2026年2月9日月曜日

原発政策 回帰に委ねてよいのか(京都新聞 社説)

 福島第1原発事故から来月で15年となるにあたり京都新聞が「原発政策 回帰に委ねてよいのか」とする社説を掲げました。

 福島第一原発の重大事故で多数の人命が奪われても、司法が国の責任を認めることが皆無の中で 岸田政権「原発の最大限活用」にかじを切りました。
 その一方でここにきて相次ぐトラブルや審査データの不正などが露見し、原発への信頼は根底から揺らいでいます。取り分け浜岡原発での基準地震動の捏造問題は、原発の安全性に対する実にデタラメな原発企業の姿勢を暴露し、規制委にはそれを見抜く能力自体がないことが明らかになりました。
 それなのに「原発反対を掲げているのは共産党、れいわ新選組、社民党だけで自民党、日本維新の会、国民民主党などは平然と原発の再稼働を進め次世代革新炉の開発をアピールしています。まさに「のど元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざ通りの有様です。
 住民が安全に避難するためのハード面の環境が全く整っていない中での柏崎刈羽原発の再稼動は、福島事故を教訓にした「原発企業の安全文化の徹底」が 言葉だけのものであることのよい例です。
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社説:原発政策 回帰に委ねてよいのか
                            京都新聞 2026/2/5
 東日本大震災時の東京電力福島第1原発事故から、来月で15年となる。史上最悪の過酷事故で最大16万人以上が避難を強いられ、いまだに大勢が郷里へ帰れないでいる。
 事故の収束も廃炉も見通せないのに、この国は「原発回帰」を強めている。再稼働や新増設を進める主張が多いが、相次ぐトラブルや審査データの不正など原発への信頼は根底から揺らいでいる。
 各党の言う「安全優先」は本当に担保されているのか、持続可能なのか、明確に示してほしい
 原発政策は、岸田文雄元政権が「最大限活用」にかじを切った。福島事故を踏まえて「原発依存度の低減」としてきた方針を転換し、2040年度に全エネルギーの2割程度に引き上げると掲げて再稼働を進めている。
 先月、東電が福島事故以来初めて柏崎刈羽原発6号機を再稼働させたが、制御棒に関する警報の不具合でわずか1日で原子炉を停止した。準備時にも制御棒のトラブルがあり、1996年の運転開始からの設定ミスが原因だった。
 中部電力浜岡原発でも先月、再稼働に向けた原子力規制委員会の審査で、耐震設計に関わるデータを意図的に過小評価する不正が発覚した。悪質な「ねつ造」は、事業者の適格性さえ疑われる
 福島事故を教訓にした安全文化の徹底は心もとない。
 多くの党は、電力需要の増加や電気料金の引き下げなどを理由に、原発活用へ前のめりだ。
 選挙では、自民党や日本維新の会、国民民主党は、原発の再稼働を進め、次世代革新炉の開発をアピールする
 中道改革連合は、将来的に原発へ依存しない社会を目指すとしつつ、条件付きで再稼働を容認した。「原発ゼロ」を掲げてきた立憲民主党が、公明党の政策に寄せた。条件とした安全性や避難計画の実効性確保の見極めが問われよう。
 共産党やれいわ新選組は、原発再稼働と新設に反対し、原発ゼロを目指すとしている。
 原発は、使用済み核燃料がたまり続け、最終処分策が定まらない根本的な欠陥を抱えたままである。尽きぬリスクへの対応でコストがかさみ、安上がりといわれたのも遠い昔だ。こうした問題に目を背けているのは無責任だろう
 災害が頻発する日本は、多角的なエネルギー確保が欠かせない。再生エネルギーへの潮流を止めない議論を求めたい。