2018年6月27日水曜日

27- 兵庫県高砂市で県内避難者の声を聞く集会

 兵庫県内で避難生活を送る男女5人を囲む集会が、市民団体「脱原発はりまアクション」の主催で高砂市で開かれました。
 10~50代の被災者5人が約35人の参加者を前に、放射能の影響を恐れて福島県を離れる決断をするまでのためらいや、避難生活の葛藤を打ち明けました。
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原発事故、県内避難者の声を聞く 高砂で集会
神戸新聞 2018年6月27日
 東京電力福島第1原発事故後、兵庫県内で避難生活を送る男女5人を囲む集会がこのほど、高砂市高砂町松波町のユーアイ帆っとセンターであった。市民団体「脱原発はりまアクション」が主催。避難者は約35人の参加者を前に、放射能の影響を恐れて福島県を離れる決断をするまでのためらいや、避難生活の葛藤を打ち明けた。(小尾絵生)
 
 同団体は今年3月11日、加古川市内で避難者を交えて「福島原発事故から7年のつどい」を開催。避難者の発言にじっくりと耳を傾ける機会の必要性を感じ、今回の集会を企画した。福島県から神戸や姫路市、丹波地域で暮らす、10~50代の5人が語った。
 
 中学生の娘と丹波地域で避難生活を送る男性(47)は、東日本大震災から2年後に福島市を出た。建てたばかりの家のローンや失業の心配から一時はとどまる選択をしたが、放射能を恐れ、娘に庭遊びすら我慢させる状況に避難を決断。教員として福島にとどまる妻とは離れて暮らす。男性は「成長した娘との関係に悩むこともある。有事には自分の判断を信じるしかない」と話した。
 
 震災直後から2人の息子と姫路市の実家に身を寄せる女性も、郡山市にいる夫と離れたまま7年が過ぎた。「家族が離れているのが、避難した私の責任のように言われることもある。原発のせいであり、安全な場所で暮らしたいという思いを理解してもらえないのがつらい」と涙をにじませた。
 
 同じく姫路市に母親と移った女性(18)は、避難前には鼻血や心臓の痛みなど体の不調に悩んだ。「福島に戻りたい気持ちがあっても体がついていかない。もどかしい」と率直な思いを吐露。この日出席した避難者のいずれも帰郷のめどはたっていないという。

2018年6月26日火曜日

電力会社は自力で廃炉することがが出来ない

 東電が福島第2原発(全4基)の廃炉を決めたことで、福島第一原発(全6基)と合わせると合計10基を廃炉にすることになります。それとは別に現在廃炉が決定しているのが10基あるので、今後合計20基を廃炉にします。
 事故を起こした福島第1原発の1~3号機の廃炉には21兆円超が掛かるといわれていますが、デブリについては取り出し方法も未定なので、その額で収まる保証は何もありません。撤去が完了するまでには100年以上が掛かるという見方もあります(英国筋)。
 事故を起こしていない原発の廃炉にはそれほどの時間や費用は掛かりません、東海原発は完了までに23年、浜岡原発1・2号機は27年掛かると見込まれていますが、それも実際にやってみないことには分かりません。しかも使用済み核燃料の始末の費用はみていない筈です。
 東電の場合、10基を廃炉にするのでは会社は会計法上も成り立たず、倒産するしかありません。コスト的に見ても廃炉の大半の費用は結局電気料に加算するしかないので電気料金が大幅にアップします。
 
 そこで国による廃炉(廃炉庁の新設)がいわれ出すのですが、真相を隠したままなし崩しにそんなことに移行すること出来ません。原発が如何に高コストであるかを政府も電力会社も認めた上で、国の費用で廃炉することを国民に納得してもらうことが不可欠でしょう。
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福島第2原発も廃炉に…ニッポンにはいま、「廃炉庁」が必要だ
国が責任を負う以外、道はない
磯山友幸 現代ビジネス 2018年6月25日
東電、福島第2も廃炉表明
東京電力ホールディングスは福島第2原子力発電所(福島県楢葉町、富岡町)の原子炉4基を廃炉にする方針を表明した。
6月14日に同社の小早川智明社長が福島県庁で内堀雅雄知事と面会した際、知事が第2原発の廃炉を求めたのに対して、「4基全て廃炉の方向で検討に入っていきたい」と述べたという。
東電は事故を起こした福島第1原発の廃炉作業を進めてきたが、第2原発について「廃炉」を明言したのは初めてのことだ。
 
福島第1原発事故後、第2原発は運転を停止してきた。この日の面会で小早川社長は「根強い風評、帰還が進まない況を踏まえると、(第2原発の)あいまいな状況自体が足かせになっている」と述べたそうだ。
内堀知事は面会後の記者会見で、「多くの県民が県内の原発全基を廃炉にしてほしいと訴えてきた。今日、明確な意思表示をされたことを重く受け止めている」と話した。
知事は「重要なスタートだ」と評価したが、大手新聞などメディアは事故後7年たっての決断に「遅すぎる」と批判した。
県民感情を考えれば当然の批判とも言えるが、東電には第2原発の廃炉を明言できなかった事情がある。
 
廃炉には膨大なコストがかかる
第2原発の廃炉方針を示せば、原発設備の損失処理などが必要になり、その負担が一気に東電にのしかかることになる。
そうでなくても第1原発の廃炉と賠償には少なくとも21兆円の費用がかかるとされており、しかも、本当にその金額で収まるのかさえ見通しがたっていない。
結局は電気料金を通じて利用者や国民にツケが回るのだが、東京電力という民間会社の責任で事故処理と廃炉を行わせようとする事にもはや無理があるのだ。
原発を新設して稼働させたのは原子炉ごとにステップ・バイ・ステップだったわけだが、東電は福島第1の6基に加えて、福島第2の4基の合計10基を同時に廃炉させる事になる。
時間差なしにいっぺんに10基の廃炉費用が通常の決算にのしかかる事になれば、通常の電力会社では経営が成り立たない。
 
東京電力の組織のあり方が問われていた2013年ごろには、自民党内から「廃炉庁」を設置すべきだという声が挙がった。
廃炉庁はもともと英国にある組織にヒントを得たもので、政府(廃炉庁)が責任を負って廃炉を進めるものの、廃炉作業自体は民間に事業委託する形で行う。
英国流のやり方を参考に日本独自の廃炉庁を設置すべきだというアイデアが持ち上がったのだが、その後は雲散霧消したままだ。
国が廃炉に責任を持つ姿勢を明確にせず、東電任せにしたために、福島第2原発の廃炉表明に7年もかかったと見ることもできる。
いや東電として廃炉方針を表明したからといって、実際に廃炉までの道筋が決まったわけではない。その膨大な費用をどうするのか、最終的に電力料金にすべての費用を上乗せしようとすれば、電気料金は益々上昇することになる。
原油価格の上昇によるコストの増加で、電力各社は値上げを余儀なくされているが、そんなものでは済まない可能性が出てくる。
 
どうやって必要な人材を確保するか
ここに廃炉を電力会社任せにした場合の矛盾点がある。廃炉費用がかさめば業績の悪化は避けられず、そのしわ寄せは社員の待遇などに向かう。そうなると優秀な人材を集めることが難しくなるのだ。
そうでなくても「廃炉」という後ろ向きの業務に従事する場合、社員のモチベーションを維持できるかという問題がある。
2015年に会計不正が発覚した東芝の場合、粉飾決算の修正に伴う巨額の赤字だけでなく、米国の原子力子会社ウエスチングハウスの巨額損失で、東芝本体は事実上解体されている。
国内原子力事業はまだ東芝に残っているが、福島第1原発の廃炉などに携わってきた多くの技術者が会社を去り、転職していった。
 
「廃炉」を任せる優秀な人材を確保するには、技術者に将来に対する不安を抱かない「安定」が不可欠だ。
国が廃炉の方針を明確にし、国(廃炉庁)主導で廃炉を進めていく事になれば、民間企業にとっては長期にわたる作業の受注機会が生まれる。リスクを負わずに仕事があり続けるという状態になるのだ。
廃炉には通常でも長期の時間がかかる。
1998年3月に稼働を終えた東海発電所は解体作業がまだ続いており、完全な解体撤去までには23年を要し、2021年ごろになるとされている。2009年に廃炉になった中部電力の浜岡原発1、2号機の解体終了は2036年度になるとされている。
さらに、事故を起こした福島第1原発の廃炉にはさらに長期にわたる時間がかかるとみられている。
 
そんな中で、廃炉の決定が相次いでいる。
原発の稼働は原則として40年までと決まっている。60年まで延長する特例もあるが、稼働から40年を経た老朽原発が次々と廃炉決定されているのだ。
2015年には関西電力美浜原発1、2号機、同敦賀原発1号機、中国電力島根原発1号機、九州電力玄海原発1号機の廃炉が決まった。また2016年には四国電力伊方原発1号機が、2018年5月には2号機も廃炉が決まった。
これに福島の10基を加えると、全国で20基の廃炉が進んでいることになる。まさに日本は「廃炉大国」なのだ。
今後もさらに廃炉になる原子炉は増えていく。そんな中で人材を確保していくには、もはや国が廃炉に最終責任を負う体制が不可欠だ。もう一度「廃炉庁」を検討してみるべき時だろう。

26- 原子力産業界が「原子力エネルギー協議会」を設立

 原子力産業界は、原発の安全性を引き上げる目的で新組織「原子力エネルギー協議会」を7月1日に設立し、そこで効果のある安全対策を自主的に立案し、現場への導入を促すということです。
 業界の共通課題を抽出し、ワーキンググループで技術的な検討を行い安全対策を決め、それを「技術レポート」にまとめ公開するとともに、原子力事業者による安全性向上活動の実施状況も毎年評価して、公開するということで、かなり具体的な活動スタイルが固まっているようです。安全を向上させること自体は望ましいことです。
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原子力産業界が7月、新組織「原子力エネルギー協議会」を設立。
理事長に三菱重工特別顧問の門上英氏
安全向上へ対策を自主的に立案。規制当局と対話も
電気新聞 2018年6月25日 
 原子力産業界は15日、発電所の安全性をより高い水準に引き上げる目的で、新たな組織「原子力エネルギー協議会」(ATENA)を7月1日に設立することを決めた。原子力事業者、プラントメーカー、関係団体から19者が参画する。新組織で業界共通の課題を特定した上で、効果のある安全対策を自主的に立案し、現場への導入を促す。7月1日付で理事長に就任する三菱重工業特別顧問の門上英氏は、15日に都内で開いた会見で「さらに高い安全基準へと到達するために、協議会がリーダーシップを発揮したい」と強調した。
 
「原子力エネルギー協議会」は、原子力産業界の代表として、規制当局と対話する役割も担う。組織内には参画事業者の責任者クラスが参加する「ステアリング会議」を設置。同会議に産業界の知見を持ち寄り、共通課題を抽出して安全対策を決める。抽出した課題は、専門家が参加するワーキンググループ(WG)で技術的な検討も加える。協議会は決定した安全対策などを「技術レポート」にまとめ、公開する。原子力事業者による安全性向上活動の実施状況も毎年評価して、公開する考えだ。
 
  15日に協議会の設立総会が開かれ、門上理事長を含む役員5人を決定した。7月1日付で就任する。理事に関西電力の豊松秀己副社長・原子力事業本部長、電気事業連合会の富岡義博理事・事務局長代理を選任。監事には日本原子力産業協会の高橋明男理事長と日本電機工業会(JEMA)の高本学専務理事が就く。豊松氏はステアリング会議の議長を兼ねる。当初の事務局スタッフは13人。事務所は東京・大手町の経団連会館に置く。
 
  15日の会見には、電事連の勝野哲会長とJEMAの柵山正樹会長(三菱電機会長)も同席した。勝野会長は「協議会で決めた安全対策は(原子力事業者の)取り組みに確実に反映し、リスクの継続的な低減を図る」と強調。柵山会長は「安全対策の決定などに積極的に参加し、原子力の自律的、継続的な安全性向上に貢献したい」との決意を示した。理事長に就任する門上氏は「産業界が一体となって安全性向上への取り組みを重ね、原子力の信頼回復に努めたい」と抱負を語った。

2018年6月25日月曜日

唐津市長が 新協定を玄海町と協議と 周辺市町村の了解権で

 九州・唐津市市議会の玄海原発対策特別委員会で、22日、再稼働手続きでの周辺自治体の了解を盛り込んだ茨城県内の安全協定に関し、市議会議長の田中秀和委員は、「事前了解の対象になる」と、茨城方式のような新しい協定を結ぶ必要性を主張しました。
 それに対して市の桜庭佳輝総務部長は「地理的には立地自治体と同等だと思っている。茨城方式は有意義」と答弁しました。
 峰市長は、原発5キロ圏(PAZ)などの市内の人口数を挙げ「唐津市は他の市町とは違った立場だと認識している」として、「まずは玄海町の新しい町長としっかり話す場を設けたい」と答弁しました。
 
 立地市町村に加え周辺市町村にも「実質的な了解権」を認める「茨城方式」への関心と意欲が、関係市町村の中で高まっています。
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峰・唐津市長  新協定「玄海町と協議」 原発の周辺了解で /佐賀
毎日新聞 2018年6月23日
 唐津市の峰達郎市長は22日、市議会の玄海原発対策特別委員会で、原発の再稼働手続きでの周辺自治体の了解を盛り込んだ茨城県内の安全協定に関し、「まずは(立地自治体の)玄海町の新しい町長としっかり話す場を設けたい」と答弁した。 
 
 日本原子力発電は東海第2原発の再稼働に向け、立地する茨城県東海村に加え周辺5市にも「実質的な了解権」を認める新たな安全協定を結び、「茨城方式」と呼ばれている。 
 特別委で市議会議長の田中秀和委員は、九州電力玄海原発2号機の今後や、使用済み核燃料の保管問題などを挙げ「事前了解の対象になる」と指摘。茨城方式のような新しい協定を結ぶ必要性を主張した。 
 
 市の桜庭佳輝総務部長は「地理的には立地自治体と同等だと思っている。茨城方式は有意義」と答弁した。玄海町長と話し合うとした峰市長は、原発5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)などの市内の人口数を挙げ、「唐津市は他の市町とは違った立場だと認識している」と言及。原発30キロ圏の福岡、長崎両県を含めた8市町の枠組みではなく、玄海町と唐津市との間の議論を優先させる考えを示した。【原田哲郎】 

共産党が小泉元首相と脱原発で連携の意向

共産・志位和夫委員長、小泉純一郎元首相と脱原発で連携意向
産経新聞 2018年6月24日
 共産党の志位和夫委員長は24日、脱原発に向けて小泉純一郎元首相と連携する考えを示した。前橋市での演説会で発言した。
 
 志位委員長は、原発推進から転換し、「原発ゼロ」を掲げる小泉元首相を「筋が通っている」と評価し、「協力してやっていきたい」と述べた。4野党が3月に国会に提出した「原発ゼロ基本法案」にも触れ、「原発問題でも野党共闘の旗がしっかり立った」と述べた。

25- デブリ取り出しは2号機からで21年に着手か

<福島第1原発事故>デブリ取り出し、まず2号機 東電が21年着手検討
   河北新報 2018年6月24日
 東日本大震災で炉心溶融(メルトダウン)した東京電力福島第1原発1~3号機のうち、東電が溶融核燃料(デブリ)の取り出しに最初に着手するのは2号機とする方向で検討を進めていることが23日、関係者への取材で分かった。21年内のデブリ取り出し開始を目指している。取り出しの初号機が具体的に判明するのは初めて。
 
 2号機は内部の調査が最も進み、作業がしやすいとみられることから選ばれた。デブリ取り出しは廃炉作業の最大の難関だが、初号機のめどが立ち、作業工程の具体化や機器の開発が前進しそうだ。
 国と東電が策定した廃炉工程表「中長期ロードマップ」では、19年度に取り出しの初号機を決め方法を確定するとしている。
 
 東電はデブリ取り出しに向け、1~3号機の格納容器内部の調査を進めてきた。内部に水がたまっている3号機では昨年7月、水中ロボットによる調査でデブリの可能性が高い小石状や溶岩状の堆積物を初めて確認。2号機では今年1月、カメラ付きパイプを使って小石状のデブリを確認できた。
 取り出し初号機を選定するため、3基の損傷具合や汚染状況、格納容器内の調査結果を検討。2号機は原子炉建屋が比較的健全で、格納容器周辺の放射線量が低く取り出しに向けた作業をしやすいと分析。内部調査も最も進んでいるため、他の号機よりも早く容易に取り出しが可能と判断した。
 3号機は格納容器内の水位を低下させることができれば、初号機となる可能性が残る。1号機は内部の状況がよく分かっていないため初号機には適さないとしている。

2018年6月24日日曜日

3兆円のムダ遣い 六ヶ所再処理工場(新 恭氏)

 ブロガーとしても著名な新恭(あらた きょう)氏が、「3兆円のムダ遣い 六ヶ所再処理工場という『危険な無用の長物』」とする、六ケ所再処理工場の問題点を詳細に報じる記事をBLOGOSに発表しました。
 再処理はまず技術的に困難で、六ケ所村の再処理工場は完成がこれまで23回も延期されているという経過があります。仮に技術的に完成したとしても、コスト的に全くペイしないものであることは当初より知られていました。
 
 かつて経産省の若手官僚が、もしも再処理工場が完成して稼働すれば総額で19兆円の無駄使いになるという趣旨の「19兆円の請求書」という書類を密かに作成し、その非を訴えましたが、同省から圧力が加わって数人の作成メンバーは事実上粛清されました。
 そのとき、損害は19兆円にとどまらず2~3倍に達するという見解もありました。
 
 再処理システムの致命的な欠陥は、それによって消費されなければならないプルトニウムが大々的に増産されてしまうことです。その心臓部となる高速増殖炉はいつまでも完成のめどが立たずに、先ごろようやく廃炉が決定しました。
 高速増殖炉がなくなっても核燃料サイクルそのものの非合理性は全くなくなりません。
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    MAG2 NEWS

3兆円のムダ遣い 六ヶ所再処理工場という「危険な無用の長物」

 新 恭 BLOGOS 2018年06月22日
6月の半ばから矢継ぎ早に飛び出した観のある原発関連案件ですが、この流れを「原発政策の欺瞞と矛盾が勢いよく噴き出した」とするのは、これまで原子力政策の矛盾や見込みの甘さを指摘してきた元全国紙社会部記者の新 恭さん。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、その最たるものとして再処理工場を巡る問題を取り上げ、いつまでたっても完成に至らない六ヶ所再処理工場は不要であり、国が掲げる「核燃料サイクル」はすでに破綻していると非難しています。
 

危険な“無用の長物”となる六ヶ所再処理工場

 
6月10日の新潟県知事選が終わるのを待っていたかのように、安倍官邸と経産省は、せき止めていた原発関連案件のコックをひねった。
そこから出てきたのは、福島第二原発の廃炉、玄海原発4号機の再稼働、東海再処理施設の廃止…etc。原発政策の欺瞞と矛盾が勢いよく噴き出した。
東京電力の社長が福島県知事を6月14日に訪ね、福島第二原発の廃炉方針を表明したのは、もちろん経産省との打ち合わせ通りだ。新潟県知事選で自公の支持する国交省OB、花角英世候補が勝利したことで、柏崎刈羽原発の再稼働に見通しが立ったと踏んでいるのだ。
その前日、日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(茨城県東海村)を廃止する計画が原子力規制委員会に認可された。新基準を満たすためには莫大なコストがかかるというのが廃止の表向きの理由だが、つまるところ“不要物の廃棄”だ。高速増殖炉「もんじゅ」とともに原子力政策の失敗作といっていい。
言うまでもなく、原子力施設は後始末が困難である。放射能にひどく汚染された設備や建造物や燃料類を相手に誰がどのように作業し、汚染された物や液体をどこに処分するのか。
何もまだ確立されていないなかで、東海再処理施設の廃止作業は完了まで約70年かかり、費用は1兆円ほどであると発表された。例のごとく、最短、最少の甘い見積もりを出しているのであろう。100年以上かからないという保証は全くない。
使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場は、「原発1年分の放射能を1日で放出する」といわれるほど放射能汚染の危険度が高い。日本には技術的なノウハウがなく、東海再処理施設は、フランスにつくってもらった。
実験的な施設とはいえ、トラブルが多く、役に立ってきたとは言いがたい。管理体制のお粗末さも指摘された。施設内のプールには、廃棄物入りのドラム缶約800個が乱雑に積み上がり、内容物が漏れている可能性も指摘されている。
いうまでもなく、原子力発電の最大の矛盾は、いつまでも放射能を出し続ける使用済み核燃料の処分方法が確立されていないことだ。
いずれ、科学技術の力で克服できると見込んで、とりあえずスタートさせたものの、最終的に地中深く埋めておく処分場が、候補地の反対でいっこうに見つからず、使用済み核燃料は各原子力発電所のプールに貯まり続けている。
この状況を打開し、ウラン資源を持たない弱みを解消するための、一石二鳥プランとして浮上し、事業化したのが使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再利用する「核燃料サイクル」だった。
国は原発から出る使用済み核燃料をすべて再処理にまわすよう義務づけ、そのほとんどは英国とフランスに委託してきた。
日本としては、「東海」の運転によってノウハウを積み上げ、独力で本格的な六ヶ所再処理工場(青森県)をつくるという目論見だったが、結局のところ、六ヶ所の建設についても再びフランスを頼るほかなかった。
しかも企業個々の利権がからみ、一貫性のない設計となったためトラブル続きで、いつまでたっても完成に至らない。それが六ヶ所再処理工場の現実だ。
6月17日の朝日新聞朝刊一面トップに「日本のプルトニウムに上限」という見出しの記事が掲載された。
 
政府は、原発の使用済み核燃料を再処理して取り出した「余剰プルトニウム」の保有量に「上限」を設け、余剰分が増えないよう対策を強化する。建設中の六ヶ所再処理工場の運転計画を認可する際に、プルトニウムを使う量に応じて再処理できる量を制限する。
 
2021年の完成をめざす六ヶ所再処理工場がフル稼働すれば、年に約8トンの余剰プルトニウムが増える。だが、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が決まり、核燃料サイクルが絵に描いた餅となった今、「MOX燃料」くらいしかプルトニウムの使い道はない。
それなのに国内に約10トン、英仏の再処理施設に約37トン、合わせて47トン(原爆約6,000発分)をすでにかかえている。日米原子力協定で例外的に再処理を認めてきた米国政府からもプルトニウムの削減を求められており、対策が必要になったというわけだ。
具体的には、取り出したプルトニウムとウランを混ぜて普通の原発で使う「MOX燃料」に応じた分量だけしか新たなプルトニウムの取り出しを認めないことにするという。
しかしここで疑問がわく。現在、再稼働している9基の原発のうち「MOX燃料」を使うプルサーマル発電を導入しているのは4基に過ぎない。すでに47トンものプルトニウムがあるのに、これ以上、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す必要があるのだろうか。
つまるところ、六ヶ所再処理工場じたいが不要なのである。再処理が必要なら実績がある英仏に頼んだ方がはるかに安くつくことも知られている。
ところが、六ヶ所再処理工場にはこれまでに3兆円近い資金が投入されているのだ。
事業主体の日本原燃は、電事連所属の電力各社(沖縄電力を除く)と日本原子力発電の出資した会社だが、電力各社から日本原燃に注ぎ込まれるカネは、もとはといえば国民が支払っている電気料金である。
しかも「21年の完成をめざす」とはいえ、さまざまなトラブルでこれまで竣工が23回も延期されている。
このほど廃止が決まった東海再処理施設にもあった重大な欠陥が、六ヶ所村再処理工場でも是正できないまま建設が進められた。
原子力専門家の小出裕章氏は六ヶ所再処理工場に関する自著で、次のように書いている。
 
問題は、東海再処理施設でも発生していた「白金族元素が溶けずに沈殿してしまう」というトラブルに対して何の対策もとらないまま、5倍もの規模の施設を作ってしまったことである。その分だけ、トラブルもスケールアップしてしまったのだ。
 
六ヶ所再処理工場の方が東海よりはるかに深刻な問題をかかえこんでいるようである。
六ヶ所でトラブルが相次いだ高レベル放射性廃棄物の「ガラス固化体」製造工程は、フランスの技術ではなく、すでに再処理事業から撤退したドイツの技術を、石川島播磨重工が導入したものだ。なぜそんなことになったのか。
「日本の原子力産業がそれぞれに独自の利益を求めて、再処理工場建設の仕事を工程ごとに奪い合ったため、継ぎ接ぎの工場となってしまった」と小出氏は指摘する。
東海再処理施設で2008年1月までに再処理された使用済み核燃料は、累積で1,180トン。稼働率にするとたったの20%未満にすぎない。
六ヶ所再処理工場の稼働能力も同じように低いと想像される。21年に完成しても、そんな施設に3兆円もかけたのかと批判されるのがオチだ。それなら、米国の圧力のせいにして、あえて稼働させないようにしておくのが得策。そんな経産省の思惑も「余剰プルトニウムに上限」の報道から見え隠れする。
六ヶ所再処理工場を含む核燃料サイクル計画のかなめとなっていたのが高速増殖炉「もんじゅ」だったが、トラブル続きで36年経っても実用化できないまま、廃炉が決定した。
「もんじゅ」をなくして、核燃料サイクルは成り立たない。そこで、政府は「もんじゅ」は廃炉にするが、「高速炉」の研究は続けるという理屈をでっち上げた。それなら、核燃料サイクルの旗を降ろさずに済むというわけだ。
その高速炉とは、具体的にはフランスが開発し日本が協力している「アストリッド」計画のことだ。
しかし、この計画は実現に向かうかどうかさえ不透明なシロモノだ。開発主体のフランスはこのほど、計画の縮小を決定、建設するかどうかを2024年に判断すると表明したのである。
普通の原発より発電コストの高い高速炉から米英独はすでに撤退、フランスも急いで開発する必要性を認めていない。
他国依存をやめ、日本が「アストリッド」計画から撤退すれば、高速炉研究の実態がなくなり、核燃料サイクルという原発再稼働の言い訳を完全に失うことになるが、むしろそれこそが真っ当なあり方だろう。
原発再稼働はすでに正当性を失っている。だからこそ、与党陣営はそれを選挙で掲げることを避ける。そして選挙が終わると、短期的、単眼的利益のために豹変するのだ。
 
新恭(あらたきょう)この著者の記事一覧
記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。