2016年11月29日火曜日

福島原発事故 廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍

 福島原発の廃炉と賠償の費用20兆円以上に膨れ上がると経産省が試算していることが分かりました。これはつい10日ほど前には18兆円と言われていたものなので、今後もアップする可能性があります。特に廃炉費用については今回は約6兆円と見込んでいますが、これが最も不確実です。
 
 これらの費用は、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が一時的に立て替えますが、最終的には東電と大手電力が利用者から集めた電気代などから返す仕組みで、経産省は新電力の利用者にも負担させたい考えで問題視されています。
 
 それから東電経営者・株主・銀行などが全く無傷のままでいるというのも虫が良すぎる話で、17日に開かれた脱原発を掲げる超党派の議員らの会合では、「まずは東電を法的整理し、投資として株を買った株主や債権者である銀行が負担し、その後に利用者に負担させるのが順序だ」などの声が相次いだということです。東電の経営者は言うまでもなく、それまでは安定収入として高配当や貸付金利子の恩恵に預かってきた株主や銀行が、企業がマイナスを生じた時にもその責任を負うのは当然のことです。
 経産省は、電気の消費者が、「本来負担すべき廃炉費用積立分を逃れていたのだから、50年遡って徴収する」というような非常識な論理で新電力にまで負担させる前に、まずそういう常識的な対応を行うべきでしょう。
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福島原発事故 廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍 
毎日新聞 2016年11月27日 
福島第1原発事故の費用は大きく膨らむ見通し
 東京電力福島第1原発事故の賠償や廃炉などにかかる費用が総額20兆円超に上り、従来の政府想定のほぼ2倍に膨らむと経済産業省が試算していることが27日、分かった。
 政府は拡大する費用の一部を東電を含めた大手電力と新電力(電力自由化で新規参入した業者)の電気料金に上乗せする方針で、国民負担の増大は必至だ。
 経産省は、東電の経営改革や資金確保策を協議する有識者会議を開催しており、年内にも結論を出す方針。試算は会議の議論のベースになるとみられる。
 
 政府の従来の想定は、▽賠償=54兆円 ▽除染=25兆円 ▽汚染土を保管する中間貯蔵施設の整備=11兆円 ▽廃炉=2兆円 の計11兆円となっていた。
 新たな試算は、賠償が約8兆円、除染が4兆~5兆円程度に膨らむ見通し。
 廃炉も従来の2兆円が数兆円規模で拡大する公算が大きい。
 中間貯蔵施設の整備費は変わらないが、全体では20兆円を上回る見込みとなった。
 
 政府の従来想定は2013年末時点に見積もったが、賠償や除染の対象が増加している。
 廃炉も原発内に溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し費用などが拡大。経産省は既に現状で年800億円の費用が年数千億円程度に達するとの試算を明らかにしている。
 
 費用の工面について、政府はこれまで、
▽賠償は国の原子力損害賠償・廃炉等支援機構がいったん立て替え、東電を中心に大手電力が最終的に負担金を支払い
▽除染は国が保有する東電株の売却益を充当
▽中間貯蔵施設は電源開発促進税を投入
▽廃炉は東電が準備  との枠組みを示してきた。
 
 政府は、賠償費の増加分について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の立て替え増額を検討。これとは別に、大手電力や新電力が送電会社の送電線を利用する料金への上乗せも検討している。この料金は政府の認可制となっており、最終的に電気料金に転嫁される
 
 除染費も東電株の売却益で賄えない可能性が高く、東電などに負担を求める案が検討されている。その場合、最終的に電気料金に転嫁される可能性がある。
 廃炉費は、東電が他社との提携などによる経営効率化で捻出した資金を積み立てる制度の創設を検討する。ただ、東電が経営努力のみで賄いきれるかは不透明で、電気料金の引き上げにつながる可能性もある。【宮川裕章、岡大介】