2025年7月31日木曜日

福島原発 廃炉時期 見解に相違 東電 51年完了目指す NDF完了目標は実現困難

 福島第一原発の廃炉作業は遅々としていて一向に進んでいませんが、2051年完了の目標は変わっていない(東電)ということです。これについてNDF(廃炉支援機構)は「元々困難だ」として東電の計画を精査する姿勢を示しています。
 これまでの進捗ぶりを見れば当初の計画通りに終了するとはとても思われませんが、東電には何かそれを認められない事情でもあるのでしょうか。もっと大詰めの段階になってから完了目標を延期すればいいという意向が透けて見えます。しかし事故から既に14年が経過しているのですから、もっと実際に近い見通しを示すべきだと思います。

 ところでデブリ除去では実際にはまだグラム単位のサンプル取り出しの段階ですが、ようやく実装置についての基本構想が明らかにされました。
 NFD29日に発表したところによると、原子炉建屋上部に穴を開けて装置を挿入し、デブリを砕き、建屋1階部分から破片を採取する方向で検討しているということです(説明図参照)。
 建屋に隣接する廃棄物処理建屋の解体など必要な環境整備に12~15年程度かかるため、破砕・取り出しの着手は2030年代後半以降にずれ込む見通しです。
 福島民報が報じました。
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廃炉時期 見解に相違 福島第1原発着手遅れ 東電 2051年目指す立場堅持 NDF 完了目標は実現困難
                            福島民報 2025/7/30
 東京電力福島第1原発の溶融核燃料(デブリ)の本格的な取り出し開始がずれ込むこととなった29日、当事者の東電と、技術面で同社に助言する原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の間で、廃炉完了時期を巡る見解の違いが鮮明になった。東電は政府と示す廃炉工程表(中長期ロードマップ)で目標に掲げる「2051年」の完了を目指す立場を堅持する一方、NDFの幹部は「元々困難だ」とし、東電の計画を精査する姿勢を示した。福島県民からは安全を最優先とした廃炉の進展を求める声が上がった。
「ロードマップを守るのはわれわれの責務だ」。東電の小野明廃炉責任者は午後の記者会見でこう言明した。3号機から着手する本格取り出しの準備に12~15年程度を要するとした。ロードマップで示した2051年の期限まで残り26年。小野氏は「物理的に考えて難しいと思っているが、(3号機から)後ろの工程は見えておらず目標は下ろさない」と主張した
「元々困難だと感じている。検討を進めれば進めるほど、より深刻に分かってきた」。NDFの更田豊志廃炉総括監は東電と別に開いた記者会見で、2051年とする廃炉の完了目標の「実現性」に対する現状の見立てを赤裸々に語った

 目標見直しの必要性には「十分な判断材料はない」と踏み込まなかったが、現在有力視される取り出し方法も「小さな可能性が見えたというような感じ」と述べるにとどめ、目標実現のめどが立たないとの認識を強調した。1~3号機の原子炉内にあるデブリは推計で約880トン。昨年11月と今年4月に2号機で試験的に採取できたのはほんの0・9グラム程度にとどまる。

■県民「安全最優先に作業を」
 廃炉の最難関とされるデブリ取り出しの道のりは険しく、県民は計画の行方を注視している。
「本格取り出し開始の遅れは想定内。ただ、2051年までに廃炉は終わらないだろう」。福島第1原発が立地する双葉町の浜野行政区長を務める無職高倉伊助さん(69)は、廃炉完了時期を変更しない東電の姿勢に懐疑的な見方を示す。前例のない作業を進める以上、想定より長い時間がかかることは理解している。「廃炉完了時期を目標に作業するのではなく、住民の帰還や移住・定住に影響しないように注意を払って作業して」と注文した。
 廃炉の成否は県民生活や産業振興にも影響する。福島市土湯温泉町の旅館山水荘は宿泊者の2割弱が訪日客だが、処理水放出に反対の動きが広がった中韓からの客はごくわずか。社長の渡辺利生さん(36)は「東電だけに任せず、国も合同で取り組む姿勢を維持してほしい」と求めた。


デブリ除去で新工法 粉砕後、1階横から回収 福島第1原発3号機 着手に遅れ2030年代後半か
                            福島民報 2025/7/30
 東京電力は福島第1原発3号機から溶融核燃料(デブリ)を本格的に取り出す工法として、原子炉建屋上部に穴を開けて装置を挿入し、デブリを砕いて建屋1階部分から採取する方向で検討している。建屋に隣接する廃棄物処理建屋の解体など必要な環境整備に12~15年程度かかるため、着手は目標の2030年代初頭から遅れ、2030年代後半以降にずれ込む見通し。原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)が29日、発表した。ただ、東電は2051年までの廃炉完了に変わりはないと強調している。










 東電が計画する本格的取り出しのイメージは【図1】の通り。①原子炉建屋上部に開けた穴から円筒形のポールのような物を差し込む②先端部から高圧水を噴射したりレーザーを照射したりといった方法でデブリを細かく砕き、格納容器底部に落とす③格納容器貫通部に設けた連続回収設備でデブリを横方向から吸引する―との流れを想定している。NDFのデブリ取り出し工法評価小委員会は昨年3月、空気中でデブリを取り出す「気中工法」を基本にする報告書を公表しており、東電が具体的な検討を進めてきた。


 採取に必要なアクセス装置を設置する台は、原子炉建屋をまたぐ「南北構台案」と建屋に載せる形の「東西架台案」を提示。構台案は建屋に負荷はかからないが、北側にある廃棄物処理建屋が干渉するため解体する必要がある。架台案は建屋の耐荷重を踏まえた積載設備の制約があるなど、それぞれ一長一短がある。東電は今後1~2年程度かけて現場検証などを進め、工法の成立性を再評価する。

 東電が示した工法に、NDFは【下記】の通り、検討課題を提示した。1~4号機の近くにある廃棄物処理建屋には原子炉建屋などで発生した放射性廃棄物を貯蔵していることから、全ての建屋解体を急ぐべきだとしている。東電はNDFの指摘を受け、アクセス装置を設置する台の形態にかかわらず、廃棄物処理建屋を取り壊す方針。

■デブリ取り出し工法に関するNDFの指摘ポイント
・原子炉格納容器上部に架台を設け、上からアプローチする案が現実的
・1~4号機にある廃棄物処理建屋はリスク低減の意味合いからも解体すべき
・建屋の解体や内部調査、屋内除染が大きな課題
・3号機ばかりではなく、1、2号機の大規模デブリ取り出し工法についても検討が必要
・技術的な不確かさが多いため、躊躇[ちゅうちょ]せず柔軟に見直すべき

■採取量、保管法示さず
 溶融核燃料(デブリ)は東京電力福島第1原発1~3号機に計880トンあると推定されている。東電が今回示した工法とそれに伴うスケジュールは、本格取り出しに必要な事前準備段階のみだった。取り出し開始以降の1日当たりの採取量や保管方法などの具体案はデブリの性状や炉内状況の「不確かさ」を理由に東電は検討対象としなかった。
 デブリ取り出しの新たなスケジュールは【図2】の通り。本格的取り出しは早ければ2037(令和19)年度となるが課題は山積している。準備段階では建屋1階部分の線量低減と廃棄物処理建屋などの解体が必要不可欠になる。建屋解体に伴い大量に発生する廃棄物への対応など「議論すればするほど厳しい制約が浮かび上がる」(NDF関係者)状況だ。
 NDFのデブリ取り出し工法評価小委員長の更田豊志廃炉総括監は29日の記者会見で「準備段階でもデブリ採取と同じくらいの難易度が残っている」と指摘。「(今回の検討結果は)ロードマップをいつ、どう見直すのかの検討材料の一つとなっている」とし、2051年までの廃炉完了を目指す中長期ロードマップの改定の必要性を示唆した。
 ただ、東電はロードマップの改定に否定的な立場を貫いている。29日に記者会見した東電の小野明副社長・福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は見直しの必要性について記者から問われると「1、2号機の準備工程は、3号機と似ている。同時にデブリを取り出すのも不可能ではない」と強調。現時点では2051年の廃炉完了を目標とすることに変わりはなく、廃炉作業を進めるとした。

■安全最優先で作業実施注文 大熊、双葉町長
 福島第1原発が立地する大熊、双葉両町長は安全最優先での廃炉作業の実施を注文した。
 福島県大熊町の吉田淳町長は「立地自治体として最も優先されるべきは廃炉作業の安全性だ。働く作業員はもとより、地域の環境に影響が及ぶことがないよう、厳に注意して廃炉を進めるよう求める」と訴えた。
 双葉町の伊沢史朗町長は3号機のデブリ取り出しに関する工法の検討結果が示された点に触れ、「廃炉に向けた工程の一部が具現化され、一定の前進」と受け止めた。その上で「廃炉作業が安全、着実に実施されるよう引き続き注視する」と述べた。
 県は「引き続き国と東電に対して中長期ロードマップに基づき安全を最優先に着実に廃炉を進めるよう求めていく」としている。

■着実な廃炉へ評価 林官房長官
 林芳正官房長官は29日の記者会見で、東京電力福島第1原発の溶融核燃料(デブリ)の取り出しに向け、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が工法案の検討結果を公表したことを巡り「準備工程が具体化され、安全かつ着実に廃炉を進める上で評価すべきだ」と述べた。
 デブリ取り出しの着手が遅れる見通しになったが、2051年までの廃炉完了を引き続き目指す考えを示した。

東電、元双葉町長に1億円賠償命令

 福島第1原発の事故で、当時福島県双葉町長だった井戸川克隆氏(79)が避難生活を余儀なくされたなどとして、東電と国に損害賠償を求めた訴訟が30日、東京地裁で開かれ、東電に約1億円の賠償を命じる判決を言い渡しました。国に対する請求は退けました。
 判決は、井戸川氏が避難生活を強いられたことは、原子力損害賠償法に基づく損害に当たると認定しました。避難誘導などは「町長としての権限や義務に基づく任務として行われたもの」として、町長としての追加の慰謝料を認めませんでした。
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東電、元双葉町長に1億円賠償命令 「町長としての任務、想定超えない」 東京地裁
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東京電力福島第1原発の事故で、当時福島県双葉町長だった井戸川克隆氏(79)が避難生活を余儀なくされたなどとして、東電と国に損害賠償を求めた訴訟が30日、東京地裁で開かれ、阿部雅彦裁判長は東電に約1億円の賠償を命じる判決を言い渡した。国に対する請求は退けた。
別の原発避難者訴訟で最高裁が既に国の賠償責任を認めない統一判断を示しており、今回も同様の判断が示された。

井戸川氏は平成17年12月~25年2月、原発がある双葉町で町長を務めていた。23年3月の事故発生直後から、町長として町民の避難誘導や避難先の確保などにあたり「苦痛を負った」などと主張。国と東電に計約7億5千万円の賠償を求めていた。
判決は、井戸川氏が避難生活を強いられたことは、原子力損害賠償法に基づく損害に当たると認定。一方、避難誘導などは「町長としての権限や義務に基づく任務として行われたもの」として、町長としての追加の慰謝料を認めなかった。


東京地裁、東電に元双葉町長への賠償命令
                            共同通信 2025/7/30
 東京電力福島第1原発事故で避難生活を余儀なくされたとして、福島県双葉町の井戸川克隆前町長が国と東電に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は30日、東電に約1億円を賠償するよう命じた。国に対する請求は棄却した。

柏崎刈羽原発6号機を「地域の会」新委員らが視察

 原発の安全性を住民が議論する「原発の透明性を確保する地域の会」が28日、柏崎刈羽原発を視察し、5月に就任した新委員4人を含む10人が、東電が再稼働を目指す6号機などを見て回り、原発での安全対策を自らの目で確認しました。
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柏崎刈羽原発6号機を「地域の会」新委員ら視察、再稼働に向けた安全対策など確認
                            新潟日報 2025/7/30
 原発の安全性を住民が議論する「原発の透明性を確保する地域の会」が28日、東京電力柏崎刈羽原発を視察した。5月に就任した新委員らが、東電が再稼働を目指す6号機などを見て回り、原発での安全対策を自らの目で確認した。
 5月に一部の委員が交代したことを受け、2年ぶりに実施し、18人の委員のうち、新任4人を含む10人が参加した
 東電は...
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泊原発3号機が審査通過 北海道電力、再稼働へ地元同意が焦点

 原子力規制委員会は30日、北海道電力が2027年中の再稼働を目指す泊原発3号機について、安全対策が国の新規制基準を満たしているとする審査書を正式に認めました。再稼働には地元自治体の同意が必要で、今後は北海道電が北海道と泊村以外の周辺自治体にも同意を求めるのかが焦点です。
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泊原発3号機が審査通過 北海道電力、再稼働へ地元同意が焦点
                           毎日新聞 2025/7/30
 原子力規制委員会は30日、北海道電力が2027年中の再稼働を目指す泊原発3号機(北海道泊村、出力91・2万キロワット)について、安全対策が国の新規制基準を満たしているとする審査書を正式に認めた。再稼働には地元自治体の同意が必要で、今後は北海道電が北海道と泊村以外の周辺自治体にも同意を求めるのかが焦点だ。

 泊原発は12年5月までに1~3号機が定期検査に入り、運転を停止した。翌年7月、北海道電は全基の再稼働に向けて審査を申請し、国内で最も新しい3号機を優先するよう求めた。規制委は約12年間に及ぶ審査を経て今年4月、審査書案を了承していた。
 規制委によると、審査書案に対する意見公募には5月末までに143件が寄せられたが、審査書案の修正が必要になるような指摘は無かった。このため、規制委は30日の定例会で審査書の内容に問題は無いと判断した。これで東日本大震災後に審査を通ったのは11原発の計18基となった
 北海道電は当初、耐震設計の基になる地震の最大の揺れ「基準地震動」を550ガル(ガルは加速度の単位)、最大の津波の高さを7・3メートルとして申請。しかし度重なる見直しを経て、最終的にはそれぞれ693ガルと17・8メートルに引き上げた。北海道電は27年3月までの完成を目指して高さが海抜19メートル、長さが約1200メートルの防潮堤を建設中で、同年中に再稼働させたい考えだ。
 審査終盤には、北海道電が原発構内に停泊させる予定だった核燃料輸送船について、規制委が津波に流されて防潮堤と衝突し、破損する恐れを指摘した。そのため北海道電は今年6月、原発の約1キロ北の敷地外に新港を建設し、約1・8キロの専用道路で原発と結ぶ新たな計画を発表した。
 再稼働には地元同意が必要だが、北海道電は同意を得る自治体の範囲を示していない。鈴木直道知事は再稼働への賛否を明確にしていない。【小川祐希、木許はるみ】

ドローン問題で県が九電に要請

 佐賀県の玄海原発で「ドローンとみられる3つの飛行体」は“少なくとも2時間程度は周辺を飛行していた”(九州電力)ということです。29日午後、福岡県の生嶋亮介副知事はこの件で九州電力本社を訪れ、「速やかな情報提供」や「より一層の安全対策」などを求める要望書を提出しました。
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ドローン問題で県が九電に要請
                         RKB毎日放送 2025/7/29
佐賀県玄海町の玄海原子力発電所で「ドローンとみられる3つの光」が確認された問題で、福岡県は九州電力に速やかな情報提供などを要望しました。
29日午後、福岡県の生嶋亮介副知事が九州電力本社を訪れ、「速やかな情報提供」や「より一層の安全対策」などを求める要望書を提出しました
この問題は今月26日、玄海原子力発電所で警備員がドローンとみられる3つの光を目撃したものです。
飛行体はその後、発電所上空から退去しました。
九州電力は設備に異常はなく、発電所の安全性に問題はないと発表しています。


「少なくとも2時間程度は飛行…」玄海原発の上空 ドローンとみられる3つの光る物体確認【佐賀県】
                           サガテレビ 2025/7/29
九州電力・玄海原発の上空でドローンとみられる3つの光る物体が確認されたことについて、九州電力は“少なくとも2時間程度は周辺を飛行していた”と明らかにしました。
7月26日に玄海原発で目撃されたドローンとみられる3つの光は、正門にいた警備員4人が午後9時ごろに発見し、通報を受けて駆けつけた警察官も確認しています。
九州電力によりますと、この後、光る物体は“少なくとも2時間程度は周辺を飛行していた”ということです。
防犯カメラに映像は写っておらず、現在も光る物体は発見されていません。
九州電力は当時、原子力施設の運転に影響を及ぼすおそれがある場合に発表する「核物質防護情報」を初めて出しましたが、設備に異常はなく安全性に問題はないとしています。
玄海原発では現在、3号機と4号機が稼働中で、このうち4号機は27日から定期検査に入っています。

31- 原発「新設のための調査反対」 福井・美浜で抗議活動

 関西電力が美浜原発での原発新設に向けた地質調査の実施方針を表明したことを受け、「老朽原発うごかすな!実行委員会」など複数の市民団体が30日、同町の関電原子力事業本部前で抗議集会を開き、森望社長ら宛てに、新増設のための調査中止を求める申し入れ書を職員に手渡しました。
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原発「新設のための調査反対」 福井・美浜で抗議活動
                        共同通信 2025年7月30日
 関西電力が美浜原発(福井県美浜町)での原発新設に向けた地質調査の実施方針を表明したことを受け、「老朽原発うごかすな!実行委員会」など複数の市民団体が30日、同町の関電原子力事業本部前で抗議集会を開き、森望社長ら宛てに、新増設のための調査中止を求める申し入れ書を職員に手渡した
 申し入れ書では、原発を動かせば建設費などで電力消費者に負担増を強いることや、行き場がなく負の遺産となる使用済み核燃料が増加することを指摘した。
 美浜原発から30キロ以内にある福井県や滋賀県、岐阜県の住民ら50人が参加し「関電は原発を諦めろ」などとシュプレヒコールを上げ、近くの美浜町役場まで行進した。


関西電力美浜原発リプレースに向けた地質調査再開に反対デモ 市民団体呼びかけ80人
                         中日新聞 2025年7月30日
 関西電力が表明した、美浜原発(美浜町)でのリプレース(建て替え新設)に向けた地質調査の再開方針への抗議デモが30日、同町の関電原子力事業本部前であった。原発から30キロ圏内の県内や京都府、滋賀県、岐阜県などから集まった80人が「(東京電力)福島第1原発事故の反省はないのか」「原発で未来を奪うな」などと声を上げた。

 デモを呼びかけた市民団体「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、関電の森望社長ら宛てに、調査の中止や県内原発の稼働停止などを求める申し入れ書を職員に手渡した。参加者はその後、町役場まで行進し、シュプレヒコールをした。
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2025年7月28日月曜日

日本海側の海域活断層評価、なぜ柏崎沖は対象外? 政府「意図的な除外ではない」と

 24年1月の能登半島地震発生を受け、政府の地震調査委員会は今年6月にかけて、日本海側の海域活断層の長期評価と地震の発生確率を発表しました。しかし、再稼働の是非を巡る議論が続く柏崎刈羽原発の沖合は評価対象に含まれませんでした。

 政府は「意図的に対象から外したわけではない」と説明しますが、柏崎原発沖合の活断層帯「NT3」は、24年1月能登半島地震のいわゆる割れ残りで、今後地震の起点になる可能性が指摘されています。今回評価対象から除いた理由と共に、いつ評価を行うのかを明確にする必要があります。
  関連記事
   3月24日)誰が活断層NT9を消したのか(植草一秀氏)
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日本海側の海域活断層評価、なぜ柏崎沖は対象外?異なる地質構造が境目に…政府「意図的な除外ではない
                        新潟日報 2025/7/28 10:15
 2024年1月の能登半島地震発生を受け、政府の地震調査委員会は今年6月にかけて、日本海側の海域活断層の長期評価と地震の発生確率を発表した。しかし、再稼働の是非を巡る議論が続く東京電力柏崎刈羽原発の沖合は評価対象に含まれなかった。政府は「意図的に対象から外したわけではない」と説明する。では、その理由は何だったのだろうか。
   ・上越沖にM8級地震起こし得る断層帯…政府調査委員会が「長期評価」公表
   ・上越沖など日本海の活断層調査結果公表、東電「見直し不要」と報告
   ・日本海の海域活断層「最新の知見を」原子力規制庁が東電に再説明要求
 地震調査委はまず、昨年8月に海域活断層の長期評価を発表した。防災対策の観点から、活断層の位置や発生する地震の規模などを先行して公表した。
 対象は、兵庫県北方沖から上越地方沖。長さ20キロ以上で、マグニチュード(M)7以上の地震を起こす可能性がある25の活断層帯だった。新潟県近...
   (以下は会員専用記事のため非公開 残り1339文字 全文:1639文字)

玄海原発上空に「光を放つ三つの飛行体」が侵入 「上空からの侵入リスクが顕在化」

 九州電力玄海原発の敷地内で26日午後9時頃、「ドローンとみられる三つの飛行体」の侵入が確認されました。発電所の警備員4人が光を放つ三つの飛行体が正門付近の上空に浮かんでいるのを発見。飛行体はその後、敷地外に向けて飛び去りました。玄海原発の周辺自治体からは27日、警戒態勢の強化を求める意見が出されました。
 東京大の岡本孝司教授は今回の事案について、「上空からの侵入リスクが顕在化した点で問題だ。国や電力会社、警察などが協力し、対策を考えていく必要がある」と指摘しました。
 原発に対する警察や海上保安庁の警備は、2011年の東日本大震災以降強化が進められてきており、「警察当局は全国のすべての原発に原発特別警備部隊を配置し、24時間態勢で警備に当たるサブマシンガンやライフル銃、防護服などを装備)」とされています。

 しかし広大な施設周辺をカバーするには莫大な予算が必要で、整備に利用者の負担も強いることになり、現実的といえるだろうかという指摘もあり、「実施されている」とは言い切れません。
 とはいえ「費用が掛かるので警備は出来ない」は通用しないわけで、住民の安全のために必要な対策は省略できないので、電力会社及び政府・県などの自治体は、「原発の維持にはそれなりの高コストが掛かる」ことを予め住民に明らかにしておく必要があります。
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玄海原発「光を放つ三つの飛行体」見つからず、専門家「上空からの侵入リスクが顕在化」
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 原子力規制委員会が九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の敷地内で、ドローン3機の飛行が確認されたと発表したことについて、九電は27日夕、敷地内と周辺でドローンは発見されなかったと明らかにした。佐賀県警とともに今後も捜索を継続する。
 一方、規制委は同日、確認されたのは「ドローンとみられる三つの飛行体」だったと訂正した。現時点で断定はできないためとしている。
 規制委や九電などへの取材によると、26日午後9時頃、発電所の警備員4人が光を放つ三つの飛行体が正門付近の上空に浮かんでいるのを発見。連絡を受けて駆け付けた県警原発特別警備部隊の隊員も光を確認した。飛行体はその後、敷地外に向けて飛び去ったという。操縦者や飛行目的、形状、カメラなどの積載物の有無は不明で、九電は具体的な飛行経路について「セキュリティー上、明らかにできない」としている。
 小型無人機等飛行禁止法では、原発や自衛隊施設などの重要施設とその周囲約300メートルの上空でドローンなどの飛行を原則禁じており、違反者には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられる。九電は「川内原発(鹿児島県薩摩川内市)を含めて初めてのケースだが、発電所の安全性に問題はない」とコメントし、規制委は「対応を検討する」としている。
 玄海原発は1、2号機が廃炉作業中で、3、4号機が営業運転中だった。4号機は27日、予定通り定期検査に入った。

周辺自治体「警戒強化を」
 テロなどに備えて極めて高いセキュリティー対策が取られている原子力発電所の敷地内で、ドローンとみられる飛行体が複数目撃された異例の事態を受け、玄海原発の周辺自治体からは27日、警戒態勢の強化を求める意見が聞かれた
 「夜に起きたこともあり、誰かが何らかの意図を持ってやったのか、不気味に感じている」。読売新聞の取材に応じた玄海町の脇山伸太郎町長は困惑した様子で語り、「原発に近付く飛行体を察知できるような機器の導入を要請したい」と九電に対応を求める考えを明らかにした。同町によると、九電側は28日にも今回の事案について町に説明する予定という。
 同町と隣接する佐賀県唐津市危機管理防災課の担当者も「九電や国には安全第一と、不安払拭(ふっしょく)に努めてもらいたい」と注文した。同県の平尾健副知事は、九電の林田道生・原子力発電本部長に「今回のような事案を許さない対策を講じてほしい」と電話で申し入れた。
 原発周辺でのドローン飛行は、過去にも問題となっている。北海道電力泊原発(北海道泊村)では2023年4月、原発から約50メートルの海岸で、国に届け出をしていないドローン1機を飛ばしたとして、道内の男性が航空法違反の疑いで逮捕された。
 東京大の岡本孝司教授(原子力工学)は「核物質を扱う原発はどの国も出入りが厳重に管理されており、構内では写真の1枚も自由に撮ることは許されない」と説明する。そのうえで今回の事案について、「上空からの侵入リスクが顕在化した点で問題だ。国や電力会社、警察などが協力し、対策を考えていく必要がある」と指摘している。


ドローン攻撃に脆弱な原発 対策追いつかず「想定外」に限界も
                           毎日新聞 2025/7/27
 ドローンの軍事利用が世界で急速に拡大する中、27日未明、九州電力の玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の周辺に突如として緊張が走った。原発構内にドローン3機が侵入したという。原子力規制委員会はその後「ドローンと思われる光」と訂正したが、攻撃可能な機体が容易に原発建屋に近づける、警備上の脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りになった。
 佐賀県の原子力安全対策課には26日午後10時20分ごろ、玄海原発側から電話で連絡が入った。担当職員や副知事ら6人が急きょ、情報収集に追われた。想定外の事態に、担当者は「県民が安心できるよう『対策を』と言い続けるしかない」と漏らした。
 原発は航空機によるテロ対策を想定しているものの、ドローン攻撃への対策は追いついていないのが現状だ。2013年7月に施行された原発の新規制基準は、01年の米同時多発テロを教訓に、航空機によるテロへの備えを求めている。衝突で施設が破壊されても炉心溶融を遠隔操作で防げるよう、特定重大事故等対処施設の設置が必要だ。
 一方、ドローン攻撃が世界的に注目されるようになったのは、近年になってからのこと。新規制基準ではドローンの侵入や攻撃は想定されていない。
 テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功研究センター長によると、国内外の原発では国際原子力機関(IAEA)の勧告に基づき核物質の盗難や破壊への対策が施されているが、ドローン対策は最近の問題のため勧告に含まれておらず、国ごとに対応している。
 一般的に、原発の敷地周囲などには侵入者に備えて監視カメラやセンサーが置かれている。しかし東京科学大の奈良林直特定教授(原子炉工学)は「撮影できる範囲には限界があり、小型ドローンは捉えられない可能性がある」と指摘する。今回もカメラには映っていなかった。
 ただ、日本の原発の警備が海外に比べて劣っているわけではないという。板橋氏は「原発の敷地内に警察の部隊が常駐し、海側では海上保安庁が守っている。警察も電力会社にドローン対策の指導をしている」と説明する。
 自衛隊では、ドローンが施設に侵入した場合は電波で飛行を妨害する対策を取る。しかし原発は敷地が広大なため、板橋氏は「全体をカバーする装置をつけるには膨大なコストがかかる。今まで通り電力会社と警察、海上保安庁、自衛隊との連携や訓練を続けるのが大事だ」と語る。
 一方、奈良林特定教授は、原発の重要施設を、ゴルフ練習場に設置されているような網目状のフェンスで覆うことを提案する。「ドローンは軽いので、それほど頑丈なものでなくてもフェンスに絡まるだけで飛行を妨害できる」と話す。【小川祐希、成松秋穂、木許はるみ】


原発「空」の防衛に限界 法規制も「強制力」なし 玄海原発〝ドローン〟侵入
                            産経新聞 2025/7/27
佐賀県の九州電力玄海原発上空にドローンとみられる光る物体が侵入した。物体は飛び去り、操縦者や意図などは不明だが、テロ攻撃や偵察の意図があった可能性も捨てきれない。テロの標的になりかねない原発は陸海空で厳重な警備が敷かれ、原発と周辺地域上空のドローンの飛行は法律で原則禁止されている。ただ、「強制力」はなく、侵入を事前に防ぐことは難しいため、対応には限界があるのが現状だ。
    【ひと目でわかる】重要施設で相次ぐドローン飛行
原発や関連施設に対する警察や海上保安庁の警備は、2001(平成13)年に起きた米中枢同時多発テロを契機に本格化し、23年の東日本大震災以降、さらなる強化が進められてきた。
警察当局は全国のすべての原発に「原発特別警備部隊」を配置し、24時間態勢で警備に当たる。爆発物やNBC(核、生物、化学)テロなど、あらゆる事態を想定し、サブマシンガンやライフル銃、防護服などを装備する
沿岸部に立地せざるをえない原発には洋上テロに対する懸念もあり、海上保安庁も警備を重視。武器搭載の巡視船艇を配備するなどしている。
さらに、空からの攻撃にも備え、原発と周辺地域の上空でドローンなどを飛行させることは、安全性に関わるため法律で原則として禁止されている。無登録のドローンを飛ばすことも法に抵触し、令和5年には北海道電力泊原発(北海道泊村)の敷地から50メートルの海岸で国に登録していないカメラ付きドローンを飛ばしたとして、男が逮捕された。
警察庁の露木康浩前長官は昨年9月に東京電力福島第1原発の警備の状況を視察した際、「ドローン対処も含めて訓練の高度化などを進めていきたい」と述べ、原発を巡るドローン対策は重要視されてきた。
その背景には、ロシアによるウクライナ侵略で原発を標的とした攻撃が続いていることもあるとみられる。ウクライナのゼレンスキー大統領は今年2月、1986年に爆発事故を起こしたウクライナ北部のチョルノービリ原発が、ロシア軍のドローン攻撃を受けたと表明。国際人道法(戦時国際法)では原発を攻撃してはならないと定められているが、狙われる脅威は現実のものとなった。
原発周辺の地上警備は厳重な一方で、空からの侵入を事前に防ぐことが難しい現状もある。今回の飛行物の意図などは分かっておらず、関係者は「真相の解明が必要だ」としている。(宮野佳幸)
■重要施設で相次ぐドローン飛行
ドローンを巡っては、「重要施設」上空などでの飛行が相次いで確認されている。
平成27年4月、首相官邸の屋上で、放射線を示すマークが貼られた容器を積んだドローン1機が見つかり、微量ながらセシウムが検出された。威力業務妨害容疑で警視庁に逮捕された男は「原発政策に不満があった」などと供述。男は九州電力川内原発(鹿児島)も狙っていたとされる
皇居近くの北の丸公園(東京)の上空では令和元年5月、警戒中の警視庁機動隊員がドローンのようなものが飛行しているのを見つけた。元年10月と11月には関西国際空港(大阪)で、ドローンのような物体の飛行が目撃され、航空機の離着陸が一時停止された。
海上自衛隊横須賀基地(神奈川)に停泊中の護衛艦「いずも」をドローンで空撮したとみられる動画が6年3月に中国の動画投稿サイトに投稿されていたことも判明した。動画はX(旧ツイッター)にも転載され、拡散。Xには米海軍横須賀基地で原子力空母「ロナルド・レーガン」をドローンで空撮したとする動画も投稿されていた。(吉沢智美)

■板橋功・公共政策調査会研究センター長の話
今回の事案の目的は①悪意を持った攻撃②面白半分で原発敷地上空に入る「マニア的行為」③他国や特定の思想を持つ人らによる情報収集-の3つが考えられる。ただ、①は実際の攻撃がなく、③についても夜間で視認性が低い中で行う意味があるのかは疑問だ。
3機のドローン様のものが確認されたが、プログラムであらかじめ飛行ルートを指定して飛ばすことができるため、組織的な行為かも不明だ。
ドローンはバッテリーの持ち時間や積載量など性能が向上しているが、原発施設は堅牢(けんろう)で、ドローンによる攻撃を受けても大きな影響はないだろう。電波妨害などによる対策も考えられるが、広大な施設周辺をカバーするには莫大(ばくだい)な予算が必要で、整備に利用者の負担も強いることになり、現実的といえるだろうか。
今後の対応として、小型無人機等飛行禁止法の罰則強化による抑止力強化や、事業者と警察当局との連携体制の再確認などが考えられる。今回の事案は明らかな違法行為で、処罰に値する。背景などを確認するためにも行為者の早期特定が必要だ。
                          (聞き手 宮野佳幸)

【柏崎刈羽原発】再稼働に関する2回目の公聴会 19人の公述人が意見

 柏崎刈羽原発の再稼働について、県民の意見を聞く2回目の公聴会が27日に開かれ、一般公募や業界団体などから推薦された19人の公述人がオンラインで参加し意見を述べました。原発から30km圏内に位置する長岡市や見附市・十日町市などの住民も対象となりました。
 県トラック協会推薦の長岡市の50代男性は「冬の避難経路をクリアにしないと道のりは険しい」と述べました。
 小千谷市在住の主婦は、04年中越地震と07年中越沖地震の経験を踏まえ「予測できない震災が不安だ」と反対を表明しました。
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【柏崎刈羽原発】再稼働に関する2回目の公聴会 19人の公述人が意見
                      UX新潟テレビ21 2025/7/27
柏崎刈羽原発の再稼働について、県民の意見を聞く2回目の公聴会が27日に開かれ、19人の公述人が意見を述べました。
今回の公聴会は、原発から30km圏内に位置する長岡市や見附市・十日町市などの住民も対象となりました。一般公募や業界団体などから推薦された合わせて19人がオンラインで参加し、今回は初めて氏名を公表して意見を述べる公述人もいました。

■条件付き賛成:南魚沼市 牧野晶市議
「原発1基稼働につき県民1人1人に年間20万円が支給されるのであれば、再稼働を容認するという『条件付き賛成』を表明します。」
■現段階では反対:新潟県観光協会推薦 十日町市60代男性
風評被害については、観光業だけではなく農林水産業など幅広い業界に影響が出るものと思われます。」
■条件付き賛成:一般公募 長岡市40代男性
「電力供給のためには、再稼働は受け入れなければならないと私は考えております。」

公聴会は、花角知事が再稼働を判断するプロセスのひとつとしています。8月末までにあと3回開催される予定です。


【柏崎刈羽原発再稼働問題巡る公聴会】中越地域の住民ら参加、冬の事故への懸念相次ぐ メリット少なく「リスクばかり」との声も
                            新潟日報 2025/7/27
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題に関する新潟県主催の2回目の公聴会が27日、県庁などで開かれた。中越地域の市町村に在住・勤務している人を対象に計19人が参加。豪雪地帯であることから大雪と原発事故が重なる複合災害への懸念が相次いだ。原発のリスクと比べてメリットが少ないとの意見も多く上がった。
       ・柏崎刈羽原発再稼働への賛否交錯、県主催の初の公聴会
 19人のうち、再稼働に賛成としたのは条件付きも含めて13人、反対が5人。1人は賛否は語らず、東電の信頼性などを挙げて「疑義がある」とした。

 賛成と表明した出席者の中でも、冬の事故を懸念する意見が聞かれた。県トラック協会推薦の長岡市の50代男性は「冬の避難経路をクリアにしないと道のりは険しい」とし、県建設業...
    (以下は会員専用記事のため非公開 残り370文字 全文:670文字)


柏崎刈羽原発の再稼働の是非 県民の多様な意見を聞く「公聴会」 長岡市や小千谷市などの住民が参加
                        TeNYテレビ新潟 2025/7/27
その是非をめぐって県民の多様な意見を聞くため、県は公聴会を開いています。2回目の27日は長岡市や小千谷市などから選ばれた19人が参加しました。
<長岡市在住・再稼働に賛成>
「社会的使命である電力を発生させて地元には経済的な恩恵を与えていただきたい」
<小千谷市在住・再稼働に反対>
雪の積もる時期に避難準備区域に避難指示が出されたとき、津南町に向かって車を走らせるのは絶対不可能です」
公聴会は8月末にかけて続きます。


柏崎原発の再稼働に賛否割れ 住民意見聞く2回目公聴会
                       共同通信 2025年07月27日
 新潟県は27日、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に関し、県民の意見を聞く公聴会を同県長岡市で開いた。花角英世知事が是非を判断する前に県民の意見を確認する方法の一つに挙げ、8月末まで県内5カ所で開き今回は2回目。市民ら19人が発言し「事故時に観光や農林水産業に悪影響がある」「電力の安定供給が大事」と賛否が割れた。

 県農業協同組合中央会推薦で小千谷市在住の主婦は、04年中越地震と07年中越沖地震の経験を踏まえ「予測できない震災が不安だ」と反対を表明県観光協会推薦の40代男性は、長岡市でホテルと温浴施設を経営しているとし「光熱費が大きい」と賛成意見を述べた。 

28- 6号機の制御棒装置の異常 柏崎原発、作動検出端子の取り付けミス

 東京電力は24日、柏崎刈羽原発6号機の建屋内で制御棒を原子炉へ動かすシステムの試験準備中に異常があったのは、制御棒の動作を電気信号で確認する装置を誤った端子に取り付けたことが原因で、修正後、作動試験を12日に終了したと発表しました。

 関連記事
 (7月14日)柏崎刈羽原発6号機“制御棒”装置に不具合 東電「安全性に問題なし」
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6号機の制御棒装置で異常 柏崎原発、取り付けミスか
                           共同通信 2025/7/24
 東京電力は24日、新潟県の柏崎刈羽原発6号機の建屋内で8日に、制御棒を原子炉へ動かすシステムの試験準備中に異常があったと発表した。協力企業の作業員が、制御棒の動作を電気信号で確認する装置を誤った端子に取り付けたことが原因としている。試験は12日に終了しており、安全性に問題はないとした。
 東電によると、原子炉に圧力をかけない状態で制御棒を入れる試験の準備中に異常が発生。保護装置が動き、制御棒の位置を示す表示盤の電源が落ちたという。
 制御棒は、核燃料の核分裂を抑える役割の重要設備だが、6月30日にも6号機の検査で、電動装置の一部が動かない不具合が見つかった。

2025年7月24日木曜日

関電、新原発調査へ 福島事故後初 将来にわたり活用狙う

 関西電力の森望社長は22日、福井県の美浜原発で新しい原発の建設に向けた地質調査を開始すると発表しました。
 それは最新3号機新に60年超のライフが容認され更に休転中の期間加算されても2046年が運転限界であるため、その時までに運転可能な新原発を完成させておく必要があるという会社側の事情があるからでした。
 しかし新原発の規制基準はまだ明確でなく、事故で溶融した核燃料を地中に浸透させないための「コアキャッチャー」は必須(原子炉格納容器の下部構造がより大きくなる)なので、建設費用は従来は「100万キロワットで5千億円が標準」でしたが倍増することは確実で、近年の建設コスト増が加わると1兆5千億円に達する可能性もあります。
 経産省は既に、20年間にわたって建設費や運転維持費などを保証する制度を開始し、さらに6月には、建設費が上振れた場合も消費者の電気料金を通じて支援する制度をつくろうとするなど、電力会社に対して至れり尽くせりの配慮を見せています。
 もしも従来軽水炉ではなく「革新軽水炉」型となれば(その仕様や基準は未定)どれ程高価なものになるのか見当もつきません。それらが最終的にすべて電気料に加算されることだけは間違いありません。
 関連の3つの記事を紹介します。
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関電、新原発調査へ 福島事故後初 将来にわたり活用狙う
                       しんぶん赤旗 2025年7月23日
 関西電力の森望社長は22日、記者会見し、福井県の美浜町に立地する美浜原発で新しい原発の建設に向けた地質調査を開始すると発表しました。2011年3月の東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえず、将来にわたって原発依存を続けようというねらいです。福島原発事故後、原発の新増設へ国内で具体的な動きが明らかになるのは初めて。

福井・美浜町で
 森社長は「国の原子力政策では、第7次エネルギー基本計画で原子力の持続的な活用方針が示された」と述べ、同計画が今回の表明の後押しになった一つだとしました。調査は複数年かけて行うといいます。
 森社長は、建設は調査結果のみで判断せず、投資する上での事業環境整備の状況などを総合的に考慮するとしています。「(稼働までに)準備も含めて20年の時間を要するが、できることはしっかりやっていきたい」と述べました。
 関電は現在、7基の原発を動かしていますが、うち5基が運転開始から40年を超えます。美浜原発では、2号機が廃炉を決め、残る3号機は運転開始から48年です。関電は同原発で増設に向けた調査に着手していましたが、福島第1原発事故で中断していました。
 一方、政府は老朽原発をさらに酷使する「60年超運転」が可能な制度をつくりました。その上、2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、福島第1原発事故後に掲げてきた「可能な限り原発依存度を低減」の表現をやめ、原子力の「最大限活用」や原発の新増設を明記して原発回帰を鮮明にしました。2040年度の電源構成の目標では原発の占める割合を、現在の2倍以上の2割程度に増やすとしています。
 原発の費用は膨らみ続けており、政府は原発の新増設を進める仕組みとして、すでに20年間にわたって建設費や運転維持費などを保証する制度を開始。さらに6月には、建設費が上振れた場合も消費者の電気料金を通じて支援する制度をつくろうとしています
 原発をめぐっては、原発から出る使用済み核燃料の行き先の行き詰まり、見通しのめどが立っていない「核のごみ」の最終処分場、事故時の避難計画の実効性など問題は山積みのままです。


関西電力が決断、原発の将来活用へ一歩 美浜で新設へ 審査、地元理解、資金…課題は山積
                            産経新聞 2025/7/22
関西電力が美浜原発の敷地内での新設(建て替え)に向け、地質調査などの再開を発表し、将来にわたる原発活用へ第一歩を踏み出した。東京電力の福島第1原発事故以降、日本国内に新たな原発は建設されておらず、既存の原発は高経年化が進む。電力需要の増大や脱炭素化に対応するには原発が不可欠で、関電は福井県と美浜町に説明。地元の理解を得ながら着実に進めていく必要がある。
「データセンターや半導体により電力需要は大幅に伸びるだろう。資源が乏しい日本では原子力は必要不可欠だ」
関電の森望社長は22日の記者会見でそう強調した。廃炉を決めたものを除く福井県内の原発7基をすべて再稼働し、原発運用の実績では全国でも「トップランナー」の電力会社として、具体的な行動を起こした
全国的に半導体工場の建設などが進められ、人工知能(AI)が普及して電力需要は拡大する見込み。関西でもシャープの堺工場跡地(堺市)にソフトバンクやKDDIがデータセンターの建設を予定しており、将来的な需要増に対応するために安定電源の確保は喫緊の課題となる。

政府が2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画には原子力を「最大限活用する」と明記され、電源に占める割合も2023年度の8・5%から40年度に2割程度にまで引き上げる目標を掲げる。欧米が原発新設にかじを切る中で、日本も原発活用の方針を打ち出したことが関電の背中を押した可能性は高い
ただ、関電は今回の調査について「原発後継機の設置が可能かどうかを検討することが目的」としており、調査の結果がすぐに新増設に結びつくわけではなく、道のりは長い

まず革新軽水炉の場合は新型炉のため、原子力規制委員会の安全審査がどのような基準で行われるのか不透明な点が課題となっている。電力会社とメーカーなどは「規制の予見性が十分でない」との認識を規制委に伝えており、規制委での議論が待たれる。
地元理解も課題だ。福井県内の原発を再稼働するにあたり、関電は使用済み核燃料の県外搬出を地元に約束した。しかし、主な搬出先である日本原燃の使用済み燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の完成が延期となり、計画をうしろ倒しにせざるを得なくなった経緯がある。再処理工場は26年度中の完成を予定しているが、仮に再延期となれば新設へ向けた地元の理解を得るのも難しくなりかねない。

1基当たり1兆円ともいわれる建設費用をいかに調達するかも課題となる。森社長は「現時点でどれだけの期間がかかるかは申し上げられない」とした上で、「できるだけ早期に運転開始に持っていきたいという思いはある」と述べた。

■発電効率高めた次世代炉、国際競争激化
次世代炉のうち、従来の原子炉の設計を基本に津波・地震対策や多重防護などの安全性を高めたのが、関電が導入を想定する革新軽水炉だ。三菱重工業と東芝エネルギーシステムズなどが開発して基本設計がほぼ完了し、「次世炉のうちで最も実用化に近い」とされる。

一方、政府は今後10年間で「高温ガス炉」「高速炉」の実証炉の建設を目指す。高温ガス炉は冷却材として水の代わりにヘリウムガスを使い、高温の熱を取り出し発電効率を高められる。高速炉は高速中性子(エネルギーの高い中性子)による核分裂反応から熱を取り出し、プルトニウムを含む使用済み核燃料の再利用に適している
高温ガス炉などは、海外では米国や英国、フランスなどが開発を進め、中国とロシアが実証炉の運転や商業運転を実現した。米国では出力が小さく建設費を抑えられる「小型モジュール炉(SMR)」の計画が具体化するなど、次世代炉を巡る国際競争は激化。日本も将来のエネルギー確保のために、技術と安全基準の確立を急ぐ必要がある。(桑島浩任)

■近畿大原子力研究所・杉山亘准教授「革新軽水炉で安全機能高まる」
原発の再稼働で他の大手電力に先んじている関西電力が、新増設へ向けた一歩を踏み出したことは重要。原発を作るのには非常に時間がかかり、今から議論を始めなければ、さらに何年も遅れる可能性もある。
データセンターなどで電力需要が増加する中で、需給がぎりぎりになってからでは遅い。再生可能エネルギーは24時間使えるわけではなく、原発のような安定電源は欠かせない。脱炭素に貢献する上でも日本にとって原子力は重要だ。
新設はいちから対策を組み込むことができるので安全性も高まっているといえるだろう。関電が三菱重工業と共同で開発している「革新軽水炉」は、炉心溶融(メルトダウン)が起きても核燃料が外に漏れないよう「コアキャッチャー」という対策を施している。これは安全機能が、仮に電源を喪失しても作動することに意味がある。
原発は事故を起こしてはならないし、地元の理解を得るために丁寧な説明を続ける必要はある。ただ、電気を使い続ける上で、国民も原子力についてよく考えて理解を深めることが重要だ。(聞き手 桑島浩任)


美浜原発建て替え実現へ関電が直面するハードル 福井県内7基は残り30年で廃炉…建設へ待ったなし
                        福井新聞 2025年7月23日
 関西電力が7月22日、美浜原発(福井県美浜町)で東京電力福島第1原発事故後に中断していた新たな原発への建て替え(リプレース)に向けた現地調査を再開する意向を表明した。関電の県内原発7基は60年超運転が認められたとしても、残り30年程度で全て廃炉となる。原発の建設には計画から完成まで20年程度が必要とされ、関電が建て替えの本格検討を始めるタイミングを探る中、国が原発の最大限活用へ転換したことが後押しになったとみられる。巨額の建設費回収や県と美浜町の同意、原子力規制委員会の許認可などハードルは多く、実現までの道のりは長い。

3号機廃炉時期念頭?
 「新たなエネルギー基本計画の決定が、(関電が)建て替えに向けた本格検討を進める契機になった」。県内の原子力関係者はこうみる。
 政府が2月に閣議決定した同計画は、福島事故後に明記してきた「原発依存度の低減」の文言を削除し、次世代型原発の開発・設置を初めて明記。建て替えの要件も緩和し、廃炉が決まった原発を持つ電力事業者は自社の別の原発敷地内でも建設を可能にした
 関電の県内原発は、稼働する7基のうち5基が既に運転開始から40年を超えている。関電にとって「原子力発祥の地」である美浜は1、2号機が既に廃炉となり、3号機は来年に運転50年を迎える。6月に国の新制度で60年超運転が可能になったが、3号機の場合、再稼働審査などで停止した約10年分の運転延長が認められても、2046年ごろには廃炉となる見通しだ。
 県内の別の原子力関係者は「美浜は大飯や高浜に比べて敷地に余裕がある上、建て替えを求める町民も多い。原子力人材や地元の関連産業の維持を考えると、40年代には新たな原発の運転開始が必要で、検討開始は今がぎりぎり間に合うタイミング」とみる。

建設費回収も課題
 関電は、建て替えで想定する次世代型原発として、三菱重工業や他の電力3社と革新軽水炉「SRZ-1200」の共同開発を進めている。関電の原発と同じ加圧水型軽水炉(PWR)の新型で、出力は120万キロワット級。福島事故を教訓にした安全対策を設計段階から取り入れているのが特徴で、基本設計はほぼ完了している。
 昨年12月から新型炉の規制上の課題を整理するため原子力規制庁との意見交換も始めた。福島事故を教訓に策定された新規制基準は既設原発がベースで、新型炉は想定していないためだ。新たな基準が必要かどうかなどの結論は見通せていない。原子炉設置許可の申請には、原子力安全協定に基づく県と美浜町の事前了解も必要になる見込みだ。
 原発の新増設や建て替えの実現には、使用済み核燃料の再処理や高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分などが解決していないなど課題は山積している。
 1兆円ともされる建設費もその一つで、関電の森望社長は22日の記者会見で「資金回収の予見性を確保することが重要」と強調。新たなエネルギー基本計画は安定的に事業運営できるよう必要な環境整備の検討を進めていくとしており、国は建設費の増大分を電気料金に上乗せして回収できるようにする支援策を検討している