2025年8月25日月曜日

柏崎刈羽原発の再稼働は東電の経営にどれだけの効果?巨額投資に見合うのか

 柏崎刈羽原発が再稼働すると東電の経営にどれだけの効果があるのだろうかの視点から、新潟日報は、東電は単年度黒字を維持しているものの「フリーキャッシュフロー」は7年連続で支払い超過で24年度はマイナス幅が約5千億円に上り、原発事業を経営再建計画の柱に据え続けることは妥当なのか″と疑問を呈しました。「会計学」の知識がないと理解しにくいのですが…
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
柏崎刈羽原発の再稼働は東京電力の経営にどれだけの効果が?巨額投資に見合うのか、経営再建の柱に据え続ける妥当性は  原子力深考
                           新潟日報 2025/8/25
 東京電力柏崎刈羽原発が再稼働すると、東電の経営にどれだけの効果があるのだろうか。厳しい経営状態にあるとされる東電だが、福島第1原発事故に伴う賠償の費用には政府による支援もある。再稼働の是非を巡り本県の議論が続く一方で、東京電力ホールディングスは単年度黒字を維持している。原発事業を経営再建計画の柱に据え続けることは妥当なのか。(東京支社・小林千剛)

 東電の2024年度連結決算をみると、一定水準は確保しているように映る。売上高は前期比1・6%減の6兆8103億円、純利益は同じく39・8%減の1612億円と、燃料費変動などの影響で減収減益となったものの、黒字は確保した。
 それでも、東電は新潟日報社の取材に対し、現状を「厳しく受け止めている」とする。
 福島第1原発の廃炉に8兆円ともされる莫大(ばくだい)な費用が見込まれることを踏まえれば、十分な収益とはいえないだろう。中でも東電が深刻に捉えているのは、手元の現預金の流出だ。
 柏崎刈羽原発の安全対策費をはじめとした設備投資費が膨らみ、営業活動で得るお金と設備投資で出ていくお金の合計「フリーキャッシュフロー」は7年連続で支払い超過となった。24年度はマイナス幅が約5千億円に上る損益が黒字でも、手元の現金が尽きれば経営は継続できない。東電が「厳しい」とするのが、この点だ
 東電は柏崎刈羽原発の再稼働に向け巨額投資を続けてきた。現時点の工事費は公表されていないが、19年時点で見込み額は1兆1690億円に上った。その後もテロ対策施設の建設などが続いており、設備投資はさらに膨らむとみられる。
 その中で東電は、柏崎刈羽原発の再稼働による収支改善に期待する。東電が火力発電などに比べ「安価」だとする原発で経費削減を図り、再稼働で年1千億円の利益改善を見込む。
 しかし、莫大な設備投資額に対し、再稼働で得られる年1千億円の効果は見合うのかどうか。素朴な疑問が浮かぶ
 柏崎刈羽原発は12年3月を最後に一度も動いていない。地元同意の議論が続き、再稼働できるかさえも見えない中で、再稼働を経営再建の柱に据え続ける判断は果たして妥当なのか。

再稼働議論が続く東京電力柏崎刈羽原発。多くの費用と年月をかけて安全対策工事が行われてきた=5月
 東京電力ホールディングスの小早川智明社長への取材でその妥当性を問うと、「原子力エネルギーの活用は資源のない日本にとって重要だ」と語り、質問には直接答えなかった。

東電は「良好な業績」 立命館大・金森絵里教授
 経営難の訴えは電力会社の「常とう手段」東電の経営と原子力事業の関係について、専門家はどう見るか。原発会計に詳しい立命館大の金森絵里教授は、...
   (以下は会員専用記事のため非公開 残り569文字 全文:1613文字)