柏崎刈羽原発の再稼働問題が最大の注目点となる新潟県議会が2日、始まりました。知事は所信表明演説の冒頭で再稼動容認の判断を示し、「この判断に沿って今後、知事の職務を続けることについて、県議会の信任を得られるか、または不信任とされるのか、判断を仰ぎたいと…」と述べました。知事は、自らの信任・不信任を県議会に問うという方法を選んだわけです。この見え透いたやり方に対して、傍聴席からは「公約違反だ」「恥を知れ」「県民は不安に思っているぞ」というやじが飛びました。
野党会派は不信任決議の提出について、知事自身や自民関係者が「否決されれば知事は信任された」という論理を示しているため、提出が見送られる可能性もあります。
柏崎市の桜井雅浩市長は3日、県議会で信任が得られた場合には速やかに6号機が再稼働することへの期待感を示しました。重大事故時の安全な避難のための条件がまだ整っていない中なのに、市長が何の問題意識も持っていないのは驚くべきことで、呆れます。
長岡市議会は2日、定例会初日の本会議を開き一般質問を行いました。花角知事が「再稼働を容認する」と表明したことに関し、磯田達伸市長は答弁で「残念としか言いようがない」と述べました。
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原発再稼働を容認した新潟県の花角知事「職務続ける判断議会に仰ぐ」県議会の傍聴席からは「公約違反」のヤジも
BSN新潟放送 2025/12/2
柏崎刈羽原発の再稼働問題が最大の注目点となる新潟県議会が2日、始まりました。「知事の職務を続けることについて議会の判断を仰ぐ」とする花角知事。議論は深まるのでしょうか。
【記者リポート】
「原発の再稼働問題、そして知事の『信を問う』の発言。その答えが出されるのは12月県議会です。間もなく開会です」
2日に始まった県議会12月定例会。知事の所信表明演説が注目される中、最初に切り出したのが、容認の判断を示した再稼動問題についてでした。
【花角知事】
「この判断に沿って今後、知事の職務を続けることについて、県議会の信任を得られるか、または不信任とされるのか、判断を仰ぎたいと…」
すると、傍聴席からは「公約違反だ」「恥を知れ」というやじも…
続けて、花角知事が「(安全・防災)対策に関する認知度が高くなるほど、再稼働に肯定的な意見が増える傾向が明らかになりました」と述べると、傍聴席からは「県民は不安に思っているぞ」と知事の姿勢に反発するやじが飛びました。
県は、議会に原発が再稼働した場合に国から交付される3100万円を財源として、安全対策の広報費などを計上した予算案を他の事業と分けて提出。また知事は、再稼働容認を表明した自らの信任・不信任を問うとしています。
【花角知事】
「議会での熟議をお願いしたいと思いますね」
再稼働是非をめぐり「信を問う」としてきた花角知事が選んだ県議会での議論。その行方に注目が集まります。
原発の再稼働問題をめぐり注目されているこの12月議会について、改めて整理します。
まず、今議会に提出された補正予算案についてです。
一般会計の総額73億5700万円の予算案のうち、3100万円は原発再稼働時の広報費などを計上したもので、その他の、例えばクマ対策や原子力災害時の避難路整備などの事業とは分けて提出されました。
花角知事は「非常に重要なテーマを集中的に議論しやすいようにするため」と説明しています。
知事が再稼働問題をめぐり繰り返し発言してきた「信を問う」について知事は、自らの信任・不信任を県議会に問うという方法を選びました。
再稼働に賛成か反対かという直接的な問い方ではなく、「容認という結論を出した知事を県議会が信任するかしないか、その判断をもって県民の意思の確認とする」という理屈です。
知事からボールを投げられた県議会の各党会派の間では対応をめぐって駆け引きが行われています。
各党会派は2日午前、本会議に先立って党議を開催し、議会対応について意見を交わしました。最大会派の自民党は知事を「信任」することで、すでにまとまっていますが、その意思表示の方法については…
【自民党県連 岩村良一幹事長】
「他会派の動向があるので、その動向を見ていかなければならない」
一方、野党系会派の未来にいがたやリベラル新潟は、知事が県民の意思を確認する方法として県議会を選んだことに反発していますが、不信任案を提出したとしても、自民党などの反対多数で否決される公算が大きく、慎重な姿勢です。
【未来にいがた 大渕健県議】
「(提出された議案と)信任・不信任がどう連動するのかとか、それは聞いてみないと不可解なことが多い。県議会でこれから議論する」
【リベラル新潟 小泉勝県議】
「『(不信任案を)出してくれ』と言わんばかり。それにあえてこっちから乗る必要もないんじゃないか。さりとて、このままスルッと何もなく流して『信任を得ました』ということにされるのも非常に不本意」
今後の予定です。
まず、4日に代表質問、5日、8日に一般質問があります。そして、9日から常任委員会が始まりますが、再稼働問題は厚生環境委員会で議論されます。
多くの傍聴希望者が想定されることから委員会は別室を用意し、モニター傍聴ができるようにすることを検討しています。
ここまで12月県議会についてお伝えしました。
柏崎刈羽原発の再稼働巡り、新潟県知事が職を賭して県議会に臨む…「信任・不信任の判断を仰ぎたい」
読売新聞 2025/12/3
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を巡り、新潟県の花角知事が自らの職を賭して臨む県議会12月定例会が2日開会した。知事は本会議の冒頭、再稼働容認を判断した自身について「県議会に信任、不信任の判断を仰ぎたい」との考えを改めて示した。具体的な信任の方法は県議会に委ねており、22日までの会期中、各会派の動きが注目される。
花角知事はこの日、「現時点で県民の中で再稼働の賛否は分かれている」としつつも、「正確な情報提供と安全対策、防災対策の周知を継続して行うことで、理解が広がっていく」との見通しを語った。
県側は、今年度一般会計補正予算案を二つに分けて同定例会に提出した。同原発の安全対策に関する広報費3100万円を計上した予算案は、再稼働に関する知事判断の是非を問う意味を持つため分離した。
花角知事を支持し、議席の6割を占める自民党はすでに知事を信任する方針を決めており、予算案は可決される見通し。
知事の信任を問う手法としては、▽信任決議 ▽不信任決議 ▽予算案に対する付帯決議―の3案が県議会関係者らの間で浮上している。
信任決議は地方自治法に明記されておらず、前例はわずかだ。島根県斐川町(現・出雲市)では2009年、町長の信任決議案が提出され、否決された。ただ、全国都道府県議会議長会や全国町村議会議長会によると、信任の議案が可決された記録はないという。
花角知事は再稼働容認を表明した11月21日の記者会見で、「地方自治法の逐条解説では、信任も予定されている」と指摘した。だが、知事を信任する方向の自民内でも信任決議には慎重論が強く、提出の可能性は高くないとみられる。
不信任決議は、野党会派が提出を視野に入れている。ただ、知事自身や自民関係者が「否決されれば知事は信任された」という論理を示しており、提出が見送られる可能性もある。議決の際に県議の3分の2以上の出席が必要で、可決には出席議員の4分の3以上が求められる。
第3会派「リベラル新潟」の小泉勝幹事長は「不信任決議案を出したいが、結果が見えていて非常に悩ましい」と打ち明ける。
自民内で有力案として検討されているのが、補正予算案に対する付帯決議だ。「信任」の言葉を入れるとみられる。ただ、自民県連の岩村良一幹事長は「他会派の動向を見て具体的な手段を決める」と述べるにとどめている。
県議会は4日に代表質問、5日と8日に一般質問が行われる。野党会派は知事の答弁を注視しており、与野党の駆け引きの本格化が見込まれている。
柏崎刈羽原発7号機の再稼働是非、柏崎市長は明言せず テロ対策施設の未完成理由に
新潟日報 2025/12/3
柏崎市の桜井雅浩市長は3日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働容認を表明した花角英世知事が「信を問う」手法に県議会を選んだことを受け、「政治家としてあるべき姿を示していただいた」と述べた。県議会で信任が得られた場合には、速やかに6号機が再稼働することへの期待感を示した。7号機に関しては、テロ対策施設が未完成であることから再稼働の是非は「今の段階では何とも言えない」と説明した。
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花角知事「県議会の信任で局面動く」 柏崎刈羽原発再稼働容認、職務懸けて決着図る意向
7号機は現在、テロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重施設)が...
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長岡市長「残念としか言いようがない」【柏崎刈羽原発の再稼働容認】
新潟日報 2025/12/3
長岡市議会は2日、12月定例会初日の本会議を開き、一般質問を行った。東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を巡り、花角英世知事が「容認する」と表明したことに関し、磯田達伸市長は答弁で「残念としか言いようがない」と述べた。
・知事選で「信を問う」なぜ回避?決断の裏側に迫る…水面下では自民と調整
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長岡市を含む原発から半径5〜30キロ圏の避難準備区域(UPZ)に位置する7市町の首長は11月14日、再稼働の是非を巡り、花角知事と長岡市内で意見交換した。UPZの首長側がおおむね知事の意向を尊重するとした中、磯田市長は「再稼働への理解が広がるには、もう少し時間をかけるべきではないか」と知事に伝えたとし、慎重な姿勢を示していた。
一般質問で、...
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