2016年3月26日土曜日

規制委 耐震安全性の裏付けなしで運転延長を認可へ 高浜原発1・2号機

 原子力規制委は23日、運開40年超関電高浜原発1、2号機について、重要設備を実際に加振して耐震性を確かめる試験をする前に、延長運転を認可できるとする方針に変更しました。これは加振試験を課すと結果が出るまでに運転延長認可の期限7月)を超えてしまうからで、実際に揺らしたデータがないまま認可して救済するものです。
 具体的には同原発の格納容器などの加振試験を、工事計画認可を経て対策工事が終わった後の設備検査の段階で良いとするもので、実際に揺らす試験で耐震性が不十分となれば、新たな耐震対策を追加して工事計画認可を受け直すことができ、運転延長の認可は覆ることがないというものです
 規制委の、ただひたすら20年の運転延長を認めたいとする姿勢だけが目立って、本当に最長20年の運転延長に耐えられるかの確認ができるのかについては一向に明らかではありません。
 
 そもそもこの規制委の方針変更は、原子炉等規制法に反するものです。
原子力規制を監視する市民の会」など4団体は、24日、それは40年経過までに基準適合性の確認を求める原子炉等規制法に対して、原子力規制委自ら違反するものであって許されない、とする共同声明を出しました。
 
       共同声明: http://kiseikanshi.main.jp/2016/03/24/kyoudouseimei/
 以下に紹介します。
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共 同 声 明            2016年3月24日
原子力規制委自ら法令違反
耐震安全性の裏付けなしで40年超え高浜原発12号機の認可は許されない
 
 3月23日の原子力規制委員会定例会合において、原子力規制庁は、関西電力高浜原発1・2号機の耐震安全評価のために必要な蒸気発生器の加振試験を、工事計画認可に基づく工事完了後に高浜1・2号の実機で行うとの方針を示しました。これが、今年7月7日に期限を迎える40年から60年への運転期間延長に係る認可をパスさせるためのものであることは明らかです。
 
 工事計画の審査で問題になっている炉内構造物の耐震安全性評価において、関西電力は今年1月、従来の手法では許容値を超えてしまうことから、蒸気発生器を含む一次冷却材ループの減衰定数を従前の1%から3%に緩めるとの方針を示しました。従来の手法というのは、ガイドや規格が要求するやり方であり、本来ならこれで審査をパスできない時点で、新規制基準に適合しないとの判断がなされて当然でした。
 
 これに対して、実規模試験を要求したのは原子力規制庁の側でした。
 関西電力は、2月の段階では、加振試験を美浜原発3号機で、打撃試験を美浜原発2号機で実施するとしていました。今回、加振試験を高浜原発1・2号機で実施するとしたのは、工事完了のためには先に工事計画認可が必要だとの理屈をつけるためでしょう。
 
 法令では、運転延長の認可は工事計画の認可を得ていることが前提となっていますが、認可の期限を迎える段階では、加振試験は実施されていません通常使う減衰定数を緩めた上、その妥当性を確認しないままの耐震評価となります。もっとも重要な耐震評価を欠いたままの工事計画を許すことになり、これを前提にした運転期間延長の認可は無効です。
 原子炉等規制法及び規則・内規などで定められたルールを規制当局自ら破り、老朽炉の稼働を後押しするようなやり方を許すことはできません。
 
 規制委・規制庁はこの間、40年を超える老朽炉の運転期間延長認可の審査において、安全確保ではなく、期限に間に合わせることを最優先させ、許容値を超えた数値を小さくするための指南までしてきました。
 今回は、自ら法令を破ってまで再稼働させようとしているのです。
 
 工事計画認可は、原発が新品同様であることを前提としていますが、高浜原発1・2号機はそれでも、許容値をクリアできない状況にあります。現実には、運転開始40年を超えて劣化が進んでいるはずです。このような原発を動かすなど危険極まりない行為です。高浜原発1・2号機は廃炉しかありません
以上
原子力規制を監視する市民の会
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
国際環境NGO FoE Japan
                           連絡先 (省 略
 
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<原子炉等規制法より>
第四十三条の三の三十二 発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉の設置の工事について最初に第四十三条の三の十一第一項の検査に合格した日から起算して四十年とする。
2  前項の期間は、その満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、一回に限り延長することができる。
3  前項の規定により延長する期間は、二十年を超えない期間であつて政令で定める期間を超えることができない。
4  第二項の認可を受けようとする発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、原子力規制委員会に認可の申請を
しなければならない。
5  原子力規制委員会は、前項の認可の申請に係る発電用原子炉が、長期間の運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ、
その第二項の規定により延長しようとする期間において安全性を確保するための基準として原子力規制委員会規則で定める基準に適合していると認めるときに限り、同項の認可をすることができる。