2018年3月20日火曜日

20- 大間原発訴訟 函館市民団体ら原告の請求を棄却

 完成すれば我が国最大級の138万キロワットの容量を持ち、全ての燃料がプルトニウム含有である、我が国初の「フルMOX」仕様の大間原発の建設差止めなどを求めた訴訟の判決が19下され、建設の見通しが立たない中で、現時点で重大事故の危険性を認めることは困難」などとして、原告の請求を棄却しまし
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大間原発訴訟 函館市民団体ら原告の請求を棄却
毎日新聞 2018年3月19日
 電源開発(Jパワー)が青森県大間町に建設中の大間原発をめぐり、北海道函館市の市民団体らが国とJパワーを相手取り、建設の差し止めなどを求めた訴訟の判決が19日、函館地裁であった。浅岡千香子裁判長は建設の見通しが立たない中で、現時点で重大事故の危険性を認めることは困難」などとして、原告の請求を棄却した。

 訴訟は津軽海峡を挟んで最短18キロにある函館市の市民団体「大間原発訴訟の会」(竹田とし子代表)を中心に2010年7月に提訴。商業炉としては世界で初めてプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を全炉心で使う「フルMOX」の安全性や原発周辺の活断層の有無などが争点になった。
 原告側は「フルMOX」は原子炉制御棒の効きが悪くなるなど、「安全性が証明されておらず、危険」と主張。また、原発敷地の北約10キロ沖に長さ約40キロ以上の活断層があるほか、過去に噴火した「銭亀カルデラ」と呼ばれる海底火山などがあるが、影響が考慮されていないと指摘した。

 Jパワー側はフルMOXの特性は炉心の設計などに適正に考慮されていると反論。海上音波検査などで周辺に活断層はなく、「銭亀カルデラ」も過去の記録などから再噴火の可能性はないと主張した。
 東日本大震災後、建設中の原発への司法判断は初めて。大間原発をめぐっては、この訴訟とは別に函館市が14年4月、自治体として初めて原発建設の差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こし、審理が続いている。【山田泰雄】

【ことば】大間原発
 Jパワーが青森県大間町に建設している改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)で、出力は国内最大級の138万3000キロワット。原発の使用済み核燃料に含まれるプルトニウムを再利用する国の核燃料サイクル政策の重要施設で、2008年5月に着工したが、東日本大震災後に工事を中断。Jパワーは24年度の運転開始を目指すが、原子力規制委員会の新規制基準の適合性審査が長びき、運転開始の見通しは立っていない。