26日の世話人会で、10日に柏崎市で行われた「福島原発事故2周年・柏崎刈羽原発の廃炉を求めるつどい」における報告「柏崎刈羽原発地盤調査結果批評(新潟大学名誉教授立石雅昭)」が話題になり、その内容は広報した方が良いのではないかという意見が出されました。
当日の報告はプロジェクターを使ったもので、レジメも極めて簡単なものしかなかったので再現は出来ませんが、同趣旨の内容はインターネットである程度把握できますので以下に紹介します。
柏崎刈羽原発の敷地地下には多数(23本)の断層が走っており、特に1、2号機については原子炉建屋の直下を2本の断層が走っています※1。このこと自体は東電自身の資料(昨年8月以前)からも明らかなのですが、昨年8月に開かれた旧原子力安全・保安院の専門家会合で、専門家からβ断層のずれは約24万年前に降った火山灰を含む地層よりも新しい地層まで及んでいるとの指摘に対して、東電は少なくとも過去約12万5千年間は動いていないとして「活断層ではない※2」と主張していました。
※1 「β断層」 添付の1月24日付
朝日新聞記事参照
※2 当時の活断層の定義は12~13万年前以降に動いたものとされた
※2 当時の活断層の定義は12~13万年前以降に動いたものとされた
ところが今年1月に入り、原子力規制委員会が新たに活断層の定義を40万年前以降に広げた※3ために、原子炉1、2号建屋の地下を走っている「β断層」は活断層ということになりました。
※3 もともと「12~13万年前以降」が活断層の定義としては一般的な定義よりも異常に短いとされていました
原子力規制委は、その後どちらかというと「安全よりも電力会社の都合を優先する」方向に揺らぎを見せているので7月の最終決定を見るまでは分かりませんが、活断層であれば再稼働は勿論できません。
以下に関連の新聞記事を時系列に示します。
追記 10日の上記の「つどい」では、別にコンピュータによる柏崎原発事故時の放射能拡散シミュレーション(結果)についての報告「柏崎刈羽原発で事故が起きたときどうなるのか(環境総合研究所
鷹取 敦氏)」もありました。
鷹取氏はインターネットに、先に原子力規制委が行った拡散シミュレーションが非常にいい加減なもので、影響を過小に評価していると厳しく批判する論文※4を掲載しています。
※4「地形考慮なき稚拙な原子力規制委拡散シミュレーションの問題点
~環境総合研究所」
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-fnp20121024sim..html
~環境総合研究所」
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-fnp20121024sim..html
興味のある方は上記のURLをクリックしてお読みください。
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柏崎刈羽原発の活断層調査、取りまとめ遅れる
読売新聞 2013年2月15日
東京電力は14日、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市・刈羽村)の活断層調査の取りまとめ時期が当初予定から1か月ずれ込み、3月末以降になるとの見通しを明らかにした。活動年代をより詳しく調べるためだという。
東電は、1、2号機双方の原子炉建屋直下を通る二つの断層について、「今から24万年前の間に動いた」とみて、動いた時期を特定するためのボーリング調査を行っている。調査結果は2月末にまとめる予定だったが、信ぴょう性を高めるため、新たに調査地点を2か所増やして7か所とし、試料を500点から700点に増やす。
原子力規制委員会は活断層の上にある原発の稼働を認めない方針。国は、過去12万~13万年に遡って活動したものを活断層としている。ただ、同委員会の新安全基準の骨子案では活断層の定義を拡大、両号機の断層が活断層とされれば、再稼働できない可能性がある。
柏崎刈羽原発、真下に活断層?…定義拡大で
読売新聞 2013年1月24日
東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の原子炉建屋の真下を通る断層が、活断層と判定される可能性が出てきた。
原子力規制委員会が7月までにまとめる原発の新安全基準で、活断層の定義を拡大するためだ。規制委は活断層の上にある原発の稼働を認めない方針で、活断層と判断されれば再稼働は難しくなる。東電は「活断層ではない」と主張している。
昨年8月に東電が公表した資料によると、1、2号機の原子炉建屋直下を通る「α断層」と「β断層」は、24万年前に降った火山灰より上の新しい地層をずらしている。国は「過去12万~13万年間」に活動した断層を活断層と定義しており、東電は両断層は国の定義よりは古いとして、「活断層ではない」と主張してきた。
しかし、規制委の検討チームが今月22日に示した新基準の骨子案は、活断層の定義を「過去40万年間」の活動まで拡大。新基準が適用されれば、両断層が活断層とされる可能性が出てきた。
柏崎刈羽原発、直下に活断層か 規制委の新基準受け
朝日新聞 2013年1月24日
柏崎刈羽原発の敷地内の断層
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の原子炉建屋直下にある断層が、活断層と判断される可能性が高くなった。原子力規制委員会が策定中の地震と津波の新しい安全基準で活断層の定義が広がるためだ。東電は調査を進めており、規制委も東電の調査結果を踏まえて活断層かどうかを判断する。活断層であれば再稼働は難しくなり、廃炉になる可能性がある。
問題の断層は、柏崎刈羽原発1、2号機の原子炉建屋直下を通る「β(ベータ)断層」で、約200メートルの長さが確認されている。
昨年8月に開かれた旧原子力安全・保安院の専門家会合で、参加した専門家からβ断層のずれは約24万年前に降った火山灰を含む地層よりも新しい地層まで及んでいるとの指摘が出ていた。一方、東電は少なくとも約12万5千年前以降は動いていないとして、耐震設計上考慮すべき活断層ではないと主張していた。
柏崎刈羽原発:活断層の可能性、県技術委で審議を−−知事/新潟
毎日新聞新潟版 2013年01月25日
泉田裕彦知事は24日の記者会見で、原発の新安全基準で東京電力柏崎刈羽原発直下の断層が活断層と判断される可能性があることについて「技術的な話なので、県技術委員会でしっかり審議していただきたい」と話した。
原発や地震、防災などに関する有識者からなる同委では現在、福島第1原発事故の検証をしており、今年度中にいったん報告をまとめる。泉田知事は「福島事故の検証と並行してやってもいいが、マンパワーの問題もある」とし、審議日程は委員の提案に沿う方針を示した。【宮地佳那子】
活断層の定義「40万年以降」に拡大 泊、柏崎刈羽で活断層判定か
原発新基準骨子合意へ
産経新聞 2013年1月29日
原子力規制委員会は29日、原発の地震・津波対策の新安全基準骨子をまとめる有識者会合を開いた。考慮すべき活断層の定義を従来の「13万~12万年前以降」から「約40万年前以降」に拡大。定義の拡大に伴い北海道電力泊(とまり)原発や東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)敷地内にある断層が活断層と判定される可能性が浮上する。骨子は午後にも合意する。
骨子案では、活断層の定義を変更するほか、原子炉の重要施設は、地震にともなって地殻変動が発生した場合も、安全機能に影響が及ばないよう求めた。原発ごとに想定される最大規模の津波を「基準津波」と設定し、防潮堤の設置や重要設備が浸水しない措置を求める。
泊原発敷地内には11本の断層があり、北電はそのうち3本が「少なくとも20万年前以降は活動していない」と主張。柏崎刈羽原発については、東電は原子炉建屋真下にある地層のずれが約24万年前以降に動いたことを否定していなかった。
いずれも従来の定義には当てはまらなかったものの、安全基準の見直しで、事業者は40万年前以降までさかのぼって動いた形跡がないか証明する必要に迫られる。特に柏崎刈羽では原子炉直下に当たるため再稼働は難しく廃炉の可能性もある。
地震・津波の骨子は、同じく31日にも骨子がまとまる原発の設計基準や過酷事故対策の基準と合わせ、7月施行の予定。