2020年4月30日木曜日

福島原発、排気筒高さ半分に切断作業が完了

 東電は29日、福島原発1、2号機の共用排気筒の上半分を切断し、約60mの高さにする作業を完了しました。排気筒の支柱の中央部の複数個所が破断し強度を失っていたのですが、そこから地上までは健全なので倒壊する危険はないとの判断からです。
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お知らせ
都合により5月~7月の間、記事の更新が14:00前後になります。ご了承ください。
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東京電力 福島第一原発 排気筒の切断作業 約9か月かけて終了 
NHK NEWS WEB 2020年4月29日
東京電力福島第一原子力発電所の汚染された排気筒を23回にわたって切断する作業が、およそ9か月をかけて29日、終了しました。
福島第一原発の1号機と2号機の間にある、事故で汚染された高さ120メートルの排気筒について、東京電力は、去年8月から半分の高さまで解体する作業を進めてきました。
排気筒は遠隔作業を中心に23回に分けて切断され、29日午前3時前に最後のブロックの切断が終わり、計画どおり高さおよそ60メートルになりました。このあと、雨水が入るのを防ぐために排気筒の先端部分にふたを設置し、早ければ1日にもすべての作業が完了する予定です。

これまでの作業では切断装置の刃が想定より早く摩耗したり、抜けなくなったりするなどのトラブルがあり、作業の終了は当初の予定よりも1か月遅れました。
作業を請け負った福島県広野町にある建設会社「エイブル」の目黒英二主任は「思いどおりにいかず苦しんだ事もあったが、やっとここまで来たなという思いだ。原発の外から見えていた排気筒が見えなくなったことで、県内外の人に廃炉が進んだと実感してもらえたらと思う。今回の解体作業で得た知識や技術を生かし、ほかの廃炉作業でも力になりたい」と話していました。


福島第1原発1、2号機 排気筒切断を完了
河北新報 2020年04月30日
 東京電力は29日、福島第1原発1、2号機共通排気筒の上半分の切断作業を終えた。地震による倒壊リスクを減らすため、昨年8月から9カ月間をかけて120メートルの排気筒を半分の高さにした。
 29日は23に分けた排気筒の最後のブロックを専用装置で輪切りにし、クレーンで慎重に地面に下ろした。
 排気筒は原発事故時、放射性物質を含む蒸気を外部に放出するベントの際に使用された。近接する原子炉建屋とともに、事故を象徴する構造物として残った。
 排気筒の下側59メートルは耐震性に問題がないとして当面残し、優先度の高い他の工程を進める


東電 排気筒 上半分を切断 福島第一原発1、2号機
福島民報 2020/04/30 
 東京電力は二十九日、福島第一原発1、2号機の共用排気筒(約百二十メートル)の上半分約六十メートルを切断する作業を完了した。 
 排気筒の上部を約三メートルずつ二十三の工程に分けて輪切りし、地上に下ろした。最終の第二十三工程は二十六日の作業開始から大きなトラブルはなく、作業を終えた。 
 排気筒上部の解体作業は五月一日に全て完了する見通し。下部は二〇二三(令和五)年以降に撤去する予定。 
 国や東電は、復興に向けて廃炉作業への地元企業の参画を掲げており、今回の解体は大熊町の発電所保守管理会社「エイブル」が作業を担当した。

30- 定期検査の作業員 事前に2週間の自宅待機

原発定期検査の作業員 事前に2週間の自宅待機要請 福井県 
NHK NEWS WEB 2020年4月28日
原子力発電所で行われる定期検査には全国から多くの作業員が集まることから、福井県は新型コロナウイルスの感染対策として、県外からの作業員に対して事前に2週間自宅で待機することを関西電力に求めました。
8基の原発が立地する福井県では、来月8日から関西電力大飯原発3号機で年1回程度の頻度で実施が定められている定期検査が始まり、およそ1800人の作業員が従事する予定です。

このうち半数近くは県外から集まることから、福井県の杉本知事は28日、新型コロナウイルスの感染対策として、県外の作業員は作業に入る前に2週間自宅で待機することを関西電力に求めたことを明らかにしました。
作業員の多くは業務を請け負う多数の協力会社が雇用しています。
関西電力では前向きに対応したいとしていて、具体的にどう検査を進めるか協力会社と検討するとしています。

2020年4月29日水曜日

柏崎原発 コロナ感染防止で工事を8割中断 

 東京電力新潟本社は27日、柏崎市在住の東電社員やその家族で新型コロナウイルス感染が相次いだことを受け、柏崎刈羽原発での工事のうち8割を同日~510日の間中断するなどの感染拡大防止対策を発表しました。
 なお、東電は感染が確認された社員4人のうち、新潟本部所属の2人が柏崎市内の事業所の同じ部屋で働いていたことを明らかにしまし。これまでは独自の感染と理解されていました。
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柏崎原発工事、感染防止で8割中断 東電 社員陽性受け追加対策
新潟日報 2020/04/28
 東京電力新潟本社は27日、新潟県柏崎市在住の東電社員やその家族で新型コロナウイルス感染が相次いだことを受け、柏崎刈羽原発での工事のうち8割を中断するなどの感染拡大防止対策を発表した。同日~5月10日の間、実施する。7号機の安全対策工事については「12月の完了予定に影響はない」とした。

 東電はこれまでも、社員に対し県外への業務上の往来を原則禁止するなどしてきたが、新たに工事中断を対策に追加した。現在行っている約600件のうち、法定上必要な工事など約120件を除いていったん止め、作業員を7割減らして1300人とする。
 原発に出入りする協力企業50社にも、県外との往来を禁止するなど行動自粛を求め、外出する場合は行動記録を残すよう要請した。
 27日に記者会見した東電新潟本社の橘田昌哉代表は「地元の方々に心配をかけ、心からおわびする」と陳謝。感染が確認された社員4人のうち、新潟本部所属の2人が柏崎市内の事業所の同じ部屋で働いていたことを明らかにしたが、「感染経路について新たに分かったことはない」とした。

 また、県内で勤務する社員1200人の行動履歴を把握するアンケート調査を行っていることも明らかにしたが、結果は公表せず、感染者が出た場合に保健所へ情報提供するとした。 

福井の各原発「コロナ終息まで安全対策工事中止を」反原発団体、関電に要望

 福井県内にある関西電力の美浜、大飯、高浜の各原発では合計9000人以上の社員や作業員らが集まり安全対策工事などを進めています。
 関西の反原発7団体は28日、関西電力に対し感染拡大の終息までは安全対策やテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の工事中止や運転中の原発の停止を求める要望書を提出しました。
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福井の各原発「コロナ終息まで安全対策工事中止を」反原発団体、関電に要望
毎日新聞 2020年4月28日
 福井県内にある関西電力の美浜、大飯、高浜の各原発で9000人以上の社員や作業員らが集まり安全対策工事などを進めるのは新型コロナウイルス感染拡大の恐れがあるとして、「若狭連帯行動ネットワーク」や原発反対福井県民会議など関西の反原発7団体は28日、関西電力に対し、感染拡大の終息まで工事を中止することなどを求める要望書を提出した。関電側は「要望があったことは社内で共有する」と話した。

 この日、同県の松下照幸・美浜町議や坂上和代・小浜市議らが関電原子力事業本部(同町郷市)を訪れ、「無症状の人も感染の可能性があり、県民は切実に心配している」「命と安全を守ることを最優先に」などと訴えた。要望書は、感染拡大の終息までは安全対策やテロ対策施設「特定重大事故等対処施設(特重)」の工事中止や運転中の原発の停止を求めた。 
 松下町議は「下請けなどの協力会社から感染者が出れば、仕事ができなくなるので隠蔽(いんぺい)する圧力が働く。工事中止が最良だが、それができなくても、感染者が出た場合は関電が休業補償するなど正確な情報が流れるようにするべきだ」と指摘した。 
 関電によると、現在、特重工事や安全対策工事が重なる高浜原発では約4500人が働く。大飯原発は約1800人が働くが、5月8日から始まる予定の定期検査では人数が最大2倍の約3600人となる。感染対策では、マスク着用や消毒の徹底▽全作業員が検温、体調、県外行きの有無などのチェックシート提出▽バス乗車時の間隔を維持し、当直の運転員は別便に▽原発によっては私語厳禁の措置――などをしているという。【大島秀利】 

29- 福島原発 約10の建物で劣化進む 放射能漏えい防止設備も3万カ所以上不足

 廃炉作業が進む福島第一原発では、およそ10の建物が著しく劣化し、地震などで壁や構造物が落下して作業員がけがをするおそれなどがあることが分かり、東京電力は対策を検討することになりました。
 また構内の設備や機器34万か所を調べた結果、放射性物質の漏えいを防ぐ設備と検知器が、いずれも備えられていない箇所が3万6000か所あることが明らかになり対策を検討することになりました。
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廃炉作業にリスク 福島第一原子力発電所 約10の建物で劣化進む 
NHK NEWS WEB 2020年4月27日
廃炉作業が進む福島第一原子力発電所では4号機の原子炉建屋を含めた、およそ10の建物が9年前の津波や水素爆発の影響で劣化が著しく進み、地震などで壁や構造物が落下して作業員がけがをするおそれなどがあるとして、東京電力は対策を検討することになりました。

福島第一原発では去年、排気筒の鉄製の足場が腐食で落下するなど、設備の老朽化が課題となっていて、東京電力では原発構内にあるおよそ580の建物の劣化の程度を評価し27日、原子力規制委員会の会合で報告しました。
それによりますと4号機の原子炉建屋、その南側にある廃棄物関連の建屋など、およそ10の建物が9年前の津波や水素爆発の影響もあって劣化が著しく進んでいるとしました。
これについて原子力規制委員会は、地震の揺れなどで壁がはがれ落ちたり構造物が落下したりして作業員がけがをするなど、廃炉作業にリスクがあるとしています。
東京電力では来月末までに対策と実施時期を明らかにする方針です。

また、構内の設備や機器、34万か所を調べた結果、放射性物質の漏えいを防ぐ設備と検知器が、いずれも備えられていない箇所が3万6000か所あることが明らかになり対策を検討することになりました。

2020年4月28日火曜日

電事連が原発防護服10万枚を医療機関に

 電事連電気事業連合会は27日、各電力が原発で備蓄している防護服約10万枚を、全国の医療機関などに提供する準備を進めていることを明らかにしました。
 喜ばしいことですが、出来ればもっと早く取り組んでいたら医療機関は大いに助かったのにと思われます。
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原発防護服10万枚を医療機関に 電事連、提供に向け準備進める
共同通信 2020/4/27
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大手電力会社でつくる電気事業連合会は27日、各電力が原発で備蓄している防護服約10万枚を、全国の医療機関などに提供する準備を進めていると明らかにした。経済産業省の要請を受けた対応で、提供方法などを検討している。
 各原発には事故などに備え、放射性物質の付着を防ぐ防護服を備蓄している。最低限必要な分を確保した上で、提供可能な数を各電力が精査しているという。
 北陸電力は、運転停止中の志賀原発(石川県)の防護服を富山、石川、福井各県に寄贈すると発表。富山、石川両県には各3千着を、福井県には関西電力と1500着ずつを出し合う

関電に情報開示の徹底を提案 大阪市

 関電の筆頭株主である大阪市は、6月に予定されている株主総会に、経営や事業に関する情報開示の徹底などを求める9議案を関電に提出するということです。
 提案はこれまでより表現を強め、項目も追加しました。
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関電に情報開示の徹底を提案 金品受領、報酬補填巡り大阪市
共同通信 2020/4/27
 関西電力の筆頭株主である大阪市は27日、6月に予定されている株主総会を前に、経営や事業に関する情報開示の徹底などを求める9議案を関電に提出すると明らかにした。金品受領問題や東日本大震災後の赤字で削減していた役員報酬を退任後に補填していたことを踏まえ、これまでより表現を強め、項目も追加した
 大阪市は東電福島原発事故後の2012年から脱原発などを要望しており、提案は9回目。いずれも否決されている。今回の議案の一部は京都市と神戸市も含めた3市で提案した。神戸市が加わるのは8年ぶり。取締役退任後の報酬額情報を個別に開示することなどの定款明記を求めている。

28- 東電社員2人が新型コロナウイルスに感染

 東電の社員2人が新型コロナウイルス感染したことが分かりました。1人は50代の男性で東電新潟本部勤務、もう1人は30代の男性社員で柏崎刈羽原発に勤務していました。 
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柏崎の陽性1人は東電社員
新潟日報 2020/04/25
 新潟県は25日、新型コロナウイルスの感染者が新たに1人確認されたと発表した。判明したのは柏崎市の50代会社員男性で、東京電力によると、新潟本部所属で、同市の事業所に勤めている。柏崎刈羽原発では勤務しておらず、4月以降は入構していない。県内の感染者は計66人となった。

 県によると、男性は11、12の両日に山梨県に帰省していた。14日に38度台の発熱があり、自宅療養していた。15日にはせきの症状が出た。せきが続いたため、17、19の両日に帰国者・接触者相談センターに連絡した。24日には、感染が22日に確認された同じ職場の50代男性と接触していたことが分かり、PCR検査をした結果、感染が判明した。

 東電によると、男性は原発事故時の避難支援業務を担当。事故が起きても、原発構内に立ち入る担当ではないという。13日は出社し、14日の出社後に体調不良を訴え、午後に帰宅した。

 県によると、男性の感染経路は不明で、濃厚接触者数は13人。東電は、13人のうち11人が東電関係者で、うち1人は22日に感染が分かった男性であることを明らかにした。 


【速報】柏崎で陽性1人確認、原発勤務
新潟日報 2020/04/24
 県は24日、柏崎市で新たに1人の新型コロナウイルス感染者が確認されたと発表した。30代会社員男性で22日に陽性が確認された同市の40代無職女性の濃厚接触者。東京電力によると2人は夫婦で、男性は柏崎刈羽原発に勤務している。 

2020年4月27日月曜日

「トリチウム水処分」にも新型コロナの影響 国と地元で深まる溝

 福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の扱いを巡り、国新型コロナウイルス感染拡大のなかで説明会の開催を強行し結論を急いでいますが、地元では違和感をもって捉えられています。
 国は、今夏中に結論を出さないと22年以満杯になり、準備期間を見ると間に合わないからという論法ですが、それは初めから分かっていたことで理由にはなりません。
 原発内にはいくらでも空き地があるので、結論が得られるまでの間をしのぐための新しい貯蔵タンクヤードを作ればいいだけの話です。
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「処理水」にも新型コロナ影響 国と地元・福島...一層深まる溝
福島民友 2020年04月26日
 東京電力福島第1原発で増え続ける、放射性物質トリチウムを含んだ処理水の扱いを巡り、新型コロナウイルス感染拡大の影響で国と地元の溝が一層深まっている。
 2年後とされる処理水の貯蔵タンク容量の限界を見据え、国は今夏にも処分方針を決めたい意向で、今後、県外でも関係者の意見を聞く場を設ける考え。一方、地元は緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大され、事態の収束も見通せない中、国民の関心は高まらないとして、結論を急ぐように映る国の姿勢を危ぶむ
 
◆◇◇密集のリスク
 対象地域の拡大に先立つ13日、国は福島市と富岡町で関係者から意見を聞く2回目の会合を開いた。座長の松本洋平経済産業副大臣らは感染拡大防止を理由に会場に現れず、東京都内からテレビ会議を使って2会場に集った浜通りの市町村長ら計12人から意見を聞いた。「延期の選択肢はなかったのか。地元に密集のリスクを負わせてまで開いた会合。スケジュールありきだと勘繰ってしまう」。双葉郡のある自治体関係者は苦言を呈した。
 東電の保管計画では2022年夏にも貯蔵タンクの容量が満杯になる。仮に海か大気中への処理水の放出が決まった場合、原子力規制委員会の許認可や準備工事に2年程度かかる見込みで、逆算すれば今夏が期限と想定される。報道陣から、感染拡大の中で会合を開いた理由を問われた松本氏は「タンク容量の問題もあり、どこかで一定の結論を得ないといけない状況」と強調した。その発言からは今夏を念頭にした処分方針の決定に向け、意見集約を急ぎたい思惑が透けて見えた。
 
◇◆◇視聴数伸びず
 会合の様子は国民の関心を高める狙いで動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信されたが視聴回数は23日までに福島市の会場が約800回台、富岡町の会場が600回台と伸びなかった。国の小委員会で処分方法を検討してきた福島大食農学類の小山良太教授は「関心の低さの表れ」と分析した。
 処理水の処分方法を巡っては、新たな風評を生まないためにも全国的な理解が必要となる。小委員会は2月にまとめた処分方法に関する提言で、方針決定の前に幅広い関係者の意見を丁寧に聞くよう国に求めた。会合は提言を踏まえて開かれたが、小山教授は「緊急事態宣言が出される状況の中で、(処理水に関する)報道の情報量も少なく世間で話題になっていない。関心が高まらないまま議論を進め、仮に放出を決めたとしても国民からは『聞いていない』の一言で一蹴される」と指摘した。
 
◇◇◆若い世代にも
 また、テレビ会議を使った運営方法について「出席者が(事前にまとめた)意見を述べただけだった。国側の表情も反応も分からず、意見の背景を掘り下げるやりとりもない。アンケートを取るのと変わらない」と疑問視した。国民的な議論を深めるために「少なくとも緊急事態宣言の解除後、各組織の代表だけでなく将来を担う若い世代にも意見を聞く場を設けるべきだ。韓国など諸外国の理解を得る努力も重要」と提言した。
 国は新型コロナウイルスの影響の動向を見極めながら、処理水の問題を国民的な関心事に位置付けられるかどうか。地元は注視している。

福島汚染水 拙速な議論は戒めたい(北海道新聞)

 北海道新聞が、福島原発のトリチウム汚染水の処分に関して、政府が新型コロナウイルスの感染が拡大する中で意見の聴取を強行することに対してスケジュールありきでの拙速な議論は戒めたい」とする社説をだしました、 
 政府側が文字通り「地元の意見を聴く」だけの姿勢は疑問だとしました。
 特にこの問題において決定権は政府にあるという態度は大いに問題です。
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社説 福島汚染水 拙速な議論は戒めたい
北海道新聞 2020/04/26
 新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、東京電力福島第1原発でたまり続ける汚染水をどう処分するかの議論が進んでいる。
 今月に入り、福島県内で2度、政府が地元首長や産業界に意見を聴く会が開かれた。
 政府が有力とする海または大気への放出案について出席者の意見は分かれたが、実行後の風評被害を懸念し、補償の必要性を訴える声が大勢を占めた。
 国民が新型コロナとの闘いに集中している時に、スケジュールありきで拙速に結論を出すようなことがあってはならない。政府は国民的議論の下で最善の解決策を導く努力をすべきだ。

 2011年に過酷事故を起こした福島第1原発では、原子炉に注がれる冷却水に地下水が混ざり、高濃度の放射性物質を含んだ汚染水が増え続けている。
 東電が浄化処理をしているが、放射性物質トリチウムを取り除けず、敷地内に設けたタンクで保管してきた。タンク数はすでに1千基に達し、東電によると22年夏ごろに用地がなくなるという。
 これを受けて経済産業省の有識者会議は2月、今後の処分方法について、薄めて海か大気に放出するのが「現実的」とし、技術的に海洋放出の優位性を強調する報告書をまとめた。

 今月6日と13日に開かれた意見を聴く会では、漁業や林業の団体が放射性物質の放出に反対した。
 旅館・ホテルの業界団体は海洋放出を容認しつつも「故意の加害行為だ」と断じ、放出が続く間の損失補償を求めた。
 これに対し、政府側が文字通り「意見を聴く」だけだったのは大いに疑問だ。
 政府が海か大気への放出が有力だと言うのならば、風評被害の防止策や補償の具体案をセットで示し、地元の不安に応えるのが最低限の責務ではなかったか。
 2度目の会合が、政府の緊急事態宣言が出た後に開かれたことも理解に苦しむ。
 この段階で福島県は対象地域ではなかったとはいえ、新型コロナ危機のどさくさに乗じて放出への手続きを急ごうとしていると受け取られても仕方あるまい
 出席した首長から「新型コロナの渦中で、どこまで国民的議論に発展するのか」と疑問の声が上がったのも当然だ。
 海や大気への放出は、終了まで30年がかりの作業になる。福島だけで終わる問題ではないことを国民全体で受け止める必要がある。

27- 東通原発に津波20m痕跡の論文 内閣府が除外

 新たな想定において、これまでで東通原発周辺の津波の最大高さは13.9mとされていましたが、実は同原発の約10キロ北にある「猿ケ森砂丘」で海抜約20mの津波の痕跡を報告した論文があるのに、考慮の対象から外されていたことが分かりました。
 都合の悪いデータは理屈をつけて排除するのではなく、逆に安全サイドから見て活用すべきです。
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内閣府が津波20m痕跡論文除外 専門家は批判、東通原発周辺砂丘
共同通信 2020/4/26
 内閣府が21日に公表した太平洋岸を襲う最大級の津波想定で、東北電力東通原発(青森県東通村)の約10キロ北にある「猿ケ森砂丘」で海抜約20mの津波の痕跡を報告した論文が、考慮の対象から外されていたことが26日、分かった。専門家からは「砂丘は地形が変わりやすく過去の津波の復元は難しい。高さ20mは否定しきれない」との批判が出ている。
 内閣府は、東通村の津波の最大高さは13.9mで、海抜16mの防潮堤がある東通原発は浸水しないとした。
 箕浦幸治東北大名誉教授は2013年の論文で、猿ケ森砂丘に数百年前の砂や泥、倒木を確認、20m超の津波の痕跡だと指摘した。

2020年4月26日日曜日

福島第1原発の共用排気筒の解体 5月上旬完了の予定

 福島第1原発1、2号機の共用排気筒(高さ約120メートル)の解体は、現在残り6・8mまで進み、5月上旬に完了する見通しとなりました。
 排気筒の底部には極めて高い放射線源があり人間が近づけないため、作業員が遠隔で解体装置を操る前例のない作業で進められました。解体作業は地元の「エイブル」が行いました。
 排気筒の解体は、筒を支持するサポートの中間部分が腐食して地震時にそこで折れる惧れがあったため実施されたもので、その危険性が除去できたのは大きな安心材料です。
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解体「必ず」福島第1原発の共用排気筒 広野・建設業エイブル
福島民友 2020年04月25日
 東京電力福島第1原発1、2号機の共用排気筒(高さ約120メートル)の解体が5月上旬に完了する見通しとなり、現場では作業が大詰めを迎えている。「前例のない難しい工事だが必ずやり遂げる」。作業を担当する広野町の建設業「エイブル」の社員は解体完了が古里復興の前進につながると信じ、ラストスパートをかける。

 解体作業は昨年8月に始まった。現場責任者で同社第一工事部課長の佐藤哲男さん(46)は「想定通りとはいかない場面もあったが、作業員が意見をぶつけ合い知恵を絞りながらここまで来た」と歩みを振り返った。
 解体は、原発事故の影響で損傷が見つかった排気筒の倒壊のリスク低減のため、上半分を切断し59メートルの高さにする計画。現場は放射線量が高く、作業員が遠隔で解体装置を操る前例のない作業で、解体装置の刃が筒身にかみ込んで抜けなくなるなどトラブルが続き、完了時期は当初の昨年内からずれ込んだ。
 佐藤さんに難局に立ち向かう力をくれたのは、中学校時代の恩師や友人からの励ましだった。テレビ番組で解体作業に挑む姿が放送されると、恩師からは「自慢の生徒だ。必ず成功させろ」と激励の電話があった。佐藤さんは自身を奮い立たせ、仲間と装置の改良などを重ね、ようやく作業は円滑に進むようになった

 計画する排気筒の切断部分は24日現在で残り6・8メートル。佐藤さんは「周囲の支えに感謝の気持ちでいっぱい。気を引き締め、力を結集して解体完了に挑む」と力を込めた

原発 巨大噴火の惧れに対する停止基準作れず

 当初、事前に原発を停止させる基準作りを模索しましたが、火山学者から異論が出て見送りました。
 火山学会は基準作成時から噴火の余地は不可能という見解でした。それに対して規制委は、山体膨張等を監視すれば可能として押し切り川内原発を再稼働させたのですが、結局、停止基準を決めることは出来ませんでした。なんとも不明朗な結果です。
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原発の巨大噴火への対応 規制委、停止基準見送り
日本経済新聞 2020/4/26
原子力規制委員会は火山の巨大噴火への原子力発電所の対応を探る約3年半の議論をこのほど終えた。当初、事前に原発を停止させる基準作りを模索したが、火山学者から異論が出て見送った。発生頻度が少なく知見が乏しい自然現象だけに、科学的判断の難しさが浮き彫りになった。今後も手探りの監視活動が続きそうだ。
「(巨大噴火の)前兆現象を明確に定義することは困難だ」。3月、規制委が設けた有識者会議は報告書でこう結論…
(以下は有料記事のため非公開)

26- 一度切り株にした夜ノ森駅のツツジが再生

夜ノ森駅のツツジ再生、花咲く 放射性物質の除染で一度切り株に
共同通信 2020/4/25
 東京電力福島第1原発事故の避難指示が3月に解除されたJR常磐線夜ノ森駅(福島県富岡町)の構内で、除染のために伐採され一度は切り株だけになったツツジが再生し、赤やピンクの花を咲かせている。町によると、例年通りなら5月上旬から中旬が見頃という。
 JR東日本によると、構内の斜面にはツツジ約6千株が植えられ、原発事故前は駅を取り囲むように花が咲き、通過する特急も速度を落として乗客を楽しませていた。しかし2017年冬、放射性物質を取り除くため幹や枝を伐採。25日は樹勢が回復した数十株が人けのない駅を彩っていた。

2020年4月25日土曜日

東電がまた和解案拒否 ADR仲介手続き打ち切り

 東電、福島市と伊達市の409世帯1241人が損害賠償を求めたADRで、またもや国の損害賠償紛争解決センター仲介案を拒否したため、仲介手続き打ち切られました。
 東電は原発の再稼働に向けて資することについてはかなり妥協的ですが、損害賠償などの「後ろ向き」のものに対しては一貫して拒絶的です。
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福島と霊山409世帯、 ADR仲介手続き打ち切り
福島民友 2020/4/24
 東京電力福島第1原発事故を巡り、福島市大波地区と伊達市霊山町の雪内、谷津地区の409世帯1241人が東電に損害賠償を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、国の原子力損害賠償紛争解決センターが仲介手続きを打ち切ったことが23日、住民側でつくる原発被災者弁護団への取材で分かった。
 住民側の代理人によると、センターは、和解仲介を求めた409世帯のうち、栽培するコメから1キロ当たり100ベクレルを超える放射性セシウムが検出された福島市大波地区の生産者30世帯にのみ、1世帯30万円を支払うことが妥当とする和解案を提示していた。
 しかし、東電は2回にわたり和解案を拒否。その後、センターは昨年12月、仲介手続きを打ち切ることを住民側に通知していた。
 住民側代理人の吉野高弁護士は「東電の姿勢は極めて横暴で、センターの紛争解決機能は失われてしまう」と述べた。東電は福島民友新聞社の取材に「熟慮を重ねたが、その一部について和解案に基づく賠償を行うことは難しいとの結論に至った」とコメントした。

玄海原発 コロナ感染で中断していたテロ対策施設工事を再開

 玄海原発で工事関係者が新型コロナウイルスに感染したことで、14日から中断していたテロ対策施設の工事、九州電力は24日再開しました。
 今月14日から工事を中断し、工事関係者およそ600人に対して出勤停止の措置をとっていました。
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玄海原発 コロナ感染で中断していたテロ対策施設工事を再開 
NHK NEWS WEB 2020年4月24日
佐賀県にある玄海原子力発電所で工事関係者が新型コロナウイルスに感染し中断していたテロ対策施設の工事について、九州電力は、24日、工事を再開しました。
佐賀県玄海町にある玄海原発では、テロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の工事関係者2人が新型コロナウイルスに感染したことから、今月14日から工事を中断し、工事関係者およそ600人に対して出勤停止の措置をとっていました。

九州電力によりますと、今月8日以降、この2人の工事関係者と接触していないことが確認されたおよそ340人については、2週間の期間をおいた22日、出勤停止を解除し、24日午前、工事を再開したということです。
一方、2人のうち1人と今月10日まで接触した可能性のある工事関係者およそ260人についても25日、出勤停止を解除するとしています。

玄海原発のテロ対策施設は、3号機が2022年8月、4号機が同じ年の9月に完成の期限を迎えますが、九州電力は今後の工事への影響について「早急に精査を進める」としています。

25- 使用済み核燃料の経年累進課税案を可決 柏崎市議会

柏崎市議会、経年累進課税案を可決 使用済み核燃料の搬出促進
新潟日報 2020/04/22
 新潟県柏崎市議会は21日、随時会議の本会議を開き、東京電力柏崎刈羽原発の使用済み核燃料に市が課す「使用済み核燃料税」の経年累進課税化を盛り込んだ条例案を賛成20、反対5の賛成多数で可決した。保管期間に応じて税額を増やす条例の成立は全国で初めて。市は総務相の同意を得た上で10月1日の施行を目指す。

 経年累進化は使用済み核燃料の県外搬出を促す狙い。新条例は基本税率を現行の燃料1キロ当たり年間480円から620円に引き上げ、保管期間が15年以上の燃料に対して1年経過ごとに50円ずつ加算する。
 加算の開始は市長と東電が「搬出可能」との認識で一致した翌年。加算は5年が上限で税率は最大870円となる。

 現行の法定外目的税から、使途を限定しない法定外普通税に改め、増収分は新たに教育や福祉、定住人口の確保などに充てる
 採決に先立つ討論では、5会派が賛成討論し「長期保管という異常な状態の解消に資する」「増税分は新型コロナウイルス対策などに充ててほしい」などと述べた。反対の2会派は、桜井雅浩市長が経年累進化を柏崎刈羽6、7号機の再稼働の「前提条件」と発言したことを受け、「再稼働を進めることにつながる」と懸念を示した。

 桜井市長は閉会後、報道陣に「正直ほっとした。全議員から賛成を頂けなかったのは私自身の不徳だ」と述べた。今後については「総務省とも2年間やりとりを重ねてきた。スムーズに同意が得られるよう期待する」と述べ、10月の課税開始は可能との認識を示した。市は5月の大型連休明けにも総務省に協議書を提出する予定。 

2020年4月24日金曜日

9万筆超集まる 東海第二再稼働県民投票署名

 東海第二原発の再稼働の是非を問う住民投票条例制定を茨城県知事に直接請求するための署名が、法定必要数の19倍近くの9万筆余りが集まり、主宰した「いばらき原発県民投票の会」22日、署名簿を県内全44市町村の選挙管理委員会に提出しました。
「縦覧」の手続きを経たのち、会は525日に大井川知事への請求を予定しています
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9万筆超 市町村選管に提出 東海第二再稼働 県民投票署名
東京新聞 2020年4月23日
 日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働の是非を問う住民投票条例制定を大井川和彦知事に直接請求するための署名集めに取り組んできた「いばらき原発県民投票の会」は22日、計9万899筆の署名簿を県内全44市町村の選挙管理委員会に提出した。新型コロナウイルスの影響で戸別訪問や街頭活動が十分にできない中、法定の必要数の1.87倍の署名が集まり、関心の高さを示した。(宮尾幹成)

 会は一月六日に署名集めを始め、選挙による中断期間のあった自治体を含め四月十二日に終了。三月十七日に県内初の感染者が確認され、県南地域などには外出自粛要請も出たため、終盤は電話やメールを中心に署名を呼び掛けざるを得なかったという。
 それでも、法定必要数(四万八千筆余り)の二倍近い署名を集めた。県庁で記者会見した徳田太郎共同代表は「制約された形での活動を余儀なくされたのは残念だが、それを踏まえても重みのある署名数になった」と述べた。
 地域別では、県南地域で三万四千筆あまりが集まり、法定必要数の二倍を超えた。最も少ない鹿行地域でも一・四五倍だった。
 東海第二の再稼働に当たり事前同意を求められる周辺六市村で、法定必要数に対する比率順でみると、東海村が一・九五倍(千二百二十六筆)と最も高く、水戸市の一・六九倍、那珂市の一・四七倍と続いた。

 各選管は、署名が有効かどうかを市民が確認できる「縦覧」の手続きを経て、署名簿を会に返付。会は五月二十五日に大井川知事への請求を予定している。
 条例案は六月八日開会の県議会定例会に上程される見通しだが、県議会では住民投票の実施に慎重な議員が多数派とみられ、可決されるかは分からない。
 徳田さんは「再稼働に反対という思いで署名した人も、再稼働すべきという思いで署名した人もいる。(住民投票は)県民の声を聞くには一番良い手段だ」と強調し、知事や県議会に前向きな対応を求めた。