2021年6月30日水曜日

東電強制起訴、11月に控訴審

 東京高裁は28日、福島原発事故を巡り業務上過失致死傷罪で強制起訴され、一審で無罪となった東電の勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人の控訴審初公判を11月2日に開くと明らかにしました。

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東電強制起訴、11月に控訴審 福島原発事故巡り、旧経営陣3人
                             共同通信 2021/6/28
 東京高裁は28日、福島第1原発事故を巡り業務上過失致死傷罪で強制起訴され、一審で無罪となった東京電力の勝俣恒久元会長(81)ら旧経営陣3人の控訴審初公判を11月2日に開くと明らかにした。他の2人は武黒一郎元副社長(75)と武藤栄元副社長(71)。刑事責任の有無が改めて審理される。
 2019年9月の一審東京地裁判決は、国が02年に公表した国の地震予測「長期評価」の信頼性を否定。「津波を具体的に予見し、対策工事終了まで運転停止すべき法律上の義務はなかった」として、3人を無罪とした。
 検察官役の指定弁護士は控訴趣意書で、一審判決の判断は誤りだと主張している。

「廃炉」作業現場の法令違反44%

 昨年1年間に福島原発事故に伴う廃炉、除染作業に携わった事業者の労働基準法など関係法令の違反件数は、廃炉作業では277事業場のうち123事業場、除染作業では93事業場のうち39事業場で違反がありました

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「廃炉」作業現場の法令違反44% 時間外労働など労務関係多く
                        福島民友 2021年06月30日
 福島労働局は29日、昨年1年間に東京電力福島第1原発事故に伴う廃炉、除染作業に携わった事業者の労働基準法など関係法令の違反件数を発表した。廃炉作業では277事業場のうち44.4%に当たる123事業場、除染作業では92事業場のうち42.4%に上る39事業場で違反を確認した。
 汚染土壌などの収集・運搬に携わる事業者は199事業場のうち90事業場(45.2%)、中間貯蔵施設などでの廃棄物処分業務を行う事業者は183事業場のうち124事業場(67.8%)で違反を確認。ほとんどの事業場で、現場での違反よりも時間外労働や割増賃金の支払いなど労務管理関係の違反が多かった。

不祥事・赤字、株主が変革迫る 東電 定期株主総会

 29日、東電の定時株主総会が開かれ、原発を巡る不祥事福島原発から出るトリチウム水の海洋放出をめぐり質疑が交わされました。小早川智明社長は「安全基準を順守する」と強調し、風評被害防止に努める考えも示しました。  ※ ANAHD(⇒全日空)

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不祥事・赤字、株主が変革迫る 総会集中日、600社超
                             共同通信 2021/6/29
 3月期決算上場企業の定時株主総会が29日、集中日を迎えた。東京証券取引所によると、これらの企業全体の3割近くに当たる600社超が開催。「物言う株主」が存在感を増して変革を迫る中、原発を巡る不祥事が起きた東京電力ホールディングス(HD)や巨額赤字に陥ったANAHDなどが統治強化や業績回復策を株主に説明し、理解を求めた。
 東電HDは、再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)で核物質の防護不備が指摘された問題について、小早川智明社長は「立地地域や社会に不安を抱かせ改めておわびする」と陳謝した。


株主総会ピーク、620社超 分散化、オンライン広がる—原発や温暖化で株主提案
                          時事通信 2021年6月29日
 3月期決算企業の株主総会が29日、ピークを迎え、東証に上場する企業の27%に当たる628社(東証調べ)が開催した。集中率は調査を始めた1983年以降で最も低く、分散化が進んだ。新型コロナウイルス感染拡大後2年目となり、感染防止などの観点からオンライン中継の動きが広がった。原発問題や地球温暖化への対応で活発な株主提案も見られた。
 東京電力ホールディングスの総会では、東電福島第1原発から出る放射性物質を含む処理水の海洋放出をめぐり質疑が交わされた。小早川智明社長は「安全基準を順守する」と強調し、風評被害防止に努める考えも示した。一部の株主が処理水の処分方法に関し、福島県などの地元住民との協議委員会を設置する議案を提出したが否決。経営側が体制強化を目指し提案した三菱ケミカルホールディングス前会長の小林喜光氏を会長に迎える人事は、承認された。

30- 燃料電池車の最長航続距離に挑戦 福島県産水素で

 水素を燃料とする燃料電池車最長航続距離の樹立を目指して28日、モータージャーナリスト国沢光宏さんたちが、いわき鹿島水素ステーションを出発しまし

 国沢さんのチームは約10人で交代で運転します。
 これまでの最長は1003キロで、トヨタ自動車などで構成するチームがミライ」を使いフランスで今年5月に達成しまし
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県産水素で最長航続距離に挑戦 燃料電池車が福島県いわき市を出発
                            福島民報 2021/06/29
 モータージャーナリスト国沢光宏さん(63)は、県産水素を活用し、燃料電池車(FCEV)の最長航続距離に挑戦する。28日、福島県いわき市のいわき鹿島水素ステーションを出発した。
 これまでの最長は、1003キロ。トヨタ自動車などで構成するチームがFCEV「MIRAI(ミライ)」を使い、フランスで今年5月に達成した。
 今回の挑戦は、1003キロの記録達成の情報を知った国沢さんが「日本で記録を更新したい」と企画した。トヨタ自動車と、同水素ステーションを運営する根本通商(いわき市)の協力を受けて実施する。国沢さんと、挑戦に賛同する国沢さんの知人ら計約10人が交代でドライバーを務める。いわき市から南下し、千葉県の房総半島を経由して東京方面へ向かう。
 国沢さんは「水素産業に熱心な地域でもある福島県の浜通りを出発地に選んだ。記録を塗り替えることで、福島の水素を全国にPRできればうれしい」と話した。
 同日、1番手のドライバーを任された国沢さんがミライの運転席に乗り込み、関係者に拍手で見送られながら出発した。

2021年6月29日火曜日

柏崎刈羽原発 本年度の稼働断念

 東電は、柏崎刈羽原発(新潟県)について、21年度中の稼働を断念し22年度以降の再稼働を目指すことを明らかにしました。目標を盛り込んだ新たな経営再建計画を7月にも公表する方向で経産省と調整しているということです

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柏崎刈羽原発、本年度の稼働断念 東電の新再建計画、7月にも公表
                            共同通信 2021/6/27
 東京電力ホールディングスが柏崎刈羽原発(新潟県)について、2021年度中の稼働を断念し、22年度以降の再稼働を目指すことが27日分かった。相次ぐ不祥事対応に時間がかかるためで、目標を盛り込んだ新たな経営再建計画を7月にも公表する方向で経済産業省と調整している。
 経営再建計画は2~3年ごとに改定し、当初は20年度中の公表を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大や不祥事の影響で遅れていた。東電は7号機の早期再稼働を目指しており、17年に改定した計画では早ければ19年度、遅くても21年度までに再稼働させる見通しを示していた。

福島県浪江町津島地区のドローンDVD完成

 帰還困難区域になっている福島県浪江町津島地区の有志でつくる「ふるさと津島を映像で残す会」は、町内をドローンで撮影したDVD「津島の記憶」制作し避難先に身を寄せる津島の全世帯の住民に配りました。

 住民からは「涙を流しながら映像を見た」などの声が上がりました
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原発事故で帰還困難 福島県浪江町津島地区のドローンDVD完成
                           福島民報 2021/06/27
 東京電力福島第一原発事故で帰還困難区域になっている福島県浪江町津島地区の有志でつくる「ふるさと津島を映像で残す会」は、町内をドローンで撮影したDVDを制作した。会長の佐々木茂さん(67)は「ここで暮らしていた人たちがどんな生活を送っていたかを想像しながら見てほしい」と話す。
 タイトルは「津島の記憶」で、3枚組み計250分。行政区長8人のインタビュー音声を流しながら、住民の家を1軒ずつ写している。撮影した場所は住宅約500軒を中心に、560カ所に及ぶ。地元住民が過去に撮影した祭りや運動会の様子も収録されている。
 DVD制作のきっかけは2019(令和元)年6月から計画されていた地区内の住宅解体だった。ライフラインの整備などのため、解体工事が始まろうとしていた。「このまま津島の風景をなくすわけにはいかない」と立ち上がった有志12人が同年5月に会を結成し、6月から撮影を始めた。
 DVDは避難先に身を寄せる津島の全世帯の住民に配った。住民からは「涙を流しながら映像を見た」などの声が上がった。
 DVDは会のホームページ(http://furusato-tsushima.com)で販売している。値段は3000円(税込み)。

29- 葛尾村民、帰還困難区域解除へ不安も 村が除染などの現状説明

 福島県葛尾村は27日、来春の一部避難指示解除を目指す帰還困難区域について、主要避難先となっている同県三春町で行政懇談会を開きました
 帰還困難区域の野行地区から94人中28人が出席し住民から「除染したと言っても線量が高いところはある。農業を再開できるかも心配だ」とする声が相次ぎました。
 早期避難解除を目指す特定復興再生拠点の外側は除染の有無などが未定のままで、10人の対象住民は全員欠席しました。
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葛尾村民、帰還困難区域解除へ不安も 村が除染などの現状説明
                         河北新報 2021年06月28日
 東京電力福島第1原発事故による全域避難が5年3カ月続いた福島県葛尾村は27日、来春の一部避難指示解除を目指す帰還困難区域について、主要避難先となっている同県三春町で行政懇談会を開いた
 帰還困難区域の野行地区から94人中28人が出席した。環境省の担当者は昨年度で除染がほぼ完了したことを報告。村は居住の可否を探る除染検証委員会を8月に設置することを表明した。帰還に向けた準備宿泊が今秋にも始まるのを前に、地区内に宿泊交流施設を整備する方針も示した。
 懇談会では安全性を不安視する声が住民から相次いだ。三春町に避難している金谷喜一さん(69)は終了後の取材に「除染したと言っても線量が高いところはある。農業を再開できるかも心配だ」と話した。
 篠木弘村長は「住民の要望を聴き、話し合いながら避難解除に向けた取り組みを進めたい」と語った。
 帰還困難区域のうち、早期避難解除を目指す特定復興再生拠点の外側は除染の有無などが未定のまま。国は地元が求めた6月中の方針明示に応じず、10人の対象住民は全員欠席した。
 帰還困難区域は昨年3月に双葉、大熊、富岡3町で一部先行解除されたが、主にJRの駅や周辺道路が対象だった。居住を想定する区域は来春、葛尾村のほか双葉、大熊両町で初の解除となる。


葛尾村、独自に「除染」検証 野行地区、復興拠点の避難解除へ
                         福島民友 2021年06月28日
 葛尾村は、野行(のゆき)地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の来春の避難指示解除に向け、学識者や村民らでつくる除染検証委員会を8月に設立する。環境省による除染効果を確かめ、帰還する村民が安全に生活できるかなどを調べる。村は検証結果を基に、準備宿泊や解除時期について国と協議を進めていく考え。
 村が27日、三春町で開いた野行地区対象の行政懇談会で方針を示した。原発事故による帰還困難区域を抱え、来春に復興拠点の避難指示解除を目指す双葉郡3町村のうち、復興拠点に関する説明の場を設けたのは初めて。行政懇談会には野行地区の村民28人が参加した。
 村は秋に開始を予定する準備宿泊で使用するため、10月末までに拠点内に宿泊交流施設を整備する方針も示した。施設は福島市にあった仮設住宅を再利用し、木造平屋4戸を設ける。
 同席した環境省の担当者からは、拠点内の除染と家屋解体がほぼ完了し、空間線量率がほとんどの区域で毎時3.8マイクロシーベルト以下となっていることが報告された。
 三春町に避難する男性(69)は「帰りたいという思いと、安全なのかという思いが重なる。未除染の山林から自宅の方に放射性物質が流れてこないか気掛かりだ」と話した。篠木弘村長は「解除ありきではなく、村民が納得した形で取り組みを進めていく」と述べた。

 村北東部にある野行地区は約1600ヘクタールが帰還困難区域になっている。村はこのうち約95ヘクタールを復興拠点として整備する。村によると、6月1日現在、同地区の住民登録者数は34世帯94人。このうち4世帯10人は拠点から外れており、国は除染や避難指示解除の方針を決めていない。 

2021年6月27日日曜日

「高校生語り部」育成し震災の記憶や教訓を後世に 福島県教委、

 現在の高校生の大半は幼稚園の年中から小学1年時に被災しており、福島原発事故を記憶する最後の世代に当たります。福島県教委は記憶や教訓を後世に伝えるため、語り部の育成が必要と判断県立高の生徒を語り部として育成する事業に乗り出します学校から希望を募りますが30校程度が参加すると見込んでいます

 実践の場として、伝承館の来館者や各校の地元住民、外国人などへの「語り」を想定し、寸劇仕立てや紙芝居、映像などさまざまな手法を用いた高校生らしい内容にする構想です
   お知らせ
  都合により28日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
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「高校生語り部」育成 福島県教委、震災の記憶や教訓を後世に
                         福島民友 2021年06月26日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の記憶がなかったり、経験していない子どもが増える中、県教委は本年度、県立高の生徒を語り部として育成する事業に乗り出す。生徒が自分の言葉で本県の過去と未来を語る姿を通じて風化防止と風評払拭(ふっしょく)につなげる。
 現在の高校生の大半は幼稚園の年中から小学1年時に被災しており、当時を記憶する最後の世代に当たる県教委は記憶や教訓を後世に伝えるため、語り部の育成が必要と判断。学校から希望を募るが、30校程度が参加すると見込んでいる

 東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)での研修、避難経験者や取材記者を講師に招いた授業、現地調査などで震災と原発事故について学び、生徒の主体性や思考力、情報発信能力を養う。
 実践の場として、伝承館の来館者や各校の地元住民、外国人などへの「語り」を想定寸劇仕立てや紙芝居、映像などさまざまな手法を用いた高校生らしい内容にする。
 各校の代表を集めた交流会や審査会など、高校生が学び、高め合うイベントも予定している
 25日の6月定例県議会で自民党の佐藤政隆議員(本宮市・安達郡)の代表質問に答えた鈴木淳一教育長は「高校生が語り部として福島の過去、現在、未来を語ることで大きな教育効果を目指し、風化の防止と風評の払拭にもつなげる」と述べた。

川内村、避難解除5年 産業創出や移住支援に力

 避難指示解除から5年が経過した福島県川内村は、現在居住者は事故前の居住人口3038人の8割に回復し、移住者は約400人に上ります。

 村15に創った15歳未満の子どもがいる親に移住費用として50万円を支援する「ひとり親世帯移住促進奨励金」制度を利用して、18年に茨城県ひたちなか市から長男・長女と共に移住した農業星野菜々恵さん(36)は「支援策が充実し、村ぐるみで子を育てようという雰囲気がある」と話します
 豊かな里山を生かし「かわうちワイン」を開所したばかりで、ブランド化を官民一体で進めるというにぎわいが生まれている村で星野さんも村内の農業法人で特産のエゴマ栽培などに取り組んでいて、今は原発事故を意識することは少ないということです
 福島と茨城をつなぐ架け橋になりたい」と話し、新たな人を呼び込もうと展望を描いています
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川内村、避難解除5年 産業創出や移住支援に力
                        河北新報 2021年06月26日
 東京電力福島第1原発事故に伴う福島県川内村の避難指示解除から6月14日で5年が経過した。村は2012年1月、帰村を促す「帰村宣言」を出した。今では事故前の居住人口3038人の8割に回復し、移住者は約400人に上る。村は教育環境や移住支援の整備などに力を注いでいる。(福島総局・吉田千夏)

 村は15年、15歳未満の子どもがいる親に移住費用として50万円を支援する「ひとり親世帯移住促進奨励金」制度を新設した。制度を利用して18年に茨城県ひたちなか市から移住した農業星野菜々恵さん(36)は「支援策が充実し、村ぐるみで子を育てようという雰囲気がある」と話す
 村主催の体験ツアーに参加して自然や子育て環境に惚れ込み、移住を決めた。小学6年の長女(11)と2年の長男(8)は、今年4月に開校した小中一貫義務教育学校の川内小中学園に通学。月1000円で学べる村営塾や土曜も開設する児童クラブも活用する。

 豊かな里山を生かし、村では「かわうちワイン」のブランド化を官民一体で進める。北部の標高約750メートルに約3ヘクタールのブドウ畑が広がり、生食用も栽培。イチゴなど新産業の創出を目指す動きも出始めている。
 星野さんも村内の農業法人で特産のエゴマ栽培などに取り組むにぎわいが生まれている村で、今は原発事故を意識することは少ないという「福島と茨城をつなぐ架け橋になりたい」と話し、新たな人を呼び込もうと展望を描く

 村の第5次復興計画(18~22年度)では、若年層の帰還促進につなげるため、教育環境の整備を重要な施策に位置付けた。村は保育園や小中学校の保育と給食費の無償化、出産祝い金などを打ち出している。
 今年3月11日には、一人一人が輝いてほしいとの思いを込めて「輝村宣言」を掲げた。9年前の帰村宣言について、遠藤雄幸村長は「『帰りたい人からでいいんです』という説得力のないものだった」と話し、「帰還の道筋を早期につけることができた」と取り組みの手応えをにじませる。
 除染が進んで帰村が見込める空間放射線量に下がったことなども大きかった。原発事故で避難指示が出された県内の12市町村で唯一、東日本大震災前から首長を務める遠藤村長は「10年前に戻すだけの復興は意味がない」と強調し、新たな村づくりを見据える。

27- 川内村にワイナリー 地元でブドウ栽培から 産業化目指す

 一時全村避難した福島県川内村で26日、地元産ブドウを使ったワインを造る「かわうちワイナリー」が開所しました。官民一体で約6年前から取り組んでいて、村は「かわうちワイン」を核とした新たなまちづくりを進める構想です

 開所式には関係者ら55人が出席しました。栽培や醸造、瓶詰めを一貫して行750ミリリットル換算で19000本の生産が可能で、今秋収穫分から醸造を始めます
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内村にワイナリー 地元でブドウ栽培、避難解除5年、産業化目指す
                         河北新報 2021年06月27日
 東京電力福島第1原発事故で一時全村避難を強いられた福島県川内村に26日、ワイン醸造所「かわうちワイナリー」が開所した。村内で収穫したブドウを原料にしたワイン開発事業に、官民一体で約6年前から取り組んでいて、村は「かわうちワイン」を核とした新たなまちづくりを進める。
 現地であった記念式典には関係者ら55人が出席し、完成を祝った。ワイナリーは村北部の小高い丘の大平地区に建設され、栽培や醸造、瓶詰めを一貫して行う。750ミリリットル換算で1万9000本の生産が可能で、今秋収穫分から醸造を始める。
 標高約750メートルの周囲には約3アールのブドウ畑があり、シャルドネなど数種類のブドウの木約1万1000本が植えられている。ワインの味を左右するとされる土壌にはミネラル分を含む花こう岩の成分が含まれているため、良質なブドウが育つという。今年3月には昨秋に収穫されたブドウを山梨の工場に委託醸造した「シャルドネ2020」が披露された。
 2015年からワイン造りの構想が練られ、翌年に地元住民らによるブドウ栽培が始まった。17年には村も出資する醸造会社「かわうちワイン」が設立された。同社はレストランや宿泊施設などの経営も検討している。栽培・醸造責任者の安達貴さんは「まだ準備ができた段階。選ばれ続けるワインを造りたい」と話す。

2021年6月26日土曜日

長崎大に「被ばく医療総合研修センター」開所

 長崎大は24日、全国的に不足している被ばく医療従事者の人材育成を目的とした原子力災害時に専門的な診療を担う「高度被ばく医療支援センター」(全国5カ所)と、医療チームの派遣調整をする「原子力災害医療・総合支援センター」(同4カ所)を、同大学病院内に開所しまし

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被ばく医療人材育成へ 長崎大に「研修センター」開所
                            長崎新聞 2021/6/25
 長崎大は24日、全国的に不足している被ばく医療従事者の人材育成を目的とした「被ばく医療総合研修センター」を同大学病院内に開所した。除染室や処置室、内部被ばく測定装置など専門的な設備を備え、平時は学内外の担当スタッフの実習などを行い、九州電力玄海原発(佐賀県)と同川内原発(鹿児島県)で事故が起きた場合には被ばく患者への初期対応も行う。
 2011年の東京電力福島第1原発事故(福島県)を受け、長崎大は15年、原子力規制委員会から九州で唯一、原子力災害時に専門的な診療を担う「高度被ばく医療支援センター」(全国5カ所)と、医療チームの派遣調整をする「原子力災害医療・総合支援センター」(同4カ所)の指定を受けた。これまで専用施設はなかったが、同研修センターの新設により二つの機能が拡充される。
 同研修センターは第3中央診療棟を改修した。整備費約5億6千万円は国が全額補助。延べ床面積約2千平方メートル。1階には、被ばく患者の重症度や治療の緊急度を判断するトリアージ室、除染室、初療・重傷者処置室などがある。2階には、染色体異常を見つけて被ばく線量を推定する設備、3階には手術室を転用した実習室もある。

 研修を受けるのは学内スタッフのほか、本県、福岡、佐賀、鹿児島県内にある七つの原子力災害拠点病院の医師や看護師、放射線技師ら。長崎大学病院や同大原爆後障害医療研究所の専門家らが講師を務める。
 開所式には、原子力規制委の更田豊志委員長らもオンラインで参加。河野茂学長は「前身の長崎医科大学は原子爆弾で被災した世界で唯一の医科大学。原子力災害の医療体制の構築に貢献したい。それが長崎の歴史的な使命」とあいさつした。

大手電力8社 脱原発の株主提案を全て否決

 関西電力や中部電力など原発を保有する大手電力8社は25日、一斉に株主総会を開きました。

 原発に反対する株主からは、脱原発や現経営陣の解任などを求める株主提案が60
議案出されましたが全て否決されました。
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脱原発の株主提案、全て否決 大手電力8社が株主総会
                            共同通信 2021/6/25
 関西電力や中部電力など原発を保有する大手電力8社は25日、株主総会をそれぞれ開いた。原発に反対する株主からは、脱原発や現経営陣の解任などを求める株主提案が出されたが、全て否決された。経営陣は電力の安定供給には原発が不可欠だとして理解を求めた。
 株主提案では原発再稼働の禁止や廃炉、原発事業からの撤退などを求めるものが目立った。脱原発以外も含む事前提出の株主提案は8社で計60議案に上り、経営陣は全てに反対を表明した。
 関西電力は、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機(福井県)を再稼働したが、安全性を不安視する株主は脱原発などを提案していた。


伊方3号機、10月12日再稼働へ 四電株主総会 脱原発提案を否決
                          愛媛新聞 2021年6月25日
 四国電力の株主総会が25日、高松市の本店で開かれ、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の廃炉など脱原発を求める株主提案の4議案は全て否決された。
 四電は、定期検査で停止中の伊方3号機を10月12日に再稼働する方針。再稼働の条件となるテロ対策施設は同5日に完成予定。

30km圏の揖斐川町 不測事態に備え避難所整備 美浜原発再稼働で

 一部地域が美浜原発から半径約30km圏内にある揖斐郡揖斐川町は、同原発の再稼働に伴い独自に原子力災害マニュアルを策定したほか、放射線測定器約70台を町内の集会場や学校などにそれぞれ配備、安定ヨウ素剤は全町民分を町内2カ所に備蓄するほか、一時避難場所となっている川上集会場には昨年、放射性物質の侵入を防ぐ陽圧化装置を導入し、非常用の電源も設置しました。

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美浜原発3号機再稼働、不測事態に備え避難所整備 30km圏の揖斐川町
                        岐阜新聞 2021年06月24日
 再稼働した美浜原発3号機のある福井県に隣接する岐阜県や周辺の自治体は、不測の事態に備えた対策を進めている。
 県は地域防災計画や広域避難方針を策定した。事前の対策のほかに緊急時のモニタリング体制や避難方法、甲状腺被ばくを防ぐ医薬品「安定ヨウ素剤」の配布方法などを明記している。原発事故に備えた訓練も実施してきた。
 古田肇知事は「国には責任を持って再稼働後も厳正な監視をしてもらい、原発の安全性やエネルギー政策上の必要性を国民に対し丁寧に説明するよう求める。原発設置者には安全対策に万全を期すよう求めたい」とコメントした。
 一部地域が国の定める「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」の美浜原発から半径約30キロ圏内にある揖斐郡揖斐川町も対策を進める。独自に原子力災害マニュアルを策定したほか、放射線測定器約70台を町内の集会場や学校などにそれぞれ配備安定ヨウ素剤は全町民分を町内2カ所に備蓄している。岡部栄一町長は「国や関西電力は今まで以上に安全確保に取り組んでほしい。町としては住民の安全安心のために必要があればその都度対策を講じたい」とした。
 UPZ圏内に入る同町坂内川上地区には、4月時点で26世帯47人が居住。一時避難場所となっている川上集会場には昨年、室内の気圧を高めて放射性物質の侵入を防ぐ陽圧化装置が導入され、非常用の電源も設置された。住民たちは原発事故を想定した防災訓練に参加して意識を高めてきた。
 堀井玉男自治会長(70)は「国などによる検証を踏まえた上での再稼働であり、安全性は信頼している。道路網の整備や隣接する滋賀県からの避難者についても考える必要がある」と話した。一方で80代の男性住民は「経済や雇用の問題から地元の同意は理解できるが、事故が起きた時に風向きの関係で被害が大きくならないか心配」と話した。

26- 福島県人口8万人減 戦後最少に 相双地方以外マイナス

 国勢調査の速報値によると、昨年10月1日現在の県人口(外国人人口含む)は1834198人で、15年の前回調査と比べて79841人(42%)減り、戦後最少となりました。避難地域への住民帰還が進んだ相双地方で増加しまし

 少子高齢化に伴う人口減少の傾向が顕著です。
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福島県人口8万人減 戦後最少183万4198人、相双以外マイナス
                         福島民友 2021年06月26日
 国勢調査の速報値によると、昨年10月1日現在の県人口(外国人人口含む)は183万4198人で、15年の前回調査と比べて7万9841人(4.2%)減り、戦後最少となった。原発事故による避難地域への住民帰還が進み相双地方で増加した一方、相双を除く全ての地方で減少し、減少幅は過去最大だった前回調査(5.7%減)に次いで大きかった。
 原発事故で避難指示などが出た12市町村では、避難指示解除などを背景に飯舘村や葛尾村、楢葉町、広野町など9市町村で人口が増加した。前回調査で人口がゼロだった富岡、浪江、大熊の各町も増えたが、帰還困難区域が大部分を占める双葉町は前回に続きゼロとなった。
 川俣町と田村市は復興関連の作業員の転出により減少。川俣町は飯舘村からの避難者の帰還が進んだことで減少幅が15.7%と県内で2番目に大きかった。
 12市町村以外で人口が増加したのは大玉、西郷の2村のみ。59市町村のうち47市町村で減少し、特に檜枝岐村(17.6%)や金山町(14.7%)、鮫川村(14.5%)の減少幅が大きく、少子高齢化に伴う人口減少の傾向が深刻化している。県は移住の促進や雇用の創出、子育て環境の整備など人口減少対策を進める方針。

2021年6月25日金曜日

避難で要介護リスク1・6倍に 65歳以上男性 女性は有意差なし

 福島医大医学部の研究グループは、南相馬市から避難を余儀なくされた当時65歳以上だった男性が新たに要介護認定を受けるリスクは、避難しなかった同年齢の男性に比べ16倍に上るとの調査結果をまとめました。家族との離散や地域住民との交流の喪失が要介護リスクの上昇につながった可能性があると分析しています

 同様の条件で女性を調べた結果118で、「明らかに避難と要介護リスクの関連があるとは言い切れない」ということです。
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避難で要介護リスク1・6倍 福島県立医科大学が65歳以上男性を調査
 福島県
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 福島医大医学部(福島県福島市)の研究グループは、東京電力福島第一原発事故に伴い南相馬市から避難を余儀なくされた当時65歳以上だった男性が新たに要介護認定を受けるリスクは、避難しなかった同年齢の男性に比べ1・6倍に上るとの調査結果をまとめた。家族との離散や地域住民との交流の喪失が要介護リスクの上昇につながった可能性があると分析。原発事故が避難者の健康に悪影響を及ぼしている実態が浮き彫りとなった。
 福島医大が23日、研究論文を発表した。研究グループはこの傾向が南相馬市特有ではなく、他の避難市町村にも該当すると推測している。避難の有無によって要介護リスクに差が生じるとの結論を導いた論文は過去に例がないとしている。
 研究では、東日本大震災が発生した2011(平成23)年3月11日時点と、その5年後の2016年6月1日時点の両方で南相馬市に住民登録していた人のデータを調査。震災当時65歳以上で要介護認定を受けていなかった男性5557人のうち、2016年12月までに、365人が要介護認定を受けていた。
 365人について避難の有無以外で要介護リスクに影響を与える可能性がある年齢や同居家族の有無を考慮した上で詳しく解析した。その結果、避難区域(旧警戒区域、旧計画的避難区域)内に住んでいたグループの要介護リスクは、避難区域外に住んでいたグループの1・61倍に上った。
 研究グループは避難によって同居家族と離れ離れとなったり、地域住民との交流が減ったりすることで認知機能の低下や運動不足が起き、介護が必要な状態に陥りやすくなった可能性があると分析している。調査結果を踏まえ、避難を余儀なくされた高齢者に対し、特に手厚い介護予防策が必要だと指摘している。
 研究をリードした森山信彰公衆衛生学講座学内講師(39)は「地域との関わりを持ちたがらない人も含め、住民の健康状態を気に掛ける体制をいかに構築するかが大切。災害に備え、普段から地域内のつながりを強めておくことも欠かせない」と話した。

■女性は1.18倍
 同様の条件で女性を調べた結果、避難区域内に住んでいたグループの要介護のリスクは避難区域外に住んでいたグループの1・18倍だった。「明らかに避難と要介護リスクの関連があるとは言い切れない」としている。環境の変化が生活の自立度に及ぼす影響は女性に比べて男性が高かった可能性がある。

美浜原発再稼働「活断層の審査不十分」と市民団体が抗議

 美浜原発3号機の再稼働に対し、運転期間の延長認可取り消しを求め係争中の市民団体などが23日、敷地周辺の活断層などを国が十分審査していないと批判し、「住民の不安や反対の声を置き去りに再稼働を強行した」として、即時停止と廃炉を強く求める声明を出しました。

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美浜原発再稼働 「活断層の審査不十分」 市民団体などが抗議
                          毎日新聞 2021年6月23日
 関西電力美浜原発3号機の再稼働に対し、原則40年の運転期間の延長認可取り消しを求め、名古屋地裁で係争中の市民団体などが23日、抗議声明を出した。
 声明は敷地周辺の活断層などを国が十分審査していないと批判。事故があれば風下の東海地方にも深刻な被害が予想されるとし「住民の不安や反対の声を置き去りに再稼働を強行した」として、即時停止と廃炉を強く求めている
 声明を出した「老朽原発40年廃炉訴訟市民の会」共同代表の草地妙子さん(42)=名古屋市=は「怒りの気持ちでいっぱい。どんな機械でも、古くなれば壊れやすくなる。今すぐ廃炉にすべきだ」と話した。【道永竜命】