覧
                           関西テレビ 2022/12/28
関西電力は営業担当の社員らが新電力会社の顧客情報を6年以上前から不正に閲覧していたと発表しました。
関西電力によると、子会社の関西電力送配電と共有していたシステムで、本来非公開である小売り電気事業者いわゆる「新電力会社」の顧客情報が2016年4月から見られる状態になっていました。
12月6日から1週間のログを調べたところ、営業担当の社員などあわせて329人が1327件の顧客情報にアクセスしていたということです。
競争関係にある新電力会社の契約情報を入手していたことになり、関西電力送配電は「電気事業法に抵触する恐れがあり、公正な競争を揺るがす事態を発生させかねない」と謝罪しています。
関西電力は原因を調査する方針です。

29- 東北電力 家庭向け規制料金で2月分の電気料金を1820円値下げ

 東北電力の電気料金は国の負担緩和策の適用によって232月分から前月より平均1820円値下がりします(同年9月分までか?)

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2月分の電気料金引き下げ 東北電力 家庭向け規制料金で1820円値下げ
                        khb東日本放送 2022/12/28
 2023年2月分の東北電力の電気料金は国の負担緩和策の適用によって、前月より値下がりします
 国は天然ガスなどの高騰で上昇している一般家庭や事業者の電気料金の負担を緩和するため、2023年2月分の電気料金から一部を負担します。
 東北電力によりますと一般家庭では1キロワットアワーあたり7円が補助されるため、前月と比べて1820円値下がりし、6745円となります。
 一般家庭の電気料金が6000円台になるのは2021年4月以来、約1年10カ月ぶりです。
 一方で、東北電力は発電のコストが電気料金による収入を上回っているため2023年4月から平均で32.94%の値上げを国に申請しています。