2022年10月31日月曜日

福島第1原発3号機 制御棒など高線量の機器を取り出し11月末にも開始

 福島第原発3号機では21年2月に使用済み燃料プールから全ての燃料の取り出しが完了していますしかしまだ制御棒などの高線量の機器が残っていることから11月末にも取り出し作業を始める計画です。因みに500シーベルトの場合、1分間照射されると致死量に達します。

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福島第一原発3号機で制御棒など高線量の機器を取り出しへ 東京電力が11月末にも開始
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燃料が溶け落ちる過酷な事故を起こした福島第一原発3号機では、2021年2月に使用済み燃料プールから全ての燃料の取り出しが完了した。
しかし、プールの中には、まだ制御棒などの機器が残っていることから、東京電力は11月末にも取り出し作業を始める計画を10月27日示した。
線量は、機器によっては数百シーベルトと非常に高いことから、クレーンを使い遠隔で行われる。
取り出された機器は、専用の施設で保管され、作業は2025年度まで続けられる予定だ。

風評被害に「しっかり対応」と西村経産相、原発処理水の放出めぐり

 西村康稔経済産業相は30日、福島県相馬市の松川浦漁港などを訪れ、地元漁業者らと意見交換しました。相馬双葉漁業協同組合の漁業者ら5)からは「適正価格で確実に売れるようにしてほしい」「現地の意見がすぐに取り入れられるよう国とが連携を密にしてもらいたい」など要望が出され、西村氏は「受け止めてしっかり対応していく」と述べました。地元の業者らと意見交換をしたのは評価できますが、合意は得られるのでしょうか。

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風評被害「しっかり対応」 西村経産相、原発処理水巡り 福島
                            時事通信 2022/10/30
 西村康稔経済産業相は30日、福島県相馬市の松川浦漁港などを訪れ、地元漁業者らと意見交換した
 東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を巡り、風評被害への懸念が相次いで示されたことに対し「受け止めてしっかり対応していく」と述べた。
 国や東電は来年春ごろの海洋放出開始を目指し、関係者らへの説明や設備工事を進めている。ただ、地元では処理水放出に伴う風評被害への不安が根強い。意見交換には相馬双葉漁業協同組合の漁業者ら5人が参加し、「適正価格で確実に売れるようにしてほしい」「現地の意見がすぐに取り入れられるよう(国と福島県が)連携を密にしてもらいたい」などと要望した
 西村氏は意見交換後、記者団の取材に応じ「産業界、全国の自治体とも連携し、福島産の水産物の魅力を発信して、消費拡大を進めていくための新たな枠組みの構築に着手する」と表明。年内をめどに具体化する考えを示した。


原発処理水関連の新基金「300億円超」
                            共同通信 2022/10/30
 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、漁業の継続支援を目的に政府が新設する基金について、西村康稔経済産業相は30日、福島県内で「すでにある300億円の基金を上回る金額を確保できるよう最終調整している」と述べた。

31- 細野豪志元担当相 「原発の最大限活用」支持 静岡新聞に

 岸田首相は8月、既存原発の再稼働を加速させ、運転期間延長や次世代炉の開発・建設も検討すると表明し、関係省庁が年末までに具体論をまとめる作業をしています。

 そんな中、福島第1原発事故後に民主党政権で原発事故担当相などを務め細野豪志氏(自民、衆院静岡5区)が29日までに静岡新聞社の取材に応じ政府原発を最大限活用する方針について「エネルギー危機に向き合う中で、適切な判断」と支持する考えを示しました。
 浜岡原発に関して11年当時菅直人首相によ全炉停止要請が出された最大の理由は同原発が予想地震帯の震央地に立っているからとされました。
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細野豪志元担当相 「原発の最大限活用」支持 浜岡津波対策「格段に進歩」
                            静岡新聞 2022/10/30
 2011年の東京電力福島第1原発事故後に民主党政権で原発事故担当相などを務め、原発の規制改革に携わった細野豪志氏(自民、衆院静岡5区)が29日までに、静岡新聞社の取材に応じた。政府が今夏に打ち出した原発を最大限活用する方針について「エネルギー危機に向き合う中で、適切な判断」と支持する考えを示した。
 「事故から11年が過ぎ、原子力規制委員会は発足から丸10年となった。原子力の在り方をどう考えるか、検討する一つの節目に来ている」とも語った。
 岸田文雄首相は8月、エネルギー危機克服と脱炭素両立の観点から、既存原発の再稼働を加速させ、運転期間延長や次世代炉の開発・建設も検討すると表明。関係省庁が年末までに具体論をまとめる作業をしている。
 細野氏は担当相在任時に「原則40年、最長60年」となっている現行の運転期間のルールを導入した。福島第1原発と同時期に設計された1970年代前半の原発に関し「リスクが非常に高いと見ていた。確実に廃炉にしたいという思いがあった」と振り返った。
 実際にこれらの廃炉が進んだことで、現行ルールは一定の役割を果たしたとの認識を示した。今後は「年限を区切るのではなく、ある程度の年数がたった原発は常に厳格にチェックしていく方が、安全性が向上するのではないか」と述べた。
 既存原発の再稼働や次世代炉の開発は、原子力分野の技術維持、人材確保などの面からも必要性を指摘した。

 中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)に関しては、11年当時の菅直人首相による全炉停止要請の最大の理由を「津波リスクだった」と説明。先日、約11年ぶりに現地を視察したと明らかにした上で「津波対策は格段に進歩した」と評価した。
 浜岡原発の再稼働を巡っては「規制委員会による審査を着実に進めていく段階」とするにとどめた。一方、政府の要請で停止した特殊事情を踏まえ「審査(の合格)がある程度見えてきた時点で、政府としていろいろな判断をしていくべき。地元自治体とのコミュニケーションも必要になる」と強調した。 (東京支社・関本豪)

2022年10月30日日曜日

柏崎刈羽原発で住民避難訓練 自家用車での避難も

 新潟県は29日、柏崎刈羽原発からの住民避難訓練を行いました。19年に県が策定した原発事故時の「広域避難計画」の実効性を検証するのが狙いで、30キロ圏内に住む約500人が参加しました。圏外の避難先退避自家用車の利用を希望する人が多いため、今回の訓練では初めて車での避難も行い、円滑に移動できるかどうかを確認しました。

 実際の避難時には車で大混雑するためそれをどう評価するかが問題です。積雪時も同様で、当ブログでは下記の件について最大の関心が集まっています。
        (18.2.10)大雪時の原発事故避難に改めて課題
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柏崎刈羽原発で住民避難訓練 震度6強、重大事故想定
                            共同通信 2022/10/29
 新潟県は29日、東京電力柏崎刈羽原発の重大事故を想定した住民避難訓練を行った。柏崎市、刈羽村で震度6強の地震が発生し、7号機の冷却機能が喪失、放射性物質が放出されたと仮定。2019年に県が策定した原発事故時の「広域避難計画」の実効性を検証するのが狙い。
 30キロ圏内に住む約500人が参加し、圏外の複数の市へ退避する訓練も実施。自家用車の利用を希望する人が多いため、今回の訓練では初めて車での避難も行い、円滑に移動できるかどうかを確認した。
 日本海東北自動車道の豊栄SAでは、避難住民に放射性物質が付着していないかどうかを調べ、簡易除染をするテストも行った。

柏崎刈羽原発で安全決起大会

 29日、柏崎刈羽原発で安全決起大会実施されおよそ170人が参加しました。
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安全決起大会で改めて安全意識を高める~東京電力柏崎刈羽原発
                      NST新潟総合テレビ 2022/10/29
29日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所で開かれた安全決起大会。これは発電所内で働く社員の安全意識を高め事故の防止を目的に毎年実施されているもので29日はおよそ170人が参加しました。
柏崎刈羽原発 稲垣武之所長】「働く私ども自身が安心して働ける発電所というものを達成しないといけないと思っている」

柏崎刈羽原発では2021年10月からの1年間で作業中の事故が3件発生しています。 

東北電力が規制料金値上げへ 23年度早期に

 東北電力は28日、大半の一般家庭が契約する「規制料金」を来年4月以降の早い時期に引き上げる方針を発表しました。樋口康二郎社長は、値上げ幅は11.41%を上回るのは明らかだ」と述べました。
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東北電力が規制料金値上げへ 23年度早期に、11%以上か
                           福島民友 2022/10/29
 東北電力は28日、電気料金を全面的に見直し、大半の一般家庭が契約する「規制料金」を来年4月以降の早い時期に引き上げる方針を発表した。燃料価格の高騰を受けた措置。規制料金の変更には国の認可が必要で、値上げされれば2013(平成25)年9月以来となる。
 「従量電灯B」などの規制料金の県内契約数は9月末時点で約85万件。値上げ幅は今後詰めるが、樋口康二郎社長(国見町出身)は会見で「燃料価格の高騰を踏まえれば(前回13年の申請段階の)11.41%を上回るのは明らかだ」と述べた。
 燃料費の上昇分は燃料費調整制度で電気料金に上乗せできるが、6月分から上限に到達した。東北電は上限を超えた分を負担しており、国の認可がいらない「自由料金」で12月分から上限を撤廃する。一方、規制料金は法令で上限を設定しなければならない。
 電気を売るほど損失が生じる「逆ざや」に陥っており、東北電は原価を改めて算定し、規制料金を引き上げる。これにより、工場や商業施設などが利用している自由料金を含め全ての電気料金が今後さらなる値上げとなる可能性もある。

 東北電は28日、22年4~9月期連結決算も発表し、00年度以降で最大となる純損失1363億円の赤字を計上した。経営状況が悪化しており、樋口社長は「苦渋の決断だが、電力の安定供給のために値上げはやむを得ない。経営効率化やコスト削減も徹底していく」と理解を求めた。 

30- 日本原電社長ら役員報酬の一部を自主返納

 敦賀原発2号機の再稼働に向けた安全審査の材料となる地質データを改ざんしていた問題で、原子力規制委の活動に多大な影響を及ぼしたとして、村松衛社長と担当部門を所掌する剱田裕史副社長がそれぞれ11月分の役員報酬の30%を自主返上すると発表しました。
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社長ら役員報酬の一部を自主返納 日本原電(福井県)
                         FBC 福井放送 2022/10/28
敦賀原発2号機の再稼働に向けた安全審査の材料となる地質データを改ざんしていた問題に関連し、日本原電は28日、原子力規制委員会の活動に多大な影響を及ぼしたとして村松衛社長と担当部門を所掌する剱田裕史副社長がそれぞれ、11月分の役員報酬の30%を自主返上すると発表した。(10月28日)
原子力規制委員会は原因究明と再発防止策が確認できるまでとして、審査を中断していたが、10月26日に「社内体制が整った」として、審査を再開することを決めている。
日本原電は「審査資料の信頼性を確保するとともに、継続的な改善を行い、原子力規制検査および審査に真摯に対応していく」とコメントしている。

2022年10月29日土曜日

樋口元裁判長が語る原発回帰の危うさ 新増設、運転期間延長の動き

 岸田首相は8月下旬、原発の再稼働に向け「国が前面に立つ」意向を示し、原子炉の新増設や建て替えを進める姿勢を表明し経産省は、電力需給逼迫を背景とした安定供給や脱炭素化推進のため、既存原発の運転期間延長の法整備検討を開始しました。
 こうした「原発回帰」の動きが強まる中、時事総合研究所代表が、初めて原発の運転差し止めを命じる判決を出した樋口英明氏に話を聞きました。
 樋口氏の発言の中に「岸田首相は原発の恐ろしさが十分に分かっていない」という言葉が出てきます。そうした人物が国のトップで、官邸入りした原発推進派の中心人物である元経産省事務次官・嶋田隆氏に操られるままに原発を動かそうとしているというのが現実です。
      (21.10.09)岸田内閣に送り込まれた「原発推進メンバー」
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「原発を止めた裁判長」が語る原発回帰の危うさ 新増設、運転期間延長の動き
                            時事通信 2022/10/29
 岸田文雄首相は8月下旬、原発の再稼働に向け「国が前面に立つ」意向を示し、原子炉の新増設や建て替えを進める姿勢を表明した。一方、経済産業省は、電力需給逼迫(ひっぱく)を背景とした安定供給や脱炭素化推進のため、既存原発の運転期間延長の法整備検討を開始した。こうした「原発回帰」の動きが強まる中、東京電力福島第1原発の事故後、初めて原発の運転差し止めを命じる判決を出したことで「原発を止めた裁判長」として知られる樋口英明氏に話を聞いた。(時事総合研究所代表 村田純一)

樋口 英明(ひぐち・ひであき)
大阪高裁判事、名古屋地家裁半田支部長、福井地裁民事部総括判事などを歴任。2014年5月、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決を、翌年4月には関西電力高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分決定を出した。2017年8月、名古屋家裁部総括判事で定年退官。退官後は、講演や著書で原発の危険性を訴える活動を展開している。2022年9月には出演映画「原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち」(小原浩靖監督)が公開された。












シンプルな「樋口理論」
 ―大飯原発の運転差し止め訴訟で原発の危険性を指摘した「樋口理論」※1)は非常にシンプルで分かりやすい
樋口 私は極めて当たり前のことを言っただけです。ほとんどの人が「原発訴訟は難しい裁判」と思っています(※2)。100パーセントの人がそう思っていますね。でも、それは思い込みにすぎない。この思い込みを解くのが大変なんです。
 福島であれだけの原発事故が起きたのだから、今はそれより安全になっているだろうと、ほとんどの人は思っています。そう思うのは当然です。私だって裁判の前はそう思っていました。
 多くの国民は政府を信頼しているんです。政府はそんなに間違ったことをしないだろうと。政府は「原発は安全だ」と思ってもらいたいだろうし、世論をそう誘導したいところでしょう。しかし、事故から10年間、原発に代わるエネルギーについて何らの策も採らなかったと言ってよい。日本で考案された「ソーラーシェアリング」(営農型太陽光発電=※3)ですが、残念ながら中国にお株を奪われているのが現状です。
    ※1 (1)原発事故のもたらす被害は極めて甚大(2)それゆえに原発には高度の安全性が求められ
   る(3)地震大国日本において原発に高度の安全性があるということは、原発に高度の耐震性がある
   ということにほかならない(4)わが国の原発の耐震性は極めて低い(5)よって、原発の運転は許さ
   れない(樋口英明著、旬報社「私が原発を止めた理由」)
   ※2 「1992年の伊方原発最高裁判決は『原発訴訟は高度の専門技術訴訟である』としています。
   今でも最高裁は原発差し止め訴訟を『複雑困難訴訟』と名付けています」(「私が原発を止めた理
   由」)
   ※3 一つの農地で、農業と太陽光発電を両立させる取り組み。農地で作物を育てながら、農地に支柱
   を立て、その上部に太陽光パネルを並べ発電事業も行う

耐震設計は一般住宅より低い?
―出演映画や著作で、原発は一般住宅よりも耐震設計の基準が低いと強調していましたが、これはどういう経緯で知りましたか。
樋口 実は、「三井ホーム」のテレビコマーシャルをちらっと見たんです。大飯原発の裁判の終わりごろでした。調べてみると、三井ホームは、同社の住宅は5115ガル(ガル=地震の瞬間的な衝撃力の大きさ、加速度を表す単位)の揺れに耐えるとPRしていた。大飯原発の「3・11」当時の基準地震動(耐震設計の基準とする地震動)は700ガルでした。国土交通省国土技術政策総合研究所によれば、700ガルは震度で言えば震度6弱(おおむね520~830ガル程度)に対応します。
 電力会社は「原子炉や格納容器は十分な耐震性がある。住宅と原発は単純に比較できない」と主張しましたが、原子炉や格納容器につながれている配管が地震によって破損したり、電気系統の故障が原発の運転中に起きたりすれば、冷却機能が失われてメルトダウンし、原子炉や格納容器が破損する恐れがあります。原発の耐震性は配管、配電関係まで配慮する必要があります。

―裁判では、電力会社側が提出してくる膨大な訴訟資料を、裁判官は全て読みこなす必要があるのですか。
樋口 裁判官は裁判の争点に照らして、提出された資料のうち何が重要かを判断しなければなりません。重要でない資料と判断したら、読み飛ばすこともあり得ます。電力会社が重大な資料として提出してきたのは、専ら基準地震動の計算方法でした。
 どういう経緯で700ガルという数字が出てきたのか、その経過が膨大な資料に書かれてある。私が注目したのは、原発の耐震性が高いか低いかです。すなわち、700ガルという計算結果が地震観測記録に照らして高いか低いかの問題です。
 被告の関西電力は「大飯原発の敷地に限っては700ガルを超える地震は来ません」と主張していましたが、それが信用できるか否かが争点でした。700ガルの数値の計算過程、計算方法が争点だと思えば、それに関する膨大な資料を読まなければならない。裁判官はそれで音を上げてしまいます。しかし、原発が安全かどうかの判断をする際においては、計算過程や計算方法よりも計算結果が大切です。
 事件の本質は何かということが分かればいいのです。だから決して難しい裁判ではなかった。事件の本質に関係のない資料まで全部読むとすれば、裁判は5年も10年もかかってしまいます。私の裁判は1年半ぐらいで結審しました。

戦争になれば攻撃対象
―樋口さんの判決はその後、高裁の控訴審で覆されました。原発の運転を容認する判決の方が多いのはなぜだと思いますか。
樋口 本質が分からない裁判官が多いからでしょう。日本で700ガルの地震がよくある地震なのか、めったにない地震なのか。これはとても大事なことで、めったにない地震であれば、運転を容認する判断はあり得るかもしれない。しかし、日本で700ガルを超える地震は各地で頻繁に起きています

―著書によると「2000年以降の20年間で700ガル以上の地震は30回、1000ガル以上は17回」とありました。気象庁のデータによると、震度で言えば、その間に震度6弱以上の地震は日本付近で33回発生していました。
樋口 「700ガルを超える地震は原発敷地に限っては来ない」と電力会社側は主張していましたが、ばかげていると思います。原告側の弁護士も、被告があまりにも多くの資料を提出してくるので、裁判での争点が増えて混乱してしまい、何が大事な争点か、分からなくなっているんです。

―毎日新聞(2022年9月19日付)の世論調査によると、原発の新増設に「賛成」36%、「反対」44%、「どちらとも言えない」20%。既存の原発の再稼働は「賛成」46%、「反対」32%、「どちらとも言えない」21%でした。以前よりも原発反対論は少なく、賛成論が増えているようですが。
樋口 日本の国民は政府を信頼しているところがある。政府が言っているのだから、まあ、そうかなと。エネルギーは足りないし、原発もやむを得ないかなと思う人はいます。福島であんな事故を起こした後なので、政府もしっかり対策を立てているだろうと信頼している。だから、政府を信頼している人が多い自民党支持者は原発に好意的になるのだと思います。

―ウクライナの原発周辺がロシアに攻撃され、懸念されています。日本の原発も安全保障上は危ないのではないでしょうか。戦争になれば、原発は攻撃対象になると思われますが。
樋口 ウクライナの原発が攻撃されたら、ヨーロッパは壊滅すると言われています。ヨーロッパの壊滅と天然ガスの値上がりの問題とは、てんびんにかけるような話じゃない。日本も国防のことを考えたら、原発の停止を最優先課題にすべきでしょう。

愛国心ゆえ
―岸田文雄首相は原発新増設の検討方針も打ち出し、再稼働に前のめりの姿勢ですが、どう見ていますか。
樋口 岸田首相は原発の恐ろしさが十分に分かっていないということでしょう。仮に、岸田首相が原発の危険性を分かっているとしたら、愛国心が欠如しているのではないかと思います。
 私は担当した事件によって原発の危険性を知りました。裁判官は担当した事件について沈黙を守るという伝統に反して、私は退官後も講演したり映画に出たりして原発の危険性を訴えていますが、それは愛国心からです。
 東京電力の元会長ら旧経営陣に13兆円余りの賠償を命じた東京地裁の株主代表訴訟判決(2022年7月13日)でも、「原発の過酷事故が発生すると、わが国の崩壊にもつながりかねない」と指摘していました。原発事故は国を崩壊させかねないと思っています。

―映画にも出演されました。
樋口 私は裁判官を退官した後、大飯原発訴訟の住民側敗訴が高裁で確定したので、講演活動を始めました。しかし、講演では原発の危険性を広く伝えることに限度がありました。そんなに多くの人には広がらない。小原監督から出演を依頼された時は、「樋口さんは一人しかいないし、講演は1カ所でしかできないけど、映画は分身の術が使える。同時多発的に何人もの樋口さんを登場させ、訴えたいことを伝えることができる」と言われて、「分身の術」とは魅力的な言葉だなと思ったからです。

温度上昇の原因は金属紛の混入 高浜4号機

 関西電力は28日、高浜原発4号機が運転再開を予定していた21日、事故時に1次冷却系統の圧力を下げる弁の温度が上昇したトラブルは、点検作業中の異物混入が原因だったとする調査結果を発表しました。運転再開の時期は未定です
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温度上昇の原因は異物混入 高浜4号機、運転再開未定
                            共同通信 2022/10/28
 関西電力は28日、定期検査で停止中の高浜原発4号機(福井県高浜町)が運転再開を予定していた21日、事故時に1次冷却系統の圧力を下げる弁の温度が上昇したトラブルは、点検作業中の異物混入が原因だったとする調査結果を発表した。運転再開の時期は未定としている。
 関電によると、弁に幅約0.3ミリの傷が見つかった。ここから蒸気が漏れ、温度が上昇、警報がなったとみられる。弁は定検中に分解点検しており、点検後の運搬中に金属粉が付着したと推定している。
 関電は分解点検した弁を新品と交換。部品を取り付ける前に拭くことなどをマニュアルに反映させる。

女川原発事故想定で訓練 再稼働同意後は住民初参加

 宮城県などは29日、東北電力女川原発での重大事故を想定し20年に地元が2号機の再稼働に同意して以降、初めて住民も加わった訓練となりました。
 住民らは自家用車やバスなどに分かれ。21年に全線開通した三陸沿岸道路も利用して避難所まで移動効果を検証します
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宮城・女川原発事故想定で訓練 再稼働同意後は住民初参加
                            共同通信 2022/10/29
 宮城県などは29日、東北電力女川原発(女川町、石巻市)での重大事故を想定した防災訓練を行った。立地と周辺の6市町の住民と関係機関が参加し、避難計画に基づいて安全地域まで退避。2020年に地元が2号機の再稼働に同意して以降、初めて住民も加わった訓練となった。
 三陸沖を震源とする最大震度6強の地震が発生し、2号機は緊急停止、炉心損傷で放射性物質が放出されたとの想定で実施した。原発から30キロ圏内の住民のほか、国や県、自衛隊、警察が参加した。
 住民らは自家用車やバスなどに分かれて避難所まで移動。21年に全線開通した三陸沿岸道路も利用し、効果を検証する。

川内原発延長申請 反対派が“取り下げ”申し入れ

 川内原発1・2号機の20年間の運転延長を申請した九州電力に対し、原発反対の市民団体が申請の取り下げを申し入れました。
 市民団体鳥原良子会長「住民への説明など何も示されないままでの規制委員会への申請に、住民として腹立たしい思い。もし事故があれば目も当てられない。きちんと説明すべき」と述べ、九電は今後、県民に向けて説明を行っていく考えを示しました
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川内原発延長申請 反対派が“取り下げ”申し入れ
                     KYT鹿児島読売テレビ 2022/10/27
 川内原発1・2号機の20年間の運転延長を申請した九州電力に対し、原発反対の市民団体が申請の取り下げを申し入れた
 川内原子力発電所の展示館を27日、訪れたのは、原発に反対する市民団体だ。九州電力が原子力規制委員会に申請した川内原発の1・2号機の20年間の運転延長について、申請の取り下げや県民との意見交換を求めるなどの申し入れを行った。
 その後、行われた意見交換では、運転延長を考える県の分科会の結果を待たず申請したことについて疑問を呈した。また老朽化による事故への不安を訴えた。
 これに対し九電は、特別点検の結果20年延長しても健全性が確保できると判断したと説明した。
川内原発建設反対連絡協議会・鳥原良子会長住民への説明など何も示されないままでの規制委員会への申請に、住民として腹立たしい思い。もし事故があれば目も当てられない。きちんと説明すべき

 九電は今後、県民に向けて説明を行っていく考えだ。 

敦賀原発の審査再開へ 地質データ書き換えで中断

 日本原電が敦賀原発2号機の再稼働に必要な審査を巡り、地質データを書き換えていた問題で、原子力規制委は26日、同社が適切な審査資料を作成できる体制を構築したとして、中断していた審査の再開を決めました。
 事務局の原子力規制庁は、改ざんの意図は確認できなかったとした上で、適切な資料の作成体制が構築されたとする検査結果を報告し規制委も了承しました。
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敦賀原発の審査再開へ 地質データ書き換えで中断 規制委
                            時事通信 2022/10/26
 日本原子力発電が敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に必要な審査を巡り、地質データを書き換えていた問題で、原子力規制委員会は26日、同社が適切な審査資料を作成できる体制を構築したとして、中断していた審査の再開を決めた。
 書き換えられたのは、原発敷地内のボーリング調査で得られた地質の情報を記した「柱状図」。2020年2月の審査会合に提出された際、比較的新しい時代まで断層が動いていた可能性を示す「未固結」としていた記述が、説明がないまま「固結」に変更されるなどしていたことが分かった
 原電側は、その後判明した詳細な観察結果を記したもので、意図的な改ざんではなかったと釈明。規制委は昨年8月、資料作成に関わる同社の管理体制が改善されるまで、審査会合を開かないことにした。
 26日の規制委定例会合で、事務局の原子力規制庁は、改ざんの意図は確認できなかったとした上で、適切な資料の作成体制が構築されたとする検査結果を報告した。規制委も了承し、審査の再開を決めた
 規制委の山中伸介委員長は同日の記者会見で、「資料作成プロセスに不備があったのが根本原因。そこが改善され、審査再開の方向性になった」と説明。「同じような不備がまた出れば、もう一度審査の中止もあり得る」とくぎを刺した。
 日本原電の話 規制活動に多大な影響を及ぼしたことをおわび申し上げる。引き続き、審査資料の信頼性を確保するとともに、検査および審査に真摯(しんし)に対応していく。 


社長ら役員報酬の一部を自主返納 日本原電(福井県)
                         FBC 福井放送 2022/10/28
敦賀原発2号機の再稼働に向けた安全審査の材料となる地質データを改ざんしていた問題に関連し、日本原電は28日、原子力規制委員会の活動に多大な影響を及ぼしたとして、村松衛社長と担当部門を所掌する剱田裕史副社長がそれぞれ、11月分の役員報酬の30%を自主返上すると発表した。(10月28日)
原子力規制委員会は原因究明と再発防止策が確認できるまでとして、審査を中断していたが、10月26日に「社内体制が整った」として、審査を再開することを決めている。

日本原電は「審査資料の信頼性を確保するとともに、継続的な改善を行い、原子力規制検査および審査に真摯に対応していく」とコメントしている。 

29- 六ケ所村再処理工場の認可申請 11月に再補正と残りの申請を

 青森・六ケ所村再処理工場の設工認可申請 11月に再補正と残りの申請を目指す

                       ABA青森朝日放送 2022/10/26
六ケ所村にある使用済み核燃料の再処理工場についてです。日本原燃は26日、安全対策工事に必要な設計・工事方法の、認可申請に対する再補正と残りの申請を、11月中に行う考えを示しました
日本原燃は、再処理工場の安全対策工事に必要な設計・工事方法の認可申請を、2回に分けて原子力規制委員会に提出することにしています。
このうち、2020年に提出した初回の認可申請の再補正と、残る2回目の認可申請を、11月中に行いたいという考えを示しました。そのうえで、再処理工場の完成目標時期を年内に示す方針です。
日本原燃 増田尚宏社長「申請するように頑張るんですけれども、もし申請ができなかったとしても、年内に公表するということに対しては、どういう形にしてやるかはまた考えますが、そうならないようにしっかりと申請ができることを、第一の我々のミッションとしてやっていきます」
日本原燃は9月、2022年度上期としていた再処理工場の完成時期を延期すると発表しましたが、具体的な完成時期は示されませんでした。

2022年10月26日水曜日

「脱炭素」発電所の新設支援/北陸銀行と北陸電力 脱炭素化へ連携協定

 経産省は、脱炭素に貢献する大規模な発電所の新設を支援する制度を来年度にも導入します。電力小売事業者から拠出金として集めたお金を発電事業者に分配し、運転開始から20年間の収入を保証するもので、再生可能エネルギーや二酸化炭素の排出を新技術でゼロにする火力発電所などが対象です
 それとは別に、北陸銀行と北陸電力は25日、カーボンニュートラルに関する連携協定を締結しました。太陽光パネル5600枚を設置し、一般家庭1100世帯分の電力を確保します。初期費用は北陸電力が賄い、電力は北陸銀行が北陸3県の支店など58か所で利用します。

    お知らせ
  都合により27日、28日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
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「脱炭素」発電所の新設支援 20年収入保証、23年度にも
                           共同通信 2022/10/25
    図解 脱炭素電源支援制度のイメージ
 経済産業省は、脱炭素に貢献する大規模な発電所の新設を支援する制度を来年度にも導入する。電力小売事業者から拠出金として集めたお金を発電事業者に分配し、運転開始から20年間の収入を保証する。再生可能エネルギーや、二酸化炭素(CO2)の排出を新技術でゼロにする火力発電所などが対象。建設を後押しし、脱炭素化と電力需給の改善の両立を狙う。
 こうした発電所は「脱炭素電源」と呼ばれ、原発も支援の対象に含める。政府が新増設を想定しないとの従来方針を転換し、次世代型原発の活用の検討を始めたばかり。将来的に新増設や建て替えが行われる際、制度を役立てたい考えだ。


北陸銀行と北陸電力 脱炭素化へ連携協定
                          北日本放送 2022/10/25
 北陸銀行と北陸電力は25日、カーボンニュートラルに関する連携協定を締結しました。太陽光発電による脱炭素化を進めます

 連携協定の調印式は、富山市の北陸銀行本店で行われました。この取り組みで北陸銀行は、富山市西大沢に所有する約3万5000平方メートルの敷地に、太陽光パネル約5600枚を設置し、年間発電量として一般家庭約1100世帯分の電力を確保します。「オフサイトPPA」という敷地外に設置された発電設備から電力を購入する手法を用いていて、太陽光パネルの設置など初期投資費用は北陸電力が賄います。北陸銀行は、供給された電力を北陸3県の支店など58か所で利用し、二酸化炭素の排出量削減に活用するとしています。着工は11月中旬で、来年夏ごろ運用開始の予定です。 

東北電力ネットワークが災害時の停電復旧訓練

 東北電力ネットワークは25宮城県蔵王町で地震や台風など大規模な自然災害で電柱が倒されたり流されたりして停電が発生した、という想定で復旧訓練を行いました。

 訓練ではドローンを使って被害状況を確認する手順のほか、災害時に復旧作業に携わる協力会社の従業員と連携しながら電柱に電線を張る作業など、復旧までの一連の手順を確認しました。
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災害時に一刻も早い停電解消を 東北電力ネットワークが復旧訓練
                        khb東日本放送 2022/10/25
 東北電力ネットワークは、災害時に一刻も早く停電を解消するための復旧訓練を行いました。
 東北電力ネットワークは、25日に宮城県蔵王町で地震や台風など大規模な自然災害で電柱が倒されたり流されたりして停電が発生した、という想定で復旧訓練を行いました。
 蔵王町を含む白石電力センター管内では、2019年の台風19号で376本の電柱が倒れ4933戸で停電が発生したほか、2022年3月の福島県沖を震源とする地震でも約3万戸が停電していて、自然災害による大きな影響が相次いでいます。
 訓練ではドローンを使って被害状況を確認する手順のほか、災害時に復旧作業に携わる協力会社の従業員と連携しながら電柱に電線を張る作業など、復旧までの一連の手順を確認しました。
 東北電力ネットワークでは災害時に一刻も早く停電を解消するために、今後も関連会社との訓練を実施していきたいとしています。