2018年5月31日木曜日

東電強制起訴 第12回公判 島崎氏「地震の可能性 信頼できる」

 福島原発事故で強制起訴された東電旧経営陣3人についての第12回(29日)と第13回(30日)の公判が東京地裁で開かれ、地震学者の島崎邦彦・東大名誉教授と都司嘉宣・元東大准教授がそれぞれ証言しました。
 
 事故の9年前(平成14年)に福島県沖を含む三陸沖から房総沖にかけて30年以内に20%の確率で巨大地震が発生するという「長期評価」を公表し島崎氏は、「大きな津波が3回起きたことは歴史的事実だ」「長期評価」の内容は信頼できるものだったと強調しました。
 津波の歴史に詳しい都司氏も「(過去の実例から)福島沖に1315mぐらいの津波が来ると考えるべきだった」と証言しました。
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 東電強制起訴
第12回公判 地震学者「地震の可能性 信頼できる」
NHK NEWS WEB 2018年5月29日
福島第一原発の事故をめぐり東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴された裁判で、福島県沖の地震の可能性を事故の9年前に示していた地震学者の島崎邦彦氏が証言しました。旧経営陣の弁護士は根拠に疑問を投げかけましたが、島崎氏は、当時公表した内容は信頼できるものだったと強調しました。
 
東京電力の元会長の勝俣恒久被告(78)、元副社長の武黒一郎被告(72)、元副社長の武藤栄被告(67)の3人は、原発事故をめぐって業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されています。
29日、東京地方裁判所では原子力規制委員会の元委員で地震学者の島崎邦彦氏が、前回に続いて証言しました。 
島崎氏は、事故の9年前(平成14年)に政府の地震調査研究推進本部で部会長を務め、福島県沖を含む三陸沖から房総沖にかけて、30年以内に20%の確率で巨大地震が発生するという「長期評価」を公表していました。 
 
法廷で、被告側の弁護士は「長期評価」の根拠となった過去の地震について、震源が正確にわからないなど前提となる研究の内容に疑問を投げかける質問をしました。 
これに対して島崎氏は、震源についてはさまざまな議論があったと認めたうえで、「大きな津波が3回起きたことは歴史的事実だ」と述べ、「長期評価」の内容は信頼できるものだったと強調しました。
 
これまでの裁判で、被告側の元会長ら3人は「長期評価は専門家の間で異論があり、津波は予測できなかった」として無罪を主張し、「長期評価」の信頼性が焦点の1つとなっています。 
裁判は30日も開かれ、別の証人が呼ばれます。
(後  略)
 
 東電強制起訴  
学者「津波13~15m想定すべきだった」
毎日新聞 2018年5月30日
東京地裁第13回公判 都司准教授が証言 
 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第13回公判が30日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。津波の歴史に詳しい都司(つじ)嘉宣・元東京大地震研究所准教授が出廷し「(過去の実例から)福島沖に13~15メートルぐらいの津波が来ると考えるべきだった」と証言した。 
 
 東電は、2002年に政府の地震調査研究推進本部が「福島沖を含む日本海溝沿いで巨大津波が発生しうる」とした「長期評価」に基づき、08年に想定津波を「15.7メートル」と試算。3被告側は「長期評価は信頼性に疑問が呈されていた」などとして対策を「先送り」したとされる。 
 都司氏は、近代的なデータが存在しない明治20(1887)年以前の地震について古文書などを読み解き、地震の規模や被害状況を明らかにする研究に従事。長期評価の作成にも関与した。 
 
 この日の公判では、長期評価を作る際に参考にした「延宝房総沖地震」(1677年)について「仙台にまで被害が及び、千葉の銚子には13メートルの高さの津波が来た」と説明。この実例を踏まえ、福島沖に13~15メートルの津波が来ることは想定すべきだったとした。 
 ただ、長期評価のモデルとした過去の三つの津波は、いずれも大きな揺れを伴わない津波だったと指摘。東日本大震災のような巨大地震に続く大津波は「予測していなかった」とも述べた。 
 3被告側は「15.7メートル」の試算を把握しながら対策を「先送り」したとされる点について、「試算が確実なものかどうか(まず外部の土木学会に)検討を依頼したもので、先送りではない」と主張している。【石山絵歩、岡田英】 
けで、なるべくざっくばらんに話し合える場を作ることを心がけていた」と証言しました。 
 
 2日間にわたる証言では、「長期評価」を取りまとめた本人が、信頼できる内容だったと強調し、対策に取り入れなかった東京電力の対応に疑問を投げかけました。 
今後の裁判では、島崎氏とは別の地震の専門家も証人として呼ばれる予定で、「長期評価」をどう扱うべきだったかが裁判の大きな焦点となりそうです。

新潟知事選 自民は企業・団体回りなどの組織票固め

 東京新聞が新潟知事選を報じました。
 自公両党から「支持」を得ている花角氏は政党色を前面に出せば国政の逆風が直撃すると懸念し、自民党には、街頭演説などで表面に出ることは避け、企業・団体回りなどの組織票固めを依頼するとともに、前回再稼働に慎重な野党候補に敗れた反省を踏まえ、街頭演説で「将来的には原発に依存しない社会を目指していく」とアピールしているということです。
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政権不祥事、新潟知事選に波及 来月10日投開票
東京新聞 2018年5月30日
 6月10日投開票の新潟県知事選で、森友・加計(かけ)学園問題など政権不祥事が焦点の一つに浮上している。野党側は、与党の支持を受ける候補が元官僚であることを理由に、安倍政権の意向をくんだ県政運営を行うと指摘。知事選を安倍政権への審判と位置付けて、政権批判を展開している。一方、与党系候補は国政の対立構図を持ち込まれるのを避けるため、「県民党」を掲げ、安心して暮らせる街づくりを訴える。(山口哲人)
 
 知事選は、自公両党が支持する前海上保安庁次長の花角(はなずみ)英世氏(60)と、立憲民主など野党五党が推薦する元県議の池田千賀子氏(57)による事実上の一騎打ち。前職が任期途中で辞任したことに伴い、二十四日に告示された。
 「今、政治に審判を下すことができるのは新潟県民だ」。告示後初の週末を迎えた二十七日、新潟県長岡市内で行われた池田氏の街頭演説にそろい踏みした野党六党・会派の国対委員長らは声を張り上げた。
 立憲民主の辻元清美氏は、森友・加計問題を巡る官僚の国会答弁などを引き合いに「官僚は記憶力が悪く、文書は捨て、都合が悪かったら書き換える」と、官僚出身の花角氏をやゆ。衆院会派「無所属の会」の広田一国対委員長は「安倍政権の言いなりになる候補に新潟の未来を託すわけにはいかない。求められているのは国に物を言う知事だ」と訴えた。
 
 新潟では二〇一六年の参院選と知事選で、脱原発を掲げて野党が共闘し、与党候補を制した実績がある。国政の対立構図を持ち込んだ上で三たび勝利を引き寄せ、安倍政権が国民の信頼を失っていると浮き彫りにしたい考えだ。
 
 これに対し、花角氏の陣営は「いつまでも『もりそば』『かけそば』と、小学校の学級会みたいだ」(自民党県議)と、野党の戦術にいら立ちを隠さない。
 花角氏は告示後、自公両党から「支持」を得たものの、政党色を前面に出せば国政の逆風が直撃すると懸念。党幹部を街頭演説などに投入することは控え、企業・団体回りなどの組織票固めを依頼。安心して暮らせる街づくりや、高齢化対策など政策を訴える。
 東電柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な野党候補に敗れた前回知事選の反省を踏まえ、街頭演説で「将来的には原発に依存しない社会を目指していく」とアピールする
(後  略)

31- 「原発支えた」自責の念から犬猫1000匹の命救う 

 東京新聞は、原発を支えたという自責の念から、これまでに原発事故で飼い主を失った犬猫たち1000匹の命を救って来た、浪江町の建設会社経営者を取り上げました。
 心温まる記事です。
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「原発支えた」自責、犬猫1000匹の命救う 
福島・浪江の建設会社経営者 
東京新聞 2018年5月30日
 東京電力福島第一原発事故で全町避難を強いられた福島県浪江町で、建設業を営む赤間徹さん(55)はこの七年、飼い主とはぐれたり事故後に生まれた犬や猫を保護し、新たな飼い主らに引き渡してきた。その数、約千匹。事故がなければ飼われ続けていたはずの動物を見捨てられなかった。根底には「自分は原発で食ってきたから」という自責の念がある。(内田淳二)
 
 常磐自動車道浪江インターに近い人けのない集落に、犬や猫の鳴き声でにぎやかな自宅がある。犬小屋で寝ていた雑種の大型犬「マック」が赤間さんの声を聞き、大きなあくびをした。
 六年前の秋、福島第一原発がある双葉町で、民家の庭先に迷い込んでいた。当初はけがや皮膚病で毛が抜け、やせこけていた。元の飼い主は避難先の事情で引き取れないといい、ここで暮らしている。
 
 赤間さんは十八歳で福島第一原発の配管などの溶接を始めた。四十七歳で建設会社を起こし、原発の維持管理に関わってきた。
 子どものころから犬が好きで、事故前には浪江町の自宅に十四匹を保護。事故後は廃炉作業に携わりながら、避難先の郡山市からの車での行き帰りの途中、犬や猫を見つけると保護し、愛護団体やインターネットを通じて飼い主を探した。現在は犬二十二匹、猫六十匹と暮らす。
 
 一昨年十一月に夜も自宅に滞在できる準備宿泊が始まるまで、毎日通って世話をした。えさ代に加え、車の燃料代がかさんだ。東電からの賠償金では間に合わず、貯金を取り崩した。知り合いから「何で他人の犬猫のためにお金使ってんだ」と不思議がられても、やめなかった。
 「自分はずっと原発で食ってきた。その原発の事故さえなければ、動物たちは人と一緒に暮らせていたのに…」という思いがある。
 
 廃炉に携わるのも、同じ自責の念から。「除染の方が危険も少ないし割もいいんだけど」。原子炉近くで、放射線を防ぐ鉛のベストを着ても五分しか作業できない現場も経験した。
 ただ、会社は開店休業中。事故前に二十人いた従業員は各地に避難し、残った六人も除染をする会社などに移った。自宅は帰還困難区域に近く、放射能への不安から妻(59)や三人の子は今も避難先にいるため、一人暮らしが続いている。
 
「一緒にやっぺ」と言ってくれた獣医師ら仲間たちが支えだった。「あなたが倒れたら大変。何でも送るから」と、何度も食料を送ってくれた支援者もいる。「この七年、悪いことばかりではなかった。事故前には出会えなかった人たちと出会えた。これからもできることをやっていきたい」。顔をほころばせ、犬と猫をそっとなでた。

2018年5月30日水曜日

コスメ会社がなぜ反原発キャンペーンを 「客との接点は倫理観」

 化粧品販売の「LUSH(ラッシュ)」全国57店舗を持っていますが、その店頭とインターネットの署名サイトで、『上関原発の新規立地計画の中止と、政府が2018年夏の閣議決定を目指す「第5次エネルギー基本計画」に「新規立地計画中止」の文言を盛り込むことに反対する』署名に取り組み、529日時点で合計3996人の署名めました。
 
 客商売の企業がこうした運動に取り組むのは非常に珍しいことです。
 Business Insider Japan がこの問題を取り上げました。読み応えがあります。
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コスメ会社LUSHがなぜ反原発キャンペーン? — 客との接点は倫理観
竹下 郁子 Business Insider Japan 2018年5月30日
イギリス発のコスメメーカー「LUSH(ラッシュ)」が、山口県上関町に中国電力が計画している上関原子力発電所の建設中止を求める署名キャンペーンを行っている。署名は安倍晋三首相と世耕弘成経済産業大臣に届ける予定だ。企業がこうした運動をすることをタブー視する風潮もある中、なぜ踏み切ったのか。
 
コスメ通じて原発問題を知る
5月28日の午後6時過ぎ。仕事や学校帰りの女性たちでにぎわうラッシュ新宿駅前店で、女子大学生2人が販売員の西川友理さん(25)の話に耳を傾けていた。上関町を知らないという2人に西川さんが取り出したのはiPad。「奇跡の海」と呼ばれる上関周辺の瀬戸内海の風景を撮影した動画を見せて、この自然や生態系が原発の建設によって失われようとしていること、それに反対する署名を集めていることを説明していく。西川さんが現地に足を運んだときに見た海の透明さ、美味しかった食べ物の話を交えながら、終始和やかな雰囲気だ。女子大学生たちは、
「知らないことばかりでした。東京に住んでいると原発は遠い地方の話に感じてしまうけれど、私にできることがあるなら協力したいなと」
「大学生になってよく旅行するようになり、自然って大切だなと思っていたので、ぜひ守ってほしいと思いました。ラッシュは動物実験に反対していたり、化粧品の材料に自然由来のものを使っていて、もともと共感することが多かったけど、本当にいろんな社会問題に取り組んでいると分かって、信頼感が増しましたね」
と言い、署名にサインした。その日はほかにも、環境保護に興味があるという女子大学生や、韓国人の男性もスタッフから韓国語で説明を受け署名していた。
 
西川さんは、客が希望する商品案内を終えて信頼関係が築けた後に、「最後に1分だけお時間いいでしょうか?」と声をかけたり、塩や海藻など海のものを原材料に使った商品の説明をしたりしているときに合わせて、この署名キャンペーンの案内をすることが多いという。反応はさまざまで、上関の海の美しさに「ここ本当に日本なんですか」と驚き協力する人もいれば、「生活のために原発は必要」「中立でいたいから」と断る人もいるそうだ。
 
難民支援や被災地での活動も
5月18日から開始した「#SaveKaminoseki 上関の自然を守ろうー緊急署名キャンペーン」は、ラッシュの全国57店舗の店頭とインターネットの署名サイトで行われている店舗は5月31日まで、ネットでは6月以降もしばらく継続する予定で、5月29日時点で合計3996人の署名が集まっている
求めているのは、2011年の東日本大震災で東京電力福島第一原発の事故が起きて以降、準備工事が中断したままになっている上関原発の新規立地計画の中止と、政府が2018年夏の閣議決定を目指す「第5次エネルギー基本計画」に「新規立地計画中止」の文言を盛り込むことの2点だ。経済産業省の素案では新増設には触れておらず、どのような表現になるのか社会の関心も高い。
 
今回の署名活動はラッシュが長年、寄付などで支援してきた「上関の自然を守る会」を含む4団体が呼びかけている。同社が参加したのも、上関の自然を守る会をサポートするためだ。
ラッシュは1995年創業で、本社はイギリス。現在、世界49の国と地域に930店舗以上を展開している。ビジネスポリシーは「Ethical(倫理的)」であること。会社創業以来、世界的に化粧品のための動物実験に反対し続けているほか、2007年からは消費税を除く売り上げの全額を寄付するボディクリーム「チャリティポット」を通じて、動物の権利や人権、環境問題などの社会課題に取り組む小規模団体への寄付・助成を行ってきた。
日本では過去約10年間に5億3000万円以上を提供している。支援先は、日本で暮らす難民を支援する「認定NPO法人難民支援協会」、被災地で救援活動をする「被災地NGO恊働センター」、動物の殺処分について子どもたちと共に考える「NPO法人SPICA」など多岐にわたる。上関の自然を守る会もその一つだ。
 
同会は上関の自然や生態系を守り原発建設に抗議するために設立された。原発建設予定地周辺は国の天然記念物に指定されているカンムリウミスズメなど希少な生物も多数生息するホットスポットだ。原発ができれば海水温より7度高い温排水が流され、周辺の生態系が崩れる懸念もある。「人と動物が豊かな地球環境でハッピーに共存できる社会」を目指すラッシュには、見過ごせない状況だった。
日本のほかにイギリスでも、チャリティ商品を通じて原発に反対する団体を支援している。
 
経営陣も販売員も一緒に現地で学ぶ
山口県上関町は室津半島の先端部と長島、祝島、八島などの島々からなる人口約2800人の小さな町だ。住民は原発原発推進派と反対派に分かれ30年以上も対立してきた。
ラッシュは今回の署名キャンペーンをするにあたり、経営陣や社員、店舗の販売員などで上関町に行き、上関の自然を守る会代表や町の人々から話を聞き、船に乗って海の様子を見るなどの研修を行った。ラッシュジャパンのエディターとしてPR記事や動画を制作するエディターの山下夏子さん(23)も研修に参加した一人だ。原発は必要ないと思っていても地域の事情で選挙では推進派に投票している人など、揺れ動く町の様子を実感したそうだ。
「対立しているのは、みなさん故郷が好きでずっとそこで暮らして行きたいと思っているからこそだと感じました。未来に何を残せばハッピーになるか考えたときに、サステナブルではない原発よりも自然を、という方向に進んでほしいなと。原発がなければ何もない町になるという意見の人もいますが、そのままの自然が本当に素敵で価値があるということを伝えていくのが私たちの役割だと思っています」(山下さん)
 
「言論の自由」掲げて客と議論
東日本大震災以降、原発に関する社会の関心は高まっている。一方で、対立やさまざまなステレオタイプも広まり、自身の意見を表明することすらためらう人も多い。原発への反対意思を明確にする今回のキャンペーンは、一部の消費者にはマイナスイメージにつながると考えなかったのだろうか。ラッシュジャパンでチャリティ活動を担当する種村香奈美さん(33歳、チャリティバンク事務局)は言う。
さまざまな考えの方がいらっしゃって当然です。 私たちも1つの考えを押し付けたいわけではありません。お客様がただお買い物を楽しむだけでなく、ラッシュという場所を通して原発や環境、エネルギーの問題と出合い、身近なこととして考えてもらうきっかけになればうれしいです」(種村さん)
 
前出の西川さんも山下さんも、ラッシュのEthicsや社会問題に取り組む姿勢に惹かれて入社した。山下さんは当時は新卒採用がなかったが、自ら打診して学生インターンからスタートして社員になっている。 社員同士も日頃から政治や時事問題について活発に議論しており、「言論の自由」を掲げて消費者など一般の人と問題を共有し議論する専用の企業SNSアカウントもある。
「 “Give a voice to voiceless”、声なき人々の声になることをラッシュでは大切にしています。私も常にそういう視点を大事にしていますし、日頃から世界で起きていることに興味をもち考えるようになりました。ラッシュにはそういったことを話したり学んだりするカルチャーがあるんです」 (山下さん)
ふらっとコスメを買いに行って、社会問題に出合う。そんな機会が増えるだろうか。
(文・竹下郁子)

再稼働「ノー」が言える知事にと池田候補

 28日には、池田ちかこ県知事候補は、選対幹事長の森ゆうこ参院議員(自由党)ととも佐渡島を駆けめぐりました。
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 新潟のこと新潟で決める
再稼働「ノー」言える知事に 池田候補、佐渡を駆ける
しんぶん赤旗  2018年5月29日
 大激戦になっている新潟県知事選(6月10日投票)で、市民と野党の共闘の池田ちかこ候補は28日、佐渡島を駆けめぐり、選対幹事長の森ゆうこ参院議員(自由党)とともに街頭から訴えました。
 
 池田候補は、新しい知事は東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の判断を迫られることを指摘し、「私は、再稼働推進の安倍政権の言いなりにはなりません。新潟のことは新潟で決める」と力強く訴えました。
 
 池田候補は、佐渡市が「朱鷺(とき)と暮らす郷(さと)づくり認証制度」を立ち上げ、農薬や肥料を減らした新たなブランド米「朱鷺と暮らす郷」をつくってきたことに敬意を表しました。「みなさんの頑張りを支えたい。そのために、佐渡の農業をTPPからしっかり守る」と強調。介護保険の勉強でケアマネジャーの資格をとった経験を紹介し、「福祉・介護は私にお任せください」と訴えました。
 
 森参院議員は、相手候補は泉田裕彦元知事が日本海横断航路の船の購入問題で3億円の損失を出したとき、国土交通省出身の副知事として何をしていたのか、と批判しました。
 
 赤ちゃん連れで参加した女性(28)は「子どもを育てています。原発は稼働してほしくない。池田さんに頑張ってほしい」と話していました。

30- 日立の英国原発 国策のツケは両国民に

 日立は英国の原発建設に取り組むことを28日の取締役会議で決めました。
 東京新聞が「日立の英国原発 国策のツケは国民に」とする社説を出しました。
 
 この原発の建設は英・日両国の国策なので、そのツケは英国民と日本の国民に回されます。
 同原発の建設費用約3兆円のうちイギリス政府が2兆円分の借り入れを全て債務保証し、日本政府も残る1兆円の大半を債務保証するので、そのツケはそれぞれ英・日両国の国民に回されることになります。
 またこの原発の「高コスト」は結局電気料金にも反映されるので、英国民にはその点でも「不経済な原発」のツケが回されます。
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【社説】日立の英国原発 国策のツケは国民に
東京新聞 2018年5月29日
 3・11以降、原発は世界中で“不良債権化”しつつある。新規建設は、「国策」でなければ成り立たず、企業は巨大なリスクを背負い込む。英国で原発新設に乗り出す日立。成算はあるのだろうか。
 時代の流れに、どこまで逆らうつもりだろうか。
 向かい風に帆を揚げて、急流をさかのぼろうとする小舟のようなものではないか。「成長戦略」という名目の小舟である。
 グレートブリテン島中西部のアングルシーという島に、二〇二〇年代前半の運転開始をめざして、百三十万キロワット級の原発二基を建設する。
 
 総事業費は三兆円以上。日立は六年前、英国の原発事業会社を買収して子会社化、資金難に陥った英国側の事業を引き継いだ。
 福島原発事故後の建設費急騰に音を上げて、日立は日英両政府に資金支援を要請した。
 最新の資金計画では、北海油田・ガス田の枯渇を見越し、先進国で唯一、原発新設に積極的といわれる英国政府が、二兆円の融資を提示した。
 残りを日立と英政府や英企業、日本の政府系金融機関や電力会社などが出資し、日立などの出資分は事実上、日本政府が債務保証するという方向で交渉が進んでいる。これも「国策」だということだ。国策のつけは国民に回される
 
 安全対策を考えれば、原発は割に合わない。既に世界の常識だ。
 フィンランドのオルキルオト原発3号機は、総事業費が当初見込みの三倍近くに膨らんで、完成は現時点で十年遅れ。フランスのフラマンビル原発3号機の事業費も同様で、この二基のつまずきが世界最大の原発メーカーであるフランスのアレバ社を事実上の破綻に追い込んだ。原子力事業子会社「ウェスチングハウス(WH)」の破綻が東芝を土俵際まで追い詰めたのも記憶に新しい。
 再生可能エネルギーの台頭により、欧州ではすでに原発の電力は市場競争力を失った。
 英国政府は原発の電気を一定期間、高額で買い取るシステムを導入し、建設費を国民に転嫁した。原発事業はもはや、政府の後押し、つまり国民の負担なしには成り立たない。安全面だけでなく、経済的にも巨大なリスク、いわば“泥舟”なのである。
 3・11の当事者でありながら、さまざまなリスクを押して原発にこだわる日本政府。真意はどこにあるのだろうか。

2018年5月29日火曜日

池田知事実現必ず 6党派 熱く訴え

 大激戦の新潟県知事選(610日投票)に向け、立憲民主共産、国民民主、無所属の会、自由、社民の6野党・会派の国対委員長などは27日、「原発ゼロの新潟」をめざす池田ちかこ候補を勝利に導こうと、新潟、長岡の両駅前で共同街頭演説を行いました。両駅前では最後まで人垣が膨らみ、熱い歓声と拍手に包まれました。
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池田知事実現必ず 6党派 熱く訴え
原発ゼロの新潟 共闘勝利で 来月10日投票
しんぶん赤旗 2018年5月28日
 共産、立憲民主、国民民主、無所属の会、自由、社民の6野党・会派の国対委員長などは27日、大激戦の新潟県知事選(6月10日投票)で、市民と野党の共闘の力で「原発ゼロの新潟」をめざす池田ちかこ候補を勝利に導こうと、新潟、長岡の両駅前で共同街頭演説を行いました。両駅前では最後まで人垣が膨らみ、熱い歓声と拍手に包まれました。
 
 池田候補は、最大争点である東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の問題で「命と暮らしが守れるか、きちんと検証する」と表明。原発のない新潟をめざし再生可能エネルギー普及など具体的検討を進めたいと力強く訴えました。
 
 日本共産党の穀田恵二国対委員長は「6野党・会派そろって、みなさんとスクラムを組んで勝利へ頑張る。安倍政治に対するノーの審判を新潟県民が下そう」と力説しました。
 穀田氏は、「改ざん、ねつ造、廃棄の本家」の財務省などとの「パイプ」を自慢する自公支持の相手候補に対し、「いま必要なのは県民との太いパイプだ」と指摘。原発問題で、政府の「エネルギー基本計画」案が全原発を再稼働させるものだとし、「こういう方針の自民党に推されて、『原発ゼロ』ができるのか」と批判。「うそのない政治を新潟から発信しよう」と呼びかけました。
 
 立民・辻元清美氏は「野党は力を合わせて池田候補を応援している。日本の未来を占う選挙だ」と強調。国民民主・泉健太氏は「権力に振り回され生活を壊されるのはまっぴら」、無所属の会・広田一氏は「一致団結して勝利を」と訴えました。
 自由・玉城デニー氏は「沖縄も11月に県知事選がある。絶対に新基地は造らせない」とエールを交換。社民・福島瑞穂副党首は、原発ゼロへ「新潟を先進県にしてもらおう」と述べ、同党の照屋寛徳国対委員長がメッセージを寄せました。
 菊田真紀子選対本部長、緑の党の中山均共同代表、新社会党県本部の小林義昭委員長、「輝くにいがた」の横山由美子代表があいさつ。自由・森ゆうこ参院議員が司会を務め、池田氏必勝のコールの音頭をとりました。
 
写真
6党・会派がそろって訴えた池田ちかこ候補の街頭演説=27日、新潟市・新潟駅前

元副社長が「津波対策先送り」指示 東電原発事故強制起訴公判

 東電福島原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人勝俣恒久元会長武黒一郎元副社長武藤栄元副社長に対する東京地裁の公判がヤマ場を迎えています。
 これまで11回の公判で6人の証人尋問があり、想定津波の試算を担当した社員らが「対策は不可避」と考えていたのに、旧経営陣が「先送り」を指示するなど、社内の“温度差”が浮き彫りになりました。
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福島第1原発事故 強制起訴公判 東電、津波対策に温度差 
試算担当社員「不可避」、元副社長「先送り」指示
毎日新聞 2018年5月29日
 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人に対する東京地裁の公判がヤマ場を迎えている。11回の公判で6人の証人尋問があり、想定津波の試算を担当した社員らが「対策は不可避」と考えていたのに、旧経営陣が「先送り」を指示するなど、社内の“温度差”が浮き彫りになっている。【石山絵歩、岡田英】 
 
 東電は2007年、第1原発の津波対策の見直しを始めた。前年に原子力安全・保安院(当時)が電力会社に地震・津波対策の再評価(バックチェック)を求めたためだった。 
 対策のポイントは、02年に政府の地震調査研究推進本部が「福島沖を含む日本海溝沿いで巨大津波が発生しうる」とした「長期評価」を採用するか否か。長期評価を受け入れれば、大規模な対策は避けられなかった。 
 東電の土木調査グループ(G)は07年11月、長期評価に基づく想定津波の試算を子会社に依頼。08年3月には「最大15・7メートルの津波が襲う」との結果を得た。公判に出廷した土木調査Gの担当グループマネジャー(GM)と担当課長の証言によると、グループ内は「長期評価は主要な地震学者が支持しており、津波対策は不可避」との考えで一致。グループが08年6月に元副社長の武藤栄被告(67)に試算結果を報告すると、防潮堤設置の許認可に関する調査などを指示された。 
 
 しかし同7月、事態は一転した。武藤元副社長は「(長期評価の信頼性に関する分析を)外部の有識者に頼もう」と提案。「信頼性を確認した上で対策は取る」と「先送り」を決めた。担当課長は公判で、「予想外のことで力が抜けた」と振り返った。 
 「専門家の感触を調べたらどうだ」。GMの証言によると、武藤元副社長は、津波対策の「先送り」を指示した際、再評価結果を審査する専門家への「根回し」も示唆した。 
 実際、グループの社員は複数の専門家を訪ね、津波対策は長期評価の信頼性を検討した上で行うと説明。水面下で「先送り」への理解を求めていた。 
 東電は元々、再評価結果を09年6月までに原子力安全・保安院に報告する予定だった。しかし「先送り」後の08年12月に報告の延期を発表。結局、原発事故まで報告されることはなかった。 
 
 なぜ「先送り」したのか。今後は「15・7メートル」の基になった長期評価の信頼性が焦点となる。GMは「対策に取り入れるべきだが、科学的根拠は乏しいと思った」とも証言。一方、長期評価をとりまとめた島崎邦彦・東大名誉教授は法廷で「十分考慮すべきもので、(長期評価に基づき)対策を取れば事故は防げた」と述べた。公判は今後も地震学の専門家に対する証人尋問が続き、今秋にも被告人質問に移る見通しだ。 

29- 日立の英原発建設計画に英国地元住民が反対署名を提出

 日立と日本政府が進めているイギリスでの原発の建設計画に対し、現地の住民らが経済産業省を訪れ、反対するおよそ5800筆署名を提出しました。
 地元の住民らは再生可能エネルギーのコストが下がっている中、原発は割高だと主張しています。
 同原発については、建設費用が3兆円のうちイギリス政府から2兆円分の借り入れを全て債務保証する譲歩案されましたが、原発が危険である上に高コストである事実に変わりはありません。
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日立の英原発建設計画、地元住民が反対署名を提出
TBSニュース 2018年5月28日
 「日立製作所」と日本政府が進めているイギリスでの原発の建設計画に対し、現地の住民らが経済産業省を訪れ、反対する署名を提出しました。
 
 「日立」は子会社を通じてイギリスに2基の原発の建設を計画していて、その費用はおよそ3兆円に膨らんでいます。この計画に反対する地元住民らが経済産業省を訪れ、計画の中止を求めるおよそ5800通の署名を手渡しました
 
 地元の住民らは再生可能エネルギーのコストが下がっている中、原発は割高だと主張しています。「日立」は建設費用が3兆円にも膨らんだことから一時は撤退も視野に入れましたが、イギリス政府が2兆円分の借り入れを全て債務保証するとの譲歩案を示したことから、28日の取締役会で、事業の継続を決定する見通しです。

2018年5月26日土曜日

新潟知事選告示 争点くっきり 原発ゼロめざす池田候補

 柏崎刈羽原発の再稼働を最大争点とする新潟県知事選が、24日告示れ、市民と野党の共闘候補の池田ちかこ氏(57)と、再稼働推進の自民・公明が支える花角英世氏(60)による大激戦となっています。
お知らせ
都合により27日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
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激戦 新潟知事選告示 争点くっきり 原発ゼロめざす池田候補か
再稼働推進の官邸直結候補か
しんぶん赤旗 2018年5月25日
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を最大争点とする新潟県知事選が、24日告示(6月10日投開票)され、市民と野党の共闘候補の池田ちかこ氏(57)と、再稼働推進の自民・公明が支える花角英世氏(60)による大激戦となっています。原発ゼロをめざす池田氏か、原発再稼働を進める安倍官邸・自公に推される花角氏か―。この対決構図が、両候補の第一声からも鮮明となりました。
 
市民と野党で安倍政権に審判を
 池田候補の側は、前回知事選から共同の輪を大きく広げ、今回、幅広い市民と共産、立憲民主、国民民主、自由、社民、無所属の会、民進、新社会、緑の各党会派が支援しています
 
三つの検証進める
 池田候補は多くの市民や野党の代表がかけつけるなか新潟駅前で第一声をあげ、原発について、米山隆一前県政の「三つの検証(福島事故原因・事故の健康と生活への影響・避難方法)」を厳格に進めることは基本中の基本とし、「検証結果を県民としっかり共有し、丁寧に議論した上で決定していくことが大事です」と述べました。
 安倍政権が原発再稼働推進の「エネルギー基本計画」案をまとめ、原子力規制委員会が新規制基準に「適合」と判断した東電柏崎刈羽原発の再稼働を狙っていますが、池田氏は「ちゃんと国にものが言える知事が必要」との姿勢を明確にしました。
 池田候補は、23日に講演で魚沼市を訪れた「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」顧問の小泉純一郎元首相と面会し、激励されたと紹介。「原発がゼロになっても地域経済が回る社会を検討していかなければならない」とし、知事になれば即座に始めると強調しました。地産地消型再生可能エネルギーの重要性を確信したといいます。
 
 一方、花角氏は原発問題に関し、新発田市での第一声で、「検証結果をみなさんがどう受け止めるか。信を問うことだってある」と述べましたが、同候補を担ぐ自民党は「原発は選挙の争点には必ずしもならない」(二階俊博幹事長、21日の記者会見)などと争点隠しの狙いを吐露。県民の声に聞く耳をもつかのように装いますが、実際、これまでの選挙で原発問題をまともに語らず、国民多数の反対を押し切って再稼働を強行してきたのが安倍自民党です。
 
県民寄り添う政策
 原発以外の県政課題でも違いが際立っています。
 池田氏は「柏崎市職員として22年、市議、県議として15年、ずっと地方の場で住民によりそって仕事をしてきた。そのすべてを県政に生かしていきたい」と力説。前県政が進めた全国屈指の「給付型奨学金」の拡充、米どころ新潟を環太平洋連携協定(TPP)から守ることを掲げ、国に対して「戸別所得補償制度」の復活などを要求。さらに、女性や性的マイノリティーなどへの嫌がらせの防止、性差別にもとづく暴力の根絶や、中央省庁の隠ぺい・改ざん問題を踏まえた情報公開の徹底など、「五つの政策」の実現を訴えてきました。
 
“自民隠し”に躍起
 「県民党」をうたう花角氏は、新潟県を「船」にたとえ、「元気で活力ある『県民丸』」とし、起業・創業支援などを宣伝。自民党の二階幹事長が旧運輸相時に秘書官を務め、県副知事や海上保安庁次長などの経歴を“売り”にし、「霞が関にも、永田町にもネットワークがある」と安倍政権・与党との蜜月ぶりを示しています。
 
 安倍政権の森友・加計疑惑が、新文書の発覚や虚偽答弁などで深刻になるもと、知事選は新潟から安倍政権に審判を下す場ともなります。国政の影響を懸念する自民党は“自民隠し”に躍起です。
 「県知事を選ぶのに、国政に影響されてはいけない」「自民党嫌いだという人もいるかもしれない。花角さんは自民党ではない。『県民党』だ」。作業服姿の人たちが続々と集まった花角氏の新発田市の第一声では、自民党の斎藤洋明衆院議員がこう声を張り上げました。続けて同党県議もあいさつしたものの、司会者は斎藤氏や県議らが自民党所属であることを一切紹介しませんでした。
 
 また、「自主投票」と報じられていた公明党からは市議が駆け付け、「公明党も全力で花角候補を応援することを決定した」と言明。争点も党名も隠していますが、自民党関係者によると、県内に党本部職員が常駐しているといいます。25日には竹下亘・同党総務会長が現地入りして、企業・団体の締め付けを強化しようとしています。
 
 市民と野党は池田候補の必勝に向け、27日に6野党・会派国対委員長街頭宣伝(新潟、長岡両市)、6月2日には野党党首街頭宣伝を予定しています。