2026年8月13日木曜日

フィクションに支えられた原子力 なぜ事故やトラプルはなくならないのか

 『こどけん通信』6月28日号に掲載された掲題の記事を紹介します。

 本記事は、大学院 原子力工学科修了後 原子力事業所(原発?)に就職し、技術者として四半世紀を勤めた桜井 恵さんへのインタビュー記事を文字起こししたもので、「原発のリアル」が衝撃的に伝わる内容になっています。
 
 掲載誌『こどけん通信』についての紹介文を末尾に掲載しましたのでどうぞご覧下さい。
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フイクシンに支えられた原子力 なぜ事故やトラプルはなならないのか
               桜井 さん
     インタビューまとめ 石田伸子 こどけん通信 2026年6月28日号

  さくらい めぐむ
  小学生の時、雑誌の背表紙に東電の広告が載っていて、そこに未来のエネルギーと描
  かれていた原発に希望を感じていた。ところが高校生の時、被ぱく労働と核廃棄物と
  いう問題があることを知リ、原子力は「当然あってはならないもの」と考えが変わる。
  大学卒業後、脱原発に必要な知識を身にけようと、原子力工学科の大学院に進み、修
  了後は原子力事業所に就職。技術者として四半世紀を勤めた。

 福島第一原発で起こったレベル7の過酷事故は、さすがに原子力村の反省や教訓を促したのではと思われたが、時が経つとともに安全神話は復活、国策は原発回帰、核保有の肯定への空気醸成を強めている。しかし、原発再稼働を強力に進めながら、事業者のデータ隠蔽・捏造、事故やトラブルは相次ぐ。昨年発覚した浜岡原発のデータ不正はその最たるものだし、茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構で起きたプルトニウム飛散事故(2017年)は、作業員が深刻な内部被ぱくをした大事故だった。東海第二原発で頻発する火災、廃炉を目指す福島第一原発でもトラブルや作業員の事故は一向に無くならない。今年4月に再稼働が決定された柏崎刈羽原発でもトラブルが相次いでいる。原子力を扱い、原発を動かす責任を負うものたちの資質は、バックラッシュを引き受けうるのか? 技術者として原子力事業所で仕事をしてきた桜井恵さんに聞く

現場を置き去りにした
再発防止対策
 原子力事業の大の問題は、「物事を決める人」と「やる人」が違うということです。ふつうの企業だったら、現場を経験した人が昇進して決定権をもつ。でも原子力事業では、自分でやらない人が現場のことを決めるんです目分でやらないから何でも言える。それはフィクションです。そのフィクションが優先され、現実をフィクションに合致させることを要求するという倒錯した発想で、原子力は進められているんです。老朽原発も運転延長して平気、科学者の指摘にも真摯に耳を傾けないし、「地震がきたらやばいだろう」と言っても「いやこれは活断層じやないです」と、なんであんたが決めるの? ということを平気で言う。自分たちのストーリーが優先だから、事実に目を塞ぐ。
 そのフィクションと現実とのずれが事故やトラブルです。しかしそれでも彼らが大事にしているのは、対外的な説明なんです。対外的というのは、国民にもですが、ことに地元き治体に対してすごく気を使っています。原子力はいつも叩かれているという意識があるので、組織防衛が大事、対外説明は現場よりも優先事項です。原子力規制庁、文科省、経産省など、監督する側も国民に対して説明責任があるから、自分たちを守るために「事業者をちゃんと監督しています」というポーズを見せなければならない。

実効性のない「改善策」
 たとえば、2022年の秋から23年の春にかけて、日本原子力発電東海第二原発など茨城県内の複数の原子力事業所で、相次いで火災が起きました。これを受けて、茨城県は23年5月に県内の全原子力事業所の立入調査を行い、各事業所でも総点検を行いました。でも実態は、サーッと見るだけ、ポーズだけなんです。実効性がないから、東海第二発ではその後も火災が頻発しました。2022年の9月から25年の5月までの間に12件です。
 25年2月に東海第二原発の中央制御室で起きた火災について、日本原子力発電が茨城県に提出した報告書を見ると、経営者の目線で組織防衛のために書いていることがはっきりわかります。現場の緊張感が足りないとか、現場をどんどん締め付けるばかりです。
 事業者が自治体や役所から求められる再発防止対策は、根本原因分析などいろいろノウハウがあるのですが、目的は組織防衛のための再発防止対策です。監督官庁も、面倒なことが起きれば監督官庁の失態となりますから、対外的に説明しやすい形になっている方がいい。だから、同様のことが起きないように点検項目を増やしました、チェックします、チェックした証拠が必要なので書類を増やしましょう、となるわけです。実効性はどうでもよくて、現場にお構いなしに「やらない人」が対策を押し付けてくる。現場はただでさえ人手もなくて汲々としているのに、やることだけがどんどん増えて、実態と合わないものに付き合わなくちゃいけない
 私のいた職場では、マニュアルを改正しました、こう変えました、変更したマニュアルについてこういう教育をしました、いつどういうテキストで、誰が受講して、受講者の理解度アンケートを何百人分も添付して……ういうパッケージを作ります→本来の仕事は止まるし、やってられないですよね。だから何か起きても隠したくなるわけです。でも、隠したことが後でわかると、これまた大変なことになります。こういうことで現場がいつも疲弊している。
 さらに、水平展開という取り組みがあります。トラブルを起こした部署の再発防止対策だけじゃなくて、他の部署、さらには他の原子力事業所でも同じことが起きないようにと、とばっちりが来て、パッケージに沿って対策を作らねばならない。よそのトラブルのたびに膨大な作業が突然割り込んでくるのは、すごいストレスです。そういう余計なことのせいで、本来の仕事に意識が集中できず、不安なまま現場作業に臨まなければならなくなる安全面ではかえって有害だと、私の職場ではみんな言っていました。

精神論で無理をカバー
「点検しました、問翠なし」という回答が、取りまとめる人も一番ハッピーです。問題があると言ったら、また対策を、となってしまうわけですが、予算措置も人手も時間もないだから「問題なし」という報告しか、やりようがない。
 根本的なところに手をつけないで、継ぎはぎ的なことで対外説明を取り繕おうとするから、問題は深刻化する
 老朽化してくると、思いもよらないところで問題が出てきます。この「思いもよらない」というのが、原子力推進の人たちは一番嫌なんです。自分たちのストーリーの中で収まってほしいのですから。古いんだから「思いもよらない」はつきものなのに、「やめる」という根本的な判断は回避し、予算をどうにかするわけでもなく、マニュアル変更とか、精神論でカバーするみたいなことになっていく。
 下請け構造が多層になっていれば、マニュアルが変わっても、契約している作業員さんたちがそれを知らなかったりします。対外的に説明できれば、現場でやる人が知らなくても、かたがついてしまう

「人間がやれない原子力」
の職場とは
 国策で進める原子力は国に守られ、利益を追求しない官僚的な組織は民間企業と違い潰れない、クビにならない。東電も国が面倒見てくれるから潰れない。東電の社員は官僚以上に官僚っぽいです。原発事故を起こした加害者なのに高飛車な態度で、そのマインドは事故後も全然変わりません。
 真面目な人もいますが、真面目であればあるほどやりきれない職場です。だから辞めてしま人も多い。2011年の福島原発事故の時に大学生だった世代の人たちが、何か貢献したいと思って入ってきましたが、職場はそれまで通りの原子力村の空気だから、若い使命感を持った人たちはがっかりしてボロボロ辞めていきました。
 浜岡原発(静岡県御前崎市)の非事態の訓練の見学に行ったことがあるんですが、少なくとも私がいた事業所よりは真面目に一生懸命やっていて、モチベーションも高かったんです。労働安全の意識も高くて。ところが基準地震動のデータ不正が発覚し、根底が崩れ落ちた。まさかそんなことになっているなんて思わずに、動いていない原発でずっと訓練してた人たちは、今どうしているんだろうって思ったりします。
 原発推進の職場だからって、職場の人たちが推進に燃えているわけではないです。ただ地元の職場だからとか、特にやりたいこともなく、偏差値で入った大学の先生がたまたま繋がりがったから入っだとか公務員みたいだから安泰だとか。
 だから原子力そのものについての知識もあまりないんです。脱原発の人の方がよっぽど詳しかったりする。原子力のあり方とか、自分がどう思うかとか、話すこともほぼない。推進が当たり前だから、特に話す必要がないんですよね。
 大きな事故や事件が起きても、特に衝撃が走るわけでもない。重度の被ばくで作業していた方が亡くなったJCO事故(1999年9月茨城県東海村のJCO核燃料加工施設で発生した臨界事故)だって、ちょっとびっくりしたけど所詮よそ事、という感じでした。
 リテラシー、常識的なまともな知識とか判断、そういうものが自分の職場でもなかったな、と思います。原子力って、ちょっと怪しいとか、危ないから近寄らないでおこう、というのがあるけど、その感覚が弱いから抵抗なく入ってきちやって、で、そうするとあとはもう洗ですから。そういう朧場なんだな、と思いましたね。

「能力はどこにある?
 高速増殖原型炉「もんじゆ」(福井県敦賀市)は、相次ぐトラブルに加え、多数の点検漏れと虚偽報告など不祥事が続いたことから、運営主体だった日本原子力研究開発機構には安全に運転する資質がない、と原子力規制委員会に判断されました。誰か運転する人いませんか? となったんですが、一つも手が上がらない。しょうがないから政府は2016年12月、廃炉を正式決定しました。でもその廃炉は、運転にダメ出しをされた原子力機構がやる。大丈夫なんだろうか、と思います。
 子力村に原発を扱う能力がないとしたら、じあ誰だったらできるのか? これはそもそも人間にできることじゃないと、私は思います。まともな人はできないことはやらない。自分にそれができないということがわからないそういう人たちがやっているのが原子力です人間にはできないことなんだからやらないでおこう、というのが知恵というものです。

不誠実のカタマリ
としての原子力
 原子力事業は無責任とよく言われますが、むしろ私が職場で実感したのは「誠意がない」ということです。不誠実なんです。事業が完結するのを見届ける人がいない。ある意味、事業そのものがモラルハザードな事業だから、日々の仕事においても、一生懸命やってもしょうがないや、みたいな空気がある。
 本当にトラブルを防止するのなら、究極的にはやめるしかない。それが原子力事業です。そうでないから、「安全が可能である」というフィクションになる。耐久40年という設計の圧力容器が60年OKというのも、頭の中の話でしかない。交換できるものは交換すればいいけれど、圧力容器なんか交換できません。なのに強引に使おうとする。すると、劣化を表すデータの読み方も歪んでくる。おかしいと指摘する学者の言うことは聞かない。維持管理能力がないというよりは、とことん誠意がないんです。
 とにかく誠実じゃないので、約束も守らなくていいことになってしまっている。汚染水にしてもそうでしょう?「納得が得られるまで放出しません」と言ったのに、放出している。彼らがやりたいことをやる、っていうことだけなんです。相手が嫌だと言うなら意向を受け入れて、じゃあやめましょうという可能性もあって初めて双方向のコミュニケーションなのですが、彼らには相手の言い分を受け入れるという発想はない相手がいいと言うまでグイグイ押すことしかしない。再稼働でも、東海第二原発では、県と東海村だけではなく周辺自治体も事前了解しないと再稼働できないという枠組みを作りましたが、じゃあ拒否権があるのか、嫌だと言えばやらないのか、といえば、そこは曖昧なままで、「ご理解いただく」の一点張りです。

「福島事故は破局的ではない」?
 福島事故の経験で何か問題が克服された、ということはありません。克服しなきいけないと思っていないわけですから。
 東京電機大学の教授で科学技術社会学が専門の寿楽浩太さんという方が、日本原子力学会の学会誌に、原子力発電というものの破局性について学会員は語るべきではないか、という論文を書いたんです。すると、それに対して学会員の方々から、そんなこと言ったら何もできないじやないか、という逆ギレみたいな意見がたくさん出たらしい。それを受けて、原子力学会は座談会を企画して、その記事も学会誌に載ったのですが・・・寿楽さんは、原子力は、福島原発事故のような破局釣な結果をもたらすことがあるのだから、進めたい人たちは、それについてどう考えるのか語るべきだ、という問題提起をしたのだと思うんです。しかし他のメンバーは、あれって破局的って言うんですかね? と言うんです。東日本壊滅とかなら破局的っていうのかもしれないけど、そんなことはほとんどありえないし、みたいな感じなんです。つまり、ああいうことがあってもいい」と思っているわけです。ふつうの人たちからしたら、びっくりですよね。
 福島の中間貯蔵施設にある汚染土も、30年で県外に移すということが、一応法律で決まっているわけです。`それに対しても、法律って守らなくちやいけないんですかね、みたいな、そんなことが日本原子力学会誌には載っているんですよ。
 根本的な社会のルール以前の、社会の最低限の前提、常識が崩れてしまっている。原子力村の全員とは言わないけれど、一部にそういう人たちがいて、堂々と学会誌に載っちやうわけです。

差別構造あっての原子力
 フィクションに隠された現場は、どんどん悲惨な状況になります。たとえば、2023年10月、福島第一原発のALPS(多核種除去設備)建屋で起きた、作業員が高濃度の汚染水を浴びた事故は、仮設ホースが外れたというんですが、大量の放射性物質を扱うのに仮設のホースで、というのは考えられないやり方です。仮設では外れる危険があると思うでしょう、常識的には。で、事故が起き、再発防止対策をと。現場の人たちはまた締め付けが強まってすごい苦労をしているんだろう、末端の作業とは全然関係ない対策が決まるんだろう、と想像がついてしまうので、心が痛みます。
 推進側も、一応、福島第一原発の廃ハ炉作業の被ばく低減対策について気にはしています。作業員アンケートをやって放射線への不安が増えているとわかったとか、元請を集めたワークショップもやっているらしいです。気にはしているけれど、守るというよりは、余計に被ばくさせると仕事ができなくなる、作業員が確保できなくなる、という観点だと思います。
 放射性物質には人が近づかないような対策を取るべきなのに、原子炉からやっとこ取り出したデブリも、台車で遠ぶ、と書いてあるんです。いやいや、台車は人が押すんで体が近いでしょ。唖然としました。
 グラムないようなサンプルでも、分析施設に搬入したら、遠隔操作で扱っているんです。遠隔操作で取り扱わなきやいけないものを台車で遠ぶって、どういうことですか? 時間は短いからというんですが、その短時間の作業で年間の被ばく線量全部使うくらいの計画を立てていたりする。
 労働者に被ばくさせとくのが一番安あがりという、人海戦術のやり方です。原子力は、放射能が根本的な問題で、被ばくが避けられない。誰かを被ばくさせなければならない。逆に言えば、差別を前提にしているから、被ばくをなくすことが必須にならない。差別しなければ成り立たない労働そういういう構造でなければできないのが原子力なのです。
 もう原子力ルネッサンスみたいな感じになってきて、小型原子炉がすごくいい、みたいな言い方がされるけれど、不思議な感覚ですよね。人間の手に負えない核のゴミが増えていくことは変わらないのに。核・原子力人間が扱えるようなものではない、という根本的な認識を共有しない人たちをどう説得すればいいのか、全然わからないです。
 政治がまず判断しなければ無理ですよね。おそらく官僚は、これがゴールだと決めたら、今は行政交渉で不毛な回答をするだけの人たちも、そっちに向かってガシガシ働いてれるでしょう。原発ゼロにした台湾でも実際そうだったんじないかと思います。
 新しくやるのはとにかくやめて、原発の運転は全部やめたとしても、廃炉・廃棄物処理ビジネスがあるから、原子力事業者も食いぶちには困らないはずです。
 政治の判断、というめちくち高いハードルをどう越えられるかが、問題だと思います。                          (以上)
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『こどけん通信』のご紹介  (冊子「こどけん通信」裏表紙よりコピー)

●「子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト」(通称・こどけん)は、2011年より、お母さんたちとの座談会や勉強会、健康相談会、子どもたちの保養企画などの活動を行ってきました。
●2013年からは、子どもたちのリテラシー講座や、「通学路や子どもたちの遊び場の放射練量がわからなくて不安」という子育て中のお母さんたちの要望で、ホットスポット・ファインダーで測定、データ・マップにして配布する活動も続けています。
こどけん通信』は、放射練被ぱくからの防護にかかわる情報を伝える冊子として、2016年8月から発を始めました。
●読んでくださった皆さんからの感想や、こんな情報がほしい、こんな記事を読みたい、私も記事を書きたい、などのご意見やご希望など、どしどしお知らせいただければうれしいです。
kodoken2@9mail.com までお寄せください。

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    2026年6月28日発行
          頒価300円
    ●発行者 子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト
          kodoken2@9mail.(om 
    ●編集責任 石田伸子

欧州の原発 稼働制限 猛暑影響 仏団体「再エネ普及を」

  しんぶん赤旗の掲題の記事を紹介します。

 欧州各地が記録的猛暑に見舞われている中で、原発による河川水の高温化が問題となっています。
 島国の日本では原発の高温蒸気を海水で冷して復水を原子炉に戻していますが、欧州では冷却用に河川水を用いるのが普通なので、その戻りの水で河川水が高温になるため フランスでは全国各地の原発が停止・出力制限に追い込まれました。
 ハンガリー、ルーマニア、スイスでも同様な問題が起きています。
 EUではかつて論争の挙句、原発がCO2を出さない設備として認定されましたが、それは「欺瞞」でした。何故なら ①ウランの採掘から精製、燃料棒加工の過程で膨大な燃料や電力を使用する ②使用済み核燃料を10万年間も 地中に保存し管理するのに要する・排水ポンプ・照明・エレベータ設備用の電力(=CO2)や・約20年毎の設備自体の更新 が必要になるので、それに伴うCO2発生量が莫大になるからです。

 何よりも決定的なのは、火力発電の熱効率が石炭火力発電は約40%、石油火力発電は約40%、LNGガス発電は約60%であるのに対して原発の熱効率は30%なので 単位電力量当たり火力発電の1.3~2倍の熱量が発生し、その分地球を余計暖めることになります(原発の熱効率が低いのは、核燃料棒細管の材質がジルコニウムで耐熱性が低いため原子炉内の水温が270~290℃程に抑えられるのに対して、火力発電では 500〜600℃と遥かに高温で運転できるからです)。
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欧州の原発 稼働制限 猛暑影響 仏団体「再エネ普及を」
                       しんぶん赤旗 2026年8月10日
【ベルリン=吉本博美】記録的猛暑の影響で、欧州各地で原発の不安定さが露呈しています。欧州連合(EU)は原子カエネルギーを再生可能エネルギーと並ぶ低炭素電源として推進していますが、環境団体は「持続可能ではない」と強く見直しを求めています
 6~7月に40度前後の記録的熱波が3回発生し、大規模な森林火災が発生したフランス。原子炉稼働に大量の冷却水を周辺河川から取り入れるために、全国各地の原発が停止・出力制限に追い込まれました。
 フランス反原発団体連合は7月29日の声明で、気候危機の影響で今後も河川の水位低下が進む可能性が高く、原発の稼働はますます困難となると強調しました。また原発からの大量の温排水によって、「河川の生態系の中で見えない大量死が起こっている」と指摘。「再生可能エネルギーと省エネの普及が唯一の選択肢だ」と主張しました。

 東欧では7月からの干ばつの影響でドナウ川の水位が低下し、ハンガリーとルーマニアで原発の出力削減が相次いで起こりましたハンガリーでは家計や事業者に節電を呼び掛けざるを得ず、国民生活や経済活動が直撃を受けました。
 スイスでは6月、世界最古の商業用原発ベツナウ原子力発電所が周辺の河川の水温上昇を受け、完全停止と出力削減を繰り返しました。原子力安全検査局は「原子炉の安全性に問題はない」と主張。国際NGOグリーンピースは、原発は気候危機の打開策にならず、温排水により「さらに事態を悪化させる」と批判しました。
 非核国として原発を持たないオーストリアでは、再エネの発電量が8割以上に達しています。
 首都ウィーン市のイェルゲン・チェルノホルスキー気候政策担当は7月12日の声明で、フランスやスイス、ハンガリーの原発状況に触れて「熱波は原子力の限界を明確に示した」と強調。持続可能な未来のために、再エネの一貫した拡大が必要だと指摘しま
した。

         欧州各国の原発稼働状況6~7月
 フランス  記録的熱波の影響でビュジェ、ゴルフェッシュ、ノジャン原発で3基が停
       ショー、サンタルバンブライエ原発で3基が出力抑制
 ハンガリー ドナウ川の記録的な低水位によりパクシュ原発で出力削減
 ルーマニア ドナウ川の水位低下でチェルナボダ原発2基が出力削減のち1基が停止
 ス イ ス ベツナウ原発の周辺河川の水温上昇を受けて2基停止 
 英  国  大規模な山火事がサイズウェルB原発の6・4キロ先で発生し当局が「厳
       戒態勢」を発出

柏崎刈羽原発 運転員他人のカードで退出/管理区域に通じる扉の施錠忘れ

 柏崎刈羽原発で2月、7号機の運転員が中央制御室から退出する際、別の運転員のIDカードを使って出る不適切なケースがありました。2月18日に運転員が中央制御室から出ようとした際、カードを忘れたことに気付き、別の運転員が自分のカードを使って退出させましたが、他人のカードでは退出できない仕組みが機能しませんでした。このシステムは2004年度から運用を開始したが、16年ごろから不具合が多発していました。

 同じく7月には火災報知機の誤発報があり、中央制御室にいた運転員が鍵を開けて管理区域内に入った際締め忘れました。翌6日に判明しましたが、未施錠の扉での人の出入りはなかったことを確認しています。
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原発運転員、他人のカードで退出 柏崎刈羽、システムに不具合 東電
                           時事通信 2026/8/10
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で今年2月、7号機の運転員が中央制御室から退出する際、別の運転員のIDカードを使って出る不適切なケースがあったことが10日、原子力規制委員会の資料で分かった。
 資料によると、今年2月18日に運転員が中央制御室から出ようとした際、カードを忘れたことに気付き、別の運転員が自分のカードを使って退出させた。本来、他人のカードで退出しようとするとシステムがエラーとなり退出できない仕組みだったが、機能しなかったという。このシステムは2004年度から運用を開始したが、16年ごろから不具合が多発していた。 


原子炉管理区域に通じる扉の施錠忘れるミス 東京電力柏崎刈羽原発
                            朝日新聞 2026/8/13
 東京電力は12日、柏崎刈羽原発(新潟県)4号機の原子炉建屋で、運転員が管理区域との境界部分の扉の施錠を忘れるミスがあったと発表した。7月5日に火災報知機の誤発報があり、中央制御室にいた運転員が鍵を開けて管理区域内に入った際、閉め忘れたという。原発の運用ルールである保安規定は、管理区域の出入り口の施錠を定めている。
 東電によると、手前にある別の扉は施錠されており、翌6日に判明するまでの間、未施錠の扉での人の出入りはなかったことを確認しているという。
 柏崎刈羽原発では2月に6、7号機の中央制御室内にIDカードを置き忘れた運転員が、同僚のIDカードで退出する事案が発生。原子力規制庁はシステム上の問題があるとして「検査指摘事項」とする報告書案をまとめている。近く原子力規制委員会に提出される見通しだ。(戸松康雄)

福島第一原発の廃炉計画 4つの“宿題”期限まで約1年 NDF「東電 無責任にならないように」

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)は福島第一原発の廃炉に向け「技術戦略プラン」の要旨を公表しました。
 3号機で2037年度以降に予定されている燃料デブリの大規模取出しをめぐり、現場の線量低減などの東京電力に対する4つの“宿題”の現時点での進捗を示しました。
 前年公表されたものから大きく変わったことのひとつが3号機の燃料デブリ大規模取出しをめぐる記載で、2025年7月に東京電力がNDFに工程案を示し、一定の技術的な成立性が確認されています「準備に12~15年かかる」となっているので、目標である「2030年代初頭の着手」の達成は極めて困難な状況となっているとして、1・2号機についても方向性を検討するよう指示しました。
 4つの宿題を含め 廃炉に向けた方針は何も具体化されていないという印象で、このままではズルズルと遅れる可能性が大きいと思われます。
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4つの“宿題”期限まで約1年 NDF「東電 無責任にならないように」<福島第一原発>
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原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)は福島第一原子力発電所の廃炉に向け「技術戦略プラン」の要旨を公表した。
3号機で2037年度以降に予定されている燃料デブリの大規模取出しをめぐり、現場の線量低減などの東京電力に対する4つの“宿題”の現時点での進捗を示すとともに、3号機だけでなく1・2号機についても方向性を検討するよう指示したことを明らかにした。東電に対しては「ある程度見通しを立てないと(事故から)30~40年(で廃炉を)目指しますというのは無責任ではないか」とし、“宿題”の回答期限である約1年後までには「本当に計画通りできるのか、あるいはもっとかかるのかも含めてある程度見通しが立ってくると思っている」とした
NDFは8月6日に福島市で会見を開き、福島第一原発の廃炉の円滑かつ着実な実行のために毎年公表している「技術戦略プラン」について説明を行った。「技術戦略プラン2026」は9月の公表を予定しているが、それに先立ち要旨の説明を行った形となる。
前年公表されたものから大きく変わったことのひとつが3号機の燃料デブリ大規模取出しをめぐる記載。大規模取出しをめぐっては、2025年7月に東京電力がNDFに工程案を示し、一定の技術的な成立性が確認されているが、「準備に12~15年かかる」とされ開始は2037年度以降となり、それまで掲げられていた目標である「2030年代初頭の着手」の達成は極めて困難な状況となっている
NDFによると東京電力の工程案では、格納容器上部の“上蓋”に穴をあけて工具を入れ、ウォータージェットで内部の構造物や燃料デブリを破砕して細かくしたものを下に落とし、格納容器の横側に設置した装置で吸引、連続回収することを想定している。
NDFは燃料デブリ取出しの具体的工法の評価を行うことなどを目的として「燃料デブリ取り出し工法評価小委員会」を設置していて、この小委員会は東京電力から提示された工程案に対し、技術的な検討課題・“宿題”を出している
“宿題”は「線量低減」「必要な構造物の具体化」「充填剤」「汚染建屋の処理」の4項目。合わせて1・2号機の検討を進めるよう指示したという。
線量低減」をめぐっては、破砕して下に落とされた燃料デブリなどを回収する装置を設置するための前提として、1階部分の放射線量を設置作業ができるまでに十分に下げる必要がある。NDFによると東京電力は除染を4、5年で実施する見通しを立てているというが、これを具体的な工程に落とし込んで実現可能かどうかを検討するよう指示しているという。
2点目は「必要な構造物の具体化」。格納容器の“上蓋”から入れる工具とそれに関する構造物は、重すぎたり大きすぎたりして建屋の健全性に支障をきたさないようにしなければいけない。東京電力は地面に足がついた状態の構造物を新たに設置する案と、建屋に抱き着く形での構造物を設置する案の2案を示しているが、NDFは1つに絞るよう指示。前者は足場を設置するために汚染された廃棄物処理建屋を解体する必要があり、後者は積載できる装置の重さが前者よりも制限される可能性がある。
3点目の「充填剤」は、格納容器上部に穴を開けるにあたって崩落等を防止するための素材の検討。格納容器上部の“上蓋”は事故で汚染されているうえに水素爆発の衝撃で崩れて空間が開いている。穴をあけることで崩落しないよう、充填剤で固める必要があるものの、この材質について決まっていないため性状を明確にするよう指示したというもの。放射線の遮蔽効果も必要となる。
汚染建屋の処理」は2点目の「必要な構造物の具体化」とも関わる。足つきの構造物を新設する場合は汚染された廃棄物処理建屋の解体が必要となるが、NDFによるといずれにしても耐用安全の観点からは解体をすべきものだという。同じくNDFによると東京電力はこの解体を5、6年で実施可能としているが、内部の廃棄物がどういう状態なのか調査をするよう指示したとしている。
上記4つの宿題に合わせ、NDFは3号機だけでなく1・2号機も検討を開始するよう指示している。
国と東京電力は事故から30~40年、2051年までの廃炉完了を掲げているが、会見を行ったNDFは「(3号機の大規模取出し)準備に12~15年だと余裕が非常に少ないので、2号と1号も並行して作業をしないと30~40年におさまらない」「ある程度見通さないと30~40年(での廃炉を)目指しますというのは無責任」とした。

この4つの“宿題”への指示、そして1・2号機への検討について、東京電力は“検討中”としているという。回答期限は東京電力が工程案を示した2025年7月から「1~2年」とされていて、残りは約1年。NDFは「2027年の7月くらいまでには、本当に12年から15年でできるのか、あるいはもっとかかるのか、技術的根拠をもってちゃんとできると胸を張れるのかということも含めて、ある程度見通しが立ってくると思う」とした

3号機では大規模取出しに先立ち、2026年3月に超小型の“マイクロドローン”を格納容器内に飛ばして内部調査が行われた。この調査では、かつて「核燃料の入れ物」だった“原子炉圧力容器”とみられる場所の周辺の撮影にも成功。圧力容器の底と見られる部分には“つらら”のように付着物がついていた。3号機で圧力容器の底部とみられるものが撮影されるのは初めてで、東京電力は、圧力容器底部の断面と思われるものも見えたことから「圧力容器に穴が開いていると推定できる」とした。また、本来は圧力容器の中にあるはずの構造物が落ちている状況も確認できたという。
福島第一原発には1号機に279t、2号機に237t、3号機に364tの計880tの燃料デブリがあると推計されている。
2051年までの廃炉完了に向け、安全かつ着実な作業の実行が求められている。

13- 核燃料搬入、電力8社に検討依頼 青森・むつ中間貯蔵施設へ

 東電と原電は昨年12月、両社の使用済み燃料だけでは当初計画した搬入量に満たないことを理由に、原発を持つ他の電力8社との「事業者間連携」の検討を進める意向をむつ市に伝えたことに対して、山本知也市長が今月7日、両社以外の燃料搬入も容認する考えを示しました。

 それを受けて東電と原電は10日、原発を持つ他の電力8社に燃料搬入の検討を依頼しまし
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核燃料搬入、電力8社に検討依頼 青森・むつ中間貯蔵施設へ
                            共同通信 2026/8/12
 原発の使用済み核燃料を一時保管する青森県むつ市の中間貯蔵施設を巡り、運営会社に出資する東京電力と日本原子力発電が10日、原発を持つ他の電力8社に燃料搬入の検討を依頼したことが12日、東電などへの取材で分かった。むつ市が搬入事業者の拡大を容認していた。
 東電と原電は昨年12月、両社の使用済み燃料だけでは当初計画した搬入量に満たないことを理由に、他電力との「事業者間連携」の検討を進める意向を市に伝えた。山本知也市長が今月7日、両社以外の燃料搬入も容認する考えを示した。8社は北海道、東北、中部、北陸、関西、中国、四国、九州の各電力
 施設は東電と原電が出資するリサイクル燃料貯蔵(RFS)が運営し、使用済み燃料を再処理するまでの間保管する。むつ市はRFSに課す核燃料税を念頭に容量いっぱいの5千トンの搬入を要望している。一方で東電など3社が昨年示した計画では、東電柏崎刈羽原発(新潟県)や原電東海第2原発(茨城県)などを合わせた搬入予定量が最大4500トンにとどまっていた。

2026年8月10日月曜日

関電大飯原発3号機が自動停止 発電機で異常か、警報作動

 8日午後12時ごろ、大飯原発3号機で、励磁機から電気を送って発電機内の回転子を電磁石にすることができなくなったことを示す「界磁喪失」の警報が鳴り、原子炉が自動停止しました。発電機本体の故障です。
 運転再開時期は未定ということです。
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関電大飯原発3号機が自動停止 発電機で異常か、警報作動
                            共同通信 2026/8/9
 8日午後11時55分ごろ、関西電力大飯原発3号機(福井県おおい町)で、発電機に関する異常を示す警報が作動し、原子炉が自動停止した。関電は、けが人や周辺環境への放射能の影響はないとしている。発電機に磁界を発生させる「励磁機」や発電機本体に何らかの問題があるとみて詳しい原因を調べる。運転再開時期は未定という。
 関電によると、励磁機から電気を送って発電機内の回転子を電磁石にすることができなくなったことを示す「界磁喪失」の警報が鳴った。警報を受けて発電機が自動停止し、原子炉には制御棒が自動的に挿入された。連絡を受けた県によると、前回の定期検査で異常は見つからなかったという。
 関電の原発を巡っては、今年5月に美浜原発3号機(同県美浜町)でタービンから蒸気が漏れ、手動停止するトラブルも発生している。


関西電力、8日に大飯原発3号機が自動停止 原因調査中
                       ヤフー ロイター 2026/8/10
[東京 10日 ロイター] - 関西電‌力は9日、大飯発電所(福井県おおい町)3号機で8日夜に原子炉が自‌動停止したと発表した。‌周‌辺環境への放射能の影‌響はないという。
関電‌によると、8日午後11時時56分‌に発電機で電気を生み出すための磁力が失われた状態‌を示す警報が鳴った。発電機が自動停止し、これに伴い原子炉も自‌動停止した。原因は現在調査中。