2018年1月27日土曜日

原発事故 東電旧経営陣の公判再開 証人は20人超

 東電旧経営陣3人が、福島原発事故業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判が、26日、昨年6月の初公判以来7カ月ぶり再開され、初めて証人尋問が行われました。
 これから6月にかけて20人を超える証人尋問の集中審理を行い、秋ごろまでに証人尋問と被告人質問を行う予定です。
 この日の証人は、東電で原子力部門部長代理を務めた男性社員で、津波でタービン建屋地下に設置された電源設備が浸水したため、「原子炉を冷却し、監視するすべを失った」と説明し、「地震直後に原子炉は非常停止していたので、津波が来なければ収束していたと思う」と述べました。
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原発事故 東電旧経営陣の公判再開 証人は20人超
NHK NEWS WEB 2018年1月26日
東京電力の旧経営陣3人が、福島第一原発の事故をめぐり業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴された裁判が、およそ半年ぶりに東京地方裁判所で再開されました。裁判長は、法廷に呼ぶ証人の数が20人を超えることを明らかにし、6月にかけて集中審理を行う方針を示しました。
 
東京電力の元会長の勝俣恒久被告(77)、元副社長の武黒一郎被告(71)、元副社長の武藤栄被告(67)の3人は、福島県の入院患者など44人を原発事故からの避難によって死亡させたなどとして、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、いずれも無罪を主張しています。
 
26日、東京地方裁判所でおよそ半年ぶりに審理が再開され、裁判長は、法廷に呼ぶ証人の数が20人を超えることを明らかにし、6月にかけて集中審理を行う方針を示しました。
 
続いて証人への質問が始まり、東京電力が公表した事故調査報告書を取りまとめた社員が、原発の仕組みや事故が起きるまでのいきさつについて証言しています。
 
裁判では、震災の前に事故を予測できたかどうかが争点となっていて、検察官役の指定弁護士が、社内で津波を想定していたのに対策を先送りしたと主張しているのに対して、3人は想定が妥当かどうか専門の学会に検討を依頼していたとして、先送りを否定しています。
 
 
東電社員を証人尋問 原発事故「津波なければ収束」
旧経営陣公判・東京地裁
時事通信 2018年1月26日
 東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長勝俣恒久被告(77)ら東電旧経営陣3人の第2回公判が26日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。証人尋問が始まり、社内で事故調査を担当した東電社員は「津波がなければ事故は起きなかった」と証言した。
 
 公判は昨年6月の初公判以来、約7カ月ぶり。秋までに二十数人の証人を呼び、勝俣元会長ら3人の被告人質問を行う。津波の予見可能性などを争点に、実質的な審理が始まった。
 26日は、東電で原子力部門の部長代理を務めた男性社員が出廷した。津波でタービン建屋地下に設置された電源設備が浸水したため、「原子炉を冷却し、監視するすべを失った」と説明。「地震直後に原子炉は非常停止していたので、津波が来なければ収束していたと思う」と述べた。
 
 
原発事故公判が再開 報告書まとめた東電社員を尋問
東京新聞 2018年1月26日
 東京電力福島第一原発事故を巡り、津波対策を怠ったとして業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(77)ら旧経営陣三被告の第二回公判が二十六日、東京地裁で始まった。東電の社内事故調査に携わった社員が証人出廷し、津波で電源が喪失し水素爆発を引き起こした事故の経緯などを説明した。
 
 昨年六月の初公判以来、七カ月ぶりの再開で、証人尋問は初めて。永渕健一裁判長は今年六月にかけて第十七回公判まで行い、秋ごろまでに東電の関係者、地震や津波に関する専門家など二十数人の証人尋問と、被告人質問を行う見通しを明らかにした。
 
 この日出廷した社員は事故当時、原発の設備管理担当の部長代理で、事故後には東電の事故調査報告書を取りまとめた。法廷では事故の経緯のほか原発の仕組みなどについて証言。「津波が来なければ事態は収束していた」などと述べた。
 
 他の二被告は武黒一郎元副社長(71)と、武藤栄元副社長(67)。主な争点は巨大津波の危険性を具体的に予見できたかや、対策をしていれば事故は防げたかなど。指定弁護士は今後の尋問を通じ、東電社内で事故前から津波の危険性が十分に認識され、三被告もそれを把握していたことなどを立証する方針とみられる。
 
 昨年の初公判で、指定弁護士は「国の長期予測から最大一五・七メートルの津波が来るとの試算があったのに、対策を先送りした」と主張。被告側は「実際の津波は、長期予測も全く想定しない規模で、事故はおよそ予見できない危険が現実化したものだ」とし、無罪を主張した。
 
 勝俣元会長らを巡っては、福島原発告訴団が一二年に告訴・告発。東京地検は二度、不起訴としたが、検察審査会が三人を起訴すべきだと議決し、一六年に指定弁護士が強制起訴した。