2026年5月11日月曜日

11- 原子力規制庁の「業務用スマホ」紛失、1年間で少なくとも6件

 今年1月、原子力規制庁の職員が私用で訪れた中国で、業務用のスマートフォンを紛失していたと問題を受けて、弁護士ドットコムニュースが業務用スマホの紛失に関する行政文書を原子力規制委員会に開示請求したところ、2025年だけで少なくとも6件の紛失が発生していたことが分かりました。
 紛失したケースが他にどれほどあるかを電話で尋ねたところ、2025年度の紛失事案は10件で、そのうち2件はいまだに見つかっていないということです。トータルの紛失数は相当にのぼりそうです。
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原子力規制庁の「業務用スマホ」紛失、1年間で少なくとも6件…ホテル周辺、路上、移動中 開示文書で判明
                     弁護士ドットコムニュース 2026/5/8
今年1月、原子力規制庁の職員が私用で訪れた中国で、業務用のスマートフォンを紛失していたと、マスコミ各社が相次いで報じた。
この問題を受けて、弁護士ドットコムニュースが業務用スマホの紛失に関する行政文書を原子力規制委員会に開示請求したところ、2025年だけで少なくとも6件の紛失が発生していたことが、開示文書からわかった。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

●今年1月、「中国で紛失」と報道
2026年1月6日に、共同通信は独自ニュースとして、原子力規制庁の職員が2025年11月にプライベートで訪れた中国で業務用スマートフォンを紛失したと報じた。
記事によると、端末には、機密性が高く公表されていない核セキュリティー担当部署の職員名や連絡先が登録されていたという。
その後、目立った続報が見当たらなかったため、弁護士ドットコムニュースは、中国での紛失事案の詳細がわかる行政文書の開示を請求した。
ただ、原子力規制委員会の担当者からは、個別事案を特定した形の請求は不開示になる可能性があると説明を受けた。
そのため、「原子力規制庁の職員が2025年に業務用スマホを紛失したケースの詳細がわかる文書」という趣旨で請求することにした。

●2025年に少なくとも紛失6件、開示文書から判明
4月に開示された文書には、「防災携帯電話の紛失について(報告)」と題されたファイルが6件含まれていた。
黒塗り部分は多いものの、文書の記載内容から、それぞれ別個の事案であることが読み取れる。
紛失場所は、出張先のホテル周辺や、飲食店からの帰宅途中の路上、研修会場から宿泊施設への移動中など多岐にわたる。
報告書の中には、「遠隔地であり参集困難であることを理由に、日に一度の防災携帯確認を数日に亘(わた)って怠っていた」と記されていたケースや、紛失後、数日間気づかなかったケースもあった

●CIセンターへの報告も確認
紛失事案の中には、内閣官房の内閣情報調査室に置かれている「カウンターインテリジェンス(CI)・センター」に報告されていたケースも確認された。
内閣官房のホームページによると、CIセンターは2008年に設置され、「外国の情報機関による諜報活動から我が国の重要な情報、職員等を保護する」役割を担っているという。

●原子力規制庁、約600台を保有
原子力規制庁などによると、防災携帯電話は、原子力発電所に影響する災害などが発生した際、緊急対応にあたる職員に配られており、保有台数は500〜600台で、現在はすべてスマートフォン型だという。
端末には、職員の氏名や電話番号、メールアドレスなどの情報が入っており、地震発生時などにメールが送られてくるようになっている。
また、遠隔で端末を操作できるようになっており、紛失が発覚した場合など、データの消去やロックをかけることも技術上は可能だという。
日常業務で頻繁に使用することは少ないものの、配付される職員は「肌身離さず携帯する」ことになっているようだ。

●2025年度は紛失10件、うち2件は未発見
今回開示された文書の中に、今年1月に報じられた「中国での紛失事案」が含まれているかどうかについて、原子力規制庁の担当者は「言えない」とした。
また、紛失してもすぐに見つかった場合などは報告書を作成しないこともあるといい、実際の紛失は開示文書からわかる6件よりも多い可能性がある。
そのため、紛失したケースが他にどれほどあるかを電話で尋ねたところ、2025年度の紛失事案は10件で、そのうち2件はいまだに見つかっていないという。
担当者によると、現時点で、悪用や情報漏えいなどの被害は確認されていない。
日本の安全保障にも関わりうる「防災スマホ」の紛失は、どのような場面で起きていたのか。続報では、開示文書から見えてきた実態を詳しく伝える。