2013年3月26日火曜日

原発・放射能ニュース 13.3.26~28


3.28

停止原発維持に年1・2兆円 経産省試算、利用者が負担
東京新聞 2013328
 経済産業省は28日、停止中の原子力発電所を維持するために、原発のない沖縄電力を除く電力会社9社で年間計1兆2千億円程度の経費が必要との試算を明らかにした。超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」が東京都内で開いた会合で示した。各社ごとの経費は明らかにしていない。
 原発は稼働していなくても人件費や減価償却費などをすぐには削れないため、巨額コストが継続的に発生する。原発関連費は電気料金の原価に含まれるため、最終的には利用者が負担している。
 28日の会合では、出席した有識者から「必要でない費用が含まれているのではないか」と削減を求める声があった。 (共同)

関電、試掘溝調査の計画変更せず 大飯原発の断層で
東京新聞 2013328
 関西電力は28日、大飯原発(福井県)の敷地内断層(破砕帯)をめぐり、原子力規制委員会側から見直しを指示された追加調査計画は変更せず、従来通り長さ約70メートルの試掘溝を掘って調べる方針を明らかにした。関電は「活断層かを確認するための調査範囲は十分」としている。
 規制委事務局の原子力規制庁が試掘溝を掘る範囲を広げるべきだと指摘したことに対し、関電は自社のボーリング調査の結果、約70メートルの試掘溝で断層の位置を特定できると強調。同日、規制委に提出した計画書には、規制庁の指示を踏まえて「必要に応じて追加掘削などを検討し、変更になる場合がある」と追記した。 (共同)


「復興感じない」8割超 7割近くが依然、放射線意識
福島民報 2013328
 福島民報社と福島テレビが共同で行った第4回県民世論調査では、東日本大震災から2年が経過した被災地の復興が進んでいると感じているか聞いた。「感じない」が80・4%を占め、「感じる」の9・6%を大きく上回った。放射線を意識しながら日常生活を送っているかどうかについても68・5%が「意識している」と回答し、昨年4月調査時の65・5%とほぼ変わらなかった。
 被災地の復興についての回答は【グラフ(1)】の通り。男女別に見ると、「感じない」は男性が82・0%、女性が78・8%、「感じる」は男性が10・0%、女性が9・3%。「わからない」は男性が8・0%、女性が11・9%だった。
 放射線を意識しているかについての回答は【グラフ(2)】の通り。「意識している」と回答したのは男性が66・8%なのに対し、女性が70・3%だった。ただ、前回調査で男性は女性と10ポイント近くの差があったが、今回は3・5ポイント差と縮小した。
 県内では住宅や森林などの除染が進捗(しんちょく)しておらず、中間貯蔵施設整備の見通しも立っていないことなどが影響しているとみられる。
 調査結果について、福島復興再生総局は「住民の皆さんが一日も早く帰還できるよう、福島の復興再生に全力で取り組む。住民の皆さんが放射線を意識せざるを得ない状況にあることは十分認識している。除染をしっかり進めるとともに、放射線への理解を深めてもらえるよう努める」としている。

3.27
 
放射性物質が新芽に移行 古い葉からの「転流」説明
福島民友ニュース 2013年3月27日
 県は26日、郡山市で農業と放射性物質に関する講演会を開いた。県の農林水産物の放射性物質影響アドバイザーを務める松村康行学習院大理学部教授は講演で、放射性物質の移行経路について「直接沈着」と「経根吸収」のほかに、古い葉や樹皮から新芽や果実に物質が移行する「転流」があると説明。お茶の部位ごとの放射性セシウム濃度のグラフを提示し、分かりやすく示した。
 コメが高い放射性物質の値を検出したことの要因としては、土の質が粘土成分であることや、森や水や泥を通じて放射性物質が水田に流入したことなどを挙げた。ヒマワリを利用した土壌の除染について「ヒマワリが土壌から放射性物質を吸い上げる量は、土中の放射性セシウムの2千分の1にとどまった」との研究成果も報告した。
 松村教授の講演は「農業と放射性物質について~この2年間の成果から今後を考える」と題して行われた。

「原発新基準対策 5年猶予撤回を」 市民団体、規制委に要望
 東京新聞 2013327
 原子力規制委員会が原発の新規制基準導入に向け、一部の対策に5年の猶予期間を設ける基本方針を示したことに対し、「原子力規制を監視する市民の会」が26日、撤回を求める要請書を規制委事務局に提出した。
 要請書では「安全のためには何でもするのが規制委の出発点だったはずが、安全よりも電力会社の都合を優先した」と批判。「地震も津波もテロも猶予期間を待ってくれない」と指摘した。
 井野博満東京大名誉教授は同日、都内での会見で「猶予する理由の明確な説明がない。できることは全てする姿勢が大切だ」と強調。元原発設計技術者の後藤政志氏も「猶予期間に事故が起こらない前提に立っている。事故があれば最悪の事態になりかねない」と訴えた。
 基本方針では、第二制御室を備えた「特定安全施設」など、過酷事故対策やテロ対策のバックアップ設備の一部に猶予期間を認めている。

3.26

 柏崎刈羽原発、全7基停止1年 安全対策、課題多く
新潟日報 2013326
 東京電力柏崎刈羽原発の全7基が停止してから、26日で1年になった。東電福島第1原発事故を受け原子力規制委員会がまとめる新安全基準が施行されるのは7月以降。東電は総合特別事業計画で柏崎刈羽原発を4月から順次再稼働することを盛り込んだが、事実上不可能な状態だ。停止長期化による地域経済への影響が出ている半面、福島事故を踏まえた原発の安全対策など課題は多く、先が見通せない状況が続いている。
 柏崎刈羽原発は2011年8月以降、12年3月26日までに1、7、5、6号機の順に定期検査のため停止した。2~4号機は07年7月の中越沖地震で被災し、運転停止が続く。
 福島事故を踏まえた過酷事故対策としては、7基同時の事故に対応できる淡水貯水池を高台に設置。15メートルの津波に備えた防潮堤は6月に完成する。
 ただ、新基準で設置が義務付けられる「フィルター付きベント」設備は1、7号機で基礎工事が始まったが、東電は本体工事の開始時期を明らかにしていない。7月以降に新基準が施行されても、規制委に審査を申請する時期は不透明だ。柏崎刈羽原発の所長は14日の会見で「再稼働が見通せていない状況から進展がない」と述べた。
 東電は同原発1、2号機直下を走る断層について年代を特定するための調査を実施。結果を当初2月に公表する予定だったが、4月に延期した。
 柏崎刈羽原発構内で働く関連企業作業員の登録数は、全7基が停止した昨年3月の約5700人から、今年3月1日現在で約4120人に減少した。
 同原発の再稼働をめぐって、泉田裕彦知事は「福島事故の検証なしに、柏崎刈羽原発の再稼働の議論はしない」との姿勢を崩さない。会田洋柏崎市長も「福島事故の検証に基づく安全確保」を求めている。品田宏夫刈羽村長は安全が確認されれば再稼働を否定しない立場だ。