2023年11月27日月曜日

川内原発 運転延長 地元の薩摩川内市はどう対応? 問われる市長の手腕

 20年の運転延長が認可された九電 川内原発は、稼働中の原発が運転延長を認められた初のケースで、立地自治体である薩摩川内市住民への理解浸透と合意形成に向け、手探りの対応を続けています
 県と市、九電で結ぶ安全協定には、運転延長に関する地元同意は含まれないため、田中市長は運転延長の明文化に否定的な見解を示す一方、「行政の執行責任がある」として延長に関する総合的な判断を表明するとしています
 同市は10月以降、各地区で計7回の対話集会を実施し、規制庁による審査経過などを説明しました。ただ原発関係の仕事に携わる市民が多く、議論自体が敬遠される実態もありました。田中市長は、陳情を審査する市議会の結論が出るとみられる12月議会中に市の判断を明らかにする見通しです。

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【川内原発 運転延長問題】
地元の薩摩川内市、どう対応? 稼働する原発では全国初の認可、問われる市長の手腕
                          南日本新聞 2023/11/27
 20年の運転延長が認可された九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)を巡り、立地自治体である薩摩川内市の動きが注目されている。稼働中の原発が運転延長を認められるのは初めてで、「川内」の手法が全国の参考となる可能性があるためだ。原子力規制庁は要望があれば住民向けの説明を検討すると言及。市は住民への理解浸透と合意形成に向け、手探りの対応を続ける
 「市民に分かりやすい丁寧な説明を考えているか」。22日、運転延長の審査内容などを報告するために市役所を訪れた規制庁担当者に、田中良二市長が尋ねた。担当者は「地元の要望があれば出向いてしっかり説明をすることは大事」と答えた。
 田中市長は24日の報道陣の取材に対し、規制庁に説明会を要請するかについて明言を避けたが、「規制庁が直接市民に説明する場面は必要」と述べた。
 説明会に対する市民の見方はさまざまだ。運転延長に賛成する同市平佐町の女性(73)は「詳しい審査内容を知らず、安全性には不安がある」と開催を要望する。同市の男性(79)は「延長を前提に手続きが進んでいる印象。アリバイ作りでは」と懐疑的だ。
 市は独自の対応を模索している。住民の安全確保や環境保全などを目的に県と市、九電で結ぶ安全協定には、運転延長に関する地元同意は含まれない。田中市長は運転延長の明文化に否定的な見解を示す一方、「行政の執行責任がある」として延長に関する総合的な判断を表明するとしている。
 市は住民の声を聞こうと10月以降、各地区で計7回の対話集会を実施。運転延長を議題の一つに加え、規制庁による審査経過などを説明した。
 質疑では避難計画の充実などを求める意見が相次いだが、「知り合いもいて、原発の話は出しにくい」との声も聞かれた。原発関係の仕事に携わる市民が多く、議論自体が敬遠される実態も浮かんだ。
 田中市長は、陳情を審査する市議会の結論が出るとみられる12月議会中に市の判断を明らかにする見通しだ。地元同意が求められない中で進められてきた運転延長手続き。立地自治体としてどう関わり、住民の不安払拭のために存在感を示すのか。手腕が問われている。

海洋放出の対話解決を確認 上川外相、中国の王氏と初会談

 上川陽子外相は25日、韓国・釜山で中国の王毅外相と初めて会談しまし約1時間40分間)
 上川氏はアルプス処理水の海洋放出を巡り、日本産水産物の輸入制限措置の即時撤廃を要求しました。王氏は処理水を「核汚染水」と呼び「日本の無責任な行為に反対する」と述べました。
 上川氏は「先の日中首脳会談で、戦略的互恵関係を包括的に推進する方向性が確認された。これに沿って日中関係を発展させるべく緊密に連携したい」と述べ、王氏も同様の考えを示しました。
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処理水問題の対話解決を確認 上川外相、中国の王氏と初会談
                        共同通信 2023年11月25日
【釜山共同】上川陽子外相は25日、韓国・釜山で中国の王毅外相と初めて会談した。上川氏は東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り、日本産水産物の輸入制限措置の即時撤廃を要求。立場の隔たりを認識し、建設的な態度で協議と対話を通じて問題を解決する方法を見いだすことを改めて確認した。両外相は相互に来日と訪中を招請した。上川氏は26日、日韓外相会談を行った後、日中韓3カ国の外相会談に臨む。
 会談は当初予定より40分長い約1時間40分だった。王氏は処理水を「核汚染水」と呼び「日本の無責任な行為に反対する」と述べた。「各利害関係者による包括的かつ効果的な、独立した長期監視メカニズムを構築する必要がある」と指摘した。
 上川氏は監視の在り方について「国家の主権、IAEAの権威や独立性という原則が前提となる」と述べ、王氏の主張に否定的な見解を伝えた。
 上川氏は「先の日中首脳会談で、戦略的互恵関係を包括的に推進する方向性が確認された。これに沿って日中関係を発展させるべく緊密に連携したい」と述べ、王氏も同様の考えを示した


中国・王毅外相“処理水放出”「日本の無責任なやり方に反対する」 日中外相会談
                       日テレNEWS NNN 2023/11/26
上川外相は25日、中国の王毅外相と会談し、日本の水産物の輸入停止措置を撤廃するよう強く求めました。
韓国・釜山を訪問中の上川外相は25日夜、中国の王毅外相と初めての会談に臨み、日本産水産物の輸入停止措置について、「即時撤廃」を強く求めました
上川外相「お互いの立場に隔たりがあると認識しながら、建設的な態度で協議と対話を通じて、問題を解決する方法を見いだしていくことにした」
王毅外相は福島第一原発の処理水の放出について、「海洋安全と民衆の健康に関わり、 日本の無責任なやり方に反対する」と強調したということです。
26日は日中韓3か国の外相会談が行われ、軍事偵察衛星を打ち上げた北朝鮮対応などについて意見が交わされる見通しです。
2019年を最後に開かれていない日中韓の首脳会議の開催に向けて、道筋をつけることができるのかも焦点です。

東海第2避難計画 「年内公表 目標変えず」と東海村長

 東海村の山田修村長は24日の定例会見で、東海第2原発重大事故時の広域避難計画策定について、1月に県地域防災計画が改定され避難所の1人当たりの面積が「3平方メートル以上」となったことに伴う村民の避難所面積の確保「大変な作業になっているが、年内公表の目標は変えていない」と述べました。避難先として公共施設だけでは収まらず、私立の学校や企業の研修所など民間施設にも依頼している」ということです

(避難計画の実効性では避難の所要時間などもある筈ですが、それには言及はなかったようです)
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東海第2避難計画 「年内公表 目標変えず」東海村長 避難所、民間施設にも依頼
                         東京新聞 2023年11月25日
 茨城県東海村の山田修村長は24日の定例会見で、日本原子力発電東海第2原発(東海村)の重大事故時の広域避難計画策定について、「大変な作業になっているが、年内公表の目標は変えていない」と述べた。課題の避難所面積の確保では「当初想定の公共施設だけでは収まらず、私立の学校や企業の研修所など民間施設にも依頼している」とした
 村の広域避難先は取手、守谷、つくばみらいの3市となっている。1月に県地域防災計画(原子力災害対策計画編)が改定され、避難所の1人当たりの面積が「3平方メートル以上」となったため、約3万8千人の村民の避難所面積の確保が課題となっていた。
 再稼働の是非を判断する時期は「安全対策工事の完了と再稼働は別のもの。(来年9月の)工期には左右されない」と従来通りの説明を繰り返した。また「再稼働には安全対策だけでなく防災対策の要素もある」とし、広域避難計画づくりの義務がある全市町村が策定を終えるまで「判断は難しいと思う」との見解を示した。(長崎高大)

27- 原子炉容器上蓋93トンの陸揚げ作業を公開 玄海原発3号機用

 九州電力は26日、玄海原発で行われた重さ約93トンの原子炉容器上蓋の陸揚げ作業を公開しました。
 3号機用上蓋を応力腐食割れに強い鋳鋼合金製に変えるもので、定期検査中の来年1月中旬に交換されます。
 1,2,4号機は福島原発事故前に交換が済んでいますが、3号機は福島原発事故で大幅にスケジュールが遅れていました。
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原子炉容器上蓋93トンの陸揚げ作業、九州電力が公開…玄海原発3号機用
                           読売新聞 2023/11/27
 九州電力は26日、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)で行われた原子炉容器上蓋の陸揚げ作業を公開した。3号機用で、定期検査中の来年1月中旬に交換される
 上蓋は重さ約93トン。応力腐食割れに一層強い合金を用いている。川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機や玄海原発4号機ではすでに利用されている。交換に伴う手続きを九電は2010年2月に申請したが、その後の東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故に伴い、大幅にスケジュールが遅れていた。
 陸揚げ作業は午前7時頃に始まった。上蓋は保管容器に収められ、周囲を灰色のシートに覆われていた。構内の岸港に船で運ばれ、そばに停泊するクレーン船がゆっくりと時間をかけて海面の約13メートルの位置までつり上げ、午後1時半頃に専用の運搬車両に下ろした。九電によると、3号機の原子炉建屋そばに27日以降運ばれるという。


玄海原発3号機 原子炉容器上部ふた取り換え
                         九州朝日放送 2023/11/26
九州電力は26日、玄海原発3号機の原子炉容器のふたの取り換え工事の様子を公開しました。
佐賀県玄海町にある玄海原発3号機は、定期点検に、冬の電力需給を見越して11月10日から前倒して入っています。
これに合わせた工事で、燃料の入った原子炉容器の上の部分のふたを最新設計のものへ取り換えます。
ふたは93トンあり、発電所内の移動に車両へ載せられました。
組み立ては、1月中旬に行われる予定です。
工事では、燃料集合体193体のうち一部を交換し、プルサーマル発電が中断する可能性があります。
発電再開は来年2月2日、29日に営業運転に復帰する予定です。

2023年11月25日土曜日

川内原発の20年延長を認可 原子力規制庁が薩摩川内市に説明

 川内原発1・2号機の20年の運転延長が認可されたことについて、原子力規制庁は22日、川内原発が立地する薩摩川内市の市長や議会に説明しました。
 原子力規制庁の職員2薩摩川内市役所を訪れて田中良二市長面会しコンクリート構造物(原子炉格納容器)や原子炉本体に有意な欠陥は認められなかったなどと説明しました。それを受けて田中市長は、「原子力規制庁の職員は対面で直接運転延長に関わる認可の概要について、資料を示しながら丁寧な説明したのは意義深い」と語りました。
 しかし記事を読む限り「こういう根拠によって20年間の延長を認めた」という具体的な説明はありませんでした。明快な根拠がないから説明が出来なかったのでしょう。
 いくら何でも原子炉の内面と外面を目視で点検した結果「大丈夫と判断した」では話になりません。
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川内原発の20年延長を認可 原子力規制庁が薩摩川内市に説明
                     KYT鹿児島読売テレビ 2023/11/22
 川内原発1・2号機の20年の運転延長が認可されたことについて、原子力規制庁は22日、川内原発が立地する薩摩川内市の市長や議会に説明しました。
 薩摩川内市役所を訪れたのは、原子力規制庁の職員2人で、田中市長と面会しました。
 原子力規制委員会は今月1日、40年の運転期限が迫る川内原発の1・2号機について、20年の運転延長を認可しました。
 規制庁の職員は市長に認可の内容について説明。コンクリート構造物や原子炉容器に、有意な欠陥は認められなかったなどと述べました。
(薩摩川内市 田中良二市長)「今後のリスクをゼロにするための安全な担保に向けた具体的な取り組み、原子力規制委員会の厳正な審査、市の体制は具体的にどのような仕組みとなっているかお伺いしたい」
(原子力規制庁 渡邉桂一安全規制管理官)「検査の中で事業者からしっかり取り組んでいるかということを引き続き監視していくことが重要だと思っている」
 このあと開かれた市議会の特別委員会では、規制庁の職員を参考人として招致し、質疑を交わしました
(委員)「現在国外における運転開始から50年を超える原子炉施設がある。これまで運転に支障をきたすような事象は確認されていないのか?」
(原子力規制庁 塚部暢之安全規制調整官)「50年という高経年化を理由ということでトラブル、もしくは事故等が起こったという事例は我々としても把握していないしないと考える」
 事業者の九州電力も参考人招致し、質疑を交わした市議会の特別委員会は今後、委員会としての姿勢を示す方針です。
(薩摩川内市 田中良二市長)「原子力規制庁の職員は対面で直接運転延長に関わる認可の概要について、資料を示しながら丁寧な説明したのは意義深い」
 田中市長は市議会の判断の後に市としての総合的な判断を示すとしています。


「設計寿命は耐用年数ではない」 九電、薩摩川内市議会に川内原発の運転延長「60年でも問題ない」と説明
                            南日本新聞 2023/11/23
 薩摩川内市議会は22日、川内原子力発電所対策調査特別委員会を開いた。九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転延長に賛成・反対する陳情6件の審査のため、原子力規制庁と九電の担当者が参考人として出席。20年の運転延長が認可された審査内容などを報告した。九電側は延長申請に伴い実施した特別点検などの結果から「60年時点でも問題はない」と説明した。
 豊嶋直幸副社長らが出席した九電は、延長に向けた取り組みや使用済み核燃料への対応などを示した。「一般的に原発の設計寿命は30~40年といわれる」とした上で、健全性を確認するものであり、耐用年数ではないと強調した。
 規制委事務局である規制庁の渡邉桂一安全規制管理官らは、原子炉格納容器やコンクリート構造物の劣化状況を調べた九電の特別点検を踏まえた審査結果を報告。原発の耐用年数に対する考えを問われ、「原子炉の劣化の進行は、施設や機器の種類で異なり、設備の更新もできるため一律に何年とは決まらない」と回答した。
 特別委は全ての陳情を継続審査にした。成川幸太郎委員長は「分かりやすい説明だった」と評価。全ての参考人招致を終えた後、12月議会中に委員会としての結論を出したい意向を示した。終了後、渡邉管理官は「地元では非常に関心が高い事項だと改めて思った」と振り返った。
 委員会前には渡邉管理官は田中良二市長にも面会して説明。九電は市の部局長でつくる原子力政策調査部会にも出席した。

柏崎刈羽原発の薬物検査問題 知事が是正を求める

 柏崎刈羽原発で10月2日の抜き打ちの違法薬物摂取検査で「陽性」だった社員を、入域をチェックする社員が誤って許可したため,当該の社員は一旦核物質防護区域に立ち入りましたが、その後気付いて退去させました。その後の検査では「陰性」でした。
 とはいえ、まだ「陽性」と判断されていた人間が入域したことは事実なので、検査体制の不備は明らかです。
 花角知事は、「もう3年前からあきれるような事案が続いています。しっかり是正してもらいたい」と述べました。
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柏崎刈羽原発の薬物検査問題 知事が是正を求める
                        TeNYテレビ新潟 2023/11/24
東京電力、柏崎刈羽原発での薬物検査をめぐる問題について、花角知事が是正を強く求めました。
この問題は柏崎刈羽原発で10月、違法薬物の検査で「陽性」とされた社員が核物質防護区域に立ち入ったもので、担当した社員が見誤り許可していたことがわかっています。その後の検査では「陰性」で、「偽陽性」だった可能性があります。
核セキュリティにかかる不備が相次ぐ中、知事は会見で以下のように述べました。
花角知事
「もう3年前からあきれるような事案が続いています。しっかり是正してもらいたい」
一方、東京電力は「ヒューマンエラー」が原因だとして担当社員の再教育を行っています。
原子力規制委員会はチェック体制が不十分だったとして安全上の重要度で4段階のうち最も軽微な「緑」の評価を下しています。

「運転延長は大変な分岐点」反原発団体が反対表明求め薩摩川内市長に要請書

 川内原発の20年運転延長について、反原発市民団体の鳥原良子会長ら24日、田中良二薩摩川内市長に運転延長に同意せず反対するよう求める要請書を手渡しました。田中市長は、28日に始まる12月議会の会期中に賛否を出す市議会の動向を見てから判断したいと述べました。
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「運転延長は大変な分岐点」反原発団体が反対表明求め薩摩川内市長に要請書
                        MBC南日本放送 2023/11/24
川内原発の20年運転延長について、反対を表明するよう薩摩川内市長に求める要請書を反原発の市民団体が24日、提出しました
原子力規制委員会が今月1日に認可した川内原発1・2号機の運転延長を巡っては、薩摩川内市議会に現在、賛成・反対あわせて6件の陳情が出されており、おととい22日原子力規制庁と九電を参考人招致するなど特別委員会で審議が進められています。
24日、市役所には議会に反対陳情も出した反原発市民団体の鳥原良子会長らが訪れ、田中良二市長に運転延長に同意せず、反対するよう求める要請書を手渡しました
(川内原発建設反対連絡協議会 鳥原良子会長)
「20年延長は大変な分岐点。もっと市民の代表として、意見交換して結論を出してほしい」
(薩摩川内市 田中良二市長)
「市民の皆さまから対面で生の声を聞くのは意義深い」
「薩摩川内市議会の判断の後に、市としての判断になる流れ」
田中市長はこう述べ、28日に始まる12月議会の会期中に賛否を出す見込みの市議会の判断を待って、判断を表明する考えを繰り返しました

25- 「中国の問題、早期解決してほしい」 アルプス処理水放出3か月

 福島第一原発のアルプス処理水の放出が始まってから24日で3か月になります
 四倉港を拠点に漁業を営む三浦孝一さん(71)は、「これまで消費者応援してくれるて魚介類の売れ行きは順調だがこの応援が一過性ではなく今後も続いてくれれば福島県内の漁業関係者は願ってると述べました。
 また中国の輸入禁止については、「福島県を中心に、隣県、茨城県・宮城県、ひいては北海道も、みんな中国の問題早期解決をしてもらいたいと思っていると語りました
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「中国の問題、早期解決してほしい」処理水放出3か月 福島応援は持続的に・・・漁業者の願い 福島
                       TUFテレビユー福島 2023/11/24
福島第一原発の処理水の放出が始まってから、11月24日で3か月。これまでに周辺の海域で異常は確認されていませんが、福島県内の漁業関係者は、消費者の応援の機運が一過性ではなく、今後も続いてくれればと話しています。
福島第一原発の処理水放出は8月24日から始まり、11月20日までに3回に分けて放出が行われました。
放出された量は、あわせてタンク23基分にあたる2万3000トンあまりで、東京電力によりますと、これまでに目立ったトラブルは起きておらず、周辺海域でのモニタリングでも海水や魚介類に異常は確認されていません。東京電力は今年度、およそ3万1200トンを放出する計画で、4回目の放出に向けて準備を進めることにしています。
こうしたなか、福島県いわき市の四倉漁港では24日朝、旬のヒラメなど常磐ものが水揚げされていました。四倉港を拠点に漁業を営む、三浦孝一さん(71)。このあと、久之浜漁港に移動して、せりに魚を出しました。

この3か月間で、魚の価格に大きな変化はありませんが、福島応援の雰囲気が落ち着く、今後のことを気にかけていました。
三浦孝一さん「消費者が一丸となって(魚を)買ってくれたから、その辺はありがたい。それも一過性にすぎないで、持続的に放水をしている間、魚を買ってもらえればありがたいと思う」
そして、海洋放出については・・・。
三浦さん「今までに海水へ放水したことで異常はなかったし、漁業者も粛々と受け止めざるを得ないけど、国や東電をあげての事業だから、ミスのないようにしていただきたい」
三浦さんはさらに、処理水をめぐって海外から影響を受けている漁業者の苦境に心を痛めていました。
三浦さん「福島県を中心に、隣県、茨城県・宮城県、ひいては北海道。みんな中国の問題があるから、それも早期解決をしてもらいたい。同じ漁業者としての気持ち」
応援の流れが続くよう、消費者に関心を持ってもらうとともに、国と東京電力には緊張感を持った対応が、最後の放出が終わるまで求められています。

2023年11月20日月曜日

原電、安全軽視で工事 塩川議員 東海第2原発防潮堤巡り 衆院内閣委

 共産党の塩川鉄也議員17東海第2原発の防潮堤工事の施工不良について、原子力規制庁の認識をただしたのに対し、同庁は、4月に鋼製防護壁の北側基礎で鉄筋カゴが基礎に届かず上方で高止まりし、6月には南側基礎部分のコンクリートの未充填と鉄筋の変形が、8月には北側基礎部分でもコンクリートの未充填鉄筋の変形があったことを確認したと答弁しました。
 塩川氏は原電が施工不良を公表したのは共産党茨城県委員会が告発した1016日で、内容も南側だけだったとしておかしいではないか」と指摘し、原電が8日の東海村議会で北側基礎の鉄筋カゴの高まりを「問題ない」としたことを同庁は了解したのかとただすと、担当者は強度上の観点から対応が必要な問題で、了解はしていない」と答弁しました防潮堤には津波襲来時に横方向に過大な力が加わるので決して疎かには出来ません。
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 都合により22日(水)は記事の更新が出来ません。次回の更新は25日(土)になります。
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原電、安全軽視で工事 塩川議員 東海第2原発堤防巡り 衆院内閣委
                      しんぶん赤旗 2023年11月20日
 日本共産党の塩川鉄也議員は17日の衆院内閣委員会で、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の防潮堤工事の施工不良について、原電は説明責任を果たさないまま工事を強行しようとしているとし、原子力規制庁の認識をただしました
 塩川氏が、原電の規制庁への説明についてただすと、同庁は、4月に鋼製防護壁の北側基礎で鉄筋カゴが(基礎に届かず)上方で高止まりし、6月には南側基礎部分のコンクリートの未充填(じゅうてん)と鉄筋の変形が、8月には北側基礎部分でもコンクリートの未充填鉄筋の変形があったことを確認したと答弁しました。
 塩川氏は原電が施工不良を公表したのは共産党茨城県委員会が告発した10月16日で、内容も南側だけだったとして、「6月に把握してから4カ月たっている。おかしいではないか」と強調。原電は北側には言及していないと追及すると、同庁の古金谷敏之緊急事態対策監は「公表の有無は事業者の判断だ」と述べるにとどめました。

 塩川氏は「原電の姿勢は不誠実で、隠ぺいだ」と厳しく批判し、原電の報告書の提出を要求。規制庁は「事業者の判断で公表は可能」だと答えました。
 また、原電が8日の東海村議会で、北側基礎の鉄筋カゴの高まりを「問題ない」「工事を再開している」としたことを同庁は了解したのかとただすと、古金谷氏は「耐震性能等の観点から対応が必要な問題だ」「(了解の)判断はしていない」と答弁。塩川氏は「原電は重大な施工不良を住民にも知らせず、工事最優先で安全を軽視する姿勢だ」として、同庁がお墨付きを与えてはならないと主張しました。

作業員被ばくを追及 共産・高橋千鶴子議員 福島第1汚染水処理で

 共産党の高橋千鶴子議員は17福島第1原発の多核種除去設備(アルプス)の配管洗浄作業中に作業員が被ばくした事故で、同作業が廃炉作業の実施計画に違反していることを認めさせた上で、16日に東電が公表した報告書では、作業員が当初発表の5人ではなく10人で、班長資格のない3次下請け作業員に班長を代行させていたことが、事故から2週間以上経過後に判明したことを問題視しました。高橋氏は、東電は事故の経緯をわかっていないとして作業員の労働条件の改善を求めました。
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作業員被ばくを追及 高橋議員 福島第1汚染水処理で
                      しんぶん赤旗 2023年11月20日
衆院復興特委
 日本共産党の高橋千鶴子議員は17日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、福島第1原発の汚染水を処理する多核種除去設備(アルプス)の配管洗浄作業中に作業員が被ばくした事故(10月25日)について質問しました。
 高橋氏は質疑で、今回の事故の原因となった作業が、認可を必要とする廃炉作業の実施計画に違反していることを認めさせた上で、16日に東電が公表した報告書では、事故現場にいた作業員が当初発表の5人ではなく10人で、班長資格のある2次下請け作業員が現場から離れ、班長資格のない3次下請け作業員に班長を代行させていたことが、事故から2週間以上経過後に判明したことを問題視しました。
 高橋氏は、作業員の被ばく線量評価の結果はまだ出ていないとしつつ、線量評価を求める理由と重要性についての認識を質問。山中伸介原子力規制委員長は「放射線管理区域であるため(規則等で定める報告基準に該当するか否か)被ばく線量を評価する必要がある」と答弁しました。

 高橋氏は、東電は事故の経緯をわかっていないとして「もっと現場に出るべきだ」と批判。作業員の労働条件の改善とともに、廃炉作業と同時進行の柏崎刈羽原発の再稼働をやめ、「(東電は)廃炉に集中するべきだ」と、吉田宣弘経済産業政務官に求めました。 

東電・柏崎刈羽原発 再稼働への道のり

 FNNが「柏崎刈羽原発 再稼働への道のり」と題した記事を掲載しました。
 21年以降、何が課題となって残りそれにどう対応したのかが概略分かるようになっています。
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東電・柏崎刈羽原発 再稼働への道のり
                    FNNプライムオンライン 2023/11/18
世界最大の原子力発電所
新潟県の柏崎市と刈羽村にまたがって位置する東京電力・柏崎刈羽原子力発電所。柏崎市側に立地する1号機から4号機、刈羽村側に立地する5号機から7号機の合計7つの原子力プラントで、821万kWを超える出力能力のある世界最大の原子力発電所だ。
しかし、夏や冬の電力ひっ迫が懸念される中、この世界最大の発電所は稼働できないままで、その威力は発揮されていない状況が続いている。2011年の東日本大震災以降、全てのプラントの稼働が停止しているのだ。
東京電力は柏崎刈羽原発の7つのプラントの中でも新しい6、7号機の再稼働を目指していて、「経営再建のカギ」と期待を寄せている。
2022年、政府は脱炭素社会の実現に向けて原子力を最大限活用する方針に大きく舵を切った。この政府の方針が追い風になるかと思われたが、柏崎刈羽原発をめぐっては、これまでの過程で様々な問題が明らかになっている。
原子力規制委員会から改善が求められる中、その最新の状況を取材した。

相次ぐ不祥事と“運転禁止”命令
2011年の東日本大震災以降、全国各地の原子力発電所では「世界でもっとも厳しい水準」とされる新規制基準に基づく安全対策工事が進められている。柏崎刈羽原発もその一つである。
しかし2021年1月、東京電力は原子力規制委員会に対して安全対策工事が「完了した」と報告したものの、実際には未完了の箇所もあったという事実が明らかになった。
また、テロ対策の不備も相次いで明らかになる。
核物質を取り扱う原子力発電所では、テロ対策として外部からの侵入を検知する設備を設置しているものの、故障により長期間にわたり代替措置が不十分な状態だった事案が発生。さらには、建屋内の中央制御室に社員が他人のIDを不正に使用し入っていたという事案も明らかになった。
こうした問題を受け原子力規制委員会は、核物質防護の観点から最も深刻なレベルにあるとして、東京電力に対し、再稼働に必要となる核燃料の移動を禁止する是正措置命令を出した。これは事実上の運転禁止命令で、柏崎刈羽原発が現在運転を停止している理由である。

新所長のもとで改革するも…
こうして一連のテロ対策上の不祥事の責任を取る形で、柏崎刈羽原発の所長は交代させられ、2021年10月に現在の所長、稲垣武之氏が就任。
信頼の回復と改善に向けて歩みを始めたかと思いきや、原子力規制委員会の山中委員長は、2023年3月の定例会合で東京電力に対して「かなり厳しい状況だと受け止めました」と苦言を呈した。
原子力規制委員会は運転禁止命令が出ている柏崎刈羽原発に対し、再稼働に必要な追加検査を行っていたが、その途中経過で、不審者の侵入を検知する設備が想定通り作動しなかったり、誤った警報が鳴るなど、27の検査項目のうち6項目で改善が必要だと評価した。
東京電力はそこから改善を図るも、2023年5月の定例会合で示されたのは、追加検査の27項目のうち4項目で「現時点では改善が不十分」との結果だった。
原子力規制委員会は、運転禁止命令は解除しないことを確認し、再稼働は見通せなくなった。

再稼働に向けた取り組み
そこからおよそ半年がたった2023年11月、5月に指摘された不審者の侵入への監視体制などへの取り組み状況を報道陣に公開した。
まず紹介があったのは、緊急時への体制の構築だ。2万トンの水を貯めた巨大な貯水池のほか、ポンプ車を38台配備。
さらには、電源がなくても原子炉の蒸気の力で原子炉内に注水できるポンプも新たに設置した。そして、現場での個別の訓練は3万回を超え、再稼働に向けての万全な体制をアピールした。
東電担当者これが今回新たに追加した箇所になります。

貯水池がある場所からさらに内部に進み、周辺防護区域に入ると、そこにはいくつもの「検問」があった。
内部に入るためには、複数の生体認証を通過しなければならず、テロ対策上、何を使った生体認証かは教えてもらうことはできなかったが、作業員は何度もその「検問」を受けていて、厳重な管理がなされているのを目の当たりにした。

満足のいくところまで「もう一歩…」
安全対策上、そしてテロ対策上の様々な取り組みが進む中、改善に向けて旗振り役を担っている柏崎刈羽原子力発電所 稲垣武之所長は、「満足したかというと、もう一歩というところ」と、現状を評価した。
一連の不祥事を踏まえた対応策として、柏崎刈羽原発は、(1)核物質防護、(2)安全対策工事と主要設備の機能、(3)緊急時対応、(4)発電所内のコミュニケーションが十分であること、の4点を目指す姿として公表しているが、稲垣所長はこれらを自分自身が「納得しないと再稼働の『さ』も言わない」と、これまで話してきた。
この日、稲垣所長は満足するまでには「もう一歩」というが、まだ足りていない部分とは何なのか。
柏崎刈羽原子力発電所 稲垣武之所長燃料を装荷してからも何ヶ月かの単位で作業を進め、地元の了解も必要になる。

原子力規制委員会による核物質防護上の追加検査に合格しなければ前に進まないのは言うに及ばず、その先に必要なこととして2点指摘した。「運転員の確保」と「地元の理解」である。
原子炉は10年以上停止していて、運転を経験したことがある運転員は、6~7号機で半分程度しかいないとして「力量の部分も向上させなければならない」と指摘した
運転を経験していない運転員が、いかに経験している運転員からノウハウを継承できるかが課題となっている。
また、再稼働には地元の理解が必要不可欠だ。稲垣所長は、これまで柏崎市、刈羽村の住民とコミュニケーションを取ってきた中で「厳しい意見や温かい意見もある」とした上で、「コミュニケーションという観点では大分とれてきた」と評価した。
しかし、新潟県の住民からは「運転する資格はあるのかという疑念を抱かれている」との懸念も示し、積極的なコミュニケーションの必要性も強調した。
そして、今後、再稼働までのプロセスを完了するまでにどのくらいかかるのかと問われたところ、稲垣所長はこのように述べた。
柏崎刈羽原子力発電所 稲垣武之所長一概に何ヶ月で終わるとは言えない。
14日、東京電力は原子力規制庁に対し、改善を求められていた4項目すべての是正完了を報告した。
今後、原子力規制庁が4項目に関する取り組み内容を報告書にまとめ、原子力規制委員会の山中委員長が現地視察をしたうえで、定例会合で運転禁止命令を解除するかどうか、再び判断することになる。
地元の理解も含め、再稼働に向けた課題がなお残っている。
          【執筆:経済部 経済産業省担当 秀総一郎】