浜岡原発の基準地震動の捏造に関して原子力規制庁の担当者は「不正が行われた2018年は敷地に近い活断層の地震動が評価の対象となった時期だ」と説明しています。
要するに近傍の活断層の地震動を加味すると基準地震動の値が大きくなり、現行の浜岡原発の強度では不足となるので、不足しないように(1200ガルに収まるように)捏造したということです。
予想される最大限の地震が発生しても設備が安全である耐震性が得られるように基準地震動が設定されるのに、設備が健全である範囲に基準地震動値を抑えるのでは全く趣旨に反します。その点でも震動データの平均値を取ることで「最大限の地震」に対応できることの説明が必要です。
新潟原発でも中越沖地震で2000ガル以上の加速度を実測しています。それに比べても基準地震動(それ以上の加速度は加わらないという意味)が1200ガルというのは信じられない低さです。
浜岡原発データ捏造関連「続報2」として紹介します。
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中部電力・浜岡原発のデータ「捏造」問題、その時期に何があったか?
#エキスパートトピ 関口威人 2026/01/08
中部電力が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の再稼働に向けた審査で、原子力規制委員会に不正なデータを提出していた問題が衝撃と波紋を広げています。委員会は7日に会合を開き、各委員から「捏造または改ざん。事は重大で誠に遺憾だ」「心底がっかりしている」「(審査に費やした)国費を無駄にする行為だ」などの厳しい声が上がりました。
なぜこのような不正が行われたのかは、中電が設置する第三者委員会の調査に委ねられますが、少なくとも現時点で「ある時期」が焦点として浮かび上がります。
2018年頃以降は「平均に最も近いものではないもの」を代表として選んでいました。
出典:CBCテレビ 2026/1/5(月)
同庁の担当者は(中略)「(不正が行われた)2018年は敷地に近い活断層の地震動が評価の対象となった時期だ」と説明。
出典:時事通信 2026/1/7(水)
当時の担当者は「内陸の地震、活断層による地震の評価、審査をしていただいている。ここが頑張りどころ」と語っていました。
出典:静岡放送(SBS) 2026/1/6(火)
エキスパートの補足・見解
今回の不正行為は地震学などの専門的な領域に関わり、まだ詳細が明らかでない面も多いですが、その方法は大きく2段階に分けられ、より意図的な方法が「2018年頃以降」に行われたと中部電力は説明しています。想定される地震動の波形について、本来は20組の波形から平均的な波を代表波として選ぶべきところ、中電側が数千組の波形から一つを選び、それが平均となるように残り19組の波も選んでいたというのです。
この不正が始まった2018年頃は、浜岡原発の審査で「内陸地殻内地震」、つまり活断層の影響を審議していた時期だったと原子力規制庁は指摘しています。原発の敷地に近い活断層が地震動評価の対象となったため、敷地への影響が大きくなり、それが「基準地震動」に反映されれば耐震設計の見直しなどに時間やコストがかかり、再稼働のハードルが上がることになります。
静岡放送によれば当時、中電の担当者は「ここが頑張りどころ」と言っていたそうです。その「頑張り」があらぬ方に向かってしまったのか、そうだとして担当者や担当部署のレベルだったのか、組織全体のレベルだったのか。原子力の信頼をまたも根底から揺るがせる今回の事案、徹底的な解明が求められます。
浜岡原発の審査白紙へ、規制委 耐震データ「捏造で暴挙」と批判
共同通信 2026年01月07日
中部電力が浜岡原発3、4号機(静岡県)の耐震設計に関わるデータを不正に操作した問題で、原子力規制委員会の山中伸介委員長は7日、定例記者会見で「明らかに捏造。安全規制に対する暴挙だ」と批判し、再稼働の前提となる審査を白紙にする考えを示した。中部電本店(名古屋市)と浜岡原発への強制力のある立ち入り検査も検討する。同原発は南海トラフ震源域直上に立地。耐震性に関わる不正で、再稼働が大きく遠のいた。
山中委員長はこの日の定例会合で、中部電が設置した第三者委員会の調査結果を待たずに対応するよう事務局の原子力規制庁に指示した。
地震や津波の審査を担当する山岡耕春委員は「国民の関心が最も高い地域の一つ。不正は非常に深刻だ」と指摘。杉山智之委員は「検査などを通じて確かな情報を得て、審査の前提が確立するまでは再開は不可能だ」と述べた。
一方、山中氏は記者会見で他の電力会社が同様の不正行為をしていないかどうかについては調査しない方針を示した。
再稼働の審査は白紙に…中部電力による浜岡原発めぐるデータ不正 原子力規制委員会・委員長は厳しく批判「安全規制に対する暴挙」
TBSテレビ JNN 2026/1/7
静岡県の浜岡原発の再稼働の審査をめぐり、中部電力がデータを不正に操作していた問題。原子力規制委員会の委員長は「安全規制に対する暴挙」と批判し、審査を白紙に戻す見通しを示しました。
原子力規制委員会 山中伸介 委員長
「重要なデータを恣意的に操作したもので、安全規制に対する暴挙である」
原子力規制委員会の山中委員長が厳しく批判したのは中部電力。静岡県にある浜岡原発3号機と4号機の再稼働をめぐる審査で、地震の揺れを意図的に小さくみせていた疑いが発覚したのです。
中部電力の会見(今月5日)
「本当に申し訳ございませんでした」
原子力規制庁によりますと、去年2月に外部から情報提供があり、中部電力に調査の協力を要請。調査の結果、浜岡原発の再稼働に向けた審査で、中部電力が耐震設計のもとになる想定される最大の地震の揺れを示す「基準地震動」のデータを不正に操作していたことが明らかになりました。
原子力規制委員会 山中伸介 委員長
「これまでの審査そのものの信頼性が問われているので、審査そのものをやり直していく必要があろうかと」
再稼働への審査を白紙に戻し、やり直す見通しを示しました。
こうした事態に浜岡原発がある御前崎市の住民は。
御前崎市民
「しっかりしろよって感じです」
「もう一度安全について考え直してもらった方がいいかな」
中部電力は「規制委員会のご指示・ご指導に真摯に対応してまいります」とコメントしています。