2016年2月3日水曜日

課題を置き去りにしたままの 高浜原発再稼働

 東電福島の原発事故で明らかにされた課題の多くは解決されていません。泉田新潟県知事がいうように、あの原発事故がなぜ起きたのかの解析も、事故後5年が経過しようとしているのに何も進んでいません。
 高浜原発に限定してみてもやはり多くの課題を置き去りにしたまま、この度同原発3号機が再稼働しました。
 人々の安全と安心は確保できるのか。その先に何が待っているのかを考える」として、中日新聞 が3回にわたって <置き去りの先に 高浜再稼働> を特集しました。
 各回のテーマは、「上」:避難計画の実効性の乏しさ、「中」:運転に伴って増量するプルトニウムの問題、「下」:過酷事故時の国・電力会社による補償の不十分さ・・・です。
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<置き去りの先に 高浜再稼働>
   (上) 机上の避難計画
中日新聞  2016年1月31日
 関西電力高浜原発(福井県高浜町)から南西へ百二十キロほど離れた兵庫県宝塚市のスポーツセンター。3号機の再稼働が間近に迫った二十一日、記者が訪ねると、責任者という中年の男性が首をかしげた。「えっ。わたしはここが避難先とは聞いてませんが…」
 
 国の広域避難計画によると、高浜原発で重大事故が起き、風向きなどで東に逃げられない場合、地元の高浜町民ら七千人が宝塚市に避難することになっている。スポーツセンターは受け入れ先に指定されている市内十五施設の一つだ。
 宝塚市総合防災課の担当者は「(センターが)避難先に指定されているのは間違いない。管理者の認識が不足していた」と周知不足を認める。計画では避難者のための食料や布団の調達は市町に委ねられているが、センターには何もない。担当者は「関西広域連合や(兵庫)県から具体的な指示がなく、市では何も決められない」と漏らした。
 
 高浜原発は先行して再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)と異なり、国の計画で避難対象とされる三十キロ圏が県境を越える。圏内の住民は福井、京都の計十一市町、十七万九千人。避難先は兵庫や徳島など四府県五十六市町に及ぶ。関係自治体間の連携は容易ではない。
 また、避難の際は安定ヨウ素剤の配布場所に寄ったり、放射性物質が付着していないかを調べるスクリーニング検査を受けたりすることになっているが、これも実効性に疑問符が付く。
 兵庫県へマイカーで避難する場合のスクリーニング検査は、舞鶴若狭自動車道の綾部パーキングエリア(PA)=京都府綾部市=で実施される。だが、駐車スペースは数十台分。検査を担当する福井県の職員は、百五十キロ離れた県庁から誰よりも早く駆け付けなければならない。
 
 そもそも避難道となる舞鶴若狭自動車道や、代替となる国道は大半が片側一車線しかない。「海水浴の時期ですら渋滞するのに、円滑に避難できるはずがない」。高浜原発から約四キロ離れた高浜町小和田の農業、東山幸弘さん(69)は「避難計画は、再稼働に間に合わせるために役人が無理やり作った机上の空論。現実に即していない」と批判する。これに対し、福井県は「その時々の情勢に対応する」(危機対策・防災課)と臨機応変に臨むという。
 
 高浜3号機が再稼働した二十九日の会見で、丸川珠代原子力防災担当相は「緊急時対応についても、引き続きより一層の緊張感を持って備えをしたい」と述べたが、今のところ、福井と、隣接する京都、滋賀三府県の合同避難訓練すら、開催のめどが立っていない。
 人々の安全と安心は確保できるのか。多くの課題を置き去りにしたまま高浜原発3号機が再稼働した。その先に何が待っているのかを考える。 (小浜通信局・平井孝明)
 
<国の広域避難計画> 福島第一原発事故を受け、各原発ごとに内閣府が半径30キロ圏内の自治体と協議し、策定を進めている。複数府県にまたがる避難計画は高浜原発が初めてで、昨年12月18日、国の原子力防災会議で了承された。先に再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県)と、地元同意が済んでいる四国電力伊方原発(愛媛県)でも作られている。
 
 
<置き去りの先に 高浜再稼働>
   (中) 減らない核燃料
中日新聞  2016年2月1日
 「プルサーマルの推進、そして核燃料サイクルの推進という観点から非常に意味がある」。関西電力高浜原発3号機(福井県高浜町)が再稼働した一月二十九日、林幹雄経済産業相が会見で期待を込めた。
 プルサーマルとは使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出して作る「MOX」と呼ばれる燃料を通常の原発で使う発電のこと。新規制基準下で実施されたのは高浜が初めてだ。
 核のごみ、と揶揄(やゆ)されることが多い使用済み核燃料だが、日本はこれを資源として再利用する核燃料サイクルの確立を目指してきた。その両輪がMOX燃料を使い、消費した以上のプルトニウムを生み出すとされる高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)と、プルサーマル発電だが、もんじゅは度重なるトラブルから原子力規制委員会に運営主体の変更を迫られるなど、先行きが見えない。そんな中、高浜の再稼働は核燃料サイクルを回すため、小さいながらも火が灯(とも)ったことを意味する。
 
 ただ、福島第一原発事故前にプルサーマル発電で消費したプルトニウムは計一・九トン。核燃料サイクルのため、ため続けたプルトニウムは二〇一四年末時点で、国内外に四七・八トン。非軍事用では世界全体の五分の一に相当し、原爆五千発に相当するとされる。
 関電が二月中の再稼働を目指す高浜4号機や、再稼働を申請中の四国電力伊方3号機(愛媛県)などもプルサーマル発電だが、これらがすべて再稼働したとしても、ため込んだプルトニウムのうち、MOX燃料として消費できる量はわずかだ。
 
 「(核燃料は)再処理せずに直接、処分すべきだ」。軍備管理と核不拡散問題の専門家でつくる「国際核分裂性物質パネル」のメンバーで原子力・核政策アナリストの田窪雅文さんは、高浜原発が支えようとしている核燃料サイクルそのものを否定する。
 サイクルが、よほどうまく回らない限り、その存在はプルトニウムをためる口実と化すからだ。
 
 北東アジアでは韓国が原子力協定を結ぶ米国に対し、日本のような再処理を認めるよう求め続けている。中国にも日本の動向をにらみ、再処理技術を促進しようとの主張がある。
 「韓国内には北朝鮮に対抗し、核武装を主張する声もある。今後、実際に核開発を進めようとする国が、プルトニウムをため込むために日本をあしき前例にする可能性はある」と田窪さん。唯一の被爆国である日本が、核拡散を助長させるのか。日本の核燃料サイクルはそんな点からも世界で注視されているという。 (福井報道部・塚田真裕)
 
<MOX燃料> 原発から出る使用済み燃料からウランとプルトニウムを取り出し、混ぜて作った核燃料で、「ウラン・プルトニウム混合酸化物(Mixed Oxide)燃料」の略称。通常の原発で使うプルサーマル発電は、日本では2009年に九州電力玄海3号機(佐賀県)で初めて本格導入。伊方3号機(愛媛県)、高浜3号機のほか、水素爆発を起こした福島第一原発3号機でも実施例がある。電気事業連合会は全国の16~18基の原発でプルサーマル発電の導入を目指している。
 
 
<置き去りの先に 高浜再稼働>
   (下) 責任取れるのか
中日新聞  2016年2月2日
 福井県鯖江市に住む柑本(こうじもと)修さん(46)は昨年十二月、アルバイトを始めた。北陸新幹線の整備に伴う文化財調査で時給は九百円。福井市のJR福井駅近くの現場で週四、五日、土を掘り返す。「農業だけでは生活できないから…」と嘆息する。
 
 東京電力福島第一原発事故が起きたとき、福島県二本松市の郊外で無農薬のコメを作っていた。原発から六十キロほど離れていたが、地域のコメから基準値を超える放射性物質が検出され、柑本さんの水田も出荷制限がかかった。知人のつてを頼り、遊休農地があった鯖江市に移り住むことに。ニンニクやタマネギを育て、昨年春には市内の古民家で農家民宿も始めたが、いずれも軌道に乗ったとは言えない。
 事故後、再出発のため「数百万円は使った」という。水田は売れなかった。だが、東電から支払われた賠償金は家族三人分で約六十万円。政府が指示していない二本松市からの避難は自主避難とされたからだ。「人生を無理やり、変えられたのに…」と憤る。
 
 政府の指示があった地域は自主避難扱いと比べ、賠償額は多いが、ここにも格差がある。福島県川内村の村議志田篤さん(67)は「家族四人の場合、同じ村内でも二十キロ圏なら約一億円二十~三十キロ圏は八百万円ほど」と明かす。二十キロを境に指示が避難と屋内退避に分かれたためで同村には両圏が混在する。志田さんは「放射能が二十キロでぴたっと止まるのか」と怒りをあらわにした。
 こうした賠償額の算定は、国の原子力損害賠償紛争審査会が定めた指針に基づく。「指針は多様な被害の実態と乖離(かいり)している」と指摘するのは、民間による実態調査「原発避難白書」の作成に携わった江口智子弁護士だ。
 
 納得できない被害者は、国の原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立て、指針を上回る条件の和解案を提示されることもある。だが、強制力はなく、東電は拒否できる。泣き寝入りする被害者を減らそうと、昨年十二月の原子力委員会でADRの和解案に法的拘束力を求める意見も出されたが、議論は深まっていない。
 そんな状況で、高浜原発が再稼働した。
 
 以来、柑本さんはどうにも天候が気にかかる。本職の農作業。冬越しのタマネギは冷たい風が甘くする。が、もしも事故が起きたら、その風がまた放射性物質を運んでくるかもしれない。
 今、柑本さんの畑がある鯖江市は高浜原発から約八十キロ。三十キロ圏からは外れ、事故が起きたときの避難計画もない。「福島の事故の責任が果たされていないのに、高浜で何かあったとき、関電と政府が責任を取れるとは到底思えないんです」  (社会部・西尾述志)
 
<福島第一原発事故の賠償> 東京電力と原子力損害賠償・廃炉等支援機構は要賠償額を7兆753億円と見積もり、1月22日現在、個人、法人などを合わせ約239万9000件で計5兆6947億円を支払った。大半は国が立て替え、返済費用は電気料金に上乗せされている。国の原子力損害賠償紛争解決センターには1万8801件の申し立てがあり、和解が成立したのは7割の1万3414件。原発避難白書によると、2015年4月現在、名古屋、福島、東京など18地裁で計25件の集団賠償訴訟が起きており、原告数は9900人余りに上る。

03- 地層埋設 瑞浪研究所(岐阜) 探訪記

 火山・地震地帯である日本列島には数万年間も安定的である地層は存在しないことは、日本学術会議で確認されています(2012年)1
1    2014年1月6日 核のごみの処分地選定急展開か
 要するに日本では「高レベル放射性廃棄物」を地下深くに埋める「地層処分」はできないということです。
 
 福島民友新聞が、岐阜県瑞浪市(みずなみし)の 「瑞浪超深地層研究所」を取材しまし
 同所には地下300mの岩盤(花こう岩)に1・8kmの坑道が掘ってあります。坑道面に露出した花こう岩からは水止めしたあとも絶えず水がしたたり落ち、その量は1日750トンに上ります。
 
 仮にそこに埋設することにすると、まず高圧で吹き出てくる地下水を汲み上げながら掘削を進めて広大なスペースを確保するという難工事が必要な上に、完成後の湧水量は現行の数十倍乃至それ以上になるので、より大がかりな排水設備が必要になります。そしてその維持管理費としては、数年ごとのポンプの交換、電気設備の保守・部品交換、駆動・保守用電力等を数万年分見積る必要があるので、そのコストは天文学的な数値になります。その他に数万年間の人件費も当然かかります。
 まずコスト的に見て問題外だということですが、より根本的な問題はその地層が数万年間安定しているという保証がないことです。
 
 日本にはもう一か所試験的に掘った坑道があります。
 それは北海道天塩郡幌延の深地層研究センターで、すでに地下350mまで掘ってあります。
 しかしそこは堆積岩質の比較的軟らかい地質で、坑道には塩分を含む地下水が湧出しているということなので、貯蔵所として不適ですし安定した地層でもありません2
2 2014年5月6日 幌延の深地層研 地下500メートルまで掘削へ
 
 これが日本の核廃棄物処分における肌寒い状況です。
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「地層処分」見えぬ候補地 岐阜・瑞浪研究所、地下水に焦点当たらず
福島民友  2016年02月02日
 原発の使用済み核燃料を再処理する過程で出る「高レベル放射性廃棄物」を地下深くに埋める「地層処分」。研究が始まって今年で40年となるが、いまだに処分場の候補地は決まっていない。施設建設の課題はどこにあるのか、岐阜県瑞浪市の「瑞浪超深地層研究所」を取材した。
 
 岩盤を垂直方向にくりぬいて作った分速100メートルの地下エレベーターで降りたのは、地下300メートルに横方向に掘られた坑道。露出した花こう岩からは絶えず水がしたたり落ちる。研究所の担当者は「地下水がしみ出さない加工をしているのでこの程度。地下では岩盤の隙間を水が流れ、掘れば高圧で噴き出す」と語る。
 
 資料では深層の地下水は動きは遅いとされているが、一度掘った空間には圧力がかけられて湧き出し、しかも湧き出したことが地層全体に与える影響は地球上どこでも実験したことはないという。実際に水止め加工をしていないところからは相当の水量が出ており、地下坑道の総延長1.8キロの同所では1日750トンが湧き、ポンプでくみ上げて排出している。「岩盤は安定しているから貯蔵に最適」という利点が示される一方、地下水問題はあまり焦点が当てられていない。水は核燃料を包む防護壁を長年かけて浸食する要因の一つだ。
 
 海外で地層処分の処分地として決定している地域としてフィンランド・オルキルオトが有名だ。担当者に「フィンランドの岩盤でも水は出るのか」と聞くと「岩盤に割れ目がないので水は少ないと聞いている。ただ(瑞浪の)地下水量は当初の想定通りで問題はない」との答えだった。
 
 「地層処分」の候補地選定について、国は従来の公募方式から、科学的な「有望地」を示し該当する自治体に協力を呼び掛ける方式に変更した。有望地を選定する期限は年内だ。国には「地層処分しか方法はない」などの単純な説明ではなく、これまで明示しなかった課題まで示しながらの説明が求められる。

2016年2月2日火曜日

立地町の自治を奪った原発交付金 国には自立を支援する責任

 信濃毎日新聞が29日に再稼働した高浜原発3号機を例に、原発交付金の問題を取り上げました。
 
 高浜町の財政に関しては、2013年度決算の一般会計歳入総額は918800万円このうち原発関係の交付金が221100万円で歳入に占める割合は24さらに固定資産税収入が歳入全体の27%を占め251千万円に上ります
 このように町の財政が交付金に高率で依存しているのに加えて、地元企業も原発関連企業との取引が多く、町全体が原発抜きでは維持できない構造になっているので、事実上「立地自治体には再稼働を拒否する選択肢はない」成美大学三好ゆう准教授いうことです。もともと原発が立地したところは過疎で産業乏しいところでもありました。
 こうして立地町が再稼働に同意するしかない状況下で、いま再稼働が進められているわけです。
 
 交付金の本質は、原発という危険な施設を当てがわれた町への迷惑料であり危険手当です。それ故に例えば16年度予算で言えば900億円近いものが税金から拠出されるわけです。
 立地町の財政や町のあり方を長年にわたっていびつにしてきた責任は政府(と電力会社)にあります。従って政府(と電力会社)には地域自立に向け基幹産業育成出来るように支援していく責任があります。 
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(社説)あすへのとびら 自治奪う原発交付金 支配脱する道探るとき
信濃毎日新聞 2016年1月31日
 アメとムチ―。広辞苑によると、支配者の硬軟両様の政策を意味する。政府が昨年末に打ち出した政策は、まさに「支配者」の思考を映し出している。
 原発が立地する自治体には、政府から多額の交付金が出る。来年度からこの交付金の額を、原発が再稼働した自治体に手厚くする。一方で再稼働が見通せない自治体は減収になる。
 原子力規制委員会の新規制基準に合格した原発が再稼働できるかどうかは、最終的には立地自治体の「同意」にかかっている。今回の政策は財政面で締め付け、同意を半ば強制する。自治体が将来を選択する権利を奪うものだ。
 
<政府の買収行為>
 九州電力川内原発1、2号機に続き、関西電力がおととい、高浜原発3号機(福井県高浜町)を再稼働した。再稼働に同意を求められた「地元」は、原発が立地する高浜町と福井県だけだ。
 人口約1万人の高浜町の財政をみると、町が原発から脱却すると決断するのは容易ではないことが浮き彫りになる。
 福井県と高浜町の資料によると、町の2013年度決算の一般会計歳入総額は91億8800万円。このうち、原発関係の交付金が22億1100万円で、歳入に占める割合は24%になる。さらに固定資産税収入が歳入全体の27%を占め、25億1千万円に上る
 同じ福井県若狭地方で原発を持たない小浜市(人口約3万人)と比較すると、一般会計の財政規模はほぼ半分にもかかわらず、固定資産税収入は1・6倍ある。原発関連施設からの課税収入の大きさがうかがえる。
 高浜町はこれまで、原発関係の交付金で公共施設や観光施設を造り、その維持費や人件費も交付金で賄ってきた。交付金の活用事業は多岐にわたり、住民の予防接種や介護用品支給事業、高校生の通学費助成、乳幼児医療費助成なども対象だ。
 地元企業も原発関連企業との取引が多く、町全体が原発抜きでは維持できない構造になっている。
 
 東京電力福島第1原発の事故は、暴走した原発が国土と後世にどれほど深刻な影響を与えるのかを浮き彫りにした。原発が立地する地域が将来どう生きていくのか、住民たちが真摯(しんし)に話し合う機会になったはずだ。
 それなのに、原発立地自治体の財政状況を研究している成美大学(京都府福知山市)の三好ゆう准教授は「立地自治体には事実上、再稼働を拒否する選択肢はない」と指摘する。
 見逃してはならないのは、原発施設の減価償却に伴い、固定資産税の収入が減りつつある立地自治体が少なくないことだ。
 高浜町では01年度に30億円あった固定資産税が5億円減少している。原発関係の交付金の減少は死活問題になりかねない。
 政府は16年度当初予算案に、交付金の多くを占める「電源立地地域対策交付金」を868億円盛り込んでいる。政府が地元自治体の弱みに付け込んで「原発を支えるシステム」に組み入れ、「支配」する構造はあまりにも強固だ。
 高浜原発で事故が起きれば被害が及ぶ京都府や滋賀県は、地元自治体並みの再稼働への同意権を求めたが実現しなかった。交付金などで大きな恩恵がある立地自治体のみに同意権がある現状は、政府による買収行為ともいえるのではないか。
 原発再稼働の是非を影響を受ける地域全体が公正に判断するため、少なくとも避難計画の策定が義務付けられる半径30キロ圏の自治体には同意権を与えるべきだ。
 原発立地自治体が考えなければならないことがある。「原発は永遠ではない」ということだ。
 福井県敦賀市出身の三好准教授が、原発を抱える自治体の財政状況を調べ始めたのは「故郷の若狭地方の自治体が将来、財政破綻するかもしれない」という危機感を持ったからだ。
 調べれば調べるほど、将来への懸念が強まった。原発への大きすぎる財政依存。原発が姿を消した時、この地域はどう生きるのか。
 
<新産業の育成急げ>
 原発の運転期間は、福島原発事故を受け改正された原子炉等規制法で原則40年と規定されている。延長は1回に限り、最長で20年だ。脱原発の世論が定着する中、原発の新設も難しい。若狭湾の原発は老朽化が進めば徐々に姿を消していく。廃炉ビジネスが地元に残ったとしても期間限定だ。
 脱原発を見据え、長期的視野で産業構造の転換を進めていくことが必要だ。若狭湾に14基の原発が誘致されたのは、産業が乏しかったからでもある。地域の自立に向け、早急に基幹産業の育成に取り掛からなければならない。政府もそれを支援していく責任がある。 

「原発廃炉時代」・・・しかし放射能廃棄物の捨て場はない

 日本では廃炉によって出る放射性廃棄物(放射線レベルによって高い方からL1~L3)の捨て場がありません。
 L1を埋設できる場所(地下数百mで10万年隔離)=地層=が日本にはないということは、すでに日本学術会議が断言しています
 L2、L3も同じことです。こちらは地表からわずかの深さに埋設すればよく、その期間もL1よりははるかに短いのですが、それでもそれを認めてくれる自治体は見つかっていないし、これから見つかるという保証もありません。
 そうした現実は福島原発事故の後始末で国も電力会社も痛いほどよく分かっています。ようするに日本で原発を稼働させることには根本的に無理があるのに、政府と電力会社は何も知らないかのようにしてひたすら再稼働に走っているのです。
 これは犯罪的な理解不能の光景です。
 
※  2014年1月6日 核のごみの処分地選定急展開か
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「原発廃炉時代」解体で出る放射能廃棄物どこに捨てる?
 地元自治体は最終処分場拒否
J-CAST  2016年1月28日
  日本が原発の運転を開始してからちょうど50年になる。運転期間としてきめられている40年を超えた老朽原子炉も多く、すでに14基の廃炉が決まっていて、一部は廃炉作業がはじまっている。さらに、今後10年内に廃炉の判断を迫られる原発も15基ある。
  しかし、使用済み核燃料、廃棄物と同様に、原発解体で出る放射性廃棄物の処分場は決まってない。電力会社が責任を持って処分することになってはいるが、建設地の選定は難航している。「国も電力会社も原発の運転を優先し、問題を先送りにしてきた現実」(番組ナレーション)があるからだ。
 
敷地内の仮置き場まもなく満杯
  廃炉によって出る放射性廃棄物は、L1~L3の放射能レベルに分けられ、制御棒など放射能が高いL1は地下深く10万年隔離する必要がある。低レベルのL3は配管やポンプなどだが、「もっとも低レベルのL3ですらどこにどう処分するか決まっていません」(国谷裕子キャスター)。
  15年前から廃炉作業が始まっている茨城県の東海原発では、解体工事ですでにL2~L3の廃棄物が出ている。3年後にはL1も見込まれるが、処分場は決まらないまま、ドラム缶2000本分の廃棄物を敷地内の倉庫で一時保管しているという。
 
  東海村の山田修村長は「このまま処分地が決まらず、解体作業がストップすることは避けなければならない。L3であれば『やむなし』と感じています」と話す。しかし、L1やL2については、敷地内の処分は認めないとしている。原発事業者の日本原電は東海村や周辺の自治体で住民説明会を開いているが、L3の処分場でも不安を感じる住民は少なくない。
 
  6年前から廃炉が進められている中部電力・浜岡原子力発電所は、これから放射性廃棄物が出る予定だが、処分場は未定だ。昨年9月(2015年)、建屋内に廃棄物を一時的に保管する計画を打ち出したが、これに対し自治体からは仮置き場がなし崩し的に処分場にされるという懸念が出ている。
 
  「われわれは発電所の立地は認めたわけだが、低レベル(放射性廃棄物の処分場)をうちの方で確保する話し合いはまだ何もしていない。今のままだと、ずるずる行ってしまう心配もある」と石原茂雄・御前崎市長は心配する。

2016年2月1日月曜日

福島原発 凍土壁がほぼ完成 運用めどは立たず

 福島原発の「凍土壁」は29ほぼ完成ということですが、原子力規制委の認可が出ないため、今年度中としていた運用開始のめどが立たない事態となっています。
 凍土壁は1号機から4号機の周囲の地盤を凍らせて、全長1・5キロの氷の壁で囲み、建屋に流れ込む地下水の量を現在の10分の1以下の1日10トンまで抑えるのがねらいで2014年6月に着工し、国が345億円をつぎ込んで建設しました。
 
 ところが凍土壁内外の水位差のコントロール方法等について、規制委が東電の考えている方法では不十分であるとして凍土壁の運用開始を認めないために工事が完成しても動かすことができないでいます。何をいまさらというような話ですが、実はこれは計画の当初から問題視されていたもので、東電側は解決しないまま見切り発車で強引に着工したという経緯があります。
 
 これを解決する責任は勿論東電にあります。この程度の問題も解決できないようでは、乃至は規制委を説得できる理論を構築できないようでは話になりません。
 その先には凍土壁が果たして全面凍結するかどうかの根本問題が控えています。
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福島第一原発 凍土壁ほぼ完成も運用めど立たず
NHK NEWS WEB 2016年1月29日
東京電力福島第一原子力発電所の汚染水対策の柱として建設が進められてきた「凍土壁」は、29日、ほぼ完成する見通しです。ところが、原子力規制委員会の認可が出ず、今年度中としていた運用開始のめどが立たない事態となっています。
福島第一原発では、建屋の中に大量の地下水が流れ込んで汚染水を増やし続けていて、これをどう抑えるかが大きな課題となっています。
これに対して、凍土壁は、1号機から4号機の周囲の地盤を凍らせて、全長1.5キロの氷の壁で囲み、建屋に流れ込む地下水の量を、現在の10分の1以下の1日10トンまで抑えるのがねらいです。
おととし6月に着工し、国が345億円をつぎ込んで建設を進めた結果、29日でほとんどの工程が終わり、地中に打ち込んだパイプに「冷却材」と呼ばれる液体を詰める作業が終われば、設備は完成します。
ところが原子力規制委員会は、いまだに凍土壁の運用開始を認めていません。
現在、建屋内の汚染水の水位は周囲の地下水より低く保たれていますが、凍土壁によって地下水の水位が下がりすぎて、上下が逆転すると、最悪の場合、汚染水が漏れ出し、汚染が拡大するおそれがあるというのです。
東京電力側は、地下水の水位を細かく監視し、水位が下がり過ぎた場合は水を注入するなどとしていますが、原子力規制委員会は、地下水を巡っては想定外の事態が起きかねず、説明が不十分だとしています。
凍土壁は汚染水対策の柱として導入が急がれたことから、建設を先行させ、汚染拡大への対策などは建設と並行して議論することになっていましたが、完成を目前にしても、東京電力側と原子力規制委員会の隔たりが埋まらず、今年度中に計画していた凍結開始のめどが立たない事態となっています。
 
汚染水対策手探り続く
福島第一原発では、事故が起きた直後には毎日およそ400トンの地下水が建屋内に流れ込み、核燃料を冷やしたあとの水と混ざって、汚染水を増やし続けていました。
このため東京電力は、建屋から汚染水をくみ上げ、大半の放射性物質を取り除いたうえでタンクに保管していますが、すでにタンクは1000基を超え、いかに汚染水の増加を抑えるかが大きな課題となっています。
その後、建屋より上流側で地下水をくみ上げる「地下水バイパス」や、建屋の周囲にある「サブドレン」と呼ばれる井戸から地下水をくみ上げる対策などで、流入量は1日およそ150トンまで減っています。
国と東京電力は、「凍土壁」が完成すれば、建屋への流入量は1日10トン程度となり、汚染水対策は大きく進むとしています。
一方で、去年10月、汚染された地下水が海に流れ出るのを抑える「遮水壁」と呼ばれる設備が完成したあと、せき止めた地下水の量や放射性物質の濃度が想定を上回ったため、処理しきれない地下水を建屋に入れざるをえなくなり、結果的に汚染水を増やしてしまうという、新たな課題も生じています。
地下水の流れや汚染の状況は直接確認することができないだけに、手探りの対策が続いています。

伊方原発全停止、4回目の冬 安定供給に影響なし

愛媛新聞 2016年01月31日
 四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)が全3基停止した状態で迎えた4回目の冬。県内は1月、記録的な寒波に見舞われたが、電力需給に関しては供給力に占める需要の割合を示す使用率が90%に達した平日は昨年12月以降、3日間だけ。おおむね80%台で推移し安定供給に影響は出ていない
 
 使用率が90%と「やや厳しい需給状況」になったのは松山で最高気温が10度を下回り7.2度だった1月13日に加え、県内で大雪を伴う氷点下の地点が続いた25、26日の3日間。 
 最大需要の記録は松山で最高気温が3.3度までしか上がらなかった1月19日の481万キロワットだった。 
 一方、昨年12月の使用率は78~88%で推移。四電によると、四国4県の県庁所在地の平均気温は平年比プラス2.0度、前年比プラス3.6度と暖かく、需要減につながった。 
 
 四電によると例年、冬季の最大需要が発生するのは2月が多い。一般的に、寒い日が連続すると需給状況が厳しくなる傾向があるといい、安定供給へ「気は抜けない」としている。
 

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        「湯沢 平和の輪」 ホームページ
         URL: http://yuzawaheiwa.blogspot.jp/ 
             
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 画面最上段の「原発をなくす湯沢の会」の黄土色のタイトル帯の左上にある白い長四角の欄が検索用のキーワードを入れるところで、例えばそこに「TPP」と入れて虫眼鏡マークをクリックすれば、「TPP」を含んだ記事のすべてが日付順に表示されます。
 一度に表示し切れない場合は、記事の末尾に「次の投稿」が表示されるので、それをクリックすると次の記事が表示されます。
 全ての記事を表示し終えると「次の投稿」の文字は表示されなくなります。
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 右欄の下の方に 「最近のコメント」 が5つ表示されています。
 それぞれをクリックすると原記事=コメントにジャンプします。
 
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 これはアクセス数の多い順に自動的に表示されるもので、それぞれのタイトルをクリックすると原記事にジャンプします。
 
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