新潟県議会厚生環境委員会が9日開かれ、県は柏崎刈羽原発で事故が起きた場合の自主避難者の割合について、3割程度に上る可能性があり、完了まで2日かかると想定していることを明らかにしました。
自主避難の明確な定義は述べられていませんが、バスを使わずに自家用車で適宜避難するという意味と思われます。規制委などは「5~10キロ圏内の住民は自宅退避する」と機械的に決めただけで、実際に被爆防止にそれが有効であるかの検討などは何も行っていないので、住民の側がそうするのも無理からぬことと思われます。
因みに避難用のバスは630台を要するということで、「不足する場合は近隣県から調達する」となっていますが、本当に準備できるのでしょうか。これでは万事が曖昧のまま再稼働に進みそうです。
東電と刈羽村が9日、避難所運営の支援に関する協定を結びました。それは新潟市西蒲区に保管している仮設トイレなどの資機材を自治体側の求めに応じて運搬し、避難所での設営から撤去までを担うというもので、東電の地域貢献策の一つです。このようにして具体策を着実に詰めていくことが望まれます。
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柏崎刈羽原発、事故時に3割が自主避難 新潟県が想定を県議会で説明
朝日新聞 2025/12/10
新潟県議会厚生環境委員会が9日、開かれた。県は、東京電力柏崎刈羽原発(同県)で事故が起きた場合の自主避難者の割合について、3割程度に上る可能性があると想定していることを明らかにした。
事故が深刻化し、全面緊急事態になった場合、原発から5キロ圏内(PAZ)の住民は即座に避難すると定められている一方、5~30キロ圏(UPZ)の住民は屋内退避を求められる。「無理な避難による無用な被曝(ひばく)を避けるため」という。ただ、その中でも自主避難する人がいると想定される。
自民県議から事故時の避難について問われ、県の担当者は「福島では3割程度の人が自主避難したことを踏まえると、新潟でも少なくとも同程度は発生する可能性がある」と説明した。
また、原発から放射性物質が放出され、屋内退避から避難に切り替えられた後の対応について、県は30キロ圏で人口が最も多い長岡市を例に挙げ、旧長岡市だけでも避難者が約18万6千人に上ると試算。県の調査では自家用車で避難する意向を示している人が約8割おり、避難完了まで2日程度かかるとした。バスの必要台数は「延べ630台。不足する場合は近隣県から調達する」とした。
この日の厚生環境委員会では25席の傍聴席が満席になったため、別室に「音声視聴室」が設けられた。ただ、この部屋で質疑を聞いた女性は「音声が時折割れ、映像もなくて委員会室と同じ環境が用意されているとは言い難かった」と話した。
傍聴席から発言が飛び交った際は議会事務局の職員が「静粛に」と書かれたボードを掲げ、注意を呼びかけた。ボードは9月定例会以降、本会議でも使われている。議会事務局の担当者は「多くの人にまとめて注意喚起ができ、注意自体で声を出すことも避けられる」と語った。(西村奈緒美)
原発事故時に長岡市中心部の避難「2日程度かかる」試算を公表【新潟】
UX新潟テレビ21 2025/12/9
9日の県議会常任委員会で県防災局は柏崎刈羽原発で事故が起きた場合、長岡市中心部の住民避難に「2日程度かかる」との試算を公表しました。
多くの傍聴者が詰めかけた9日の県議会厚生環境委員会。
自民党の柄沢正三氏は県に対して、原発の5~30km圏内の住民避難について質問しました。
■自民党 柄沢正三県議
「長岡の市街地の住民が避難をしなければならなくなったとき、避難から完了まではどの程度の日数が必要なのか。」
■県原子力安全対策課 金子信之課長
「人口の多い長岡市街地、仮に旧長岡市の住民が避難するとき18万6000人ほどになる。UPZの方々が避難するときは放射性物質が放出されたあとの避難になるので、汚染検査をやりながら避難する。大体避難完了まで2日程度かかる。」
バスで避難する住民が15.3%にものぼり、延べ630台もの車両が必要になるとの見込みを示しました。
このほか、原発周辺の自治体に財政支援する『原発立地特措法』と『電源三法交付金』の対象地域拡大の状況については-
■県 森永正幸危機管理監
「特措法については、対象地域をUPZを含む市町村に拡大する事務次官通達のパブリックコメントがいま行われていて、12月18日までとなっている。それを受けて国からはこの事務次官通達を改正すると聞いている。」
森永危機管理監は、電源三法交付金については「国の対応をしっかり確認したい」と答えました。
仮設トイレなどの運搬・設営・撤去まで 自然災害時の避難所支援へ 東京電力と新潟・刈羽村が協定締結
BSN新潟放送 2025/12/9
東京電力と新潟県刈羽村が9日、避難所運営の支援に関する協定を結びました。
東電の地域貢献策の一つで、新潟市西蒲区に保管している仮設トイレなどの資機材を自治体側の求めに応じて運搬し、避難所での設営から撤去までを担います。
費用は自治体の負担で、東電は避難所に社員を派遣し、設備の故障や不具合に対応するということです。
【刈羽村 品田宏夫 村長】
「基本的に自然災害は、行政が対応すべき課題。(東電に)頼らなくてもちゃんとできる。でも“友達”として助けに来てくれる、手伝いに来てくれる、それはうれしいこと」
【東京電力 新潟本社 柿澤幸彦 代表】
「知事の判断の際にも、『信頼を回復するには、しっかりと行動と実績を積み上げていくことが必要だ』と話をいただいている。原子力災害のためにいろいろな資機材を揃えているが、こういったものが自然災害のときにも活用できれば、皆さまの安心につながるのではないかと」
東電は原発30キロ圏内の自治体を対象に、今後も協定を結んでいきたいとしています。