2013年3月11日月曜日

原発・放射能ニュース 13.3.11~15

3.15
医療基金960億円を請求 東電に、震災支援の米兵ら
東京新聞 2013315
 福島第1原発事故で被ばくしたとして、東日本大震災の支援活動に当たった米兵らが米国で東京電力に損害賠償を求めた訴訟で、東電は15日、原告側の請求内容が、医療検査や治療に充てる10億ドル(約960億円)以上の基金創設などに変わったと発表した。
 原告側が312日に訴状の変更を申し立てたことを、米国の法律事務所を通じて確認した。東電が把握した原告は米国在住の26人。東電の広報担当者は「裁判に関することなので詳細は答えられない。訴状を受け取れば、精査して適切に対処したい」と話している。  (共同) 

アイナメから74万ベクレル=福島第1の港、過去最大-東電
時事通信 2013315
 東京電力は15日、福島第1原発の港内で捕獲されたアイナメから、1キロ当たり74万ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。食品基準値の7400倍で、原発事故後に捕獲された魚で最も高い。
 アイナメは2月21日、1~4号機の取水口付近で捕獲された。この場所は、事故直後に高濃度汚染水が流出し、拡散を防ぐため「シルトフェンス」と呼ばれる水中カーテンで区切られた内側という。これまでは51万ベクレルが最大だった。 

原発汚染水 専用港に流出し続けていた可能性
NHK NEWS web 2013315
東京電力福島第一原子力発電所の専用港で、海水の放射性セシウムの濃度がほとんど下がらなくなっていることについて、東京海洋大学の研究グループが試算したところ、汚染水の流出が止まったとされるおととし6月以降も、1年間で事故前の排出限度の73倍に当たる放射性セシウムが専用港に流れ出た可能性があることが分かりました。
研究グループは、詳細な調査を実施すべきだ、としています。
東京海洋大学の研究グループは、福島第一原発の専用港で海水に含まれるセシウム137の濃度が、去年春以降、高いところで、国の基準を上回る1リットル当たり100ベクレル前後からほとんど下がらなくなっていることから、原因の究明に役立てるため独自に試算を行いました。

試算では、専用港の海水は、海流や潮の満ち干で1日に44%が入れ替わると推定され、セシウム137が公表されている濃度になるには1日当たり80億から930億ベクレルが流れ込んでいる計算になる、としています。
その結果、汚染水の流出が止まったとされるおととし6月以降の1年間では、事故前の保安規定で定められた排出限度の73倍に当たる16兆1000億ベクレルが専用港に流れ出た可能性がある、ということです。
専門家によりますと、1年間に排出限度の73倍に当たる放射性セシウムが流出したとしても、外洋の生物にはほとんど影響はありませんが、港の中に生息する魚介類が体内に取り込むおそれがあるということです。

東京海洋大学の神田穣太教授は「海水の測定データから、原発の敷地内の土が雨で流れ込んだ影響とは考えにくく、地下水や壊れた配管などを通じて汚染水が漏れ出している可能性がある。詳細な調査を実施し、原因を特定すべきだ」としています。
これに対し東京電力は「さまざまな調査の結果から、発電所の敷地から放射性物質が海に流出しているとは考えていない。ただ、専用港の海水で放射性セシウムの濃度が下がらない原因は分かっていないので調査を続けたい」と話しています。


3.14
 


女川原発 非常用電源が停止
NHK NEWS web 2013314
314 2035分宮城県にある東北電力、女川原子力発電所1号機で、点検のために動いていた非常用の発電機が、自動停止するトラブルがありました。
東北電力が原因を調べていますが、このトラブルで停止中の原子炉などに影響はないということです。
東北電力によりますと、14日午後0時半ごろ、女川原発1号機で、非常用のディーゼル発電機を点検のために動かしていたところ、出力を下げる途中で突然、安全装置が働き自動で止まりました。
非常用ディーゼル発電機は、外部電源を失った際、原子炉を冷却するポンプなどを動かす重要な設備で、東北電力は、おととし4月、青森県の東通原発で起きた3台ある発電機がすべて使えなくなるトラブルを受けて、女川原発でも、原子炉ごとに常に2台が使えることを保安規定で定めています。
女川原発1号機では使うことができる3台のうち、別の1台も点検中だったことから、東北電力は、保安規定の「運転上の制限を逸脱した」として、国の原子力規制委員会に報告しました。
東北電力が原因を調べていますが、外部電源は確保されているため、このトラブルで定期検査で停止中の原子炉や使用済み燃料プールになどに影響はないということです。

モニタリングポスト 3割の自治体が不足
NHK NEWS web 2013314
    原子力発電所で事故が起きた際に避難などの対策に必要な放射線の測定装置「モニタリングポスト」について、NHKが原発の30キロ圏内の自治体に尋ねたところ、「台数が足りない」と答えたのはおよそ30%に上り、きめ細かく測定するための態勢の強化を求める意見が相次ぎました。
    原子力規制委員会は、おととしの原発事故を教訓に、原発で事故が起きた際に、半径5キロから30キロでは「モニタリングポスト」などで測定する放射線量を基に、避難を判断する方針を、先月、決めました。
NHKは、モニタリングポストの整備状況について、原発から半径30キロ圏内にある道府県と市町村のうち、福島県内の一部を除く149の自治体にアンケート調査を行い、148から回答を得ました。
その結果、モニタリングポストの台数が「足りる」と答えたのは20%で、「足りない」と答えた自治体は26%でした。
    このうち、「足りない」と答えた自治体からは、「福島の事故で明らかなように、放射能の影響は地域で異なり、きめ細かい測定が必要だ(滋賀県)」、「市内に1か所しかなく、全域の状況を把握するのは困難だ(静岡県焼津市)」と、広い範囲できめ細かく測定するための態勢の強化を求める意見が相次ぎました。
また、「足りるかどうか分からない」と答えた自治体は41%に上り、理由として、「国の専門家会議で、2キロごとに必要だという議論もあり、分からない(新潟県)」、「測定箇所や方法など具体的な方針が国で決まっていないため必要な数の議論ができない(福井県敦賀市)」と、配置の間隔や測定の方法を明確にするよう求める声が目立ちました。
    国は、モニタリングポストを全国の原発周辺でおよそ10キロおきに整備していますが、専門家からは「2キロおきに必要だ」という意見も出ていて、どのような計画で数を増やし、当面、数が足りない地域をどう測るのかが課題となっています。

3.13



自殺12人 原発関連死 福島県内
東京新聞 2013313
 東京電力福島第一原発事故に関連して、福島県内で少なくとも十二人が自殺した可能性のあることが、原発事故関連訴訟の弁護団や市町村、地元農業団体への取材で分かった。このうち震災関連死と認定されたと確認できたのは二人で、五人は申請していない。遺族が自治体に相談して断念した事例もあった。原発による死は、行政が定める関連死の枠外にも存在する。 
 本紙の集計では、福島県内で震災関連死と認定された千三百三十七人のうち、少なくとも約六割にあたる七百八十九人は原発事故の避難などに伴う「原発関連死」だったことが判明している。本紙で把握した自殺者十二人のうち、少なくとも五人の遺族は関連死の申請をしておらず、この「原発関連死」の人数には含まれていないことになる。
 うち須賀川市の野菜農家の男性(64)は、福島産野菜の一部に国の出荷停止指示が出された翌日の二〇一一年三月二十四日に自殺した。遺族によると、男性は原発事故後「福島の百姓は終わりだ」と話していたという。
 川俣町の女性(58)は夫婦で養鶏場に勤めていたが、原発事故で失職。計画的避難区域にある自宅に一時帰宅中の一一年七月一日、焼身自殺した。
 市町村への取材で、南相馬、浪江、富岡の三市町で自殺を関連死認定したことを確認できたが、人数は明かしていない。須賀川、二本松両市には遺族から、どういう場合に関連死に認定されるのかといった相談があったが、申請には至らなかったという。
 原発事故との因果関係の立証の難しさや、自殺を表沙汰にしたくない心理が申請を躊躇(ちゅうちょ)させる要因と指摘する専門家もいる。
 一方、遺族への取材によると、飯舘村で一一年四月十二日に自殺した百二歳の男性は関連死と認定された。村が全村避難を検討している段階だった。
 厚生労働省が震災後、自治体に例示した関連死認定の基準は、自殺について「発作的なものでなく、震災を契機としたストレスによる精神的疾患に基づくもの」を認定対象にしている。震災関連死に詳しい津久井進弁護士は「福島の場合、インフラや住宅の整備で復興への道筋が見えた過去の震災とは、将来に対する絶望感がまったく違う」と指摘。「医学的な要因だけでなく、社会的背景が原因の場合も認められるべきだ」と指摘する。  (飯田孝幸、大平樹)


3.12

柏崎原発5号機でコバルト60検出 「外部放出ないが詳細に調べる必要ある」と東電
新潟日報 2013312
 東京電力は12日、定期検査中の柏崎刈羽原発5号機の原子炉建屋(放射線管理区域)で、地下4階に設置されたタンクから通常は検出されない放射性物質のコバルト60が1平方センチ当たり2ベクレル検出されたと発表した。タンクとつながっているほかの配管や機器からは検出されておらず、東電は外部への放出はないとしている。
 東電によると、このタンクには、原子炉建屋内の暖房や洗濯乾燥機などに使用された蒸気が水に戻ってたまっている。
 11日に関連会社の作業員が点検で水を抜き、タンクの内側をふき取った紙を検査したところ、コバルト60が検出された。2月27日にタンク内の水を検査した際は検出されなかった。
 東電は「微量だが普通は検出されないところ。詳細に調べる必要がある」としている。

原発事故除染費用10兆円と試算 環境放射能除染学会


東京新聞 2013312
 環境汚染の専門家らでつくる環境放射能除染学会は12日、東京都内で講演会を開き、東京電力福島第1原発事故に伴う除染費用に関し、森田昌敏理事長が「総額で10兆円に近づくと推測される」と試算結果を報告、さらに費用がかかる可能性も示した。
 森田氏は低コストの除染技術の開発を進めながら、費用の上限の設け方などを議論すべきだと指摘した。
 試算では、国直轄除染と東北、関東地方の自治体除染を合わせた総額は3兆~4兆円。汚染土壌や廃棄物の輸送は1立方メートル当たり約3万円で、輸送費を2・7兆~3・6兆円とした。(共同)




「医療費保証を」と、東電に訴え 震災支援の元米兵
東京新聞 2013312
 【ニューヨーク共同】東日本大震災後に三陸沖に派遣された米原子力空母の乗組員らが、東京電力福島第1原発事故の情報が正確に伝えられず、健康被害を受けたとして東電に損害賠償を求めた訴訟で、原告の元乗組員2人が11日、米ニューヨークで記者会見し「将来にわたり医療費を保証してほしい」と東電に対し訴えた。
 原告側弁護士は同日、原告数が115人を超えたと明らかにした。さらに増える見通しという。訴訟は昨年12月、米兵8人と、事故当時妊娠していた女性乗組員の子供1人を含む計9人が起こしていた。


3.11

新双葉町長、中間貯蔵施設の現地調査受け入れ


読売新聞2013311
 10日の福島県双葉町長選で初当選した伊沢史朗町長は11日、東京電力福島第一原発事故で生じた汚染土などを保管する中間貯蔵施設について、現地調査を受け入れる考えを明らかにした。
 役場機能の再移転先である同県いわき市を訪問した後、報道陣に答えた。伊沢町長は、「議員時代に現地調査は受け入れるべきだと町に訴えてきており、その考えは変わっていない」と述べた。建設の是非については「今後議論をしなくてはいけない」と述べるにとどめた。
 中間貯蔵施設を巡っては、井戸川克隆・前町長が「環境省の説明が不十分」などとして、受け入れを拒否する姿勢を示していた。


「福島返せ」1650人国を提訴 原発事故 4地裁・支部、東電も
 東京新聞 2013311
 東日本大震災から二年となる十一日、東京電力福島第一原発事故で被災した福島県の住民や避難者ら八百人が、国と東京電力を相手取り、損害賠償や原状回復を求めて福島地裁に集団提訴した。同日午後には東京、千葉両地裁と福島地裁いわき支部にもそれぞれ同様の訴訟が起こされ、原告は四地裁・地裁支部で計千六百五十人、請求総額は約五十三億六千万円に上る。弁護団によると、原発事故で国を相手にした集団提訴は初めて。
 原告は、福島県や隣接する栃木、茨城両県に暮らしている住民のほか、事故後に東京や千葉に県外避難した人々。東京地裁に提訴するのは八人、千葉地裁二十人、福島地裁いわき支部八百二十二人。
 訴訟では、慰謝料や避難実費、休業損害を請求するほか、居住地の空間放射線量を事故前と同じ状態に戻すことなどを求める。国に対しては、原発を国策で進めてきた法的責任を追及する。
 福島地裁の原告団は訴状で「事故で失われた原告らの生業、生活そのもの、そして地域社会=コミュニティーのトータルとしての故郷を回復することが真の要求。もとの美しい福島を返せという住民の叫びそのものだ」などと主張している。
 福島第一原発事故で避難を余儀なくされた住民や風評被害に苦しむ業者が十一日に起こした訴訟は、国に賠償を求める初の集団提訴となる。国策として原子力政策を進めてきた国に対し、原発建設の差し止めなどを求める訴訟はあったが、国の主張は「安全神話」に守られ続けてきた。その神話が壊れた今、司法の判断が注目される。
 原告らは、津波による全電源喪失の危険性は遅くとも二〇〇六年までに把握されており「必要な行政指導や改善・停止命令を怠った」と、国に瑕疵(かし)があったと断じている。
 原発事故の責任をめぐっては、東電は「想定外の津波」を強調してきた。しかし、原告らは訴状で、〇〇年ごろから経済産業省などで津波想定の見直しや対策の検討が始まり、津波の危険性が認識されていたと指摘。〇六年には原子力安全・保安院(当時)が中心となった勉強会に、東電も参加し「福島第一原発事故の津波に匹敵する津波想定などの危険性が示されている」と、「想定外」の主張を否定している。
 また、国は原子炉等規制法に基づけば、事故の防止策が確立された場合にしか原発の設置を許可できないのに、〇六年に危険性を認識しながら行政指導も、電気事業法に基づく規制も行わず「危険性を放置した」と主張。「設置許可の違法性」と「規制権限の不行使」の二点を過失として挙げている。
 原子力損害賠償法では、原発事故の賠償責任は一義的に事業者の電力会社が負う。これまでの多くの賠償請求訴訟が、東電を相手に提起されてきたのはこのためだ。今回は、事業者の東電と国の間には連帯して賠償責任を負う「共同不法行為」があると位置付け、国の法的責任が法廷で問われることになる。 (白名正和)
 
本県(新潟県)避難者いまだ5800人 東日本大震災から2年
新潟日報2013311
 福島県などから本県に避難している人は、県のまとめで8日午後4時現在、少なくとも5798人となった。前回2月22日のまとめと比べて69人減。東日本大震災の発生から11日で2年となる。昨年末に借り上げ仮設住宅の入居申請が打ち切られたこともあり、漸減傾向が続いている。
 本県への避難者数のピークは震災直後の2011年3月31日の9222人。発生からほぼ1年後の昨年3月9日は7112人で、この1年間で約1300人減った。
 避難先(病院にいる人などは除く)は新潟市が2354人で最多。東電関係者が多く身を寄せる柏崎市が1116人、長岡市439人と続く。避難元の市町村は、震災直後にバスで集団避難した南相馬市が1288人、郡山市が1159人、福島市618人、浪江町560人など。
 住居別では、借り上げ仮設住宅に4318人、公営住宅などに687人、親類や知人宅に724人、病院や福祉施設などに69人が避難している。

原発関連死789人 避難長期化、ストレス 福島県内本紙集計
東京新聞2013311
 東京電力福島第一原発事故に伴う避難やストレスによる体調悪化などで死亡したケースを、本紙が独自に「原発関連死」と定義して、福島県内の市町村に該当者数を取材したところ、少なくとも七百八十九人に上ることが分かった。死者・行方不明者一万八千五百四十九人を出した東日本大震災から十一日で二年。被災三県のうち福島では、宮城、岩手よりも多くの人が今も亡くなり続けている。原発事故は、収束していない。(飯田孝幸、宮畑譲) 
 地震や津波の直接の犠牲者だけでなく、震災や事故後の避難中などに亡くなった人に対し、市町村は「震災関連死」として災害弔慰金(最高五百万円)を給付している。福島では二十二市町村が計千三百三十七人(十日現在)を関連死と認定。二十市町村はこのうちの原発事故に伴う避難者数を把握しており、本紙で「原発関連死」として集計したところ七百八十九人に上った。南相馬市といわき市は把握していない。
 南相馬市の担当者は「事故後、市全域に避難指示を出した。震災関連死と認定した三百九十六人の大半は原発避難者とみられる」と話しており、これを合わせると原発関連の死者は千人を超えるとみられる。
 二百五十四人が原発関連死だった浪江町では、申請用紙の「死亡の状況」欄に「原子力災害による避難中の死亡」という項目がある。町の担当者は「全員がこの項目にチェックしている。自殺した人もいる」と話す。
 震災関連死の認定数は、福島より人口が多い宮城で八百五十六人(八日現在)、岩手が三百六十一人(一月末現在)で、福島が突出している。復興庁は「福島は原発事故に伴う避難による影響が大きい」と分析している。
 認定数の多さだけではなく、影響が長期に及んでいるのも福島の特徴だ。震災後一年間の震災関連死の認定数は福島が七百六十一、宮城六百三十六、岩手百九十三。その後の一年の認定数は福島が五百七十六、宮城が二百二十、岩手が百六十八。今も申請は続き「収束が見えない」(浪江町)という状況だ。

                                       東日本大震災の被害

死者     15,881

行方不明者   2,668

震災関連死   2,554人(うち原発関連死789

 避難者   315,196