2026年10月8日木曜日

「信用できない」「仕事をしていない」美浜町議会が関西電力に苦言 配管カバーの取り付けが上下逆…腐食し水漏れ 美浜原発3号機

 美浜原発3号機で9月、配管から水が漏れ原子炉を手動停止したトラブルについて関西電力は7日、美浜町議会の特別委員会に対し、配管のカバーが上下逆だったためすき間が生まれ、そこから雨水が侵入して配管が腐食し穴が開いたと報告しました。
 それに対して委員からは、「ちょっとおかしくないか?16年間気が付かないというのは信用できない」、「これは配管の点検ではなくカバーの点検で、仕事をしていないのと同じ」と厳しい追及の声が上がりました。
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「信用できない」「仕事をしていない」美浜町議会が関西電力に苦言 配管カバーの取り付けが上下逆…腐食し水漏れ 原子炉を手動停止した美浜原発3号機
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美浜原発3号機で9月、配管から水が漏れ原子炉を手動停止したトラブルについて関西電力は7日、美浜町議会の特別委員会に出席して原因や再発防止策を報告しました。委員からはチェック体制の甘さを指摘する声が相次ぎました。
委員会では、関西電力の担当者から配管のカバーが上下逆だったためすき間が生まれ、そこから雨水が侵入して配管が腐食し穴が開いたと説明がありました。
点検は行われていたものの目視点検にとどまり、さらにカバーに上下があるとの認識がなかったことも報告されました。
これに対して委員からは「ちょっとおかしくないか?16年間気が付かないというのは信用できない」「これは配管の点検ではなく、カバーの点検で仕事をしていないのと同じ」と厳しい追及の声が上がりました。
関西電力は「町民に心配を与え、信頼を損ねたことを重く受け止める」とし、再発防止に努めるとしています。

「避難対象となる周辺住民への直接の説明が不足している」浜岡原発のデータ不正問題めぐり市民団体が半径31キロ圏内すべての市町での住民説明会開催を要望

 再稼働をめぐるデータ不正問題などを受けて浜岡原発の周辺住民で作る市民団体が半径31キロ圏内にある全ての市町で住民説明会を開くよう、中部電力に要望書を提出しました。
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「避難対象となる周辺住民への直接の説明が不足している」浜岡原発のデータ不正問題めぐり市民団体が半径31キロ圏内すべての市町での住民説明会開催を要望=静岡・御前崎市
                       静岡放送(SBS) 2026/10/5
■半径31キロ圏内の全7市町で説明会開催を要望
再稼働をめぐるデータ不正問題などを受けて浜岡原発の周辺住民で作る市民団体が半径31キロ圏内にある全ての市町で住民説明会を開くよう、中部電力に要望書を提出しました。
10月5日に中部電力に要望書を提出したのは、浜岡原発から半径31キロ圏内の市町からなる「UPZ市民団体交流会」の関係者らです。 
市民団体は浜岡原発のデータ不正問題などについて「避難対象となる周辺住民への直接の説明が不足している」と指摘し、原発から半径31キロ圏内の7つの市町で、説明会を開催するよう要望しました。

中部電力は10月23日に御前崎市佐倉地区の住民を対象とした説明会を開く予定です。 

中部電力 静岡県の牧之原市議会に謝罪 経緯や再発防止策を説明 議員6人が質問

 浜岡原発をめぐる相次ぐ不正の発覚を受け、中部電力は10月5日 周辺自治体のひとつ静岡県牧之原市の議会に一連の経緯を説明しました。
 これに対して議員からは下記のような質問等が出されました。
・資料にはかなり素晴らしい再発防止策が載っているが、すべて本当に実行できるのか。
・地域の方の不安はかなり大きくなっていて、私も同様な意見。
・この再発防止策の検証をどういったタイミングで行って、その検証に基づいて修正をしていくのか。

 また同議会は東日本大震災が発生した2011年の9月、「浜岡原発の永久停止」を決議しています。決議から15年が経過し、当時の議員は一人もいませんが、現在の原口康之議長は「市議会としてのスタンスは変わらない」と強調します。
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中部電力 静岡県の牧之原市議会に謝罪 経緯や再発防止策を説明 議員6人が質問「実行できる?」「地域の不安大」 掛川・菊川両市にも今後申し入れ
                       テレビ静岡NEWS 2026/10/6
浜岡原発をめぐる相次ぐ不正の発覚を受け、中部電力は10月5日 周辺自治体のひとつ静岡県牧之原市の議会に一連の経緯を説明をしました。
中部電力・豊田哲也 原子力本部長:
不適切な事案を続けて発生させてしまっています。地域の皆さんに多大なるご心配ご迷惑をおかけしていること、心より深くお詫び申し上げます

謝罪から始まった牧之原市の全員協議会。
相次ぐ不正、そして浜岡原発の再稼働に向けた申請取り下げを受け、中部電力の豊田哲也 原子力本部長などが経緯や再発防止策について説明しました。
これに対して議員からは。
議員:
資料にはかなり素晴らしいこと(再発防止策)が載っているが、すべて本当に実行できるんですか
議員:
地域の方の不安はかなり大きくなっていて。私も同様な意見
議員:
この施策(再発防止策)の検証をどういったタイミングで行って、その検証に基づいて修正をしていくのか

質問をしたのは6人でした。
これを受け、中部電力は。
中部電力・豊田哲也 原子力本部長:
関心が高い、我々に対してしっかりやれというメッセージだと受け取っています
中部電力による地元議会への説明は牧之原市のほかに、原発が立地する御前崎市ですでに済んでいて、周辺4市町の掛川・菊川両市にも今後申し入れる予定です。


「すべて本当に実行できるんですか?」データ不正の中部電力が牧之原市議会で謝罪と説明 永久停止決議から15年の市議会は厳しい態度崩さず
                       静岡放送(SBS) 2026/10/5
浜岡原発の再稼働審査をめぐるデータ不正問題を受け、中部電力は原発の地元の一つ・静岡県牧之原市の市議会に対して再発防止策などを説明しました。市議からは信頼回復への覚悟をただす声が上がりました。
<中部電力 豊田哲也原子力本部長>
「地域の皆様に多大なるご心配、ご迷惑をお掛けしていること、心より深くお詫び申し上げます。申し訳ございません」

謝罪から始まった10月5日の牧之原市議会臨時全員協議会。
9月の調査報告書の発表以降、中電による地元の市議会に対する説明の場は原発が立地する御前崎市に次いで設けられました。
<牧之原市 濵崎一輝市議>
「『当社としての反省と決意』という記載があり、資料には素晴らしい対策などが載っていますが、すべて本当に実行できるんですか?」
<中部電力 豊田哲也原子力本部長>
「皆様から『お前たちの信頼はマイナスだ』と言われています。まず、これをゼロまで持っていくことが大事だと思っています。こういった対策を全て、一つずつやっていく」

■「永久停止決議」から15年「その姿勢は全く変わるものではない」
牧之原市議会は浜岡原発に厳しい姿勢を取ってきた経緯があります。
<議場音声>※2011年9月 牧之原市議会浜岡原発の永久停止決議
「賛成の方は起立願います」
牧之原市議会は東日本大震災が発生した2011年の9月、「浜岡原発の永久停止」を決議しています。
「浜岡原発は確実な安全・安心が将来にわたり担保されなければ永久停止にすべき」とする内容です。
決議から15年が経過し、当時の議員は一人もいませんが議長は「市議会としてのスタンスは変わらない」と強調します。
<牧之原市議会 原口康之議長>
「原子力発電所の安全性について、市民の安心安全が確実に守られている。これが(永久停止決議の)前提にありますので、その姿勢は全く変わるものではないということです」
中部電力はこのほか原発の地元にあたる静岡県菊川市、静岡県掛川市の市議会にも説明の場を設ける方針です。

08- なぜ安全審査は長引く? 浜岡原発「10年以上」で見えた“米国との決定的な違い”

 元プレジデント編集長の小倉健一氏が掲題の記事を出しましたので紹介します。
 米国は日本のように最大震度7の地震が多発する地震国ではないので、原発の耐震設計のレベルは当然緩やかです。その点は日本が譲れないところですが、申請書類のあらゆる面において最高度の労力を傾注する仕組みにすべきであるのかについては、米国の合理性を学ぶべき点はありそうです。
 とはいえ浜岡原発の耐震設計基準(基準地震動)の策定における「ごまかし」が論外であることはいうまでもありません。
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なぜ安全審査は長引く? 浜岡原発「10年以上」で見えた“米国との決定的な違い”
                     小倉健一 ビジネス+IT 2026/10/6
 中部電力が9月25日、浜岡原子力発電所3・4号機の再稼動の審査取り下げを原子力規制委員会に提出した。申請から10年以上を経たものの再稼働に至らず、停止の長期化がもたらす同社の収支影響は年間で約2,400億円に上る。同社の不適切な資料作成は当然問われるべきだが、審査はなぜこれほど長期化したのか。元プレジデント編集長の小倉健一氏が解説する。
    【画像付き記事全文はこちら】

年2,400億円の負担…浜岡原発で見過ごせない「論点」とは
 浜岡原発の再稼働が遠のいた──。
 今年9月14日に、静岡県御前崎市にある浜岡原発3・4号機の安全審査申請を取り下げる方針を発表していた中部電力が、同月25日に原子力規制委員会に申請取り下げを提出した。
 4号機の申請は2014年2月、3号機は2015年6月。10年以上の審査を経ても、合計223.7万キロワットの発電能力を使えない。停止が長引く負担を、企業の不祥事という話だけで見ていくのはあまりに近視眼的だ。
 今回、特別調査委員会が示した、浜岡全体の停止による中部電力の収支への影響は年約2,400億円。2025年度の燃料価格を前提とした数字だ。停止中も設備の維持には費用がかかり、電気は別の電源で補う必要がある。
 中部電力は、地震の揺れを計算する手順について事実と違う説明をし、その説明に合う資料を後から作った。社内で問題を指摘する声も是正につなげなかった。資料の修正と、不正を見過ごさない組織への立て直しは、同社の責任であると言える。改革と再稼働の準備を並行して進めるべきだ。
 ただ中部電力を断罪するのは簡単だが、それに加えて考えるべき問題もある。それは行政の動きだ。この点については、海外の実例と調査委員会の報告書にヒントがある。

日本と何が違う? 米国が原発審査で重視する“ある視点”
 米国の原子力規制委員会(NRC)の「良い規制の原則」は、同じ安全上の効果なら少ない費用や手間で済む方法を選び、判断を不当に遅らせないとしている。納税者や電気料金を払う消費者も、その利益を守る対象に挙げている。
 米国の連邦規則10 CFR 50.109は、既存原発に対策を後から追加する「バックフィット」の手続きを定める。必要な安全水準の確保や、既存のルールを守らせる是正は、費用を理由に免除しない。その水準を上回る対策には、大きな安全上の効果と、費用に見合う理由を行政が示す。設備の停止や工事の遅れによる費用も含めて検討する。
 国際原子力機関(IAEA)も、危険の大きさに応じた審査を求める。NRCは事故の起きやすさと被害の分析を、不必要に厳しい要求の見直しにも使う。日本でも、要求する行政の判断が検証されなくてはいけない。「行政だけは誤りを起こさない」という前提は捨てるべきだろう。

条件変更で生じる「重すぎる」現場負担
 たとえば、特別調査委員会による報告書には、「数字の上乗せ」とも見受けられる保守的な条件設定が、現場の仕事を増やした経緯の記載がある。
 原発の耐震性は、コンピューターで地震の揺れを作り、設備への影響を調べる。この計算用の揺れが「模擬地震動」だ。先に審査を受けた別の電力会社は、地震規模を示すマグニチュードの計算結果から、6.9を使っていた。
 2022年1月14日、規制側は、揺れが何秒続くかを決める計算には「少なくともマグニチュード7.0」が適切だと指摘した。これを知った中部電力の担当者は、同日のメールに「残念ながら、浜岡も模擬波は作成し直しになると思います」と書いた。浜岡でも7.0による計算を行うことになった。
 実は、浜岡で以前の計算に用いた入力値を利用して7.0の揺れを作ったが、比較用の基準を上回り、その候補は採用されなかった。そこで横揺れ14種類、縦揺れ2種類をさらに作成した。揺れを弱める免震設備の確認計算にも作業は及んだ。
 こうした規制側の指摘によって、現場には追加の計算や確認作業が生じた。条件をより保守的に変更するのであれば、その技術的根拠や安全上の意味を、規制側も明確に説明する必要があるのではないか。

反論が難しい?原発審査に潜む「構造問題」の正体
 要求に異議がある場合の仕組みも弱い。
 浜岡の近くに想定された「A-17断層」を地震の想定に加え、地震が起きる範囲の上端を地下5キロメートルとする条件について、中部電力は規制側に反論した。最後は審査の長期化を恐れて条件を受け入れたと、報告書は記す。審査内容を第三者が改めて検証する仕組みがないとも指摘している。科学的な判断が、電力会社の待てる時間に左右されるのは、制度的に欠陥があるように映ってしまう。
 提出資料の確認でも、計算の真実性は電力会社への信頼に頼っていたと報告書は指摘する。元のデータから計算をたどり、虚偽を見つける作業に人と時間をかけるべきではないだろうか。
 筆者が批判する「ゼロリスク思考」とは、危険を完全には否定できないことを理由に要求を重ね、判断の終わりを曖昧にする姿勢である。地下深くの現象を完全に知ることはできない。得られたデータから必要な安全水準に達したかを判断するのが行政の仕事だ。「安全のため」という説明で、作業のムダや審査の遅れまで不問に付すのは合理的ではない。
 停止中も家庭や工場には電気が要る。政府には、原発の危険とともに、代わりの電源の費用や燃料調達の不安を考える責任がある。停止を続ける負担も、政策判断から外せない。
 日本の地震を日本のデータで評価しながら、諸外国の審査の進め方を学べばよい。規制委員会の独立性は、追加作業の効果や費用について説明しなくてよい理由にはならない。

米国では原発推進、国内では慎重…この「温度差」はなぜ?
 赤沢亮正経済産業相と経産省の対応は、国内外で「二重基準」に見受けられる。
 今年3月19日、赤沢氏も米国で出席した日米首脳会談では、米国の発電所建設を進める方針が示された。テネシー州とアラバマ州では、小型の原子炉を使うSMRの事業が最大400億ドル。ガス火力はペンシルベニア州で最大170億ドル、テキサス州で最大160億ドル。いずれも推定事業規模である。
 共同発表は、SMRで米国の電力価格を安定させると説明する。米国政府が、法令に従って必要な規制手続きを迅速に進める方針も明記した。日本政府は、米国では原発の価値と、建設を前へ進める大切さを認めている。
 その赤沢氏は同年9月15日、浜岡について、安全性を確保できるとの確信が得られない限り、軽々に再稼働を議論するのはいかがなものかと述べた。前日に申請取り下げを決めた中部電力は、改革を進めて再申請を目指している。
 もちろん、安全確認を省いて運転を始めるという話ではないが、一連の流れを見ると赤沢氏の発言には疑問が生じる。米国の原発投資では手続きの迅速化まで掲げながら、国内では再申請を目指す電力会社に苦言を呈する。この姿勢では、日本の電力供給を改善するという経産相の仕事が進まない。
 個別の安全判断は規制委員会が担う。経産相には、審査が合理的に進む制度上の課題を検討することが求められる。たとえば、電力会社と規制側の見解が割れた問題を、別の専門家が検証する手続きを設けることだ。電力会社を叱るばかりで、行政の進め方を見直さないのでは不十分ではないだろうか。

再稼働の行方はどうなる? 浜岡改革で問われる「次の一手」
 政府と電力会社は、再申請までに修正する資料と、再申請後に審査を始める条件を明らかにし、担当部署ごとの予定を公表すべきだ。遅れの理由を説明する責任は双方にある。安全上の効果に乏しい作業や、理由のない確認の繰り返しに人と時間を費やす余裕はない。
 浜岡の運転員は、停止中も運転を再現する装置で、故障や地震、津波への対応を訓練している。長い停止期間にも技術を保ってきた人々の努力は、再稼働によって生かしてほしい。社内で問題を指摘した人が、安心して声を上げられる職場に変えることも大切である。
 中部電力の資料と組織を立て直し、規制行政の課題を徹底的に見直したうえで、必要な補強と安全確認を終える。浜岡を再稼働させることを、改革の目標に据えたい。謝罪や辞任で区切りをつけても、設備を使えない状況は変わらない。
 エネルギーを他国に依存する日本の脆弱性は、米国のイラン攻撃を通しても浮き彫りにされた。弱点がわかっているのに、前に進めない、後ろ向きの決断ばかり、というのでは日本の原発行政が絶望的な停滞をしていることを示唆しているように見える。
 浜岡で電気の供給ができる状態へ戻すまでが、政府と電力会社に残された仕事である。

2026年10月5日月曜日

「福島の事故と同じことを繰り返されたら…」研究者らが中部電力前会長らを刑事告発した理由(詳報)

 浜岡原発の再稼働に必要な国の審査において、地震の想定に関するデータを改ざんしていた問題で、研究者や市民団体の代表ら9人が9月29日、中部電力の幹部らが国の審査業務を妨害したとして、偽計業務妨害罪で東京地検に刑事告発した件について、弁護士JPニュースに告発した理由等が掲載されましたので、詳報として紹介します。
 本件について告発者らは、中部電のトップが不正な操作であることと承知しながら、表面上は承知していないことを装うなど悪質であると断定しています。
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浜岡原発データ改ざん「福島の事故と同じことを繰り返されたら…」元設計者・研究者らが中部電力前会長らを刑事告発した理由
                       弁護士JPニュース 2026/10/2
中部電力が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の再稼働に必要な国の審査において、地震の想定に関するデータを改ざんしていた問題で、研究者や市民団体の代表ら9人が9月29日、中部電力の幹部らが国の審査業務を妨害したとして、偽計業務妨害罪で東京地検に刑事告発した。
   中部電力が発表した再発防止の施策(中部電力ホームページ)
告発されたのは、9月30日付で辞任した勝野哲会長(告発時点)と、氏名不詳の役職員ら数名。告発状によると、被告発人らは浜岡原発3、4号機の新規制基準適合性審査を早期に完了させる目的で、基準地震動(※)の評価に関するデータを人為的に操作し、改ざんしたデータを原子力規制委員会や原子力規制庁に提出することで、適正な審査業務を妨害した疑いが持たれている。
   ※原子力施設の耐震設計において基準となる、敷地周辺で発生しうる最大の地震の揺れの大きさ
告発人らは9月30日に記者会見を開き、強制力のある捜査によって事件の全容を解明する必要性を訴えた。

刑事告発の対象となる行為と、経営者の責任
告発状によると、被告発人らの行為は刑法233条の偽計業務妨害罪にあたる。妨害された業務は、原子力規制委員会による原発の新規制基準への適合性審査である。
問題となり得る行為は16類型に整理されている。
具体的には、被告発人らは、多数の計算結果の中から自社に都合の良いデータを人為的に選んだり、その不正を隠蔽するために後からバックデータを作成・加工したりしていた。これらの不正は2014年以降、長期間にわたって組織的に行われていたとされる。
告発人らは、一連の不正行為を了承し、隠蔽を指示したとして、当時の代表取締役社長であった勝野哲氏を「共謀共同正犯」として告発。共謀共同正犯とは、犯罪を直接実行してはいないが、主導的役割を果たすなど、自ら実行したと同視でき、正犯としての責任を負うものをいう。
実際に不正行為を実行した担当者らについては、告発状では「氏名不詳」としている。この点について、告発代理人らは、調査報告書で匿名とされているからであり特定は容易だとしている。
告発人には、総合研究大学院大学名誉教授の池内了氏、龍谷大学政策学部教授の大島堅一氏、元東芝の原子炉格納容器設計技術者である後藤政志氏、福島原発告訴団団長の武藤類子氏、原子力資料情報室共同代表の松久保肇氏ら、専門家や各地で活動する市民団体の代表が名を連ねている。

なぜ刑事告発に踏み切ったのか
9月30日の記者会見で、告発代理人の河合弘之弁護士は、今回のデータ捏造事件が「原発の安全の基礎を揺るがす大変な事件」であると指摘。これまでの第三者委員会などによる調査は、家宅捜索や逮捕といった強制力を持たず、「非常にまだ手ぬるい状態」だとし、「強制力のある刑事手続きをもって責任追及されなければならない」と告発の意義を語った。
同じく代理人の海渡雄一弁護士は、中部電力の組織的な問題を厳しく批判した。
海渡弁護士は、社内の内部通報制度「ヘルプライン」への通報をきっかけに、法務部や代理人弁護士から「不正にふたをしてはいけない」との意見が出たにもかかわらず、当時の社長自身が隠蔽を指示した点が極めて重要だと強調。「全容を解明するには、きちんとした捜査権限を持った捜査機関によって真実が明らかにされるべきだ」と述べた。
また、告発状の起案を担当した北村賢二郎弁護士は、不正の原因について、中部電力の組織体質にまで言及した。
「福島第一原発事故という大きな教訓がありながら、南海トラフ巨大地震のリスクを抱える浜岡原発で不正を働き、さらに『規制委員会は無理難題を言っている、自分たちがやっていることは正しいんだ』という認識を、担当者だけでなく組織として共有していた」
今回の刑事告発で主導的な役割を担った、原子力資料情報室の共同代表である松久保肇氏は、今回のデータ不正が中部電力に限らず、他の電力会社でも起こりうる潜在的な問題だと指摘した。
その上で、刑事告発の意義について、電力会社だけでなく委託先への調査も不可欠であり、「強制捜査権を持った検察が調査することが非常に重要だ」と訴えた。

それぞれの立場から刑事責任追及の重要性を主張
告発人らはそれぞれの立場から、事件の重大性を訴えた。

■研究者として:大島堅一氏(龍谷大学政策学部教授、原子力市民委員会座長)
「これは研究不正に相当する。研究不正は研究者にとって死刑宣告に近い」
大島氏は、単なる研究不正と異なり、人の命や環境、日本の大動脈たる交通網にまで影響を及ぼしかねない浜岡原発で不正が行われたことの重大性を指摘。「事故が起こってもいいと判断したとしか思えず、研究者として本当に許しがたい」と、告発に加わった理由を語った。

■元原発技術者として:後藤政志氏(元原子炉格納容器設計技術者)
東芝の技術者としてかつて浜岡原発3、4号機の設計にも関わった後藤氏は、「耐震設計の数字というのは設計するための前提条件なので、それが間違っていたら、原発は設計も施工もできないし、してはいけない」と強調した。
技術者として福島第一原発事故を防げなかった後悔に触れ、「福島の事故とまた同じことを繰り返されたら、とてもたまらない」と思いを語った。

■地元住民として:沖基幸氏(浜岡原発を考える静岡ネットワーク事務局長)
浜岡原発から至近の場所で生まれ育ったという沖氏は、長年の活動経験から「当初からこれどう考えても犯罪だよな、という気持ちが私の中にあった」と述べた。「国、原子力規制委員会側はやる気はない。そういう意味で非常に危うさを感じて、今回の行動に出た」と訴えた。

■市民運動の立場から:矢部史郎氏(浜岡原発やめて! 緊急アクション実行委員)
矢部氏は、内部告発を行った技術者・労働者へ敬意を表し、この件についての責任追及へ向けての決意を述べた。
「一人の良心を持った人間が、腐敗した電力会社経営に対して強い一撃を加えた。私たちはこの行為に応えるべく、この機会に浜岡原発を廃炉に向けていくような世論を作り、圧力を強めていきたい」

事件の核心と今後の捜査の焦点
告発人らは、今回の事件が単なる現場担当者による逸脱行為ではなく、経営陣が主導した組織的な犯罪であるととらえ、その点を重視している。
河合弁護士は、勝野氏が不正を了承した際に「責任逃れ」を行ったと指摘。告発状によると、勝野氏は外部の専門家の意見を聞くことを条件に不正な方針を了承したが、実際にはその条件が履行されたかを確認していない。これは「トップが不正なことを指示する際に(責任を免れるために)よくやる手法だ」と解説した。
また、河合弁護士は、不正の動機が、再稼働で得られる利益にあったと推測する。
「大型の原子炉を1日1基動かすと1日3億ほど燃料費が浮く。ウラン燃料は化石燃料より著しく安価だからだ。利益のために何がなんでも稼働したいからこういうことをやる」
さらに、河合弁護士は、本来の計算方法であれば、基準地震動は現在想定されている1200ガルをはるかに超える数字が出たはずだと指摘する。
「正しく計算して1200ガルに収まるならば、不正をやる必要はない。正しいデータに基づいて計算されていたらとんでもない数字が出た可能性がある。本来どのような数字が出るはずだったのか、メディアが追及してほしい」

告発人らは、本件が大規模かつ複雑な企業犯罪であるとして、東京地検特捜部での捜査を求めており、検察の今後の対応が注目される。 

「膨大な追加解析で整理が追いつかなかった」志賀原発2号機の審査会合提出資料ミス

 北陸電力は原子力規制委員会に提出した津波の想定に関する資料に216か所もの記載の誤りがあったことについて、最大高さを見直しの過程で、新たに176ケースにわたる解析データが追加されため、膨大な追加解析で整理が追いつかなかったなどと説明しました。
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「膨大な追加解析で整理が追いつかなかった」志賀原発2号機の審査会合提出資料ミス 北陸電力が原因説明
                        KNB北日本放送 2026/10/2
北陸電力は原子力規制委員会に提出した資料に216か所もの記載の誤りがあったことについて、膨大な追加解析で整理が追いつかなかったなどと説明しました。
この誤りは北陸電力が今年6月に開かれた志賀原子力発電所2号機の審査会合に向けて提出した、津波の想定に関する資料で見つかったものです。
この資料で北陸電力は原発周辺の断層が連動した場合の津波の想定を、おととしの能登半島地震などを踏まえて見直しました。
その結果、津波の高さを従来の「最大7.1メートル」から5メートル余り引き上げ「最大12.66メートル」とするなど、修正しました。
ただ、この修正にあたり、北陸電力が提出した資料に216か所の記載の誤りがあり、規制庁から「200か所以上のミスは普通ではない」などと厳しい指摘を受けていました。
きょうの会合で北陸電力は誤りが起きた原因について、見直しの過程で新たに176ケースにわたる解析データが追加されため整理が追いつかず、人員や作業管理も不十分だったと説明しました。
ただ、それ以前に提出した審査資料には誤りがないことを確認したとして、再発防止に努めるとしました。


志賀原発2号機の再稼働審査資料に216か所の記載ミス問題 北陸電力 規制委に原因など説明
                       テレビ金沢NEWS 2026/10/2
志賀原発2号機の再稼働審査を巡り、北陸電力の作成資料に200か所以上の記載ミスがあった問題で、北電は2日、原子力規制委員会に原因などを説明しました。規制委員会側は、準備が不十分な場合は提出を控えるよう指摘しました。
■原子力規制委員会・山岡 耕春 委員:
「非常に忙しい中で仕事をしていたのだろうということは、容易に想像できます」「必要な時は勇気をもって(提出を)引き返すと」
北陸電力の記載ミスは216か所に及び、志賀原発2号機で想定される津波の高さや断層の長さなど、安全性の根幹に関わる数値も間違っていました。
今年6月の会合で、規制委員会側は「普通ではない」「審査を急いでいるのではないか」などと厳しく注意した上で、原因の究明を求めていました。
2日の会合で北電側は、能登半島地震で原発周辺の断層評価が見直され、新たに176ケースのデータ解析が追加されたことなどにより、チェック体制に不備が生じたと説明しました。
今後は、膨大なデータをさみだれ式に処理するのではなく、整理・統合した上で厳重にチェックを行い、資料などに転記するとしました。
これに対し、規制委員会側は再発防止の徹底を求めるとともに、準備が不十分な場合は資料を提出しないよう指摘しました。
■原子力規制委員会・山岡 耕春 委員:
「『すみません、ちょっと…』と言ってもらえれば、こちらはヒアリングを延期するとか、いろいろ柔軟な対応はできる」「今後、ひょっとしたら、また何かあるかもしれませんので」
志賀原発2号機の再稼働審査は、今回の問題を受けて中断されていましたが、早ければ11月中旬にも再開される見通しです。

運転中の高浜原発1号機でトラブル 安全弁の温度上昇を確認、関西電力

 運転中の高浜原発1号機で、加圧器の安全弁の温度が通常よりも高くなるトラブルが発生し、関西電力はこのまま温度上昇が続けば、原子炉を手動停止する可能性もあるとしています。
 安全弁の出口側の温度は通常は50度程度であるべきところ、3日午前5時時点で最大およそ67度まで上昇し、その後はおよそ66度で推移しているということです。
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【速報】運転中の高浜原発1号機でトラブル 安全弁の温度上昇を確認、関西電力 さらに上昇続けば手動停止の可能性も 水漏れなどなく現時点で環境への影響なし
                         FBC 福井放送 2026/10/3
運転中の高浜原発1号機で、加圧器の安全弁の温度が通常よりも高くなるトラブルが発生し、関西電力はこのまま温度上昇が続けば、原子炉を手動停止する可能性もあるとしています。
関西電力によりますと、2日午後8時半ごろ、高浜原発1号機で、加圧器の圧力を逃がす安全弁の出口側の温度が上昇していることを確認したということです。通常は50度程度であるべきところ、3日午前5時時点で最大およそ67度まで上昇し、その後はおよそ66度で推移しているということです。
関西電力は再び温度の上昇が見られた場合、社内の基準に照らして原子炉を手動停止する可能性もあるとしています。
なお、問題の弁の先にはタンクが設けられていて、放射性物質を含む冷却水の外部への流出はなく、周辺環境への影響もないとしています。関西電力は引き続き監視を強化するとともに、トラブルの原因を詳しく調べる方針です。
高浜原発1号機は1974年11月に運転を開始し、現在も運転中の原発としては、国内で最も古い原発となっています。