電子版の各紙に載った原発と放射能に関するニュースを、3日分毎に掲示します。
3.31
東海村で原発めぐり対談 小森・東大教授と村上村長
東京新聞 2013年3月31日
東海村の村上達也村長と小森陽一東京大教授の対談「東海村から日本の未来を考える~いのちを守るために」(東京新聞水戸支局後援)が三十日、同村の東海文化センターであり、東京電力福島第一原発事故後の社会のあり方について意見を交わした。
村上村長は、日本原子力発電東海第二原発で、非常用電源を冷却する海水ポンプの側壁をかさ上げする工事が東日本大震災のわずか二日前に完了し、結果的に津波被害を免れたことを指摘。また、東北電力女川原発などでも電源系統が故障したことを挙げ、「東日本が壊滅した恐れがあったのに、今も検証されていない」と警鐘を鳴らした。
小森教授も「いくつかの偶然が重なって今私たちが生きていることを忘れてはならない」と強調した。
また村上村長は、これまで長時間の電源喪失に伴う原発の過酷事故が想定されてこなかったことから、「事故の原因や責任が糾明されていないのに、経済政策で目をそらせ、再稼働に動こうとするのは無責任だ」と政府を批判した。(柴田久美子)
3.30
柏崎刈羽原発、来月稼働は困難 東電 総合事業計画修正へ
新潟日報 2013年3月30日
東京電力社長は29日、柏崎刈羽原発を4月から順次再稼働させることを盛り込んだ総合特別事業計画を修正する考えを明らかにした。修正の時期については「国との議論の必要もある」として明言を避けた。東電福島第1原発事故を踏まえた原子力改革部門の最終報告書について説明した記者会見で述べた。東電は、過酷事故対策として設置が義務付けられる「フィルター付きベント」について、柏崎刈羽1、7号機では2013年度中に完成するとの見通しも初めて示した。
社長は会見で「計画の前提が崩れてきている」と修正の必要性を認めた。原子力規制委員会が原発の新たな安全基準を7月に施行し、新基準に沿って各原発の安全性を確認するため、柏崎刈羽原発の4月の再稼働は事実上不可能な状況だった。
柏崎刈羽原発は全7基が停止中。現在の計画では再稼働について、13年4月の1号機を皮切りに順次、7号機が同5月、5号機が同10月、6号機が同12月、3号機が14年7月、4号機が15年2月、2号機が同9月としている。
東電はこれまで、計画上の再稼働スケジュールについては「あくまでも一つの目安。住民の理解をいただくのが前提」としていた。ただ、この日の会見で社長は「計画は電気料金算定のためのもので、そもそも再稼働のスケジュールは持っていない」と説明した。
原発の新安全基準では、柏崎刈羽原発でも非常時に原子炉格納容器内に充満する蒸気を排出するフィルター付きベントの設置が義務付けられる。
東電は1月以降、1、7号機で基礎工事に入っている。この2基について、会見に同席した原子力設備管理部長は「13年度内に完成すると思う」との見通しを示した。
ため池の底土から56万ベクレル 原発周辺で依然高濃度
東京新聞 2013年3月29日
環境省は29日、福島県内の河川や湖沼などの底の土に含まれる放射性セシウム濃度を昨年12月~今年3月に測定した結果、双葉町にある農業用ため池の底土の1キログラム当たり56万ベクレルが最高値だったと発表した。
昨年9~11月の前回調査の78万ベクレルより下がったが、依然高い。ため池は東電福島第1原発から北西約10キロの地点。環境省は「全体では横ばいか低下傾向だが、原発周辺は高濃度の汚染が残り、増減にばらつきがある」と分析。
測定は計216地点。浪江町の農業用ため池(9万8千ベクレル)なども高かった。河川の最高値は、浪江町の請戸川で2万3700ベクレル。 (共同)
柏崎原発の防潮壁設置工事が完了 全基にトップベントも
新潟日報 2013年3月29日
東京電力は28日、福島第1原発事故を受け柏崎刈羽原発で行っている津波対策で、津波発生時に原子炉建屋への浸水を防ぐ防潮壁の設置が完了したと発表した。原子炉と送電線を中継するスイッチの役割を担う開閉所設備の防潮壁も完成した。
防潮壁は福島第1原発を襲ったのと同じ高さ15メートルの津波に備えて、1~4号機と開閉所に設置された。
事故が起きて炉心溶融(メルトダウン)した時に、原子炉建屋内にたまった水素を外部に排出し爆発を防ぐためのトップベントの設置も全7基で完了した。
原発事故 事前の備え十分なら防げた
NHK NEWS web 2013年3月29日
おととし3月の原発事故について東京電力は、想定を超える津波が事故の原因ではなく、事前の備えが十分であれば「防げた事故だった」と総括したうえで、事故で明らかになった組織の問題などを具体的に改善する6つの対策を盛り込んだ改革プランをまとめ、29日、公表します。
福島第一原発の事故について東京電力は、去年まとめた社内事故調の最終報告では、事故を防げなかった原因が十分、分析されず、自己弁護に終始していると批判を浴びたことから、社内の特別チームで検証作業を進めていました。
29日に公表される検証結果と改革プランによりますと、まず事故の総括として、地震や津波への配慮が足りず、継続的に安全性を向上する努力が不足したことによって深刻な事故を招いたとして、事前の備えが十分であれば「防げた事故だった」と結論づけました。そのうえで、事故で明らかになった組織の問題などを具体的に改善する6つの対策を盛り込んだ改革プランを示しています。
この中では、まず経営側の問題を挙げて、原発という特別なリスクを扱う会社でありながら、経済性を最優先するあまりリスク管理が甘くなっていたとして、海外の専門家をトップにした内部組織を設置し、経営とは独立した立場で安全の取り組みを継続的に監視するとしています。
また、事故対応が混乱した反省に立ち、1人の責任者が管理する人数を最大7人以下に制限するなど、緊急時の指揮命令系統を明確にするほか、実効性のある訓練を繰り返すとしています。
このほか、事故のあともトラブルの公表などが遅れていることについて、「考え方や判断の尺度が社会とずれていた」と認め、専門の部署を新たに設けて、こうした社内体質の改善を進めるとしています。
この改革プランは、29日に開かれる第三者で作る改革監視委員会に報告され、東京電力は、来月から本格的に実行に移すとしています。
東電 節電要請 原発なしで回避へ
東京新聞 2013年3月29日
東京電力は28日、2013年度の電力需給見通しを発表した。今夏の最大供給力は、新たに石炭火力発電所二基が加わり、最大需要を大きく上回る見通し。昨夏に続いて原発なしでも、数値目標を掲げた節電要請は回避できる見込みだ。
今夏の最大需要は、企業の生産が増えるなどして、昨夏の4911万キロワットをやや上回る4982万キロワットと予想。一方、供給力は、原発の再稼働時期が分からないため、「未定」とした。
ただ、原発が動いていなかった昨夏の供給力は、渇水による水力発電の減少で想定を300万キロワット程度下回ったが、最大で5453万キロワットを確保。数値目標を定めない節電要請にとどめた。
さらに今年は、4月から広野火力6号機(福島県)と常陸那珂火力2号機(茨城県)の試運転が始まり、計160万キロワットが加わる。震災後に一時的に設置した小さな発電機44万キロワット分を廃止するものの、水力発電が平年並みに稼働すれば、単純計算で5800万キロワット以上の電力を確保できる見通しだ。
一方、同社は収支改善のため、停止中の柏崎刈羽原発(新潟県)の早期再稼働を主張。しかし、原子力規制委員会が規制基準を決めるのは7月以降で、新潟県の理解も得られていない。再稼働が遅れると、火力発電の燃料費負担が膨らみ再値上げが必要になるとの見方もあるが、同社は「昨年値上げしたばかりなので現時点で言及できる状況ではない」としている。