2023年6月24日土曜日

24- 高速実験炉「常陽」公開 25年再稼働目指す

 原子力機構は22日、茨城県大洗町にある高速実験炉「常陽」を報道陣に公開しました。常陽は原子力規制委の安全審査に先月、事実上合格しました。

 常陽は廃炉になった高速増殖原型炉「もんじゅ」の前段階研究施設に当たるもので、原子炉の反応熱を液体ナトリウムで冷やすという仕組みと危険性は同じです。
 機構は、高速増殖炉の開発のほか、高速中性子を利用した医療用の放射性同位体の製造も目指しています。
 常陽は1977年に運転を開始しましたが、トラブルで2007年から運転を停止していて、25年3月の再稼働を目指しています
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
高速実験炉「常陽」公開 25年再稼働目指す 茨城・大洗
                            茨城新聞 2023/6/23
日本原子力研究開発機構は22日、茨城県大洗町にある高速実験炉「常陽」を報道陣に公開した。2025年の再稼働を目指しており、原子力規制委員会の安全審査に先月、事実上合格した。機構は「審査に基づいた安全対策工事をしっかり進めていく」として、再稼働に必要な火災対策や耐震補強を行うと説明した。

常陽の公開は16年以来。格納容器内の原子炉上部を公開した。高速炉は高速中性子を核分裂に利用する原子炉。冷却材に使う液体ナトリウムは水と激しく反応して火災が起きやすく、取り扱いが難しい。ナトリウム火災を防ぐガスの供給設備を追加し、安全対策を向上させると強調した。
主冷却機建物では、ナトリウムが流れる配管や建て屋の耐震強化を図る方針を説明した。
機構大洗研究所の前田誠一郎副所長は「過去のトラブルの経験を生かし、対策を取っている。審査を受けた安全対策にとどまらず、常に高い安全性を求める」と述べた。

常陽は国内唯一の高速炉で、発電はしない。廃炉になった高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の前段階に位置付けられる研究施設。機構は高速炉開発のほか、高速中性子を利用した医療用の放射性同位体の製造で活用する方針を示している。
規制委は5月、安全対策が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承した。再稼働に向けた安全対策費は約207億円を見込む。
常陽は1977年に運転を開始。実験装置のトラブルで2007年から運転を停止。機構は25年3月の再稼働を目指している