2026年1月7日水曜日

07- 浜岡原発 想定地震を過小評価 再稼働審査に「重大な影響も」

 中部電力は5日、浜岡原発3、4号機の再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査を巡り、基準地震動を過小評価していた疑いがあると発表しました。中部電は2014~15年、規制委に3、4号機の審査を申請。約9年の審査を経て、23年9月に、原発の耐震設計の目安となる基草地震動を1200ガルなどとすることで規制委側から大筋で了承されました。
 しかし規制庁がその根拠を求めると、実際には、まず「代表波」を1200ガル相当になるグラフを選び、それが20通りの平均に近いものになるように、残りの19の地震動を後から選んでグラフを作成しました。全くの捏造であったということです。
 代表波を1200ガル相当にしたのはその値であれば現行の設備が「モツ」からですが、逆に言えば、それ以上の地震が発生する可能性があるので耐震性は不十分です。
 この件は昨年2月に規制庁に外部通報があって明らかになりました(そもそも地震波の平均値を用いるのはそれが「最大の確率」になるからですが、基準地震動そういう手法で決めていいのかも疑問です)。

 元々浜岡原発はフィリピン海プレートが潜り込む震央地の上に建っている世界一危険な原発として知られていて菅直人首相時代、福島原発事故後に真っ先に浜岡原発の運転停止が要請さて停止になったものでした。現実に敷地内には「H断層」が通っていてそれが活断層か否かが問題視されていました。
 基準地震動の算出に当たり敢えて通常の手法を用いなかったのは、正式に算出すると現行の原発は地震に耐えられないという結果になるからです。それを誤魔化すために捏造データを用いたわけでそれの及ぼす害悪は計り知れません。
 再稼動申請はスタートからやり直しになりますが、規制委は何よりもまず正確な「基準地震動」が得られるよう責任を持ってチェックすべきです。
 以下に関連記事を紹介します。
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浜岡原発 想定地震 過小評価か 再稼働審査に「重大な影響も」
                        しんぶん赤旗 2026年1月6日
中都電社長が陳謝
 中部電力の林欣吾社長は5日、名古屋市の本店で記者会見し、浜岡原発3、4号機(静岡県御前崎市)の再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査を巡り、想定される地震の揺れ(基準地震動)を過小評価していた疑いがあると発表しました。同社は外部の弁護士で構成する第三者委員会を設置して原因などの調査を行います。
 林社長は「(原子力規制委員会の)審査に重大な影響を及ぼす恐れがある。当社の原子力事業への信頼を失墜させ、事業の根幹を揺るがしかねない」と述べ、陳謝しました。
 中部電は201415年、規制委に3、4号機の審査を申請。約9年の審査を経て、23年9月に、原発の耐震設計の目安となる基草地震動を1200ガル(加速度の単位)などとすることで規制委側から大筋で了承されました
 昨年5月から原子力規制庁による基準地震動に関する調査の連絡を受け、同社は計算方法を説明。同10月には規制庁から、同社の委託先が作成した資料の提示を求められていました。
 同社によると、基準地震動を構成する地震波を算出する際、本来は震源断層から生じる複数の地震波の平均値を「代表波」としますが、実際には平均値とは異なる地震波を意図的に選び、代表波としていたといいます。
 こうした操作は18年より前から、本社原子力土建部の社員複数人が行っていたといいます。結果的に基準地震動か小さくなる可能性があり、豊田哲也原子力本部長は「地震動を小さめにしたいという意図があっただろうと思う」と認めました。
 浜岡原発を巡っては昨年11月、安全性向上対策工事の一部で取引先と正式な契約や代金精算の手続きをしていなかったことなどを公表。原子力本部長の伊原一郎副社長らが引責辞任しています。


中部電の審査不正、公益通報で把握 昨年2月に、対応協議へ 規制委
                             時事通信 2026/1/6
 中部電力浜岡原発(静岡県)の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査を巡り、地震想定に関わるデータが意図的に選定されていた問題で、規制委事務局の原子力規制庁は6日、外部通報がきっかけで昨年2月に問題を把握したと明らかにした。
 規制委は7日の定例会合で対応を協議する。
 同庁によると、原子炉等規制法に基づく公益通報制度により情報提供があった。同年5月から中部電側と面談を重ねて、事実関係の確認を進めたところ、同年12月に「不正行為があったと確認した」との説明があったという。
 同庁は電力事業者などとのやりとりを原則としてすべて公開しているが、今回は情報提供者の保護や裏付け調査を慎重に行ったため、公表をこれまで控えたとしている。


"結論ありき”でデータ選定か… 浜岡原発・基準地震動の不正問題 揺れを“過小評価”の疑い 地元・御前崎市長「極めて深刻」再稼働の行方は混沌=静岡
                         静岡放送(SBS) 2026/1/6
中部電力が1月5日に明らかにした浜岡原発(御前崎市)のデータ不正問題。
予想される地震の揺れを過小評価していた可能性があり、安全性に根本的な疑問が投げかけられる中、地元からは「極めて深刻」などと厳しい声が上がっています。

■「平均値に近い波」を偽装
<御前崎市 下村勝市長>
「安全性に影響を与える極めて深刻な事態と認識している」
浜岡原発を抱える自治体からの怒りの声。発端は5日の発表でした。
中部電力の5日の緊急会見で明らかになったのは、静岡県御前崎市にある浜岡原発の安全をめぐるデータ不正。
再稼働に向けて原子力規制委員会の審査の過程で、設備の耐震設計の前提となる「基準地震動」を小さく見せようとしていた疑いがあるということです。
「基準地震動」は想定する最大の揺れを示す数値で、規制委員会の審査で策定が求められていました。
「基準地震動」の算出の過程で中電は、原発の近くで起こる地震の想定について、ランダムに20通りの地震動のグラフを作成し、その中から平均に最も近い波を代表波(だいひょうは)に選ぶと規制委員会に説明していました。
しかし実際には、先に「代表波」を意図的に選んだ上で、それが20通りの平均に近いものになるように、残りの19の地震動を後から選んでグラフを作成していました
「地震に耐えられる施設だ」という結論ありきで、データを選び出していた疑いが浮上したのです。
<中部電力 林欣吾社長>
「平均値に近い波ではないものを代表波として、意図的に選定し、地震動を過小評価していたということを確認している」

■「頑張りどころ」があらぬ方向に向かったか
この不正は2018年から行われており、この頃ちょうど「基準地震動」の策定の重要な局面でした。
浜岡原発は2011年の福島第一原発事故を受けて全停止。その後、中電は3・4号機の再稼働を目指して審査が進められていましたが、2018年当時は敷地内や周辺の断層による地震評価をめぐり議論が過熱していました



中部電力浜岡原発のデータ不正問題、再稼働を見据えた国への要望活動を取りやめ…関係自治体から失望の声相次ぐ
                         読売新聞オンライン2026/1/7
 浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査で、中部電力がデータを操作して説明した疑いがあると発表したことを受けて、周辺自治体が早期再稼働を見据えて今月下旬に行う予定だった国への要望活動を取りやめたことが、関係者への取材で分かった。関係自治体や県内経済界からは、失望や懸念の声が相次ぎ、影響が広がっている。(菱沼隆雄、榎田翔太)

「安全性と信頼性の確保」繰り返し発言
 「これまで中部電力に、安全性と信頼性の確保を繰り返し発言してきた中、極めて深刻な事態であると認識している」
 浜岡原発が立地する御前崎市の下村勝市長は6日、市役所で記者会見を開き、険しい表情で語った。下村市長は「エネルギー供給の観点から原発が重要であるという認識は今も変わっていない」としつつ、「大前提の安全性が揺らがないことが最も大切だ。地域の信頼なくして再稼働は難しい。御前崎市だけではなく、広い範囲から信頼される状況を作り出す必要がある」と強調した。
 同市議会では近く、臨時の原子力対策特別委員会を開き、中部電から説明を受けるという。

要望活動は見送り
 浜岡原発では年内にも審査に合格する期待が高かったために、原発から半径10キロ圏内の4市(御前崎、牧之原、菊川、掛川)で構成する「浜岡原発安全等対策協議会」(4市対協)は今月下旬、財務省などに対し、避難道整備に向けた財政支援に関する要望活動を行う方向で調整していた。
 関係者によると、東名高速道路にスマートインターチェンジの新設などを求める予定だったというが、今回の発表を受け、当面の見送りを決めたという。

経済界から相次ぐ不安の声
 早期再稼働を期待していた経済界からも、不安な声が相次ぐ。
 県西部では、金融機関関係者が「原発への期待は製造業を中心に高く、(中部電も)原発のイメージアップに力を入れてきたのに逆戻りだ」と話した。ウナギ養殖関係者も「原発が再稼働されれば、電気代が安くなると期待していただけに残念でならない」と肩を落とした。
 静岡商工会議所の幹部は「静岡県を含めた中部電力管内で、電力の安定供給に支障を来すことを危惧している」とコメントした。

藤枝市長「意図的な不正であれば、大きな裏切り行為」
 浜岡原発から半径約30キロ・メートル圏内にある「緊急時防護措置準備区域」(UPZ)に位置する自治体の首長らからも厳しい意見が上がった。主なコメントは以下の通り。

 藤枝市・北村正平市長「仮に意図的に不正が行われていれば、市民への大きな裏切り行為だ。(第三者委員会で)しっかり調査していただき、我々にも説明をお願いしたい
 島田市・染谷絹代市長「不正なデータ操作の事実があれば、中部電への信頼を根底から覆すもので遺憾に思う。再稼働の審査をやり直すことまで考えなければならないかもしれない
 掛川市・久保田崇市長「地域との信頼関係を失墜させる重大な事案。徹底的な調査を行い、結果がまとまり次第、掛川市や地域への説明を求める
 牧之原市・杉本基久雄市長「外部の目から見ても弁明の余地はない
 菊川市・長谷川寛彦市長「組織に対する信用をも失墜しかねない」
 木原稔・官房長官「原子力施設の安全性の確保と事業者に対する国民の信頼性確保が大前提だ。安全性に対する国民の信頼を揺るがしかねないものであり、あってはならないこと」


中部電力“データ不正”は「耐震性を確保する上で最も重要」な審査項目 福島第一原発の事故後に“安全性”厳格化も…なぜ? 浜岡原発の再稼働審査は停止【大石邦彦解説】
                           CBCテレビ 2026/1/6
浜岡原子力発電所の再稼働審査で、中部電力が地震の揺れを小さく見せていた疑いがあることが分かり、再稼働をめぐる審査は停止されました。
“データ不正”は、原子力規制庁の担当者が「耐震を確保する上で最も重要」だと話す審査項目で行われていました。
(中部電力 林欣吾社長 名古屋・東区5日)
「原子力事業に対する信頼を失墜させ、根幹を揺るがしかねない事案である」
5日緊急会見を開き、謝罪した中部電力の林社長。静岡県御前崎市にある浜岡原発の3号機と4号機の再稼働審査の際、耐震設計の「基準地震動」について中部電力がデータを操作。意図的に地震の揺れを小さく見せていた疑いがあるということです。
原子力規制庁によりますと、去年2月に外部から情報提供があり、中部電力に調査の協力を要請していました。

■地元住民「あってはいけないことすぎて…」
浜岡原発の地元では…。
(御前崎市民・50代)
「安全第一ですから、あってはいけないことすぎて残念」
(御前崎市民・30代)
「この地域は原発も海もあって、地震となると皆さん不安なので、そこで不正があるとちょっと心配になる」
また、御前崎市の下村勝市長は
(静岡・御前崎市 下村勝市長)
「安全性に影響を与える、極めて深刻な事態と認識している」

■中部電力が目指す“早期再稼働”が遅れるのは必至
問題の発覚を受け、原子力規制庁は去年12月22日以降、3号機と4号機の審査を停止していて、中部電力が目指す早期再稼働が遅れるのは必至です。
(中部電力 林欣吾社長)
「原子力部門の解体的な再構築も含めて、覚悟を持って自ら変えていくことが大事だと思っている」
中部電力は第三者委員会を設置し、詳しく調査する方針です。

■今回のデータ不正 ポイントは?
(大石邦彦アンカーマン)
原発の安全性に関わる、あってはならない問題が起きてしまいました。中部電力が浜岡原発の再稼働を早めるために、データを有利に操作していた”と受けとられても致し方ないと思います。
浜岡原発は静岡県御前崎市にあります。2011年の福島第一原発事故を受けて稼働を停止していましたが、2014年以降再稼働に向けて4号機・3号機の審査を原子力規制委員会に申請していました。この審査の過程で、想定される地震の揺れを“意図的に小さく見せていた”疑いがある…というのがポイントです。

■最も重要な審査項目「基準地震動」で起きた不正行為
(若狭敬一アナウンサー)
原発の耐震性の評価に関わってきますよね。
(大石)
はい。再稼働に向けた審査は3つです。
1)設置変更許可 (2)設計・工事計画 (3)保安規定
不正があったのは1つ目の「設置変更許可」の審査過程。福島の事故を踏まえて基準を強化・新設し、科学的な安全性がより厳しくなった中、想定される地震の揺れ「基準地震動」で問題が発覚しました。
原子力規制庁の担当者は「『基準地震動』は耐震を確保する上で、最も重要な審査項目。不正行為が行われたのは遺憾」とコメントしています。
福島原発の事故から15年。再稼働への焦りがあったのか。このデータ不正は地元への裏切り行為であり、全ての原子力事業の信頼を揺るがす事態といえます。


浜岡原発、想定地震を過小評価 中部電、審査不正疑い 再稼働の遅れ必至
                           産経WEST 2026/1/5
中部電力は5日、浜岡原発3、4号機(静岡県御前崎市)の再稼働の前提となる原子力規制委員会の新規制基準適合性審査で、耐震設計の目安として想定する揺れ「基準地震動」を意図的に過小評価した疑いがあると発表した。事実関係や原因を調べるため、外部の弁護士からなる第三者委員会を設置した。規制委は2025年12月22日以降の審査を停止し、「不正行為」と判断して今月7日の定例会合で今後の対応を議論する。審査合格と再稼働が遅れるのは必至とみられる。
中部電によると、審査会合では、基準地震動を策定する際、計算条件が異なる20組の地震動の中で、平均に最も近い波を「代表波」に選定すると、規制委に説明した。しかし、実態は意図的に代表波を選んでいた疑いがある。原子力土建部の社員数人が関与したとみている。
林欣吾社長は名古屋市で開いた臨時記者会見で「心より深くおわび申し上げる。原子力事業の根幹を揺るがしかねない。原子力部門の解体的な再構築を視野に入れる」と謝罪した。自身の進退については「今後、総合的に考えていく」と述べるにとどめた。
今回の問題は昨年2月、規制委への外部通報がきっかけで分かった。経済産業省は5日、電気事業法に基づく報告を中部電に求めた。