2020年7月31日金曜日

29日分の記事掲載遅延のお詫び

 事務局の手違いで29日の記事が掲載されていませんでした。
 29日午後に記事を掲示できる状態にしておいたのですが、「下書き」状態のまま放置し、「公開」の措置を怠ったためずっと掲載されない状態のままになっていました。
 
 本日そのことに気付き「公開」の措置を取りましたので、さかのぼって29日の場所に掲示されました。
 以上お詫びかたがたお知らせいたします。

トラブルにミス続出、需要もない…それでも「適合」再処理工場

 青森県六ケ所村再処理工場原子力規制委の審査を経て新規制基準に正式に合格しました。
 しかし、規制委に寄せられた国民の意見は、運営する日本原燃(原燃)の資質を疑問視するもので埋まり、規制委の委員らも同調しています
 再処理工場は既に核燃料サイクルという目的失っているので、そもそも存在する意義自体がありません。
 規制委はそのことも認めた上で、新規制基準に適合していれば「適合」とするしかないという立場です。
 東京新聞が審査書案に国民から寄せられた意見とそれに対する規制委の回答を紹介し、そうした事情に触れました。
 再処理工場は無用なだけでなく、稼働すれば周辺や海域を極度に汚染する有害な施設で、稼働すればさらに運転経費として数十兆円が無駄に消費されます。
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トラブルにミス続出、需要もない…それでも「適合」再処理工場
東京新聞 2020年7月30日
◆青森・六ケ所村の再処理工場が新規制基準に適合
 原発の使用済み核燃料の再処理工場(青森県六ケ所村)が新規制基準に適合し、稼働への条件を一つクリアした。しかし、原子力規制委員会に寄せられた国民の意見の多くは、運営する日本原燃(原燃)の資質を疑問視し、規制委の委員らも同調した。不安が渦巻く中で、再処理工場は核燃料サイクルという目的さえ失っている。 (福岡範行、渡辺聖子)

◆傍聴席からいらだちの声
 「技術的能力について、一般の方が非常に心配になられているのは非常によく理解できます」。29日の規制委定例会合で、山中伸介委員は原燃への憂慮を口にした。伴信彦、田中知さとるの両委員も同じだった。
 延べ765件に上った国民からの意見公募は、「適合反対」の声で埋め尽くされ、原燃の能力不足の指摘だけでも100件以上。傍聴席から「何人も不安視してますよ」といらだつ声が飛ぶ。それでも更田豊志委員長が適合と決定するかどうか促すと、委員らは「異存ありません」。原燃の能力については、規制委事務局が今後の検査などで確認するとしただけで、46分間の審議が終わった。



◆試験でトラブル、書類でも不備多数、偽りも
 再処理の工程では、極めて強い放射線を出す高レベル放射性廃液が生じる。これを保管するため、ガラスと混ぜてガラス固化体(核のごみ)にする必要があるが、原燃は製造試験で何度もトラブルを起こした
 2014年1月に始まった新規制基準の審査では、書類の不備が相次ぎ、規制委の審査担当者も「ミスが多いというのが実態」とあきれたほどだ。17年夏には、施設の非常用電源建屋への大量の雨水流入が発覚。14年間も点検していなかっただけでなく、「異常なし」と虚偽の日誌を作っていたため、審査は半年ほど中断した。
 審査が事実上終わり、意見公募の受付期間が過ぎた今年6月末になって、原燃は放射性廃棄物の不適切な保管状態を改善していなかった、と規制委に報告。ずさんさは相変わらずだ。

◆再処理してもその後は…
 「われわれのミッションは、使用済み燃料を少しでも処理し、空きをつくって、受け入れる体制をつくることだ」と原燃の増田尚宏社長は話した。
 未完成の再処理工場は、全国の原発から出た使用済み核燃料の保管場所になっており、貯蔵プールはほぼ満杯。原発自身のプールに空きがなくなれば、それ以上は稼働できず、電力会社にとって死活問題だ。
 再処理工場は核燃料サイクルの要だが、再処理後に造る混合酸化物(MOX)燃料を使うはずだった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)が廃炉となり、存在意義を失った。通常の原発でMOX燃料を使う「プルサーマル発電」も増える見込みがなく、再処理の需要はない 



 長谷川公一・東北大名誉教授(環境社会学)は「再処理工場は、使い道のないプルトニウムが生み出される矛盾に満ちた施設」と指摘。福島第一原発事故後は世界的に再生可能エネルギーへの転換が進む中で「激変する環境に対応できない日本のエネルギー政策のシンボルだ」と批判した。

核燃料サイクル政策 原発の使用済み核燃料からプルトニウムやウランを化学処理(再処理)で抽出し、混合酸化物(MOX)燃料として再利用する政策。燃料の有効利用が目的で高レベル放射性廃棄物の量も少なくなるとされるが、中核となる再処理工場の完成が遅れ、各地の原発で使用済み燃料がたまり続けている。政府、電力業界は普通の原発でMOX燃料を使うプルサーマル発電を進めるが、東日本大震災以降、実施したのは4基にとどまる。

女川2号機 宮城県検討会が知事に最終報告 再稼働の是非に言及せず

 女川原発2号機の安全性を検証する宮城県の有識者検討会は29日、仙台市内で第24回会合を開き、検討結果をまとめた報告文書を村井嘉浩知事に提出しました。東北電や国、県に対する意見を論点ごとに記載しましたが、再稼働の是非には言及しませんでした。
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女川2号機再稼働の是非言及せず 宮城県検討会が知事に最終報告
河北新報 2020年07月30日
 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の安全性を検証する宮城県の有識者検討会は29日、仙台市内で第24回会合を開き、検討結果をまとめた報告文書を村井嘉浩知事に提出した。東北電や国、県に対する意見を論点ごとに記載したが、再稼働の是非には言及しなかった。2014年11月に始まった議論の場は5年8カ月で終了した。

 検討会の意見は、村井知事が東北電との安全協定に基づく施設変更への「事前了解」、政府から再稼働への判断を求められている「地元同意」の重要な資料となる。
 会合後、村井知事は「(13年12月に)東北電から事前協議の申し入れを受けてから時間がたっている。いつまでも回答しないというわけにはいかない」と強調。「再稼働ありきではない。報告文書を参考に判断したい」と述べた。

 報告文書は137ページ。東日本大震災後の施設の健全性と新規制基準への適合性を柱に91項目の論点を挙げ、有識者の見解や指摘を盛り込んだ。
 東北電には、安全対策に最新の知見を反映するとともに、県民への丁寧な説明を要請。重大事故時を想定して更新した設備を確実に運用するよう訴えた。
 国に対しては、震災の揺れと津波を受けた原発として、工事計画の認可でも施設の健全性を考慮した審査を求めた。県には、空間放射線量のモニタリング結果を速やかに分かりやすく県民に伝えるよう要望した。

 座長の若林利男東北大名誉教授(原子力システム安全工学)は終了後、「十分な議論ができた。専門家として参考意見を述べる役割に徹した」と振り返った。
 検討会は津波工学、原子炉工学などを専門とし、女川原発に詳しい有識者10人で構成された。

31- 福島原発 放射性物質含有処理水 9月にも再浄化試験

 福島原発処理水のなかには、トリチウムの他に含まれてはならない放射性物質が混入したものが約2千トン含まれています(詳細な原因は不明)。
 東電は、それを再処理して除去する再浄化試験を9月から行うということです。
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東電、9月にも処理水再浄化試験 福島第1原発、高濃度の2千トン
共同通信 2020/7/30
 東京電力は30日、福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水のうち、トリチウム以外の放射性物質も高濃度で含む約2千トンの再浄化試験を9月にも始めると発表した。来年1月ごろまでかけて、トリチウム以外の濃度が国の基準値以下に低減するか確認する。再浄化は2週間ほどで済むが、放射性物質の分析に数カ月かかるという。

 東電は多核種除去設備(ALPS)で汚染水を浄化処理しているが、トリチウムは取り除けず、敷地内のタンクに約120万トンたまっている。このうち約7割には、設備トラブルや吸着材の交換頻度不足のため、ヨウ素129なども基準を超えて残っている。

2020年7月30日木曜日

2030年の再エネ比率40%に 経済同友会が提言

 経済同友会は29日、2030年に再生可能エネルギーの比率を40%まで引き上げるべきだとの提言をまとめました。そのうち太陽光と風力で30%にするということです。
 因みに18年度の再エネ比率は17%です。
 原子力ムラを抱える経産省では埒が明かない中で、経済同友会が動き出したのは喜ばしいことです。
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2030年の再エネ比率40%に 経済同友会が提言
共同通信 2020/7/29
 経済同友会は29日、2030年に再生可能エネルギーの比率を40%まで引き上げるべきだとの提言をまとめた。多くの原発で再稼働が進まず、気候変動問題に対応するには、再エネの大幅拡充が必要だと判断した。
 18年度の再エネ比率は17%だった。提言では40%の達成には、政府の主導的な取り組みと、民間企業の積極投資が必要だと指摘。40%のうち、太陽光と風力で30%、水力やバイオマスなどで10%を賄う案を示した。
 提言では再エネ比率が40%なら、原発稼働が現在の水準にとどまっても、温室効果ガスの排出削減目標は達成できると試算した。

安全確保県民会議 有効な風評対策要求 政府に

有効な風評対策要求 処理水処分巡り、県民会議が政府に
福島民友ニュース 2020年07月29日
 東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水を巡り、経済産業省は28日、「原発の廃炉に関する安全確保県民会議」の会合で政府小委員会がまとめた報告書を説明した。兼本茂議長(会津大名誉教授)は処分方法を決める政府に対し、風評被害の要因を丁寧に分析した上で、有効な情報発信などの対策を示すよう求めた

 県民会議は県民や学識経験者、各種団体の代表で構成。委員からは小委報告書で現実的な選択肢とする海洋放出の容認意見や、海洋放出への懸念が相次いだ。これを踏まえ兼本議長は国に「心の安心につながるには何をしたらいいのか。目に見える形で(対策を)考えてほしい」と述べた。
 県民枠の委員のうち、川内村の遠藤真一さんは「本県復興や双葉郡の再生のためにも、早くこの問題を解決して前を向くべきだ」と指摘。浪江町の岡洋子さんは「浪江町は震災で全てを失ったが、前向きに生きている。(処理水の問題について)頑張っている人には『また何か起こるのではないか』との不安がある」と述べた。双葉町の中野守雄さんは「国民の放射線の知識レベルを上げていかないと次のステップに進めない」とし、世界の原発の状況や放射線について、簡単な表現で繰り返し情報発信することが重要だとした。
 報告書を説明した政府の廃炉・汚染水対策現地事務所の木野正登参事官は「さまざまな意見を含め、しっかり判断する。方針決定の際は風評対策を示していく」と約束した。

 小委は2月、国内外の実績などを踏まえ、処理水を薄めて海に流す海洋放出が最も現実的だとする報告書をまとめた。東電は現計画で原発敷地内の保管タンクは2022年夏にも満杯になると試算。準備に約2年かかるため、逆算すれば今夏から今秋ごろが方針決定の期限との見方が関係者の間で広がっている。

再処理工場が審査合格

青森県の再処理工場が審査合格 原子力規制委、核燃サイクル中核
共同通信 2020/7/29
 原子力規制委員会は29日の定例会合で、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の安全対策が新規制基準に適合しているとする「審査書」を決定した。工場は正式に審査に合格した。
 工場は、原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、燃料として繰り返し使う国策「核燃料サイクル」の中核施設。合格は本格稼働に向けた一歩となるが、プルトニウムを利用する高速増殖炉は原型炉もんじゅ(福井県)が廃炉となり開発が頓挫。一般の原発で使うプルサーマル発電も国の思うように進んでおらず、政策は行き詰まっている。

30- 女川1号機廃炉作業に着手 完了は2053年

東北電、女川1号機廃炉作業に着手 完了は2053年度想定
河北新報 2020年07月29日
 東北電力は28日、女川原発1号機(宮城県女川町、石巻市)の廃炉作業に着手したと発表した。東北電として初となる廃炉は、4段階の全工程を終えるまで34年を要し、完了は2053年度になる見通し。費用の概算は約419億円。廃炉で発生が見込まれる低レベル放射性廃棄物約6140トンの処分先は決まっていない。

 東北電によると、廃炉工程をまとめた「廃止措置計画」に基づき、作業員の被ばく低減のため、原子炉周辺機器や配管に付着した放射性物質を高圧洗浄装置で除去する作業を始めた。
 第1段階(8年)ではこのほか、使用済み核燃料821体を女川3号機のプールに搬出する。第2段階(7年)でタービンなどを、第3段階(9年)で原子炉格納容器などを解体、撤去。第4段階(10年)で原子炉建屋などを解体し、廃炉を完了する。
 使用済み燃料は廃炉終了までに日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)へ譲渡する。それまでは、金属容器に収めて空冷する「乾式貯蔵」施設を敷地内外に設置することなどを検討する。
 女川1号機は1984年に営業運転を開始。東日本大震災では自動停止した。東北電は原則40年の運転期間を延長するためのコストや出力規模などを考慮し、18年12月に廃炉を届け出、今年3月に廃止措置計画が原子力規制委員会の認可を受けた。
 東北電は「安全確保を最優先に取り組む」との談話を出した。

2020年7月29日水曜日

汚染水処分結論急ぐな 共産党3議員が政府に要請書

 福島第1原発事故で発生しているトリチウム汚染水を薄めて海に放出する処分案などを政府が検討している問題で、日本共産党の高橋千鶴子衆院議員、紙智子、岩渕友両参院議員が27日、梶山経産相あてに、拙速に結論を出さないよう求める要請書を提出しました。
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汚染水処分 結論急ぐな 高橋・紙・岩渕各氏「国民的議論を」 政府に要請書
しんぶん赤旗 2020年7月28日
 東京電力福島第1原発事故で発生しているトリチウム(3重水素)汚染水を薄めて海に流したり大気に放出するなど処分方法を政府が検討している問題で、日本共産党の高橋千鶴子衆院議員、紙智子、岩渕友両参院議員が27日、梶山弘志経産相あてに、拙速に結論を出さないよう求める要請書を提出しました。

 要請書は、この夏にも処分方法を政府・東電が決定するという不安が広がっていると指摘。コロナ禍で十分な国民的議論がされないなか拙速に結論を出さず、あらゆる知恵を探求し当面は陸上でのタンク保管を継続することを求めています
 対応した経産省の須藤治・福島復興推進グループ長は「丁寧にいろんな人の意見を聴きたい」としつつ「現行タンク計画ではいっぱいになる時期がみえている」と答えました。
 高橋氏は、福島県議会や県内21市町村議会、関係団体から反対の声があがるなか決定を急げば「禍根を残す」と指摘。タンクの置き場がないと消去法で決めるのでなく、「時間をかけ知恵を出し合うべきだ」と述べました。
 岩渕氏は福島の若者の取り組みを紹介。「風評対策と言うが、今ある被害の賠償さえ打ち切られている。これ以上、事故の責任を県民・国民に押しつけるのか」と問いました。
 紙氏は「時間がないと言うが、東電や国の都合で進めているのではないか」と批判。国民的議論のうえで、漁業者や農林業など事故の被害を受けている人が希望をもてるような解決法を求めました。

女川2号機 宮城県検討会は再稼働の是非に触れず終了へ

 宮城県は29日、女川原発2号機の技術的な安全性を検証する有識者検討会の最終会合を仙台市内で開きますが、再稼働の是非には触れずに終える見通しです
 検討会は有識者10人で構成し、これまでに23回開催し、91の論点について東北電力の説明を求めました。
 座長の若林利男東北大名誉教授(原子力システム安全工学)は「有意義な議論ができた。県民に分かりやすい形で検討結果をまとめたい」と話し、事務局の県原子力安全対策課は「(再稼働の是非を巡る)結論を出す場ではない」と説明し、意見集約後に閉じる考えです。

 会合を傍聴してきた市民団体「女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション」の篠原弘典世話人は「有識者は意見を言うだけで、議論になっていなかった。工事は続いており、検討会がなくなれば、県として県民に責任を果たせない」と指摘します
 河北新報が報じました。
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女川2号機再稼働の是非触れず終了へ 宮城県検討会あす最終会合
河北新報 2020年07月28日
 宮城県は29日、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の技術的な安全性を検証する有識者検討会の最終会合を仙台市内で開く。取りまとめる意見は、村井嘉浩知事が2号機の再稼働を認めるかどうか判断する重要な材料の一つになる。2014年11月から5年8カ月をかけたが、再稼働の是非には触れずに終える見通し。市民団体などは「検討は不十分」と指摘する。

 検討会は原子炉工学や津波工学が専門で女川原発に詳しい有識者10人で構成し、これまでに23回開催。東日本大震災で被災した原発の安全性、国の新規制基準への適合性を中心に91の論点を挙げ、東北電から説明を求めた。15年1月と19年4月には現地を視察した。
 計76時間に及んだ検討会で出た意見や要望は表の通り。東北電の震災時対応を踏まえ、原子炉と周辺の安全対策や津波対策の充実を訴えた。検討会は3月の前回会合で、原子力規制委員会から、新規制基準に2月に合格した審査の経緯について説明を受けた。
 座長の若林利男東北大名誉教授(原子力システム安全工学)は「有意義な議論ができた。県民に分かりやすい形で検討結果をまとめたい」と話す。

 検討会は東北電との安全協定に基づき、施設変更の事前協議に了解するかどうかを判断するため設置された。事務局の県原子力安全対策課は「規制委より詳しい審査は難しい。(再稼働の是非を巡る)結論を出す場ではない」と説明し、意見集約後に閉じる考えだ。
 県の姿勢を巡り、再稼働に慎重な立場の人からは疑問の声が上がる。県内の市民団体や野党系県議グループは、東北電の安全対策工事の完了時期が22年度に延期されたことを受け、検討会の設置継続を要望する。
 会合を傍聴してきた市民団体「女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション」の篠原弘典世話人は「有識者は意見を言うだけで、議論になっていなかった。工事は続いており、検討会がなくなれば、県として県民に責任を果たせない」と指摘する。

女川原発再稼働 地元判断へ 動きが本格化

 東北電力が22年度再稼働を目指す女川原発2号機について、地元同意を巡る動きが本格化してきました。
 8月1日から宮城県主催の住民説明会が始まり、村井嘉浩知事は2市町長と原発を視察します。
 一方、各首長の判断に大きな影響を及ぼす立地自治体の女川町と石巻市の議会は、再稼働の賛否に関する陳情・請願の委員会審査を進めています。
 毎日新聞が伝えました。
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女川原発再稼働 地元判断へ、動き本格化 知事と2市町長、来月視察 /宮城
毎日新聞 2020年7月28日
 東北電力が2022年度以降の再稼働を目指す女川原発(女川町、石巻市)2号機について、地元同意を巡る動きが本格化してきた。今週末の8月1日から県主催の住民説明会が始まるが、村井嘉浩知事は2市町長と原発を現地視察すると発表。一方、各首長の判断に大きな影響を及ぼす2市町の議会は、再稼働の賛否に関する陳情・請願の委員会審査を進めている。【百武信幸、深津誠】

 村井知事は27日の定例記者会見で「(地元同意の)意思決定を表明するのは私なので、決める前には市町村長の意見を聞き、女川原発の視察もする」と表明。女川町の須田善明町長、石巻市の亀山紘市長とともに8月6日に訪問する方針を明らかにした。

 視察は新規制基準に対応した地震・津波対策や重大事故対策を確認するのが目的。2号機建屋内のフィルターベント装置や高さ29メートルの防潮堤などをチェックし、東北電側から説明を受けるという。

 視察と前後し、県は8月1~19日、県内7会場で、内閣府や原子力規制庁が事故時の対応や安全性について説明する住民説明会を開く。地元同意に必要な手続きで、1日の女川会場に参加予定の村井知事は「皆さんがどういう疑問を持ち、国がどう説明するか確認する」。複数の県議や市民団体から、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、延期を求める声が上がるが、県に変更の予定はなく、席に余裕のある4会場で追加募集も始めた。

 一方、重大事故時に多大な影響を受ける女川町と石巻市。各議会の委員会では地元団体から出された再稼働賛成の陳情と反対の請願の採否についての審査が進む。石巻市議会の委員会は27日、内閣府の担当者を招き、原発の緊急事対応について質疑した。委員の一人は原発のある牡鹿半島の道路は複合災害時に寸断の恐れがあるとして「国の直轄で道路を整備してほしい」と要望。担当者は「避難道路の確保は安全安心に重要で、国交省や県など関係機関と連携して取り組みたい」と返答した。今後、資源エネルギー庁の担当者らからも聞き取りする。

 女川町議会の原発対策特別委も21日に内閣府から説明を聞いた。来月1日の住民説明会で他の機関の説明を受け、採択すべきか審査。各首長は議会の採否を受け態度表明するとみられるが、両議会の委員会とも早ければ9月議会に結果を報告する可能性がある。

29- 原発事故の賠償費、負担額を電力各社が申請(続報)

 共同通信が、原発事故の賠償費負担額を電力各社が申請した件に関する続報を出しましたので紹介します。
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原発事故の賠償費、負担額を申請 大手9社、新電力からも回収
共同通信 2020/7/28
 原発を持つ大手電力9社の送配電会社は28日、原発事故の賠償費の一部を送電網の利用料に上乗せして回収するため、電力小売会社に請求する負担額を経済産業省に申請した。大手だけでなく新規参入の電力会社(新電力)からも、東京電力福島第1原発事故以前に積み立てておくべきだった約2兆4千億円を、40年かけて回収する。
 東京電力ホールディングスの送配電会社など5社は、送電網の利用料を1キロワット時当たり0.03~0.18円値上げする。値上げ幅は上乗せの必要がなくなる、原発の使用済み核燃料の再処理費用を相殺して算出した。
 値上げは感染拡大を踏まえ、21年10月からとする。

2020年7月28日火曜日

海に流すな原発汚染水 福島の若者

海に流すな原発汚染水 福島の若者
しんぶん赤旗 2020年7月27日
 福島県内の若者でつくるDAPPE(ダッペ)は26日、福島市で東京電力福島第1原発の汚染水の海洋放出に反対する集会を開き、約50人で繁華街をデモ行進しました

 DAPPEの久保田亮さん(31)が「この強引な海洋放出に私は反対です。具体的な風評被害対策も示されないまま、『基準値以内に希釈するから大丈夫』と思い込むのは、新たな安全神話の始まりです」と強調。31日まで募集している政府のパブリックコメントに広く意見を届けるよう呼びかけました。
 福島県の漁師が「9年半かけて試験操業から本格操業にまでこぎ着けた。海洋放出はその努力を無にする」と怒りの声を上げ、商店経営者が「復興への努力も県民の命運も一切が絶たれる。断固反対です」と訴えました。

 日本共産党の岩渕友参院議員と無所属の金子恵美衆院議員が参加。岩渕議員は「加害者である国と東電が、被害者の国民に対してこれ以上ツケを押し付けるのは絶対に許されません」と訴えました。
 社民党の福島瑞穂党首や立憲民主党、国民民主党の国会議員らも、動画や文書でメッセージを寄せました。

 集会に先立つ25日にインターネット上で行われたツイートデモには全国各地から「#汚染水の海洋放出決定に反対します」といっせいに書き込みがあり、連帯を広げました。

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青年たちによる汚染水の海洋放出反対デモ行進=26日、福島市

28- 福島原沿岸にセシウム流出 大雨で土壌から

大雨で土壌のセシウム流出、福島 汚染水減り濃度上昇の主因に
 共同通信社 2020/07/27
 大規模降雨で表面の土壌と共に河川などを経由して、東京電力福島第1原発の沿岸へ流れ出した放射性物質セシウムが2015年以降、流出総量の大半を占め、海水のセシウム濃度を上昇させる主因になっているとの研究結果を、筑波大の青山道夫客員教授が27日までに発表した。
 汚染水の漏えいを防ぐ海側遮水壁が15年に完成して直接漏えいが減り、大規模降雨時に流出したセシウムの割合が相対的に増加したことが主な理由とみている。
 青山客員教授は第1原発の南10キロの福島県富岡町の富岡漁港で14年6月から海水を採取し、セシウム137の濃度を調査。今月12日に発表した。

2020年7月27日月曜日

玄海原発訴訟10年 活動報告と講演会

玄海原発訴訟10年 活動を報告 住民団体、佐賀市で
佐賀新聞 2020年7月26日
 佐賀県などの住民らでつくる「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(石丸初美代表)が25日、佐賀市のアバンセで提訴10周年活動報告会と講演会を開いた。九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)に関する裁判の弁護団長を務める冠木(かぶき)克彦弁護士が反原発闘争などをテーマに講演した。

 玄海3号機MOX燃料使用差し止め訴訟の提訴から10年を迎えることや、これまでの活動などに触れ、石丸代表が「みなさんの支えで今日に至っている」と感謝した。玄海3、4号機の運転差し止めなどを求めた二つの訴訟が8月28日に結審を迎えると説明し、「一人で原発は止められない。これからも諦めないでいきたい」と話した。

 講演会はビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を用いて行われた。県外から参加した冠木弁護団長は「原発は憲法違反だと思いませんか?」をテーマに「原発をつくることは憲法上認められないと踏み込んでもいいのではないか」などと訴えた。

27- 原子力学会が福島原発の廃炉方法について報告書

福島第一原発 廃炉方法について報告書まとめる 日本原子力学会
NHK NEWS WEB 2020年7月26日
メルトダウンを起こした東京電力福島第一原子力発電所の廃炉について、日本原子力学会はすべての建屋を撤去する方法と、一部を残す方法があるなどとする報告書をまとめました。国はまだ廃炉の最終的な形を示しておらず、学会は議論を進めることが重要だと指摘しています。

福島第一原子力発電所の廃炉について、国と東京電力は、事故から最長40年かけて終えるとするロードマップを示していて、あと30年余りとなっていますが、最終的にどのような形で廃炉を完了するか明確にしていません。
これについて日本原子力学会はこのほど報告書をまとめ、
▽すべての建屋を解体撤去し、さら地に戻すケースと
▽地下の構造物は残して管理などする
ふたつの方法があるとしています。
いずれも廃炉で先行する欧米で検討されている方法だということです。

また、汚染が残る施設の解体をすぐに始めるか、一定期間置いて、放射線量を下げてから解体撤去を始めるかによって放射性廃棄物の量が大きく変わるとも指摘しています。

報告書をまとめた日本原子力学会の委員会の宮野廣委員長は「廃炉の最後の形にはさまざまな議論があり、集約は難しいと思うが、議論することが重要だ。この報告書をきっかけにしてほしい」と話しています。

2020年7月26日日曜日

魚のセシウム排出、1匹ずつ飼育して分析

魚のセシウム排出、1匹ずつ飼育して分析 福島県水産資源研
河北新報 2020年07月21日
 魚が体内に取り込んだ放射性物質をどう排出するのか把握するため、福島県水産資源研究所(相馬市)が1匹ずつ飼育して分析する研究を始める。これまでの調査で、同じ種類の魚でも放射性物質を体外排出する速度に個体差があるらしいことが分かっており、さらに詳しく調べてメカニズム解明を目指す。

 県沖のモニタリング調査では、ほぼ全ての魚の放射性物質濃度が0ベクレルか検出限界未満。ただ、ごくまれに1キログラム当たり数十ベクレル程度(国の基準値100ベクレル)が検出されることがあるという。
 理由ははっきりしていないが、担当する森口隆大研究員は「生息環境の影響に加え、個体によって放射性物質の排出速度が違う可能性がある」と推測。蓄積や排出のメカニズム解明は「沿岸漁業復興の後押しにもなる」(森口氏)として本格研究に乗り出す。

 魚と放射性物質の関係を探る研究はこれまで、実験のほとんどが群れで飼う方式で行われてきた。群れでは個体差を調べるのに不十分なため、今回は一つの水槽で1匹ずつ飼育する。
 研究所で種苗生産しているホシガレイを使い、1歳魚6匹を50日間、個別に飼育する。期間の前半は放射性のセシウム137が入った餌を与え、後半は通常に戻す。
 定期的に魚と水槽内の水の放射線量を測り、排出速度などを調べる。比較のためずっとセシウム入りの餌を与える実験も行う。実験データを使い、体内に取り込まれたセシウムが半分に減るまでの時間「生物学半減期」などを計算する。

古里浪江で酒造り再開へ 鈴木酒造店

古里浪江で酒造り再開へ 原発事故で長井に避難「鈴木酒造店」
河北新報 2020年07月25日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県浪江町から山形県長井市に醸造拠点を移した「鈴木酒造店」が来年初め、同町での酒造りを復活させる。2011年3月の震災発生から10年の節目。社長の鈴木大介さん(47)は「これから浪江に住む人が誇りに思えるものづくりをしたい」と意気込む。

 鈴木酒造店は22日、浪江町で8月1日にオープンする「道の駅なみえ」に併設予定の地場産品販売施設への入居が内定した。販売施設の開業時期は新型コロナウイルスの影響で不明瞭だが、来年1、2月ごろを予定している。
 床面積約350平方メートルで、酒蔵と販売コーナーを設ける。浪江産の酒米を用い、新たにリキュール類やオリジナルの日本酒も開発を進める方針。来場者は酒蔵で醸造工程の見学もできるという。

 江戸時代から続く鈴木酒造店は銘酒「磐城壽(いわきことぶき)」などで知られるが、津波で酒蔵が全壊。原発事故が追い打ちとなり、鈴木さんは一家で米沢市へ避難した。その後、長井市に醸造拠点「長井蔵」を設けて移り住み、11年末に酒造りを再開。17年には全国新酒鑑評会で金賞に輝いた。
 被災後も新銘柄の開発など挑戦を重ねてきた鈴木さん。今後も長井蔵で醸造を続けつつ、古里の酒蔵でさまざまな試みを計画する。
 鈴木さんは「10年は早かったが、積み重ねてきた苦労一つ一つの重みを感じる。醸造や販売を通じて浪江の人たちの暮らしを掘り起こし、品質の高い酒を造りたい」と話す。

26- 川俣・山木屋に町内初「ゲストハウス」

川俣・山木屋に町内初「ゲストハウス」 にぎわい取り戻す拠点
福島民友 2020年07月26日
 川俣町山木屋地区に9月1日、町内で初めてとなるゲストハウス「コテージ やまこや」がオープンする。オーナーを務める紺野希予司さん(68)は「山木屋地区のにぎわいを取り戻す新たな拠点になるはず」と期待を込める。

 山木屋地区は2017(平成29)年3月末に、原発事故による避難指示が解除された。紺野さんは、地区外に生活の拠点を移した住民が墓参りなどの用事で地区を訪れた際に「用事を済ませて地区外に戻るのではなく、一晩でもいいから家族で集って山木屋でゆっくりしてほしい」との思いで、ゲストハウスの構想を昨年から練ってきた

 紺野さんは、ゲストハウスに隣接する敷地で、そば店「語らい処 やまこや」を営んでいる。避難指示解除に伴い帰還した住民が集う憩いの場として同店は誕生したが、紺野さんは「思い通りに住民の帰還が進まないのが現状。地区の活気をさらに取り戻すことが課題」と話す。
 木造2階建てのゲストハウスは最大14人が宿泊可能で、1棟を貸し切りで利用できる。キッチンやベッド、広いリビングなどを備える。そば打ち体験や、郷土料理「ざくざく」作り体験などのプランも用意している。利用料などの詳細はウェブサイト(https://yamakoya.com/)に掲載している。月、火、水曜日は定休日。問い合わせは語らい処 やまこや(電話024・563・2342)へ。