2014年1月31日金曜日

学校給食で汚染食品を強制的に摂らされている現実

 1月30日、国会内で「オール日本・給食の安心安全を願う父母の会」が、給食問題について対政府交渉を持ちました。
 政府からは文科省、厚労省、消費者庁、復興庁の中堅若手官僚が出席しました。
 
 郡山市の母親学校給食に福島産の牛乳が使われていることについて、「地産地消は止めて欲しい。薄められているから数値が低いのではないか」と聞いたのに対する文科省側の回答は、「食品の安全は厚労省が決めた基準にもとづいており、基準値を超えるものは出ていない」という官僚答弁でした。
 厚生省の基準は「キロ100ベクレル(以下)」というもので、原発事故前ならそれ以上を「放射性廃棄物」として、発電所ではドラム缶などに入れて所定のエリアで厳重に保管するというレベルのものです。しかも大人も子どもも一律で、学童専用の基準は決められていません。
 
 中学校教師そうした役所の杓子定規の回答に対して、「あなた方はICRPの基準に従って言ってるだけだ。ICRPは生身の体に対する考慮はみじんもない。ロボットと同じように見ている」と反論しました。
 
 会津の母親は子どもが給食のシイタケを食べて「鼻血が出た」「じんましんが出た」など、体調が悪くなった例を次々とあげたのに対して、文科省は、昨年12月「国産シイタケの使用自粛は風評被害につながるので自粛したりしないよう」と給食で使うように指示を出したことを認めましたが、その発行元等は明らかにしませんでした。
 
 父兄たちが最後の手段として子どもたちに弁当を持たせようとしても、こんどはそのことでイジメに遭う校長先生から叱られるという現実があることも明らかにされました
 
 結局、対政府交渉では何一つ解明も解決もされませんでした。
 そして会場から立ち去ろうとする官僚に母親たちが基準値の見直しについて聞こうとすると、「ここであなたたちに答える必要はない」と、その役人は開き直ってそそくさと立ち去ったということです
 
 自らを守ることが出来ない学童に代わって父兄が守ろうとしても、それを国が許さないというのが日本の実状です。
 改めてそのことを教えてくれる対政府交渉となりました。
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放射能汚染の学校給食 「母親たちは限界にきている」
田中龍作BLOGOS 2014年01月31日  
 「学校給食は親の力では変えられない」―福島原発事故による食品への放射能汚染は給食を直撃した。我が子を体内被曝させたくない親たちの悩みは深刻だ。父母らがきょう30日)、国会内で対政府交渉を持った。(主催:オール日本・給食の安心安全を願う父母の会)
 
 政府からは文科省、厚労省、消費者庁、復興庁の中堅若手官僚が出席した。
 福島県郡山市の母親の最大の悩みは学校給食に福島産の牛乳が使われていることだ。「地産地消はやめてほしいと申し入れても地産地消は繰り返される」と訴えた。「薄められているから(検出される放射能の)数値が低いのではないか。不信ばかりが募る」と続けた。
 文科省スポーツ・青年局学校健康教育課 学校給食係長は次のように答えた。「食品の安全は厚労省が決めた基準にもとづいて出荷制限をかけている。基準値を超えるものは出ていない」。
 お役所答弁と言ってしまえばそれまでだが、子を持つ親への配慮は ひとかけら もない。何より子供の健康を考慮していない。
 
 学校給食の安全基準値は、一般の食品の基準が適用される。制度のおかしさが根底にある。「子ども基準値を設けて」と願う父母たちの声は政府に聞き入れられない。
 被曝の実態調査を続けている中学校教師の川根眞也さんが、役所の杓子定規に反論した―
 
 「発育期の子供たちの体内に放射能が入る。大腸、小腸を傷つけるんですよ…(中略)あなた方はICRPの基準に従って言ってるだけだ。ICRPは生身の体に対する考慮はみじんもない。ロボットと同じように見ている」
 
 国産シイタケの給食への使用も深刻だ。昨年12月、文科省から一篇の通達が出た。「国産シイタケの使用自粛は風評被害につながるので自粛したりしないよう」とするものだ。役所独特のまわりくどい言い方だが、「国産シイタケを給食でしっかり使うように」ということである。
 
 文科省は通達の存在は認めたが、誰からの要請なのかは最後まで明らかにしなかった。
 会津の母親は子どもが給食のシイタケを食べて体調が悪くなった例を次々とあげた。「鼻血が出た」「じんましんが出た」……彼女は「子供を守りたいのか、被曝させたいのか(役人)一人ひとりに聞いてみたい」と食い下がった。
 
 政府が給食の安全に配慮してくれない以上、子供に残された自衛手段は弁当しかない。ところが弁当を持っていくとイジメに遭う。校長先生からは叱られる。
 母親たちは政府側に「こうした事実を文科省は把握しているのか?」と尋ねた。
 「初めてうかがったような話が大半」と文科省はトボケた。本当に知らなかったとすれば業務怠慢だ。きょう(30日)の交渉では政府からは何ひとつ明確な答弁は得られなかった。
 
 大甘の食品安全基準自体が噴飯ものである。大人でさえ危ない食品を子供に食べさせているのが日本国政府だ。
 「お母さんたちは限界にきていますよ」。まとめ役の女性は話した。
 
 

2014年1月30日木曜日

支援法の早期実施を 原発事故被害者ら全国集会

 福島原発事故の被災者救済を政府に求める全国集会が28日、国会内で開かれました。「原発事故被害者の救済を求める全国運動実行委員会」主催です
 
 被災者支援法が制定されてから1年半も放置された後、昨年10月に全く無内容の基本方針が閣議決定されましたが、除染や健康管理、被害救済などの支援法理念は何一つ、達成はおろか殆ど前進もしていません。
 実行委員会は支援法の早期かつ十分な内容での実施を求める請願署名約20万人分集めて、出席した各党議員に手渡しました。
 
 集会で江口智子弁護士は、避難者向けの施策がほとんどないと政府の基本方針の問題点をあげ、(1)住宅支援など被災者の安定した生活の実現 (2)予防原則にもとづく健康管理・健康診断の実現 (3)被災者の声を反映する仕組みづくり―の具体化を訴えました。
 
 (関連記事) 
    2013年10月6日 被災者支援法の基本方針案は不十分の極み 
    2013年10月12日 被災者支援法閣議決定 NGO、首相官邸前で抗議
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支援法の早期実施を 
原発事故被害者ら全国集会 約20万人分 署名を提出
しんぶん赤旗 2014年1月29日
 東京電力福島第1原発事故の被災者救済を政府に求める全国集会が28日、国会内で開かれました。いまも拡大し続ける被害を、福島県をはじめ全国各地から集まった被害者が告発。除染や健康管理、被害救済などの理念を示した支援法のすみやかな実行を求め、約20万人分の署名を出席した各党議員に手渡しました。
 
 集会は、被害者や支援者でつくる「原発事故被害者の救済を求める全国運動実行委員会」が主催しました。
 集会では、「原発事故・子ども被災者支援法」(2012年6月成立)が骨抜きにされていると、被害救済に取り組む法律家らが報告しました。
 
 江口智子弁護士は、避難者向けの施策がほとんどないと政府の基本方針の問題点をあげ、(1)住宅支援など被災者の安定した生活の実現 (2)予防原則にもとづく健康管理・健康診断の実現 (3)被災者の声を反映する仕組みづくり―の具体化を訴えました。
 
 福島県から静岡県に家族で避難する男性(47)は、「あと10万円あればと何度も思った」と避難生活の経済的負担を振り返ったうえで、補償だけでなく、名誉と尊厳、子どもの未来のためにたたかうと話しました。
 また、各地の参加者が「放射線量が高くても、福島県外には除染や健康診断の支援がない」(栃木県)、「やむなく自主的に甲状腺検査、相談活動を始めた」(宮城県)などと困難を語りました。
 
 参加者らは支援法の早期かつ十分な内容での実施を求める請願署名を19万7762人分集めたと発表。通常国会に提出します。
 
 集会には日本共産党の紙智子、田村智子両参院議員のほか、民主党、みんなの党、社民党、結いの党の各党国会議員が出席し、被害者から署名を受け取りました。
 

 
 

NHKが「都知事選中は」と脱原発のコメントを拒否

(この記事は「湯沢平和の輪」の30日のブログに掲載されたものですが、メディア関連であると同時に原発関連の記事でもあるので、本欄にも転載します)
 
 NHKラジオ第一放送で30日朝に放送する番組で、出演予定の東洋大中北教授「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めること」などとコメントする予定だったことに対して、NHK側が「東京都知事選の最中は、絶対にやめてほしい」と要求したことが分かりました。
 
 中北教授29日にNHKに提出した予定原稿では、原発の安全確保の対策や保険の費用など原発再稼働コスト世界的上昇し、損害巨額になること、また事前に積み上げるべき廃炉費用が電力会社の貸借対照表に計上されていないこと」を指摘し、「廃炉費用が将来の国民が負担する見えない大きな費用になる」として、「即時脱原発か 穏やかに原発依存を減らしていくのか」との費用の選択になると総括しているということです
 
 教授はNHKの要求を「趣旨を変えることはできない」と拒否し、「特定の立場に立っていない内容だ。NHKの対応が誠実でなく、問題意識が感じられない」として、約20年間出演してきたNHKの「ビジネス展望」をこの日から降板しました。
 
 コメント予定の内容は極めて理論的なものであって、特定の立場に立ったものでもましてや特定の都知事選候補を応援するというものでもありません。それをNHKのディレクターが「絶対に止めて欲しい」というのは尋常ではありません。
 
 民放などでも出演者に対して、まだ告示もされていないうちから「都知事選が終わるまでは原発問題に触れないように」という指示が徹底されているということです。
 これらはすべて時の政権に対するマスディアの追従であり、ジャーナリズムの気概を持たない日本のメディアの情けないところです。
 
 それを国民の受信料で経営されている公共放送であるNHKまでが、というよりも先の特定秘密保護法案の審議過程の報道姿勢から明らかになったように、むしろNHKが率先して権力の意向を忖度して振舞っていることは大変に問題です。 
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NNHK、脱原発論に難色 「都知事選中はやめて」
東京新聞 2014年1月30日
 NHKラジオ第一放送で三十日朝に放送する番組で、中北徹 東洋大教授(62)が「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めること」などとコメントする予定だったことにNHK側が難色を示し、中北教授が出演を拒否したことが二十九日、分かった。NHK側は中北教授に「東京都知事選の最中は、原発問題はやめてほしい」と求めたという。
 この番組は平日午前五時から八時までの「ラジオあさいちばん」で、中北教授は「ビジネス展望」のコーナーでコメントする予定だった。
 
 中北教授の予定原稿はNHK側に二十九日午後に提出。原稿では「安全確保の対策や保険の費用など、原発再稼働コストの世界的上昇や損害が巨額になること、事前に積み上げるべき廃炉費用が、電力会社の貸借対照表に計上されていないこと」を指摘。「廃炉費用が将来の国民が負担する、見えない大きな費用になる可能性がある」として、「即時脱原発か 穏やかに原発依存を減らしていくのか」との費用の選択になると総括している。
 
 中北教授によると、NHKの担当ディレクターは「絶対にやめてほしい」と言い、中北教授は「趣旨を変えることはできない」などと拒否したという。
 中北教授は外務省を経て研究者となり、第一次安倍政権で「アジア・ゲートウェイ戦略会議」の座長代理を務めた。NHKでは「ビジネス展望」だけでなく、二〇一二年三月二十一日の「視点・論点」(総合テレビ)で「電力料金 引き上げの前に改革を」と論じたこともある。
 中北教授は「特定の立場に立っていない内容だ。NHKの対応が誠実でなく、問題意識が感じられない」として、約二十年間出演してきた「ビジネス展望」をこの日から降板することを明らかにした。
 
◆詳細は答え控える
<NHK広報局の話> 中北さんに番組に出演していただけなかったのは事実です。詳細は番組制作の過程に関わることなのでお答えを控えます。
 
【解説】公平公正 裏切る行為
 中北徹東洋大教授のNHK降板問題で、中北教授はNHK側に「都知事選期間中は原発の話はやめてほしい」と迫られたという。再稼働を進める安倍晋三政権の意向をくんで放送内容を変えようとした可能性は否定できない。
 選挙期間中であっても、報道の自由は保障されている。中北教授は予定原稿で「現状では原発稼働がゼロでもアベノミクスが成果を上げている。原発ゼロでも経済成長が実現できることを実証した」「経済学の観点から、巨大事故が起きた際の損害額のリスクをゼロにできるのは、原発を止めることだ」と指摘した。
 
 NHK側が問題視した中北教授の原稿は、都知事選で特定の候補者を支援する内容でもないし、特定の立場を擁護してもいない。
 NHKの籾井(もみい)勝人新会長は就任会見で「国際放送で日本政府の意向を伝える」としている。原発再稼働を強く打ち出している安倍政権の意向を忖度(そんたく)し、中北教授のコメントは不適切だと判断したとも推測できる。
 原発政策の是非にかかわらず受信料を払って、政府広報ではない公平公正な報道や番組を期待している国民・視聴者の信頼を裏切る行為と言えるのではないか。 (中村信也)
 
 

2014年1月29日水曜日

都知事選は既に「脱原発」が軸に

 今回は「都知事選編」で、二人の有名ブロガーのブログを紹介します。
 
 一人は植草一秀氏で、都知事選を 安倍政権に今後2年半やりたい放題の反動政治を許すのか、それともそれに一定の歯止めをかけるのかの正念場と位置づけている同氏は、先ずマスメディアの選挙報道自体が極めて作為的なものであるとし、細川陣営と宇都宮陣営が大同して一人に絞りさえすれば勝てるとしています。
 
 もう一人は天木直人氏で、彼はもともとレバノン駐在大使のときに、小泉政権に対してイラク開戦に反対する公電を打ったために外務省を事実上解雇された人ですが、今回小泉氏が脱原発を掲げて細川氏とタッグを組んで都知事選を戦っていることを、極めて高くかつ熱く評価しています。これを読むと天木氏が熱血の人であるということが良く分かります。いずれも短いものなので、一連の3つのブログを紹介します。
 
 当初、政府側が盛んに「脱原発は都政のテーマにならない」と言い触らし、それに同調してマスメディアも十分に前宣伝していたにもかかわらず、現実には「脱原発」をするのかどうかが問われる選挙になっているようです。
 
 マスメディアが報じるところによれば都知事選の状況は「舛添氏が先行、細川、宇都宮それを追う」ということで、細川票と宇都宮票を合わせても舛添票に及ばないしているところもあります。
 しかし街頭演説のユーチューブなどを見るかぎり、細川+小泉演説の聴衆は歩道橋にも鈴なりになるなど、身動きも出来ないほどに沢山集まっていますが、組織票を持つ筈の舛添氏の演説にはさほど集まっていません。
 
 この大盛況に、小泉氏は「動員していないのに良くこれだけ集まる」と十分な手ごたえを感じているようです。かつてダークホースでありながら全国遊説によって一般党員の支持を集めて、ついに自民党総裁=総理の座を獲得した記憶が蘇ったのでしょうか。
 それに対して舛添陣営は、聴衆が少ないのを気にして「一般撮影禁止」という意味不明の禁止令を出したということです。この閑散とした様子をインターネットで公表しないでくれということなのでしょう。(とはいえ舛添氏は自民+公明の起訴票として2百数10万票を持っているので、100万票や150万票では到底勝てないこともまた事実です。)
 
 インターネットでは、投票率が55%になれば舛添氏と細川氏が並び、それ以上になれば細川氏が当選とか、現時点で既に細川氏が優勢になっているなどの説も流されています。
 都知事選で、自民党を勝たせないことが死活的に重要と考えるのか、それとも明確に政策を主張して善戦すればそれで良いと考えるのかで、選挙の戦略は大きく変わります。
 
 いずれにしても政権やマスメディアの意図に反して、都知事選が「(即時)脱原発」を軸に進んでいることは喜ばしいことです。
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原発即時ゼロ候補者の当選可能性は十分にある
植草一秀の『知られざる真実』 2014年1月28日 
都知事選まで12日間ある。
情勢はいかようにも変化し得る。
舛添優勢の流れはメディアが創作したものである。各種調査には奇妙な共通点がある。
「舛添先行、細川、宇都宮が追う」との見出しが躍るが、肝心の数値が公表されていないのである。その理由は次のものだ。
 
舛添氏と細川氏が競り合っている。宇都宮氏は水をあけられている。こう報道すると、細川陣営支援に回る主権者が増える。また、宇都宮氏に投票予定の主権者が細川氏の投票に回る。こうなると情勢が逆転する。細川氏当選の可能性が高まるのである。
そこで、舛添氏が大きくリードして、細川氏と宇都宮氏が競り合っているとの「創作」した情報を流布している。こうなると、細川陣営と宇都宮陣営が対決姿勢を強化し、第二位確保に向けて力を注ぐことになる。原発即時ゼロ票は見事に分断されて、舛添氏が勝利をかすめ取る。
 
世論調査を取り締まる法律は基本的にはない。メディアは世論調査結果を操作し得る立場にある。こうした情報工作が実行されていることを前提に対応を考えなければならない。
 
都知事選が実施されることは、「天祐」と呼ぶべき事態である。
2016年夏まで国政選挙が行われない。この空白の2年半に、安倍晋三氏にフリーハンドが与えられた。これほど危険な状況はない。
これが『アベノリスク』である。 http://goo.gl/xu3Us 
日本政治において、「やりたい放題」の状況が生まれている。
日本が直面する五つの重要課題。原発・憲法・TPP・消費税・辺野古 について、「やりたい放題」が展開されるリスクが高まっている。
このことに危惧を感じる主権者にとって、都知事選実施は「天祐」になるのである。五つの主要問題のうち、東京都が関与し得るのは「原発」である。
 
2014年には原発再稼働問題が重大な局面を迎える。
福島の事故が現在も収束されていないなかで、当事者の東京電力が原発再稼働に突き進む姿勢を示し、安倍政権はこれを全面支援する姿勢を示している。原発再稼働が始動すれば、元の原発依存体制に逆戻りすることは明白である。福島の悲劇を経験しながら、その教訓を生かさず、原発依存に舞い戻ることは、将来の日本国民に対する背信行為である。
財政問題で「子や孫につけを遺さない」と主張する者が、どうして原発問題になると、子や孫に「つけ」どころか「破滅の原因」を遺して平然としているのか。
目先の利益だけを追求する強欲資本が原発再稼働を求めることは十分に想像がつく。
しかし、これはあくまでも強欲資本の利害であって、日本の主権者国民に利益をもたらすものではない。
 
原発再稼働に反対の主権者は圧倒的多数に達している。そうであるなら、都知事選の機会を生かして、原発再稼働阻止を主張する新しい都知事を誕生させるべきである。
どうしたらよいか。方法はひとつである。細川氏と宇都宮氏の二人の候補者の、いずれか一人が出馬を取りやめて、残る一人への投票を呼び掛けることだ。原発即時ゼロ候補者を一人にして、舛添氏と一騎打ちの選挙を行う。
この場合、原発即時ゼロ候補者が勝利する可能性が圧倒的に高くなる。
 
二人の候補者が、自分の地位よりも原発ゼロの実現を優先するなら、この戦術に理解を示し、行動を示すことができるだろう。
投開票日まで、まだ12日もある。この戦術を実行することは十分に可能な時間がある。
この実現に向けて、尽力したい。
 
今度の都知事選は細川・小泉とメディアの喧嘩でもある
天木直人 2014年01月26日
 都知事選が始まって初めての日曜日である。本来ならばテレビ各局が候補者を呼びつけて政策論争をさせるところだが今回はそれがない。仕方がないから評論家を集めて小田原評定をやっている。都知事選とは無関係の番組を流している。 こんな間の抜けた政治報道はない。見る気もしない。
 
 そう思ってテレビ番組をしばし眺めていて、はたと気づいた。
 今度の東京都知事選は細川・小泉連合と大手メディアの喧嘩でもあるのだ。 ここでいう喧嘩とは、安倍政権の側に立つ大手メディアが安倍政権を脅かす細川・小泉連合に不利な報道をしているという意味での、細川・小泉連合とメディアの戦いを指しているのではない。それはすでに何度も書いて来た。
 ここで私が気付いたのは、そのような安倍・小泉代理戦争のことではなく、文字通りの細川・小泉と大手メディアの喧嘩が始まったということである。
 選挙の季節になると候補者(政治家)とメディアの関係においてメディアが俄然強くなる。
  「政策論争を国民に伝える」という民主主義の大義名分の名の下に、政治記者の古手が大きな顔をして国民(有権者)に代わって、ここぞとばかり偉そうに候補者に質問攻めし、それを放映して視聴率を稼ぐ。つまり選挙はメディアにとってまたとない営業チャンスなのだ。ところが今回はそれができない。それは細川・小泉連合がそのような政策論争を一切否定しているからだ。
 それはそうだろう。安倍政権寄りのメディアにのこのこ出ていって不利な立場に追い込まれるような事をするバカはいない。頭にきたメディアは、ますます細川・小泉たたきをエスカレートする。
 
 これに対し細川・小泉は出席拒否という戦略を最後まで貫くだろう。都民に訴えるのは偏向に満ちたメディアではない。あくまでも街頭演説で直接に訴えるしかない。
 そう割り切って、これからの2週間を東京都のあらゆる場所で細川・小泉は演説を続けるだろう。それを大手メディアは報道したくてもできない。いまいましいということももちろんある。
 しかし公正性のゆえに、細川・小泉連合ばかりを報道できないからだ。かくて今度の東京都知事選で大手メディアの出る幕がなくなる。大手メディア抜きの選挙で日本の帰趨が決まる。メンツをつぶされた大手メディアは、いつのまにか安倍政権の為に細川・小泉をたたくという御用メデアの役割を忘れ、細川・安倍と本気で喧嘩する愚をおかすことになる。
 私は常日頃から、この国のメディアの質の低下と、そのくせ特権意識を振りかざす傲慢さに腹を立ててきた一人だ。この喧嘩、圧倒的に細川・小泉連合を応援する(了)
 
総理を辞めた人でも、過去の人でも、人間なんだ!
天木直人 2014年01月26日
 これがインターネット選挙の本来の威力である。テレビや新聞はいま東京都内で行われていることについて何も報じない。だから全国の日本国民は東京都知事選のことなどまるでどこで行われているかと思っているだろう。
 しかしユーチューブで探せば候補者の街頭演説がまるで目の前で行われているかのような臨場感を持って見たり聞いたりできる。私の関心はもっぱら細川・小泉ツーショットの街頭演説だ。絶妙のコンビだ。細川氏が切々と立候補した思いを語る。このままでは日本の将来は危ういと思って止むに止まれない思いで出馬したと語る。この言葉に嘘はないだろう。
 
 その後を小泉氏がフォローする。よくぞ細川さん決断してくれた。私は細川さんのその覚悟に敬意を表し、細川さんが当選するために全力をかけて応援する、と声を張り上げる。その後に続く小泉氏の次の言葉がその日の小泉節のハイライトだ。
 「総理を辞めた人でも、過去の人でも、人間なんだ」
 いうまでもなく、細川・小泉たたきに対する強烈な逆襲だ。しかし、これ以上感動的なセリフがあるか。選挙演説の歴史に残る名セリフだ。こう叫んだ後で、原発事故を体験した者なら福島の痛みに思いをはせて、原発なきに日本に日本を変えようと思わずにいられようか、と迫る。
 
 こんな選挙演説を言える政治家がいるだろうか。この演説の後に、ほかのどの候補者の演説を聞いても何も心に響かない。どんなにメディアが細川・小泉連合を隠し、おとしめても、東京都の全域でこのような街頭演説を細川・小泉コンビが連日繰り返せば、まともな都民なら投票したくなるだろう。まだ2週間もある。日を追って細川・小泉連合に投票しようと思う有権者が増えて行くだろう。
 
 他の候補者の演説ももちろんユーチューブで見ることができる。しかし、比較にならない。どれも同じだ。なぜか。本心を語っていないからだ。選挙のための選挙演説だからだ。何よりも大義がない。
 大手メディアの世論調査では舛添候補が大差で優勢だと報じられている。たとえそれが事実であるとしても、それは自公の組織票だ。本当の勝利はそんな打算の票だけで決まるはずがない。最後の決め手はその他大勢の政治に縁遠い一般都民だ。終盤戦に入ると形勢は逆転する。
 そして小泉進次郎が最後に応援に入ってクライマックスとなる。今度ばかりは大手メディアの選挙報道や分析は不必要である。それどころか邪魔だ(了)
 
「福島原発事故で日本は終わっていた」という意識の欠如
天木直人 2014年01月27日
  いまこそあの福島原発事故の当時の状況を我々国民は思い起こすべきではないか。
 あらゆる検証が我々に教えてくれた事は、一歩間違えば福島事故は大惨事になっていたという背筋が凍りつくような現実ではなかったか。その時は、東京はおろか、日本の半分以上は人類の住めない場所になっていた。日本という国が消滅していたのである。
 紙一重でそれが防げたのは誰の功績でもなく科学で説明できるものでもない。幸運というほかはなかったのだ。その事をいまこそ我々はもう一度思い出すべきだ。
 その意識があれば、小泉元首相の唱える、原発なしでも経済成長が可能だと考える者と原発なしでは経済発展はできないという者との戦いどころの話ではない。そのような議論が今できるほど、日本は幸運だったことに感謝しなければいけないということだ。活かされているチャンスを今度こそ手放してはいけない。
 そういう意識があれば、原発の是非が政治の争点になる事自体が信じられないということだ。福島の事故を見て脱原発に切り替えたドイツにとどまらず、世界の多くの国が日本を見てそう思っているのだ。原発を再稼働するなどということ自体が、神をも恐れない傲岸不遜なことに違いない(了)
 
 

2014年1月28日火曜日

放射能汚染水の解決は国の責任で 福島県市町村が意見書

 非常事態が続く福島原発の放射能汚染水問題について、国が全責任を持つ体制の確立を求める意見書が、福島県内の59市町村のうち49市町村で可決されました。
 
 昨年9月二本松市で決議された意見書では、原発事故『収束』ではなくて、放射能汚染水被害の拡大に直面しているとし、東電の資料、情報をすべて政府が管理・評価し、抜本的対策のため国内外の専門的知見を総結集し、「国家的非常事態」としてあたるべきだと述べています。
 
 東電は、自民党が不利にならないようにと昨年7月の参議選の投票終了を待って、それまで隠蔽していた地下水の汚染を公表しました。それを受けて安倍首相が、「今後は国が前面に立って汚染水の処理を進める」と国会で言明したのは8月の上旬でした。そして汚染水問題を検討する有識者会議も組織しました。
 それなのに地下水の汚染は解決するどころか深刻の度を増す一方です。そこに国の顔などは全く見られません。相変わらず東電が前面に立って、いわば荒唐無稽ともいえる説明を繰り返しています。一体どうなっているのでしょうか。
 
 東電はこれまで、汚染源は事故直後に2号機と3号機の原子炉建屋から漏れた汚染水であり、それらが地下水に徐々に移動した結果だと説明しているということです(最近、1号機も汚染源になっていると規制委から指摘されました)。
 海側の井戸水のベータ線は、東電が測定を開始してからは濃度が増える一方で、既に300万ベクレル/Lを超えました。そういう深刻な現象に対しても東電は全く説明が出来ていません。
 前述したことを前提にしていては、説明のしようもないのでしょう。
 
 
 福島第一原発敷地の下にはもともと日量1000トンの阿武隈山系の地下水が流れていて、地下水位が高いため地下構造物が浮力を受けて不安定にならないようにと、建設の当初から地下水を汲み上げて海に放出するということをずっと続けてきました。それ以外の地下水は海底盤の下を進んで海岸線から10キロあたりで海底に噴出しているということです。
 こうした事柄は福島原発の関係者であれば知っていたことですが、比較的最近まで公表されませんでした。
 
 「やむを得ず明らかにせざるを得ないもの以外は隠蔽しておく」。
 これが東電の基本的な態度のように思われます。それで事態が解決し収束に向かうというのであればまだしも、事実は日々深刻の度を加えています。それなのに国の顔は全く見られない。 
 これが福島原発の汚染水問題の現状です。
 福島県市町村の国が全責任を持つ体制の確立を求める意見書」に、国はどう応えようとするのでしょうか。
 
 尚、この問題に関しては共産党が昨年9月に「緊急提言}()を行っています。内容的に大いに参考にすべきものと思われます。
 
 ※ 2013年9月18日共産党が福島汚染水の危機打開のための緊急提言を発表 
 因みに提言は以下の4つの柱からなっています。
 (1)「放射能で海を汚さない」ことを、基本原則として確立する
 (2)放射能汚染水の現状を徹底的に調査・公表し、「収束宣言」を撤回するとともに、非 常事態という認識の共有をはかる
     (まず「収束宣言」を正式に撤回し、非常事態にあるという認識共有汚染水の現状について、何がわかり、何がわかっていないか、どこに問題があるのかについて、国内外の専門的知見を総結集して調査し、国民に情報を正直に公表する。政府の責任で、国内外の専門的知見を結集した体制をつくる。
 (3)再稼働と原発輸出のための活動をただちに停止し、放射能汚染水問題の解決のために、もてる人的・物的資源を集中する
     (汚染水問題の抜本的な解決のために、電力業界はもとより、産業界、科学者、技術者など、もてる人的・物的資源をこの大事業に集中させる。
 (4)東京電力を「破たん処理」し、「コスト優先・安全なおざり」を抜本的にただす
 
 以下に、福島県内49市町村が意見書に関する記事を紹介します。
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放射能汚染水の解決 国の責任で 福島県内49市町村が意見書
しんぶん赤旗 2014年1月28日
59市町村 
 非常事態が続く東京電力福島第1原発の放射能汚染水問題について、国が全責任を持つ体制の確立を求める意見書が、福島県内の59市町村のうち49市町村で可決されました。日本共産党福島県委員会が、27日までに明らかにしたものです。
 
 福島、郡山、いわき各市など主要都市をはじめ、自治体ぐるみ避難する浪江町、富岡町、飯舘(いいたて)村、さらに会津地方は17市町村すべてで可決しています。
 
 昨年9月議会で可決した二本松市の意見書では、「原発事故が『収束』に向かうどころか、放射能汚染水被害の拡大という危機に直面しているのは明白」だと指摘。東電の資料、情報をすべて政府が管理・評価し、抜本的対策のため国内外の専門的知見を総結集し、「国家的非常事態」としてあたるべきだと述べています。
 
 そのうえで、政府は「放射能で海を汚さない」ことを基本原則にし、「(事故)収束宣言」を正式撤回するよう求めています。さらに「事故収束作業や汚染水対策を東電まかせにせず、(国の)現地対策本部を設置し、政府が全責任を持つ体制を確立することを強く求める」としています。
 
 一方、県内原発全基廃炉要求は56市町村が表明しており、残る2町1村も3月議会で同様の態度を示す方向です。