しんぶん赤旗の掲題の記事を紹介します。
浜岡原発で基準地震動の策定時にデータをねつ造した問題で中部電は14日、特別調査委員会の報告書を受けて、浜岡原発3、4号機の再稼働申請を取り下げると発表しました。林欣吾社長は同日の会見で「決して諦めることなく、再申請に向けた取り組みを進める」と原発に固執する姿勢を示しました。
調査報告書は、審査の遅れについて経営層が担当部署を「叱責していたことが圧力として作用し、不適切行為が行われた要因となった」という見解を示しました。また不適切行為について、結果として 安全性に問題ない ▽規制委の指摘に納得できない ▽早期の再稼働を実現しなければならない―などの「独自の正当化理論」という「極めて特異な考え方」が社内にあったと指摘しました。
地震動データの記載内容に関しては当時社長だった勝野哲会長らが報告・相談を受けていたことも明らかになりました。
同社は、勝野氏(元電気事業連合会会長)、林社長らは今月末で退任し、新社長には安井稔氏(現・専務執行役員)が就任します。
浜岡原発の基準地震動の評価に関する不正は遅くとも2012年に始まり、コンピューターを使った数値計算で地震動を計算させる際、都合の良いデータを意図的に選定するなどの手法で不正を続けてきました。
調査委員会の報告書によると、断層モデルに基づく地震動評価では全225ケース中、208ケースで何らかの不適切な方法がとられていました(17ケースは残っている資料が不十分なため判断ができませんでした)。
日本科学者会議原子力問題研究委員会・山本雅彦委員長は、「中部電力が策定した基準地震動のデータは、非常に低く見積もられていると専門家から指摘されてきました。浜岡原発3,4号機再稼働の申請を(一旦)取り下げると言っていますが、ほとぼりが冷めれば再び低い基準のまま再申請してくる懸念があります。原子力規制委員会について、今回の不正問題を受けて水平展開する姿勢がまったくみられないことも問題」と語りました。
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浜岡再稼働 申請取り下げ 中部電不正も原発固執 会長・社長退任へ
しんぶん赤旗 2026年9月15日
中部電力が浜岡原発(静岡県)で想定する地震の揺れ(基準地震動)に関するデータをねつ造した問題で、中部電は14日、外部弁護士らによる特別調査委員会の報告書を受けて、浜岡原発3、4号機の再稼働のための原子力規制委員会への申請を取り下げると発表しました。一方、林欣吾社長は同日の会見で「決して諦めることなく、再申請に向けた取り組みを進める」と原発に固執する姿勢を示しました。
中部電が同日公開した報告書は、審査の遅れについて経営層が担当部署を「叱責していたことが圧力として作用し、不適切行為が行われた要因となった」という見解を示しました。また不適切行為について、結果として 安全性に問題ない ▽規制委の指摘に納得できない ▽早期の再稼働を実現しなければならない―などの「独自の正当化理論」という「極めて特異な考え方」が社内にあったと指摘しました。
地震動データの記載内容に関して、当時社長だった勝野哲会長らが報告・相談を受けていたことも明らかになりました。対応によっては「隠ぺいであると批判され、規制委の信頼を損ねるリスク」や「浜岡の成立性に関わる指摘を受ける可能性」が外部弁護士などから言われていたコンプライアンス上の「重要な局面」で、結果的に「適切とは言い難い対応を取るに至った」と指摘されました。
同社は、再発防止策の方向性と役員の人事を発表。勝野氏(元電気事業連合会会長)、林社長らは今月末で退任。新社長には安井稔氏(現・専務執行役員)が就任します。当面、会長は空席となります。勝野氏は、中部経済連合会会長を辞任する意向も明らかにしました。
浜岡原発の基準地震動の評価に関する不正は、遅くとも2012年に始まりました。コンピューターを使った数値計算で地震動を計算させる際、都合の良いデータを意図的に選定するなどの手法で不正を続けてきました。原子力規制庁が通報を受けて同社と面談を開始した昨年5月以降にデータを操作したことも明らかになっています。
浜岡原発再稼働申請取り下げ 中部電、原発扱う資格なし
中部電力は、浜岡原発3、4号機の再稼働に必要な原子力規制委員会への申請を自ら取り下げると発表をしました。審査データのねつ造は、原子力の最低限の安全性を確認するための審査の信頼性を根底から揺るがす行為であり、審査が成り立たない事態を招いた以上、当然の決定です。
調査委員会の報告書によると、断層モデルに基づく地震動評価では全225ケース、208ケースで何らかの不適切な方法がとられていました。17ケースは残っている資料が不十分なため判断ができませんでした。
倫理観まひ
不正の実態をみると、地震動評価の担当が、検討すべき断層等の条件が厳しくなるたびに、自分たちに都合が悪い結果にならないよういろいろな小細工を施していることが分かります。不正を繰り返す中で、倫理観がまひしていったのではないでしょうか。
また、社内の専門家が問題を指摘する声や社内相談窓口への通報が複数ありながら、生かされなかったことも分かっています。一度は、審査資料の記載に問題があるという内部通報が当時の勝野哲社長(現・会長)に伝わりました。しかし、外部弁護士の意見を無視し、不正を続けていた原子力土建部の意見を採用するという不十分な対応となり、自浄作用は全く働きませんでした。
中部電では、今回の審査データのねつ造以外にも、浜岡原発の工事費用の未精算や廃炉工事費の不正請求、さらには電気代の過大請求など不祥事が続発。最近明らかになった事例に限ってもあきれるほどの事態です。
報告書は、中部電の一部グループや集団では「独自の合理性」や「独自の正義感」を特徴とする「独自の正当化理論」の存在が、今回の問題の根底にある原因だと指摘。さらに、同社内での「独自の正当化理論」などの特異な考えの広がりに言及し、中部電で「不祥事案件が今後も断続的に起き得るという懸念は払拭できない」とまで断じました。
反省口だけ
中部電のこれらの振る舞いは、危険な原発を運転する事業者としての適格性を全く欠いています。しかし、林欣吾社長は会見で「反省」を口にしながら、再申請に関して「諦めることなく」進めると繰り返しました。反省よりも再稼働のために申請を取り下げたとしか思えない態度です。
浜岡原発は南海トラフ地震の震源域直上に立地し、建設当初からその立地の妥当性を疑問視する声が専門家からも上がっていました。それらを無視して5号機まで建設をしてきた結果が、今回の不正の発生を招いたのではないでしょうか。中部電は、浜岡原発の再申請を断念し、早急に廃炉を決定すべきです。 (松沼環)
市民の不安は根強い
浜岡原発のある御前崎市に隣接する菊川市の日本共産党の奥野寿夫市議は、「申請取り下げの決定は当然です。しかし、中部電が再申請を考えていることは、不正行為を重ねて
おきながら、とんでもない」と断じます。
同市議会の2月議会には、浜岡原発の再稼働に反対する市民団体が再稼働の申請取り下げを求める請願を提出。奥野市議と無所属議員が賛成したものの、反対多数で否決されました。
奥野市議は「市民の中に不安の声は根強くあります。南海トラフ地震が想定される地域に立地する浜岡原発で、安全基準に適合するとは思えない。議会の一般質問でも、中部電は原発事業から撤退すべきだと訴えてきました。これからも市民の運動とともに浜岡原発の廃炉を求めてたたかっていきたい」と語ります。
安全面に立ち評価を
日本科学者会議原子力問題研究委員会・山本雅彦委員長の話
中部電力浜岡原発の基準地震動のデータ不正問題が起きた要因について「幹部が審査を急がせた焦り」という話になっていますが、もともと中部電力が策定した基準地震動のデータは、非常に低く見積もられていると、専門家から指摘されてきました。勝野会長と林社長が辞任し、浜岡原発3,4号機再稼働の申請を取り下げると言っていますが、ほとぼりが冷めれば再び低い基準のまま再申請してくる懸念があります。今回の不正がどうして起きたのか、その徹底的な追及とともに、熊本地震のような複数断層の連動などを想定し、より安全面に立った評価をした上で基準地震動を策定するべきです。
原子力規制委員会について、今回の不正問題を受けて水平展開する姿勢がまったくみられないことも問題です。他の電力会社も同様な不正を行っていないか、規制委が明白にさせるという立場にたってしっかり調査しなければ原発の安全は守れません。
撤退が責任の取り方
原発問題住民運動全国連絡センター・伊東達也代表委員の話
福島で40年間、地震と津波で原発が大事故を起こす危険性を東京電力に訴え続け、実際に大事故を経験しました。巨大な地震と津波が押し寄せる地域で原発を動かそうという人たちが、基準地震動をごまかす不正を行っていたことに怒りがわきます。福島では事故から40年後の廃炉のめども立ちません。
調査委員会の報告書では、中部電力の中に、早期の再稼働を実現するために規制委員会の指摘を逃れる「『特異な考え方』が存在していた」といいます。中部電では、それが「特異」ではなく「普通の考え方」だったのではないか。事故はめったに起きないからと、規制をうまく逃れて許可を得る腐敗がまん延していたのだと思います。
事故を起こした東電に代わり、電気事業連合会の会長なども中部電の社長が務めていたため、おごりがあったのかもしれません。
中部電が浜岡原発の再稼働申請を取り下げるのは当然です。安全をないがしろにする中部電は、原発から撤退することが責任の取り方です。