2018年3月29日木曜日

東海第2原発 30キロ圏内市町の反対で稼働を止められるか

 これまで原電東海第二原発30キロ圏内にある水戸市など6市村と原電との間で、6市村は、自治体側が「ノー」と言えば再稼働を止められる内容を要求してきました
 29日に行われる最終会合住民の意思を反映した協定となるか注目されています。もしも市村側の要求が通れば国内で初の快挙となります。
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「原発止められる協定」焦点 東海第二 協議大詰め
東京新聞 2018年3月29日
 首都圏唯一の原発、日本原子力発電(原電)東海第二原発(茨城県東海村)を巡り、原発三十キロ圏内にある水戸市など六市村と原電との間で、新たな協定の締結に向けた協議が大詰めを迎えている。六市村は、自治体側が「ノー」と言えば再稼働を止められる内容を要求。二十九日には東海村で最終会合が開かれる。住民の意思を反映した協定となるかが焦点となっている。 (山下葉月)

 「今の文言は人ごとのようだ。原電は責任を持たないとダメだ」。六市村のある首長が語気を強めた。原電が昨年十一月に示した協定案は「再稼働する際の事前了解は規定されていないが、事前協議で実質的に担保される」と曖昧な内容だった。
 六市村は「事前了解」の明確化を求め、まず「事前了解は規定されていない」の削除で原電と合意。「実質的に担保」も修正を求め、文言の細部にこだわり交渉。二十九日に示される協定案に、交渉関係者は「異論は出ないのではないか」と合意する方向だという。

 原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発が再稼働する際、原発事故の不安から「周辺自治体の了解も必要」と各地で議論が起きている。再稼働に自治体が同意するかどうかは法的に必要なく、協定がそれを補っている面もある。電力会社が事前了解を得るのは立地自治体と県のみだが、三十キロ圏の自治体にも拡大すれば全国初となる。

 原電も事前了解の協定を結ぶのは県と東海村だけ。当初はこれに水戸市など五市を加えるよう求めたが、原電が難色。交渉リーダーの山田修・東海村長が「形にこだわらず実を取る」として別枠の協定となった。規制委の審査が終盤を迎え、六市村と原電は二十九日、「事前了解」を盛り込んで合意をしたい考えだ。

 昨年八月の茨城県知事選での共同通信の世論調査で、県民に再稼働の是非を聞くと、反対派が64・6%で、賛成派の28・7%を大きく上回った。水戸市議会も再稼働反対の意見書を可決する見通しだ。一方、政府は二〇三〇年の電源構成目標で、原発を一六年度の2%から、20~22%に引き上げる方針。ある首長は「電力会社が自分の首を絞めるような協定を結ぶだろうか」と疑念を抱く。

 二十九日にもまとまる協定内容は全国の注目を集める。東海第二原発の差し止め訴訟代理人の丸山幸司弁護士は「再稼働反対の住民の声が強ければ、首長は無視できない。協定により住民の声を代弁できる」と期待。成蹊大の武田真一郎教授(行政法)は「住民の意思を反映させるには拘束力を持つ契約にするべきだ。『六市村の合意がなくては再稼働できない』と明確な文言を盛り込めば誤解がない」と指摘した。

 <東海第二原発の30キロ圏> 14市町村あり、全国の原発30キロ圏で最多の約96万人が住んでいる。原電と協定締結に向け協議しているのは水戸、那珂、日立、ひたちなか、常陸太田の各市と東海村。圏内の自治体は法律で、事故時の住民の避難計画をつくることが義務付けられている半面、新規制基準に適合と判断された原発が再稼働する際、電力会社が事前了解を求めた「地元」は、立地する市町村と県に限られている。