2018年7月4日水曜日

日立東芝は風力発電にシフト

 「原子力ムラ」にとっては、原発の事業はたとえようのないほどにうま味のあるものでした。しかし福島事故で深刻な大災害を起こした以上、今後、政府がどんなに事業の再興を応援したとしても、簡単に世の中が受け入れることはありません。
 日立や東芝が「夢よもう一度」ではなく風力発電にシフトしたのは極めて当然のことで、いつ頃にどうなるかも分からない原発にいつまでも頼っていられないということの顕れです。
 米原発子会社の巨額損失で本体まで倒産寸前まで追い込まれた東芝は、売却した主力の半導体メモリー事業に代わる収益源の一つに、風力発電を育てようとしているということです。健全なことに思われます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発縮小、風力発電にシフト 日立、東芝などに“追い風”
SankeiBiz  (産経ビジネス 2018年7月4日
 政府が3日閣議決定したエネルギー基本計画で、再生可能エネルギーが「主力電源」と位置付けられたことは、風力発電システムなどの受注強化に取り組む日立製作所や東芝などの重電メーカーにとって大きな追い風となる。国内原発の新増設が停滞して電力・エネルギー事業の収益が頭打ちとなる中、事業拡大の“起爆剤”として、再生エネに重点的に経営資源を配分する動きが強まりそうだ。
 
 恩恵が大きく見込まれるのが日立だ。洋上風力発電システムに強く、これまで日本国内で300基以上のシステムを受注した国内首位メーカーだからだ。主力電源として国内で洋上風力の新設が急速に増えることになれば、その分、受注機会の増大にもつながる。
 日立の風力発電を含めた再生エネ関連事業の売上高は2018年3月期で約720億円。ただ、小田篤執行役常務は6月の株主総会で「(発電事業は)風力に注力する」と宣言。同社の風車の特徴である強風や台風に強い特徴を国内外で売り込むことで、22年3月期には再生エネの売上高を2倍以上に増やす計画だ。
 
 再生エネに電力事業の主力をシフトさせるのは東芝も同じ。米原発子会社の巨額損失で東芝本体が倒産寸前まで追い込まれたため原発は縮小。その一方で風力や太陽光に資源を集中し、システム機器の販売後の点検や保守などの分野にも力を入れ、売却した主力の半導体メモリー事業に代わる収益源の一つに育てたい考えだ。(今井裕治)

原発活用をにじませた「エネルギー基本計画」が閣議決定

 政府は3日、「エネルギー基本計画」を4年ぶりに改定し、閣議で決定しました。
 
 原発については「依存度は可能な限り低減していく」と述べる一方で、「重要なベースロード(基幹)電源」と位置付けて、実質100万キロワット原発30基稼働を目指しています。
 新増設や建て替えには言及していませんが、30基レベルを維持するためとして、なし崩し的に取り入れられる惧れがあります。
 それに原発を再稼働することで電気料金を廉価に出来るかのような記述は欺瞞で、廃炉自体が自前の資力ではできずに、使用済みの核燃料の処理に数万年を要する原発の発電コストが低廉である筈がありません。
 
 唯一評価できる点は、再生エネルギー発電を「長期安定的な主力電源として持続可能なものにする」とした点です。
 政府と電力会社は、これまで送電容量の空きがないという理由や、その裏返しとして、送電線への接続に法外な費用を要求したりすることで、再生エネの普及を妨げてきました。
 そのお蔭で日本は再生エネの後進国になってしまいましたが、今後普及させていくことで発電設備のコストを下げ、コスト低減のネックになっている固定価格買い取り制度からの離脱を早期に達成する方針を明示しました。
 
 いまや、再生エネの発電コストは原発の数分の1であるという国際常識が、日本でも早く実現されるようにして欲しいものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
政府:にじむ「原発活用」 「エネルギー基本計画」改定
毎日新聞 2018年7月3日
 政府は3日、2030年度までの中長期的なエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」を4年ぶりに改定し、閣議決定した。再生可能エネルギーの「主力電源化」を打ち出す一方、原発も中長期的に活用していく姿勢をにじませた。プルトニウムの保有量削減や石炭火力発電の輸出案件の厳選など国際社会から日本に向けられる懸念への配慮も目立つ。 
 
 原発は「重要なベースロード(基幹)電源」と位置付けつつ「依存度は可能な限り低減していく」との従来方針を維持した。新増設や建て替えに言及しなかったが、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を踏まえて今回初めて盛り込んだ50年までの長期方針に「安全性・経済性・機動性に優れた炉」を追求すると明記。世界で実用化が進む小型原子炉など最先端の原発技術の開発を推進する姿勢を示唆した。 
 再稼働の遅れで電力の8割以上を火力発電に依存する中、産業界の声を受けて「我が国の電気料金は国際水準に照らして高く、国際競争力が劣後する懸念が高まっている」と指摘。「再稼働による低廉な電気料金水準の実現が期待される」との記述を盛り込んだ。 
 
 原発の使用済み燃料から取り出すプルトニウムについては「保有量の削減に取り組む」と明記。政府は「利用目的のないプルトニウムは持たない」との姿勢を国内外に示してきたが、世耕弘成経済産業相は3日の閣議後記者会見で「削減に取り組むという趣旨をより明確にした」と述べた。日本が国内外にプルトニウム約47トンを保有することに、核不拡散の観点から米国など海外には懸念の声もあることに配慮した。 
 
 日本が強みを持つ石炭火力発電は、高効率化・次世代化を進めつつ輸出も積極的に推進するとした。ただ世界的には石炭火力に逆風が吹いており、「石炭を選ばざるを得ない国に限り、要請があった場合は経済協力開発機構(OECD)ルールも踏まえ世界最新鋭の設備の導入を支援する」と慎重姿勢もみせた。 
 
 再生エネは「日本のエネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源として持続可能なものにする」として、発電コストの低減や固定価格買い取り制度(FIT)からの自立を早期に達成する方針を明示した。【和田憲二】 

04- 東電福島原発の原状 今も続く汚染水対策

 J-CASTニュースが、東京電力福島第一原発を取材した内容を報じました。
 
 東電が行っている「汚染水対策」の現状も分かりやすく紹介されています。
 当然のことですが、「凍土遮水壁」で遮水が出来なかったという説明はなく、その条件の下で如何に汚水発生量を減らしているのかの、いわば「苦労話し」だと解釈するのが正しいと思われます。
 
 雨量の少ない17年12月~18年2月の時期で、汚水量を110トン/日に抑えることが出来たということですが、そんな莫大な発生量であっては汚水問題解決の見通しが立ったとはとても言えないし、汚水タンクの増設に追われている現実は解決しません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【震災7年 明日への一歩】
東電福島第一原発のいま 今も続く汚染水対策に知恵を絞る日々
J-CASTニュース 2018年7月4日
J-CASTニュースは、東京電力福島第一原子力発電所をこのほど取材した。未曽有の事故から7年、現場はどう変わり、廃炉作業はどのように進められているのか、リポートする。
 
多くの疑問の中で今回、取材テーマのひとつに据えたのが「汚染水対策」だ。1~3号機では、事故で溶け落ちた核燃料を冷やすための注水が続いている。加えて、敷地の山側から流れ込む地下水や雨水が原子炉建屋に流入して「燃料デブリ」に触れた冷却水と混ざれば、それもまた汚染水に変わってしまう。
その対策に、これまで様々な手を打ってきた東電。汚染水発生量は2年前と比べて4分の1まで減ってきた。
 
深さ30メートルある井戸で地下水をくみ上げる
取材陣を乗せたバスは、1、2号機が間近に見える高台で止まった。1号機建屋上部のむき出しになった鉄骨や、巨大な排気筒、作業用クレーンが目の前に迫る。記者が下車すると、目の前に井戸の設備が現れた。
「地下水バイパスです。地下水が建屋に入る前にくみ上げるためのものです」
東電の広報担当者は、こう説明した。この地点は海抜33.5メートルの場所だが、井戸の深さは30メートルある。こうした井戸は全部で12基あり、南北に並ぶ原子炉1号機から4号機の建屋に沿う形で山側に設置されているとの話だ。
 
汚染水対策として東電は「汚染源を取り除く」「汚染源に水を近づけない」「汚染水を漏らさない」の3つの基本方針を立てている。
汚染水のうち、核燃料を冷やす注水は循環させ、外部に漏れないようになっている。雨水についても、敷地内の地表面を広くモルタルで覆って地面にしみこませない対策をとった。建屋から汚染水が漏れ出さないよう水位管理を行っているが、海側には遮水壁を作り、万が一、汚染水の漏えい事故が生じた場合にも、海洋に漏れ出ることがないよう対策を講じている。これらに比べ量的に桁違いに多いのが地下水で、汚染水対策の中心は地下水対策といっても過言ではないようだ。
広報担当者が言った「地下水バイパス」というのは原子炉建屋より山側につくられ、高所から流れてくる地下水が建屋の地中に入る前に抜いてしまう仕組みで「汚染源に水を近づけない」役割を持つ。くみ上げた水を分析し、水質基準を満たしていると確認できたら港湾外の海洋へ排水する。
 
バスはその後、高台を下りて原子炉建屋方面に向かった。建屋が建つ場所の海抜は8.5メートル。下り坂をゆっくり進むにつれて、自分たちが高い場所にいたことを実感した。4号機に最も近付いたとき、窓から見える銀色の箱状のものを広報担当者が指差した。「サブドレン」と呼ばれ、地下水バイパスと同様に、地下水を建屋流入前にくみ上げて汚染水化を防ぐ井戸のことだ。
さきほどの地下水バイパスの12基の井戸と建屋との間に設置され、42基が稼働している。説明を受けて初めて井戸だと分かるような地味な外見だが、建屋の目の前に掘られていることからサブドレンも「汚染源に水を近づけない」役割を担っている。
くみ上げた水は浄化、水質検査のうえ安全が確認されたら、こちらは港湾内に排水する。これだけの数の井戸を設置、稼働させて、さらに水質管理を厳格に行っていることから、対策の徹底ぶりがうかがえる。
 
凍結管の上部には白く霜が降りていた
地下水対策の中でも大がかりなのが、陸側遮水壁だ。1~4号機の周り約1.5キロを「凍らせた土壁」でぐるりと囲み、地下水を迂回させて建屋から遠ざける。土を凍らせるための凍結管は地中約30メートルまで埋められているため見ることはできないが、その規模や様子を感じる場面があった。
3、4号機に近い高台で降車した記者の目に、銀色をした何本もの配管が地面と平行してずっと先まで伸びている光景が飛び込んできた。この中に、凍結管の中を循環して周辺の地盤を凍らせる冷媒の通り道として使われるパイプがあった。
 
配管が建屋の周りに張り巡らされていることを実感したのは、バスで建屋の近くまで移動した際だ。一時停止して車窓から眺めると、地面をはうようにパイプが走っている。その間に挟まるように、地中深くに刺さっている凍結管の上部が地上に出ているのが見えた。その部分は、霜が降りて白くなっていた。凍結管は約1メートル間隔に埋設され、全1568本ある。
 
東電の評価シミュレーションによると、複数の汚染水対策により雨水や地下水に起因する汚染水発生量は、陸側遮水壁閉合前の2015年12月~16年2月平均が1日あたり約490トンだったが、閉合後の17年12月~18年2月22日平均は約110トンとなり、発生量は4分の1まで低減。これに廃炉作業に伴い発生する建屋への移送量を足しても、1日あたりの発生量は約140トンになる。
廃炉への「中長期ロードマップ」では、2020年内に150トンを目標に掲げており、直近データではこれを下回っている。汚染水を、何とかコントロールしようという現場の知恵が、数字のうえでも現れている。
ただし発表されたデータは、雨量が少ない時期のものでもある。その点を質問すると、広報担当者は「評価は年間を通して行っていく予定」と言った。

2018年7月3日火曜日

原発廃止求める請願を不採択 埼玉県議会

 昨年末、原発再稼働を求める意見書をに可決して物議を醸した埼玉県議会は、2日、議会運営委員会で、市民団体から提出されていた再稼働反対や廃止の請願3件の不採択を決めました。
 請願者の女性は「意見書には原発事故の被害者らから抗議の声が寄せられている。事実上の門前払いで、県議会は市民の声を聞くつもりがない」と批判しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発廃止求める請願を不採択 埼玉県議会
西日本新聞 2018年7月2日
 原発再稼働を求める意見書を昨年末に可決した埼玉県議会は2日の議会運営委員会で、市民団体から提出されていた再稼働反対や廃止の請願3件の不採択を決めた。
 請願を巡っては3月の議運で、「議会の意思は意見書で具体化されている」として、取り下げるよう求める自民党県議の動議が可決され、継続審査となっていた。2日の議運では、請願者から取り下げ願いが提出されなかったとして、不採択が決まった。請願の内容に関する議論はなかった。
 
 請願者の女性は「意見書には原発事故の被害者らから抗議の声が寄せられている。事実上の門前払いで、県議会は市民の声を聞くつもりがない」と批判した。

東電が石油火力2機を長期停止 再エネ増加などで

 東電は7月以降、広野火力発電所の3、4号機を長期停止に入れました。
 再生可能エネルギー発電が増加し競争力が落ちていることなどが理由です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東電、福島の石油火力2機を長期停止 再エネ増加や需要減少で
日本経済新聞 2018年7月2日
 東京電力ホールディングスが福島県にある広野火力発電所の3、4号機を7月から長期停止としたことが分かった。合計出力は原発2基分の200万キロワットで燃料は重油や原油を使う。1989年と1993年に稼働した旧型のため老朽化しているうえ、再生可能エネルギーの需要増加で競争力が落ちている。国内の電力需要の先行きが不透明なことも背景にある。
(以下は有料記事のため非公開)

03- 福島原発2号機 最上階は59ミリシーベルト毎時

 2日、福島第1原発2号機の核燃料プールからの燃料搬出に向け、原子炉建屋最上階にロボット2台を投入し19カ所で放射線量を測定したところ、最高59ミリシーベルト毎時を確認しました。
 これは現場に1時間に居ると一般人の年間許容値の59倍の被曝をするというレベルです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2号機最上階59ミリシーベルト 福島第1原発調査
西日本新聞 2018年07月02日
 東京電力は2日、福島第1原発2号機の使用済み核燃料プールからの燃料搬出に向け、原子炉建屋最上階にロボット2台を投入し、放射線量の測定など汚染状況の調査を始めた。この日は計19カ所の空間放射線量を測り、最大で毎時59ミリシーベルトだった。今月下旬まで調査を続ける予定。
 
 2号機は、2011年3月の事故で水素爆発による建屋の大破は免れたが、炉心溶融(メルトダウン)が起き、建屋内の放射線量は高い。東電は23年度をめどにプールからの燃料搬出を始めるとしており、今回の調査結果を踏まえ、燃料搬出に向けた具体的な計画を立てる。

2018年7月2日月曜日

花角新潟県知事の選対幹部が 公選法違反で刑事告発された

 新潟県知事選の期間中に、花角陣営ナンバー2の長谷川代表代行が、三条市での緊急議員会議のなかで、メディアが参加していることを承知で、「池田千賀子候補の下半身スキャンダル記事が選挙後に週刊文春に掲載される」などとデマ宣伝を行ったことに対して、6月22日、県内在住の一般市民有志8名が“文春下半身ネタデッチ上げ発言”に関する告発状を県警と検察に提出し、それぞれ受理されました。
 両勢力が拮抗していた中でのこのデマ宣伝は極めて悪質でした。告発した有志代表は
「私も2回、選挙のボランテイアをしたことがあるが、このような選挙妨害をあからさまに受けたのは今回の県知事選挙が初めてです」と述べました。
 当局には厳正に対応して欲しいものです。
 LITERAの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
“文春砲デマ”発言、花角英世・新潟県知事の選対幹部が公選法違反で刑事告発された! 県警・地検の動きは
横田一 LITERA 2018.06.30.
 6月25日の参院予算委員会で安倍晋三首相は、共産党が独自入手した森友関連の政府側内部文書について「どのようなものか私は全く承知していない」と答えた。佐川宣寿前理財局長らの刑事処分について「官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れている」と記されていたのに、具体的答弁を拒否したのだ。
 
 都合の悪い事実(不都合な真実)を無視する安倍首相の隠蔽体質は、「新潟県知事選」(6月10日投開票)で初当選した自公支持の元国交官僚の花角英世・新知事も瓜二つ。選対幹部が“文春砲”の名前を使って相手候補者である池田千賀子元県議の下半身ネタをデッチ上げたのに花角知事は「事実関係を承知していない」と繰り返していたからだ。さらに投開票日の当確が出た直後の囲み取材で「事実関係を確認させてください」と調査を約束した(6月12日の本連載39「新潟県知事選で花角新知事陣営がデマ攻撃! 選対幹部が『文春砲が池田候補の下半身スキャンダル』と嘘を拡散」で紹介)が、しかし、この約束も選挙後に簡単に反故にされた。
 
 花角知事は事実解明どころか「事実関係を承知していない」とだけしか言わなくなったからだ。知事就任翌日の13日に上京し、二階俊博幹事長や安倍首相や菅義偉官房長官との面会を終えた後の囲み取材での筆者の質問に、花角知事は次のように発言を後退させたのだ。
 
――選対幹部の文春下半身記事化発言、三條新聞に載ったが、選挙違反ではないか。
花角知事 事実関係を承知しておりません。
――日大アメフト部と同じで「選挙違反をしても当選する」という考えなのか。
花角知事 事実関係を承知しておりません。
 
 当確直後に見せた「不都合な真実を直視して説明責任を果たそう」とする姿勢はわずか3日で消え去り、21日の就任後初の定例会見でも皆無だった。筆者は指されなかったので会見終了が告げられた瞬間に同じ質問をした。
 
――知事、選挙中の文春の下半身ネタデマ発言について一言、お願いしたい。(投開票日の10日に)事実関係を調べると仰いましたが。
花角知事 事実関係を承知しておりません。
――調べるつもりはないのですか。日大アメフト部と同じ「ルール違反をしても当選する」という考えか。
花角知事(無言のまま立ち去る)
 
 花角知事の正体が浮彫りになっていく。「ルール違反をしてでも勝つ」という日大アメフト部流選挙を展開し、知事ポストを奪取した後は「勝てば官軍」と言わんばかりに知らぬ存ぜぬの姿勢を貫く。そして「新潟では文春砲下半身ネタ絡みの“ハレンチ知事”が二代連続で誕生した」という皮肉な現実も突きつけられた。女子大生買春の文春砲直撃で“初代ハレンチ知事”が辞任したのに続いて、選対幹部が文春砲下半身ネタをデッチ上げた“二代目ハレンチ知事”が汚れた知事ポストに居座り始めたように見ええたからだ。
 県知事選で池田千賀子候補の応援演説をした立憲民主党の辻元清美衆院議員(国対委員長)は、中央とのパイプの太さをアピールした花角陣営に対して、「中央の膿が新潟に還流してくる」と警告を発したが、まさに隠蔽・改竄・嘘八百の安倍首相(政権)の腐敗体質が新潟に流れ込み、県庁内から腐臭を発し始めたといえるのではないか。
 
花角陣営の選対幹部を刑事告発した市民が「こんな選挙妨害は初めて見た」
 知事会見の翌6月22日、県内在住の一般市民有志8名が“文春下半身ネタデッチ上げ発言”に関する告発状を県警と検察に提出(県警は受理。検察も翌週受理)、県庁内で11時前から記者会見に臨んだ。記者に配布された告発状には、公職選挙法第235条第2項違反の犯罪行為について次のように記されていた。
「被告発人(長谷川克弥)は新潟県知事選挙の候補者である花角英世を支援する確認団体である『県民信頼度ナンバーワンの県政を実現する会』の代表代行であったところ、2018年6月6日正午から自由民主党三条支部事務所で開かれた緊急議員会議の公開されていた冒頭部分において、三條新聞記者も含めた不特定多数の出席者に対して、花角英世への支援を求めつつ、新潟県知事選挙の対立候補者であった池田千賀子に関し、その当選を得させない目的をもって、『文春に選挙後に出るようだ。また、下半身の話だ。そんなことになったらまた選挙になるのではないか』という発言を行った。よって被告発人は、虚偽の事項を公にしたものである」
 
 告発状には長谷川氏の問題発言を掲載した6月7日付の三條新聞が添付されていたが、質疑応答に入ったところで今回の告発に対する思いを聞くと、市民有志代表から次のような答えが返って来た。
「私たちは公正な選挙を求めて告発をしています。私も2回、選挙のボランテイアをしたことがあるが、このような選挙妨害をあからさまに受けたのは今回の県知事選挙が初めてです。『このままでは公正な選挙が行われなくなってしまう』という危惧を覚え、『不正がまかり通るような選挙は今回限りにして欲しい』との思いから告発しました」
 
 調査する姿勢が消え去った花角知事の対応についても訊いてみた。こんな答えが返って来た。
「私たちが告発をした『被告発人』の長谷川克弥さんは、花角知事が候補者であった時の確認団体の代表代行(ナンバー2)です。その方の発言について『確認をしない。責任も取らない』ということでは、私は許されないことだと思います。責任をきちんと取っていただきたいと思っています」(一般市民有志代表)
 
告発で浮かびあがってきた花角陣営の確信犯的な選挙妨害
 告発状には「その後の経緯」と題して、選対幹部のウソがどう広まったのかについても記載されていた。
「被告発人の虚偽の言説は、その後、あたかも花角陣営が確認した事項のように新潟県内外に広まり、選挙期間中に、複数回、新潟市内、三条市内、及び県外、ソーシャルネットワーク(SNS)上で聞くこととなり、選挙運動の大きな妨げとなった。この虚偽の言説の元となったツイートをした匿名アカウント『永田町ウォッチャー(@nagatachowatch)』」は、その発言が虚偽であったことを指摘され、6月5日に当該ツイートを削除している」
 
 このことについても、長谷川氏への直撃取材と一致する部分があったので以下のような質問をした。
 
――文春関係者にも聞いたのですが、「企画会議も通っていないし、記者も動いていない」と(答えた)。(10日の投開票日に)長谷川さん本人にも「文春の記者から聞いたのか」と訊いたら、まさにこの告発状にある「『永田町ウォッチャー』が根拠です」と答えた。ツイッター上の匿名の情報をさも事実であるかのように、記者のいる公の場で話すのはかなり確信犯的なやり方ではないかと思うが。
市民有志代表 そこについて私たちは非常に重く見ております。経緯として「永田町ウォッチャー」の方は6月5日に当該ツイートを削除、謝罪ツイートもしている。それにもかかわらず、そういった言説をその翌日(6日)にしたことで、非常に大きいことだと思います。
 
 まさに確信犯的な選挙妨害(公職選挙法違反)と言わざるを得ない。私の直撃に対して長谷川氏は「文春の記者に聞いたのではなく、(永田町ウォッチャーの)ツイッターに書かれていた噂を話した。噂を広めるつもりはなかった」と反論したが、4万部発行の三條新聞記者ら報道陣がいる「緊急議員会議(選対会議)」で、花角陣営選対幹部の肩書「代表代行(ナンバー2)」を名乗って写真撮影可能な状態で発言すれば、数万人規模の読者(有権者)に広まることなど誰でもすぐに分かる。
 
菅官房長官と親しい花角陣営選挙プランナーに直撃するも、話のすり替え
 ちなみに新潟県知事選の告示日から現地に張り付き、自民党新潟県連にも出入りしていたのは、選挙プランナーの三浦博史氏。菅義偉官房長官と懇意であることでも知られる。その三浦氏に長谷川氏の文春下半身ネタ記事化デッチ上げ発言について聞いてみたが、「池田陣営の保育園問題はどうなのだ。その取材をしない限り、この件については答えない」と別の問題ではぐらかされ、具体的な回答を拒否された。
 三浦氏が取材に応じる前提条件とした「保育園問題」とは、柏崎市立保育園の保育士が園児に候補者の応援をする図画作成を手伝わせたとして地方公務員法の信用失墜行為禁止などで処分されたものだが、選挙結果に影響を与える度合いは天と地ほどの差があるのは明らかだ。「選対幹部の文春下半身ネタ記事化デッチ上げ発言が読者数4万人の三條新聞に掲載されて広まった」という明白な公職選挙法違反と同程度に捉えて取材拒否の理由とする三浦氏は選挙プランナーとして、花角陣営の確信犯的な選挙妨害(選挙違反)を意図的にごまかそうとしているのではないかと疑いたくなる。
 
「新潟県知事選勝利で安倍首相の総裁選三選の可能性は八割、ほぼ確実となった。敗れていたら政局になっていた」と自民党関係者が振り返るほどの天下分け目の決戦で、菅官房長官と懇意な選挙プランナーが現地に張り付いて花角陣営に助言を与えているなか、選対幹部が白昼堂々と公職選挙法違反を実行に移した。
 
 安倍首相とその仲間たち(花角知事や三浦氏ら)が、「ルール違反をしても勝つ」という日大アメフト部と二重写しに見えてくるではないか。「官邸と花角陣営が“共謀”した確信犯的公職選挙法違反」という疑いは消え去るどころか、ますます深まるばかりなのだ。この日の告発会見については地元最大手の新潟日報をはじめ、長谷川氏の発言を紹介した三條新聞や毎日新聞新潟版でも報道された。新潟県警や地検の動きが注目される。(横田 一)