浜岡原発の「基準地震動」の策定に当たり不正が行われたという内部通報があった件について山中伸介規制委員長は1日の記者会見で、「技術者の倫理観の喪失が集団で起こったのではないか。非常に残念だ」「できるだけ基準地震動を小さくするという意図のもと捏造と表現していい悪質性だ」と述べました。
これまで地震動225ケースのうち、108ケースで意図的なデータ操作があったとされていましたが、新たに63ケースでも不正操作が行われたということです。
「基準地震動」を策定する原子力土建部は、建屋や機器など施設の耐震設計を担当する部署に試算結果を示し、難色を示されるとデータ選定をやり直し、地盤や建物、機器の三つの担当から了承を得られるまで、やりとりが3、4回繰り返されることもありました。こうした不正操作は内部通報を受けて調査が始まってからも継続されました。
また同部は地震動の計算を外部業者に委託した際、事前に提示した基準以上になった揺れは除外するように求めていました。そして業者が計算した多数の揺れの中から基準地震動を導き出す代表的な揺れを決める時に、前もって施設設計などを担当する部署に相談し、選んでほしくない揺れは△、影響が懸念される揺れは×印を示してもらい、その意見を踏まえて代表的な揺れを決定しました。
これらの経過を見ると、基準地震動を当たり前に計算すれば「1200ガル」を超えることは明瞭であり、浜岡原発の耐震性がそれに耐えないものであることも明瞭です。
追記 「基準地震動」の「基準」をあたかも「平均」であるかのように解するのは誤りです。耐震設計に当たり「基準」とすべき地震動という意味なので「基準地震動」は、当然予想される最大値が採られるべきです。
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施設側部署と複数回やりとり 地震想定、過度の影響避ける狙いか 浜岡原発
時事通信 2026/7/2
中部電力浜岡原発(静岡県)の地震想定に関するデータ不正問題を巡り、同社が想定される地震の揺れ(基準地震動)を策定する過程で、耐震設計などを行う施設側の部署から意見を聞くなど複数回のやりとりを重ねていたことが、原子力規制委員会の立ち入り検査で明らかになった。
規制委の担当者は、同原発が南海トラフ地震の想定震源域上にあるなど「厳しい条件が背景にあると思う」と指摘。過度の耐震補強などを避ける狙いがあった可能性がある。
規制委によると、中部電は地震想定の担当部署が基準地震動の基となるデータを選定。この際、建屋や機器など施設の耐震設計を担当する部署に試算結果を示し、意見を聞いていた。難色を示されるとデータ選定をやり直し、地盤や建物、機器の三つの担当から了承を得られるまで、やりとりが3、4回繰り返されることもあったという。
施設側の部署は、策定された基準地震動に基づいて、建屋などの耐震安全性を確認したり、補強の必要性の有無を判断したりするのが本来の姿だ。規制委の担当者も「もともと純粋に決めないといけないところに、施設側の話が加味されれば、おかしな話になる」と指摘。結果的に、同社の基準地震動策定は、審査で規制委に説明していた方法とは異なったものとなり、地震動自体も過小評価となった可能性が高い。
規制委の担当者は「横(部署間)への広がりがある。今度は上下の方向。どのくらいの方が認識し、あるいは指示があったのかを確認していきたい」と述べ、会社上層部の関与についても調べる方針を口にした。
山中規制委員長「倫理観の喪失」 中部電に不満あらわ
時事通信 2026/7/1
中部電力浜岡原発(静岡県)を巡る同社の「不正隠し」の疑いが表面化し、原子力規制委員会の山中伸介委員長は1日の記者会見で、「技術者の倫理観の喪失が集団で起こったのではないか。非常に残念だ」と不満をあらわにした。
規制委は同日、不正隠しの疑いについて同社上層部の関与の有無を調べるよう事務局の原子力規制庁に指示。浜岡原発の地震想定に関するデータ不正の範囲や時系列も確認するよう求めた。
山中委員長はデータ不正と不正隠しの疑い両方に触れ、「分けて考えないといけないが、どちらも許し難い事象だ」と批判。「捏造(ねつぞう)と表現してもらっていいし、同じ悪質性だ」と言い切った。
データ不正については「できるだけ(基準地震動を)小さくするという意図があったんだろうと推測していた。言語道断だ」と強調。「そういうことが起きにくい審査プロセスを考えないといけない」と語った。
「安全文化の劣化以前の問題、技術者の倫理観の喪失」浜岡原発巡り中部電力の新たなデータ不正が発覚 規制庁の調査開始後にも不正を継続... 山中委員長は「不正隠し」と推測
静岡放送SBS 2026/7/1
静岡県御前崎市にある浜岡原発の再稼働審査をめぐり、中部電力がデータを不正に操作していた問題で新たな事実が明らかになりました。
原子力規制庁が調査を始めた後にも、中部電力がデータを不正に操作していたことが分かりました。
<原子力規制委員会 山中伸介委員長>
「これは中部電力の組織としての安全文化の劣化以前の問題で、技術者の倫理観の喪失といいましょうか、そういったことが集団で起こっていたのではないかと推測する」
原子力規制委員会のトップが厳しい口調で切り捨てました。
■■調査後に"都合のいい形"でデータを不正に操作か
浜岡原発3、4号機の再稼働をめぐる審査で中部電力が耐震設計の「基準地震動」についてデータを不正に操作していた問題で、新たな事実が明らかになりました。
<原子力規制委員会 山中伸介委員長>
「申告制度の調査が始まってからですら、不正が行われていた」
この問題は2025年2月、原子力規制委員会に外部から情報提供があり、その後の2025年5月、事実確認をするために原子力規制庁が中部電力と面談し、調査が始まりました。
この調査が始まった後にも中部電力が都合のいい形で、データを不正に操作していました。
<原子力規制委員会 神田玲子委員>
「こうした行為に対する感覚が麻痺していたのではないか。上層部のしかるべき方が対応状況を確認するなど関与した可能性がある」
■■地元・御前崎からは不信感の声、下村市長もコメント
地元・御前崎からは厳しい声が上がっています。
<地元の女性>
「なかなか住民には情報が入ってこない。(中部電力には)市民としてはちゃんと報告してほしい」
<地元の男性>
「組織的というか、(中部電力には)データを正しく扱うという文化がないのでは。(中部電力に対し)不信感ある。データの改ざんがあると再稼働はちょっとできない」
また、御前崎市の下村勝市長は「中部電力で取り組んでいる改革と第三者委員会での調査を着実に進めていただきたい」とコメントしました。
■■原因は「不正隠し」か、2026年夏ごろに処分決定へ
<原子力規制委員会 山中委員長>
「原因については要因については今後、しっかり調べていただかないといけませんけども、推測するに『不正隠し』が行われていたのではないかと推測している」
原子力規制委員会は、今後提出される第三者委員会の報告も踏まえ、夏ごろに中部電力の処分を決めたいとしています。
浜岡原発不正、調査開始後もデータ操作 規制委員長「隠蔽」と非難
朝日新聞 2026年7月1日
中部電力が浜岡原発(静岡県)で想定する最大の地震の揺れ「基準地震動」のデータを不正に操作していた問題で、原子力規制委員会が不正の有無を確認する聞き取り調査を始めた後も、中部電がデータを操作していたことがわかった。不正を隠蔽(いんぺい)する意図があったと規制委はみている。規制委が1日、定例会で明らかにした。
【浜岡原発データ不正問題とは】
不正問題は、中部電が1月に公表。規制委は中部電への検査を進めており、状況を中間報告した。山中伸介委員長はその後の会見で「不正隠しだと推測している。組織としての安全文化の劣化以前の問題で、技術者の倫理観の喪失が集団で起こっていたのではないか。非常に残念だ」と非難した。
他の委員も、「つじつま合わせみたいなこと。頭を抱える」「看過できない。上層部が関与していた可能性もある」などと指摘した。
中部電は浜岡3、4号機の再稼働に向けた審査で、地震動を策定する際、20通りの地震波を計算し、平均値に最も近いものを「代表波」としたと説明していた。しかし、実際には、地震動が申請時の値(1200ガル)を大幅に超えないよう、多数の地震波の中から恣意(しい)的に選ぶなどしていた。
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浜岡原発のデータ不正、中部電力社内の複数部署が不正に関与…外部業者に「基準以上は除外」求める
読売新聞 2026/7/1
中部電力浜岡原子力発電所(静岡県)の安全審査のデータ不正問題を巡り、原子力規制委員会の定例会合が1日に開かれ、社内の複数部署が不正に関与していたことが明らかにされた。規制委は同社への聞き取り調査などを踏まえ、具体的な処分を決める方針だ。
中部電は原発の耐震設計の目安となる「基準地震動」を策定する際、あらかじめ作っておいた大量の地震動のデータから都合の良いものを選ぶなどし、原発で想定される揺れを過小評価していた疑いがある。中部電は今年3月、策定に使われた地震動225ケースのうち、少なくとも108ケースで意図的なデータ操作があったと発表した。
この日は、規制委事務局の原子力規制庁が新たに63ケースについて不正なデータ操作の手法を報告した。中部電で原発を担当する原子力土建部は、地震動の計算を外部業者に委託した際、事前に提示した基準以上になった揺れは除外するように求めていた。
さらに業者が計算した多数の揺れの中から基準地震動を導き出す代表的な揺れを決める時に、前もって施設設計などを担当する部署に相談。選んでほしくない揺れは△、影響が懸念される揺れは×印を示してもらい、その意見を踏まえて同部が代表的な揺れを決定し、規制委に提出する審査書類に記載していた。
こうした不正が発覚したのは「公益通報制度」に基づく規制委への情報提供がきっかけだった。定例会合では、規制委が中部電に調査開始を伝えた昨年5月以降も、社内で事後的にデータ操作を続けていたことも明らかになり、神田玲子委員は「上層部の関与がある可能性がある」と発言した。
今回の不正を巡って、中部電は具体的な調査を外部弁護士で構成する第三者委員会に委ねている。規制委は第三者委がまとめる報告書を参考に調査を続けて、不正の全容解明を進める。