2018年7月31日火曜日

女川原発再稼働問う県民投票 美里でも実行委発足

 東北電力女川原発の再稼働の是非を問う住民投票条例の制定に向け、宮城県美里町の実行委員会が発足し、29日、勉強・報告会を開きました
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女川原発再稼働問い県民投票目指す 美里でも実行委発足
河北新報 2018年7月30日 
 東北電力女川原発(女川町、石巻市)の再稼働の是非を問う住民投票条例の制定に向け「県民投票を実現する会」(仙台市)と共に活動する美里町の実行委員会が発足し、町内で29日、勉強・報告会を開いた。
 約30人が出席。登米、栗原両市など県内各地で活動する同趣旨の団体と連携し、協力者を募ることを申し合わせた。条例制定に向けた住民直接請求に必要な県全体の署名約4万筆のうち、町内で420筆超を集める方針。
 実行委代表に就いた勝又治子さん(70)は「女川原発で事故が起きたら、立地自治体だけに被害があるわけではない。美里町だけではなく全県的な活動として広げたい」と話した。
 実現する会の多々良哲代表は「住民自治で再稼働を止めるという『草の根の民主主義』を実現したい」と呼び掛けた。

放射線教育理解深める ベラルーシ訪問団

 日本・ベラルーシ訪問団は28日、チェルノブイリ原発事故による被害が大きかったゴメリ州の中等学校を訪問し放射線教育に理解を深めました。
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放射線教育理解深める ベラルーシ訪問団
福島民報 2018年7月30日
【ベラルーシ・ゴメリ州で田代真久本社整理部記者】NPO法人ハッピーロードネット(広野町)による日本・ベラルーシ訪問団は二十八日、チェルノブイリ原発事故による被害が大きかったゴメリ州ホイニキ地区のストレリチェボ中等学校を訪問し放射線教育に理解を深めた。
 同地区は汚染区域に指定されているが、居住は許されている。同校は原発事故後の一九九一(平成三)年に人口減少が原因で一時閉鎖されたが、二〇〇三年に再開した。地元農産物の放射線量を測定し地域に情報提供している生徒たちが、日頃の研究活動を訪問団に紹介した。
 東京電力福島第一原発事故後に浪江町からの避難を経験した矢口晴夏さん(16)=ふたば未来学園高二年=は「自分の古里で安心して暮らすために努力する同世代に強い地元愛を感じ、見習いたいと思った」と述べた。
 原発事故の資料を展示する地区博物館や、汚染で立ち入り禁止となっているポレーシエ放射線環境保護区のゲート前も見学した。

31- 低レベル埋設センターの増設了承 青森県と六ケ所村

 青森県と六ケ所村は日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センターの増設計画を了承しました。2023年度の廃棄物受け入れ開始を目指します。
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低レベル埋設センターの増設了承 青森県と六ケ所村「安全性確認」
福島民報 2018年7月30日
 青森県と同県六ケ所村は30日、同村にある日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センターの増設計画を了承したと発表した。原燃は近く、原子力規制委員会に増設を申請し、2023年度の廃棄物受け入れ開始を目指す。
 
 県によると、増設計画を検証した外部有識者の報告書を基に「周辺住民への放射線の影響について、原燃の線量評価は法令の基準を十分下回っており、安全性は確保される」と確認したという。
 原燃は同センターの1区画が数年で満杯になるとして、5月に増設計画を発表し、安全協定を結んでいる県と村に対して、国への申請について事前了承を求めていた。

2018年7月30日月曜日

新潟県民有志 「見守る会」設立 花角知事の原発政策監視

 新潟県民有志は27日、花角英世知事の原発政策を監視する市民団体「花角県政を見守る会」を設立しました。花角知事が政府・与党の圧力に屈し柏崎刈羽原発の再稼働を認めないよう「見守る」ためです。 
 共同代表僧侶朝倉奏さんは「会は花角知事と敵対的な姿勢ではなく、圧力に揺るがず信念を持った活動を応援する立場だ」と説明し、メンバーは現在数人だが、反原発団体などにも加入を呼びかけ勢力拡大を図ると述べました。 
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県民有志 「見守る会」設立 知事の原発政策監視 /新潟
毎日新聞 2018年7月28日
 6月の知事選で落選した野党系候補を支援した県民有志は27日、花角英世知事の原発政策を監視する市民団体「花角県政を見守る会」を設立したと発表した。自民、公明両党の支援を受けて当選した花角知事が政府・与党の圧力に屈し東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を認めないよう「見守る」としている。 
 同日新潟市内で記者会見した共同代表で同市中央区の僧侶、朝倉奏さん(35)は「会は花角知事と敵対的な姿勢ではなく、圧力に揺るがず信念を持った活動を応援する立場だ」と説明。メンバーは現在数人だが、反原発団体などにも加入を呼びかけ勢力拡大を図るとした。 
 
 花角知事は柏崎刈羽原発について知事選で、県が独自に行う原発安全性などに関する「三つの検証」の結論が出るまでは再稼働の議論はせず、再稼働の是非を判断する際は県民に「信を問う」方針を打ち出した。 
 会は今後、県に三つの検証の実務を担う「検証委員会」の会合風景をインターネットで配信するよう求めたり、避難計画を実効性のあるものにするための意見を提供したりし、花角知事と直接意見交換する機会も設けたいとしている。 
 
 問い合わせ先は朝倉さん(090・7406・0095)。【堀祐馬】 

泊原発バス避難 6社「無理」「困難」と

 原発事故時に各世帯が自家用車などで避難すると、道路が猛烈に混雑するため避難に多大な時間を費やすことになります。
 バスで避難することにすれば道路の混雑は大幅に緩和されるので、多くの自治体ではバスによる避難をベースにしています。
 しかし重大事故時に本当に必要数のバスとその運転手が確保できるのか、当初から問題視されてきました。
 
 北電泊原発では原発5キロ圏(PAZ)だけで延べ63台以上のバス輸送が必要ですが、北海道新聞が6社のバス会社に確認したところ、2社が「できない」で、4社が「困難」と回答したということです。「できない」理由は、「運転手の被ばくを防ぐ用意がなかったと聞いている。安全を確保できないところに派遣できない。今、要請があってもできない」と「労働組合との調整もあるので今は対応できない」でした
 当初から疑問視されていたことがいまだに解決されていないということで、バスが手配できないのであれば避難計画は机上の空論ということになり当然再稼働は出来ません。
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泊原発バス避難、6社「無理」「困難」 道の計画、実効性に疑問
北海道新聞 2018年7月29日
 北海道電力泊原発(後志管内泊村)の事故に備え、原発30キロ圏の町村や道、国が策定した避難計画に盛り込まれている住民を避難させるためのバスによる住民輸送が現状では困難なことが、道央のバス会社6社への北海道新聞の取材で分かった。原発5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)だけで延べ63台以上のバス輸送が必要だが、6社はいずれも「できない」か「困難」と回答。地元からは避難計画の実効性を問う声が上がり、道はバスによる避難の枠組みについて改善する意向を示している。
 
 バス会社6社は北海道中央バス(小樽)、ジェイ・アール北海道バス(札幌)、じょうてつ(同)、札幌第一観光バス(同)、札幌観光バス(同)、道南バス(室蘭)。6社はいずれも北海道バス協会に加盟しており、合計でバス(定員40人以上)約2100台を所有している。後志、石狩、胆振管内のバス台数の6割以上を占める。
 道とバス協会は「原子力災害時における住民避難用バス要請・運行要領」に合意し、2015年10月に発効。6社は避難の中核を担う事業者として道などが昨年開催した避難バスの検討会にも参加している。
 
 北海道新聞の取材に対し、現状で事故が起きた際のバス輸送について、2社が「できない」、4社が「難しい」と答えた。
 「できない」と答えた1社は東京電力福島第1原発事故を例に挙げ、「運転手の被ばくを防ぐ用意がなかったと聞いている。安全を確保できないところに派遣できない。今、要請があってもできない」と回答。もう1社は「労働組合との調整もあり、今は対応できない」としている。

30- 「原発と人権」研究・交流集会開く 福島大で

 4回「原発と人権」全国研究・市民交流集会inふくしま 28~29日、福島大学で開かれました
 
 1日目、米倉勉弁護士は、7件の訴訟のうち国の賠償責任について4判決で認定したものの、ふるさと喪失や地域での生活を奪われた損害についてはいずれの判決も認めていないと報告しました。
 またいわき市民訴訟原告団長は、原発事故が、住民の間に感情的な対立と亀裂を生み、「日々の生活において、さまざまな制限を自らに課しながら生活せざるを得なくなっている」と報告しました。
 
 2日目は、「福島第一原発の後始末と脱原子力社会への転換」「原発災害と政策転換」「原発事故賠償の課題と展望」「核兵器と原発」「原発政策の転換とメディア」をテーマに各分科会に分かれて議論しました。
 最後に「私たちの訴え」を採択して閉会しました。
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原発事故 被害今も 福島 研究・交流集会開く
しんぶん赤旗 2018年7月29日
 東京電力福島第1原発事故から7年。国と東電に法的責任を認めさせ、福島の復興政策と原発のない社会に転換しようと、第4回「原発と人権」全国研究・市民交流集会inふくしま(実行委員長=牛山積・早稲田大学名誉教授)が28日、福島大学(福島市)で始まりました。29日まで。
 
 「原発被害者訴訟判決の成果と課題」について報告した米倉勉弁護士は、7件の訴訟のうち国の賠償責任について4判決で認定したことにふれ、「こうした流れは揺るがないものとなっている」と指摘。他方、ふるさと喪失や地域での生活を奪われた損害についてはいずれの判決も認めていないと述べ、国の帰還政策を追認したものだと批判しました。
 
 伊東達也・いわき市民訴訟原告団長は、原発事故が、避難した人、戻った人、避難しなかった人の間や、地元産の農産物を食べるか食べないかで感情的な対立と亀裂を生んだと報告。子どもに生じた問題として、心的抑圧、情緒不安、体力低下、肥満などをあげました。「日々の生活において、さまざまな制限を自らに課しながら生活せざるを得なくなっている」と、今も続く被害を報告しました。
 
「フクシマは何を問うているのか」をテーマに高橋哲哉・東京大学教授が記念講演を行いました。
 
 
原発ない社会めざす 福島 研究・市民交流集会終わる
しんぶん赤旗 2018年7月30日
 福島市の福島大学で開いていた第4回「原発と人権」全国研究・市民交流集会inふくしま(実行委員長=牛山積・早稲田大学名誉教授)は29日、五つの分科会に分かれて議論し、「私たちの訴え」を採択して閉会しました。
 
「訴え」は、「国・東電に、これまでの原発事故対策と原発政策について再検討を求めるとともに、平和で文化的で健康的な生活に資する政策を求めるものです」「事故原因の徹底的な究明、全ての原発についての安全チェック、事故防止対策や放射線被害に関する法制度の整備なども求められています。原発のない社会の方向に根本的に政策転換することが必要です」と訴えています。
 
 横浜市から参加した福島原発神奈川訴訟原告の女性(77)は「県内滞在者も県外避難者も大変な困難の中にいることが参加者の発言を聞いて理解できました。故郷を喪失するということがどんなことなのか、裁判官に分からせる。神奈川訴訟は結審し、来年2月に判決がでます。笑顔が出る判決を期待しています」と話しています。
 
 各分科会では「福島第一原発の後始末と脱原子力社会への転換」「原発災害と政策転換」「原発事故賠償の課題と展望」「核兵器と原発」「原発政策の転換とメディア」をテーマに議論しました。

2018年7月29日日曜日

官邸前抗議行動が300回に 首都圏反原発連合

 12年3月29日に始まった首都圏反原発連合の金曜日の首相官邸前抗議行動は、28日で300回に達しました。この日は750人が集まりましたが、殆ど毎週参加しているという79歳の男性もいました。実に大変な努力です。
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官邸前抗議300回 首都圏反原発連合「声をあげ続ける」
しんぶん赤旗 2018年7月28日
 首都圏反原発連合(反原連)は27日、首相官邸前抗議を行いました。2012年3月29日のスタート以来、300回目を迎えたこの日の抗議には、750人(主催者発表)が参加。「安倍晋三は原発やめろ」「再稼働反対」と訴えました。
 
 埼玉県越谷市の男性(79)は、ほとんど毎週参加してきたといいます。「やっぱりあきらめてはダメ。各地でみんな頑張っているから、私もここで声をあげ続ける」と語りました。
 国会正門前エリアでは参加者がスピーチしました。
 川崎市の男性は「事故前は54基の原発があった。これまでに再稼働したのは8基。私たちの脱原発世論が原発に固執する勢力を追い詰めている」と強調。安倍政権が運転開始から40年を超える原発も再稼働しようとしており、「監視を怠らず、しっかり声を突きつけよう」と呼びかけました。
 
藤野議員が参加
 日本共産党から藤野保史衆院議員が参加。「首相官邸前抗議がかがり火となり、各地に抗議行動が広がって、確固たる原発ゼロ世論をつくり、『原発ゼロ基本法案』につながった。破たんした道にしがみつく安倍政権を市民と野党の共闘で退場させよう」とスピーチしました。

原発の「再稼働阻止」には小泉元首相の力が欠かせない

 孫崎享氏による脱原発発言はこれまであまり耳にしませんでしたが、28日の日刊ゲンダイに「原発の『再稼働阻止』には小泉元首相の力が欠かせない」とする孫崎しの記事が載りました。
 
 孫崎氏は、いま安倍首相が独断的に権力を振り回しているが、その基を作ったのは小泉元首相であるとして、小泉氏の責任は重いとしました。安倍氏は小泉氏の悪いところを真似たということです。
 そしていまの日本では、国全体の利益ではなく自分たちの利益だけを優先する勢力が目立っているので、国会で反対派が多数を占めない限り原発の再稼働は進むとしました。
 従って反原発を主張する勢力の結集が不可欠だとして、反原発の人々の声自民党支持者の耳に届けるということに、小泉氏が果たすべき役割があると述べました
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 日本外交と政治の正体  
原発の「再稼働阻止」には小泉元首相の力が欠かせない
孫崎享 日刊ゲンダイ 2018年7月28日
 日本の政治は今、権力者、とりわけ首相は何でもできるという空気がある。その風潮を作ったのが小泉元首相だ。それまでの自民党は幅広い主張を認める政党だった。しかし、小泉氏は、郵政民営化に反対する自民党議員を公認せず、その議員の選挙区に「刺客」の候補を送り込んだ。以降、日本の政治では、権力を持つ者が何をしても許される空気が蔓延し、今の安倍政権へとつながっている。こうした政治背景を生み出した小泉氏の責任は重い
 一方で、今の小泉氏は脱原発に力を注いでいる。朝日新聞は、小泉氏が「来夏の参院選では『原発ゼロ』が争点になるよう、野党共闘への期待感を表明した。自民党の首相経験者としては異例の主張だ」と報じた。
 
 脱原発をめぐる小泉氏の主な発言は次の通りだ。
▽私が「原発ゼロ」と言った時に、直ちにゼロなんて無理だと言われたが、2013年9月から15年9月の2年間は、全くゼロだった。
▽(推進を求める勢力が)強いんだな。原子力産業の裾野は広い。原発1基造るだけで今、1兆円かかる。それにつながる企業がたくさんある。労組も押さえているから、野党もはっきり言えない。
 
 日本は地震国であり、現在の原発は大規模地震には耐えられない。日本より事故の危険のはるかに少ないドイツは原発ゼロに踏み切った。ドイツは自然エネルギーへの新たな投資や、雇用機会の創造、費用面などを勘案して、脱原発が国益にかなうと考えたのである。
 しかし、今の日本では、国全体の利益を考えるのではなく、自分たちの利益だけを優先する勢力が政財界のあちこちで目立っている。安倍政権も原発再稼働に向けて着々と動いている。国会で反対派が多数を占めない限り、国益に大きく反する原発の再稼働は進むだろう。原発利権を狙う勢力は、再稼働に反対する個々の力よりも圧倒的に強いため、再稼働の反対を主張する力の結集が不可欠だ。革新的な意見を持つ反原発の人々の声はなかなか自民党支持者の耳に届きにくいが、そこにこそ小泉氏が果たすべき役割がある
 
 孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。 

仮設住宅打ち切り未定の6町村 5000世帯も意向調査 

 福島原発事故に伴う応急仮設住宅の無償提供は、残念ながら原則来年3月で打ち切られますが、双葉、大熊、富岡、浪江4町の全域と飯舘、葛尾両村の帰還困難区域ついては、福島県は打ち切り時期の判断を保留しています。
 県は、打ち切り時期が未定の上記の5000世帯について、今年度から次の住まいに関する意向調査を行うということで、11月にも調査を始める予定です。
 意向調査では電話や郵送アンケートを利用し、現在暮らす仮設住宅の供与が将来打ち切られた後の住まいを決めているか、などを尋ねます。
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福島第1原発事故 
仮設住宅打ち切り未定の6町村 5000世帯も意向調査 
県「早期から再建へ支援」
毎日新聞2018年7月28日
避難先自治体など連携 11月にも開始 
 東京電力福島第1原発事故に伴う応急仮設住宅の無償提供について、県は、打ち切り時期が未定の6町村の約5000世帯について、今年度から次の住まいに関する意向調査を始める。これまでの意向調査は、仮設の打ち切り時期が決まってから始めていたが、避難生活の長期化で生活の課題が個別化・複雑化しており、県は「早い段階から再建に向けた支援につなげたい」としている。6町村や避難先の自治体と連携し、11月にも調査を始める。【尾崎修二】 
 
 打ち切り時期が未定なのは、双葉、大熊、富岡、浪江4町の全域と飯舘、葛尾両村の帰還困難区域。県は打ち切り時期の判断を保留している。 
 意向調査では電話や郵送アンケートを利用し、現在暮らす仮設住宅の供与が将来打ち切られた後の住まいを決めているか、などを尋ねる。仮設退去後の住まいが未定の住民に対して、県内外の自治体や関係機関と連携して支援する。 
 
 県は災害救助法に基づき、民間アパートなどの「みなし仮設住宅」も含め、避難者に応急仮設住宅を無償で提供してきた。来年3月末には5市町村の約2400世帯が打ち切られる。昨年11~12月に実施した意向調査では2割が次の住まいが未定で、「生活資金がない・保証人がいない」「住宅や土地が見つからない」などの声が寄せられた。今年6月から2巡目の意向調査を始めており、必要に応じて戸別訪問する。 
 また、東電からの「家賃賠償」が3月末で打ち切られた世帯を対象に、県が始めた「避難市町村家賃等支援事業」の対象世帯にも、同様の意向調査を実施することを決めた。 
 
 応急仮設住宅は原則、県外から県内への住み替えが一度認めれているだけで、二度以上転居した世帯には、東電が賠償する形で家賃を負担していた。しかし、この賠償は今年3月末で終了。仮設入居者と不公平感が生じるため、県はこれまでの賠償額を上限に、原則として全額負担する補助制度を設け、6月に受け付けを始めた。 
 
応急仮設住宅の無償提供期間◇ 
 
打ち切り時期  対象地域・対象世帯          避難指示解除時期 
 
2019年3月 南相馬市の小高区など(1435世帯) 16年7月 
        飯舘村の大半(736世帯)      17年3月 
        葛尾村の大半(138世帯)      16年6月 
        川俣町の山木屋地区(78世帯)    17年3月 
        川内村の一部(2世帯)        16年6月 
        <計2389世帯> 
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 未定     浪江町(1849世帯)        17年3月(一部で) 
        富岡町(1402世帯)        17年4月(大半で) 
        大熊町(1035世帯) 
        双葉町(628世帯) 
        飯舘村の帰還困難区域(36世帯) 
        葛尾村の帰還困難区域(9世帯) 
        <計4959世帯> 
※世帯数は今年4月1日時点

29- 「もんじゅ」核燃料取り出し 作業開始8月以降に延期へ

 高速増殖炉「もんじゅ」廃炉に向けた作業で、機器の不具合が相次ぎ、核燃料を取り出す作業の開始時期を予定していた今月から来月以降に延期することを、文科省が明らかにしました。
 福井県の藤田副知事は「国のマネジメントが適切に行われていたのか不信を禁じえない。出だしからこんなことでは、安全に廃炉ができるのか不安だ」と述べ、国の監督体制の強化を求めました。
 
「もんじゅ」については、これまでも呆れるほど多くの問題が指摘されてきましたが、廃炉に向けての作業においても全く同様のようです。廃炉の総費用はまだ論じられていませんが、1兆円に達するというような莫大な金額になるおそれがあります。
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「もんじゅ」核燃料取り出し 作業開始8月以降に延期へ
NHK NEWS WEB 2018年7月27日
本格的な廃炉に向けた作業が進む高速増殖炉「もんじゅ」で、機器の不具合が相次ぎ、核燃料を取り出す作業の時期に遅れが出ていましたが、所管する文部科学省は、作業の開始時期を予定していた今月から、来月以降に延期することを明らかにしました
 
福井県敦賀市にある高速増殖炉もんじゅでは、廃炉に向けた重要な工程の1つ、核燃料の取り出し作業を前に26日まで行われた機器の動作を確認する試験で不具合が相次ぎ、核燃料を取り出す作業の時期に遅れが出ていました。
こうした中、27日、国や福井県などがもんじゅの廃炉について意見を交わす会合が東京都内で開かれ、所管する文部科学省の担当者が核燃料を取り出す作業の開始時期を予定していた今月から、来月以降に延期することを明らかにしました。
 
これに対し、福井県の藤田副知事は「国のマネジメントが適切に行われていたのか不信を禁じえない。出だしからこんなことでは、安全に廃炉ができるのか不安だ」と述べ、国の監督体制の強化を求めました。
もんじゅでは核燃料を取り出す模擬の訓練が近く始まる予定で、運営する日本原子力研究開発機構は「スケジュールありきでなく、作業を安全最優先に進めていきたい」としています。

2018年7月28日土曜日

書評:『原発被ばく労災 拡がる健康被害と労災補償』の紹介

 毎週木曜日にレイバーネットに掲載される「週刊 本の発見」を紹介します
 今回は、佐々木有美さんによる『原発被ばく労災 拡がる健康被害と労災補償』です
 原発で働く人たちが放射能などによって病気に罹れば、労災申請や損害賠償を請求できますが、国と電力会社は、被ばくと病気との因果関係をかたくなに認めようとしません。これまで原発で働いた人たちは50万人ほどに上りますが、労災の認定を受けられたケースは僅かに17人ということです。なぜこんな不条理が通用するのでしょうか。
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 〔週刊 本の発見〕
『原発被ばく労災 拡がる健康被害と労災補償』 
評者:佐々木有美 レイバーネット 2018年7月26日
放射線を浴びて労働する人たち
 
原発被ばく労災 拡がる健康被害と労災補償
(被ばく労働を考えるネットワーク編、三一書房、2018年、1700円+税)
  評者:佐々木有美
 
「見えない、触れない、聞こえない、それに味もしない、放射線とはまったく得体のしれないものだ」(本書より)。その放射線を浴びて労働する原発内の労働者たちのことをわたしたちはどれほど知っているだろうか。今年6月に出版された本書は、被ばくが原因で白血病やがん等にかかり、労災補償や損害賠償を請求して起ち上がった6人の原発労働者とその家族の記録である。
 
 驚くのは、原発の作業現場のあまりに杜撰な実態だ。梅田隆亮さん(83歳)は、1979年原発とも知らされず島根原発に送りこまれた。現場では、アラームメーター(被ばく線量計)を他の人に預けて作業させられた。配管から漏れ出した冷却水をひしゃくですくってバケツに入れたり、圧力容器の内側をウエスでふき取る仕事もした。暑さと息苦しさから防塵マスクを外すこともあった。梅田さんは、その直後、原因不明の鼻血出血、動悸、めまい、倦怠感などにおそわれ、1990年には心筋梗塞を発症した。
 
 福島第一原発で収束作業にあたったあらかぶさん(仮名 43歳)によれば、現場によっては作業に必要な鉛ベスト(放射線を防ぐ)も人数分はなく、チャックがこわれてガムテープでとめているものさえあった。線量の高い危険な場所の指示もほとんどなかった。
 北九州で鍛冶職人をしていたあらかぶさんには、妻と三人のこどもがいる。3・11の東日本大震災にショックを受け、「東北や福島の人のために働きたい」と家族の反対を押し切って福島の原発に向かった。しかし、2014年に体調を崩し、急性骨髄性白血病と診断される。死への恐怖でうつ病も発症した。労災認定までには1年7か月もかかった。あらかぶさんは、その後、東電に損害賠償を求めて提訴した。労災認定のときの東電のことば「コメントする立場にない」が訴訟を決意させた。「国が労災を認めているのに東電は知らないという言い分は許せない。自分の責任としっかり向き合ってほしい」というのがあらかぶさんの気持ちだ。いま、裁判は8回目を迎えている。
 
 劣悪な現場で被ばくし、罹病した人たちのほとんどは、闇から闇に葬られているという。多重下請け構造の中で、病気といえば、すぐにクビになるような現場で、ものを言うのは至難のわざだ。それに10年20年たってから発症する例も少なくない。重篤な症状の人、亡くなった人には、労災申請の前に会社が見舞金という形で「解決」する原発ができてから今までに50万人以上の労働者が働いてきたが、労災認定を受けたのはわずか17人だ。
 
 本書でも、労災申請や損害賠償を簡単に認められた人は一人もいない。当事者の血のにじむような努力と周囲の献身的な支援があってこその認定だった。被ばくと病気との因果関係をかたくなに認めようとしない国と電力会社の意志は、高い壁になって労働者の前に立ちはだかっている。
 
「再稼働は許せない。原発はあってはならない」という声を聞く。わたしも同じ思いだ。でも廃炉にするにせよ、そこで働く労働者は必ずいる。その現実をまず見つめることからはじめたい。
 
〔追記〕最高裁に上告中だった梅田さんは、7月11日に上告を棄却された。
 
*「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・佐藤灯・金塚荒夫ほかです。