北電・泊原発3号機について、11年にわたった原子力規制委員会の適合性審査が24日終了しました。同原発敷地内の断層についての北電側の調査やその解析が不十分であったため審査が大幅に遅れました。
北電は27年の再稼働を目指していますが、それには防潮堤(海抜19m)や津波の影響を受けない作業用のトンネルの建設を進めるなどいくつものハードルがあり、北電が目指している27年再稼働は困難と見られています。
もう一つは火山条項関連で、過去の噴火の調査から敷地内の降灰量は最大で40cmでそれでも運転に支障はないとする北電側の説明が、10月4日規制委に了承され(10月4日NHK記事)たということですが、『火山灰はガラス粉や鉱物の結晶片などで硬いため、セントヘレンズ火山での実績では、降灰量が僅か0.6~1.3cmに達しただけで自動車のエンジンが故障し、3cmを超えると電車が脱線するので、所員の原発へのアクセスが困難』になります。所員のアクセスが困難であれば、安全の確認も出来ないし原発の停止作業も困難です。
規制委、北電共々検討し直すべきです。
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原子力規制委員会による『泊原発3号機』の適合性審査が事実上終了 活断層の存在などをめぐり長期化 再稼働に向けての課題はなお山積
HBCニュース北海道 2024/12/25
大きな節目を迎えました。停止している北海道電力の泊原発3号機について、原子力規制委員会の適合性審査が12月24日、事実上、終了しました。
原子力規制庁 天野直樹 安全管理調査官
「審査会合において、コメント回答を要するような追加の指摘事項はなかったと認識しております」
24日、東京で開かれた原子力規制委員会。
北電が、2013年から11年にわたって続けた泊原発の再稼働に向けた安全対策の説明が、すべて了承され、審査が事実上終了しました。
2012年5月、東京電力福島第1原発の事故を受け、運転を停止した泊原発3号機。
北電は2013年に、新規制基準の適合性審査を申請しましたが、審査の中で原子力規制委員会は『泊原発』敷地内の断層について厳しく追及。
『活断層ではない』と主張する北電側の調査の姿勢まで指摘が及び、審査は長期化しました。
2018年の審査会合では、次のようなやり取りがありました。
原子力規制委員会 石渡明委員(2018年当時)
「(北電に)非常に説得力ある根拠を示してもらう必要がある。そういう.認識を共有してますか?」
北電
「認識は共有しております」
なぜ、ここまで時間がかかったのか。北海道内の電力事情に詳しい専門家は、こうした指摘をします。
北見工業大 小原伸哉教授(電力工学)
「新しく基準が変わり“火山現象”の評価がすごく難しかった。(北電の)社内に地質の専門家が、ほとんどいなかった状況。相手(原子力規制委員会)から“何をやっているんだ”というふうに思われた」
一方、再稼働には、地元や周辺の理解が不可欠となりますが、鈴木知事は…。
鈴木直道知事(12月23日取材)
「予断を持って申し上げる状況ではない。規制委員会ができたときは、政治的にどうこうじゃなくて、ちゃんと科学的に安全性を確認しましょうということで、今やっているところですから、そこをしっかりやってもらう」
さらに、再稼働に向けては、海抜19メートルの防潮堤や、津波の影響を受けない作業用のトンネルの建設を進めなくてはならず、いくつものハードルが待ち構えています。
■《スタジオ解説》
森田絹子キャスター)
再稼働をめぐる審査は3つのステップがあり、いまは第1段階の【設置変更許可】です。
審査会合が、事実上終了し、このあと北電は、自然災害や施設に関するまとめの資料と、補正した申請書を原子力規制委員会に提出します。
原子力規制委員会は、早ければ来年にも「審査書案」、いわば「合格証」を公表します。
その後【工事計画認可】と【保安規定認可】を経て、再稼働となるわけですが、この時期について、北電は、早ければ防潮堤やトンネルの建設が終わる2027年の春以降と見込んでいます。
堀啓知キャスター)
ただ、例えば今年10月に原子炉を再稼働した宮城県の女川原発の場合、審査会合の議論を終えてから、再稼働まで5年かかっていて、北電の見込み通りに時期が進むかは不透明です。