2018年1月8日月曜日

08- 埼玉県議会「原発再稼働を求める意見書」採択に非難ごうごう

 埼玉県議会は昨年1222日、「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」採択しました。それが23日東京新聞の埼玉版で報じられると、県民や原発立地の人たちから非難と抗議の声があがりました。

 原発のない埼玉県がなぜそんな意見書を出したのか分かりません。
 意見書は、日本の原発規制基準は「世界で最も厳しい水準」と述べています。
 欧州では、新基準により建設費が従来の2倍以上に達して大問題になっているほど、徹底したものになっています。
 それに対して日本の基準は、防潮堤を作り、配管の耐震強度を上げ、ケーブルを耐火性のものに替え、予備電源等の設備を増設する程度の姑息な対応で軒並み再稼働OKになっていて、肝心の原子炉については従来のものをそのまま継続して使います。

 原発が温室効果ガスを出さないのは発電の過程のみで、核燃料の製造時と、特に使用済みの核燃料を数万年単位で保管管理する際の電力等の使用量(=炭酸ガスの発生量)は、当然莫大で測り知れません。
 また原発は、熱効率が火力の半分乃至6割程度と低いため、同じ発電量当たり火力の17倍~2倍分冷却水として用いる海水を温めます。これは地球温暖化の直接的な要因となります
安定供給性」も誤りで、あと数年で商業ベースのウラン採掘は限度(枯渇)に達し、価格が高騰すると言われています。

 レイバーネットの記事を紹介します。
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あ~りえない、ありえないと県内外から非難ごうごう〜
埼玉県議会が「原発再稼働を求める意見書」を採択
レイバーネット 2018年1月7日
 2017年12月22日、埼玉県議会で「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」が採択された。報じたのは、翌23日東京新聞の埼玉版。これを知った県民や原発立地の人たちから、非難と抗議の声があがっている。

埼玉県議会の12月定例会では議会最終日22日に8件の意見書が提出され、3件の決議がなされた。そのうちの1件が問題の原発再稼働を求める以下の意見書である。
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世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書

 エネルギー政策の基本は、安全性を前提とした上で、安定供給を第一とし、次いで経済効率性の向上と環境への適合である。
 そのためには、優れた安定供給性と効率性を有し、運転時に温室効果ガスの排出を伴わない原子力発電所の稼働が欠かせない。
 よって、国においては、立地自治体等関係者はもとより国民の理解と協力を得られるよう前面に立ち、下記の措置を講じつつ、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を進めるよう強く要望する。


1 将来の世代に負担を先送りしないよう高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組を強化すること。
2 立地自治体、防災関係機関等との連携を強化し、避難のための道路、港湾等のインフラの整備や避難行動要支援者等に十分配慮した避難計画の策定などを継続的に支援すること。
3 電源立地地域対策の趣旨に基づき、新たな産業・雇用創出を含む立地自治体の実態に即した地域支援を進めること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成29年12月22日
埼玉県議会議長   小林哲也
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣            
経済産業大臣
原子力防災担当大臣
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 地元埼玉では12月26日、27日と連続で県庁前スタンディングとビラ配りが有志により行われ、年明け1月4日も仕事始め県庁に出勤する職員や通行人へのビラ配りと、駅前での抗議アピールがあった。呼応して、県庁所在地であるさいたま市以外でもそれぞれの地元駅前でのスタンディングなど、個人やグループによる抗議活動が拡がっている。

 また、いち早く12月28日に福島県の「虹とみどりの会」(蛇石郁子 郡山市議)は埼玉県議会議長に宛てて59団体209名の賛同署名を添えた要請書を提出した。

 ネット上には「埼玉が原発を誘致しろ」「核のゴミを全部引き受けろ」と、埼玉県への厳しい声があふれている。原発を持たない埼玉県が、再稼働を他県に求め犠牲と負担と危険をおしつけるような採択をしたことを知って驚き、「恥ずかしい」「情けない」「申し訳ない」と、身の縮む思いを語る市民にたくさん出会った。

福島の原発事故以降、埼玉でも脱原発に取り組む多くのグループ個人がそれぞれに熱心な活動を続けている。にもかかわらず、今回の県議会の動きに気づかず未然に止められなかったことを「事前にわかっていたら」と、悔やむ声も聞かれた。

国内外のさまざまな問題が山積する今、市民活動に携わる人たちは多くの問題に関わり、あちらこちらで声を上げ動いている。生活や仕事をしながらの活動に疲労の色が濃いのは、正直否めない。

今回の埼玉県議会の意見書採択で、世界の流れとは逆に、日本政府はもとより地方議会まで、政治家の中では原発推進の勢力がまだまだ大きいことが浮き彫りになった。原発の廃絶を願う多くの市民にとって、議会チェックや議員への働きかけは、大きな課題だ。

原発再稼働を推進する動きが全国に広がることを危ぶみ、緊急行動として、埼玉県議会の「原発再稼働を求める意見書」の採択に抗議する市民の会では、1月10日(水)13時~県議会に賛同表明した個人や団体の名簿を付けた抗議書を提出する。

これに先立ち12時JR浦和駅西口に集合し、県庁までデモを行う。14時からは県政記者クラブで記者会見を行い、会場では抗議文読み上げるほか郡山市の蛇石郁子市議、大熊町の木幡ますみ町議はじめ福島、柏崎、東海など原発立地から駆け付けた方々の発言も予定している。

いま、採択に抗議する市民の会には県内はもとより福島県など県外からも自民党議員を含む賛同表明が続々と寄せられている。

なお、賛同者、賛同団体は・お名前・お住まいの自治体名・公表の可否を、
sirotama@kbf.biglobe.ne.jp まで。提出日前日の1月9日24時まで受け付けている。〔知多 歩〕

 ●ありえない音頭 動画1/4浦和駅東口前 https://youtu.be/hMRP01fPK8U
●1.10抗議デモ こちら