2026年8月3日月曜日

泊原発再稼働、27年末以降にずれ込む見通し 北電、問われる姿勢

 北電泊原子力発電所3号機の再稼働が「2027年のできるだけ早期」という目標から大幅に遅れ、27年末以降になる見通しとなりました。防潮堤完成が岸壁部の耐震補強や液状化対策などの追加工事によって、当初予定の27年春から8月半ばに遅れるためです。
 これは耐震強度を計算した「解析コード」の一部に不具合があったためで、8月に解析コードの修正結果が出る見込みです。
 最終補正が認められたうえで、防潮堤完成から数カ月の点検や準備が必要になるため、再稼働は27年末以降にずれこむ見通しです。
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泊原発再稼働、27年末以降にずれ込む見通し 北電、問われる姿勢
                            朝日新聞 2026/7/31
 北海道電力泊原子力発電所3号機の再稼働が「2027年のできるだけ早期」という目標から大幅に遅れ、27年末以降になる見通しとなった。津波対策の防潮堤完成が予定より遅れ、原子力規制委員会による設計・工事計画認可の審査も終わっていないからだ。「早期再稼働」を優先して見通しが甘くなっていなかったか。北電の姿勢が改めて問われる。
 北電の斎藤晋社長が30日に記者会見し、防潮堤完成が岸壁部の耐震補強や液状化対策などの追加工事で当初予定の27年春から8月半ばに遅れると発表した。加えて、規制委による詳細な設計や工事計画の審査で火災防護や施設の耐震性について議論が続いている。地震の影響を計算した「解析コード」の一部にも不具合があり、確認中だという。
 これらを踏まえ、斎藤社長は「設計と工事認可にかかる申請について審査が続いており、再稼働時期の見通しを出せる状況にはない」と述べた。
 8月に解析コードの修正結果が出る見込みで、補正書をできるだけ早く提出し、再稼働時期を示したいという。再稼働は、最終補正が認められたうえで、防潮堤完成から数カ月の点検や準備が必要になるため、27年末以降にずれこむ見通しだ。
 一方、再稼働時期の見通しの甘さを問われると、斎藤社長は「少しでも早く立ち上げるという目標でやってきた。我々としては全力でやっており、そのなかで、その時、その時の目標を率直に申し上げてきた」と話した。「できるだけ早期」は「27年のうちの一日でも早い時期にという意味だ」と強調した。

 北電は再稼働に伴い、家庭向け電気料金を平均的な家庭の使用量で月額1千円程度(約11%)値下げすることにしている。再稼働後に営業運転や安定運転の状況を確認するため、値下げも28年春にずれこむ見通しだ。
 斎藤社長は「11%月1千円の値下げを目標にお客様の期待に応えられるように走っていきたい」と語り、値下げ幅は維持する考えを示した。再稼働から値下げまでの数カ月間はポイント還元キャンペーンをするという。(大海英史)
     
 2011年3月に起きた東京電力福島第一原発の事故では、東日本大震災で原子炉を冷却するための外部電源が喪失した。さらに津波で非常用発電機などの電源も水に浸り、機能しなかった。
 このため、事故後にできた新規制基準では電源などの安全機能の喪失を二重三重に防ぐ対策を求めている。泊原発では新たに海抜19メートル、最大幅30メートルの防潮堤を約1・2キロにわたって設置し、津波による浸水を防ぐ計画だ。
 工事は防潮堤を34ブロックに分けて築く。深いところで地中30メートルほどにある岩盤まで掘り、その上にセメントと砂利を混ぜた改良土を固めていく。すでに掘削を終えて改良土を築く作業を進めており、計画の約67%まで終わったという。
 土木建築課の世戸洋行課長は「安全第一で津波から守る品質の管理をしっかりしたうえで、できるだけ早く完成させたい」と話す。冬には猛吹雪で視界が見えない「ホワイトアウト」もあり、「その場合は無理せず工事は中止する」という。
 原発に近い国道229号沿いの海岸では、海抜20メートル、直径2メートルの鋼管杭を立てる作業が進む。200メートルにわたって4メートルおきに50本設置する。再稼働を審査する原子力規制委員会から、津波で流された大型車両が防潮堤を傷つけることがないよう指摘され、流出防止の杭を設けることになった。
 こうした津波対策に加え、外部電源や非常用発電機が動かないことも想定して「可搬型代替電源車」で電気を送る訓練もしている。計8台配備し、元自衛官らでつくる「シビアアクシデント(重大事故)対応チーム」(SAT)が出動する。
 現場到着から2時間以内に電気を送ることになっており、25年度は21回の訓練をしたという。SATの伊達隆史・発電室副長は「私たちが活動しないことが前提であり、万が一起きた場合も小さな事故でおさまるよう訓練している」と話す。(大海英史)