時事通信に掲題の記事が載りました。
原発事故時の「屋内退避」という発想は、30キロ圏内の住民が圏外に避難するに当たり、道路が自動車で大渋滞を起こし車内に長時間滞留するとそこで被曝するので、5キロ圏内の住民の避難を優先させる(その間は「5~30キロ圏内住民は自宅で退避」)というものです。
しかし能登半島地震では多くの民家が全半壊したため「自宅退避」で被曝を阻止するという考え方が成り立たないことが判明しました。それで急遽「自宅退避」に関する検討委員会が立ち上げられたのですが、規制委は単に「屋内退避の解消をどのタイミングにするかを検討」などと、検討委員会の課題をずらしていることが明らかになりました。
⇒(24.4.27)最悪を想定せず屋内退避を議論し始めた原子力規制委 ほか
時事通信が元日に出した記事はそうした背景を踏まえたものですが、何と規制委は「地震時の自宅退避自体が可能かなどは自治体側の課題とする」として、中間まとめには盛り込まないというものです。これでは問題を自治体に投げたに過ぎず、何の解決にもなりません。
そもそも現在の原発群は、「原発は多重な安全策が採られているので『重大事故は起こさないという安全神話』に基づいて建設されたもの」で、必要な幅の避難道路の必要性などは度外視されています。その反省もなく厄介な問題は「自治体に投げる」では通用しません。
いずれにしても30キロ圏内の住民が納得しなければ再稼働はあり得ません。
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【図解】原発事故の屋内退避、検討進む=地震時の対応含まれず―規制委・能登地震1年
時事通信 2024/1/1