2026年3月26日木曜日

西岡研介が『百年の挽歌 原発、戦争、美しい村』(青木理 著)を読む

 かつて「日本で最も美しい村」のひとつとされた福島県飯舘村は、福島第一原発の事故で、大量の放射性物質を含んだ「冷たい雨」によって汚染されました。
 それから約1か月後の2011年4月12日、この村で、1人の古老が自死しました
 大久保文雄さん102歳でした。百寿を越えてもかくしゃくとし、家族と穏やかに暮らしていた文雄さんははなぜ、自ら命を絶ったのか――
 この出来事を10年近く取材してきた青木理さん(ジャーナリスト、ノンフィクションライター)が、著書:『百年の挽歌 原発、戦争、美しい村』にまとめました。
 文春オンラインの記事を紹介します。
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102歳の老人はなぜ自ら「死」を選んだのか…原発事故で故郷を追われた農民が命をかけて示した“怒り”の正体――西岡研介が『百年の挽歌 原発、戦争、美しい村』(青木理 著)を読む
                         文春オンライン 2026/3/24



『百年の挽歌 原発、戦争、美しい村』(青木理 著)






 東日本大震災による東京電力福島第一原発事故の発生から4日後のことだ。原発から40キロ近く離れていたにもかかわらず、かつて「日本で最も美しい村」のひとつとされた福島県飯舘村は、大量の放射性物質を含んだ「冷たい雨」によって汚染された。

 それから1か月後の2011年4月12日、この村で、1人の古老が自死した。大久保文雄、102歳。百寿を越えてもかくしゃくとし、家族と穏やかに暮らしていた文雄はなぜ、自ら命を絶ったのか――。
 理由は明白だ。この村に生まれ、幼少期からひたすら土を耕し、作物を育て、終生、村から離れようとしなかった文雄が、原発事故によって愛する故郷を汚され、その豊かさを奪われたことに絶望し、果ては「全村避難」によって、この地を追われることを拒絶したからにほかならない

 文雄の自死を知ったことを機に、この村に通い始め、生前の彼の姿や思いを遺族や村人から聞きとり続けていた著者の青木理にとっても、その理由は疑いようのないものだった。
 しかし青木は、文雄の自死には〈ほかにもっと深く根源的な絶望と意味が〉込められていたのではないかと、彼の出生にまでさかのぼり、100年余に及んだ文雄の人生をたどり始めるのだ。
 そこから浮かび上がってきたのは、ふたつの事実だった。ひとつは、終戦間際の1944年、文雄と15歳離れた弟の久が、20歳で徴兵され、そのわずか1年後には硫黄島に、本土防衛の“捨て石”として送り込まれ、「戦死」していたという事実
 ふたつめは、幸いにも徴兵を免れた兄の文雄が、その弟の死を生涯、気に病んでいたという事実だ。
 つまり、ふたりの兄弟はともに、戦争と原発という、ふたつの「国策」によって殺されたわけである。
 そして、10年近くに及んだ取材で、これらの事実にたどりついた青木は改めて、文雄が自死に込めた思いを、こう汲みとるのだ。
ならば文雄の自死は、故郷を追われることへの深刻な悲嘆や絶望のみにとどまらず、重大な国策の誤ちによって運命を翻弄された兄弟の、そのふたり分の怒りを満身に込めた抗議の行動だったと受けとめるべきではないか
 原発事故によって破壊された飯舘村と文雄の家族の物語は、震災から15年が経ち、私をはじめとする被災地外の人たちの中で、その記憶が確実に風化しつつある今、原発事故という「人災」の理不尽さを、これでもかといわんばかりに思い起こさせてくれる。

 また本書の中で青木は、震災前の「美しい村」の姿に随所で触れているのだが、それを読むごとに、あの事故で喪ったものの、はかり知れない大きさに愕然とし、文雄をはじめとする村人たちの筆舌に尽くし難い無念さに、胸が締めつけられるのだ。(文中敬称略)

あおきおさむ/1966年生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクションライター。事件や事故、災害、刑事司法、朝鮮半島、メディアなど多岐にわたるテーマの取材・執筆を行う。主な著書に『安倍三代』、『日本会議の正体』など。

にしおかけんすけ/1967年、大阪生まれ。著書に『マングローブ テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』など。

柏崎刈羽原発付近の海底活断層 規制委、津波規模「見直し不要」

 原子力規制委は23日、日本海の海底活断層が柏崎刈羽原発に与える影響に関する第4回会合を開き、論点として残されていた海底地滑りを考慮しても、安全対策の基準となる基準地震動津波の規模を見直す必要がないことを確認し、協議を終えました。
 柏崎刈羽原発は中越沖地震横揺れ加速度2000ガル以上を記録したので、再稼働に向けての審査で「基準地震動国内では最高レベルの2000ガル以上に設定していました。
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柏崎刈羽原発付近の海底活断層 規制委、津波規模「見直し不要」
                           朝日新聞 2026/3/25
 原子力規制委員会は23日、日本海の海底活断層が東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に与える影響に関する第4回会合を開いた。論点として残されていた海底地滑りを考慮しても、安全対策の基準となる津波の規模を見直す必要がないことを確認し、協議を終えた
 この会合は、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が2024年8月に示した日本海の海底活断層や、同年1月の能登半島地震で発生が確認された海底地滑りなどが、柏崎刈羽原発6、7号機の地震・津波対策に影響を及ぼすか、との観点で同年12月から行われていた。
 25年12月の前回会合で、複数の活断層が連動した形で地震や津波が発生した場合でも、6、7号機が認可された際の「基準地震動」「基準津波」の規模に及ばないと東電が説明。規制委側は了解した上で、海底地滑りの影響に関する評価を示すよう、東電に求めていた。

 この日の会合で、東電は海底地滑りが起きても、水位の上下は基準津波に及ばないことを示す資料を提示。規制委側も異議を唱えず、山岡耕春委員が協議の締めくくりとして、「適切な検討がなされており、基準地震動、基準津波への影響がないとの評価は妥当であることを確認した」と語った。(戸松康雄) 

中部電力、31日に報告書提出 浜岡原発耐震データ不正

 中部電力は24日、浜岡原発の耐震データ不正に関する報告書31日午前に原子力規制委員会にを提出すると明らかにしました。規制委は3月末までに不正の内容や経緯に関する資料を提出するよう求めていました。
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中部電力、31日に報告書提出 浜岡原発耐震データ不正
                            共同通信 2026/3/24
 中部電力は24日、浜岡原発(静岡県)の耐震データ不正で、31日午前に原子力規制委員会に報告書を提出すると明らかにした。規制委は中部電に報告徴収命令を1月に出し、3月末までに不正の内容や経緯に関する資料を提出するよう求めていた
 規制委によると、報告書は中部電が持つ記録などを中心にまとめた内容となる見込み。中部電自らによる関係者への聞き取りが、中部電が設けた第三者委員会の許可が出るまで実施できないためという。
 中部電は1月5日、浜岡原発3、4号機の再稼働審査で、耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」の策定を巡る不正があったと発表した。


浜岡の調査資料「引き続き提出」 中部電会長、原発不正
                            共同通信 2026/3/23
 中部電力の勝野哲会長は23日、浜岡原発(静岡県)の耐震データ不正を巡り、原子力規制庁に調査のための資料を「引き続き準備ができたものから出していく」と説明した。中部経済連合会会長として名古屋市で開いた定例記者会見で述べた。実態を調べている規制庁は「記録が不十分」と原子力規制委員会に報告していた。
 勝野氏は当局の指示に基づき、関係者特定のため名簿や当時の打ち合わせ資料などを提出してきたと語った。ただ一部未提出で、速やかな提出を目指しているという。
 規制庁は、問題となった耐震設計の目安とする「基準地震動」の策定過程に関する記録が十分に残っていなかったと規制委に2月に報告し、委員が苦言を呈した。

三菱重新型原発も「ベント」要求 原子力規制委、審査方針を了承

 原子力規制委は25日の定例会合で、三菱重工業などが開発する新型原発について、将来的な審査に向けた対応方針を事故時の水素爆発を防ぐための排気設備「フィルターベント」の設置を、既存の原発と同じく規制基準の中で求める内容で了承しました。
 新型原発の詳細についてはまだ「コアーキャッチャー」をつけること以外には明らかになっていません。「フィルターベント」等の安全装置は当然必要です。
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三菱重新型原発も「ベント」要求 原子力規制委、審査方針を了承
                            共同通信 2026/3/25
 原子力規制委員会は25日の定例会合で、三菱重工業などが開発する新型原発について、将来的な審査に向けた対応方針を了承した。事故時の水素爆発を防ぐための排気設備「フィルターベント」の設置を、既存の原発と同じく規制基準の中で求める。規制の対象から外れる「自主設備」にするとした開発側の案は受け入れなかった
 新型原発「SRZ―1200」は「革新軽水炉」とも呼ばれる。規制委は2024年から、電力会社を含む開発側との意見交換会を計7回開催。開発側は、新型では重大事故対策の設備を充実させたとして、フィルターベントのほか、注水などで使う可搬型の設備を自主的に導入する考えを示していた。 

原発にドローン検知機器設置を義務付けへ 常時監視体制を整備 原子力規制委

 原子力規制委は原発にドローンを検知する設備の設置を義務付ける方針を固めました。
 ドローンをめぐっては、テロが外国で発生したことなどから警察庁が有識者検討会を設置し、原発といった重要施設周辺の飛行禁止となっているエリアを300メートルから1000メートルに拡大するなどの検討が進められています。
 ドローンは監視に留まらず簡単に有力な攻撃兵器にも変身するので、単に検知する設備だけでは不十分です。具体的にどうすべきかが今後の課題になります。
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原発にドローン検知機器設置を義務付けへ 常時監視体制を整備 原子力規制委員会
                           サガテレビ 2026/3/23
原子力規制委員会は原子力発電所にドローンを検知する設備の設置を義務付ける方針を固めました
ドローンをめぐっては、テロが外国で発生したことなどから警察庁が有識者検討会を設置し、原発といった重要施設周辺の飛行禁止となっているエリアを300メートルから1000メートルに拡大するなどの検討が進められています
県内でも去年7月、玄海原発付近の上空で3つの光が確認され、ドローンの可能性があるとして、核物質防護情報が発表されたもののその光をとらえた画像などはありませんでした。
原子力規制委員会は先週の会合で委員会の規則の改正案を提出。
これには、ドローンを検知できる機械の設置のほか、機械の表示を常時監視できる場所に人を配置することが盛り込まれています。
【九州電力常務執行役員原子力発電本部 林田道生本部長】
「今回の規制については決定されたわけではありませんけれどもそれに従った、またあるいは自分たちでできることをしっかり関係の期間と連携しながらやっていきたい」
改正案は4月17日まで意見の公募が行われ、その後委員会に再びはかるということです。

浜岡原発の運転差し止め裁判で審理打ち切りに原告が抗議文 裁判官の交代求める

 浜岡原発の運転差し止めを求め15年続いた裁判で、裁判官の和解案を被告の中部電力が拒否したため、静岡地方裁判所は3月19日に審理を終え、10月に判決を言い渡す方針を示しました。それに対して原告は23日、審理が打ち切られたことについての抗議文を裁判所に提出し、裁判官3人の交代を改めて求めました。
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「何のために裁判所は存在しているのか」 浜岡原発の運転差し止め裁判で審理打ち切りに原告が抗議文 裁判官の交代求める
                       テレビ静岡NEWS 2026/3/24
浜岡原子力発電所の運転差し止めを求める裁判で、審理が打ち切られたことについて原告が抗議文を静岡地方裁判所に提出し、裁判官の交代を改めて求めました
運転差し止めを求める裁判は約15年続く一方、浜岡原子力発電所の再稼働の見通しは立っていないため、裁判を続ける意味が問われてきました。
そうした中、和解案を双方に示したところ被告の中部電力が拒否したため、静岡地方裁判所は3月19日に審理を終え、10月に判決を言い渡す方針を示しました。
これに対し原告は23日、審理打ち切りに抗議する声明を提出し、裁判官3人の交代を改めて求めました
原告弁護団・青山雅幸 弁護士:
原子力規制委員会の審査が通らないから「訴えの利益がない」となれば、何のために裁判所は存在しているのかということになる
原告が申し立てた裁判官の交代について決定が出されるまで裁判の手続きは停止されます。

26- 帰還希望54世帯中心に除染開始へ 政府が福島県大熊・葛尾の復興計画認定

 政府は24日、福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、新たに避難指示解除の対象となる「特定帰還居住区域」を追加する福島県大熊町と葛尾村の復興再生計画を認定ました。
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【速報】帰還希望54世帯中心に除染開始へ 政府が福島県大熊・葛尾の復興計画認定
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 政府は24日、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、新たに避難指示解除の対象となる「特定帰還居住区域」を追加する福島県大熊町と葛尾村の復興再生計画を認定した
 認定に伴い、大熊町では新たに帰還を希望する54世帯の宅地を中心とした約130ヘクタールで除染が始まる。葛尾村の追加範囲は約4ヘクタールで、政府は個人特定につながる可能性があるとして世帯数を明らかにしていない。