浜岡原発の基準地震動捏造問題に関する3つの記事を紹介します。
・京都新聞が掲題の社説を出しました。浜岡原発の基準地震動の策定において、「驚くべき不正・捏造」を行っていたことは最早疑う余地がありません。京都新聞は事態の深刻さに、上層部が絡んでいるのではと疑っています。技術部の実務者たちが独断でこうした捏造をすることはあり得ないので、その可能性は大きいと思われますが、それは社長や取締役、理事などよりももっと実務者レベルに近い次長級などでも十分可能なので、「声が大きければ」事実上不正操作を命じることは可能でしょう。
・共同通信は、これまで中部電は不正は遅くとも12年から3、4号機で行われていたと説明してきましたが、2009年の駿河湾を震源とする地震で5号機に想定を上回る揺れを観測したことを契機に不正が始まった疑いがあるとし、5号機で多大な揺れを観測したのは特殊地盤が影響したと報じています。特殊地盤とは「液状化リスクがある地盤」のことで、1981年に共産党の不破議員が国会で強く警告しました。しかし1号機と2号機は既に運転中だったので、中部電は以後この問題は「極秘事項」として2009年に運転を終了し廃炉にしました。原子力安全委員会は1、2号機の建設を認可したので規制側の責任は免れません。
・CBCテレビは、中部電は浜岡原発の再稼働審査をめぐるデータ不正問題を受けて、原子力部門を静岡県内に移転する方向で検討していることがわかりました。浜岡原発の再稼働審査では、中部電力が耐震設計の「基準地震動」のデータを不正に操作し、地震の揺れを意図的に小さく見せていた疑いが発覚しています。この移転は問題発覚後、御前崎市議会が要望していました。
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社説:中部電の不正隠し 原発動かす資格ない悪質さ
京都新聞 2026/7/11
国民を危険にさらしても反省のない電力会社の背信に、強い憤りを禁じ得ない。
中部電力浜岡原発(静岡県)で発覚した耐震データ不正を巡り、原子力規制委員会が調査を始めた昨年5月以降も、同社が地震波データを操作していたことが明らかになった。規制委は「組織的な不正隠し」と指弾する。
データ操作は、東京電力福島第1原発事故(2011年)の前から続けられ、まかり通ってきた経緯も浮かぶ。
何より優先すべき原発の安全への信頼性を、根本から揺るがす事態である。虚偽で繕っての原発稼働はあり得ない。上層部の関与を含め、組織の病巣を洗い出して除くよう、第三者調査と国による徹底的な解明を求める。
規制委によると、原発の耐震設計の目安となる最大想定の揺れ「基準地震動」策定に使われた225通りの地震動評価のうち、69件で操作が確認された。
中部電は、各ケースで20の地震波から最も平均に近い「代表波」を選んだとしてきたが、調査につじつまが合うよう残りの19波を追加、変更していた。
不正問題は、昨年2月の外部通報で把握した規制委が調査を始め、中部電は操作を認めて今年1月に公表。再稼働審査は停止され、立ち入り検査などで解明が進められている。
悪質さには驚くばかりだ。代表波選びでは、元より一定基準を超える波を除き、施設影響が少ない「望ましい波」が出るまで3万波近く再計算し、平均に仕立て上げていた。
地盤の危険を小さく見せかけ、早期の再稼働や耐震費用減を狙った捏造(ねつぞう)といえよう。
規制委が断じた「集団での倫理観喪失」が、経営陣と無関係にはびこったとは考えにくい。
不正の始まりは、09年の震度6弱の地震で5号機の揺れが設計基準を超え、国から追加対策を求められるのを避ける目的だった可能性が浮上している。
同社報告は規制当局に「問題なし」とされ、5号機は11年に再稼働した。直後の福島事故を目の当たりにしても国の規制強化に面従腹背し、自社利益を優先したと言わざるを得ない。
特に浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域にあり、リスク軽視は致命的である。
規制委は長年の審査データ不正を見抜けなかった。全容解明とともに、他電力の審査では無かったのか、自己申告で済まさずに再検証が必須だ。
不正を防ぐため虚偽申請の罰則、審査資料の保管義務付けなど厳格で透明性の高い措置を講じたい。
参院は「再発防止に万全を期すべき」とする異例の警告決議を採択した。
政府や各党も「安全が前提」としながら、規制委や立地自治体に原発稼働の判断を事実上丸投げしてこなかったか、問い直す必要がある。
中電、浜岡不正09年地震契機か 原発5号機、追加対策を回避
共同通信 2026/7/9
中部電力浜岡原発(静岡県)の耐震データ不正は、2009年の駿河湾を震源とする地震で5号機に想定を上回る揺れを観測したことを契機に、追加の耐震策を回避する目的で始まった可能性があることが9日、関係者への取材で分かった。中部電はこれまで、不正は遅くとも12年から3、4号機で行われていたと説明していた。
揺れは特殊地盤が影響した。11年の東京電力福島第1原発事故後、再稼働審査が厳格化する中での不正とみられていたが、5号機の早期運転再開に向けて、事故前の09~11年から不正が始まった疑いがある。廃炉中を除く中部電の原発3基すべてで耐震の基礎となるデータで不正があったとなれば、再稼働審査の信頼性はさらに揺らぎ、原発事業者の適格性が厳しく問われることになる。
中部電は取材に「事実関係の詳細については第三者委員会の調査で明らかにしていただく。調査に真摯に対応していく」とコメントした。第三者委の調査は、近く結果が出る見通し。
中部電力「原子力部門」を静岡県内に移転へ 不信感が高まる地元への対応に注力するため 再稼働審査めぐるデータ不正問題【独自】
CBCテレビ 2026/7/13
中部電力は、浜岡原子力発電所の再稼働審査をめぐるデータ不正問題を受けて、原子力部門を静岡県内に移転する方向で検討していることがわかりました。
浜岡原発の再稼働審査では、中部電力が耐震設計の「基準地震動」のデータを不正に操作し、地震の揺れを意図的に小さく見せていた疑いが発覚しています。
■不信感高まる地元への対応に注力するため
この問題で浜岡原発がある御前崎市を中心に地元では、中部電力に対する不信感が高まっていて、関係者によりますと、地元への対応に注力するため、名古屋市の本店にある原子力部門の機能を静岡県内に移転する方向で検討しているということです。
データ不正問題の経緯を調べている第三者委員会の報告書が、この夏にも提出される見通しとなっていて、中部電力はその内容を踏まえ最終判断するとみられます。
中部電力の原子力部門の移転は、問題発覚後、御前崎市議会が要望していました。